夏を求めて九州へ(熊本・杖立温泉)
最初の目的地、熊本・杖立温泉には福岡空港から黒川温泉行きの高速バスで向かって途中下車する。 超有名な黒川温泉にはいずれ誰かと来そうだから、1人でぶらぶら行くので杖立にしてみた。 まだ地震の影響で一部通行止めの区間があって、少し遠くの別のバス停で降りなきゃいけないんだけど、本当だったら2時間くらいで直通で着く。
※この記事は「SPOT 旅に出たくなる記事コンテスト」の入選作品です。
(既に発表頂いている記事です。こちらから転載させていただきました。)
ライター : もぐもぐ(@mgmgnet)
夏が終わっていくことに耐えられなくて九州に5日間行ってきた。
あまりに馴染みがない場所で、完全に知らない土地で新しいものをたくさん見た。
想像力に乏しい傲慢な人間なので、こうやって少しずつ自分の身でリアルを獲得していくしかない。
この夏は大学生か?ってくらい遊びまくったけど学生時代よりずっと楽しかった。
全然お金がないのに時間だけがあって、未来が不透明な時代はいろんな面で結構しんどかった。
今のほうがはるかに健全な精神で生きている。
別に特別裕福なわけではないし、めちゃくちゃ浪費家だし、貯金を食いつぶしまくっているけど、それでも自分で稼いだ金を好きなように使えるなんて、なんて贅沢で幸せなことだろうと思う。
大人、超楽しいからな。大学生の自分よ、ざまあみやがれ。
熊本・杖立温泉へ
最初の目的地、熊本・杖立温泉には福岡空港から黒川温泉行きの高速バスで向かって途中下車する。
超有名な黒川温泉にはいずれ誰かと来そうだから、1人でぶらぶら行くので杖立にしてみた。
まだ地震の影響で一部通行止めの区間があって、少し遠くの別のバス停で降りなきゃいけないんだけど、本当だったら2時間くらいで直通で着く。
通行止めの道の片側車線は、着いた翌日の夕方に開通していた。
バスの乗り継ぎに失敗してタクシーを使ったんだけどいろいろおしゃべりできて楽しかった。
あふれるくまモンのほかに、嵐の写真やステッカーで車内がデコってあってびっくりした。
運転手さんがファンなんですか?って聞いたら、小さい子が喜ぶから、ってにこにこしてた。
このあたりのタクシーは近所の子どもを何人かまとめて乗せて習いごとの送り迎えとかに使われることも多くて、喜んでもらうためのことを考えたんだって。
「タクシーも殺風景じゃさみしいもんね、差別化していかないとね~」と笑ってた。
個人タクシーでもないのに自由だなあ。なんで嵐なのかっていうと、奥さんがファンらしい。
お昼くらいに杖立に着く。暑い。ド平日の真っ昼間、誰もいない。
特に目的もないのでふらふらと散歩する。
大きな川の両岸にレトロな温泉街が広がっていてすごくいい。どこにいても水の音が聞こえる。
温泉の蒸気を使って調理できる「蒸し場」がいくつもあって、地元の人も観光客も勝手に使っていい。
野菜と卵といきなりだんごがセットになったセットを買ってやってみた。
楽しい。そういう蒸し物文化なので、いろんな旅館でプリンを作って「杖立プリン」として売り出してる。おいしかった。
杖立温泉について | 杖立温泉
少し食べて涼んだので散歩する。いい意味でたいしてすることもない。
ぼーっと川を眺めたり入ったお店でおばあちゃんと話したりする。
朝産んだばかりのチャボの卵をくれた。明日の朝卵かけごはんにするんだ。
最近Instagram検索を試していて旅館「米屋別荘」さんのロビーで、プリン味のかき氷が食べられるらしい、と見たので行ってみた。
時間ギリギリだけど注文受けてくれた。プリンとラズベリーのハーフ&ハーフにする。
こ、このボリュームで500円……!
すごい!!!超~~おいしかった。宝石を砕くみたいな気持ちで食べた。
氷にかけるからどうしても水分で薄まってしまうので、プリンをそのままシロップにしてはだめで、氷屋さんの「師匠」にアドバイスを受けながら何度も試作したらしい。
卵でもミルクでもなくちゃんとプリンの味がするかき氷。
旅館のなかだから、チェックイン・アウト業務が忙しい時間は提供してなくて、若女将がいる時だけで、出してる時間は12~14時半くらいかな、と言っていた。
ちょっと遅めに行ったから、ダメな日に行ったらダメだったはず……ラッキーだった。
「泉屋」さんに泊まる。
1人のお客さんて面倒だと思うけどすっごく親切にしてもらってありがたかった。
旅程をあんまり決めてなかったので相談したり。鮎の塩焼き、人生で食べた鮎でいちばんおいしかった。
たまたまこの日女性の宿泊客がいなかったらしく、広い浴場もずっと貸し切りで贅沢の極みだった。
身体を蒸気で蒸し上げるサウナ「蒸し風呂」がいくつも種類あって楽しい。
箱の中で椅子に座って頭だけ出して、首から下をあっためるやつがめちゃくちゃ気持ちよかった。
平日最高、夏の温泉最高!!!心ゆくまでお風呂に入って浴衣で夕涼みに川沿いをてくてく歩いて、窓際でぼんやりしたりする。大人になったなあ。
鯉のぼりが川にたくさんはためく5月がハイシーズンなんだけど、今年は地震でそれどころじゃなくて大変だったらしい。
その景色もみたいな~。杖立温泉、お湯も景色ももすごくよかったからまた来たい。ぼんやりしに来たい。
今年もいよいよ「鯉のぼり祭り」が始まります。それに先駆けて「鯉のぼり挙げ(3/28)」のボランティアを募集いたします。私達と一緒に鯉のぼりを挙げてみませんか?ご参加お待ちしています! https://t.co/bEgZYu7GGk pic.twitter.com/Z9z9eqLzyc
— 杖立温泉観光協会 (@tsuetateonsen) March 19, 2016
麗しの熊本城
朝からまた温泉に入って、阿蘇経由で熊本市内に向かう。
レンタカーとかで行けば多分2時間もかからないのですが今回はバスを使うので3時間くらいかかるルート。このエリアは大分との県境にあるので福岡からの方が近い。
始発の杖立から終点の阿蘇まで。
お客さんあんただけになるかもしれんわ、と言われて、案の定途中で少し乗り降りがあったあとに山間を走るあいだのかなり長い区間はわたしと運転手さんだけだった。貸し切り。
今このへんカルデラの縁のあたりね、あっちの山の茶色いところは地震で地すべりがあってはげた、とかいろいろ説明してくれる。
緑も青も濃くてすごくいい。そっか写真撮りたいか、と見晴らしのよいところで一瞬止めて降ろしてくれた。普通の路線バスなのに……優しい。笑 1時間半くらい結構飽きずにしゃべったり写真撮ったり本読んだりしてた。
阿蘇から熊本への経路はバスと電車があるのだけど、肥後大津~阿蘇間の電車はまだ止まっている。大変だ。
地盤が違うだけで、物理的にはほんの少しだけしか離れていない場所でもずいぶん被害が違ったらしい。なのでまたバス。ちょっと眠る。
熊本にたどり着く。初めて来た。
熊本城、思ったよりずっと崩れていてびっくりした。立ち入り禁止の奥に崩れた石垣が見える。
修復に20年かかる、ってそんなに?と思っていたけどこれは大変だ。
中には入れなくて外側をぐるりと回って加藤神社の方にいくことはできる。
それでもきれいだった。
ものすごく広いお城なんだってことを初めて知った。
時間がたまたま合ったので「熊本城おもてなし武将隊」の夕涼みツアーに参加して解説してもらってたんだけど、一本柱を使った建築の内部が見られるのは今だからこそです、必ず元に戻りますからね、と言っててそうだなぁと思った。確かに断面図とかでなく、目の前で見られる。
武将隊の皆さん、軽口叩きながらツアーしてくれるし、写真撮影コーナーもあるし、ミーハー心が満たされた。
加藤清正公が祀られている神社の解説を加藤家の家臣たちのみなさんにしていただくのはなんだかシュールでした(設定についてはぐぐってください)。
路面電車大好きだから熊本は楽しかった。
あとは水前寺公園で庭園散歩したり(超いいお庭だった)
踊るくまモンとぐんまちゃんに遭遇して大興奮したりした。
くまモンスクエアに行ったら偶然パフォーマンスタイムでくまモンとぐんまちゃん(とお姉さん)が踊り狂ってて最高にアッパーだった pic.twitter.com/Lfe9f2YWwx
— もぐもぐ💸✨ (@mgmgnet) August 26, 2016
お前らいちゃいちゃしやがって😡😡😡😡 pic.twitter.com/wQzvyqaeoj
— もぐもぐ💸✨ (@mgmgnet) August 26, 2016
くまモンさん、無銭接触でハグまでしてくれちゃうのでリアルな目線をお届けします pic.twitter.com/36JiRAOsYq
— もぐもぐ💸✨ (@mgmgnet) August 26, 2016
最後のご挨拶でくまモンさんが正座しはじめて自分も真似しようとするけどうまくできなくて横目でチラチラ見ながら結局立ったまま行儀よくお辞儀するぐんまちゃんさんかわいい pic.twitter.com/WbFD51thtH
— もぐもぐ💸✨ (@mgmgnet) August 26, 2016
馬刺しを食べてレバ刺しを食べて熊本で熊本県菊池市の日本酒「美少年」を飲むぞっていう夢を叶えて、地酒がたくさん置いてあるバーで焼酎をいただいてくまモンとツーショを撮る。
中心部も地震でかなり揺れて、お酒のボトルも当然割れちゃってしばらく営業ストップした、って話を聞いた。
今はずいぶん普通に見えたけど、しばらくは薄暗くてもやもやした不安が街を包んでいたのだろうか。
浮かれて1人で何軒もはしごして(やりすぎた)いろんな人としゃべって楽しい夜だった。
熊本に旅行に来ると、お金を使いすぎてもお酒を飲み過ぎても、復興支援、と思えることがわかった。重要な気付き!!消費を肯定できる!!いいところだったな~また来たい。
佐賀って何があるの
翌朝、佐賀・唐津に向かう。九州新幹線で博多に行くルートがいちばん簡単でびっくりした。そうなんだ!
というか九州新幹線思ったよりずっと安かった。熊本~博多間、ネットで買えば3600円なんだ……。
1週間前までに予約したら2000円ちょっとになる。えー。安い。しかも40分で着く。
近いなあ。福岡にコンサートやお芝居で遠征に来た時に熊本まで遊びに来るの全然できるじゃん。新しい知見を得た。
博多で東京から来た友人と合流して、一路唐津へ向かう。
なんで唐津かって言うと……
「おそ松さん」とのコラボイベントをやってたからです!!せっかくなので来た!笑
商店街のお店にもポスターがたくさん貼られていて、経済効果~~と思った。
新聞にも度々取り上げられてる。コラボしたお店の来店者20倍……!
おそ松のイラストに使われてる「唐津くんち」のお祭のお衣装を展示してくれてるの超親切!と思った。かっこいい。
ショップに置かれていたノートを見たら、本当に北は北海道から南は沖縄まで全国のいろんなところから人が来ていてすごかった。
あと、夏休みも終盤だからかもだけど、わたしがいた時間はスタンプラリーする中にちびっ子や家族連れも多くてにこにこした。
国民的コンテンツ……。周りを見ても小学生の男の子女の子が普通におそ松さん好きなのですごいねえ。
ネットで知り合った友人が長崎から遊びに来てくれて、一緒に車で市内をまわった(初対面なのにお言葉に甘えまくるわたし……ありがとうございます)。
呼子のイカを食べたかったのだけど天候不良で食べられなくて悲しかった。
これまで1人でふらふら旅行してるのも楽しかったんだけど、文化財指定されてる美麗な近代建築の邸宅を見学しながら「矢口蘭堂の実家にお呼ばれした志村と安田ごっこ」をしたりするのもめっちゃ楽しかった。
燃費がいいので何をしていても楽しい。
夜が更けても分かれずにコンビニでビールを買ってホテルでだらだらだら話せるの最高なので旅行好きだな~。
次の日は大雨の福岡に行ったのですが割愛します!!(疲れた)ゴジラ展、超よかったです。
九州、確かに車がないと大変だけど、今回の旅はゆるゆる時間を溶かしたかったのでそういう気分で来る場所としてはすごくよかった。
長い夏がついに終わってしまう。2016の夏は自分にしかわかりえないいくつかの理由で結構特別だった。明日からまた生きるぞ。