2024年1月19日、鹿児島県庁『かごゆいテラス』にて、食産…
煙を上げる桜島!
迫力もありながら、どっしりと安心感のある眺めですね〜。
鹿児島のシンボルをこんなふうに一望できるのは、鹿児島県庁18階の展望フロア『かごゆいテラス』。誰でも仕事や休憩に利用できて、県内の起業家や学生も集まる共創空間です。
そんな『かごゆいテラス』で2024年3月2日、食産業ネットワーキングセミナー『FOOD TECH KAGOSHIMA』の最終回が実施されました。
『FOOD TECH KAGOSHIMA』は、鹿児島県の主要産業のひとつである食品関連産業の事業者が、最新のテクノロジーやビジネスモデルについての知識を学び、交流を行うイベントです。
これまでの約2か月間で3回、それぞれ「フードテックと企業間ネットワーク」「食の価値を向上させる技術」「現代の食産業の在り方」をテーマに開催。県内の食を支える人たちが学びながら、地元事業者間で横の繋がりを作ってきました。
参加者の熱量が高いのも特徴で、食品を作る人、加工する人、それをサポートする人が集まる貴重な交流の場です。(今回はなんと食品関連の研究をする学生さんも1名参加していました!)
最終回の今回も約30名の参加者と3組の講師が濃密な情報交換を行い、
講義後は『KAGOSHIMA FOOD TECH FES』と題した大交流会も開催されました。なんと、県庁の敷地内でバーベキューをしています。
しかも、テントサウナまで立てちゃいました! 県庁の敷地内に!
滅多にない体験に当然、大盛り上がりです。
熱意ある大人たちが集まって学び、楽しい時間も共にすることで、気軽ながらも強い企業間ネットワークを築くことのできる素敵なイベントでした。
そんな『FOOD TECH KAGOSHIMA』はいったん閉幕ですが、地域の産業を盛り上げたいと思っている人にとってヒントとなる事例かもしれないと感じました。ご参考までに当日の様子をレポートします。
目次
最終日の講義テーマは「次のアクションをおこす」こと
4日目であり最終回でもある今回のテーマは、次世代の食の在り方について頭で考え、舌で感じながら、これまで構築したネットワークも活用して次のアクションをおこすことです。
どんな内容だったのでしょうか。
1コマ目はネクストミーツの佐々木さん。新しい食品で、新しい市場を開拓することについて
まずは地球の未来を考えながらも美味しさにこだわった代替肉の研究開発を行うネクストミーツ株式会社から、取締役の佐々木さんが登壇。日本発のフードテックベンチャーとしてアメリカ上場もしているすごい会社です。
植物由来の代替肉というまだまだ新ジャンルの食品で、どのように世界に挑み市場を切り開いているのか、食品関連産業の未来の見据え方の一例を教えてくれました。
大豆などの植物由来タンパクだけでなく、発酵タンパクや藻類タンパクなど、代替タンパク市場全体のトレンドをどのように見ているかについてや、
時世に合わせてビジネスの形も変えていく考え方など、作る人、売る人両方の視点で興味深い話が展開されました。
良い、新しい商品をどう生みだし、どう消費者に届け、受け入れてもらうか。日頃同じ課題に向き合う参加者の皆さん、自分の事業とも比較しながら前のめりで聞いていました。
講義後の質疑応答も白熱。
特許に関する質問など、食品関連事業の当事者同士ならではの具体的なトークが弾みました。もしかしたら今回の参加者の中からも、いつかアメリカで上場する企業が現れるかも……?
全4回を通して言えますが、本当にゲストが豪華なイベントですよね。日本のフードテックを代表し、なおかつ最前線の話を実感持って教えてくれる講師がよく集まってくれたな……ありがたいことだな……と改めて感じました。
2コマ目は大隈加工技術研究センターの長友さん。鹿児島の食品生産技術支援について
鹿児島県大隅加工技術研究センターは、県産農産物の付加価値向上に向けた加工・流通技術の研究開発を行う県施設ですが、内にこもって研究をしているだけではありません。
実は、一般の食品関連事業者に施設を開放し、加工品開発のハードルを大きく下げる支援を行っているんです。
研究参事の長友さんから、具体的にどのようなことができるかの事例紹介がありました。
加工技術等の悩みについて常に無料相談できるだけでなく、有料で実際の食品加工設備を使って試作できるなど、食品関連事業者に手厚い支援を提供。
さすが「食」に強い鹿児島県です。
研究センターが一緒に開発を行った柑橘農園の事例も紹介。大里みかんのフリーズドライが今では人気商品となり、6次産業化に成功しています。
自社農産物の魅力を活かした加工品の開発が、誰にでも開かれた道であることを知ることができました。
我々ご当地サウナ委員会は門外漢なので食品加工技術の話は難しかったですが「なんかすごいことやってる!」「しかも誰でも挑戦できる!」ということに非常にワクワクしました。
3コマ目、最後の授業はTOKYO SAUNIST。企業間ネットワークが生んだ新事業について
最終講義は、お馴染みJAPAN SAUNA-BU ALLIANCE(サウナ部アライアンス)からJAL 岡本が再び参加。新規事業を一緒に作っているアクティア株式会社の北野さんと登壇しました。
企業間ネットワークと最新テクノロジーを活用して新規事業ブランド『TOKYO SAUNIST』を立ち上げることができた実例を共有しました。
ちなみに二人は『TOKYO SAUNIST』のユニフォームを着て東京から鹿児島までフライトしてきています。なんで?
TOKYO SAUNISTは、高精度センサー技術を活用しサウナ室内の人数をリアルタイムで可視化、温浴事業者やサウナ利用者向けに提供する、JALが作るクラウド型アプリケーションサービスです。
サウナー当事者として課題を発見し、
アイデアを固め、デザインし、
どのように試作品を作り、実地テストしたか。
どの段階も、JAPAN SAUNA-BU ALLIANCEなど横の繋がりがなければ実現できなかったこと、異業種同士で繋がるからこそ新しいビジネスが生まれたことを再確認しました。
企業間ネットワークの意義や楽しさを感じ、意欲がわいたという参加者の感想も聞けましたし、参加サウナーからは九州のサウナにも早く設置して欲しいという声もあがりました。
これにて『FOOD TECH KAGOSHIMA』全4回が無事終了。リピート率も高く、全日程参加された方もいる大好評のイベントでした。
そしてこの後は恒例、鹿児島県食品関連事業者ネットワーク『かごゆいサウナ部』交流会です。
最終回は特別版の大交流会。県庁舎から外に出て、駐車場付近の芝生広場の会場に向かいます。
かごゆいサウナ部大交流会『KAGOSHIMA FOOD TECH FES』
かごゆいサウナ部部長の商工労働水産部 新産業創出室の福坪さん。サウナ部パーカーを着て青空のもと乾杯の音頭をとっています。
そうです。冒頭でもお伝えした通り、ここは鹿児島県庁の敷地内。
難しい調整をなんとかして、地元食品関連事業者の絆を深めるバーベキューが開かれました。
テントサウナも設置し、本当に火も焚いています。鹿児島県庁の懐深い説、濃厚です。
バーベキューには ネクストミーツの代替肉をはじめ、イベント参加事業者が食材をたっぷり提供。
県庁内なのでさすがに飲酒は禁止ですが、お互いの生産品を食べながら、事業者同士の情報交換などをして盛り上がりました。
イベントに参加した村岡製茶のご夫婦からは「いつも茶畑にいるので、普段関わらない向上心ある人たちとの繋がりも大事だなと感じました」という感想。お茶もとても美味しかったです。
サウナも絶賛稼働しており、 皆さん水シャワーと寒い外気でしっかりととのっていました。県庁のふもとでサウナに入る背徳感がクセになるという人も。
サウナではイベント全日程参加の かごしまぐるり(鹿児島県産品のお取り寄せ通販・ギフトサイト)のお二人に遭遇。
サウナついでにお話を聞いたところ「技術が進歩していく中で一社だけでできることは限られてくるので、協業や連携の重要性を感じました。一次産業の多い鹿児島で難しい食のPR課題を解決しようとする熱量ある人が集まっていて、良い繋がりができました」という最高の感想が。
ちなみにこれをきっかけにJAPAN SAUNA-BU ALLIANCEにも加盟したそうです。
そしてあっという間に時間は過ぎ、解散のお時間。
最後に、かごゆいサウナ部長の福坪さんからコメントをもらいました。
様々な分野の事業者さんに参加していただいたことで、全4回のとても有意義な企業間交流の場を作ることができました。正直ここまで盛り上がるとは想定外で、予想以上に事業者の皆さんが横の繋がりを求めていらっしゃることを知ることができました。
こうして一緒に楽しむことができたのも嬉しく、セミナー後にこの繋がりが続くよう施策も打っていく予定です。メルマガも送ります。サウナに入るだけでなく、飲み会なども行ってふんわりと繋がっていきましょう。
いずれ『かごゆいサウナ部』のネットワークが、新しいビジネスや課題解決に繋がることを夢見て、鹿児島県は引き続き全力で応援していきます! 今回のセミナーに参加できなかった事業者の皆さんも、ご興味あればぜひご参加ください。連絡お待ちしております!
そんなサウナ部部長の努力もあり、今回初参加の人も加わってかごゆいサウナ部もパワーアップ。本気で何かを作っている人同士が、肩肘張らずに楽しく繋がれる場っていいなと、やっぱり鹿児島県がうらやましく感じました。
以上、食産業ネットワーキングセミナー『FOOD TECH KAGOSHIMA』最終日のレポートでした。
取材・執筆:勝山ケイ素