トロッコ列車とムーミン列車で「菜の花畑の旅」に出かけてきた
いすみ鉄道と小湊鉄道周辺の観光スポットと見どころをご紹介!今回はトロッコ列車とムーミン列車で「菜の花畑」の旅に出発。チバニアンや養老渓谷駅足湯、大多喜城など、沿線のおすすめ観光スポットを千葉在住のライターが巡ります。一人旅をお考えの方は、ぜひルートを考える際の参考にしてください!
千葉県在住のライター、関です。
すっかり暖かくなり、爽やかな気候となりましたね! すでに千葉のあちこちではさまざまな花が咲き乱れていますが、この記事ではそんな千葉の中でも最高に楽しい【菜の花畑の旅】をご紹介したいと思います。
(編集部注:菜の花のシーズンは3月下旬~4月中旬です。お出かけをお考えの方はご注意ください!)
目次
スタートは五井駅から
最高に楽しい「菜の花畑」の旅に使うのは房総半島中央部を横断する「小湊鉄道」と「いすみ鉄道」。3月下旬から4月下旬にかけて、この2つのローカル鉄道沿線には菜の花が咲き乱れているのです。さらに小湊鉄道は「トロッコ列車」、いすみ鉄道は「ムーミン列車」でも有名で、これらの特別な列車に乗る楽しみもあります。そして両路線は上総中野駅で接続しており、一気に楽しむことも可能です。
さて、こちらが小湊鉄道の出発地点。
JR内房線・五井駅の中にあるゲートをくぐった先が、小湊鉄道のプラットホームです。
ちなみに出発前に時間があれば、五井駅から徒歩2分ほどの場所にある小湊鉄道の社屋で同社所有のSLを見学することもできます。興味がある方はぜひ行ってみてくださいね!(入場料は無料です)
さて、今回は通常車両ではなく、例年3月中旬から12月中旬の間だけ運行している「トロッコ列車」に乗ります。その乗車駅はここ五井駅から7駅先の上総牛久駅。五井駅でトロッコ列車用の整理券を入手し、まずは上総牛久駅に向かいます。
なおトロッコ列車は一日2便から3便のみ、かつ乗車2日前までに予約する必要があります(当日の整理券でも乗車できますが、満席で配られないことも多いので事前予約がオススメです。予約は同社ホームページのオンライン予約またはお電話にて!)。またトロッコ列車の運行は土日祝日がメインで、平日はほとんど営業していません。お出かけの際は必ず小湊鉄道のホームページでチェックしてくださいね。
上総牛久駅でトロッコ列車と感動の対面!
上総牛久駅に到着すると素晴らしい青空の下、トロッコ列車が待っていました。
しかもトロッコ列車はSL型ディーゼル車が牽引してくれます。ますます気分が盛り上がりますね!!
トロッコ列車はご覧のとおり完全に窓がなく、開放感がすごいです。雨が降った場合はレインコートが必須となるのでご注意を。
トロッコ列車の内部はこんな感じです。いちおう屋根はあります。
なお、トロッコ列車には先ほどの開放感あふれる「展望車」の他に、「普通車」という車両もあります。普通車は下の写真のように完全に密閉されており、菜の花畑の臨場感を十分に味わえないので予約の際はご注意ください。
さあ、いよいよトロッコ列車の出発です!
上総牛久駅を出発したあとは、なんとものどかな田園風景が広がります。
田植え前の水が張られた田んぼ。
どんどん車には追い抜かれますが、逆にのんびりとしたスピードが心地いいです。
里見駅のごちそう
上総牛久駅を出たトロッコ列車が次に止まるのは里見駅。プラットフォームでは地元の方たちが手作りの料理で歓迎してくれます。
ちょうど春が旬のタケノコのみそ汁(300円)をいただきました。
柔らかくて美味しいです!
こちらは房総半島の名物である「祭り寿司」。
地元で取れる農産物や海産物を軸にした巻き寿司で、華やかな模様が特徴です。
皆さんに見送られて、里見駅を出発!
月崎駅のチバニアン
里見駅の次の停車駅は月崎駅。次第に標高が高くなり、眺めはどんどん良くなります。
眼下に見下ろす小川。
沿線沿いに咲く菜の花。
里見駅から10分少々で到着した月崎駅。ここは停車時間も短く、比較的すぐに出発してしまいます。
この駅周辺の見どころは、2017年末に新聞やテレビなどでも紹介された「チバニアン」。正式名称「田淵地磁気逆転地層」です。
そこは世界で二ヶ所しかない「地球の地磁気の逆転現象を観測できる地層」が露出している場所であり、現在はまだ検討中ですが「新生代・第四紀・更新世・中期にあたる77万年前〜12万6千年前」の時代に「チバニアン」という名前が付くかもしれないとのこと。日本の地名が地質時代名称につけられれば、史上初の快挙になるそうです。
そんなチバニアンまでは月崎駅から徒歩30分〜40分。もし行ってみる場合には山道や濡れた河原を歩くため、しっかりとした靴を用意してください。
こんな山道や……
河原を先に進むと……
こんな断崖絶壁が出現します。看板を拡大すると以下の通りです。
地層マニアと行くと、くわしく解説してもらえるかも!?
いよいよ菜の花畑が!
月崎駅を出ると、山を切り開いた「切り通し」という狭い崖やトンネルをトロッコ列車は走り抜けていきます。そして、その先には……
こんな光景を見ることができます。
また車内では、こんな記念撮影サービスも行われます。
車掌さん、ありがとうございました!
こんな高い場所の鉄橋を越えると、いよいよ養老渓谷です。
水を張った田んぼの向こうに菜の花畑が!
「石神の菜の花畑」。取材前日の強風で少し花が散ってしまったとのこと。
トロッコ列車から写真を撮る人と、トロッコ列車の写真を撮る人と。
トロッコ列車の終点、養老渓谷駅に到着!
あっという間に1時間が過ぎ、トロッコ列車終点の養老渓谷駅に到着しました。
いすみ鉄道に接続する上総中野駅行きの電車の時間に注意しつつ、ぜひ養老渓谷周辺の見どころを楽しんでください(時刻表は各駅でもらえます)。
かわいい雰囲気の駅舎を出ると、手作りの和菓子や鮎の塩焼きなどが屋台で売られています(土日祝日のみ)。
このいちごも地元で作られているものとのこと。甘くておいしいです!
また駅舎脇には足湯があります。
営業時間はわりとアバウト。取材当日(土曜日)に足湯が始まったのは11時30分くらいでした。
疲れた足がジンワリほぐされます……
駅の改札でタオルが100円で売っているので、手ぶらでOK!
駅前の「旭屋(あさひや)」さんでは、養老渓谷で採れる山菜を入れたそばが食べられます。季節によって採れる山菜は異なり、このときのメニューは「ワラビ、シイタケ、タケノコ、菜の花、ゼンマイ、シメジ、オオモミタケ、フキノトウの天ぷら」でした。
養老渓谷駅から15分ほど歩けば、トロッコ列車から見た「石神の菜の花畑」に行くことができます。
こちらが石神の菜の花畑。
カメラを構えて電車を待つ人たち。
私でもこんな写真が撮れました!
いすみ鉄道に乗り換え。これがムーミン列車だ!
小湊鉄道の終点である上総中野駅で、いすみ鉄道に乗り換えることができます。いすみ鉄道の特徴はなんといってもその「菜の花のように黄色い車両」と「ムーミンたち」。
車両の外壁から車内のあちこちにムーミンたちがいます。
車両の中にムーミングッズの展示コーナーもあります。
車内のあちこちにステッカーが。あまり見たことのないキャラまで大集合。
本多忠勝の城がある大多喜駅
そんな風に車内写真を撮っているうちに、到着したのが大多喜駅。あまり菜の花には関係ありませんが、ちょっと寄り道してみると楽しいと思います。
いすみ鉄道は各駅や車両内でムーミン・スタンプラリーを実施しています。しかし、大多喜駅のスタンプはつい最近何者かに盗まれてしまったとか……。このスタンプはスタンプラリー用とは別のものとのこと。
大多喜駅から徒歩15分ほどの場所にある大多喜城。戦国時代の武将、本多忠勝の居城として有名です。
場内では本多忠勝にあやかった酒が売っていました。会社の飲み会などに持っていったらウケるかも?
風が爽やかな国吉駅
さて、いすみ鉄道の菜の花畑のみどころはこの駅が中心。駅でレンタサイクルを借り、隣の上総中川駅まで線路沿いを走れば、いくつもの菜の花畑スポットが見つかります。
その前に「風そよぐ谷 国吉駅」をご紹介。駅の目の前の広場にはムーミンたちの像があり、駅構内にはムーミングッズショップがあります。
風が吹き抜ける、とても気持ちの良い広場。
しかし、飾られているオブジェは少し残念……
駅構内のムーミングッズ売り場。ムーミンマニアには大変なお宝が見つかるかも?
国吉駅の待合室には、こんな猫が寝ていました(飼い猫ではないそうですが、「おかあちゃん」という名前で呼ばれています)。
国吉駅から隣の上総中川駅までの間にはこんな風景があちこちに見つかります。沿線の方に伺ったところ、いすみ鉄道がタネをまき、管理しているとのことでした。
またさらに行った場所で菜の花畑を撮影していると地元の方と立ち話に。このあたりの旧家の方で、「うちのタケノコを持ってきなさい」と立派なタケノコをいただいてしまいました。
タケノコを掘り出す鮮やかなクワさばき。
その晩、おいしくいただきました。
亀川さん、ありがとうございました!
さらに進むと線路を見上げる斜面に沿って菜の花が。ちょうど電車が通れば、いい写真が撮れそうです。
ただし、こんな表示も。マナーを守って撮影したいものですね。
上総中川駅まで来たところでUターン。国吉駅にレンタサイクルを返しに行きます。
大原駅へ
国吉駅から大原駅までの間にも菜の花畑が点在。車内放送で教えてくれる上、ちょっぴりスピードを落としてくれます(気のせいかも?)。
また車両によっては車内にはムーミンのスタンプがあることも。見落とさないようにチェックしてください。
いすみ鉄道の終点・大原駅に到着
いすみ鉄道の旅も終わり、大原駅に到着します。
線路脇にはムーミンの仲間たちと記念撮影できる日付入りパネルが。
改めて、大原駅の前で一枚。
駅構内には、いすみ鉄道に関連したいろいろなお土産が売っています。
もちろんムーミンのスタンプも!
小湊鉄道といすみ鉄道の菜の花を追いかけたこの取材では、どちらの鉄道も沿線に住む多くの人に愛されていることが印象的でした。ぜひ、皆さんもローカル鉄道の旅を体験してみてくださいね!
〜終わり〜