【聖地巡礼】アメリカに行って、大谷翔平選手を見てきた【試合観戦】

米MLBで鮮烈なデビューを果たした、エンゼルスの大谷翔平選手。以前、岩手県奥州市で大谷選手の聖地巡礼を行ったライターの長橋諒が、大谷選手と田中将大選手が出場したエンゼルス対ヤンキースの試合を観戦するために単身ニューヨークへと飛びました。

2018年4月。

大谷翔平という野球選手が米・メジャーリーグで鮮烈なデビューを果たした。

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往年の名プレイヤー・ベーブルース以来となる、バッティングとピッチングの二刀流でメジャーの舞台に挑んだ大谷翔平選手。当初、日米の野球評論家の大半は「プロはそんなに甘くない」「1つでも成功するのが難しいのに、打者と投手2つを追うなんて無理」「せっかくの才能を潰してしまう」など厳しい反応を見せていたが、現在それを見事に打ち負かすような成績をあげている。

僕はテレビの前で活躍する大谷翔平選手の姿を見て、ここまでの才能を世界という大舞台で発揮できる“彼自身”のことが気になった。彼がどんな生い立ちで、どんな場所で生まれ育ったのか、が。

 

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気が付いたら僕は東北新幹線に乗って、大谷さんの故郷である岩手県・奥州市に向かい大谷さんが育った街を回っていた。彼がどんな小学校に通って、どんな場所で友達と遊んで、どんな青春時代を送ったのかを知り、「大谷さんはこの街で生まれ育ったからこそ今がある」そう心から感じ、奥州市をあとにしたのだった。

そして、帰りの新幹線の車内である結論に至った。「彼の過去を知ることも良いが、今の大谷さんの姿をこの目で見てみたい。今見ておかないと、死ぬときに絶対後悔する」ということである。

 

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ということで、新幹線の車内でアメリカ・ニューヨーク行きのチケットを取ったのだった。

ロサンゼルスではなくニューヨークに行く理由は、大谷さんがこの期間ニューヨークでヤンキースと試合をするからである。大谷さんにとってアウェイであるヤンキースタジアムに向かい、大谷さんの勇姿をこの目に焼き付け、応援をしたいと思ったのだ。

 

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アメリカ行き当日。飛行機で機内食を食べながら、大谷さんと僕の関係についてを考えていた。一見、なんの関係性もない僕と大谷さん。というか一見ではなく、よく考えても全く関係性が浮かび上がらない。僕が一方的に好意を抱きすぎている。

僕はこれまで「アメリカに行きたい」と思ったことはなかったが、大谷さんはそんな僕の気持ちを簡単に動かしてしまった。恋は盲目というが、それくらい僕は大谷さんに心を奪われている。飛行機に乗っていると、大谷さんとの時差がだんだんと縮まっていくのがわかってドキドキしてきたし、大事な人がアメリカの大舞台で活躍する姿をこれから見ることができるんだと思って嬉しくなっていた。

やっぱり僕は大谷さんに恋をしているのかもしれない。

 

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そんなことを13時間ほど考えていると、ニューヨークの街に到着した。

ニューヨークといえば、タイムズスクエアである。平日といえこの場所は大賑わいであり、たくさんの観光客がこの街のシンボルを楽しんでいた。

僕は日本語しか扱うことができないので、聞き耳を立てても周りの人々が何を喋っているのわからない。だが話の話題はおおよそ大谷さんのことであることは間違いない。

「オオタニさん、まじクールだよね」
「わかるわかる、彼は世界の宝だよ」
「僕もオオタニと同じ日本人に生まれたかった」
「明日、ヤンキースタジアムで試合があるらしいぜ」

大体このような会話を繰り広げ盛り上がっているのだろう。

実際に、街中にいたニューヨーカーにも大谷さんの話題を振ってみた。
「Do you know OHTANI ?」

 

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「もちろん知っているよ! オオタニは今世紀最高の野球選手と言っても過言ではないとボクは思うんだ。世界最高のピッチャーであり、世界屈指のバッターだ。しかも高身長でイケメン。神はこれ以上不公平になれるんだろうかとも思う。キミは大谷と一緒の日本人で羨ましいよ」

英語が聞き取れないので彼が言っていることはほとんど理解できなかったが、このような話をしていたと思っていいだろう。みんな大谷さんのことを家族のように話している。ニューヨークは本当にいい街だ。

だが、そんな素晴らしいニューヨークの街を、素晴らしい野球選手である大谷さんは観光することができない。大谷さんは忙しいからだ。ということで、暇な僕が大谷さんの代わりに街を見て回ることにした。

 

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リバティー・アイランドの自由の女神も、大谷さんに賛美を送っていた。女神すら虜にする大谷さん。まさに神の申し子だ。

 

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大谷さんに負けず劣らずの有名人・トランプ大統領が所有するトランプタワー。大谷さんと同じくらいインパクトがある。トランプ大統領も大谷さんがアメリカにやってきたことを嬉しく思っているに違いない。

 

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ニューヨークには美術館が数多くあった。大谷さんの野球道具や私物が飾られることは、そう遠くない未来であると確信した。

 

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街中で、大谷さんのことを見かけることも多かった。ニューヨークはヤンキースとメッツが本拠地を構えているのにもかかわらず、ニューヨーカーの話題は大谷さんでもちきりである。さすが大谷さんだ。

 

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また、ニューヨークの街中にいたるところにある「LinkNYC」という電話ボックスにも試合のスケジュールが記されていた。なおこの「LinkNYC」は大谷さん並と同じく二刀流である。電話ボックスであるのにも関わらず、無料のWi-Fi&充電スポットにもなっているのだ。

そうやって街を回りながら、僕はずっと大谷さんのことを考えていた。大谷さんは今何をしているのだろうか、変なニューヨーカー女に言い寄られて困っていないだろうか、そろそろ日本食が恋しくなっていないだろうか。チームメイトと仲良くやれているのだろうか。

頭の中で考えているだけでは飽き足らず、大谷さんの最新記事でも読もうかと思いスマホを開くと、衝撃的なニュースが舞い込んできた。

 

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なんということだろう。大谷さんは僕が行く予定の試合で登板しないことになってしまった。嘘だろ? と思っていくつかのニュースサイトを確認したが、これはフェイクニュースではなく真実のようだった。

大谷さんのことだけを聞いて欲しかったのであえて今まで記載していなかったが、その日のヤンキースタジアムでの試合は日本が誇る最高の天才投手・田中将大と大谷翔平の2人がしのぎを削るものになるはずだったのである。

だがロサンゼルス・エンゼルスはスーパースター大谷さんの “負荷マネージメント” を理由に、彼を先発登板させないという決断を下した。なんなんだよ負荷マネージメントって。

とはいえ、マサヒロ(田中将大)さんとの投手対決が実現しなくても、大谷さんはバッターとして試合に先発出場する予定であるという。ゆえに、打者・大谷さんと投手・マサヒロさんの日本人対決が実現するのだ。

 

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ということで、試合当日、ヤンキースタジアムに向かった。

チケットは日本にいる間にネットで取得済み。詳しい方法はグーグルで検索したら山のように出てくるので、もしこれからアメリカにメジャーリーグを見に行きたいという方がいても安心してほしい。英語がまったくわからない僕でもチケットが取れたのだから大丈夫だ。

なおマンハッタンからヤンキースタジアムに向かうにはタクシーで行ってもいいし、地下鉄で向かっても良い。

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ガイドブックには「ニューヨークの地下鉄は治安が悪い」などと記載されていることもあるが、奇声を上げながら銃を振りかざす野蛮人は皆無だった。これも大谷さんがニューヨークにいるおかげである。本当にありがとう大谷さん。

 

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ヤンキースタジアムに入り、せっかくなので写真を撮ってもらおうと、そばにいたニューヨーカーに話しかけた。

「Please take a picture ?」

「OK! Are you OHTANI ?

アーユーオオタニ??? 僕を日本人だとわかって来た上での、アメリカンジョークのつもりだろうか。もしくは僕の大谷さんへの好意がニューヨーカーに筒抜けでイジられているのだろうか。

仕方なく「Off course !」と答えると、「は?」みたいな表情をしていた。どうすればよかったのかわからない。

 

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ちなみに撮ってもらった写真は逆光で、僕の表情はまったくわからなかった。

 

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大谷さんとマサヒロさんが対決するということもあって、グッズショップには記念Tシャツが販売されていた。40ドルと少し高いがもちろん購入。

ちなみにこのTシャツ、後日ヤフーオークションを見たら値段が10,000円を超えていた。僕はもちろん一生とっておくが、なんならもう一枚買っておけば良かったと少し後悔している。

そうこうしているうちに、試合が始まった。大谷さんはなんとこの日、4番・指名打者で先発出場。

 

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ヤンキースタジアム名物のホットドッグの美味しさに気を取られていたが、4番ということは、1回から打順が回ってくる可能性が充分あるということだ。というか、ん……あれは……!!!!!!

 

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大谷さんだ!

ネクストバッターサークルに、大谷さんがいる。油断しながらホットドッグを食べていたら、大谷さんがグラウンドに立っていたのだ。ホットドッグの美味しさに感動し、超油断していた。

正真正銘、マジモンのホンマモンの大谷さんである。夢でまで見た大谷さんがこんな近い距離にいる。テレビの向こう側にいた大谷さんが、素振りをしている。はるばるニューヨークに来て、本当によかった。

 

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「大谷さんはじめまして。テレビのニュースで見たあなたを気になって、気付いたら地元も回ってきてしまい、晴れて今日はニューヨークに会いに来ました。アメリカに来て数ヶ月経つようですが、風邪など引いていませんか? ご両親とは仲良くされていますか? ストリートギャングたちの喧嘩に巻き込まれて殴られてなどいませんか?」

 

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「僭越ながら先日まで僕は、大谷さんのことをそんなに知りませんでした。知らない上に、メジャーの舞台で二刀流なんてさすがに無理だろうとも思っていたんです。今思うと、あの頃の僕は張本さんに喝!を入れてほしいほどのバカですね」

 

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「実力があるからこそ、連日ニュースに取り上げられる。結果を残しているからこそ、ここアメリカの地でも活躍を期待されている。正直な話、日本であなたの姿を見られる機会が少ないのは悲しいですが、この大舞台だからこそ大谷さんの真の実力が発揮できるのだと思いました。僕は大谷さんの家族でも彼女でも友人でも知り合いでもなんでもない赤の他人ですが、これだけは自信を持って言えることがあります」

 

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「これからも、ずっと応援しています」

 

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「今日は遠くからの挨拶しか出来ませんでしたが、いつの日かまたお会いできたら、その時にまた顔を合わせて挨拶をさせていただきたいと思います。お家に帰ったら睡眠はしっかりとってくださいね。出張ばかりで時差ボケが頻発すると思いますが、時差ボケは出発前日の早起きで軽減できるそうです。そして変な女に気をつけてください。アナウンサーとかは特に注意が必要です。あと余談ですが、ヤンキースタジアムのホットドッグは美味しいので食べてみてくださいね」

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この日の試合の内容は、ヤンキースが3-1でエンゼルスを下した。
大谷さんは、4打席で2三振、2四球という結果であった。

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試合の内容はほとんど覚えていない。僕はヤンキースファンでもなければエンゼルスファンでもなく、大谷さんファンであるからそこは気にしないで良いからである。大谷さんの打席の際に念を送りながら応援することで、僕の試合は終わった。

 

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なお、マサヒロさんはこの試合、かなり良いピッチングをしていた。6回を3安打1失点、8三振を奪う力投で今季6勝目を挙げている。マサヒロさんもお疲れ様だ。

 

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こうして僕はニューヨークの地を後にし、飛行機に乗って東京に帰ってきた。大谷さんから本当にたくさんのパワーをもらったと感じながら。

ありがとう、大谷さん。日本に帰っても、応援し続けます。

と思っていた矢先のことである。衝撃的なニュースが舞い込んだ。

 

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右肘の内側側副靱帯損傷で故障者リスト入りしてしまったのだ。大切な人を失った気がして本当に悲しく、可能ならば僕の腕の靭帯を移植してあげたいと思ったほどだ。心の中に大きな穴がぽっかり空いてしまった。

が、大谷さんはこんなことでは決してめげない。なぜなら大谷さんは、ヒーロー(Hero)だからだ。

二刀流という夢を見させてくれる大谷さんは、僕にとっても世界にとってもスーパースターであり、勇気をくれる、ヒーロー。大谷さんはたとえ試合に出ていなくても、僕らの心の中にいる。そして必ず戻ってくる。

そしてつい先日、大谷さんは打者として復帰した。
さすがヒーロー。復帰後の2試合目でマルチ安打で復活を飾った。

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がんばれ大谷さん。大谷翔平聖地巡礼の旅は、まだまだ続く。