「日帰りでもたっぷり楽しみたい」という方にぜひおすすめしたい箱根。古くから観光地として人々に愛され、今も多数の観光客が訪れています。
特に今は、箱根にある6つのミュージアムが何度でも利用できる「ミュージアムフリーパス」が限定で展開。美術館を存分に楽しめます!
目次
ミュージアムフリーパスとは?
こちらは販売期間中の「箱根フリーパス」を購入した人のみが買える、美術館を巡れるパス。
箱根フリーパスは、5,700円で新宿~小田原間の往復(小田急線 特急ロマンスカー除く)と箱根中の鉄道やバスが乗り放題!
2020年9月1日から販売が開始された「ミュージアムフリーパス」は、箱根登山鉄道全線復旧を記念した、箱根内にある6つの美術館が何度でも利用できるパスです。このたび販売期間がめでたく延長決定。2020年12月まで利用できることになりました。
3600円~で、「箱根ラリック美術館」に「箱根ガラスの森美術館」、「ポーラ美術館」、「星の王子さまミュージアム」、「彫刻の森美術館」、そして「箱根・芦ノ湖成川美術館」の6館に有効期間中何度でも入場できるんです!
2日券からですが、3つ以上巡るなら日帰りでも充分お得に楽しめますし、泊まりで美術館に行けば行くだけお得です。
こちらを使用し箱根に行ってきたので、ご紹介していきます。
貴族の館にお邪魔した気分! リピーター率の高さも納得「箱根ガラスの森美術館」
まずは「箱根ガラスの森美術館」。ヴェネチアの貴族の館に訪れる、というコンセプトの建物は本格的でどこも美しい!
リピーター率が非常に高い美術館としても知られています。お屋敷感あふれる入り口を通り抜け、庭に出ると……まるでヨーロッパ。ドレスを着ている錯覚に陥ります。
キラキラしたクリスタルを通り抜けてヴェネチアの世界へ
ヴェネチアン・グラス美術館へ続く橋にかけられたクリスタルガラスのアーチ「ガラスの回廊」は光に照らされキラキラと輝く人気スポット。
ひとたび美術館の中に入ると、そこはもうヴェネチア! 何百年もの間、世界中の人々に愛されるヴェネチアン・グラスの超絶技巧をたっぷりと堪能できます。
ヴェネチアン・グラスの技術の凄さを目の当たりに
レースのデザインをガラスで再現するという、もはやクレイジーと思える技術「レースグラス彫り」
色とりどりのグラスをモザイク模様にした「ミルフィオリ・グラス」(ミルフィオリ=千の花。写真)。
ヴァネチアン・グラスが積み重ねてきた美しさと技術の高さにクラクラしてきます。
写真撮影も基本的にOKなので、お気に入りを探すのもおすすめ。
美術館の方に「インスタ映えする美しさで女性に人気です!」と言われて撮ったら奇跡的などんくささを発揮したものです。本来はフラッシュは禁止なのでご注意ください……。
「現代ガラス美術館」では19世紀後半に復活し、改めて進化を続けるヴェネチアン・グラスの現代作品も味わえます。
庭園やカフェ……四季おりおりの美しさが楽しめる
庭に出てみると秋限定の「ガラスのすすき」や、ガラスでできた枯れないバラ園などがあり見どころが盛りだくさんです。
現代ガラスの作品は屋外展示も多いのでお見逃しなく。もちろんガラスだけではなく、あじさいやバラ、季節おりおりの植物が庭を彩っています。
クリスマスにはサンタさんが登場するのだとか! リピーター率50%と言われるのも納得の、いつ訪れても魅力的なガラスの森美術館です。
箱根ガラスの森美術館
通常入館料:¥1,500
https://www.hakone-garasunomori.jp/
フランスが愛した美しさを目に焼き付けて! 「箱根ラリック美術館」
仙石原にある「箱根ラリック美術館」はフランスの宝飾・ガラス工芸作家ルネ・ラリックの美術品を収蔵した美術館。
アール・ヌーヴォーやアール・デコの優美な美しさを堪能できます。
本物の「オリエント急行」の車両に乗れる「ル・トラン」
なんと、ここでは本物の「オリエント急行」のサロンカーを見ることができます!
駅のホームをイメージした展示室では、ラリックが手がけた美しい豪華な内装を当時のままで眺められるというぜいたくを味わえます。
予約すればこの中でティータイムが過ごせるそうですよ。
ときめきが止まらない、ジュエリーやガラス工芸たち
ラリックのカーマスコットを携えたクラシックカーを通り抜け、いよいよ美術館へ……。室内装飾パネルが出迎えてくれます。
ふと見上げた天井のシャンデリアもラリック作。美術館内では上下左右お見逃しなく!
ラリックデザインのジュエリーから、室内装飾や花瓶に至るまで、ラリックの才能やアイデアを存分に楽しめます。
どれもついガラスに貼り付きたくなる美しさ。乙女心を刺激されて目が足りません。
香りの記憶は強烈。企画展は五感で楽しめる
2021年3月21日まで開催中の企画展「ドラマチック・ラリック 想いをかたちに ときめく香水瓶」。
ラリックと言えばまず香水瓶! とイメージされるほど、さまざまな香水瓶を作っています。
今見てもオシャレで素敵な香水瓶の数々は、ただ眺めているだけでうっとり。中でも、ウォルト社の5連作香水瓶は見逃せません。
左から
「ダン・ラ・ニュイ」(真夜中に)
「ヴェール・ル・ジュール」(夜明け前に)
「サン・アデュー」(さよならは言わない)
「ジュ・ルヴィアン」(私は戻ってくる)
「ヴェール・トワ」(あなたのもとへ)
と、名づけられた、5本の香水。並べると「真夜中、夜明け前に、さよならは 言わない、私は戻ってくる、あなたのもとへ」という詩になるんです!
この香水が発売されたのは1920年代後半~1930年初頭。つまり、戦争があり、ケータイがない時代です。
香りは人の記憶に深く残ると言いますし、香りに自分の思い出を託していたのだと考えると実にロマンチック。
実際に、「ジュ・ルヴィアン」を戦争に行く前に恋人に贈った兵士もいたとか……真偽より何より、信じたいエピソードです。
今回、「ジュ・ルヴィアン」の香りを記録を基に再現したそうで、会場内にはほのかに良い香りが漂っていました。
香りも楽しめる美術館なんて素敵ですよね。再現香水の小瓶はミュージアムショップで販売中。
香水のせいだよ……ではないですが、思い出作りに購入、またはプレゼントするのも素敵かもしれません。
箱根ラリック美術館
通常入館料:¥1,500
http://www.lalique-museum.com/
密にならない広々空間!「彫刻の森美術館」
「彫刻の森美術館」は1969年開館。7万㎡の敷地を持つ広大な美術館です。
野外・室内両方で展示があり、子ども向けの遊具やワークショップも充実しています。足湯があるのも箱根ならでは!
四季おりおりの風景も作品のひとつ? 野外展示
「オープンエアミュージアム」と銘打たれているだけあって、野外に展示された彫刻がたくさん。
柱かな?と思っていたら作品……なんてこともあります。
開放的な空間で、ずらりと並ぶ彫刻など、大迫力の作品が楽しめます。箱根の山や大空が豪華な「額縁」となってくれ、季節や訪問時間で違った表情が見られるのも魅力です。写真は冬のもの。
300点以上を収蔵するピカソ館
スペインの作家・ピカソの作品を300点以上も所蔵する彫刻の森。2019年に「ピカソ館」をリニューアルさせました。
「PICCASO」のロゴが白い建物に映えて格好いい! 館内は絵だけでなく、ピカソの陶芸作品がずらりと並び、その多彩さには驚かされます。入り口にあるステンドグラスは映えスポットとして女性に人気なのだとか。
圧巻のステンドグラスなど、子どもも楽しめるスポットがたくさん
彫刻の森には「体験型アート」も設置されています。「ネットの森」はその名の通り、カラフルなネットの中に入って遊べるアート。
子ども向けなのですが、大人が入れないのが悔しいほど楽しそう! こっそり入ってみようかと思ったほどです。(実際にはしておりません)
最近ツイッターで話題になっていたのが「幸せを呼ぶシンフォニー彫刻」。
灯台のような塔に足を踏み入れた瞬間、ぐるりとステンドグラスに取り囲まれます。思わず息を呑む美しさです。
中心にある螺旋階段をひたすら登ると、塔の最上階まで行けます。箱根の山の風景や彫刻の森全体を見渡せて気持ちが良いですよ。
ただし、階段がかなり急&長いので高所恐怖症の方などはご注意ください。何しろ途中で降りられない……。
私は二重の意味で膝をガクガクさせながら登り下りしました。その甲斐あって、美しい眺めを楽しめましたよ。
とにかく広い彫刻の森。時間にはゆとりを持って
シンフォニー彫刻の近くにはカフェがあり、その二階には無料の休憩スペース「丸太広場 キトキ(KI TO KI)」があります。
そこかしこに置かれた大きな丸太は、テーブルや椅子として自由に使用可能。木のぬくもりが心地よい空間で、足をゆっくり休められます。飲食OKな上、充電もできますよ!
彫刻の森美術館は建物同士も距離がある、とにかく広い美術館。時間にゆとりを持っての訪問がおすすめです。
彫刻の森美術館
通常入館料:¥1,600
https://www.hakone-oam.or.jp/
大人の美術館体験。サン=テグジュペリの人生を追う「星の王子さまミュージアム」
『星の王子さま』は発行部数が2億冊を超え、300以上の国と地域の言語に翻訳され、世界中で愛されているロングベストセラー。
「星の王子さまミュージアム」は、その名の通り、作者サン=テグジュペリ生誕100年を祝した記念事業の一環として1999年に開館。
昨年20周年を迎えました。星の王子さまをテーマにしたミュージアムは世界でここだけ!
1943年の出版以来、人々に愛されるふしぎな物語の世界を堪能することができます。
フランスの街角のような建物とこだわりのガーデン
入り口には出身地の小惑星「B612星」にいる王子様の姿が。
エントランスを抜けると、美しい庭園が現れます。サン=テグジュペリが幼少期過ごした貴族のお城を再現した建物、洒脱な街角、美しいローズガーデンなど、サン=テグジュペリが生きた時代のフランスをイメージできるようなしつらえにうっとりします。
それぞれの場所には「実業屋通り」「飛行士通り」など星の王子さまゆかりの名前がつけられています。ショーウインドウやお店の名前もチェックしてみてくださいね。
ミュージアムの庭は季節に応じてさまざまな表情を見せてくれます。2019年のクリスマスシーズンには「花のクリスマスツリー」が登場したのだとか!
星の王子さまの世界が目の前に
建物内部に入ると、飛行機に乗ろうとする王子さまが。いよいよ旅に向かいます。
旅の中で出会う人々や「大切なものは目に見えない」のせりふで有名なキツネなど、星の王子さまの世界が次々現れ、初めて読んだ日を思い出させてくれます。
完全に忘れていたのになぜかお風呂で読んだことがふいに蘇って、びっくりしました!
ちなみに……星を買って管理している「実業屋」。「某実業家から大統領になった方を思い出す」という感想が後をたたないらしいです。ぜひご自分で確かめてみてください。
飛行機に魅せられたサン=テグジュペリの数奇な生涯
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリは1900年、フランスのリヨン生まれ。小さい頃から飛行士に憧れていたそうです。ライト兄弟の初飛行が1903年とのことですから、当時は空を飛ぶことは完全に未知の世界。夢を叶えたサン=テグジュペリは飛行士として、活躍します。実は作家デビューしたのはこのころ。当時は自分の体験を基に、飛行士ならではの本を発表し、高い評価を得ていました。
『星の王子さま』は第二次世界大戦中の1943年に、アメリカのニューヨークで最初に出版されています。実は亡命中の作品だったんですね。翌年にはフランス軍に復帰したサン=テグジュペリは、1944年7月31日、偵察飛行に飛び立ち、消息が絶たれ、人々の前から姿を消しました。当時44歳、飛行士としては最高齢だったそうです。
彼の人生において『星の王子さま』がまさか最後の作品だったとは……驚きました。遺族は「彼は星の王子さまになったんだ」と言ったそうですが、不思議なめぐり合わせですね。展示はかなり大人向け。じっくりとサン=テグジュペリの世界に浸れます。
星の王子さまミュージアム
通常入館料:¥1,600
https://www.tbs.co.jp/l-prince/
まだまだ魅力的な美術館がたくさん。GOTO箱根のミュージアム!
今回ご紹介しきれなかった「ポーラ美術館」「箱根・芦ノ湖成川美術館」、どちらも素敵な美術館です!
ミュージアムパス、ひとりだと頑張れば1日で3カ所は回れました。ランチやカフェタイムも楽しむなら2ヵ所ぐらいがちょうど良いのかもしれません。
時間と体力と相談しつつ、箱根の旅を楽しんでくださいね!