ベトナム・ハノイが海外一人旅にオススメな理由。【観光】
ベトナムのハノイは人気の観光エリアで、フォーやブンチャーなどグルメも充実しており、味付けも日本人好みでおすすめ。気軽に行ける安さ、距離、2泊3日で十分回れる広さ、そして、イメージ以上の異国感。せっかくの一人旅、日本とは全く別物の「これぞ海外!」という雰囲気をハノイでは存分に感じることができます。
ここ最近、長期の休みが取れたら一人で海外旅行に行くことが多い。日本では決して見ることが出来ない景色・食・人・カルチャーを肌で感じることができるので、積極的に海外へ足を伸ばすことにしている。そういった経験が自らを圧倒的に成長させてくれるのだ。そしてその「成長」がそのままビジネスに活きるのである。日本にだけいると、どうしても視野が狭まってしまう。
もちろん全て嘘だ。
海外旅行に行く大きな理由は要するに「なんかもうあれこれほったらかして逃げ出したい」という欲求が高まるからだ。残業、ノルマ、親族からの「結婚しないの?」攻撃、SNSでの友人のリア充アピールなどなど、あらゆるしがらみから逃げるには海外に行くのが一番手っ取り早い。
この前の休みは、初めてベトナムに行った。東南アジアは日本と同じ“アジア”なので、「割と近いのかな」と思っていたが、成田から約6時間と意外と遠いのであった。とはいえ寝ている間にはもう中国大陸を横断していて、機内のことはほとんど覚えていないまま、ハノイ近郊のノイバイ国際空港に到着しているくらいには近い。
ベトナムは、一言で言うとこんな感じ。
街なかに、ひたすら原付きバイクが走っている。本当に、ひたすら走っている。信号が無いのは当たり前だし、むしろ信号はあっても無視をする車両が多いので信号の意味をなしていないことがほとんど。故に、結構轢かれそうになる。いやむしろ、何度か轢かれた。未だに左足の親指が痛む。
これだけ走っていて、なぜ事故が頻繁に起こらないのか謎だ。東京で言うなら、土日の新宿の街なかを、ひたすら原付きが走っている姿を想像してみてほしい。明らかに危険だろう。しかし現地の通行人は華麗に避けるし、原付きも上手に走っていく。旅行客は立ち止まって呆然と見ているしかない。そして気付いたら右足も轢かれている。
加えて、さすが東南アジアといった暑さ、湿度。これには歩いているだけで体力が失われる。そして、これは引っかからなければ良いだけの話だが、街中に徘徊するぼったくり。「普通の値段の倍取られたよ~」くらいの話なら「勉強代だね!」で済むけれども、うかうかしてると「えっ、普通の値段の80倍!?」みたいな事にも遭遇する。
しかし、先ほどから不満を述べてはいるが、ベトナムは不思議と魅力的な街だ。一人旅にはとても向いていると思うし、なんなら「また近いうちに行きたい」と思うほどである。なぜベトナムはそこまで日本人を惹きつけるのか。振り返りながら、ベトナム・ハノイのことを少し紹介していこうと思う。
ちなみに、おびただしい数の原付きには、1日で慣れるから大丈夫だ。足は轢かれるけど。
目次
ハノイとは?
まずは今回訪れたベトナムの都市・ハノイのことをざっくばらんに紹介しよう。ベトナム旅行に行くとすれば、多くの人が南部のリゾート地・ホーチミンを選ぶと思う。最近はダナンやフエ、ホイアンなどの中部の観光地も人気なのだとか。故に北部のハノイは観光地としてはそこまで人気のある街ではない。
とはいえ、ハノイは、1000年に及ぶ長い歴史を持つ都市であり、ベトナムの“首都”でもある。ハノイは7世紀頃にはベトナムの中心地となり、1800年代後半にはフランスの統治下に置かれ、その後少しの間日本の統治下にも置かれた。ベトナム戦争後に南北統一がなされると、ベトナム社会主義共和国の首都と定められることになる。
ベトナムは中国・フランス・日本などの影響を受けながら統一と分裂を繰り返してきたため、距離も遠いハノイとホーチミンは最近まで別の国だったと言っても過言ではないだろう。ホーチミンは聞くところによると経済が大変発達しており、もはやバブル期の日本だという。かたやハノイは、まだまだ成長過程。となると、古き良きベトナムらしさを見に行くのなら、確実に、ハノイだ。
おすすめな理由その1 物価が安い
仮に、東京から大阪へ観光をしに行くとする。現地ではご飯を食べたりユニバーサル・スタジオ・ジャパンに行ったり、お土産を買ったりと、普段の生活以上にお金を使うことだろう。旅行なので当たり前だ。
そんな大阪とは違い、ベトナムは日本のおよそ三分の一と言われる物価の安さである。食事や宿泊、マッサージやタクシーなど、普段の暮らしの何倍も贅沢をしても予算が余るだろう。これは海外旅行の醍醐味の一つだ。
なお、ベトナムの通貨は“ベトナムドン”という通貨単位。これが少しわかりにくい。
例えばこの10,000ドン紙幣。数字だけ見ると一見高そうに見えるが、実は日本円で50円ほどなのだ。要するに1ドンは0.0050円という計算式になる。これを瞬時に頭の中で理解するには慣れが必要だろう。もし慣れるのに時間がかかるのであれば、空港で両替をした際に「日本円ではいくら」とお札にメモをして把握できるようにしておいた方が無難だ。支払いに手間取っていると観光客なのがバレバレなので、ボッタクリに遭うことがあるので注意が必要なのだ。(経験談)
なお小売価格で言うと、缶ビールは10,000ドン、ミネラルウォーターは5,000ドン、屋台の名物・フォーは一杯20,000ドンほど。高級ホテルで食べる食事も日本円で2,000円あればお腹いっぱいになれるし、全身マッサージだって1時間2000円くらいだ。贅沢旅最高。
おすすめな理由その2 飯が美味い
香草たっぷりのタイ料理、香辛料が強めなインド料理、味付けが濃いアメリカンフードのように、国それぞれローカルフードにはイメージが付き物。それで言うと、ベトナム料理は割と日本に近い味だと思う。特にハノイは塩・醤油をベースに作られている料理が多いので、日本人の舌に親しみやすい。(逆にホーチミンは砂糖を使用するまろやかな味付け)
誰しも、せっかく海外に行くならば美味しいものを食べたいと思うだろう。旅行先での思い出は、大体食に左右されると言っても過言ではない。
そしてその願いは、全てハノイで叶う。なぜなら冒頭で述べたとおり、ハノイはフランス・中国・日本、そして元々のベトナムローカルなど、さまざまな国の食文化がミックスされた料理が地元に根づいているからだ。日本ではなかなか目にする機会がない、安くて美味いベトナム料理を、ハノイで思う存分食べてみてほしい。
最高に美味いベトナムのつけ麺「ブンチャー(Bun Cha)」
焼肉がたっぷり入った甘酸っぱいつけ汁に、米麺とたくさんのハーブをつけて食べるハノイ式のつけ麺が「ブンチャー」だ。これが実に美味い。
ハノイを歩いていると多くのブンチャー屋が目に入るが、大体どこでも美味い。かのラーメン王・石神秀幸氏は、なぜこのブンチャーを日本に持ってこないのかが謎である。
気になる値段は、大体40,000ドン(日本円約200円)ほど。肉の柔らかさや濃いつけダレ、適度なボリュームも日本人好みだろう。ハノイに行ったら真っ先に食べてほしいメニューのひとつである。
ハノイに行くなら、やっぱり「フォー(Pho)」を食べるべき
フォーと言えば、ベトナムの国民的ソウルフードである。ベトナムに行ったことがない人でも、その存在は知っているかもしれない。故に、ハノイの街なかには至るところにフォーを味わえる露店がある。
日本でもフォーを食べることが出来る店があるが、ハノイで食べたフォーはとにかく“出汁”の味が強く出ていた。そんなスープに柔らかい牛肉、パクチー、ライムが合わさり、口の中で大爆発を起こすイメージだ。
何が違うんだろうと思い、帰国後近所のベトナム料理店に行ってフォーを食べてみたら、やはりスープが別のもののように思えた。日本人が海外に行ってラーメンを食べ、なんか違うなと思うことと同じなのだろう。まあ、とにかく美味い。
ちなみにフォーは大体どこでも一杯40,000ドン(日本円約200円)ほど。
ハノイのB級グルメ、ビーフステーキ・ビッテットを喰らおう
あまり知られていないようだが、ハノイの現地人にとって、ビーフステーキはソウルフードのひとつらしい。見た目はガストの目玉焼きハンバーグだが、味は全く異なるものだ。
ボリュームたっぷりのステーキ(かなり柔らかい)、半熟の目玉焼き、カリカリのポテトに、日本人好みのテリヤキソースを付け、ベトナム名物のフランスパンと一緒に口に入れる。塩っ気のあるソース、肉汁たっぷりのステーキ、甘めのフランスパンと、様々な味がミックスされ、思わず「うまっ」と声が出てしまった。今すぐガストの偉い人は現地に飛び、この味を試食して日本に持ち帰ってきてもらいたい。
行った店では、フランスパンのセットで75,000ドンだった。日本円でいうと約375円。安すぎる。
タピオカの次に来るのは、チェーかもしれない。
チェーとはベトナムのスイーツのひとつで、フルーツや豆、米、芋などに砂糖を加えて、ドロドロになるまでよく煮込んだものを指す。これがまた本当に美味しい。
言うなれば、冷たいおしるこみたいな味。甘くも薄くもないバランスの取れた白あんは、なかなか日本では味わったことがない味だ。また、仙草ゼリーや蓮の実が良い塩梅で旨味を増幅させている。
ハノイにはチェーの店がたくさんあるので、タピオカのように並ばないし、種類も豊富なので老若男女問わずウケていた。甘ったるくない繊細な味が大人にも好まれるのだろう。美味い。
他にも紹介したものがたくさんあるが、長くなってしまうので割愛。ぜひハノイに行った際には、ブラっと適当なお店に行ってみてるのがオススメである。とはいえ、観光客向けに呼び込みをしているお店に入るよりかは、現地人でごった返しているお店に入ったほうが味は美味しいし値段も安い気がした。
おすすめな理由その3 治安は安全
ガイドブックに記載されているような注意事項(例えば、一人で暗い小道に入るな、日本語で話しかけられても付いていかない)を守っている限りは、ハノイは海外の中でもかなり安全な都市だろう。
もちろん、冒頭でも話したように街なかにはたくさんのボッタクリがいるのだが、これはどこの国の観光地にもいるので、治安の問題ではない気がする(日本のようにボッタクリがいない街は特殊だと思う)。
タクシーを使う際はメーターを使うように指示をしたり(できればGrabという配車アプリを使うのがオススメ)、街なかで謎のお菓子を売りつけてくるオバサンには引っかからないようにしたり(サービス!と日本語で話しかけてくるが無視しよう。もらってしまうと多額のチップを要求される)、おみやげショップに行っても値段が書いていないアイテムを買わないようにしよう(大体が観光客向けに割高)。
とはいえ、ハノイに降り立った際には治安のことよりも“大量の原付きからどう身を守るべきなのか”のことの方が重要かつ考慮しなければいけない頭になるかと思う。
原付きに慣れるためには、最初はベトナム人たちと一緒に車道を渡り、目を慣らしていくことが大事だ。ある程度渡ると、自然に車両のスピードに合わせて渡れるようになっているから不思議である。どうしてもダメだという方は、手を挙げて渡るようにしたら止まってくれるだろう。
おすすめな理由その4 2泊3日で余裕で回れる
ハノイは大きく分けて旧市街と新市街のふたつに分けられる。よりベトナムらしさを感じたいのであれば、旧市街に滞在するのがおすすめだ。(新市街はオフィスビルばかりで多分回っても楽しくないと思う)
ドンスアン市場(というデカイ市場)を中心に栄えている旧市街には36もの通りがひしめき合っており、それぞれジャンルに分かれたアイテムが売られている。要するに「ベトナムらしい生地が買いたいな」と思えば、生地屋通りに行けばよいということだ。
なお、飲食店もお土産屋も軒を連ねるが、個人的には街のお土産店には入らなくて良いと思っている。これはほとんどの場所で、正規価格で売っていないからだ。旧市街から10分ほど歩いたところにある大型スーパーなどに行ってみると、どれだけ安くベトナムコーヒーやチョコレートが買えるのかがわかるはずだ。
ハノイは観光地はそこまで多くはなく、頑張れば歩いて一周できるほど狭い都市だ。旧市街から歩いていける場所には、世界遺産であるタンロン遺跡やベトナム戦争の諸々を知れるベトナム軍事歴史博物館、ベトナムの英雄・ホーチミンの遺体が安置されているホーチミン廟がある。興味があれば、少し足を伸ばしてハロン湾に行くのも良いだろう。これらは仮に2泊3日で旅行に行ったとしても、時間的に難しく全部回りきれないということはない。(ハロン湾は遠いので一日必要だが)
ハノイの観光地は派手さはあまりないが、どこもなぜか懐かしさを覚える場所たちが多い。
世界遺産であるタンロン遺跡。かつてのベトナム王城遺構がここに残っている。
ベトナム軍事歴史博物館。戦車や大砲、武器などが戦争当時の状態のままに展示されており、とてもリアルだ。
脇にベトナムの暮らしが広がる線路。ここは歩いて回ることが出来る。実際に数時間に1本電車が走るらしく、原付き以上に危ないので注意が必要だ。ダメ、歩きスマホ。
生活に密着した市民の憩いの場、ホアンキエム湖。大きな剣を持つ大きな亀がいるという伝説があるらしい。昼も良いが、夜も綺麗である。
どうだろう。なぜか懐かしさを覚えないだろうか。そして、このような有名観光地はもちろん良いが、それ以外も色々回ったので、せっかくなのでちょっと載せてみる。
タイ湖。タイの湖ではない。Tay Ho地区にある湖だからタイ湖だ。ハノイ旧市街から北に30分ほど歩くが、風情があって良い。割とおしゃれなショップとかもあったりする。
ハノイ市街にある、世にも珍しい「女性博物館」。ベトナム女性に焦点をあて、歴史上におけるベトナム女性の役割、活躍を紹介している。女性の歴史に付随してベトナムの人々の暮らしの歴史がわかりやすく年代ごとに分かれているので、とてもオススメ。かなり空いてるし。
ハノイはフランスの領土下にあったということもあり、ジャズ文化が根強く残る街だ。ここの「ビンミンジャズクラブ」もその一端で、クオリティの高いジャズを一杯400円ほどのビールだけで楽しむことが出来る(チャージ無)。
前述したホアンキエム湖周辺は基本的に車両でいつも混んでいるが、土日は歩行者天国になる。土日にハノイに滞在しているのであれば、ぜひ回ってみてほしい。夜はショーや屋台も出ていた。
おすすめな理由その5 だいたい英語が通じる
Khỏe Không?
なんと読むか、どんな意味なのかお分かりだろうか。多分、ほとんどの日本人がわからないかと思われる。ベトナム語に馴染みがないので当たり前だ。
そう考えると「これじゃあベトナムに行っても、街を歩いていても何も分からず、現地の人達の会話もできないのでは」と思うかもしれない。
しかし心配無用だ。ベトナム語が一切分からなくても、ある程度のコミュニケーションは取ることができる。そのワケは、ハノイに住む大体の現地人は、英語を喋れるからだ。
彼らは日本人よりはるかに達者な英会話で、観光客に喋りかける。そう考えると、渡航前にベトナム語を覚えようとするよりも、英語をうまく扱おうと考えたほうが身のためかもしれない。英語が中学生レベルでもなんとなく聞き取ってくれるし、なんならGoogle翻訳を使えば難しいコミュニケーションを取ることだっていともたやすい。文明の利器を惜しげなく利用しよう。
なお、Khỏe Không?は、お元気ですか?という意味である。
おすすめな理由その6 航空券が東京↔大阪間の新幹線より安い
海外旅行は高い。
一昔前は、そんなイメージがあっただろう。とはいえ、ここ最近格安LCCのおかげで凄まじい安さで日本を脱出できるようになったのだ。
例えば今回ハノイに渡航した際の航空券は、往復29,800円(諸経費込み)である。これは東京↔大阪の往復新幹線より安い。
記事冒頭でも伝えたように、ベトナムは日本のおよそ三分の一と言われる物価の安さである。国内旅行に行くよりも、食事や宿泊、マッサージやタクシーなど、普段の暮らしの何倍も贅沢をしても予算が余る。
そう考えると日本国内で一人旅をするのも良いが、気軽に海外に行くという選択肢もあるのではないだろうか。「この前の三連休、ハノイに行ってきてさ……」なんて話のネタも出来るだろうし。
働き方改革で“有給”を取らなきゃいけない、でも結局家にいるだけだし……。なんて人には、土日に有給をくっ付けて三連休にし、ハノイにふらっと行ってみることをオススメする。
ハノイは地味だが楽しい街。はじめての海外一人旅に向いている
ハノイにはニューヨークのような派手さはないし、京都のような繊細さもない。リゾートも無いし、世界的に有名な観光地もない。しかしながら、前述した“ベトナムらしさ”を確実に感じることが出来る街だ。
そして、はじめての海外一人旅に向いているとも思う。気軽に行ける安さ、距離、2泊3日で十分回れる広さ、日本人好みの食、そして、イメージ以上の異国感。例えば近場であれば台湾、韓国などの国に旅行するのも良いとは思うが、ソウルや台北などの都心部は東京とそこまで変わらない街並みが続いている。
せっかくの一人旅ならば、個人的には日本とは全く別物の「これぞ海外!」という雰囲気を感じてほしいのだ。日本に戻ってきたらまた違った目で日本を見ることができると思う。原付きを東京で見ると、条件反射でビクッとなるが。
ちなみに、ハノイに行くなら4~6月、9~11月がベストシーズン。ちなみにハノイは一年中ほぼ曇り空なので、記事中の写真のような天気が続くことは覚えておこう。あと、海外旅行の際に必須と思われるポケットWi-Fiだが、近年は各キャリア(docomo、au、SoftBank)が海外でのパケットが一日使い放題になるサービスを展開しているので、個人的にはこちらのほうがオススメだ。
そして、最後にこれだけは言っておくと、サンダルで旅をするのはヤメた方が良いだろう。原付きに轢かれたときのことをイメージしてほしい。相当痛いから。
文・カメラ=長橋 諒(@nagahashiryo)