こんにちは、銭湯だいすきライターのはせがわです!

本日は、地域の活性化を目指してリニューアルした銭湯があると聞きつけ、東京都狛江市にやってきております。

1954年創業

それがこちら、「建物と街に人が集まる場所に」という想いのもと、2023年4月にリニューアルした「狛江湯」。

 

狛江湯のある狛江市は、全国で2番目に小さい市。
そんな街だからこそ、人が集まり、人と人とがつながり、狛江の街の活気へとつながったら……

さまざまな想いを胸に狛江のリニューアルを仕掛けた、3代目の西川さん。


今回は西川さんのお話を交えながら、狛江湯ではどのような体験ができるのか読者のみなさんへお届けします。

結論を先にいってしまうと、もはや「銭湯」という枠ではおさまらない新しい銭湯の姿を垣間見た気がしました。

美しい水とタイルがたのしめる浴室

男性側浴室

女性側浴室

浴室に広がるのは、グリーンタイルで統一された非常にさわやかな空間。
男女ともに外からの光がやさしく差し込むのがすてき。やっぱ昼間の銭湯って美しいなぁ……

湯船は、炭酸泉、あつ湯、ジェット、水風呂の4種類。
炭酸泉は今回のリニューアルで新たに導入されたそうで、以前は水風呂として使用されていたスペースだったとか。

壁や床、一面このグリーンのタイルが使われているんですね。グリーンのタイルにしたのは何か理由があるんですか?

狛江の街はとても水が豊かな場所なんです。狛江湯では、多摩川の伏流水、国分寺崖線からの湧水などの天然水を使用しています。グリーンは水を美しく見せてくれることから、このタイルを採用しました。

オーダーメイドで製作した多治見タイル

実はこのタイル、もう一つおもしろい仕掛けがあって。タイルの形を見てもらうと、大きさが違う部分があるんです。

湯に浸かりながらぼ〜〜っとタイルを見てると「あれ?ここでタイルの大きさが切り替わるぞ?」とちょっとした違和感を感じられます。うちには銭湯絵がないので、そういった仕掛けで新しい体験を楽しんでもらえたらいいですね。

 

確かに急にタイルの大きさが切り替わっている部分がありますね。個人的には、天井のコンクリート打ちっぱなしの部分もかっこよくてすきです!

 

長嶋りかこ氏によるグラフィックデザイン

タイルの目地を用いたグラフィック文字にも注目。タイルによって文字となる白のラインが入っている箇所が違うのがおもしろいところ。

ぜひお湯に浸かりながら間近で観察してみてください。

男女ともにオートロウリュ付サウナ室へ

男性側サウナ入口

リニューアルで新しくなったサウナも紹介。

男性側サウナ室

まず驚いたのが下段、中段、上段と、どこに座ってもゆったりと腰をかけられるこの座面の広さ!
以前はもう少しコンパクトなサウナ室だったそうですが、リニューアルで拡張されたそうです。

温度設定は85度でゆるやか。ですが、20分間隔でたのしめるオートロウリュと、壁面に敷き詰められた麦飯石の輻射熱で体感温度はもう少し高め。

深さ90センチの男性水風呂

しっかり汗をかいた後は、狛江の天然水を冷やした水風呂へ! 

水温15度は西川さんのちょっとしたこだわり。以前は14度ともう少し冷たくしていたそうですが、とある施設の水風呂に入り「15度なら羽衣がつくれるくらい長めに入れる!」と気がついてから、現在の温度に変更したそうです。

ここにもしっかりこだわりを感じる、浴室内の内気浴スペース。

注目はこのスポットクーラー!

一人一人に風がしっかり当たるよう送風口が調整されているのもまた感動。
夏場はクーラー、冬場は送風がやさしく流れ、心地いい内気浴をたのしめます。これもまた新しい体験!

銭湯でこのレベルの内気浴が体験できるとは……

リニューアルの設計は、墨田区の黄金湯さんを手がけたスキーマ建築計画の長坂さんにお願いしました。
このスポットクーラーは、ご自身も銭湯・サウナが大好きだという長坂さんのアイデアです。

イス用のシャワーが置いてあるのも感動しました!これは好きが伝わってきますね……!

続いて女性側のサウナも紹介。

男性に比べてややコンパクトなサウナ室。
ですが温度85度、20分間隔のオートロウリュ、壁面の麦飯石使用とスペックはすべて男性側と同じ。

実際入ってみたところ、開始3分ほどでブワッと全身の毛穴から汗が。
オートロウリュ×麦飯石の効果からか汗の吹き出すスピードの速さに驚かされました! 

グリーンに染まる天然水が本当にきれい!一度は明るい時間に入ってほしい水風呂

水風呂も男性側と同じく15度設定。

深さは男性側よりもやや浅めの60センチ。ですが、なめらか〜でやさしい肌触りの天然水にゆっくり、ゆっくりと全身を冷やしていけるのにちょうどいい深さでした。気持ちよかった〜

もちろん女性側もあります!スポットクーラー付きの内気浴スペース。

ちょっとした壁で仕切られているのもあってか、周りの様子が気にならないのがうれしいところ。
しっかり休憩タイムに没頭できます。

 

グリーン・グレー・木目で全体カラーが統一されている狛江湯。休憩用のイスは思った色が見つからず苦労したそう。

それとこの休憩用のイス!

座面に奥行きがある分、ラクラク体育座りになれるのが個人的に超激推しポイントです。
これまでいろんなタイプのイスに座ってきたけど、このイスは居心地がよくてつい長居しちゃう……

湯に浸かるだけの場所じゃない狛江湯の魅力

カラー統一感のある浴室、生まれ変わったサウナ、本当にどこをとっても美しく、すばらしい体験ができました。
新しく生まれ変わった狛江湯をみた、地域の方々の反応はいかがでしたか?

とても喜んでもらえましたね。近くの飲食店からは「狛江湯のお客さんがお風呂帰りに来てくれるようになった」という声もいただきました。

まさに狛江湯がリニューアルしたことで、狛江の街全体に活気が生まれているんですね。

人が集まる場所、人と人とがつながる場所にするために、どのようなことを意識されたリニューアルだったのでしょうか?

未来に銭湯を残すためにはどのような銭湯が必要なのか考えました。

大きな湯船に入って気持ちよくなれる場所だけでなく、サウナ、建築、クラフトビールなど、新しい体験ができる場所が必要なのではないかと。

リニューアルしてから、お風呂、サウナに入りに行く方はもちろんのこと、建築だけを見にくる方、ビールだけを飲みにくる方もいらっしゃいます。

多様な人が集まると、新たな交流が生まれる。人と人がつながり、新しい情報や体験が街に入ってくる。狛江湯はそういった、人と人とがつながり、集まる場所にしたいと思っています。

銭湯フロント、カフェバーが一体化されたロビー

入り口のカフェバーは、まさに人が集まる場所らしくオープンな雰囲気ですてきですよね。

 

カフェバーは元々スナックだった場所を改装してできたスペースです。リニューアル前の狛江湯は入り口が通りに面しておらず、目立ちにくい場所でしたが、リニューアル後は入り口を通り沿いに変更して、気軽に入りやすく風通しのいい空間にしました。

狛江湯で提供するクラフトビール(950円)のタップリスト

狛江の街にはビール製造所(=ブルワリー)が3つもあって、はしご酒をたのしむ方もいるんです。うちでも地元の「和泉ブルワリー」を出してます。カフェバーだけの利用もできるので、気軽に立ち寄って欲しいですね。

狛江湯に着いた時、店舗前のスペースが広くてびっくりしたのですが、外もカフェバースペースになっているんですね。

リニューアル前は駐車場だったのですが、現在は店舗のスペースとして活用してます。

例えば、ベビーカーのお子様を連れたご夫婦ってちょっと外でお酒が飲みたくても場所が限られていると思うんです。でもうちならお風呂に入らずとも、ふらっと立ち寄って一杯美味しいビールを楽しんで帰る、そんな利用の仕方もしてもらえると思います。

まさに多様な人が集まる場所ですね!

 

 

8月20日には2回目の「えんがわ市」を開催します。今後も、月に1度のペースでこういったイベントを企画し、多様な人が集まるきっかけになればと思っています。

 

すてきですね。これからの狛江湯が本当に楽しみです!本日はありがとうございました。

 

カフェバーでひといき!狛江湯にいった感想

西川さんのお話をうかがったあと、わたしもカフェバーを利用させてもらいました。
注文したのは、スパイスなどの食材をお店で煮詰めてつくった自家製のクラフトコーラ(700円)。


味わい深く、鼻に抜けるスパイスの香りがさわやか。サウナ後にさいっこうの一杯でした!

冷蔵庫には、レトロなビンがかわいい「ハイサワー」や「ホッピー」、レモンサワーなどがずらり。レトロな飲みものを置いているのも、新しい体験をしてもらえればという想いから。

ラムネ、コーヒー牛乳などを目当てに部活帰りの学生さんが立ち寄ることもあるそうですよ。風通しの良さが伝わってきますよね。

ドリンクだけでなく、ルーローハン、にんじんラペなど、軽食が充実しているのも狛江湯のすごいところ。


帰り支度をしていたら、ルーローハンの美味しそ〜な香りが脱衣所まで漂ってくる……なんて体験もはじめてでした! 

狛江湯を堪能したあとは、駅前を少し散策。

立ち飲み屋、定食屋、居酒屋、カフェなどなど……飲食店が充実しているのが印象的でした!サウナ飯には困らないですね。

 

銭湯をきっかけに、新しい街におり立つ、街を感じて歩いてみる……これも新しい体験!
狛江湯は、お湯につかりに行く場所だけなく、新しい体験、発見、行動へのきっかけをくれる場所でした。

 

きっとこれからどんどん街に活気が出るはず。街と人にパワーをあたえる狛江湯のこれからが楽しみでしょうがありません。
ぜひみなさんも狛江湯で新しい銭湯体験を!

狛江湯 詳細

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