東京都

Venus of TOKYO

東京・お台場の「Venus of TOKYO」は日本初となる常設イマーシブシアター。物語の舞台は、特別に招待された者しか立ち入ることができない秘密クラブ「VOID」。演者だけでなく観客も会場を動き回り参加して、自ら物語の一部になれる、いま注目の体験型エンターテインメントです。

お台場で話題のイマーシブシアター「Venus of TOKYO」を体験してきた

数々の受賞歴を誇るダンスカンパニー「DAZZLE」が主宰することで話題の「Venus of TOKYO」を体験してきました!ドレスコードがあるって本当?初心者でも大丈夫?演出担当の長谷川達也さんに気になる疑問をインタビューしました。


東京・お台場の「Venus of TOKYO」は日本初となる常設イマーシブシアター。

イマーシブシアターとは、演者だけでなく観客も会場を動き回り参加するスタイルの演劇。観客が自ら物語の一部になれる、いま注目の体験型エンターテインメントです。

さらに、おもしろいところは参加する観客の行動によって登場人物たちの運命が変わる、マルチエンディングストーリーである点。

「Venus of TOKYO」ストーリー

「Venus of TOKYO」は、特別に招待された者しか立ち入ることができない秘密クラブ「VOID」を舞台にした物語。「VOID」で開催されるオークションに、「ミロのヴィーナスの失われた左手」が出品されるという噂から話が展開していきます。登場人物10人の思惑と動きが複雑に交差し、さらに参加する観客の行動によって登場人物たちの運命が変わる、マルチエンディングストーリーです。

会場内は撮影できる場所が限られている

数々の受賞歴を誇るダンスカンパニー「DAZZLE」が主宰することでも、注目されています。今回は演出を担当した長谷川達也さんにお話をお伺いしました。

ダンスカンパニーDAZZLE主宰であり、演出を担当した長谷川達也さん

イマーシブシアターとは? 初心者でも楽しめる?

イマーシブシアターとは

2000年代にロンドンから始まった“体験型演劇作品“の総称。イマーシブ(IMMERSIVE)とは「没入」を意味します。これまでの「観客が客席に座って、舞台上の演者を鑑賞する」という形から 脱却し、新たな作品と観客の関係性を作り出す公演です。

特徴としては、
・決まった客席・ステージはなく、空間全体が舞台
・観客も物語の登場人物。
・観客の意思で動き回れる

また、観客の行動が物語の展開を左右することもあります。


今日はよろしくお願いします。先日公演を拝見してきましたが、なんというか……さまざまな演出に圧倒されました! イマーシブシアターは従来の演劇と、どのように違うのか教えていただけますか?


お楽しみいただけたようで、うれしいです。

一般的な演劇であれば端役は舞台からはけてしまうと、その人生を追いかけることはできないですよね。ですがイマーシブシアターの場合は、どんな端役も終演まで常に自分の目的を持って行動し、空間の中でずっと存在し続けます。

そして、空間内で同時多発的に事件が起こるので、観客のみなさんはその事件の目撃者となります。観客も自由に行動できるので、どの場面を目撃するかによって得られる情報が違ってくるのが、おもしろさの一つです。


なるほど。観客は行動によっては観られないシーンもあるということですね。
「Venus of TOKYO」は演出上、私語NGなので自分の判断で動かなければなりませんが、それがまるでゲームの中にいるような感覚で新鮮でした。


イマーシブシアターの醍醐味は、観る人によって得られる情報が違うこと。

それにより、観客それぞれ物語の受け取り方が違うところがおもしろいんです。ある人にとってはヒューマンドラマに見えるし、別の人にはサスペンスも見える。今回の作品はSFにも見えるという作りです。このストーリーは、観る人によって作品のニュアンスがまったく変わってくるところも魅力です。

みなさんどのように感じて、どんな情報を得たのか。終了後の情報交換なども楽しんでいただきたいですね。

日本人むけにアレンジされていて、物語に入りやすい


私はダンスや演劇に詳しくないのですが、それでも楽しめました。作品の世界観は壊さないように配慮しつつ、初心者も楽しめるような作りと感じましたが、どういった点を工夫されているのでしょう?

日本でイマーシブシアターを上演するには、日本人が受け入れやすいアレンジが必要だと考えています。今回の「Venus of TOKYO」では序盤で登場人物やストーリーについて少しガイドを入れたうえで、後半は自由度高く動いてもらうスタイルにしました。

海外で体験するイマーシブシアターは、とにかく自由度が高いことに驚かされます。僕はそれなりに自由度の高さにも対応できるつもりだったのですが、それでも初めはやや戸惑いました。あまりにも自由度が高いと、慣れてない人は逆に動きづらくなるように感じます。


やはりアレンジされているわけですね。導入部分だけでなく、自由行動中もさりげなく演者さんやスタッフの方がエスコートしてくれました。こうした気遣いは初心者にとって、大変ありがたかったです。

物語へ入りやすいが世界観は徹底している。

「Venus of TOKYO」は美術面の演出も素晴らしく、独特の世界観があります。会場のセッティングだけでなく、ドレスコードが設けられていたことに驚きました!
そうなんです。やはりイマーシブ(没入)というくらいなので、しっかりと世界を作り込まなければいけません。そこでまずは、ストーリーの一部である観客のみなさんも世界観の妨げにならないよう、黒い服を着て来場くださるようお願いしました。また、原則私語は禁止としていますので、公演に集中していただくことができます。

特にいまはコロナ禍ですし、声を出さない演出と、時代のニーズがマッチしていますね。演者のみなさんもマスクをされていますが、それが逆にミステリアスさすら感じます。

マルチエンディングって本当? リピーターでも楽しめる要素が盛りだくさん


ここまで配役もストーリーも複雑だと、脚本づくりが大変そうです。

そうですね。10人の登場人物が最初から最後まで、それぞれの目的で動くから10人分の脚本があるわけです。加えて「誰が」「どういう思惑を持って」「何をしようとしてるのか」という要素も複雑に絡まるのがおもしろい要素です。演者だけでなくスタッフの動きも加わるので、非常に複雑な脚本となります。

1年間常設で公演をするため、同じキャラクターでも、担当する演者が3〜4名います。その演者によって微妙にキャラクターへの解釈が異なっているのもおもしろいところです。演者さんなりに担当の役になりきって、さまざまなアレンジで演じられていますよ。


リピーターの方が観ても楽しめるわけですね!

ところで…… マルチエンディングというのは本当なのでしょうか?

はい。本当です! 観客の行動によってエンディングが変化します。開業して1ヶ月ほどですが早くも違うエンディングになる公演が出ています。

リピートしてくださる方も増え、見方がわかってくる方が増えてきました。慣れてきたからどんどん体験の仕方も大胆になってきて、我々の予測もできないような行動を試される方もいらっしゃるのがまたユニークな要素です。それを、物語を壊さないように対応し進めていくところがまた難しくもあり、おもいしろいなと感じています。


観客とともに成長する舞台なんて、まるで生き物のようです!

一般チケットとプレミアムチケットとの絶妙なバランス


私はプレミアムチケットで拝見したのですが、特別な体験ができますね! 具体的にお伝えできないのがもどかしいですが、作品の一部に自分が入っているという気がして、貴重な体験でした。

もちろん一般チケットの観客も物語に没入できると思いますが、物語を知れば知るほど、プレミアムを体験したくなる。この差別化というか、バランス感が絶妙だと思いました。

そう言っていただけると、考えたかいがあります。プレミアムチケットのお客様は、物語により深く入ってもらえるよう工夫しています。プレミアムチケットでないと体験できないことや見られない景色があるので、ぜひプレミアムも体験していただきたいですね!

新展開、オンラインにも期待!

7月12日よりオンライン公演もスタートしますが、リアル公演との違いはあるのでしょうか?

いくつかあります。まずはストーリーの見せ方、同じ「VOID」の出来事ですが、別の切り口でストーリーが進んでいきます。視聴者のみなさんが会場内にいる人物にリアルタイムで指示を与えることができるのも特徴です(※)。

実はオンライン版もみないと、ストーリーが補完されないようになっているので、ヴィーナスフォートまで足を運べない方はもちろん、既に公演を体験した方でもお楽しみいただけます。

※Twitterアカウント(@messagefromVOID)にて、会場内から指示を仰ぐツイートが発信されますので、投票機能を使ってお答えください。

※オンライン「Venus of TOKYO」の詳細は:こちら

体験にかわる刺激はない

最後に、いま興味をもたれている方へのメッセージがありましたらお願いします。


イマーシブシアターは家で映像を見るのとは違い、生で体験するからこその要素がたくさんあります。五感で「Venus of TOKYO」の世界を感じる、それってとても特別な体験になると思うんです。

ダンスの作品ですがダンスに興味がないと楽しめない、ということは一切ありません。確かにストーリーが複雑なので、一度では話のすべてを掴みきれないと思います。ですが、ストーリーを完全に理解しなくても、観ていただいたことで得られる物はたくさんあると思うので、気軽に世界に入ってみていただきたいですね。


これから、ますますリピーターの方も増えますので、よりお楽しみいただけるようにストーリーのパターンを増やしていきたいと考えています。今は日本語だけの公演ですが、外国の方に向けた公演も行いたいですし、可能なら期間限定みたいな要素も入れてみるのもおもしろそうじゃないですか?

観客と一緒に成長していく舞台「Venus of TOKYO」は、ダンスや演劇に興味がない方にも楽しんでいただけるしかけを散りばめています。ぜひ一度、体験してみてください。

Venus of TOKYO 開催概要

公式HP:https://venus-of-tokyo.com/

Venus of TOKYO 【REAL】

■開催地

東京都江東区青海1-3-15 お台場ヴィーナスフォート内「Venus of TOKYO」

アクセス

りんかい線「東京テレポート駅」より徒歩7分、
ゆりかもめ「青海駅」より徒歩 6分

交通アクセス詳細
https://www.venusfort.co.jp/access/

■上映スケジュール

スケジュールは公式HPにてご確認ください。
上演時間は約90分を予定しております。

■料金

DAZZLEオフィシャルサポーターズクラブ「ELZZAD」有料会員は上記料金より500円引き

平日 土日祝
一般 6,500円 7,500円
(※)プレミアム 9,500円 10,500円

チケットの購入はDAZZLEユーザーズサイト、もしくはローソンチケットにて購入可能。

(※)プレミアムチケットはDAZZLEユーザーズサイトでのみ購入可能です。
DAZZLEユーザーズサイト https://www.elzzad.jp/ にご登録(無料)頂ければ、DAZZLEオフィシャルサポーターズクラブ「ELZZAD」有料会員にならずに一般チケット、プレミアムチケット共に通常価格にてチケットをご購入可能です。

Venus of TOKYO 【ONLINE】

■料金

価格:2,000円(税込)
※DAZZLEオフィシャルサポーターズクラブ「ELZZAD」有料会員は500円引き

販売:DAZZLEユーザーズサイトのみ

■視聴環境・利用システム

映像配信プラットフォーム「VIMEO」を使用してのライブ配信となります。

※PC又は、iOS、Androidのアプリを使用しての視聴が可能です。チケットご購入後、チケットに表示されるURLで、開始時間よりご視聴いただけます。

※視聴者の皆様は、会場内にいる人物にTwitterを通してリアルタイムで指示を与えるAI(集合知)の役割を果たすことができます。

※Twitterアカウント(@messagefromVOID
会場内から指示を仰ぐツイートが発信されますので、投票機能を使ってお答えください。
(人物が次の行動に移る時点で、数が多い選択肢を選びます。投票がなされなかった場合、同数の場合は、人物が独断で行動します)

 

取材・執筆:りお

写真提供:Venus of TOKYO