オルレ市場横の指定の場所に行き、その謎を解き明かすと、通りの奥からまたあの男が現れた。ひっきりなしに車が通る賑やかな通りだが、その車の間からジッとこちらを見つめる男の姿が見えた。コートの男だ。どうやら、このチェジュ島内で数々の謎を出しつつ、正解の場所で待機しているようだ。

 

「おまえは一体何なんだ? ミレイはどこだ?」

 

ついつい語気が荒くなる。けれども、男はピクリともしない。大きな体を動かすことなく、じっとこちらを伺っている。それはまるで忠実に任務をこなすロボットのようでもあった。

 

「回りくどいことしてないで、教えてやりなよ、このお兄ちゃん、必死だぜ」

 

タクシーの運転手もそう口添えする。それでも男は表情に変化を見せない。

 

「まるで石製の爺さんみたいだな!」

 

運転手が吐き捨てるように言った。石製の爺さん? と理解に苦しんだが、そういえば、ここに来るまでの車中で運転手が言っていた言葉を思い出した。この島には、いたる場所に「トルハルバン」と呼ばれる石像が置かれている。

 

なかなか大きな石造で、大きい目、鼻。唇は閉じた顔で、帽子をかぶっているのが特徴だ。チェジュ島を象徴する石像であり、守護神的な意味合いがありチェジュ島では町の入口などに置かれていることが多い。そのトルハルバンの意味が「石製の爺さん」だと運転手は言っていた。動かない男とトルハルバンを重ね合わせてそう言ったのだろう。

 

通りを行く車が大きなクラクションを鳴らした。それを合図にしたのか分からないが、男はゆっくりとこちらに近づいてくる。ゆっくりとゆっくりと、停車中の車の間を縫うようにして近づいてくる。

 

「な、なんだよ!?」

 

運転手が身構える。

 

こちらも心臓の鼓動が高鳴るのを感じた。

 

男は運転手の横を通り過ぎ、こちらの正面に立った。

 

「AEWOLの本当の意味」

 

殴られるのかもしれない。それともこのまま拉致されるのかもしれない。そう思って身構えたが、男はポツリと呟くだけだった。

 

「AEWOLの本当の意味?」

 

確認するように呟くが、男はそのまま踵を返して市場の中へと消えていった。

 

「AEWOLって最初に行った場所ですよね?」

 

男の姿が見えなくなったのを確認して、運転手に話しかける。

 

「ああ、そうだ」

 

どういうことだ。もう一度、エウォル地域に行くべきなのか。それとも何か別の意味があるのだろうか。

 

「ひとつ前の場所に戻るかい?」

 

運転手の声が市場の雑踏に吸い込まれるように感じた。

 

 

 

ヒント1 : 運転手はなんと言っていたかな?

ヒント2 : 「ひとつ前の場所に戻るかい?」も重要なセリフです

 

 


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