こんにちは。
静岡出身SPOTライターの田中嘉人(@yositotanaka)です。
さて、静岡といえばどのようなイメージをお持ちでしょうか?
SPOT読者のみなさんにおなじみなのは、なんといっても「サウナしきじ」でしょうか。
確かにサウナしきじはいい! でも、静岡の魅力はココだけではありません!
サウナしきじと同じ静岡市内で、いま静かに盛り上がっている地域があるのをご存知でしょうか?
それが静岡駅からJR東海道線に揺られてわずか6分の港町、
「用宗(もちむね)」です!
見てください。この景色。
例年、夏場は海水浴場として賑わう用宗ですが、最近温泉が湧いたり、高級宿が誕生したりと新たな進化を遂げつつあります。
古き良き港町の雰囲気は残しつつ、観光地として老若男女が楽しめるエリアになっているという噂を聞きつけました!
というわけで、やってきました用宗駅!
今回は用宗エリアを徹底紹介!
温泉や宿はもちろん、漁港で水揚げされたばかりの魚介類を使ったグルメ、静岡ならではの食材を使用したジェラートやクラフトビールなどを、どこか懐かしい港町の風景とともにご案内します!
ぜひ最後までお付き合いください!
※取材・撮影は三密を避けて実施しました。手指のアルコール除菌も徹底し、写真撮影時以外は常にマスクを着用していました。
鮮度抜群のピチピチ生しらすを丼で! 漁港直営「どんぶりハウス」
まずやってきたのは、駅から徒歩10分ほどのところにある用宗漁港。
こちら、港の規模としてはさほど大きくないのですが、しらす漁のメッカ。
「用宗=しらす」のイメージが強い静岡県民は多いと思います。
しらす漁は、毎年3月中旬から翌年1月中旬まで、日曜・祝日をのぞいて実施されています。
早起きすれば、富士山をバックに漁船が駿河湾へ繰り出していく様子をみられるかも?
しらすの年間水揚げ量は、なんと1000トン前後!
漁港の周りには、いたるところにしらすの直売所があります。
特に「生しらす」は鮮度が命!都心部や山間部では味わえないまさに海の恵みです。
そんな生しらすを味わいたいならこちらの「漁協直営 どんぶりハウス」へ!
その日水揚げされたばかりの生しらすをはじめとする鮮度抜群の食材を丼で食べられるお店です。
オープンの11時前だというのに、すでに列が。ぼくも並んでみます。
メニューはこちら! 生しらすだけではなく、ナマモノが苦手なひとのための「釜揚げしらす」や静岡に来たなら食べておきたい「まぐろ」もある……!
ぼくが選んだのは、「用宗丼」。生しらすとまぐろ漬けがドスンと鎮座し、まさに丼界の紅白歌合戦といっても過言ではないでしょう。では、いただきます!
わかります……? この透明感とハリ。 駿河湾が透けて見えるほど。ツルッとしていてほんのり苦くて最高なんだから……!
そしてまぐろ漬けも絶品……!特製タレが染み込んだ赤身はとってもさわやか。生臭さは微塵もありません。
しかも、漁港をみながら食べられるなんて贅沢……! あっという間に完食しました。紅組、白組ともに大健闘ということで、今回は引き分けです!ごちそうさまでした!
天然温泉、サウナ&しきじと同水系の水風呂、クラフトビールを堪能する「用宗みなと温泉」
続いて「用宗みなと温泉」に寄ってみましょう。用宗みなと温泉は、2018年12月にまぐろの裁断場だった場所をリノベーションしてオープンした温浴施設。
漁港の目と鼻の先です。こんなところに温泉が湧くなんて! 敷地内の地下1000mから湧出しているそうです。
漁港脇の通りを真っ直ぐ進んで行くと、「用宗みなと温泉」の文字が見えてきました!
富士山ビューの天然温泉露天風呂で、至福の刻(とき)を
エントランスはこちら。
年中無休、10:00-24:00(最終受付23:00)で営業しています。施設がすごくきれい!
こちらのモニュメントがエントランスの目印。
こちらのモニュメントは、スリランカ人のインテリアデザイナー・ディルンさんが「魚と船の帆」をモチーフに制作したもの。
ディルンさんは、日本で暮らす妻・ミニさんの日本語学校卒業式に出席するために、1ヶ月の滞在予定で来日。ところが、新型コロナウイルスによって、スリランカの空港が閉鎖され、帰国できなくなってしまったのです。
落ち込むふたりのために、ミニさんが勤務する会社の社長がディルンさんに用宗のシンボルになるようなモニュメント制作を依頼。1ヶ月の制作期間を経て誕生した作品です。
エントランスに入ると券売機が。料金はこちら!
会員 | 一般 | 小学生まで | 幼児(3歳以下) | |
平日 | 700円 | 800円 | 350円 | 無料 |
土日祝日 | 850円 | 950円 | 450円 | 無料 |
フェイスタオル販売は160円、バスタオルレンタルは120円、その他歯ブラシ、カミソリ、ナイロンタオル、メイク落とし、洗顔料、化粧水、乳液、シャンプー&コンディショナー、シャワーキャップ、折りたたみブラシ、ヘアゴム、サウナマットなども販売しています。手ぶらでも安心だ!
趣のあるのれんをくぐり、
用宗漁港の歴史がおさめられた写真が飾られた通路を抜けて、
清潔感のある更衣室で着替えたら、
いよいよ入浴タイム! そこまで広くはないけれど、露天風呂、内湯、炭酸泉、そしてもちろんサウナと水風呂も!
まず、軽く掛け湯をしたら、
洗い場で汚れを落としましょう。
シャンプー、コンディショナー、ボディーソープが備え付けられています。汗を流したら、念願の入浴タイムです!!
まずは露天風呂から攻めましょう!
露天風呂には、地下1000mから汲み上げられたpH8.3の弱アルカリ性のナトリウム・カルシウムー塩化物泉が使用されています。
くうう〜! きんもちいい〜〜〜〜!
しかも、なんと富士山ビュー!
冬になれば空気も澄んで、雪化粧した富士山がますます見えやすくなるそう。お正月には「海岸で初日の出を拝んでから冷えた体を温泉で温める」なんてこともできる! 想像しただけでやばいです。
ずっとここにいたい気持ちはありますが、内風呂もチェックしてみましょう!
サウナしきじと同じ安倍川水系の天然水でクールダウン
まずは「天然水浴槽」から。
こちらは地下56mより湧き上がった安倍川(あべかわ)水系の天然水を使用しています。
そういえば、サウナしきじも同じ安倍川水系だったような……?
続いては、「高濃度人工炭酸泉」。「高濃度人工炭酸泉」と名乗れるのは、濃度1000ppm以上の炭酸泉のみ。医療分野にも使用されている優れものです。
とにかくシュワシュワがすごい!
ではでは、念願の「遠赤外線サウナ」にも突撃してみましょう。密を避けるために上限8名です。
ソーシャルディスタンスが確保できるように、サウナマットが敷かれていました。
遠赤外線を使用しているためか、80度〜90度ではあるものの、じんわりと温まってきます。
そして、いつの間にか滝のような汗が……!
あ、あちい……!み、水風呂はどこだ〜〜〜!!
汗を流して、ザブン! これこれ!! これだよ!!!!
そして、どこか懐かしい感覚……!
そう、先ほどもお伝えしましたが、水風呂含めて内風呂では、サウナしきじと同じ安倍川水系の天然地下水を使用しています。
ということは、水風呂だけをみたら“ほぼサウナしきじ”といっても過言ではないのではないでしょうか。
ちなみに、水温は常に15度。少し冷たくて、個人的にちょうどいい水温です。ああ、母なる水風呂よ……!
そうそう、水風呂はサウナしきじと違って、飲用ではありません。水分補給は、洗い場近くにある冷水機をどうぞ。
サウナと水風呂を何往復かして最高の気分。 いや〜気持ちよかった!!
しらすなどの地元名物料理とクラフトビールで満腹満足「AOSAGI食堂」
もちろん施設内では、食事もいただけます!
施設内のレストラン「AOSAGI(アオサギ)食堂」では、定食や麺類、スイーツやドリンク、さらにはアルコールやおつまみまで用意されています。
風呂上がりに美味しいものを食べながら、ひと息つけますね。また、食堂のみの利用もOK! ご希望の場合は、券売機でチケットを購入前にスタッフの方にお声がけください!
座席は、室内だけではなく、漁港に面したデッキにも。火照った体に、潮風が気持ちいい。換気もバッチリだ。
湯冷め対策として、ブランケットも無料で貸し出ししています。こういう心遣いが嬉しい。
そして、メニューはこちら! 定食にラーメン、カレー、もちろん、用宗名物のしらすも味わえます! 悩むなぁ〜!!
意を決して注文したのが、こちら!
「ジャンボアジフライ(1枚300円)」と静岡が誇るクラフトビール醸造所「アオイビール」の「お茶エール(750円)」をいただきます!
「取材中にビールなんてけしからん」と言われるかもしれないけれど……
仕事だもん! 仕方ないよね!
「お茶エール」は、静岡県掛川産の深蒸し緑茶を使用した珍しいビール。爽やかな飲み口と、ほのかに鼻をくすぐるお茶の香りがいい感じです! うまい!
ジャンボアジフライには、山岡士郎よろしくソースをドバドバかけていただきましょう。
練りからしをちょっとつけて……パクリ。
サックサクの衣のなかにある肉厚なアジがうますぎる……!フワッとしていて、味が濃くて、最 of the 高です……!2枚セット(500円)と悩んで1枚にしたけど、余裕で2枚いけるやつでした。後悔。
それにしても景色も最高だし、ずっとここにいたい気持ちです……!
が、現実はそうはいきません。楽しむ時間はほどほどにして、長期滞在にならないように気をつけましょう。
AOSAGI食堂の脇には、お土産コーナーがあります。
静岡名物のうなぎ味やサクラエビ味のスナックや、しらすとわさびのオリーブオイル漬けやしいたけのオリーブオイル漬けなどのちょっと珍しいものがズラリ。
まぐろやあさり、ホタテなどの海産物の加工食品があったり、
高速道路のSA・PAでついつい買ってしまう練り物の真空パックがあったり。
風呂上がりの定番である瓶牛乳や瓶コーヒー牛乳もこちらで!
なぜか、岩手県岩泉産のむヨーグルトも売ってます!
さらに、こちらで購入した商品はいずれもAOSAGI食堂へ持ち込んでOK! 富士山を眺めながら、岩泉のむヨーグルトでひと息……なんてことも可能です。
そして最も驚くべきは、施設敷地内にクラフトビール醸造所「WEST COAST BREWING」が併設していること(先ほどAOSAGI食堂で飲んだアオイビールとは別の醸造所です)!
温泉にクラフトビールて……ここ、天国ですか……??
こちらでは醸造だけではなく直売もやっているとのことです。さっそく見せていただきましょう! 用宗みなと温泉と出入り口は別ですのでご注意ください。
もともとはバーとしても営業していたのですが、新型コロナウイルスの影響で直売のみにシフト。見たことないラベルのビールばかりだけど、どれも気になるな〜。
こちらの2本を購入! AOSAGI食堂への持ち込みもOKです! アオイビールとWEST COAST BREWINGも飲み比べもできる!! か、帰りたくない〜!!!
今日は帰りたくない! ご褒美旅行から一人旅まで用宗の自慢宿3選
少しずつ、用宗のポテンシャルの高さに気付き始めてきた頃かと思います。同時に「日帰りじゃもったいなくない?」という気持ちも芽生えてきたのではないでしょうか。
そこで用宗が誇る宿を3軒ご紹介いたします。
古民家を上質空間に再生!一棟貸し「日本色」
まずご紹介するのは、こちら!
どうですか。
この落ち着いて上品なたたずまい。
こちらは一棟貸しの宿「日本色(にほんいろ)」。古民家をリノベーションして生まれた品格と趣を兼ね備えた宿です。
宿泊棟は全部で6つ。
・最大定員2名の「月白(げっぱく)」
・最大定員4名の「千草(ちぐさ)」「竜胆(りんどう)」
・最大定員6名の「青藍(せいらん)」
・最大定員7名の「撫子(なでしこ)」
・最大定員8名の「琥珀(こはく)」
があります。
今回は「青藍(せいらん)」のなかを見せていただきたいと思います!
一歩踏み入れると、そこは高級感のなかに懐かしさが垣間見える不思議な広々空間。
リビングはなんと26帖! Huluも見られるTVにハンモック!
6帖の寝室には、フッカフカのセミダブルベッドが2台!
家族や仲間の顔を見ながら調理できるカウンターキッチンに、
ホッとひと息くつろげる檜風呂などもラグジュアリーそのもの。
しかも、ペットも一緒に泊まれます! 嬉しいワン!!
中庭をドッグランとして利用することも、バーベキューすることも可能。バーベキューセットはレンタルできます。
そして驚くべきは、このテーブル。なんと……
囲炉裏なんです!
干物や海鮮、肉などを持ち込んで、炭火でじっくり……なんてこともできるってわけ! 「どこで買えばいいかわからない」という場合は、スタッフの方がおすすめのお店を教えてくれます!
受付は用宗みなと温泉近くにあり、宿からは少し離れているのですが、スタッフの方がトゥクトゥクで連れて行ってくれるので安心!
しかも超楽しい! 気持ちいい! たのきもちいい〜〜〜!!!
完全に日常を忘れられること間違いなし!
ぜひのんびりとくつろいでみてはいかがでしょうか?
ちなみに料金はこちら。
え? いや、わかりますよ……ご褒美旅行としては最高だけど、フラッと立ち寄るようなカジュアルな旅行としてはちょっと手が出しづらいかもしれません。
ご安心ください! 用宗のリーズナブルな宿も探してきました!
もっとお手軽に泊まりたい!「柳家旅館」&「Eat & Stay ROMEY」
柳家旅館
まずはこちらの「柳家旅館」。
こちらの本館なら素泊まりで1人5,000円〜(税別)! 一人旅ならここでいいよね!
「もう少し贅沢したい」「カップルで行きたい」という方には、こちらの古民家利用がおすすめ! 2名利用の素泊まりで1人12,500円〜(税込)で利用できます!
お気づきかと思いますが、こちらの古民家は日本色と同じ不動産会社がリノベーションを手がけました。
内装も超オシャレです。詳細はぜひWebサイトをチェックしてみてください。
Eat & Stay ROMEY
「もっと海を近くに感じたい」という方におすすめなのが、ネパール出身のオーナーと日本人女性がご夫婦で経営しているゲストハウス「Eat & Stay ROMEY」です。
みてくださいよ、この2Fベランダからの景色……!
こんな素敵すぎる部屋が平日なら1人3,500円〜で泊まれる……! ゲストハウスなので大浴場はないけどシャワーやランドリーはあるし、 Wifiも完備。そして何より清潔!
毎日のようにイベントを開催していて、庭でバーベキューやパエリアパーティー、そば打ち、ソーセージづくりなどもやってきたそうです。こりゃいい思い出ができそう!
しかも1Fにはレストラン! 日替わりでオーナーをはじめとする腕利きのシェフがパスタやカレーなどをつくってくれます。この日は静岡市街のお店で働くシェフが腕を振るっていました。
水平線を見ながらのボンゴレビアンコはひと味違います。カレーも相当人気があるそう。
詳細は「Eat & Stay ROMEY」のInstagramをチェックしてみてください!
用宗を歩いたら、時間がゆっくりと流れた気がした
さて、宿の心配もクリアになったところで、用宗エリアを散策してみましょう。
まず目に留まったのは、こちらのオシャレなショップ!
なんと、こちらの「LA PALETTE」は静岡産の食材を使用したジェラートが人気のショップ。
静岡産いちご、静岡産ほうじ茶、静岡産牛乳などの定番から、静岡産いちじく、静岡産わさび、静岡産コシヒカリ、静岡産塩まで、すごいラインナップです。
ぼくが注文したのは、静岡産甘夏「スルガエレガント」と「塩」。店内でいただくのもアリだけれど、せっかく天気がいいので、外でいただきます!
う、うまい……!
「すっぱさのスルガエレガント」と「しょっぱさの塩」なので組み合わせでミスった印象はありますが、味は抜群。どちらもすっきりしていて、いくらでも食べられそうです。
腹ごなしもかねて海岸線を散歩していると、しらす干しを発見。あたりを漂う磯の香り。ふっくらしていてとても美味しそうです。
海鮮バーベキューができる干物屋や、
自家製パンが人気のベーカリー、
遠方からもお客さんが来るきんつば屋、
陶芸教室に、
ところてんスイーツを味わえるところてん屋、
ちょっと不思議な雑貨屋もありました。なんだか、いい雰囲気です。
では、漁港の方に戻ってみましょう。
ゆっくりと時間が流れていきます。
一本裏通りに入ると、そこは映画のワンシーンのような路地が。
歓迎してくれている?
「ここでのんびり暮らす人生もいいかなぁ」なんてことも考えちゃいます。
フラフラと歩いていたら、
いつの間にか漁港に到着していました。
そうそう、用宗エリアで紹介しないわけにはいかないのが、こちらの「みなと横丁」。
2018年5月にリノベーションによって、飲食店の集合店舗として人気スポットになっています。
お店のラインナップはこちら。海鮮から居酒屋、洋食、カフェ、ハンバーガーにパブまで。
「用宗で食事に迷ったらココに寄っておけば間違いない」って感じですね!
さらに漁港の周辺には、居酒屋があったり、
カフェがあったり、
定食屋があったり、
レストランがあったりと、食べるぶんには困らなさそうですね。
では、この旅もいよいよクライマックス。用宗海岸へ行ってみたいと思います。
まとめ 〜用宗より愛を込めて〜
いや〜、正直驚いています。完全に用宗を侮っていました。
もちろん噂は聞いていましたが、用宗がこんなに力強く進化しているとは……!グルメも、温泉も、宿も全部素晴らしいのですが、何より空気感が本当に素晴らしくて。
これからきっと用宗は静岡を代表する観光地になっていくと思います! というか、なってほしい! 目指せ伊豆!
海鮮グルメ、温泉、クラフトビールなどを堪能しつつ、のんびりした時間を過ごせる場所、用宗。
ぜひ一度、足を運んでみてはいかがでしょうか? というわけで、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
(おわり)