愛知県美術館

「ジブリの大博覧会 ~ジブリパーク、開園まであと1年。~」に行ってみた

2015年からスタートした「ジブリの大博覧会」がこの夏、ジブリパーク開園の地、「愛知」にて最終回を迎えます!
圧倒的に美しい展示物や、映画製作に携わった方々の熱い思いが伝わってきて、どっぷりとジブリの世界観に浸れることができる展覧会の様子を取材してきました。


2015年に愛・地球博記念公園で開催し大反響を呼んだ「ジブリの大博覧会」。5年間で国内全11ヶ所の巡回をしながらバージョンアップしてきました。

そして今夏、全ての展示物が勢ぞろいし、出発点・”ふるさと”愛知で完結。来年に開園が迫った「ジブリパーク」のプレイベントとして、スタジオジブリ誕生から約35年の歩みを映画ポスターやグッズ、未公開原画など豊富な資料で振り返ります。「天空の城ラピュタ」の「空とぶ巨大な船」など愛知初登場の展示も多数なので、ぜひご覧ください!

※取材で許可を得て撮影しています。

大きなトトロがお出迎え!

展覧会に足を踏み入れ、まず目に入るのが……

© Studio Ghibli

バーカウンターに佇むトトロ!!!!!

スタジオジブリに本当にある打ち合わせスペースを再現したバーカウンター。
この中にいる大迫力のトトロの姿に、一気にジブリの世界にトリップしたかのような気持ちになる展示です。

© Studio Ghibli

トトロを背に次の展示へと歩を進めます。

暑さ吹き飛ぶ幻想的な燈楼!

トトロとお喋りしたい気持ちを抑えながら次の展示ブースへ足を踏み入れると……

© Studio Ghibli

真っ暗な部屋の真ん中にキラキラと輝く、ジブリ作品をモチーフにしたガラスのオブジェと、壁一面に映し出された各作品の代表シーンのイメージが楽しめる空間が広がっています。

そこに「天空の城ラピュタ」の「君をのせて」のインストゥルメンタルが流れていて、

その幻想的な美しさに「ほぅっ……」と見惚れてしまう素敵な展示でした。

ジブリを振り返ろう!知ろう!

「ジブリの幻燈楼」を抜けて私を迎えてくれたのが……

© Studio Ghibli

壁にずらりと並べられたポスターや資料の展示!

この展示は2部屋におよんでジブリ作品のポスターだけでなく、企画書、ロケハン、原案、絵コンテ、ポスター原案、コピーライティング案、販促計画表……

『映画を作る前から、公開されるまで』の軌跡が展示されています。

ジブリファンはもちろん、広告代理店や制作プロダクションに勤めている方、目指している方には見逃せない展示だと思います。

中でも今回私にとって印象的だったのは、「もののけ姫」のキャッチコピー『生きろ。』が誕生するまでの実際のやりとりの展示。

人々の興味を喚起させられるけれど、最も分かりやすい短い言葉が出てくるまでの鈴木敏夫さんと、糸井重里さんのやりとりが公開されており、改めてコピーライティングの深さを感じさせられました。

お宝一気に放出展示!

そんな名作たちの軌跡を記した展示の後に待っていたのは……

© Studio Ghibli

数々の販促物の展示でした!!!!!

ただでさえ一点一点魅力的な販促物なのに、数が多すぎて目移りで目が回りそうでした。

大袈裟ではなくほんとうに視線がつるつるつるつると部屋の中を飛び交い、視点が定まらないのです。

しかし、そんな状態に終止符を打つかのように視線を独り占めする存在が……!

© Studio Ghibli

「猫の恩返し」のバロンの等身大フィギュア(?)!

こまごまとした販促物の中に壺と並んで唯一大きなものの展示なので、一際目を引きました!

そんなところまで緻密に計算されて、映画って作られてたの!?

お宝のような販促物の後、私達を迎えてくれたのは……

© Studio Ghibli

空飛ぶ機械たちの展示です!

ジブリは「紅の豚」、「魔女の宅急便」、「天空の城ラピュタ」、「ハウルの動く城」、「風立ちぬ」など機械を使って空を飛び回る作品が多く存在します。

今までは「こんな機械で飛んでいたらカッコいいな」とかで機械を描いているのかなと深く考えずに作品を観ていましたが、会場の飛行機械の展示をご覧頂くと、空に機械を飛ばすためありとあらゆる知識が駆使されて描かれていることが分かるのです

自分の専門ではない分野の展示がこうも細かく紹介されているのを見ると、「この部分に心動かされているファンがいるのだな」とものごとを見る時のものさしがひとつじゃないこと、価値観が多様なことを不意に感じさせられる素晴らしい展示です!

王蟲の世界

この展示の中での目玉!「風の谷のナウシカ 王蟲の世界」です。

© Studio Ghibli

中央に鎮座する主役の王蟲は青、白、赤と3色に発光します。

青く光っている時は幻想的で、観ているこちらは生唾をごくりとのんでしまう美しさを感じます。
白く光っている時は神秘的で、この昆虫のような、恐竜のような生物達が神々しく感じさせます。
赤く光っている時は毒々しく、今にも逃げてしまいたくなるような凄みを空間全体が帯びます。

ほんとうに映画の中にすっぽりと入ってしまったかのような気になり、見る者全てを嫌でも魅了してしまう。
「風の谷のナウシカ」のファンだろうが、映画を観ていなかろうが、王蟲の世界に呑まれてしまう。

気づけば、息を殺して、王蟲を観察している自分に気が付く……。
ものすごく凄みのある展示で、まさに展示の目玉!

オススメの見方は他の展示物の陰から覗く見方です!

© Studio Ghibli

このようにひっそりと王蟲を実際に覗いてる感じがして、とてもリアルに味わえました!

ネコバスをモチーフにした新展示

息をのむ緊張感漂う展示のあとは、ネコバスをモチーフにした新展示!

© Studio Ghibli

動物のネコと乗り物のバスが合体した「ネコバス」。ここには、まったく違う2つのものを合体させてしまうというアイデアがあるんです。
この「ネコバス」のように、世の中には気づいてないけど、ものとものや、ものと動物など組み合わせでできているものがたくさん存在してるんです。
ブタの貯金箱、ユニコーン、象のジョウロなどなど……ネコバスアトリエでは、そんなの実例が、所狭しと並んでます。

© Studio Ghibli

「ネコバスアトリエ」にはこのキャラクターも……!

ジブリ作品の中で、衝撃的だったキャラクターはいますか?
幼い私に強烈なインパクトを与えたあるキャラクターがトラウマで仕方なくて、10年ほどその作品を見られなかったことがあります。

それは……「もののけ姫」のシシ神様です。
神秘的で美しいシーンの中に、突如現れる大きな鹿のような自然の神……。
意味が分からないくらい怖かったです。

今はその美しさと怖さの両面を持つあのシーンから、自然や人間の持ち合わせる二面性を感じとても好きです。
その、シシ神様もこちらに展示されていました。

© Studio Ghibli

シシ神様を取り囲む展示物は愛知県美術館の保有する美術品ですが、それらと調和しながらも、圧倒的な存在感を放つシシ神様。

© Studio Ghibli

© Studio Ghibli

寄りで撮っても、シシ様がまるでその場にいるような臨場感でした。

角度によって、見せる表情が変わること、シシ神様が乗っている土台も精巧に作られていて、人工物なのに、自然の美しさを感じます。

シシ神様のあとに待っていたのは、今回の展示のメイン!

© Studio Ghibli

「ハウルの城」の建築模型!

こちらはジブリパークに2023年にオープン予定の「魔女の谷エリア」に誕生する「ハウルの城」の建築模型を初の一般公開。1/20サイズのこの模型をみていると、一足先にジブリパークの雰囲気を感じることができます。

© Studio Ghibli

また、この模型がどのように出来上がっていったのかの軌跡が分かる模型が4つ年代順に並んでいて、細やかな修正や改善、そして、この一つの模型を作るのにどれほどの時間や、考えが施されてきたのかなど、携わる人々の熱意をひしひしと感じられます。

最後に

「ジブリの大博覧会」はきっと誰が、誰と行っても楽しいです。

友人と、恋人と互いの思い出の作品を語らうこと。
家族の誰が、どこに、時間を割いて見ているのかを知って、新たな一面や価値観を知ること。
一人で見に行って、どっぷりとジブリ作品に浸かってみること。

楽しむ動線が目一杯引かれた素晴らしい展示になっています。

世界中の様々な人に愛されるジブリ作品。これらを作り上げるのに辿ってきた軌跡が、余すことなく展示されています。

今回載せ切れなかった展示もまだまだございます。ぜひ、愛知県美術館に足を運んで頂いて、ジブリパーク開園前にジブリの新たな魅力を探しに来てはいかがでしょう。

※取材で許可を得て撮影しています。展示は入り口のネコバス以外の撮影が禁止されています。くれぐれもご注意ください。

© Studio Ghibli

展覧会概要

会期 2021年7月17日(土)~2021年9月23日(木・祝)
休館日 7月19日(月)、8月2日(月)、16日(月)、9月6日(月)、21日(火)
会場 愛知県美術館(〒461-8525 名古屋市東区東桜1-13-2 愛知芸術文化センター10階)
地下鉄東山線・名城線「栄」駅/名鉄瀬戸線「栄町」駅下車、オアシス21連絡通路利用徒歩3分
開催時間 10:00~18:00
金曜は 20:00まで(入館は閉館30分前まで)
主催 愛知県美術館、中日新聞社
展示協賛 ア・ファクトリー
入場券 日時指定予約制(詳細は特設サイトへ)※愛知県美術館で販売していません。
お問い合わせ ハローダイヤル 050-5542-8600(9:00~20:00)

 

ライター:ごとうさん

イベント情報

開催日
2021/07/17 ~ 2021/09/23
開催時間
10:00~18:00 金曜は 20:00まで(入館は閉館30分前まで)
会場名
愛知県美術館
会場場所
愛知県名古屋市東区東桜1-13-2 愛知芸術文化センター10階
チケット
▶日時指定券
一般 1,900円
高大生 1,500円
小中生 1,000円
※詳細は特設サイトをご確認ください。愛知県美術館で販売していません。

募集期間
2021/09/23 00:00まで