こんな時代だからこそ「最果て」の世界で心躍る冒険を。北海道知床ねむろのアドベンチャープラン夏秋編
いくつになっても、冒険の旅に出るのは心がわくわくする他には代えがたいもの。北海道の東の最果て、知床ねむろエリアで贅沢6日間のアドベンチャー旅行を心ゆくまで満喫してきました。
空と海と大地が織りなす大自然の中から失礼いたします。知床ねむろ観光連盟という組織で観光コーディネーターを、そして知床ねむろマガジン(https://magazine.ekari.jp/)という地域密着オウンドメディアの編集長をしている、佐々木 亮介と申します。
SPOTをご覧の皆さんは、「北海道 道東」「知床」「最果て」などのワードを聞いて、どんな風景や場所を思い浮かべるでしょうか?
「自然以外何もない」「都市機能や交通が発達していなくて不便」「遠いし寒いし何だか荒涼としている」などなど。
そうですね。それは決して間違ってはいません。確かに従来の知床ねむろエリアに抱く旅行者のイメージは、この最果ての地に住む僕らにとって、決して喜ばしいものではなかったかもしれません。
しかし今、アドベンチャーツーリズムという旅行形態を取り巻く世界的な潮流や、コロナという社会情勢も影響し「何もない」というネガティブに捉えられがちだった要素が、他の追随を許さないくらい圧倒的ポジティブになりえる時代が訪れたのです!
絶景と大自然の中を冒険するアドベンチャー、躍動する野生動物たちとの出会い、全身で楽しみ尽くすアウトドアアクティビティ、そして最強の海鮮グルメなどなど……。6日間に渡る大冒険旅行の魅力を、余すことなくお伝えいたします!
そう、それは正に日本の最果ての冒険……これを僕は「SAIHATE EXPERIENCE(サイハテエクスペリエンス)」と名付けました。
ちなみに、北海道のローカル空港は数多くありますが、知床ねむろエリアにも「根室中標津(ねむろなかしべつ)空港」があります。
北海道の道東方面を旅行するには、新千歳空港からバスで巡ったり、女満別空港/釧路空港イン&アウトが比較的メジャーですが、知床ねむろエリアを効率的に旅をするなら知床の東の玄関口である根室中標津空港の利用がマスト。
首都圏から100分のフライト、そして車で60分走れば知床羅臼のアドベンチャークルーズに乗船して野生のシャチと出会えるという…。こんなアドベンチャーの好立地は、実は全世界でも知床ねむろエリアだけらしいですよ!
目次
DAY 1:旅の始まり、冒険前に準備を整える
根室中標津空港に到着し、知床ねむろエリアに足を踏み入れたその日は、明日から始まる冒険の旅に備えてしっかりと準備し、そして旨い食事と温泉宿で英気を養うのがおすすめ。
広大な北海道の大地を駆け巡る、余裕ある大人たちの旅は、憧れのかっこいいSUVを相棒にしたくないですか? 心躍る車を多数取り扱う、中標津の「トムソーヤレンタカー」ではJEEP(しかもラングラー!)をレンタルすることができます。
そしてアウトドアカフェ「UB Coffee」では、アドベンチャーな旅に似合う上質なアウトドアギアのレンタルができます。
そうやって旅の準備を整え、余裕があったら慣らし運転も兼ねて、知床ねむろの大地を少しだけ探検してみましょう。
車で往復30分くらいの距離にあるランドマーク「開陽台」がおすすめ。道中には北海道らしい牧歌的な風景も広がっているので、楽しめること間違いなしです。
トムソーヤレンタカー(小野自動車)
TEL:0153-72-2176
住所:北海道標津郡中標津町東16条南1丁目8番地
公式サイト:http://ono-js.com/rent_a_car.htmlUB Coffee
TEL:0153-74-8830
住所:北海道標津郡中標津町西8条南11丁目1-9
公式サイト:https://charlie-ub.com/outdoor-gear/
DAY 2:「鮭の聖地」で先住民族アイヌに想いを馳せる
旅を始めるにあたり、まずは北海道そして知床ねむろの開拓の歴史や、先住民の営みに触れ、日本遺産「鮭の聖地」の物語を体感しましょう。
最初に訪れるのはポー川史跡自然公園。ビジターセンターにはアイヌ文化や鮭の聖地に関わる資料が展示されているほか、公園内に点在する遺跡エリアを散策することができます。
そして、ここでのイチオシアクティビティは「原始河川ポー川カヌー」。かつては物資を運ぶ「道」としても使われていた穏やかな川を、地域をよく知るベテランガイドの案内で探検します。かつてアイヌの人たちが神の魚(カムイチェプ)と呼んでいた鮭が、ポー川や周辺の川で豊富に獲れたことから、栄えていた場所なんですね。
続いて訪れたのは標津サーモン科学館。鮭の聖地らしく、鮭をメインテーマにした水族館です。
巨大水槽には、鮭の他にも根室海峡に生息する様々な魚たちの姿。シャケの切り身やお寿司のサーモンなど、普段何気なく口にしている鮭ですが、実は奥が深い生態や、種類について学ぶことができるスポットです。
地域の歴史と鮭について学びを深めた後は、味覚をフル活用して鮭を知り尽くしたいですよね。そんなあなたにおすすめなのが「郷土料理武田」。ここではなんと、鮭を丸々一匹味わい尽くす鮭のフルコースが食べられます。
これはなんと鮭のしゃぶしゃぶです。刺身と焼き鮭の中間のような、なんとも言えないその食感が絶妙のおいしさ……!
鮭の頭の煮付けはちょっと箸を伸ばすのに躊躇してしまうビジュアルをしていますが、その味と柔らかさは抜群! 食べないと絶対に損するくらいの価値があります。
そのほかにも、鮭いくら丼やルイベ(凍らせて食べるお刺身)、トバなどの比較的メジャーなものから、氷頭(ひず)、ちゅう、めふん…など未知の領域も。北海道の人でも知らない、奥深い鮭の世界に浸ることができるのが鮭のフルコースなのです。
ポー川史跡自然公園
TEL:0153-82-3674
住所:北海道標津郡標津町伊茶仁
公式サイト:https://www.shibetsutown.jp/shisetsu/art_culture/po_river/標津サーモン科学館
TEL:0153-82-1141
住所:北海道標津郡標津町北1条西6丁目1番1-1号
公式サイト:http://s-salmon.com/郷土料理武田
TEL:0153-82-3007
住所:北海道標津郡標津町南1条西1丁目1−5
公式サイト:http://salmon-takeda.com/
DAY 3:世界自然遺産「知床」でアクティビティとグルメを
三日目からは旅のメインとなる知床羅臼エリアへ移動します。知床は西の「知床ウトロ」と東の「知床羅臼(ラウス)」の東西に分かれているのですが、今回訪れるのは東の知床羅臼。
どちらもそれぞれ違った魅力があるのが知床ですが、羅臼の方は特に、人の手が入りすぎていない大自然と、ここが日本だとは思えないほど圧倒的な野生動物が魅力の場所なんです。
世界自然遺産知床の大自然を体感するには、まずは自らの足で歩いてみるのがマスト! 知床を知り尽くすベテランガイドの案内のもと、秘境「羅臼湖」を目指すトレッキングに挑戦します。
野生のヒグマの生息地なので、ガイドの言うことをしっかり守って進みます。往復3時間以上の道のりを汗を流しながら歩いていくのですが、風が心地よくて空気は澄んでいるし、山も湖も絶景の連続だし、本当に爽快なアクティビティでした。
羅臼湖一番の絶景ポイントであるこの場所は、雲や風が無い時は山が湖面に映り込み、美しい反転写真を撮影することができます。(取材時はちょっと惜しかった!)
周りを気にせず、思いっきり深呼吸して新鮮な空気を肺に送り込む。……そんな当たり前だったことが本当に感慨深く、感涙してしまいそう。
トレッキングで疲れ切った体を、ワイルドな露天風呂「熊の湯」で癒したら、続いて知床の最強グルメを満喫します。
知床羅臼で抜群においしい海鮮丼を食べるなら、濱田商店が定番中の定番。大きな通り沿いに面しているのでアクセスも抜群です。
とろけるようなサーモンの刺身と、プッチプチで弾けるようないくら。塩味の効いたカニ汁が、アクティビティで酷使した体に染み渡ります。
ちなみに併設の加工場では職人さんが作業している様子を少し覗くことができるのですが、この日は大きなバケツと大きな金網を使って、鮭の筋子をいくらに加工していました。みんなが大好きないくら丼も、こうやって地道で繊細な工程を経ているんだな…と考えると、なんだか感慨深いものですね。
しれとこラ・ウシ(羅臼湖トレッキングガイド)
TEL:0153-87-4477
住所:北海道目梨郡羅臼町八木浜町22-4
公式サイト:https://rausu-shiretoko.com/experience/shiretoko-raushi/知床羅臼 濱田商店
TEL:0153-87-3311
住所:北海道目梨郡羅臼町礼文町365−1
公式サイト:https://www.rausu.co.jp/meal/
DAY 4:旅のハイライト。圧倒的な野生動物の躍動
先に言っておきます。四日目の「SHIRETOKO WILDLIFE(シレトコ ワイルドライフ)」は、本当にすご過ぎます。大袈裟ではなく、日本のここでしかできない体験なのです。
午前中は知床ネイチャークルーズのガイドツアーに参加して、野生のシャチに会いにいきます。鴨川シーワールドや名古屋港水族館でもシャチは見られますが、ここ知床羅臼のシャチは野生です。自然本来の雄大な姿を見られるなんて、本当に特別で圧倒的な体験なのです。
クルーズの乗船場はこの看板が目印。写真の通り、シャチの他にもクジラやイルカ、冬になると流氷やオオワシも見られるアドベンチャークルーズです。
知床ネイチャークルーズの船に乗り、根室海峡を突き進むこと数十分。熱を帯びた長谷川船長の声で、シャチが現れたことを教えてくれます。
写真ではなかなかその迫力を伝えるのは難しいのですが、大の大人たちが感動のあまり我を忘れて取り乱すレベルです。これはクジラのように潮を噴いてそこにちょっと虹が出てる瞬間。さらに一頭だけでなく、五頭ほどのファミリーが船に並走することもあります。
プロが撮影するとこんな大迫力の写真も。しつこいようですが、これは野生です。飼育員が合図してジャンプしているわけではないのが凄いですよね。
シャチはアイヌ民族から海の神(カムイ)としても崇められる、神聖な生き物。本当に神々しさすら感じるし、人生観が変わってしまうレベルかもしれません。
続いて午後からは陸の神「ヒグマ」を海上から観察するアドベンチャークルーズに参加します。
「知床らうすリンクル」の野田船長の巧みな操舵で知床半島の先端を目指して進みます。自然の芸術とも言える断崖絶壁を横目に見ながらヒグマを探すのですが、「ここ確実に海賊のアジトあったよね?」と妄想を膨らませてしまう場所がたくさん。
これだけでも冒険心をくすぐるアドベンチャーなアクティビティなのですが、やっぱりヒグマの迫力は凄いのです。
荒々しい岩陰からヌッと現れるヒグマ! ずっとしつこく言っていますが、これももちろん野生です。本当に凄い光景です……。
※もちろんヒグマとの距離をしっかりとった海上からの観察で、ヒグマに悪影響を与えないよう細心の注意を払ってツアー催行しています
こちらは別の場所で発見したヒグマの親子。後ろをついて歩く子熊のこの足の動き、スキップしてるみたいでめちゃくちゃ可愛くないですか? 「ルンルン」してる感じが伝わってきます。
そしてそして、こんな特別な体験をした日の夕食は、豪華絢爛に締めたい。地元の名店「いさみ寿司」で知床握りをいただきます。
お寿司もいいけど海鮮丼が食べたい人には知床海鮮丼がおすすめ。豪華さもさることながら、見た目のこの美しさが至高の一品です。
知床ネイチャークルーズ(シャチクルーズ運航)
TEL:0153-87-4001
住所:北海道目梨郡羅臼町本町27−1
公式サイト:https://www.e-shiretoko.com/知床らうすリンクル(ヒグマクルーズ運航)
TEL:080-6072-0705
住所:北海道目梨郡羅臼町富士見町13番地
公式サイト:https://shiretoko-rausu-lincle.com/いさみ寿司
TEL:0153-87-2148
住所:北海道目梨郡羅臼町富士見町4-7いこいビル
公式サイト:https://rausu-shiretoko.com/meal/isami_sushi/
DAY 5:野付半島で、最果ての世界を旅する冒険者になる
五日目に訪れる野付半島は、独特な地形と漂う最果て感が魅力の、知床ねむろエリア必訪のランドマークです。
最果ての世界を体現したようなトドワラが有名ですが……。
季節や時間によってはこんなにノスタルジックな景色を見ることができるのも魅力です。遥か彼方をじっと見つめ、その場に佇む雄のエゾシカ。すごく幻想的な世界。
太陽と風のコンディション次第では、こんな景色にも出会えます。散策路の先端まで行ったら、異世界にワープしてしまうんじゃないか…なんていう妄想も発動してしまうくらい、吸い込まれそうな絶景です。
そんな野付半島で体験するアクティビティはどれもユニーク。ガイド同行限定でナラワラの原生林に入ることができる、プレミアムなトレッキングツアーは圧巻です。
ファンタジーやRPGの世界に迷い込んだような、いい意味で違和感を覚える圧倒的な景色が広がります。特に10月くらいになるとアッケシソウが鮮やかに色づいて、立ち枯れと荒々しい世界に花を添えてくれます。
北海道のどこを探してもこんなに特別な地形や景色は他に存在しないはず……。 野付半島は野付半島としか呼べないくらいユニークなのです。
夜は近隣にある尾岱沼(おだいとう)のキャンプ場で宿泊するのも、冒険気分に拍車をかけてくれます。憧れのアウトドアギアをレンタルして、見た目にもこだわってキャンプを楽しむのは最高です。(火吹き棒を使うだけで満足感が凄い!)
近くにある直売所で、野付産のブランドホタテやホッカイシマエビを購入。そんなに難しい調理ができなくても、茹でたり焼いたりするだけで抜群においしいのが、北海道の海の幸。至高の贅沢を味わうことができます。
野付半島ネイチャーセンター(トドワラ、トレッキング)
TEL:0153-82-1270
住所:北海道野付郡別海町野付63
公式サイト:http://notsuke.jp/尾岱沼ふれあいキャンプ場
TEL:0153-86-2208
住所:北海道野付郡別海町尾岱沼岬町66番
公式サイト:http://www.aurens.or.jp/~odaitoufureai/index.html
DAY 6:最果ての中の最果て。旅の締めくくりは本土最東端 根室へ
旅の最終日は、真の最果てである根室へ足を伸ばします。まるで英国や北欧のようなダイナミックな地形をトレッキングするフットパス(歩く道)を体験し、北海道の東の最果てのダイナミックな世界の虜になってください!
訪れたのは「おちいし岬パス」。まず空が広いこと、海が広いこと、そして大地が広いことに驚きます。本当にどこもかしこも桁違いに広大。そして吹き抜ける風と空気のきれいさも段違いです。
北海道らしくもあり、北欧っぽさもあるスケールの大きい世界。自らの足でこの奥深い大地を踏み締めていく感覚は、なんだか他に替え難い感覚で、月並みですが「生きてるんだな、自分……」って改めて思わせてくれますよね。
続いて足を運びたいのが春国岱(しゅんくにたい)。ここも圧倒的な最果て感の漂うエリアなのですが、海→湿地→木道の散策路→立ち枯れ→森の中と、次々に変わっていくステージ構成が魅力的です。(木道の破損により立ち入り禁止の場合があるので事前にご確認ください)
時折り顔を覗かせるエゾシカなどの野生動物との出会いも、北海道らしい素晴らしい体験。すごく距離が近いので感動も大きいのですが、驚かせたりエサやりは絶対に厳禁です。
しかもこの春国岱の一番最高なポイントは夕日の抜群の力強さ。(キレイさも確かにそうですが、ここは力強さなのがポイント)
根室は本土最東端に位置しているので日本で一番早く日が昇るのですが、朝日も夕日もその太陽の強さが段違いだと感じます。
最果ての荒々しさと太陽の力強さを全身で感じて、知床ねむろの最果ての冒険は終わりを迎えます。心と体の隅々までこの感動を染み渡らせてみてください。
最果てにあるイタリアン「Boschetto(ボスケット)」で、インパクト抜群の花咲ガニパスタを食べて帰るのもお忘れなく!
春国岱原生野鳥公園ネイチャーセンター
TEL:0153-25-3047
住所:北海道根室市東梅103番地
公式サイト:https://www.marimo.or.jp/~nemu_nc/workn/Boschetto
TEL:0153-27-1931
住所:北海道根室市光洋町5丁目94番地
公式サイト:http://blog.livedoor.jp/boschetto_nemuro/
こんな時代だからこそ、最果てを冒険する価値がある!
思い返してみると、自分の好奇心の赴くままに未知なる世界を冒険したのって、随分と昔のように感じます。
こんな時代だからこそ、いえ、もしかしたらいつの時代でも「自分の知らない世界に一歩足を踏み入れる」ということは尊いもの。
北海道の旅、その中でも道東は特に自然が豊かで、アドベンチャーの聖地としては特筆すべき場所。そして知床ねむろエリアはその中でもさらに、「ここだけ」が詰まった特別で味わい深いエリアです。
私たち知床ねむろ観光連盟は、そんな未来の冒険者たちの背中を押すお手伝いをさせていただきます。ゆっくりと時間をかけて、奥深い知床ねむろへ冒険の旅に出かけませんか?
取材・文章・画像:知床ねむろ観光連盟
知床ねむろマガジン:https://magazine.ekari.jp/