日本最古のホテル、オリエンタルホテル神戸がまるでアジアンリゾート

オリエンタルホテル神戸は日本最古のホテル。アフタヌーンティーのような3段トレイの朝食やフレンチトーストにテンションが上がります。アジアンリゾートにいるかのような異国情緒を感じれる、古くて新しいオリエンタルホテル神戸の魅力をお届けします。

日本最古のホテルが神戸にあるということをご存じでしょうか?

実は筆者も最近まで知らなかったのですが、神戸で泊まるホテルを探していたところ、「日本最古のホテル」の記述を発見。「きっと素敵なホテルに違いない!」と、一瞬で予約を決めました。

古くて新しいホテル「オリエンタルホテル神戸」の魅力をたっぷりとレポートします。

日本最古のホテル「オリエンタルホテル神戸」

洗練された異国情緒漂う神戸旧居留地。その中心に「オリエンタルホテル神戸」はあります。

何を隠そう、オリエンタルホテル神戸は神戸港開港から間もない1870年に創業した日本初のホテル(もっと古いという説もあります)。外国人専用のホテルとして始まり、戦後は政財界の社交場として世界中のVIPを迎え入れてきました。

あのマリリン・モンローとジョー・ディマジオが新婚旅行で日本を訪れた際、2人はこのオリエンタルホテル神戸に宿泊しているんです。

そんな華麗なる歴史をもつオリエンタルホテル神戸ですが、阪神淡路大震災で被災し、廃業を余儀なくされます。「居留地のシンボルとしてのオリエンタルホテルを取り戻したい」という神戸市民からの声もあり、震災から15年を経た2010年、「ORIENTAL HOTEL KOBE(以下:オリエンタルホテル神戸)」として装いも新たにオープンしました。

歴史はあるけど、建物はモダン。そう、オリエンタルホテル神戸は古くて新しいホテルなのです。

館内に入るとそこは別世界

オリエンタルホテル神戸があるのは、商業複合ビル「神戸旧居留地25番館」。交通アクセスは、神戸市営地下鉄海岸線「旧居留地・大丸前」駅から徒歩約7分、JR神戸線「三ノ宮」駅から徒歩約10分で、神戸観光にもってこいの便利なロケーションです。

1階にはルイ・ヴィトンなどが入居していて、ブランドショップのほうが目立っているので、ホテルの入口は案外目立ちません。

しかし、自動ドアをくぐって館内に入ると、もう別世界。スタッフがエレベーターまで案内してくれ、そこからすでに上質な「おもてなし」が始まっているのです。

ホテルのレセプションがあるのは建物の最上階にあたる17階。一般的には、最上階はスイートルームなどの最上級の部屋に充てられていることが多いですが、オリエンタルホテル神戸では「すべてのお客様に最高の景色を楽しんでいただきたい」という思いから、最上階にレセプションを設けているのだそうです。

コンセプトは「時を超えるホテル」。レセプション前の壁面には、世界地図のパネルがあり、前身のオリエンタルホテルが世界とつながっていた歴史を感じさせます。世界地図の下にある時計は、当時神戸港に出入りしていた国々の時間を表しているのだとか。

昔のオリエンタルホテルは灯台の役割も果たしていたそうで、今でもレセプションには海から見える場所に暖炉が置かれています。現在のオリエンタルホテル神戸はとてもモダンで洗練された空間ですが、日本最古のホテルの歴史を受け継ぎ、内装や調度品にストーリーをもたせているところが素敵ですね。

17階フロアは4面ガラス張りになっていて、レセプションから続くハーバービューの廊下は神戸港を望む特等席。

夜も様子を見に来たのですが、各テーブルにキャンドルが置かれ、なんともムーディー。1人で泊まっていたのが少々悲しくなるくらいにロマンティックな雰囲気でした。カップルで宿泊したら素敵な時間が過ごせること請け合いですね。

アジアンリゾートにいるかのような異国情緒

オリエンタルホテル神戸では8~13階がレギュラーフロア、14~16階がエグゼクティブフロアとなっています。

今回筆者が宿泊したのが、12階のレギュラーフロアにあるハーバーサイドキング。オリエンタルホテル神戸では最もお手頃な客室のひとつですが、赤をアクセントにしたインテリアに目を奪われてこの部屋を選びました。

最もお手頃な部屋タイプのひとつとはいえ、部屋の広さは36平米でベッド幅は200cmと、上質感たっぷりのゆとりの空間。

コロナ禍の平日ということもあり、公式サイトからの予約で室料が13,000円、追加の朝食代が2,420円で計15,420円。「こんな素敵なお部屋にこんな値段で泊まれていいの!?」と思ってしまうほどでした。室料は1人でも2人でも同じなので、2人で宿泊すれば、1人あたりの室料はなんと6,500円です。

オリエンタルホテル神戸のインテリアは、最近流行りの「和モダン」とも違って、日本人から見てもエキゾチック。どちらかというと西洋人から見た東洋を体現しているような印象です。ホテル全体に官能的なアロマの香りが漂い、シンガポールの高級ホテルが思い出されます。

デスクチェア正面の壁面には、往時の神戸港の写真など、ノスタルジックなフレームがずらり。う~ん、こういうレトロ感がたまりません。

ハイセンスなインテリアに囲まれているうちに、一瞬ここが日本であることを忘れ、どこか異国を旅しているかのような気分が味わえます。

しかも、お部屋の窓からはこの景色! レギュラーフロアということもあり眺望には特に期待していなかったのですが、広い窓から神戸ポートタワーが見え感激。港からは時折船の汽笛が聞こえ、「港町にいるんだなぁ」と、ちょっぴり感傷的なノスタルジーに浸ってしまいました。

バスルームやアメニティも充実

居室部分に設けられた洗面台は大理石で、アメニティとしてシャンプー・コンディショナー・ボディソープはもちろんのこと、スキンケアセットも用意されていました。

バス・トイレはもちろんセパレート。広々としたバスルーム内にはゆったり足を伸ばせるバスタブがあり、通常のシャワーとレインシャワーの両方が備わっているという、至れり尽くせりの環境です。

個人的に「わかってる!」と言いたくなったのは、お茶の充実度。

客室内にはスタイリッシュなデロンギのケトルやティーポット、無料の水などが用意されているのですが、「KNOTS COFFEE ROASTERS.」のドリップコーヒーに加えて、紅茶・緑茶・ハーブティーなどティーバッグがなんと6種類も。お茶派は気分や時間帯に応じて飲むお茶の種類を選びたいものなので、これはものすごくうれしいです。

部屋ごとに異なるインテリア

オリエンタルホテル神戸は、部屋タイプごとに雰囲気の異なるインテリアが特徴。ここで、ホテルの方にお願いして特別に見せてもらったほかの客室も少しご紹介します。

レギュラーフロア シティサイドツイン。

筆者が宿泊したダブルベッドの部屋は赤がアクセントですが、こちらはライムイエローがアクセントカラー。それだけでずいぶん雰囲気が変わりますね。

レギュラーフロア デラックスハーバーサイドキング。

デラックスタイプになると、レギュラーフロアでも41.91平米以上の広さ。マリン風の爽やかな内装で、前の2部屋と比べるとがらっと印象が変わります。

壁に架かっている絵は、ホテル運営会社の社長がキューバを訪れた際に出会った無名の画家のタッチに惚れ込んで買い付けたものなのだそうです。なんて素敵なお話……!

ジュニアスイートキング。

居室部分がリビングルームとベッドルームに分かれた贅沢な空間で、外国映画のワンシーンに出てきそう。バスルームはビューバス仕様で、神戸の夜景を見下ろしながら特別なひとときが過ごせること請け合いです。

あなたならどのお部屋に泊まりたいですか?

朝食はアフタヌーンティー風3段トレイ

ホテル宿泊といえば、「朝食が楽しみ」という人も多いはず。オリエンタルホテル神戸では、17階の「メインダイニング バイ・ザ・ハウス・オブ・パシフィック」にで、神戸市街を見下ろしながら優雅に朝食をいただくことができます。

本来、朝食はビュッフェなのですが、現在はコロナ禍ということで洋食または和食のセットメニューに切り替わっています。こう聞くと残念がる方もいると思いますが、オリエンタルホテル神戸の朝食はコロナ禍でも「残念なセットメニュー」じゃないんです。

洋食はなんとアフタヌーンティー風の3段トレイで提供。これ、女子なら間違いなくめちゃくちゃテンションが上がりますね!

メニューは、「スモークサーモン/兵庫県産朝採れ野菜/季節の冷製スープ/トマトカプレーゼ/アボカドタル/タルカポナータ/生ハム/フルーツ/ヨーグルト」など。

どれも素材のおいしさをいかしたナチュラルなお味で、ひとつひとつ丁寧に作られていることがうかがえます。写真は1人分なので、2人で注文すればキレイにトレイが埋まった形で出てきますよ。

新感覚のフレンチトーストが絶品

さらに「エッグベネディクト/目玉焼き/オムレツ/スクランブルエッグ/フレンチトースト」から、好きな卵料理がチョイス可能。筆者は迷った末フレンチトーストを選んだのですが、これが大当たりでした。

ベーコンとソーセージと一緒にかわいらしいスキレットでサーブされるフレンチトーストは、中はしっとり口の中でとろけるような食感。さらに表面はパイのようなサクサクした生地に覆われているのでまったく異なる食感が楽しめ、これまでに食べたことのない新感覚のフレンチトーストでした。

しかも、これらに加えてオリエンタルホテル特製カレーが注文できるうえ、自家製フォカッチャやクロワッサンなどのパンビュッフェもあるので、ボリュームも十分。

筆者は自重しましたが、朝からたくさん食べたい方でも十分に満足できる量となっています。一日のはじまりに洗練された上品な空間で、見た目にもおいしい朝食をいただき、もう幸せ……。

おわりに

「きっと素敵なホテルに違いない」という期待をもって泊まりましたが、その期待を裏切るどころか超えてくれたオリエンタルホテル神戸。旧居留地の中心にありがながら、ホテルのエントランスが大々的に口を開いているわけではないからか、どことなく隠れ家的な雰囲気があるのも魅力です。

関西出身の筆者はもう何度も神戸を訪れていますが、今回オリエンタルホテル神戸に泊まったことで、改めて国際都市・神戸の歴史にふれ、神戸の魅力が再発見できた気がしました。

実際に宿泊してみて、オリエンタルホテル神戸は「上質感と異国情緒、ノスタルジーとモダンが共存するホテル」だと感じています。「次は誰かと一緒に来たいな」 ― そう思いながら、日本最古のホテルを後にしたのでした。

ORIENTAL HOTEL KOBE
所在地:〒650-0034 兵庫県神戸市中央区京町25
公式サイト:https://www.orientalhotel.jp/

駐車場:地下2階に提携駐車場