【銭湯×レターポット】浴場に彼女募集の広告!? 大阪市平野区「入船温泉」の斬新な試みとは!
エンタテインメントの街・大阪の外れにオモロイ銭湯がありました。その名は“平野区入船温泉”。流行りのWebサービス”レターポット”を使いこなし、「銭湯は最高のエンタメ」をモットーとして掲げる一風変わった銭湯です。こちらの最先端な取り組みと、裏側のお話を店長の大坪さんにうかがうことができたのでご紹介!
はじめまして!このたびSPOTで執筆することになりました
タカヤマ(@sauna_kurasu)です!!!
世間は空前の銭湯・サウナブームのようですね!噂によると、銭湯・サウナのWeb記事が世に出るだけでお店のアクセス数が急増するほどの人気らしいです!ほんまかいな……と思うかもしれませんが、実際オーナーさんにお話を伺うと、「ネットの力は侮れない……」と耳にすることがしばしばでして。
SPOTにおいても銭湯神・ヨッピー様が都内数々の銭湯を取り上げてくださっておりますが、今回の舞台は大阪!その大阪でも、ネットの恩恵にあやかっていた素敵な銭湯がありました。そのイケてる銭湯を紹介!!
目次
■平野区入船温泉を知ったきっかけ(Twitterのリプライから)
わたくし普段は東京でごくフツーに会社員をしてまして。都内の銭湯には数多く足を運んだことがあるのですが、実は大阪の銭湯に足を運ぶ機会がなかった(というより、大阪にどんな銭湯があるのか知らなかった……)のが正直なところでした。
しかし出会いは突然に、Twitterでとある銭湯からフォローをいただいたことがそのイケてる銭湯との出会いでした笑
「銭湯は最高のエンタメ・・・?」
なんだこの銭湯は……?そもそも大阪の平野区ってどこ?って感じだし、入船温泉って(銭湯いっぱい行ったけど)初めて耳にする名前だし、でも銭湯はエンタメっていうキーワードがリフレインして頭から離れず、妙に引っ掛かる不思議な銭湯だったのです。
そのうち、中の人とTwitterでやり取りさせていただくようになり・・・・
(こういうフットワークの軽さに、ネットを使いこなしているなぁと思われるところが節々にみられました)
そしてやり取りから間もないうちに、僕の本業の方でなんと大阪出張が決まるという……。
「このオモロそうな銭湯、すぐ訪れてみたい……!」
ということで大阪出張のタイミングで、平野区入船温泉を訪れることになったのでした。
■平野区入船温泉のご紹介
「そもそも大阪の平野って、どこ?」という人のために、大阪市の地図をGoogle Mapで確認してみましょう。
この辺です。繁華街・なんばから電車で15分!
(アクセス詳細はコチラ!→http://www.irifune.info/access/)
大阪市民でもないかぎり、訪れる機会が限られていそうな閑静な住宅地に、平野区入船温泉はありました。
施設のエントランス。(余談ですが、筆者はこの入り口付近で看板に見とれるあまり、手にしていたiPadを地面に落とす&画面をバキバキにしてしまうという荒業を披露してしまいました。今回、借り物の写真が多いのはそのためですw)
中に入るとさっそく休憩室が。ちょっとした団欒スペースもあって、混雑時以外はつい長居してしまいそうです。
こちらがフロント。人情味ある“愛情接客・愛情清掃”という張り紙は大阪ならでは……!?
“愛情清掃”の言葉に嘘偽りないとても清潔な脱衣所です。ロッカーも奥行きがあり、大きな荷物もラクラク収納。この時点でもう100点満点を付けたい。
お風呂!泡風呂・マッサージ風呂・電気風呂・寝湯があって色んなスタイルを楽しめます。浴槽も広いので、のびのびと足を伸ばして(←ココ大事)入ることができます。
それから1日ごとに色が変わる日替わり湯もあり、そしてなんと・・・
立派な露天風呂まで……!
これで入場料400円+サウナ利用50円って最高すぎやしませんか!?(余談ですが平野区入船温泉は、別名・“美人の湯”とも呼ばれており、やわらかくてなめらかな湯ざわりが特徴とのことです。女性の方々には朗報ですね!)
サウナも小さいながら良いのがありました。体感90度以上の、しっかり暖まれる温度に保たれておりまして、そして何より珍しいと思ったのが“バスタオルを腰に巻くことが義務づけられている”ということ。汗を地面に落とさず清潔に保つ、という点ではとても意義のある取り組みですね!
サウナから出たあとは汗を落として水風呂へ。この水風呂がまた良い。温度自体は18~19度なんですが、首から腰まですっぽり入る深さがあり“ととのい”の境地へとしっかり旅立つことができます!
※“ととのい”……深くリラックスした状態になること。詳しくはタナカカツキ『マンガ サ道~マンガで読むサウナ道~』を参照
■“平野区入船温泉 × レターポット”の取り組みとは?
このようにお風呂が充実している平野区入船温泉ですが、なんと“入場料タダ”の期間がありました。
しかも1日だけではなくて、2ヶ月です。マジかよ・・・。
東京都内でも10月10日は“1010=銭湯の日”と称して、入場料が無料になることはあったのですが、西の都・大阪ともなるとサービス精神が溢れても余りあるのでしょうか。
その“入場料タダ”になる具体的な仕組みはこちらです。
※レターポットとは?……2017年9月、キングコング西野亮廣さんがクラウドファンディングで立ち上げたWebサービス。レターポットは「想いをお金で送ることが出来る」画期的な仕組みで、1文字5円で相手に贈ることができ、受け取った相手はその金額の価値のレターを受け取ることができる。https://letterpot.otogimachi.jp/
平野区入船温泉の場合、2018/1/23~3/31まで“レターポット新規利用者は入場料400円が無料!”というルールでした。つまり、レターポットに登録してフロントに提示するだけ。めちゃめちゃわかりやすくないですか!?
およそ2ヶ月もの期間、“レターポット利用者は入場無料”という仕組みをなぜ取り入れたのか?平野区入船温泉の店長さんにお話をうかがいました!
■なぜレターポットで入場無料に?店長の大坪さんに聞く
店長……大坪 がくさん。とある縁から突然銭湯経営を始めることに。その前はなんとバンドマン……!音楽活動の後に銭湯の道を選んだという、異色のキャリアを持つ店長さんです。
タカヤマ:
銭湯×レターポットをコラボレーションするという発想がオモロイと思いまして。この取り組みに関して、詳しくお話お聞かせいただけないでしょうか……!?
大坪さん:
もともと職業とか全部飛び越えて「おもろいやん!」て思ってもらえるようなことをドカンッと一発やりたくて。それが銭湯発信ならもっと面白くないですか?と。そんなことをやりたいなと色々考えていた時にレターポットの存在を知って、「これや!」と直感で思いましたね。笑
※入船温泉のSNSはレターポットの他に、実に5つもの公式アカウントがあります。驚いたのは、これら全てを大坪さん1人で更新し続けていらっしゃること。
タカヤマ:
直感で、銭湯 × レターポットのコラボレーションを思いついたのはスゴイですね。SNSが数ある中で、レターポットの役割を教えていただけないでしょうか……?
大坪さん:
まず、より広い範囲の人達にアプローチすることが第一の役割ですね。レターポットをいち早く取り入れることで、外からの話題性につながると思いました。それと“アンケート”。具体的にはレターポットをフロントで提示いただくときに、うちが指定する4桁の数字を読み上げて入っていただくのですが、お風呂自体の感想だったり、施設で至らないことであったりとかを、逆にお客さんからレターという形で頂くまでが本当の狙いです。
■レターポットによってもたらされた”思わぬ効果”
※お客さんから銭湯側には、このような内容でレターが届きます。
大坪さん:
で、このお客さんからのアンケートがうちにとってはめちゃめちゃありがたくて。お風呂を無料で使わせてくれるから、みんな親身にアンケートを書いてくれるんですよ。レターポットは文字に対して5円の費用が発生するんですけど、時には何百円と課金してまでマジレスを書いてくださるお客さんもいます。
タカヤマ:
えっ、すごいですね!?たしかにアンケートで、お客さんが課金してまで銭湯への本気のアンケートを返してくださるって、なかなかないことかもしれませんね。
大坪さん:
あとは、レターを通してうちの強みと弱みがわかるので、そういう意味合いではものすごく役に立っているんですよ。たとえば、お客さんからのレターの意見を参考に内装を変えたり(※休憩室の床を改装したのもレターで頂いた声からだそうです)とか、レターのおかげで自分も従業員もモチベーションが上がったりとか。なので入場料自体は無料にしているんですが、お客さんが思った以上のフィードバックをお店に返してくれるから、うちとしてはペイしているというつもりでやっています。
タカヤマ:
(なるほど!大坪さんめちゃめちゃ考えている…!)←当たり前
※取材中にチラ見させていただいた大坪さんのメモ。レターポットを直感で選ばれたということでしたが、こういう地道な壁打ちがあってはじめて、素晴らしいアイデアが世に出回るんですね。
■「銭湯は最高のエンタメ」これからの銭湯のあり方とは
※ “銭湯ジャック”の一例。アロマフェイシャル×銭湯の模様だそうです。
大坪さん:
それとレターポットを利用されるお客さんって、大きく3つのパターンに分かれていて。1つ目がすごく行動的な方、2つ目が心優しい方、3つ目がアート職など手に職を持っている方ですね。例えばうちは“銭湯ジャック”という、定休日でなく通常営業中の休憩スペースを無料でお貸ししますという企画をやっていて。“美容×銭湯”、“健康×銭湯”、“ワークショップ×銭湯”など、銭湯でやるからこそ面白い企画を、レターポットを通じて出会ったみなさんを中心に、ワイワイしながら考えています。
タカヤマ:
“銭湯ジャック”、とても素敵ですね!レターポットでつながったお客さんと企画を作り上げるなんて、お客さんにとっても良い体験になりそうですね。ちなみに、地元のお客さんとつながった企画もあるんでしょうか?
大坪さん:
2017年に“広告×銭湯”という企画をやりました。これは浴室のタイル1枚分の面積を5円で販売して広告を貼るという仕組みです。A3用紙サイズの広告なら30円で出稿できるので、地元から広告主を募って、出稿してもらったことがあります。
大坪さん:
こんな感じで。うちのスペースを使って地元での宣伝ができますし、お客さんもお風呂に入りながら地域の色んなお店さんの情報を得られるから面白いのではないかと思ってやったのですが。これが結構好評だったんです!
タカヤマ:
3枚目の広告、めちゃめちゃオモロイですね……笑 やっぱり大阪という土地柄、こういう企画こそウケそうなイメージがあります。
大坪さん:
とはいえ、こうして色々やれているのも地元の方々の支えがあってこそなんですよね。大阪市の中でも、平野って地域が特に昔から人情味がある地域といわれていて。最初は“愛情接客”でお客さんと向き合い、常にサービスを上げていくという日々の連続でした。“レターポット×銭湯”のアイデアは、そういう地道な積み重ねがあった上ではじめて実現できたことなんです。
だから今回、“レターポット×銭湯”をやったことで全国各地の皆さんに応援や感謝のレターをいただいたのでその分、地元の方々に良い感じで還元できたらと思っています。それとやっぱり、ご来店いただけるお客さんがお風呂に入る以外の楽しみをもっていただけるような「エンタメ」や「アイデア」を提供できる銭湯でありたいですね!
■平野区入船温泉、今後の展開は?
筆者もレターポットに登録してお風呂を利用させていただきましたが、「このレベルの銭湯が本当に無料でいいのか……!?」と思わせられる充実したお風呂と施設のクオリティ。そして店長である大坪さんの、地元密着でお客さんと向き合う姿とこれからの銭湯の在り方を考える様には、一社会人として大きな刺激を頂ける貴重なインタビューになりました。
そんな入船温泉の気になる今後ですが、喫煙スペースを設けるべく、なんとクラウドファンディングに挑戦するそうです!
店長・大坪さんがバンドマンから、なぜ銭湯経営の道を選んだのか?銭湯経営にかける熱い想いが、こちらのページでより詳細に書かれています。
「入船温泉でしか手に入らない」豪華商品もあるようなので、この記事で入船温泉ファンになられた方はぜひご支援&素敵なリターンを受け取ってみてはいかがでしょうか!!
「地域コミュニティの活性化」をはかる小さな町の銭湯に喫煙スペースをつくりたい!! – CAMPFIRE(キャンプファイヤー)
https://camp-fire.jp/projects/view/68895
大阪を訪れるときはたとえ大阪市の外れであっても、わざわざ足を運びたい銭湯だと思います!いま、大阪の銭湯がアツい!(〆)
平野区入船温泉
住所:大阪府大阪市平野区平野市町3-12-15
営業時間:月〜木・土・祝日 14:00〜24:30/日曜日 6:00〜24:30
料金:入浴料…大人400円・小学生140円・小学生未満50円
サウナ利用料…50円
サウナ利用料込入浴券…大人450円
電話番号:06-6777-4886
公式サイト:http://www.irifune.info/