東京都

UPI表参道

「UPI表参道」は、2021年1月にオープンした体験型アウドドアストアです。北欧を中心にこだわりのプロダクトを輸入販売しています。店内には小川が流れ、木や草が生えていてまるで自然の中にいるような空間が広がっているなか、薪割りや火おこし体験ができるお店です。

体験型アウトドアストア「UPI表参道」に行ってみた!

これからキャンパーになりたいキャンプ初心者から、キャンプ歴が長いベテランさんまで楽しめる「UPI表参道」。店長の溜池さんにキャンプの魅力やおすすめの商品を教えていただき、実際に体験させていただきました!


表参道駅A2出口から徒歩2分ほどで着く「UPI表参道」。

アクセスが良く立地も素晴らしい場所にあります。エントランスにはのびのびと植物が育っています。

一歩中に踏み入ると店の中には癒やしのグリーンが……!

水の流れる音まで聞こえてきます。

蛍の育成中……?

なんと店内に本物の小川が流れて、木が生えています。

そして左側にはアウトドア用品がズラリと並んでいます。

な、なんだこの空間は!?

ということで、今回はUPI表参道店の店長である溜池さんにお話を伺いました。


今日はよろしくお願いいたします!店内に入ってびっくり。表参道とは思えない空間ですね。


よろしくお願いします。驚かれますよね。ここはほかとはちょっと違う、「体験型のアウトドアショップ」なんです。


アウトドア商品が並んでいるだけのお店は多々ありますけど、こういう景観の中で商品を選べるのって新鮮ですね。


ここの空間は本物の木や草があり、そして小川が流れています。実際にメダカやハヤ、カニやエビといった生物も住んでリアルな生態系を作っているんです。都会の真ん中にありながら、アウトドアを体験できるお店ですね。


店の奥に行くとテントやハンモックがある! キャンプしたい欲が湧いてきます。


ここでは購入したいと思った道具を実際に使って体験できるという強みがあるので、お客さんからも好評いただいています。


たしかに触ることはできても実際に使って試せるお店は少ないですもんね。


フィールドに行っても実際使えるようにならないと買った意味がないので、具体的な使用方法やコツ、気をつけるポイント等も含め説明しています。


なるほど。キャンプ初心者には助かります。来るお客さんはどういった方が多いですか?


UPIが扱っている商品は量販店だと扱っていないものばかりなので、もともとはキャンプ好きなコアなファン層が多かったですね。でも最近はキャンプブームもあって、「これからはじめたい」っていう方もたくさんいらっしゃいます。表参道という場所柄、女性も多いですね。20~30代の若いお客さんも多いです。


エントランスも魅力的でオープンな空間なので、ふらっと入りやすいですよね。


お話していると、「実はキャンプ興味あって、はじめてみたかったんです」という層が多いんですよね。


キャンプの認知度はとても上がりましたよね。もはやブームというよりは定着した印象があります。


そうですね。野営やソロキャンプ、ゆるキャン、そして芸人さんもキャンプのことを発信することで、今までアウトドアに触れてなかった人たちも興味を持たれるようになりました。いろんなアウトドア情報がメディアで発信されることが多くなったので、「こうやってやるんだ」と知りやすくなりましたよね。

アウトドアのプロが作り上げた自然を体感


自然エリアは山口さんという有名な庭師さんの手により作り上げられました。
このお店のデザインやコンセプトは、携わったそれぞれのプロたちが、まずは実際にキャンプを行い、決めたんですよね。


なんか本当に、森に来たような気持ちになります。人の手が入って人工的に作ったという印象がないです。


小川の水は循環していますし、緑だけでなくさまざまな生物が実際に住んでいるというのも大きいかと。今はホタルの生育中で、今年の6月くらいには蛹になって羽化したのが3匹いまして、光っていましたよ。表参道生まれのホタルです。(笑)


すごい!表参道産って、超セレブホタルじゃないですか!笑 まさに自然の小川って感じですね。


ここに植えてある木も園芸品種ではなくて、実際に野山に生えている品種を持ってきています。リアルな自然を作るといっても、「人工的に作ったように見せない」工夫があります。


木は室内ですけど、光合成はできるんですか?


照明にもこだわっていまして、遠藤照明さんが作る調光を調整できるライトを当てています。太陽光に似た光を出せるので、最低限の光合成はできるようになっています。また、もともと大きな木の下で日陰になっても育つ木を持ってきているんです。なので山に詳しい方がこの空間を見ても全く違和感がないと言われます。


なるほど。すべて最適化されているんですね。


枝の向きひとつにしても微調整をするくらい、計算された空間づくりになっています。それ故に人工物に感じない自然ができあがっているんです。

溜池店長がすすめる商品は「まずはこの2つ!」


アウトドア商品のラインナップもきれいにレイアウトされてみとれてしまいますね。溜池店長がキャンプ初心者にむけておすすめしている商品ってありますか?


そうですね〜。まずは「ファイヤースターターとナイフ」をおすすめしています。


ファイヤースターターは火をつけるのに便利です。価格も1500円ほどで買えますし、ここで着火の体験もできます。ナイフは「モーラナイフ」。世界で一番売れているナイフで、歴史も古くてクオリティも高い。これで薪を割ったり、食材を切ったりといろいろできるので、汎用性の高いナイフですね。

実践で使える!溜池店長直伝のキャンプスキルを体験!


薪割りというと斧をイメージしている人多いんですけど、こういうナイフでも実はできるんですよ。実際にキャンプや焚き火で使うシーンを想定して一回体験してみましょうか。

ナイフを使ったバトニングを体験!


まずはナイフを使って薪を割ってみましょう。ナイフを抜くんじゃなくて、ケースの方から静かに抜くとか、足の間でやると動脈静脈があるので危険回避するために場所をずらすとか、そういった基礎的なことからレクチャーしていきますよ。まずは安全に使ってもらうのが大切なので、しっかりと説明をします。


初心者にとってはとても嬉しいです!(うわーナイフから抜いているし足の間でやろうとしていた……。)


バトニングは大きな木でも端からやっていけばナイフでもいけます。力任せにやると刃こぼれしますが、木の重みを利用して打つのがポイントです。


なるほど、ついつい力でいこうとしちゃいますが、切れ味がいいのでそこまで力は必要ないんですね。薪割りってすごくパワーがいる作業なのかと思っていました。


そうですよね。でも実際に体験していただけると分かると思います。ナイフにできるだけ負担をかけないようにやるコツがあるんです。少しずつミシミシってなるような。「これぐらいの強さでいけるな」、「ここからは慎重にやろう」とか、肌感覚で分かるようになるんです。見るよりも聞くよりも、まず「触る」のが大事なんです。


(説得力がすごいな……。)

フェザースティック作りを体験!


次はフェザースティックを作っていきましょう。フェザースティックは着火しやすいように、こういうもさもさっとした形に仕上げていきます。


これはむずかしそうですね。不器用だからなぁ〜。


一回やってみましょう。もしかしたらハマるタイプの人かもしれませんよ。

シュッシュ……。


お、おぉ!!


どうですか?刃の入れる角度によって削りやすさが違いますよね。


……。


これもコツを掴むと、力は必要ないと分かると思います。そうそう、いい感じですね。


……。


そう、コツが掴めてきましたね……。どうです?楽しいですか?


……。
あ、はい!! これすごい楽しいです。集中しすぎて無心になってしまいました。なんか心が落ち着くというか、余計なことを考えず無心で削っていました。


あ、良かった(笑)。とても大事なことです。落ち着いていないとナイフは扱えないので。実際にフィールドでフェザースティックを作っている時もそういう瞬間があります。その時ふと我に返って、自然の中に身を置く意味が分かってきたりするんですよね。


すごい。達観していますね。僕もその境地にいきたいです。


お客さんには「便利なグッズありますか?」ってよく聞かれるんですけど、僕はあえてこういうのを勧めたいと思っています。

ファイヤースターターで着火体験


フェザースティックができたら、麻ひもをほぐしたのをそばに置いたりして、着火していきます。


でた、ファイヤースターターだ!こするだけで簡単に火が出ますけど、麻ひもを狙って火を落としていくのが難しいですね。


そう、これもコツがあって分厚く削るイメージでいきましょう。後は刃を当てる角度です。


おぉ、着いた!!これ、めっちゃ便利ですね!実際に体験してみるとすごさに気づきます。


やってみたいけど買えないとできないっていうのが購入するまでのハードルだと思うんで。ライターはガスがなくなると使えませんが、ファイヤースターターは災害時にも活躍するので、今の時代必要なアイテムかもしれませんね。

ハンモック体験もできる!


せっかくなのでハンモックも体験してみましょうか。


こういうハンモックって、吊るすのが大変そうですよね。落ちたら怖いし…。


最初は肘を当てて落ちないか確認してください。安全を確認したら、ブランコみたいにお尻から座って、横に転がるイメージですね。そのまま水平にではなく、ハンモックに対して身体をななめにするとお尻が落ちないです。バランスがとれた収まりのいいスポットを見つけてみてください。


なるほど。これはたしかに寝心地最高ですね。(ハンモックの下に流れる小川の音が癒やされる)溜池店長、お疲れさまでした。スヤァ……。



あと、ハンモックのロープワークって難しいって感じる人も多いんですけど、実は簡単なんです。3分あればできますよ。


あれ、本当だ。巻きつけて引っ掛けるだけなんですね。


そう、ちょっとしたコツとやり方を知っていれば、ハンモック設営も怖くないですよ!!

溜池店長の「推し」商品はレンメル!


溜池店長がいま一番おすすめしたい商品ってありますか?

うーん。初心者にはやっぱりファイヤースターターとナイフがおすすめです。あとは、これからの時期はどうだろう……。ハンモックも使っているし、ここらへんのギアもおすすめだし。うーん。


(めっちゃ悩んでるな……。)


全部が良いからなぁ〜笑 あ、たとえばコーヒーとかどうでしょう? レンメルっていうブランドなんですが。


コーヒー、いいですね! これからの時期コーヒーで温まりたいですし。秋冬キャンプの醍醐味ですね。


レンメルは北極圏の伝統的なコーヒーのスタイルで、約300年前から飲まれている飲み方です。ドリップとかよりも前の古いやり方ですね。ケトルにお湯を沸かしたら、あらびきの豆をザーッと入れちゃうんです。そして焚き火で煮出すので、今で言う「お茶」みたいなイメージですね。煮出したら、フィルターを使わずに上澄みを注ぎます。


へぇ。面白い。このやり方は知りませんでした。


一度やるとハマりますよ。焚き火の火って様子を見ながら薪を入れて育てるんですけど、コーヒーも一緒でゆっくりじっくり煮出しながら育てていくっていう楽しさがありますね。あらびきの豆はフィルター通さないので若干入ってきますけど、そのスタイルを楽しむって感じです。豆の量とか水の量も、レシピがないんです。煮出す時間も、お湯に入れるタイミングも人によって違います。作法もそれぞれです。

カップはククサで飲む!


「ククサ」は白樺の木をくり抜いて作っているコップです。スウェーデンとフィンランドにまたがる地方にいる民族がお祝い事でコップを作ってプレゼントする文化があるんですね。「幸せを呼ぶカップ」と言われていて、贈答品としてもよく買われています。


一個一個、見た目が違うしぬくもりを感じるデザインですね。


木目は全て違うので、どれも世界に一個だけのククサなんです。光にかざすと木目の光が全然違うんです。手触りもすごくいいですよ。僕もメンテナンスしながら10年以上使っていますね。一生モノです。


いやー良いエピソードですね、買いたくなってしまいます。


外で飲むのはもちろんなんですけど、家の中で飲むコーヒーもククサでぜひ。温かみのある手触りと楽しんでいただきたいです。すこーし塩を入れるとコクが出ておいしいんです。また、ククサも塩で茹でてつくるんで、最初はククサで飲むとほんのり塩気を感じます。コーヒーはもちろんですが、実はウィスキーにも合うんです。


うわー、めっちゃかっこいい!


レンメルはストーリーや使い方を話すとファンになってくれる人が多いです。


もれなくぼくも好きになっちゃいました。


ケトルやククサのほかにもシャツといったアパレルも出しているので、ファンが増えていますよ。

クラフトビールを飲みながら焚き火体験ができる……!?


今日はせっかくなので火をおこして焚き火体験もしてみましょうか。あとうちはクラフトビールも生で出しているので、飲みながら楽しんでってください。


えぇ!? いいんですか?いただきます!!


焚き火体験は毎回できるわけではないんですが、建物の都合もあって月曜日の限られた時間だけできるんです。

この日のクラフトビールは箕面ビールの桃ヴァイツェン(白ビール)と横須賀ビールのフォレストジンジャーの2種類。どちらも気になりますが、今回は桃ヴァイツェンをいただきました。フルーティなアロマがあって飲みやすい。店内を見ながらゆっくりいただくお客さんも多いのだとか。

小川が流れるそばで火おこし。ファイヤースターターの使い方も少しずつこなれてきた気がします。

この絵面、本当に表参道ですか!? ってツッコミがきそうですね。

つきました! 温かいです。やっぱり火を見ていると落ち着きます。さきほど作った薪やフェザースティックを入れて火を育てる体験ができました。

クラフト生ビールを嗜みつつ、焚き火をみながらアウトドアの知見が深い店長のお話が聞けるこの風景、表参道っぽくなさすぎませんか?笑

月に一度アウトドアワークショップを開催中!


焚き火は毎回はできませんが、ビールを飲みながら商品を見ることもできます。声をかけていただければなんでも丁寧に説明しますのでキャンプをこれからはじめてみたい方も、こだわりのある良質な商品を買いたい方もぜひ一度足を運んでいただきたいです。


また絶対来たいと思います。というかファイヤースターターとナイフ買いにいきます!


ありがとうございます。通常営業のほか、月に一度ワークショップもやっています。ナイフを研ぐメンテナンスの方法だったり、生木からスプーンを削って作るワークショップだったり、アウトドアをはじめてみたい人にはぴったりだと思います。毎月やっているので、SNS等でぜひチェックしてくださいね。


まさか表参道でこんなにいろいろ体験できるとは思いませんでした。ありがとうございました!

UPI表参道 施設詳細・アクセス

公式サイト(コーポレートサイト):https://upioutdoor.com/
Instagram(店舗アカウント):https://www.instagram.com/upiomotesando/

アクセス:表参道駅 A2出口より徒歩3分


住所:東京都渋谷区神宮前4-9-3 1F
電話:03-6804-1817

営業時間:11:00〜19:00
定休日:年中無休

取材・執筆:吉川大智