世界遺産のまち・宗像は大島に上陸してこそ楽しめる!地元福岡県民ライターの観光案内

こんにちは。福岡出身ライターの大塚たくま(@ZuleTakuma)です。

ぼくの実家は福岡県宗像市。宗像市は「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群が2017年に世界遺産に登録されたことで話題になりました。

世界遺産のロマンを感じに宗像に行く方もいると思うのですが……。宗像に観光へ行く方に一つだけ提案があります。

宗像に来たなら、大島に上陸しようぜ!

あまり観光地としてスポットライトを浴びてこなかった大島。宗像の歴史ロマンを感じるなら、大島は欠かせない存在なのです。

そもそも、宗像市ってどんなところ?

 

宗像市は福岡市の博多駅から30㎞ほど離れたところにあり、福岡市と北九州市のちょうど中間に位置しています。

観光スポットとして、もっとも有名なのが宗像大社です。「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群として、世界遺産に登録されています。

歴史ロマンと自然豊かな街で、おいしい魚介類も豊富。じつは福岡の穴場観光スポットなのです。

 

宗像の定番観光スポットとは

宗像大社辺津宮

宗像大社の歴史は古く、日本神話に登場する日本最古の神社のひとつです。

一般的に「宗像大社」といえば、本土にある「宗像大社辺津宮」を指すことが多くあります。しかし、正式には辺津宮に加え、大島にある「中津宮」、沖ノ島にある「沖津宮」の三宮を総称して「宗像大社」といいます。

 

そのほかの観光スポットというと、宗像の豊富な自然でとれた野菜や、玄界灘でとれた美味しい海産物がそろっている道の駅むなかたは必見です。

さらに、日本酒の蔵元「勝屋酒造」や、出光興産の創業者出光佐三氏の生家があることで有名な「赤間宿」。さらに福岡最大級の源泉かけ流し温泉施設「やまつばさ」があります。神湊で美味しい魚介類に舌鼓を打つのもよいでしょう。

……まあ、こんな感じで。それだけでも十分なんですけれど。さらに特別な滞在にするためには、本土を楽しんだ後で大島に行ってほしいんです。

大島へ行くには神湊から船で!

大島は神湊港から北西に約6.5kmの場所にある島です。7.17平方キロメートルの面積で、福岡県内の離島では最大。

大島に行くには、神湊港と大島港を結ぶ「市営渡船大島航路」を使わなければなりません。本土側から大島へ行くときは、神湊渡船ターミナルから船に乗ります。

旅客運賃は大人(中学生以上)570円、小児(小学生~1歳)290円。大人に同伴する小児は、 大人1人につき1人まで無料です。

船は毎日運航しており、「フェリーおおしま」が1日5便、「旅客船しおかぜ」が1日2便です。

神湊港から、フェリー「おおしま」で約25分、旅客船「しおかぜ」で約15分で到着します。かなり気軽に行けちゃうんです。

神湊港渡船ターミナル
住所:福岡県宗像市神湊487-51

市営渡船大島航路について詳しくはこちら

七夕伝説発祥の地といわれる宗像大社中津宮へ

大島へ降り立ったら、まずは宗像大社中津宮へ参拝に行きましょう。3社ある宗像大社のうちのひとつであり、天照大神の三柱の姫神の次女にあたる湍津姫神(たぎつひめのかみ)が祀られています。

中津宮を参拝するには、こちらのちょっとキツめの階段を登らなければなりません。傾斜が急ですが、両サイドに手すりがついているので、ぜひ頼ってください。

こちらが宗像大社中津宮の本殿です。この本殿、私事ですがぼくにとっては思い出の場所でして。じつは、縁あってこちらで結婚報告の神事を行ったことがあるんです。

2016年の「大島七夕まつり」にお呼ばれして、毎年恒例の結婚奉告祭の彦星・織姫役に大塚家夫婦が選ばれたんですね。ぼく、彦星。

▲当時の写真(2016年)

七夕まつりでは、大島のみなさんに結婚を祝っていただきました。厳粛な神事と島民の皆さんのあたたかい拍手が印象に残っています。

「大島七夕まつり」は日が暮れるまで続いてたいへんな盛り上がりを見せます。もちろん、2020年はコロナ禍の影響で中止となりました。

なぜ大島では、この七夕まつりにこんなに力を入れるのか。じつは、大島は「七夕伝説」の発祥の地と伝わっているのです。なんとこの「七夕まつり」も、鎌倉時代から続く神事なのです。(そんな神事の彦星・織姫役だったなんて、光栄すぎる……)

▲中津宮境内にある天の川(左)織女神社(中)牽牛神社(右)

宗像大社中津宮の境内には「天の川」と呼ばれる川が流れています。川の両岸には「牽牛(彦星)」と「織女(織姫)」が祭られる神社があるのです。宗像大社の公式サイトには、七夕伝説について、以下のような記述があります。

天の川伝説には、唐に渡った貴公子が織女を伴って帰国後、二人は離ればなれとなり、日々織女に想いを寄せていたら、ある夜の夢枕で、天の川にタライを浮かべると水鏡に織女が映るとのお告げがあり、それから貴公子は神仕えをしたと伝えられています。
引用:宗像大社公式サイト

そんな由緒ある神社なので、宗像大社中津宮は縁結びの神様としても人気があります。我々夫婦も円満(一応)ですので、ぜひ思うところある方はご参拝を。

宗像大社中津宮
住所:福岡県宗像市大島1811

沖ノ島に祈りを捧げる宗像大社沖津宮遥拝所

宗像大社中津宮の壮大な歴史を感じた後に向かってほしいのが、宗像大社沖津宮遥拝所です。沖津宮の鎮座する沖ノ島を遥拝する拝殿として建てられています。

これまでぼくは本土の辺津宮、大島の中津宮を参拝しました。宗像大社の3社を参拝するには、残るのは沖津宮です。

しかし、沖津宮のある沖ノ島は島全体がご神体とされており、一般人の立ち入りが禁止されています。神職以外は上陸できないため、ぼくらはここから沖津宮を遥拝することになります。

※以前は祭りのときに選ばれた男性が上陸できましたが、2017年の世界遺産登録以降、一般人の沖ノ島上陸は一切禁止となりました。

天気がよくて空気が澄んだ日は、ここから沖ノ島を見ることもできます。これで一応、辺津宮、中津宮、沖津宮にご挨拶ができました。

沖津宮遥拝所から見える景色もおすすめです!気持ちのいい場所でした。

宗像大社沖津宮遥拝所
住所:福岡県宗像市大島字伊東1293

気軽に釣りを楽しめる「うみんぐ大島」

うみんぐ大島は、大島を代表するレジャースポットです。

最大175名収容可能な釣り専用防波堤があるほか、手ぶらで釣りが楽しめる釣り堀があります。

今回は息子2人とも一緒だったので、みんなで釣り堀を楽しんでみることにしました。

子どもたちにも救命胴衣は無料で貸してもらえます。いざ釣り堀へ!

釣り竿の餌の付け方を教えてもらい、いざ釣りスタート。すると、すぐに竿がぴくぴく。

釣れました!!すごい。シマアジです。けっこう大きい。

そのあとも長男のこーくん(4歳)と一緒に粘るぼく。

釣れた!と思ったら、釣り堀に紛れ込んでいたクサフグでした。すぐ餌だけ食べられちゃうんですよ。釣り堀の釣りもけっこう難しいんですね……。

諦めずに竿を持ち続けます。すると……。

なんとタイが釣れましたー!!やったー!!諦めなくてよかった!!タイが釣れたところで、タイムアップ。

釣れた魚は1匹200円で内臓・ウロコ取りもやってくれます。これなら、キッチンを汚さなくて済みますね。

贅沢なお土産ができました!!

うみんぐ大島の釣り堀では、真鯛・ヤズ・ヒラマサ・シマアジ・クロ・カワハギなど季節に応じて10種類程度の魚を放流されています。初心者の方でもスタッフが釣り方を教えてくれるので、安心して釣りを楽しめます。

釣り堀を利用される方は予約制なので、事前予約を忘れないようにしてくださいね。

うみんぐ大島
住所:福岡県宗像市大島1822番地4
利用時間:8:00~17:00(4月~10月)、8:00~16:00(11月~3月)
定休日:毎週火曜日(火曜日が休日の場合は、その翌日)
※年末年始は、12月28日から1月4日まで休み
>>うみんぐ大島の公式サイトはこちら

カナディアンキャンプ大島牧場で絶景乗馬体験

大島の砲台跡という史跡の近くにある広場にやってきました。ここには「日本海海戦・戦死者慰霊碑」が置かれています。標高が高く、島の上から海を眺める絶景スポットでもあります。

じつはこの絶景の中で体験乗馬ができるということで、長男のこーくんに内緒で予約してみました。ここで待っていれば、馬が来るはずなのですが……。

あ……!!

馬が来たー!!

近くで見るとかなり大きい。こんな大きな馬にうちのこーくん(4歳)、本当に乗れちゃうんでしょうか。本人が怖がらなきゃ大丈夫……ということなんですが。

気が付くと、笑顔で乗っていました。すごい、全然怖がってない。

けっこう広いこの広場をぐるーっと廻ってくれます。ちょっと曇り始めてきちゃって、もう少し天候がいいときれいな写真が撮れたのですが。目の前は全部海ですよ!

こーくんの笑い声は、遠く離れても響いて聴こえてきていました。ふつう、小さな子どもに乗せられる馬って、ミニチュアホースとかポニーとかが多いんですよね。本人にとっても、とてもよい経験になったのではないでしょうか。

ぐるりと1週廻って、引き馬は終了。こーくんはお馬さんに「ありがとう」とお礼を言いました。

短い付き合いでしたが、お馬さんともお別れです。

楽しかったのね……。

絵に描いたようにしょんぼりするこーくん。「またお馬さんに乗りに来ようね」と約束して、広場を後にしました。それにしても、こーくんはけっこう動物が好きなんだなあ。親としても新たな発見となりました。

今回は子ども体験用にスタッフが馬を引く「引き馬」という形式で体験させてもらいましたが、大人向けの体験乗馬コースもあります。体験乗馬は予約制になっているので、やってみたい方はお問合せしてみてください。

カナディアンキャンプ大島牧場の体験乗馬の料金

  • 馬と写真を撮る(5分)1,000円(税込)
    引き馬(1回)1,500円(税込)
    ミニ遠乗りロング(30分)6,000円(税込)
    ※引き馬はスタッフが引く馬に乗り、ミニ遠乗りは自分で手綱を持ちます。

 

カナディアンキャンプ大島牧場
住所:福岡県宗像市大島2804-1
電話:090-3662-0656、0940-62-1912
>>カナディアンキャンプ大島牧場の公式サイトはこちら

musubi cafeでほっと一息

大島でたくさん遊んで疲れた大塚家。かんす海水浴場前にある「musubi cafe」にやってきました。

おしゃれな店内で海を一望しながら、ゆっくりとした大島の時間を堪能できます。ぼくは漁師サンド(タルタル)とひじきナゲットを注文。

▲漁師サンド(400円、税込)とひじきナゲット(300円、税込)

漁師サンドには、大島の地魚が使われており、ホクホク。ひじきナゲットもうま味がたっぷりで、和風な親しみやすい味わいでした。罪悪感のないヘルシーなファストフードです。おいしかった!!

子どもたちには大島甘夏シェイクとポテトを注文。

▲大島甘夏シェイク(400円税込)とポテト(300円税込)

大島甘夏シェイクは最初はミルクのクリーミーな感じが強いんですけど、飲むこむと甘夏のさわやかな香りが抜けていくんですよね。美味しい。

大島の味を楽しみながら、癒しの時間を過ごすことができました。このようなカフェは貴重ですね。

▲ランチしたい方はタコライス(600円税込)もおすすめ

こーくんは早々とポテトを食べ、カフェの前にあったブランコに熱中しておりました。

 

遊び疲れていたと思ったんですが、子どもの元気、底なし……。大島は子どもが楽しめるものがたくさんあっていいですね。

musubi cafe
住所:福岡県宗像市大島773
営業時間:10:00~16:00
定休日:不定休
電話番号:090-5924-9491
>>musubi cafeの公式サイトはこちら

個性派ぞろい!大島の旅館・民宿おすすめ3選

大島にはさまざまな民宿や旅館があります。その中でも、地元の方にうかがった旅館や民宿を3か所選びましたので、ご紹介します。

漁師さんが営む宿「灯明の宿 ふじ島」

 

旅館藤島は今回、ぼくらが宿泊した宿です。地場の漁師さんが経営されており、おいしい魚料理がウリです。

夕食には豪華な刺盛!!

アワビの刺身もめちゃめちゃ美味しかった。豪華すぎて、海鮮の価値観が崩壊しそうで恐怖を感じるレベルでした。

お風呂は貸切で、なんと浴槽が船の形をしていました。これには子どもたちも大喜び。お風呂に集中してくれて助かりました。

お部屋からは大島の海が一望できます。もう少し天気が良かったら、いい写真が撮れたんですけど……。

女将さんが食事の時から、帰る間際まで子どもたちを可愛がってくれて、それもとっても嬉しかったです。帰宅の途につくギリギリまで、落ち葉であそんでくれました。本当にありがとうございました!

灯明の宿 ふじ島
住所:福岡県宗像市大島695-1
電話番号:0940-72-2631
>>灯明の宿 ふじ島の公式サイトはこちら

通年で見られる美しい夕日が魅力「民宿つわせ」

民宿つわせも漁師の方が営んでいる宿です。その日にとれた魚を食べることができます。とくに「トウヘイ鍋」という、クロアナゴを使った鍋料理が人気です。

目の前はプライベートビーチとなっており、客室からは海が見えます。

 

夕暮れ時には美しい夕焼けを拝むことができます!!

大島の夕日を独り占めしているような感覚になるこの絶景は、民宿つわせの名物です。宿泊の際には、ぜひ体感してみてください。

取材時、民宿つわせのワンちゃんがとっても人懐っこく、すぐにこーくんと仲良くなっていたのが印象的でした。お泊りの際には、ぜひワンちゃんとも仲良くしてあげてくださいね。

民宿つわせ
住所:福岡県宗像市大島2428
電話番号:0940-72-2015
>>民宿つわせについて詳しくはこちら

一日一組限定の絶景貸切別荘「MINAWA」

最後にご紹介するのは、一日一組限定の貸切別荘「MINAWA」です。斜面の上にあるので、まずはこの丘を登っていかなければなりません。でも、後ろを振り返ると……。

この絶景。

一瞬で斜面を登るしんどさなんて、忘れてしまいました。

外観はちょっと古い感じがありましたが、中はキレイにリフォームされており、めちゃめちゃオシャレ!!

窓からは海が丸見えです。

ベランダに出るとこの絶景!!まさに大島の海を独り占め。

灯台が絶景のいいアクセントになって最高なんです。ここは本当に福岡県なのか。ずっとベランダにいたい。

お風呂は内湯なんですが、窓が大きいのでこんな感じ。海の開放感がとてつもないので、おそらくそんじょそこらの露天風呂よりも開放感を感じられるはずです。

ちなみにこちらは「貸別荘」なので、基本的に調理は自らキッチンで行う形になります。ゆっくりした時間を過ごしたい場合は、MINAWAへの食事の配送サービスもあるので、そちらを活用すればOKです。

一棟貸しなので、グループで宿泊する場合におすすめです。友人同士で気兼ねのない「島時間」を満喫できます。

MINAWA
住所:福岡県宗像市大島字神崎2695-63
電話番号:050-3569-8696
>>MINAWAの公式サイトはこちら

宗像観光は「大島上陸」で深みを増す!

ぼくは宗像に実家がある人間でありながら、大島に上陸したことがなく、2016年の「大島七夕まつり」で初めて上陸して、知らない世界に驚いたものです。

七夕の神事が鎌倉時代から続いていること。そして、「大島の人たちは、神事を中心に行動しているんです」と宗像市の方に説明を受けたときには驚きました。

ここでは「神宿る島」沖ノ島を大切に思う文化がとても自然な形で残っていると感じ、「まさに世界遺産だ」と感じたものです。

宗像大社にチラッと参拝しただけではわからない。長い地球の歴史でバトンリレーのように続いてきた、人間たちの歴史が大島にはしっかりと残っています。

本土で観光もいいんですけど、よかったら宿泊は大島で。やさしい島民の方々が、大歓迎してくれます。ぜひ宗像の歴史ロマンを感じてみてくださいね。