いつでも人狼ができる専門店「人狼HOUSE」に行ってきた

東京都渋谷にある「人狼HOUSE」は、プレイヤー同士の心理戦の面白さから人気を集めているテーブルゲーム「人狼」が楽しめるお店。プレイ人数が多く、一緒に遊ぶ仲間を探すのが難しい「人狼」を、1人で行ってもいつでもプレイできます。初心者の場合はルール説明からしてくれるので、まったくの未経験でも気軽に遊びに行けるはず。東京都渋谷のほか、大阪府大阪市、愛知県名古屋にも店舗を構えています。

20170616_jinro-house-57-人狼。

ある者はウソをつき、ある者はそれを見破る。

シンプルながらも奥の深い心理戦が展開されるテーブルゲーム。

人狼をテーマにしたテレビ番組がいくつも作れるほど人気です。

 

かくいう私も心理戦や頭脳ゲームに目がないくちなので、人狼にはなみなみならぬ興味を持っていました。

が、人狼はゲームに必要なプレイ人数(10~15人ほど)を集めるのが大変!

かと言って、ずぶの素人が既存の人狼ネットワークに入っていくのも勇気がいります。

「やってみたいけど、なかなか手が出ない…」という状態が続いていたのですが「人集めが不要。行けばいつでも人狼ができる専門店」があると聞き、さっそく足をはこびました。

 

 

いつでも人狼ができる専門店「人狼HOUSE」に行ってきた

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人狼用のテーブルが2つセッティングされています

人狼初心者の私がうかがったのは人狼専門店「人狼HOUSE」渋谷本店です。

2014年8月渋谷でオープン。現在は渋谷店、大阪なんば店、名古屋店の3店舗展開しています。

参加料金はイベント内容によってまちまちですがおおむね平日は3時間1700~2000円(学生1500円)、休日はチャージ代500円+1ゲーム500円という設定です。

毎週水曜日、土曜日に「はじめての人狼」という会を開いていて、初心者は無料でプレイ体験ができます。土日祝はたくさんお客さんが来るので、初心者だけの卓を作ることもしばしばだそうです。

 

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代表のクマさん。その名のとおり、クマのかぶりものをしています

代表のクマさんいわく「自分たちが人狼できる場所を作りたい」というのがそもそものきっかけ。

「人狼は人を集めるのがすごく大変。予定を合わせて10人以上集めるのが難しいんです。自分たちもお客さんも人狼がやれたら一挙両得だよねと、人狼仲間で一緒にお店を作りました」

渋谷という土地柄、出張だったり旅行だったりで遠くからやって来る人も多いのだそう。

 

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ゲームに勝利したり、いいプレイをしたりしてMVPに選ばれると、スタンプがもらえます。

 

20170616_jinro-house-37溜まったカード枚数に応じてランキングが張りだされているのですが、首位の方はなんとカードが48枚目。あまりにもダントツです。

 

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人狼は1ゲームに約1時間かかるので、序盤で処刑されてしまうと手持ち無沙汰になってしまいます。

もちろんゲームの行方を見守っててもいいのですが、軽く時間を潰せるカードゲームもそろっています。

 

人狼アイドルもプロデュースしています。 デビュー曲は「ドキドキ・シークレットラブ」。

アイドルメンバーもときおりやってきて一緒にプレイできるそうですよ。

 

 

ルールはシンプル。人狼になって村人をだますか、村人になってウソを見破るか!

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簡単にルールを説明しましょう。

プレイヤーは村人チーム、村人に化けた人狼チームに分かれます。人狼同士は自分の仲間を把握できますが、村人側は誰が人狼で、誰が村人なのか知ることができません。会話などをヒントに人狼を推理したり、逆にそれを邪魔したりする心理戦が、このゲームの肝となっています。

昼のターンには全プレイヤーによる多数決で1人処刑され、夜のターンには人狼が1人食べてしまいます。1日1日とプレイヤーが減っていくなかで、すべての人狼を処刑することができたら村人チームの勝利。人狼と同じ人数まで市民を減らすことができたら、人狼の勝利となります。

ルール自体はそれほど難しくはありませんが、人狼、村人に加え、人狼の味方をして場をかき乱す「狂人」、特殊な能力をもった「占い師」「騎士」などの役職が存在することで、ゲームは複雑に展開します。錯綜する情報の中で、人狼たちのウソを読み解くのは容易ではありません。

 

 

初心者は怖くてもウソをつけ!

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――かならず人狼できる場所があるのって遊びの選択肢が増えていいですね。

ゲームセンターみたいに、気軽に入って楽しめるお店にしたかったんです。

見学だけならお金を取らずに雰囲気だけ楽しんでもらったり、なるべく人狼の敷居を下げたいですね。

私自身が予定立てるのが苦手なんで、予約しなくても遊びに来られるようにしています。特に何をやるか決めてないときに「じゃあ人狼できるとこあるから行こうよ~」ってノリで来てほしいです。

 

――ここができるまで、どこでプレイされてたんですか

カラオケルームでやったりもしてましたけど、ネットで遊ぶのがほとんどでした。

ただまあ、対面してやる人狼とは違って、どんな表情で言ってるか分からないので言葉もきつく感じがちです。

対面だと、文章でやりとりするよりも、ウソをつくとき緊張しますね。見た目でも判断されてしまいますので。

 

――やっぱり人狼をやってると、ウソを見抜く目が鍛えられますか?

最初はそう思ってたんですけど、慣れてくると全然そんなことありませんね。

はじめのころはウソつくのに緊張するんですけど、慣れてくると平気でウソつけるようになるんです。

そうすると動揺したり焦ったりと見た目の情報がないので、むしろ見破るのが難しくなりますね。

 

――見抜く目が育つよりウソつくほうが上手くなっちゃうわけですか。どんな人がウソ上手いんですか

肝が座ってる人ですね。「やったるわと吹っ切れてる人」は、おどおどしたり緊張したりしません。

あとは経験ですね。「このケース、前にあったな」って経験があれば、その時考えたことをそのまま活かしてウソつけますから。

 

――経験と度胸が肝なんですね。人狼にセオリーはあるんでしょうか。

セオリーはあります。

たとえば「騎士(※1)は基本的に役職をカミングアウトしない」とか「村人は占い師(※2)を騙らない」とか。自分の陣営に得がない、意味のないウソはつきません。

とまあ最低限のセオリーはありますが、いろんな楽しみ方、やり方があっていいと思ってます。

セオリーから外れても、スマートに勝利に導くプレイをするカリスマ人狼プレイヤーもいます。魅せるプレーってやっぱりあるんですよね。

※1 騎士:人狼の攻撃を守る市民側の役職

※2 占い師:占いで人狼か市民かを見抜く役職

 

――人狼の面白さってどんなところですか

人狼の楽しさはウソを見破ることと、パズルを解くようにロジックで答えを見つけていくこと。人狼ってすごいなと思うのは、同じ人と何回やっても楽しめるんですよ。話しの流れでぜんぜん展開が変わってくるんです。

逆に、疑うのが基本のゲームなので、怒った感じで「俺、人狼じゃないから!絶対疑うなよ!」と大声出して、みんなを傷つけて勝ったとしても面白くないですね。

 

――人狼HOUSEならでは面白さはありますか?

人狼HOUSEでやる面白さとして、オリジナルの役職があります。

たとえば「落ち武者」は誰か死んだときに自分が身代わりになる役職です。そういう役職をいっぱい作ってまして、慣れた人が来ても新鮮な気分で楽しめますね。

 

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「ハリネズミ」「てるてる坊主」などオリジナル役職のカード

バーで「恋人にふられちゃったので、今の気分に合うカクテルが飲みたい」と言えば、それに即したものを提供してくれます。

それと同じように、僕ら人狼HOUSEもゲームマスターがプレイヤーレベルによって提供するゲーム内容を決めます。村人に有利な役職を入れましょうとか、慣れた人が多いから第3陣営を入れましょうとか。

私たちスタッフがゲームに入るときは参加者みんなに話をふりながら、笑いをとりながら、みんなに楽しんでもらうプレイを心がけています。

 

――初心者でもうまくやれる戦略ってありますか?

怖くてもウソをつくってことですね!

そうすると必ずほころびが出ますけど、それがいいんですよ。失敗しなければうまくならない。いろんな失敗を繰り返して、ゲームがうまくなっていきます。

消極的にプレイして黙っていると「人狼かどうか分かんないけど、とりあえず投票しとこう」と負けてしまいます。それはもったいないですね。

ミスしてもいい、間違ってもいいので飛びこんでみるのがコツです。

とはいえ「これ言って疑われたら怖いな……」と、初心者はなかなかしゃべれませんので、人狼HOUSEでは慣れてない人になるべく質問を投げかけます。

「こっちの人とこっちの人、どっちが怪しいと思います?」と選択肢を与えて答えてもらいます。

 

――なるほど、それなら議論に入っていきやすいですね

逆に「誰々さんはいつもはこういう態度なのに、今日は違うから怪しい」みたいにその人のクセを知ってる前提でプレイしちゃうと、はじめて来た人にはなんのことか分からない。

なので、そういうのはやめましょうってことにしてます。人のクセを読んでなにか分かっても、心にとどめて言わなければいいだけなので。

 

 

実際に人狼ゲームをプレイしてみた

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お客さんにまじって、実際に人狼をやらせてもらいました。

私はまったくの初心者なので、ゲームの流れから丁寧に説明してくれました。

軽く教わったら、あとは実際にやってみて、ゲームの中で手順を教えてもらいます。

 

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平日3時の会だったのですが学生さんやサービス業、主婦の方だったりが10人ほど集まりました。

中盤あたりから「誰が怪しい」という議論のロジックが初心者の私には複雑で混乱しかけましたが、中に入ったスタッフさんが要点をまとめてくれます。

ちょくちょく質問も振ってくれるので置いてけぼりになることもありません。

 

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結果、私は人狼だったのですが「初心者でよく分からない」という素朴な態度を続けて、生き残ることができました。完全にビギナーズラックですね。

ここに行けば気楽に人狼できますから、これを機にちょくちょくやってみようと思います。

人狼HOUSE 渋谷本店

  • 場所:東京都渋谷区桜丘町3-1 TNビル4F
  • TEL:03-3464-3361
  • 営業時間:開催イベント、時間帯は公式サイトに掲載。土日祝日は基本的にフリー営業日(13:00~22:00)
  • 定休日:不定休
  • 公式サイト:http://werewolf-house.com/index.html

 

 

◎文章:松澤茂信(別視点代表)
◎写真:齋藤洋平(別視点カメラマン)

東京別視点ガイド@another_tokyo