ご当地サウナ委員会のタカヤマ(@takayamasauna)です。

突然ですが、みなさんはサウナで"熱波"を受けたことはありますか?

サウナ室をタオルと蒸気で熱くする行為。またの名を、アウフグース。

アウフグース世界大会の予選が行われるほど、日本の熱波は盛り上がっています。

でも「未だに熱波が苦手なんです」という方も、実はいらっしゃるかもしれません。

「サウナをさらに熱くしてどうする」と思われる方もいらっしゃるでしょう。

そんな熱波に抵抗がある方にこそ、知っていただきたい事実があります。

熱波こそ、サウナの苦しみを楽しさに変えてくれるものだということを。

ということで、知られざる熱波の魅力に迫るため、
本メディアの運営メンバーでもある、女性熱波師「いっちー」が、今回プライベートで「アウフグース世界大会予選」に出場したということで、話を聞いてみたいと思います!

サウナの苦しさから解放されたのは熱波のおかげ

 

よろしくお願いします。熱波師さんって、とても大変なお仕事だと思います。
まずは熱波師がどのようなお仕事なのか、簡単で良いのでお話を聞かせてください。

お客さんにタオルで風を届けて、サウナをより楽しんでいただくためのお仕事が熱波師だと思っています。具体的な業務としては、サウナ室でストーブの石にアロマ水をかけて、温かい蒸気を発生させ、蒸気をタオルでお届けしています。

そして私は"ととのろ"という二人組のユニットを組んで、関東の温浴施設を中心に熱波師としても活動しています。

ありがとうございます。そんないっちーさんですが、いっちーさんはどんなことがきっかけで、熱波の世界に目覚めたのでしょうか?

サウナに入ることが楽しいって思えたことが、熱波に興味を持ったきっかけだったんです。実はサウナ室に長くいることが苦手で、長い時間を密室で過ごすというのが、飽き性な自分には耐えられませんでした。

でも"朝日湯源泉 ゆいる"で熱波を体験した時に、はじめてサウナ室に長くいることをポジティブに思えたんです。その時は音楽を流しながらの熱波体験だったんですが、自分が知っている曲を聴きながらサウナ室にいるという体験が衝撃的で、その日はめちゃくちゃととのいました…

えっ、元々はサウナ室に長くいるのが苦手だったんですか?

サウナの苦手を克服して、それから熱波師を目指すまでになったのは驚きです…

サウナの前は音楽フェスに通うことが趣味だったので、自分が好きな曲を聴きながらサウナに入ると、サウナ室にはじめて長くいられて、とても楽しかったんです。でも音楽フェス好きな私からは、サウナ室の時間を、もっと音楽フェスのように楽しくできるのはないかというアイデアが浮かびました。

女性に向けて熱波をしてくれる施設も少なかったので、それなら自分が熱波師になってみようということで。2021年の10月に、国内認定の熱波師検定資格を取りました。

熱波師検定の資格を取得するために、座学と実技の講習を受ける

サウナの苦手を克服してすぐに、熱波師を目指そうと思ったのは凄い…!

サウナ室の時間をもっと楽しくできるという気付きが、熱波師資格取得に繋がったんですね。

私は音楽フェスがとても好きで、いつかは出演もしたいと思っていたのですが、特に楽器が弾ける訳でもないし、楽しさを伝える側には回れないと思っていた矢先でした。音楽フェスの楽しい要素も最大限に盛り込みながら、自分が楽しいと思えることを伝えられる表現の仕方が、私の場合は熱波でした。

自分が人生をかけて好きだった音楽フェスと、表現としての熱波が融合できたというのが私の中では革命で。自分が楽しいと思えることを人に伝えられる喜びこそが、熱波師の仕事を目指すまでになった私の原動力であるような気がします。

熱波師が「仕事」となるまでに積み重ねた日々

熱波師になろうと思ったいっちーさんの意気込みがとても伝わってきました。ですが趣味としての熱波と、仕事としての熱波は別と思ったのですが… どのようにしてお仕事になったんでしょうか?

資格を取ったは良いものの、これからどうしよう…ということで熱波ができる場所を探していました。すると"おふろcafe utatane"がイベントで熱波師を募集しているというSNSの投稿を目にし、DMを送ってみたんです。すると意外にもOKをもらい、2021年の12月にデビューすることができました。

同じ時期に熱波師検定を受験していた相方がいて、音楽フェス × 熱波をやるなら複数人が良いのではないか?ということでユニットを組み、初の"フェス熱波"に取り組んでみました。

2021年12月、熱波師ユニット “ととのろ” として熱波師デビューを果たす

熱波師検定の資格を取得してから、わずか2カ月でデビューすることができたんですね。

デビュー初日を熱波師として取り組んでみて、どんな感想を持ちましたか?

フェス熱波ということで、参加者には音楽に合わせて振り付けで踊っていただく体験をお願いしたのですが、参加者全員が踊っていただけたことに感動しました!それもコアなサウナファンとかだけではなく、お年寄りまで一緒に踊ってくださって。思い描いていた理想が現実になり、手応えを感じました。

でも課題もめちゃくちゃ出てきてしまい、お客さんの前で話しながら熱波をやるのはとても体力が必要で、タオルさばきも含めて、熱波師としての基礎が出来ていないことの壁にぶつかりましたね…

熱波師の先輩たちに突撃し、熱波の現場で教えを乞うこともあった

それからは先輩主催の熱波師アカデミーに参加したり、熱波師業界でも名が知られている方にお声がけをして、2時間ぐらい個人的に熱波を教わることもしました。熱波のレクチャー動画なども見ていたんですが、動画で学ぶのと実際にやりながら教わるのでは、全然違うということがわかりましたね。

そんな練習を積み重ねつつ、色んな施設に熱波師として売り込みをしていたのですが、近所にあった"なごみの湯"の支配人にお願いをして、今年の春にバイトとして雇って頂けることになったんです。勤めている会社に副業申請をし、昼は会社員、夜はアウフギーサーとして働かせてもらいました。

それは凄い!課題に気づいてから行動する力が半端ではないですね…

熱波師歴半年で「世界」を目指すことに

なごみの湯のバイトといっても、熱波師以外のお仕事もありますよね?

なごみの湯で働くことで、熱波師としてどのような成長と学びがあったんでしょうか。

はい、浴室のスタッフとして清掃をしたり、マットの交換などもやっています。熱波師としては主に土日に熱波をやることが多いです。本業が会社員なので、仕事が終わったあと、だいたい週3日から4日の頻度でシフトに入っていますね。時間は正直どれだけあっても足りないぐらいです。

そんな毎日を送っていると、熱波師としての責任感と覚悟が決まったというか。"熱波甲子園"に出場したり、"アウフグース世界大会"の日本予選にも思い切って出場することにしました。

アウフグース世界大会、日本予選の会場となるサウナシアター

なんと!いきなり世界大会を目指すことになったとは、とても驚きです。

猛者達ばかりの中で、熱波師としての歴が浅い中での出場ではないですか…?

はい、熱波師歴半年での出場は異例かもしれないです。といってもあんまり深くは考えていなくて、何事もまず飛び込んでみてから考えよう、という精神でまずやってみることが多いですね。アウフグース世界大会の日本予選に出場しようと思ったのは、そんな精神があったからこそでした。

それともっと沢山の人にフェス熱波というものを体験してもらいたいという想いがあって、その体験を広めるためには、アウフグース世界大会という場に参加することが良いきっかけになると思いました。

熱波師の猛者達から指導を受け、しのぎを削りながら日本予選に臨む

なるほど…!いっちーさんの、アウフグース世界大会にかける想いがよく伝わってきました。

日本予選ではどんなパフォーマンスを披露しようとか、具体的なアイデアはありますか?

いつもやっていることとあまり変わらないんですけど、日本の音楽フェス体験をサウナ室で再現したいですね。ステージの照明の色を変えつつ、自分がアーティストになりきって風を送りたいと思います。

それと、参加者に風をしっかり届けるという基本的なことも心掛けたいです。サウナ室の構造をふまえた風を届ける練習に普段から取り組んでいるので、参加者が風による気持ち良さを感じつつ、それでいて、まるでフェス会場にいるような一体感を感じてもらえる場にしたいですね。

アウフグース世界大会、日本予選当日。

アウフグース世界大会の日本予選。会場となる"スカイスパYOKOHAMA"ではおよそ1週間に渡り、熱波師達による熱戦が繰り広げられます。

今回いっちーは個人戦にて参加、いっちーの1日に密着しながら、大会の模様をお届けしたいと思います!

本番前、やや緊張気味な表情のいっちー。この日のために半日がかりで準備したという"フェス熱波"手書きのプログラムに、大会にかける想いが伝わります。

サウナシアターの照明をステージに見立てて、まるでフェス会場さながらの雰囲気を再現。いっちーと参加者の、手拍子によるコール&レスポンスで一体感を演出します。

サウナシアターの正面にあるサウナストーブに向かって"ロウリュ"(サウナストーンに水をかける行為)をし、参加者に温かい蒸気を届けるための下準備を行います。

ロウリュによって発生した蒸気を、タオルで届けるパフォーマンスを披露。熱波師デビュー半年とは思えぬタオルさばきにより、会場の盛り上がりは最高潮に…!

中には手拍子のみならず、ダンスも踊ったりタオルを回したりする参加者も。いっちーが掲げるフェス熱波の世界が、本番でも見事に表現されていました。

いっちーの本番終了後、握手を求める参加者。初めて体験するフェス熱波の充実感と感謝を口にする参加者たちの姿がとても印象的でした。

最後に個人へのインタビュー。本番前の緊張感から解放され、やりきったという想いが前面に出ているいっちー。インタビュアーとのやり取りからも充実感が伝わってきました。

以上、アウフグース世界大会にチャレンジしたいっちーの1日をお届けしました!この日の経験をきっかけに、さらなる活躍を願いたいところですね!

苦手な人にこそ受けてほしい、熱波の魅力とは

アウフグース世界大会の日本予選、お疲れ様でした!

日本予選に出られてみて、あらためてどのようなことを感じましたか?

率直に、もっとたくさんのひとに熱波の楽しさを伝えていきたいなぁと思いました。熱波を受けたことがない人、特に女性も沢山いると思いますし、なんか楽しそうなことやってるなぁという入り口から、熱波に興味をもってもらいたい。熱波師としての歴は浅いですけど、そんな想いを強く感じました。

そして熱波師ユニット “ととのろ” としては参加型の熱波を提供することが良いと考えているので、まるで音楽フェスやライブ会場の一体感を、サウナ室でも楽しむことができることを伝えていきたいです。

ありがとうございます!

最後に、熱波師が考える「熱波」の魅力を教えてもらえないでしょうか。

熱波の魅力はサウナ室に長くいられることだと思っていて、サウナ室の中で楽しむ体験ができることで時間を忘れて、「つらくない、しんどくない」というところから卒業できるところが良いと思っています。

サウナ室に長くいることが苦手だと思っている方こそ、無理のない範囲で、ぜひ一度熱波を受けてみることをおすすめします。もしかするとサウナの熱さが苦手と思っていたことが、エンターテインメントを組み合わせることで、苦手ではなかったと気付ける日がくるかもしれません!

日本各地で熱波が盛り上がっている今、色んなサウナ施設やサウナイベントで熱波が受けられるようになってきました。知られざる、熱波の奥深い世界。

読者の皆さんもこれを機に、ぜひ熱波を受けてみてはいかがでしょうか。熱波を通して、サウナをもっと好きになることができるかもしれません…!

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