美しくも厳しい白銀世界を冒険。北海道知床ねむろのアドベンチャープラン冬編
好奇心の赴くままに、北海道の東の最果てを冒険。知床ねむろエリア冬の4泊5日のアドベンチャープランをご提案します。
抜けるような青空の下、視界いっぱいに広がる氷平線(ひょうへいせん)から失礼いたします。知床ねむろ観光連盟という組織で観光コーディネーターを、そして知床ねむろマガジン(https://magazine.ekari.jp/)という地域密着オウンドメディアの編集長をしている、佐々木 亮介と申します。
自身もアドベンチャートラベラーとして、北海道の東の最果て「知床ねむろエリア」を日々開拓しているのですが、夏や秋だけじゃなくて冬もめちゃくちゃいいっ! ということで、再び筆を執らせていただくことになりました。
圧倒的な空と大地と海を感じる夏秋編はこちらから!
「流氷が埋め尽くす海に船を出し、優雅に飛びまわるオオワシに出会う」
「立ち枯れた木々がこの世の果て感を演出する世界で、物想いに耽りながら歩く」
「凍った湖で漁をする現役漁師から、伝統的な漁法について学ぶ」
冬の知床ねむろでは、こんなスペシャルな体験をすることができるんです。
正に日本の最果ての冒険……これを僕は「SAIHATE EXPERIENCE(サイハテエクスペリエンス)」と名付けました。
夏場と同様に、羽田空港や新千歳空港から知床ねむろエリアに入るなら「根室中標津(ねむろなかしべつ)空港」がマスト。実は首都圏からも100分程度で訪れることができる場所なんです。最果てまでたったの100分……当たり前だけど飛行機ってすごい……。
しかもあまり雪深くない地域なので、道路はアスファルトが見えている時も多い知床ねむろ。法定速度を守って気を付けて運転すれば、レンタカー観光だって意外と難しくありません。
それでは「SAIHATE EXPERIENCE(サイハテエクスペリエンス)」4泊5日の旅をご案内します!
目次
Day1:本格的な冬旅に備え、しっかりと力を蓄える
雪国出身の方ならいざ知らず、あまり本格的な冬を体験したことがないのに「すぐにアクティビティ!」というのは、体がついていかなくて辛いもの。まずは中標津(なかしべつ)にある閑静でラグジュアリーなお宿「湯宿だいいち」にチェックイン。
山の幸や海の幸など、地のものを豪華に使った料理に舌鼓を打って、これから始まる北海道の旅に備えます。
そして最高なのが温泉です。ここ湯宿だいいちは豊富な種類がある風呂が人気で、内風呂はもちろん露天風呂も大人気。雪がちらちら降る中を、ぬる湯に浸かりながら星を見上げるなんて、至高の贅沢ではないでしょうか。
湯宿だいいち
TEL:0153-78-2131
住所:北海道標津郡中標津町養老牛518
公式サイト:http://www.yoroushi.jp/
Day2:鮭の聖地でアイヌの暮らしを追体験
旅の二日目は、知床ねむろエリアが面する根室海峡沿岸に暮らした、アイヌ民族の営みを追体験するアクティビティにチャレンジします。
スノーシュー(西洋かんじき)を履いて、積もった雪をガシガシと踏み固めて進んでいくのはポー川史跡自然公園。
古来より人が住んできたところは、水の恵みが欠かせません。ここポー川周辺も例外ではなく、滾々と水が湧き出していたり、鮭などの魚が豊富に獲れた場所です。
公園内に点在する穴は、竪穴式住居の跡。現代になってもその穴が無数に残っていることからわかるとおり、北海道の最東端とはいえ、非常に栄えていた場所だったようです。
スノーシュートレッキングで心地よい汗を流したら、昼食も兼ねて体験して欲しいのが「根室海峡茶漬け」。和食の高級食材でもある羅臼昆布、カツオではなくサケから作る鮭節など、地域特有の食材を使って作るお出汁を使って鮭茶漬けを食べる、ジャパニーズファストフードの食体験です。
用意されたものをただ食べるだけではないのが、この体験のおすすめポイント。それぞれの出汁の違いの説明を聞いて、五感を総動員して理解し、最後に自分のセンスでブレンドする出汁の完成度に一喜一憂。そして一気にかき込む鮭茶漬けが絶品です!
ドライブのお供に、標津名産の鮭とば「ペッパー警部ならぬペッパー鮭舞(けいぶ)」を買ったら、約60分弱の運転で知床羅臼へ向かいます。(ピリッと辛いので運転の眠気覚ましに最適)
宿泊は温泉と料理に定評があるホテル峰の湯へ。高級魚である「きんき」を一匹丸ごと使ったから揚げの他、ホッケやホタテ、カニ汁など、知床羅臼の海の幸が次から次へと運ばれてきます。
「これ、一人で食べきれないかも!」と一瞬戸惑うのですが、結果的に「あれ、もう無いのか……」となるから不思議。
豪華な料理とお酒を少しだけ嗜んだら、ゆっくりと温泉に浸かって羽を伸ばし、畳の部屋に布団を敷いて眠る。旅はこの時点で満足しちゃうレベルですが、本番は次の日からなのです。
ポー川史跡自然公園
TEL:0153-82-3674
住所:北海道標津郡標津町伊茶仁
公式サイト:https://www.shibetsutown.jp/shisetsu/art_culture/po_river/根室海峡茶漬け
予約サイト:https://hokkaido-island.com/jp/plan/detail/J000015/ホテル峰の湯
TEL:0153-87-3001
住所:北海道目梨郡羅臼町湯ノ沢町7-3
公式サイト:http://www.rausu-minenoyu.com/
Day3:流氷とオオワシの共演が魅せる、世界遺産知床の冬の本気度
大満足の峰の湯ステイを楽しんだら、ここから本格的な世界自然遺産アクティビティ開始!
まずはスノーシュートレッキングで熊越の滝を目指すツアーに参加します。このアクティビティの特徴は、途中で何度か川をじゃぶじゃぶ渡るところ。
目的地の滝に着いたら、冷たい水しぶきがミスト状に舞っている中に果敢にアタック!
足元も悪く顔もびしゃびしゃに濡れるのですが、少年のような冒険心を決して忘れない、チャレンジする大人になりたいものです。
(ちなみに川は浅いので、転んで流されるような場所ではありません。ただし転んだら相応の寒さはあるのでくれぐれも気を付けて遊びましょう)
そして帰り道の途中にある小川には、温泉が湧き出ているスポットが!
川と混ざって水温は下がっているとはいえ、長靴を履いたままでも充分にぬくぬくと足湯を楽しむことができるのですが、ここは面倒くさがらずに敢えて裸足でチャレンジして欲しいです。
繰り返しますが、知床ねむろの冒険の旅は、少年のような好奇心を取り戻す旅であって欲しい……心からそう思うのです!
昼食は、午後のアクティビティに備えて羅臼の冬ウニを食べましょう。羅臼の新鮮なウニはくさみがほとんどないので、至高の味です。みんな口を揃えて「自分が今まで食べていたウニと全く違う!」と言ってしまうほど。。
ちなみに、この濱田商店。海鮮丼を食べるだけではなく、自分でウニを割って剥いて取り出し、オリジナルのウニ丼を作って食べる体験もできるので、特にファミリーにおすすめしたいコンテンツ。殻付きのウニを触ること自体がほぼないと思うので、お子さんの食育にも最適です。
そして今回の旅のメインでもある「流氷バードクルーズ」に乗船します。辺り一面の流氷の中を豪快に進んで行く船。流氷に止まって羽を休めているのは、そのほとんどがオオワシかオジロワシです。(もちろん野生です)
自分のスマートホンできれいに撮影するのはなかなか厳しく、その迫力を伝えることは難しいのですが、プロの写真でお伝えすると……。
これがオオワシ ! カパッチリカムイ(アイヌ語でワシの神)!!!
これが眼前の至る所で繰り広げられている光景は本当に圧巻中の圧巻。北海道で生まれ育った自分ですら「知床…羅臼……やばい…やばくないですか?」となります。夏のシャチやクジラももちろんすごいのですが、冬は冬で凄まじい。
この光景を見た東京の友達は、「この光景を親にも見せてあげたい……」と目を潤ませながら画像を送っていました。興奮で大騒ぎするかと思いきや、この光景は凄すぎて「安易にはしゃぐべきではない」と思ったようです。
しれとこラ・ウシ(熊越の滝スノーシューガイド)
TEL:0153-87-4477
住所:北海道目梨郡羅臼町八木浜町22-4
公式サイト:https://rausu-shiretoko.com/experience/shiretoko-raushi/知床羅臼 濱田商店
TEL:0153-87-3311
住所:北海道目梨郡羅臼町礼文町365−1
公式サイト:https://www.rausu.co.jp/meal/知床ネイチャークルーズ(流氷バードクルーズ運航)
TEL:0153-87-4001
住所:北海道目梨郡羅臼町本町27−1
公式サイト:https://www.e-shiretoko.com/
Day4:世界の果てを目指す。そして最果てへ
そして4日目に訪れる別海町野付(のつけ)。世界の果てを想起させるその特有の雰囲気は、自分がRPGの冒険者になって魔王の城を目指すような妄想が、ものすごく捗る場所です。(雪原→枯木ときたら、冒険も終盤ですよねきっと)
ここはそんな野付の中でも、ガイド同行の限定ツアーで入れるナラワラの原生林。地盤の沈下や海水の浸水によって、木々が立ち枯れているのが否応なしに冒険心をくすぐってきます。
凛とした静寂さがどこか神秘的で、立ち入るとみんな会話をやめて物想いに耽ってしまう、そんな場所です。
知床ねむろのアドベンチャーは「人生を見つめなおす旅。自分の内面と向き合う旅」だと常々思っているのですが、この場所はまさにそれを体現している圧倒的なスポットではないでしょうか。
続いて、ナラワラの原生林とはまた違った異世界感を体験できるのが氷平線(ひょうへいせん)です。人が立っているこの場所は、ただの雪原ではなく海(野付湾)が結氷した場所。
氷の水平線で氷平線という名が示す通り、辺り一面に広がる絶景スポット。しかもこうやって晴れ間が出ると、より一層その広大さが伝わります。まるで氷の惑星に降り立ったみたい。
しかも野付半島周辺では、頻繁にエゾシカを見かけることができます。特に夕陽とエゾシカの組み合わせが生み出すノスタルジー感の破壊力が凄まじい。「最果てまで来たぞ……頑張ったぞ……。」という想いがじわじわ込み上げてくるそんな風景です。
雪と氷のアクティビティで身体が冷え切ったら、尾岱沼(おだいとう)にある人気店「白帆」で名物を食べて温まって帰りましょう。これは特産のホッカイシマエビが凝縮されたラーメン。
そして野付産ブランドホタテのホタテ丼。白帆は地元民や漁師さん達も愛する、港町ならではの大人気食堂です。
野付半島ネイチャーセンター(ナラワラ、氷平線)
TEL:0153-82-1270
住所:北海道野付郡別海町野付63
公式サイト:http://notsuke.jp/白帆
TEL:0153-86-2033
住所:北海道野付郡別海町尾岱沼港町170
関連サイト:https://betsukai-kanko.jp/shiraho/
Day5:根室に生きる漁師との触れ合い
旅の最終日は、北海道最東端の根室へ。凍った風連湖(ふうれんこ)で伝統的な漁法「氷下待網漁(こおりしたまちあみりょう)」をしている現役漁師さんがガイドを務めるツアーです。
まずは凍った湖の上をスノーモービルで引かれ、漁をしている場所へ向かいます。
網の仕掛け方や引き方などのレクチャーを一通り受けたら、実際に作業をやらせてもらいます。伝統漁だけあって、あまり機械化されていないのが魅力。自分で網をおこして漁をするなんて、普通はなかなかできません。
写真だとわかりずらいですが、この日はまずまずの成果! しかも魚屋さんでは見たことのない魚がいっぱいいます。
事前に下ごしらえをしておいてもらった魚をその場で焼いて食べるのも、北海道らしくていい感じ。ちなみにこの魚は氷下魚(こまい)という北海道ではメジャーな魚。身がほろほろとしていておいしい魚です。
根室をじっくり楽しんだら、帰りはまた根室中標津空港から羽田・新千歳へフライトです。車で90分程度なので、移動には余裕をもって!
NORTH CRUISE(氷下待網漁)
公式サイト:https://northcruise56.wixsite.com/northcruise
最果ての冒険は冬だって素晴らしい!
根室中標津空港インアウトで周遊する、知床ねむろ冬のアドベンチャープラン4泊5日の旅。
好奇心旺盛だった幼い頃のように、自分を解放しそして内面に向き合い、チャレンジして成長するような、冒険の旅になることは間違いありません。
夏秋編のような鮮やかさはありませんが、静寂やノスタルジックな雰囲気が、冬編の魅力なのではないかと思います。
私たち知床ねむろ観光連盟は、そんなアドベンチャーの魅力が詰まった知床ねむろエリアの魅力を発信しコーディネートしています。ゆっくりと時間をかけて、奥深い知床ねむろへ冒険の旅に出かけませんか?
取材・文章・画像:知床ねむろ観光連盟
知床ねむろマガジン:https://magazine.ekari.jp/