【ある日の親子の会話】
あや郎
「ねえねえ娘ちゃん。一緒に虫捕り行かない?」
娘
「え、イヤ〜」
あや郎
「なんでよー!」
娘
「だって、ハチとかカとか、こわいもん」
あや郎
「刺さない虫もたくさんいるよ!じゃあ、セミは?」
娘
「こわい」
あや郎
「バッタは?」
娘
「こわい」
あや郎
「……。」
娘
「ちょうちょは、すきだよ」
あや郎
「おっ、じゃあチョウチョ捕まえに行こうよ!」
こんにちは、あや郎です。
今回はこんな経緯により始まった、娘の虫捕りデビュー密着ドキュメンタリーをお届けします。
というのも、4歳になる我が子はもともと虫が苦手で…。蚊やアリにすら泣いて逃げまどう程の虫嫌いだったのです。
「だったら無理に虫捕りなんてさせたら可哀想」
なんて声も聞こえてきそうですが、娘の為にもある程度の虫嫌いは克服させてあげたかったのです。何より、やっぱり虫を捕まえたり、観察したりすることの楽しさも知って欲しかった!
もちろん、虫イヤ〜〜〜!で、どうにもならなかったら途中で断念するつもりでしたが…果たして、娘は虫嫌いを克服できたのか!?
遡ること1ヶ月前……
まずは詳しい人から話を聞いて、娘の虫捕りデビューに備えよう!ということで、神奈川県にある こどもの国にやってきました!
こちらのこどもの国は、緑いっぱい!という表現がめちゃくちゃ似合う自然公園で昆虫もたくさん生息しており、遊具やプール、牧場など遊ぶところも豊富で以前からよく家族で利用していました。広さはなんと100万平方メートル!
虫に詳しい人から聞いてみよう
あや郎
「本日はお時間いただきありがとうございます。こどもの国のHPでは、昆虫についてわかりやすく解説されているページがあったり、実際に昆虫に関するイベントを積極的に行われていたり、虫捕りをしたら楽しそうな公園だなと思ったのですが、昆虫、たくさん捕れますか?」
野坂さん
「そうですね!天候や時期によって種類や数などは異なりますが、昆虫は沢山いますよ。ただ、うちでは昆虫は捕ったら逃すということを推奨しています。」
あや郎
「キャッチ&リリースの精神ですね!虫捕り少年だと、虫かごに入れて持ち帰って飼うようなイメージもありますが、それはNGですか?」
野坂さん
「昆虫って、実は飼うのが難しいんですよ。例えば、セミには口吻(こうふん)という樹液を吸うための長い管(口)があり、その口を木に刺してごはんを食べています。他にもトンボはカやハエ、チョウなどを食べますし、ナナホシテントウ(てんとう虫)はアブラムシを食べます。虫を捕って、虫かごに入れて帰って適当に葉っぱやペットショップに売っているカブトムシのエサをなどを入れておいても、彼らにとっては絶食状態なんです。すぐに弱ってしまいます。そういった可哀想な事態を避けるためにも、飼う自信が無ければぜひ観察したら逃してあげてください。」
あや郎
「飼っているつもりが、絶食状態になっているとは…。あと、よく人間に羽根を触られすぎて飛べなくなったトンボやチョウを見ると切なくなるんですけど…」
野坂さん
「虫の羽根は繊細ですからね。カゴに入れてバタバタするだけでも弱ってしまうんですよ」
あや郎
「標本や研究は別として、普通に楽しむ分には少し観察したら逃す。これに尽きますね。持ち帰りたい少年の気持ちもわかりますけど。ちなみに、昆虫を捕まえて、観察する際の楽しみ方を教えていただけますか?」
野坂さん
「昆虫それぞれの形の特徴を見るのがわかりやすいですね。カマキリのカマ、チョウの色、バッタの種類によって異なる形など…。もう少し細かいところでは、トンボには小さな目が1万〜3万個も集まってできた、複眼というものがあるんです。そんな、よく目を凝らさないとわからないような特徴を発見する楽しさもありますよ。ルーペがあると尚良いです。捕まえた昆虫を図鑑と照らし合わせるのも楽しいですよ」
あや郎
「ちなみに初歩的な質問ですが、虫ってどこにいるんでしょうか?時間帯や場所で、捕れる虫は違いますか?」
野坂さん
「あまり暑すぎると虫も葉の裏などで休んでいるかもしれないですね。でも基本的には、カブトムシなど夜行性の虫を除いて、日中に活動する虫については、見ることができる時間帯はあまり関係ないです。場所は、チョウは花が咲いているところ、バッタは草地、セミが鳴くのは雑木林…といった具合に、その昆虫が食べる特定のエサとなるものがある場所に行くと見つけることができます」
あや郎
「子供が虫嫌いを克服するために、なにかアイデアがあれば教えていただきたいのですが…」
野坂さん
「なかなか、虫嫌いの子供が虫捕りに来ることが無いのですが…克服するというか、まずは噛んだり攻撃してくるような虫は避けることですかね。最初からカマキリを触ってガリッとされちゃったら、もっと怖くなってしまうかもしれません。チョウやバッタ、セミの抜け殻などが入門には良いのではないでしょうか?」
あや郎
「おぉ〜。貴重なお話をたくさん聞かせていただきありがとうございます!本日教えていただいたアドバイスをもとに、後日 子供と一緒に虫捕りしてきます!」
野坂さん
「頑張ってください!」
虫嫌い克服のために徐々に慣らしてみる
今までも、娘が全く虫と触れ合ったことが無いという訳ではありません。保育園のお散歩でみんなで観察したり、私の実家に帰ったときにその辺に色んな虫がブンブン飛んでいたり。
だけど「虫は向かってきたら怖い」「基本触りたくない」「遠くから見ていたい」という娘の気持ちを尊重しつつ、次のステップに進むために、虫捕り決行の日まではひたすら……
「あ!セミが鳴いてるね!」
「ちょうちょが飛んでるね!」
「トンボがいるよ!」
などと、積極的に虫の話題を振るように心がけました。
すると最初は「ふーん。そうなんだね」
という棒読みのスルーばかり かまされていたのですが、次第に
あや郎
「セミが鳴いてるね!」
娘
「あれ?このセミはミーンミンじゃなくてカナカナってないてるね」
あや郎
「ちょうちょが飛んでるよ!」
娘
「わー!青くてきれい!」
あや郎
「トンボがいるよ!」
娘
「はやっ!これじゃあ、つかまえられないねー!」
なんて具合に次第に興味を示しはじめました。
ということで、虫捕り決行前日、虫捕り網と虫かごも100均で買ってあげると、途端にやる気になった様で、わかりやすくルンルン。
いざ、虫捕り決行の日
捕るぞ〜〜〜!!!
わぁ〜〜〜!!!
…と、張り切っていたはずなのに、あれ?いつの間にか娘の姿がない。
シューーーン
「おかあしゃん、やっほー!」
飽きてすべり台で遊びだした。
えー、飽きるの早っ……。
でも無理に虫捕りしろ!とは強要せず、娘のペースにひたすら合わせました。(※編集部注:虫捕りの記事を書くと決めてから寄稿までに2ヶ月かかりました。)
そして遊びすぎてもう閉園の時間や…。
ということで、この日は少しだけでもと、近くを飛んでいたトンボを捕まえて見せてあげました。
ジャン
娘
「わあトンボ!」
ハイ撤収〜〜〜。
ここまでの振り返り
あっけなく終わった虫捕りデビューでしたが、実はトンボを目の前にして怯えなかっただけでもかなりの成長。母、感動しました。
そして、近所の公園などで虫を見かけては遠くから眺めたり、追いかけたりすること約一週間。
満を辞して…….
虫捕りデビュー、リベンジ編
シューーーン
シュタタタ
また、こどもの国に来たよー!全力でトンボを追いかけ回す娘。
これがまた、めちゃくちゃ沢山いるんですよ。小さくてうまく写真に収めることができなかったんですけど、どれくらい沢山いたのかっていうと…
このピンクの点々がトンボだと思ってください。
そして娘、初めて自分でトンボGET
もう、たくさん飛んでて余裕すぎる。このトンボ捕りで勢いがついたのか、この日は娘も飽きることなく…
えいっ!
セミを捕まえました。
娘
「もっととりたい!」
どこだ〜〜〜
娘
「こんどは、自分でとる!!!」
きいろいチョウチョがいる…
んん〜〜捕れてない。
えいっ。。
わあー!チョウチョとれた!
よかったねー!
念願だったチョウチョも捕れて、ご満悦な娘。少し観察したのち…
バイバイ〜!
これにてこの日の虫捕りは終了!
あれだけ虫を怖がっていた娘でしたが、無事、虫嫌いを克服することができました。というより、むしろ虫が好きになった様子。
環境次第でこんなにも変わるんですね。今後もプラスになることは親が積極的に提供してあげようと思いました。
今回はこどもの国にて虫捕りさせていただきましたが、もちろん皆さまのお家の周りの林や田んぼ、公園でもいろいろな虫が生息しているかと思います。気合を入れて遠出せずとも、ぜひお子さんを連れて気軽に虫捕りを楽しんでみてください。秋もまだまだバッタやトンボなど、沢山見ることができますよ〜!
最後に、虫捕り初級編のポイントをまとめて終わります。
虫捕りのポイント
- 多くの昆虫は食べるものや、住む環境が決まっているので、虫捕りを楽しんだら最後は捕まえた場所で逃がしてあげよう
- 昆虫の生息エリアは、エサになる虫や植物、水などの環境で決まる。目当ての虫を探すなら、その虫が食べるものがある所に行ってみよう
- 昆虫を手に持ったり保管する際、羽などを痛めないように配慮しよう
- 観察する際は、その虫の特徴を探すと面白い
- 捕まえた昆虫と、昆虫図鑑を見比べながら調べるのも楽しい
- 虫デビューのときは、攻撃する恐れのある虫を触らない(特にお子さん)
- ハチやムカデ、マムシなど、危険な生き物にも気をつけよう。知らない生き物はむやみに触ってはいけません
こどもの国
住所:〒227-0036 横浜市青葉区奈良町700
TEL:045-961-2111
詳細:http://www.kodomonokuni.org/
取材協力【こどもの国、野坂佑一】
執筆【あや郎】