地下深くの土合駅にサウナ付きグランピングが誕生したので行ってみた

群馬県にある土合(どあい)駅のグランピング、DOAI VILLAGEの魅力を取材してきました!ダンジョンのような無人駅のグランピングは、大自然に囲まれるのに電車だけで行けてしまいます。

SPOTをご覧のみなさんこんにちは!秘境大好きライターのりおと申します。

突然ですがみなさん、冒険に興味はありますか?

群馬県みなかみ町に土合(どあい)駅、またの名を「日本一のモグラ駅」と呼ばれる、非常にユニークな構造の無人駅があります。

中がどんな感じかというと……

ゴゴ……

ゴゴゴ……

ゴゴゴゴゴ……

その雰囲気、まさにダンジョン。

東京の新宿駅や大阪の梅田駅もよくダンジョンと揶揄されますが、ここは真の辺境なので何もありません。一人で立っていると、異世界に飛ばれそうな気がしてきます。

 

そんなダンジョン土合駅に2020年11月、グランピング施設DOAI VILLAGEがグランドオープン!

このロケーション、最高!

秘境ライター(自称)としてこれは行くしかない!と編集部に土下座してメディア公開にお邪魔してきました。

2021年トレンド予測1位!「何もない」が旅行の最先端の時代に

この土合駅の「無人駅グランピング」が日経トレンディの2021年大ヒット予測の1位に選ばれました!

コロナ禍で極力密にならない状態が求められる中、土合周辺の「なにもない」環境はベストな滞在先と言えます。

そして、無人駅という遊休資産を活用しているので、さらに注目度が高いんですよね。

色々と魅力が多い土合駅周辺ですが、まずはグランピング施設からみていきましょう。

最先端技術「インスタントハウス」で雪でも快適

冬場は積雪が2m近く積もることもある土合駅周辺。気温もマイナス4度近くまで下がりますが、インスタントハウスが寒さから守ってくれます。

■インスタントハウスとは■

名古屋工業大学発のベンチャー企業LIFULL ArchiTechの、即席建築物。「インバウンド増加に伴う、景勝地の宿泊施設不足」「空き家の利活用」「災害時の住宅供給」などの課題の解決を用途として作られました。

インスタントハウスは、「インスタント」+「ハウス」の造語で、即席で創ることのできる家を意味します。施工方法は、外形の三次元形状に加工した膜素材を膨らまし、その内側から空気含有量の高い軽量な素材を定着させます。形状や大きさも必要に応じて自由に選べ、質量が小さいことから素人でも制作が簡便で、ひとつの建屋の工期は数時間と短く、断熱性や遮音性が高く、廉価性・簡便性・速度性・技術性・汎用性にも優れた構築物です。

 

なるほど。なるほど。では実物をみてみましょうか。

災害対応も想定した建物なので、思った以上にしっかりした造りです。しかしこの形状、ドラ○ンボールのポイポイカプセルを思い出すのは私だけでしょうか……

不思議な素材の分厚い外壁で作られたコテージですが、居住性はバッチリ。しっかりと断熱処理されているため、真冬でもオイルヒーターだけで暖かく過ごせるそうです。実際、この日は外気温が3度でしたが、中に入れば肌寒さはあまり感じませんでした。

耐熱や換気も万全なので、夏も過度に暑くなりません。もともと土合周辺の夏場の平均気温が23度程度なので、過ごしやすそうですね。

テントは2名タイプと4名タイプの2種類で、部屋により寝具が異なります。ベッドは掛け布団でなくシュラフ(寝袋)が使われているのがキャンプぽい。

 

ちなみに、この敷地……

線路が目の前です!

のんびりとくつろぎながらたまに来る電車の音を聞く……イメージしただけで癒されますね。テントからも電車が見えるので、鉄道ファンの方からもかなり好評とのこと。

辺境だけど食事も水回りも安心

「山奥だし、水回りや食事はどうするの?」とご心配の方、安心してください! 今回のオープンにあわせ、立派なセンターハウスができあがりました。

センターハウスには簡易キッチン、シャワールーム、リビングを備えています。地下倉庫に眠っていた「どあい」のプレートが移設されているのがチャームポイント。水回りはとても清潔なので、快適に過ごせそうです。施設内はシャワーのみの設置ですが、近隣に温泉があるのでスタッフさんに案内してもらえますよ。

なお、駅やカフェの利用者は駅舎のトイレを使う訳ですが……「無人駅のトイレってヤバいんじゃ」と心配されている方、駅舎のお手洗いもキレイなので大丈夫ですよ!

宿泊プランは1泊2食付き。朝はホットサンド、夜は地元の食材をふんだんに使ったきのこ鍋など、季節に応じてメニューが変わるとのこと。また、フリードリンクなので飲み物事情も安心です。

■DOAI VOLLAGE■

設備:シャワー、トイレ、サウナ、簡易キッチン

宿泊料金:1泊2食+フリードリンク:25,000円(税別)/大人1名※

※2020年中はモニター価格で23,000円(税別)

予約は公式HPより
https://villageinc.jp/doaivillage/

 

DOAI VILLAGEの特徴としては、参加型のグランピングであることがあげられます。食事の用意の一部など、自分たちでおこなうスタイルです。

グランピングにありがちな「アウトドアに来たのに、キャンプの経験値が全く上がらなかった」という事にはなりません。無人駅ですがDOAI VILLAGEのスタッフさんが数名常駐しているので、困った時は色々聞けます。安心してグランピングを楽しめますね。

 

アウトドアサウナで秘境でも「ととのう」

さて、お待たせしました。ここDOAI VILLAGEにはアウトドアサウナがあるんですよー!!

 

設置されているのは、世界のサウナシーンを牽引するmetos社のフィンランド式サウナという本格派。

内部は薪が燃えるいい香りがします。

セルフロウリュで好みの温度に合わせ、サウナを楽しんでください。

サウナでストイックに己と向き合い、身体が温まったら……

ヒョーーーーー!!!!!

 

雪の時期には、そのまま雪にダイブ!!

ボフッ!

 

あ゛〜 秘境でもととのうぅ〜

このシュチュエーションは、サウナーでなくても憧れてしまいますね!DOAI VILLAGEならではのロケーションで、“ととのう”を存分に味わってください。

※現在、サウナは宿泊客のみ利用可能です。

 

無人駅を生かした駅舎カフェ「駅茶mogura」

グランピング場に先駆けて、駅舎カフェ「駅茶mogura」(えきっさもぐら)が、オープン。土合駅の旧駅員室をリノベーションしたカフェは、宿泊客への食事サービスに利用されるだけでなく、一般客も利用できます。

実はDOAI VILLAGEの噂を聞き、8月に一度取材に行ってきました。その時の写真も合わせてご覧くだい

当時の備品をそのまま活用したインテリアにも注目

カフェの至る所に35年前の備品が使われているのですが、馴染み方がすごい。

これはもう一周回ってオシャレとしか言いようがありません。かわいさすら感じる。

 

おや、これは……

35年前のジャンプだーーーー!

売価が170円!!(2020年現在は270円)

駅舎を閉めた時、売店にあったものがそのまま出てきたので状態はとてもいいです。これとっても商品価値があるのでは……自由に触れるけど、大事に扱いたいですね。

他にも当時の点検表やゴミ箱など、使えるものは、そのまま使ってオシャレに使いこなしています。

 

ドリンク・フードも店のテイストを損なわないクオリティ

駅茶moguraでは、ハンドドリップコーヒーやソフトドリンク、軽食などを楽しめます。焼酎とクラフトビールまで揃っていますよ。

もちろん味も最高! メニューの種類も徐々に増えていっていますので、何度来ても楽しめそうです。

 

折角なので、ディスプレイや物販ものぞいていきましょう。

電車や登山に関連した書籍を中心に、本がたくさん置いてあります。お子さん向けの本もあるので、子連れでもゆっくりと楽しめますね。

カウンターには、店で出しているコーヒー豆やクラフトビールなどがならびます。クラフトビールはもちろん地元みなかみ産。

カフェで使われている、ロゴ入りカップも販売中(1,500円) これ可愛くないですか?!

新発売のモグラーメン(500円)。味はモグラ出汁……ではなく普通の醤油ラーメンです!

地元の方の利用も多いそうなので、思わぬ出会いがあるかもしれません。土休日は賑わいますが、平日は比較的落ち着いているので、ゆっくりできます。

遠いですけど、遊びに来て下さいね。お待ちしてます!!

■駅茶mogura■

群馬県利根郡みなかみ町湯檜曽 土合駅内

イートイン/テイクアウト可能

営業時間:
平日 11:00~18:00  土日 10:00~18:00

※この他に臨時休業日あり。公式インスタグラムに情報が更新されます。
https://www.instagram.com/doaivillage

 

無人駅再開発に掛ける人々のアツい想い

土合駅の再開発は、JR東日本の子会社「JR東日本スタートアップ」と秘境グランピングを得意とする「VILLAGE INC.」が手を組んだことで話題となっています。

今回はJR東日本スタートアップの佐々木さんと、VILAGGE INC.の茶屋さんに詳しくお話を伺うことができました。

JR東日本管内の1,655駅のうち約4割、つまり600駅以上は無人駅なんです。

予想以上に多いですね。

この無人駅の維持にかかるコスト面、防犯面でJRも頭を悩ませていました。それで無人駅の再利用で成功したケースを研究するなど、取り組みをしていた所、VILLAGEさんと一緒に土合駅の再開発をすることになったんです。

35年も放置されていた駅に、カフェやグランピング施設を立てるのに反対はなかったんですか?

「こんな所にお客様が来るの?」という意見も社内外からありましたが、VILLAGE INC.社長の橋村さんは「辺境であればあるほど、お客様が来る」と断言されていました。それで、今年の2月に実証実験をしてみたんです。当初は50%稼働したらいいよね、と蓋を開けたら……

まさかの予約率100%の結果になりました!

結局コロナの影響で稼働率70%くらいになってしまったのですが、それでも大成功と言えます。

さすが、辺境の専門家はお客のニーズがわかっていたんですね。

今いる駅舎カフェ、内装がとても素敵です! 駅の経年というかノスタルジックな感じを生かしていて、センスのいい、くつろげる空間に仕上がってますよね。これは、どのくらい手を入れたんですか?

35年間放置されていてましたが、除雪作業者の休憩には使われていたんです。なので状態はそんなに悪くなくて、カウンターと段差以外は殆ど元の建物を活用しています。施工も地元の業者で、かつ我々のイメージに応えてくれる工務店を探しました。業者にも依頼していますが、結構自分たちで改装作業やったんですよ。

まさに地方で雇用を生むというものですね。
ところで、今回の開発って大手とベンチャーの2社が組んだわけですが、正直どうでした?

全く文化の違う2社でやりとりをしていくので、いい意味でカルチャーギャップはありました。そこに、駅の設備関連でJR東日本ともやりとりがあるので、それぞれ刺激が多いですね。

この設備に対する見方がいい例です。一般的な感覚なら修理したり、取り替えたりした方がいいという物を、我々は敢えてつかんですよ。衛生面に問題があったり、危険でなければ出来るだけ生かしてますね。

なので、よく周囲から「えっ、それこのままでいいんですか」みたいなリアクションをされましたね(笑)

我々は、よそ者も地元の方も一緒になって盛り上げていくコミュニティを作り上げていくのが得意。でも、むやみやたらに既存のものを壊したくないんです。

だからこそ、地元にも受け入れられ、一緒に盛り上げていけるんですね!

 

辺境×ダンジョン!?「日本一のモグラ駅」土合駅地下に潜入!

DOAI VILLAGEを語るうえで忘れてはいけない土合駅。486段の階段から続く地下ホームが特徴的で、この階段がアクティビティの1つと言っても過言ではありません。

まずは駅舎をじっくりみてみましょう。

まずは待合室。

谷川岳の最寄りがこの土合駅なので、前日の夜から来て駅で野営した後に、早朝アタックという登山者が多いんだそう。登山シーズンの待合室には寝袋が並ぶそうです。シュールすぎる。

 

とりあえず上りホームからみてみましょうか。

実は上り線はごく一般的な地上ホームなんです。ここはいたって普通。

次はまた戻って、下り線ホームに行ってみましょう。

次は左に曲がります。ここからが土合駅真の姿だ……!

ようやく地下へ降りる階段までやってきました。これはかなりダンジョンの入り口っぽい。

 

いい感じの風化具合がホラーっぽさすら感じますが、実は観光スポットなので結構人の往来があります。私は過去に2回土合駅を訪ねましたが、平日にもかかわらず2回とも数組の観光客と一緒になりましたよ。

と、油断していたら

すぐ近くのグループが見えないほど濃い霧が出てきました。なにこの秘境感、本気で異世界に飛ばされそう。

今自分がどこにいるか見失いそうになりながら、なんとか階段を降ります。

 

ようやく最下層に到着。

このトンネル階段だけで462段、駅茶moguraから数えれば全部で486段! よく降りました私。私は階段を降りるコースだったのでまだ消耗が少ないですが、階段を上がるコースだとかなりつらそうです。

ホームは狭く、トンネルの横幅に小さな待合室、トイレがある程度。地下70mなので夏でもひんやりしています。

実は、その低温を利用してクラフトビールを熟成中。2021年秋には飲めるようになるそうなので、楽しみですね。

 

あ、ようやく電車がきた!

こういうロケーションの駅だと、電車が来るとホッとしますね。これに乗って人里に戻るとしましょう。

 

谷川岳ロープウェイにラフティング、実はアクティビティ満載

最後に周辺の観光情報もご紹介。

DOAI VILLAGEから徒歩でもいける距離に、日本100名山の1つ谷川岳の麓があります。谷川岳はロープウェイやリフトを乗り継ぐことで、簡単に標高1,502mの高さまで上がれるんです。

谷川岳麓の土合口駅からロープウェーで10分ほど上がると、標高1,319mの天神平に到着します。

山々の頂が、目線の高さに臨めます。これは爽快!

ロープウェイの谷川岳駅側には絶景マウンテンビューのレストハウスがあり食事が出来ます。また、天神平では高山植物ウォッチングもいいですね。高山植物って、清楚で可憐なイメージがしませんか?

この花もキレイな色! いったい何の花かな?

 

Googleレンズカシャッ

 

……

 

ト リ カ ブ ト で し た

ぎゃああああ!
まさかと思い谷川岳のサイトを調べましたが、本当にトリカブトが咲くらしいです。「全草に毒性があるので食べてはいけない」とのことですので気を付けましょう。

 

まだ上にあがれるそうなので、天神平からリフトで天神峠へ向かいます。

このリフトがまた絶景!! 絶景すぎて怖い!!

天神平よりさらに標高の高い天神峠に到着しました。先ほどまで目の前に見えていた山頂が眼下に広がっています。ここの標高は、1,502m! この谷川岳ロープウェイ周辺、冬はスキーが楽しめますよ。

今回は谷川岳周辺で手軽に行ける絶景スポットをもう一つご紹介します。

日本三大岩場の一つ「一ノ倉沢」は、ロッククライミングの聖地としても有名です。

実はスニーカーで歩ける初心者コースもあり、子供から中高年まで人気の山歩きを楽しめます。また、本数は少ないですがロープウェイの土合口駅前より、一の倉沢行きの電気バスが出ていますよ。(冬季休業)

みなかみ町HP :http://www.enjoy-minakami.jp/place.php?itemid=885

何もない、という土合駅周辺ですが、実はアクティビティが豊富。夏はラフティング、冬はスノーシューなど、季節に応じた遊びがあるので、スタッフさんに相談してみるのもいいですね。

ちょっと変わった「辺境」で特別な体験をしませんか?

噂の無人駅でグランピングが楽しめる、DOAI VILLAGEは駅徒歩0分なのに超辺境でグランピングが出来るスポットでした。大自然の中に宿泊できるのに、電車だけでこられるってすごくないですか?そしてその到着駅と言うのが、魅力的で行く価値があります。

これからは「不便でも唯一無二の経験が出来る」スポットとして人気が出そうです。

「何もないけど、何でもある」DOAI VILLAGEでぜひ特別な体験をしてみてください!

 

DOAI VILLAGE 施設概要

公式サイト:https://villageinc.jp/doaivillage/

車でのアクセス

群馬県利根郡みなかみ町湯檜曽 土合駅

関越自動車道水上ICから約30分

新幹線+電車でのアクセス

下記どちらかのルートをご利用ください。

上越新幹線 越後湯沢駅からJR上越線上り 水上行乗車 ⇒ 上りホーム(地上)到着
上越新幹線 高崎駅からJR上越線下り 水上行→乗り換え→長岡行乗車 ⇒下りホーム(地下)到着

新幹線+バスでのアクセス

上越新幹線 上毛高原駅からバスで約40分

※公共交通機関をご利用する場合、本数が非常に少ないのでご注意ください。

新型コロナウイルス対策

・スタッフの体調管理
・定期的な消毒作業
・カフェでの入場制限 (定員15名程度)

・宿泊客の出発前、到着後の検温及び体調チェック