ご当地サウナ委員会のタカヤマ(@takayamasauna)です。みなさんは「サウナシュラン」をご存知でしょうか?その年のサウナ施設を讃える話題の行事。ヨッピーさんも自身のブログでサウナシュランを発表されていましたね。

サウナシュランの公開は11月11日。入賞するには、期日までに施設が開業しなくてはなりません。本日ご紹介するのは11月30日開業の施設、惜しくも間に合いませんでした。しかしもし「俺のサウナシュラン」があるなら入賞間違いなしの施設です!

各界のプロフェッショナルが集結し、ガチで作った温浴施設!

前代未聞、見た目のインパクトが凄い米ぬか酵素風呂!

身体ケアに詳しいスタッフが施術してくれる、本格ウィスキングサービス!

日本と北欧文化が見事に融合した、4種類のサウナ室!

そして国際サウナ協会会長監修、医者が作るバリアフリーサウナ!

サウナ室の数自体も凄いですが、予防医療を目的とした社会的意義の高さが際立っており、国際的に表彰されてもおかしくありません。日本の伝統入浴法とサウナが同時に体験できる世界初の温浴施設「ぬかとゆげ」をご紹介します!

ぬかとゆげのエントランスを紹介

先日ご紹介した「-蒸- 五箇サウナ」と同じ京丹後市に、ぬかとゆげが誕生。京丹後市の中心街である峰山駅から徒歩でアクセスでき、カラフルでお洒落なデザイナーズホテル「KISSUIEN Stay & Food」の敷地内にオープンしました。

ぬかとゆげは日帰り利用をすることもできますが、KISSUIEN Stay & Foodに宿泊して堪能するプランがおすすめです。そして気になるサウナをみていくにあたり、本日は施設スタッフの方々に登場いただき、ぬかとゆげをご案内いただきます。

温浴事業部ではたらくカジさん。The Saunaで有名なLAMP野尻湖の元ヘルパー。独特な風貌から想像できない物腰柔らかなスタイルが話題となり、一部サウナファンからカルト的な人気を集める。ご当地サウナ委員会の古くからの読者でもある。

いつも読んでいたご当地サウナ委員会の記事に出ることが出来て、今日はとても嬉しいです。本当にギリギリの工事だったのですが、何とか11月30日のオープンに間に合わせることができました!

ぬかとゆげは元々敷地内にあった建物を改装し、温浴施設にリノベーションしました。建物自体はよくある日本家屋ですが、ここに米ぬか酵素風呂と5つのサウナ室を作るのは、とても苦労しましたね。

ぬかとゆげは、京丹後の伝統工芸品や文化を取り入れることにこだわっています。例えばちょうちんは京丹後に移住された老舗提灯屋の小嶋庵さんに制作をお願いしました。施設内でも京丹後の文化に触れる接点づくりを心掛けています。

館内ではなるべくストレスフリーで過ごして頂きたいと考えています。男女それぞれの更衣室で着替えていただくにあたり、アメニティやタオルなどをお貸ししているのですが、これらについても素材やデザインにこだわっています。

サウナーも驚く米ぬか酵素風呂

まず浴室で身体を清めて、温かいお風呂に入るのが一般的な流れだと思います。しかしこちらでは酵素風呂で身体を温めるのがぬかとゆげのスタイル。専用の湯あみ着と髪にぬかが絡まないようヘアキャップを着用し、米ぬか酵素風呂を体験します!

米ぬか酵素風呂部門を担当している中村美里さん。ぬかとゆげスタッフには同じ中村姓がいるため、周りからは美里さんと呼ばれている。

米ぬか酵素風呂は、プロデュース元である「ぬか酵素 Sun燦」の発酵種ぬかを淡路島から直送しています。米ぬか以外の熱エネルギーを一切使っていないのですが、常に60℃ぐらいの温度があり、全身から汗が噴き出しますよ。

これがぬかとゆげの米ぬか酵素風呂!第一印象は砂の蒸し風呂に近いようにみえます。砂の蒸し風呂といえば、鹿児島県の指宿温泉が全国的に有名ですよね。おそらくサウナ好きの皆さんは、このような蒸され経験は初めてではないでしょうか?

そしていざ、米ぬか酵素風呂へ。ずしんとした重みのある米ぬか、そして何より温かい!手足の指先を動かすとしっかり熱いと感じることができます。個人的にはサウナ以上に汗がかけて、かなり温かいです。こちらには20分ほど入ります。

そして酵素風呂から抜け出し水分補給。頭から足先までぽかぽかしていて、深部体温の温まりを感じます。まさに新感覚!そしてこの米ぬか酵素風呂、ぬかが自然治癒力を高めてくれて、乱れた自律神経や予防医療に効果が期待できるそう。

淡路島から直送の発酵した種に京丹後の米ぬかを追加投入しています。京丹後の本来捨てられるはずの米ぬかを今後は買い取り、人を温め、発酵後の米ぬかを買い取らせて頂き、人を温め、発酵後の米ぬかは良質な肥料になることから、知り合いの農家へ戻して使ってもらう予定です!

これまで全く未知だった米ぬか酵素風呂。ぬかとゆげで新たな世界が開かれたような感じがします!

スタッフによるウィスキングサービス

米ぬか酵素風呂の次はいよいよサウナへ。しかし通常の入り方ではなく、オプション(※不定期開催)であるウィスキングサービスを受ける流れに。ウィスキングはアウフグースと並ぶ、新たなトレンドとしてサウナ業界で注目されています!

それではウィスキングの施術を行っていきますね。まずはサウナベンチにうつ伏せになってください。

ウィスキングを行うのは「NOKOSET(のこせっと)」という部屋。別名、寝ころびサウナと呼ばれており、寝ころぶためのサウナベンチが通常よりも広く高めに設置されているのが特徴です。こちらでウィスキング施術を行ってくださいます。

米ぬか酵素風呂で温めた身体をさらにピンポイントで、身体の各部位を植物で温めていきます。サウナ室内に充満する様々な植物の香り。頭部に覆いつくされた植物の感触に包まれて、まるで森の中にいるかのような錯覚を覚えます。

足を上げて、サウナ室の天井に溜まった蒸気を植物で下ろし温めていきます。これがもう、たまらなく良い。米ぬか酵素風呂からウィスキングを体験してみて、いつもの蒸され体験とはまた異なるのを実感しますね。

ウィスキング後は、身体が冷えすぎない範囲で水風呂に浸かります。そしてぬかとゆげ特製のチェアに腰掛け、異次元のととのいタイム。ウィスキングは不定期開催とのことですが、チャンスがあればぜひ受けて頂くのをおすすめします!

バリエーション豊富なサウナの数々

ぬかとゆげには寝ころびサウナだけでなく、いくつかのサウナ室が用意されています。一方でただ数が多いのではなく、どのサウナもデザインやコンセプトが異なるのです。制作にあたっては、サウナの本場フィンランドまで視察に行かれたとのこと。

ぬかとゆげを運営する「よしおかクリニック」の代表である吉岡直樹さん。京丹後でよしおかクリニックと聞くと知らない人はいないほど。国内外で名が知られているスポーツ選手もリハビリで数多く足を運ぶ。代表なのに何かとフットワークが軽い。

ぬかとゆげのスタッフでフィンランドまで渡航し、数多くのフィンランドサウナを視察してきました。後述するバリアフリーサウナについては、国際サウナ協会のエロマー会長からアドバイスを頂き、国際基準のサウナを作ることができましたね。

 

フィンランドらしさが反映された1つ目のサウナが「YHDESSÄ(ゆふでっさ)」。別名、シアターサウナと呼ばれており、サウナ室内にモニターが設置されていて、Bluetoothで好きな映像や音楽と共に快適なサウナ時間を過ごすことができます。

シアターサウナはゆったり楽しんでいただけるようなリクライニングチェアになっています。サウナに長く入ることが苦痛でなくなる、本場フィンランドサウナの体験に近づけたのではないかと思っています。

続いて2つ目のサウナが「TAUKO(たうこ)」。勘が鋭い方はお気づきかもしれませんが、ぬかとゆげのサウナ室にはフィンランド語の名前がすべて与えられています。TAUKOはコンセプトやデザインがフィンランドそのもの!

こちらのサウナはフィンランド人のノーラさんにプロデュースをお願いしました。フィンランドの雰囲気を楽しんでいただけるよう、デザインや小物など空間づくりのアドバイスを反映しています。

そして3つ目のサウナが「HETKI (へとき)」。TAUKOとHETKIの別名はペアサウナ。こちらのペアサウナは一転して和の雰囲気!フィンランドらしさのみを表現するのではなく、京丹後らしさも忘れないのがぬかとゆげの面白いところです。

こちらはサウナ室の壁が漆喰の和風テイストな空間に仕上がりました。 京丹後の畳工房ヨシオカさんの畳を休憩スペースに用いたり、地元の織物業者である民谷螺鈿さんの螺鈿織りを休憩スペースに飾っています。

施設面積が限られている中でも、サウナをゆったりと楽しめるように各部屋に水風呂と休憩スペースがしっかりと用意されています。丹後の製作家具ショップARIAさんによるオリジナルチェアもあり、細かなところまでこだわりがすごいですね。

すべての人にととのいを届けるサウナ

ここまで4種類のサウナを紹介してきましたがもう1種類、日本国内でもあまり例がないサウナがありました。すべての人にととのう体験を、というコンセプトを掲げた「JOKAINEN(よかいねん)」。別名、バリアフリーサウナです。

JOKAINENは車椅子のままでもサウナ室に入れるように設計したサウナです。医者がつくる温浴施設である以上、お身体に障害をお持ちの方でもサウナを体験出来るようにしたいという想いがあり、バリアフリーサウナを制作しました。

JOKAINENの内装は可動式のベンチや手すりなどにバリアフリーサウナの国際基準が反映されています。しかし気になるのは、国内でも目にしたことがないサウナストーブ。これは一体?

エロマー会長から、車椅子の方に推奨できるストーブとして「Saunum」というエストニアのストーブを推薦いただきました。上に溜まった温かい空気を下へ吸引する機能があり、地面に近いところに居ざるを得ない車椅子ユーザーに適しています。

JOKAINEN制作にあたっての背景は、クラウドファンディングのページにも詳しく書いていますので目を通して頂けると嬉しいです。プロジェクトを世の中に公開して驚いたのは、全国各地の車椅子ユーザーの方から反響のお声を頂けたことでした。我々の取り組みは小さな一歩ではありますが、サウナを通じて社会をより良くしていきたいですね!

クラウドファンディングは12月18日まで行われているそうです。バリアフリーサウナのコンセプトに共感された方はぜひご支援を検討されてみてはいかがでしょうか。

サウナドリンクも抜かりはありません

ここまで情報量が多すぎて、書いている筆者も頭の中が混乱しそうになりました。しかしお楽しみの体験はこれだけではありませんでした。ぬかとゆげはサウナドリンクにもこだわり抜いているのです。

酵素風呂後に飲む「沁みる」という絶品ドリンクに、ぬかとゆげのおすすめドリンク「自家製クラフトコーラ」「特製ノンアルコールワイン」や京丹後産のクラフトビール「ASOBI」や「KOHACHI」など大充実。サウナ後の体験も抜かりがありません。

最後にまとめ

今年もあと1ヶ月ですが、2022年の最後に、とんでもない温浴施設と出逢ってしまいました。昨今のサウナブームにより、サウナや水風呂が複数ある施設は特段珍しくなくなりましたが、ぬかとゆげが凄かったのは温活への尋常ならぬ想いでした。

医者が主体となり、米ぬか酵素風呂やバリアフリーサウナまで、社会的意義まで踏み込んだ温浴施設を作っておられたのは脱帽です。そして、同じエリアにある「-蒸- 五箇サウナ」も大変素晴らしいサウナでしたので、セットで巡られることをおすすめいたします。

サウナ好きなら世界初の温浴施設を体験しに、一度は京丹後まで行かれてみてはいかがでしょうか!

ぬかとゆげの施設詳細

HP:https://nuka-yuge.com/
住所:〒627-0012 京都府京丹後市峰山町杉谷941-1
料金:完全予約制。各サウナ室の貸切料金は要問合せ
予約:https://nuka-yuge.com/

取材・執筆:タカヤマ(@takayamasauna

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