東京都

東京国立近代美術館

日本で最初の国立美術館。13,000点を超えるアート作品を所蔵しており、その規模は国内最大級。緑ゆたかな環境の中に立地し、四季折々の風景が楽しめます。

気軽に行けて超充実!皇居の向かいにある東京国立近代美術館に行ってみた

今回は東京都千代田区の北の丸公園内にある「東京国立近代美術館」を取材しました!


東京国立近代美術館(通称:MOMAT)は皇居の向かいにある美術館。明治から現代まで約100年の間に制作されたアート作品を収集、展示しています。

東京メトロ東西線竹橋駅 1b出口から徒歩3分と、都会の真ん中でアクセスが良いのも特徴です。

所蔵作品展「MOMATコレクション」は定期的に作品入れ替えがあり、いつ来ても新鮮な美術館です。

建物も広く、気に入った作品から誰もが知る有名作家の作品まで、じっくり鑑賞できるのも魅力。

所蔵作品展の中の小企画も凝っていて、かなりレアな作品が集まっていたり……

ユニークなオリジナルグッズも販売していて、「アート」という言葉のイメージよりもかなり親しみやすい美術館なんです!

今回は、そんな東京国立近代美術館の魅力をスタッフの皆さんに教えてもらいました。

ちなみにMOMATは「The National Museum of Modern Art, Tokyo」の略です。

※展示室の写真は2021年2月の様子で、現在展示の入れ替え中です。3月23日からガラリと雰囲気が変わる様を見比べてみるのも面白いかもしれません!

東京国立近代美術館とは?
所蔵作品展はいつも同じじゃない!

さっそくですが、MOMATの見所や特徴を教えてください!

当館は日本で最初の国立美術館で、1階は企画展ギャラリー、2、3、4階は当館の所蔵品ギャラリーとなっています。所蔵作品展は内容を2〜3ヶ月ごとに入れ替えているのも特徴です!

ずっと同じ内容じゃなく、所蔵作品展が変化するんですか?

所蔵作品展入り口。

▲取材時2021年2月23日までは「『今』とかけて何と解く?」をテーマに、アート作品から コロナ禍の中で創造的に過ごすためのヒントを探す展示でした。

13,000点を超えるコレクションから、季節や世情に合わせたテーマで研究員が200点ほど作品をセレクトし、入れ替えをしています。

作品が毎回入れ替わっているとなると、1回見逃したらしばらく出会えない作品も多そうですね!! 定期的に足を運びたくなります。

はい、MOMATはいつ来ても楽しい美術館を目指しているんです。

とは言え、例えばアンリ・ルソーの『第22回アンデパンダン展に参加するよう芸術家達を導く自由の女神』など、当館を代表するような有名作品は「ハイライト」というコーナーに集まっているのでご安心下さい。

ハイライトの一角。

ルソーの『第22回アンデパンダン展に参加するよう芸術家達を導く自由の女神』は向かって右。左は高村光太郎の『手』。

教科書で見たことある作品! 知らない作品に出会うのも、知っている作品の実物を見るのもどちらも楽しいですね。

全体としては、時代ごとに展示エリアがまとまっていて、約100年間の文化の流れや歴史的背景が、過去から現在という順でわかるようになっているのも特徴です。

「#MuseumBouquet」をテーマにしたエリアにはセザンヌの絵画が。

アメリカの連邦美術計画に関係する作品を集めた展示室で存在感を放つ、川村吾蔵の『牛(ホルスタイン種)牡・牝』。

部屋ごとに作品の雰囲気がガラッと変わるのでテンポ良く鑑賞できます!

彫刻や日本画など、ジャンルを問わず様々な作品を展示していますが、時代背景が共通していたり、影響を受け合っている作品は近くに展示しているので、見比べる楽しさもあると思います。

作家一人ひとりの、戦時中とそれ以前の作品を見比べることができる展示室。

また、定期的に展示を入れ替えても戦争に関する作品は必ず1室を設けて何点かは展示しています。近代の美術史を知る上で戦争は避けて通ることのできないテーマです。

▲壁一面が作品になっている、ソル・ルウィットの『ウォール・ドローイング#769 黒い壁を覆う幅36インチ(90cm)のグリッド。角や辺から発する円弧、直線、非直線から二種類を体系的に使った組み合わせ全部。』(1994年、水溶性パステル、水性塗料、鉛筆・壁 Courtesy the Estate of Sol LeWitt, Massimo De Carlo and TARO NASU Copyright the Estate of Sol LeWitt.)。指示書により、ドラフトマンという製図技師が制作するコンセプチュアル・アート。

他にも、ミニマル・アート、コンセプチュアル・アートの代表的作家ソル・ルウィットの大作が吹き抜け空間「建物を思う部屋」に2020年12月に完成し、新たな見所になっています。この部屋もそうですが写真撮影OKの作品も多いので、気軽に来館して、感動を持ち帰って頂けたら嬉しいです!

所蔵品ガイドで楽しく学べる

所蔵品ガイドの様子(提供写真)

通常時のMOMATでは、誰でも気軽に楽しくアートを学べる「所蔵品ガイド」というイベントを開催しており、ご好評頂いています。来場者が一方的に話を聴くのではなく、ガイドスタッフと来場者が対話形式で一緒に作品を鑑賞するのが特徴です。

対話形式というのは、例えばどんな?

例えばこちらの少し変わった絵画、古賀春江の『海』ですが、何か気になる部分とかはありますか?

なんだか写真を切り貼りしたみたいな盛り沢山な絵ですね。

そうなんです。こちらの絵はいろいろな雑誌や絵はがきの写真などをもとに、ひとつの画面をレイアウトして描かれていて、日本のシュルレアリスム絵画やモダニズム絵画を代表するような作品です。実はこのイメージの中に似たもの同士の組み合わせがあるんですが、どれか分かりますか?

う〜ん、魚と潜水艦とか、人と灯台とかはなんとなく似ていますね! なんだか間違い探しをしているみたい。

そうですね! この作品の中には形が似ているペアや、生き物と機械、軟らかいものと硬いもの、空と海や丸と四角といった対照的な組み合わせがいくつも存在しています。手前のモダンガールは左側の工場とも似ていると言われている一方で、意味的には娯楽と労働といった対比関係にあるのも面白いですよね。

組み合わせの正解はひとつじゃないんですね! そう言われると、飛行船と潜水艦とか、エビと鳥とかも似てる気がしてきて楽しいです!

作品の楽しみ方が少しでも伝わったなら嬉しいです!

時間の都合で導入部分だけですが、このように一緒に作品を見て感想を喋りながら、注目すると面白いポイントや、アート作品の見方、歴史的背景などを深掘りしていくのが所蔵品ガイドです。

これなら気軽に参加できますし、子供の教育にすごく良さそう!

実際かなりの人気があるんです! 残念ながら現在はコロナウィルスの感染拡大を防ぐため、当面の間所蔵品ガイドは中止になっていますが、代わりにWEB上で「オンライン対話鑑賞」を行なっています。

「オンライン対話鑑賞」は現在不定期(週1〜2回)、ウェブ会議ツール「zoom」を使用して開催されています。定員は6名程で毎回すぐに埋まってしまうほどの大人気企画です!
詳細はこちら。

国立の美術館として、アートに詳しい方もそうでない人も、全ての人に開かれた美術館であるよう努力しています。ぜひお気軽にご参加下さい!

疲れたらここで休憩!眺めのよい部屋

なんだか、気になる名前の部屋がありますね。

「眺めのよい部屋」は、要するに休憩室なんですが本当に眺めが良いのでオススメです。どうぞご覧下さい!

豪雨と霧でだいぶ持っていかれてますけど……皇居をこの高さ、この角度から一望できるのはすごいですね!! 良い眺め!!!

ありがとうございます笑 これが、晴れている日の写真です。

(提供写真)

あ、ほんとに眺めが良い!!

この部屋からは皇居周辺が見渡せて、天気の良い日には東京タワーも見ることができます。Wi-Fiも完備しており、時々パソコンを持ち込んで作業している方もいらっしゃる程の自慢の休憩室です!

休憩……? でも、スランプになったらMOMATでアート作品に触れてこの部屋で作業すればリフレッシュできそうですね!

眺めのよい部屋の他にも、日本画の展示室内に休憩できる椅子と畳が設置してありこちらもオススメです! 館内は広いですが、無理せずご自身のペースで鑑賞して頂けると思います。

ここだけしか買えないグッズも!ミュージアムショップ

1階ミュージアムショップには、展覧会チケットなしでも入場可能です。

お土産として定番の作品ポストカード

沢山の美術関連書

企画展の図録。写真は取材時に開催されていた「眠り展」(2020.11.25 – 2021.2.23)のもの。

魅力的なお土産が沢山あって、見ているだけで飽きないですね。中でもオススメのグッズはありますか?

当館所蔵作品をモチーフにしたオリジナルグッズはいかがでしょう。デザインにも凝っていて、何よりここでしか手に入らないものになっています!

こちらは鏑木清方の『明治風俗十二ヶ月』という作品に描かれている着物の柄をマスクにしたものです!

個性的だけど、色味が落ち着いていて日常使いできそうですね!

同じ柄の手ぬぐいもありますよ〜。

ほかにもマスキングテープやマグカップなど実用的で可愛らしいアイテムが沢山揃っているので、オリジナルグッズだけを目的に来て頂いても楽しいと思います!

ん〜〜〜全部欲しい!

アート作品で春を感じよう!「美術館の春まつり」

「美術館の春まつり」2021年ビジュアルイメージ

MOMATでは、毎年春に季節にちなんだ作品を展示する「美術館の春まつり」を催しています。所蔵作品の中から、桜など花を描いた絵画や新版画などを中心に展示する人気の企画です!

川合玉堂『行く春』 1916年 重要文化財

前庭の様子(2018年撮影)

主な展示作品は重要文化財の川合玉堂『行く春』や、安田鞘彦『木花之佐久夜毘売(このはなのさくやひめ)』、船田玉樹『花の夕』などを予定しています。こんなご時世なので絵だけでもお花見していただければ嬉しいです。

詳しくはこちら。

レストラン「ラー・エ・ミクニ」(提供写真)

お花見時期だけ特別に、美術館の前庭にはお休み処が設置されます。
2階のレストラン「ラー・エ・ミクニ」では、テラス席で桜を見ながらお食事可能です。

レストラン「ラー・エ・ミクニ」ホームページ:http://lart-et-mikuni.jp/

 

美術館は敷居が高いものと思われがちですが、当館としてはみなさまにもっと気軽に美術を楽しんでいただけたらと思っています。展示品を全部観なくてもいいと思うんです。ふらっと来て、何か気になる作品や企画だけ覗くのも全然アリなので、是非お立ち寄り下さい!

入館料が大人500円、大学生250円、18歳未満・65歳以上は無料というお得さでこのコンテンツ量ということに驚きでした! コーヒー1杯飲む代わりと思って遊びに来てみたら、想像以上に得るものがあるかもしれませんね。今日はありがとうございました!

東京国立近代美術館の料金・アクセスなど

ホームページ:https://www.momat.go.jp

【開館時間】

10時〜17時(金曜・土曜は20時まで)
入館は閉館30分前まで

【休館日】

月曜日(祝休日は開館、翌平日休館)、展示替期間、年末年始

【観覧料】

所蔵作品展:一般500円/大学生250円
高校生以下および18歳未満・65歳以上・障害者手帳をお持ちの方は無料

※企画展の観覧料はその都度、別に定めます。

【アクセス】

〒102-8322 東京都千代田区北の丸公園3−1

東京メトロ東西線「竹橋駅」b1出口より徒歩3分

 

取材・執筆:藻澤桜子