360度東京湾を臨む、立入禁止の無人島ツアー

第二海堡(だいにかいほう)は東京湾に浮かぶ立ち入り禁止の無人島でしたが、今年からツアーに限って上陸が許可されるようになりました。実際どういう感じなのかを早速巡ってきましたので、行き方なども含めてぜひご確認ください!

360度東京湾! 東京湾要塞を 横須賀→猿島→第二海堡へ!

 

皆さん、多分はじめまして。ライターのdragonerといいます。

普段はミリタリー関連やネット文化等の記事を中心に書いておりますが、今回は縁あってSPOTさんで書かせて頂くことになりました。

東京湾に浮かぶ東京湾要塞(第二海堡)【横須賀市提供】

今回、ここに行きます。

 

ミリタリー関連のイベントというと、最近は総合火力演習や観艦式が人気ですが、プラチナチケット化により中々行けません。

ですが、東京近郊でミリタリーに加えて廃墟めぐり要素も併せ持った、気軽に行ける東京湾要塞ツアーが5月から始まりました。

 

上陸禁止だった島へ行ける!

東京を防衛するため、明治から大正にかけて、東京湾に海堡(かいほう)と呼ばれる海上要塞が3つ建設され、うち第一海堡と第二海堡が今も残っています。関係者以外の上陸が禁止されていたものの、今年から旅行社のツアーに限って第二海堡への上陸が許可されるようになりました。

 

5月11日からツアーが本格的に開始されますが、それに先立ちJTBさん主催のモニターツアーに参加しました。ツアーはまず神奈川県横須賀市沖の猿島(さるしま)に渡り、そこから第二海堡に行く行程です。

 

横須賀沖の無人島、猿島へ

ツアーの集合場所は横須賀中央駅から徒歩約15分の三笠桟橋です。日露戦争で活躍した戦艦三笠が保存されている三笠公園のすぐ脇にあります。

まずは猿島を目指します。猿島は人工島の海堡と違い、東京湾最大の自然島です。三笠桟橋を出発した船、およそ10分で猿島に到着します。

遠ざかる横須賀の町並みを眺めながら短い船旅。

猿島の桟橋に到着。

 

猿島 東京防衛の要塞からレジャーの島へ

猿島は無人島なものの、大部分が猿島公園として整備されており、昼間は売店やトイレが営業しています。釣りやバーベキューといったレジャーから、夏は海水浴場もオープンするなど、通年で楽しめるスポットになっています。

この猿島も幕末の開国後から第二次大戦まで東京湾防衛の拠点となっており、今も要塞の跡が残っています。砲台が築かれた他、敵艦の砲弾を避けるために、島を深く削り込むように要塞が造られています。

現在は木道が整備されるなど、ほとんどの箇所で歩きやすくなっていますが、ところどころ土の部分もありますので、動きやすい格好で来るのがよいでしょう。

 

コスプレイヤーの聖地?

石垣やレンガ造りの構造物に生い茂る草木……。まるで天空の城ラピュタみたいだ!

と思って歩いていたら、本当にパズーとシータがいる!……と思ったら、バズーとシータのコスプレイヤーさんが撮影していました。写真は撮れませんでしたが、都心から近い廃墟感がある雰囲気の良いスポットということもあってか、コスプレイヤーにとっても絶好の撮影スポットのようです。休日ということもあり大勢のコスプレイヤーを見かけました。

このトンネルは現存するもので、日本で最も古いトンネルだそうです。

こちらは大戦中に高角砲(高射砲)が設置されていた砲台跡です。

島の高台に登ると、横須賀から横浜方面が見渡せます。条件が良ければ、この向こうに富士山が見えることもあるそうです。

さて、猿島を後にして、いよいよ第二海堡に向かいます。猿島と違って、第二海堡に観光用の施設はありません。トイレや飲み物の補給は猿島で済ませておきましょう。

 

大迫力の大型船行き交う東京湾を行く

猿島を出発します。第二海堡まで、猿島からおよそ20分ほど。

ところで、東京湾は1日500隻もの大型船が出入りしています。今回は休日ということもあり、普段より船は少なかったそうですが、それでも第二海堡に着くまでに大型船に接近する機会がありました。

眼の前に大型船が迫る瞬間は中々の迫力です。必ず遭遇するとは限らないだけに、見られてラッキーでした。

 

第二海堡上陸!

さて、第二海堡が近づいてきました。大きな建造物こそ無いものの、長崎県の軍艦島や、アルカトラズ島めいた雰囲気があります。東京湾にこんなところがあったとは……。

船着き場から上陸します。第二海堡は前述した通り旅行社のツアーでしか行くことができず、さらに海堡内での自由行動はできません。ガイドに従って行動しましょう。海堡内はちゃんと、全部周ることができます。

また、海堡内には消防の訓練施設があり、そこは立ち入りができませんが、ほぼ全容は外から見えます。しかし、海堡内で唯一撮影禁止なので注意しましょう。

船着き場の近くには、要塞の跡のレンガが残っています。100年以上も風雨に晒されていたにもかかわらず、まだまだ頑強さを保っています。この釣り針状の金具はケーブルを引っ掛けるものだそうです。錆びついてますが、鋭利なので注意。

 

見渡す限りの東京湾

海堡の高台に登ると、360度東京湾が広がる空間に出ます。この灯台は現在も稼働しており、島内に設置された太陽電池で動いています。

太陽電池パネルが並んでいますが、太陽電池で発電した電気は灯台のために使われています。消防の訓練施設等は神奈川県、千葉県からそれぞれ引かれた海底ケーブルで電気が供給されているそうです。

海堡内にあるレンガには、桜の刻印が入っています。これは、現在の東京拘置所の前身である東京集治監で囚人により焼かれたレンガです。関東大震災で施設が被災するまで焼かれていたレンガが、この第二海堡でも使われていたのです。

 

15センチカノン砲台跡など要塞の痕跡が

海堡の高台から降りると、平坦な場所に出ます。ここは海堡完成時に海だった場所ですが、現在は歩けるようになっています。

そしてこれが、15センチカノン砲が設置された砲台の基部です。薄くなって読みにくいですが、手前の砲台に第二を示す「NO.2」、奥の砲台に海堡を示す「FORT」がペイントされています。いつ誰が書いたものなのか、詳しいことは分かっていないそうです。

また、第二海堡の東側には、防空指揮所が残っています。

大戦中は海堡にも高角砲が置かれ、この指揮所から指揮官が指揮を執ったそうです。

第二海堡は東京湾の無人島ですが、草地も広がっており、夏頃になると大量のショウリョウバッタが舞うそうです。虫が苦手な人は季節に注意した方がいいかもしれませんね……。

1時間ほど滞在し、第二海堡を後にします。そのまま、集合場所であった横須賀の三笠桟橋まで帰ります。

まとめ

東京湾要塞の島を巡る固めのツアーでしたが、海水浴できるような透明度の海に、よく整備されつつ廃墟感もある歴史的建造物。そして東京湾を見渡せる孤島と、東京湾に自然と歴史を感じさせるこんな場所があったのか!という驚きがあったツアーでした。

そしてなにより、これまで行けなかった第二海堡に上陸できる貴重な機会なだけに、「人が行ってない場所に行きたい!でも東京の近くで!」というモノグサな需要にも答えてくれます。楽っていいですよね!

第二海堡へのツアーは、5月11日から本格的に開始されました。今回はJTBのツアーに同行する形でしたが、4月25日現在。JTBの他にもはとバス、クラブツーリズム、ポケカル、サンケイツアーズが上陸ツアーの募集をしています。

 

旅行会社によりツアー内容は異なりますので、確認の上参加してみてはいかがでしょうか。最新情報は「東京湾海堡ツーリズム機構」のサイトで確認できます。

東京湾海堡ツーリズム機構(https://daini-kaiho.jp/