ウクライナに観光に行けたときの話【色々フリーダムな国だった】

3年前、旅行でウクライナに4日滞在した時の記録です。他国ではなかなか味わえない魅力にすっかり虜になってしまいました。人も町並みも美しい魅力あふれる国ウクライナに、再び平穏な日々が来ることを願っています。

こんにちは、SPOTライターのシュゴウ(@shugou17)と申します。

みなさん、ウクライナという国をどこまで知っていたでしょうか。

私は3年前、旅行でウクライナに滞在しました。

そして、ウクライナの美しい街並み、親切な人々、おおらかでフリーダムな国民性など、他国ではなかなか味わえない魅力にすっかり虜になってしまいました。

そんな私にとって思い出深い国ウクライナですが、皆さんご存じの通り、現在のウクライナ情勢は大変厳しいものがあります。
本来は大勢の観光客が訪れる魅力あふれる国ウクライナが、悲惨な戦場地帯というイメージで塗りつぶされてゆく現状が悲しくてなりません。

私がそんなことを思っていても無力すぎて何かを救える訳では全くないのですが、
一人のライターとして平和だった頃のウクライナの魅力を伝えることで、少しでも平和を願う声を届けられればと思い改めて執筆させていただきます。

ウクライナってどんな国?

ウクライナは、ヨーロッパとロシアの中間あたりに位置する東欧の国です。
この絶妙な位置にあるせいで、EUとロシアのどちらにつくか、長年悩まされてきた国でもあります。

かつてはソビエト連邦の構成国でしたが、ソ連崩壊に伴い1991年に新たな国家ウクライナとして独立しました。

しかし、今年2022年の2月24日にロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻が開始され、現在はロシアと戦争状態となっています。

現在はコンクリートで覆われているチョルノービリ(チェルノブイリ)原発

日本では、原発事故のあったチョルノービリ(チェルノブイリ)がある国として有名です。他には、ロシアの代名詞的存在として有名なボルシチやコサックダンス。実は、どちらもウクライナが発祥です。

日本からは直行便が出ていないため、渡航する場合はヨーロッパ・中東・アジアあたりで乗り継ぐ必要があります。渡航費は、時期にもよりますが往復15万円程からと言った具合です。

ヨーロッパではロシアに次ぐ国土を誇り、自然も豊富で数多くの観光スポットがあります。世界遺産になっている旧市街などの歴史的建造物も多く、本来なら幅広い観光が楽しめる国です。

そこで、本来のウクライナの日常はどんなものだったのかを伝えるために、3年前に行った、ウクライナ旅行記を掲載させていただきます。

1人でも多くの方が、ウクライナという国に関心を持っていただけたら幸いです。

1日目 まずはウクライナの首都キーウ(キエフ)へ

宿泊したマンションからの眺め

ウクライナ観光1日目は、空港からそのまま首都キーウ(キエフ)にある宿泊先へ向かいました。

キーウの大通りには古い建物がたくさん並んでいました。
ヨーロッパとロシアの中間地点である東欧に位置するウクライナは、建物もおしゃれなヨーロッパ調のものと旧ソ連を感じさせる荘厳なものが入り混じってます。

このように、ウクライナでは様々な場所で旧ソ連を感じられるので、ヨーロッパに行ったことがある人でも異国感を存分に味えます。

そして、オシャレで美しい町並みも魅力的のですが、ここに来るとそれ以上に驚かされることがあります。それは……

 

「とにかく美男美女だらけでビビる」

そうなんです。ちょっと通りを歩いただけで、モデルみたいな人があっちこっち歩います。何だこの国は。

それもそのはず、ウクライナは世界一美女の多い国として有名で、美しすぎる検事として日本でも有名になったポクロンスカヤ検事総長もウクライナ人です。

ウクライナに来て私は、夏目漱石がロンドンに留学した際に日記に書いた一文を思い出さずに入られませんでした。

ウクライナに来ると、自分が相対的に「背の低き妙なきたない奴」になってしまうので、自然と漱石と同じ気持ちになれます。

物価が安い!コスパ最強ウクライナグルメ

夜はスーパーに買い出しへ。レストラン等の外食もいいですが、地元の食材をスーパーで買って食べるのもなかなか面白いものです。

今回の宿泊先はAirbnbで予約したキッチン完備のアパートだったので、買ってきた食材を自分で調理します。

Airbnbなどのシェアリングエコノミーサービスをうまく活用すれば、普通のホテルよりも格安で泊まることができるうえ、キッチンやランドリーが備わっている部屋も多いので、滞在費を抑えたい方にはオススメです。

今回の借りたおしゃれなレンガ造りのアパートも、リビング・ダイニング・ベットルームに加え、キッチンやランドリー、更にはボタンだらけで使い方が全然分からないジャグジーまで完備されていて、一泊5100円で宿泊することができました。

今回の旅行は私・兄・友人の3人での旅行だったので、一人1泊1700円で宿泊できたことになります。

はい、ということでスーパーにやってまいりまし……チーズすごいな。

適当に立ち寄った、そんなに大きくないスーパーでこの品揃え。日本のスーパーではまず見かけない光景ですね。違いがわからないけど、なんとなく美味しそうな奴をチョイスします。

そして加工肉もすんごい。

牧場とか道の駅なんかに行くと、お土産エリアにこんな感じのコーナーがあってテンション上がりますよね。でも割と高いから、「ふ~ん、サラミね……。あ、こっちはベーコンか……」って感じで眺めて終わりになるやつだよね?

ウクライナならその無念をはらせます。実はウクライナの物価はかなり安い。物価が安いことで有名なタイなどの東南アジアの国々と比較しても負けないくらい物価が安いので、食材もお安く(500mlペプシコーラが55円とか)買えます。

しかもここに並んでいる加工肉たちはお土産ではなく日々の食料として売られているわけですから、日本の牧場のおみやげコーナーとは比較にならないくらい安い!

ということで、ソーセージ?ウィンナー?サラミ?カルパス? 違いはわからないけど、なんとなく美味しそうなやつを購入。

そして……

最高じゃん。

お試しで買ったカルフォルニアロールは、高かったくせに全然美味しくなかったです。

2日目 チョルノービリ原発見学ツアー

放射能汚染により廃墟になった街プリチャチ

2日目は、1986年に原発事故が発生したことで有名なチョルノービリ(チェルノブイリ)原発へ行きました。

放射能汚染のため、長らく原発周辺一帯は立ち入りが厳しく制限されていましたが、実は8年ほど前から周辺の街や原発を見学するツアーが開始されています。(ツアー料金は1万円くらいです)

特にここ最近は、数々の賞を受賞し世界的に話題となったドラマ『チェルノブイリ』の影響でツアー希望者が急増。ウクライナを代表する人気観光地となっていました。

しかし、2月24日にロシア軍はウクライナを軍事侵攻するとともにチョルノービリ原発を占拠。ロシア軍による原発への攻撃リスクや、廃炉作業が中断されかねない現状から放射能汚染が心配され、改めて世界がチョルノービリ原発に注目する事態となっています。

ゼレンスキー大統領が日本で国会演説をした際には、「汚染さされた土の上をロシア軍の車両が走ったことで放射性物質が舞い上がった」と、ロシア軍がチョルノービリ原発を占拠している現状に対して警鈴を鳴らしました。

訪れた際には首都キーウからはツアーバスに乗り、約100km離れたチョルノービリ原発へと向かいました。

到着するまでの間、ツアーに参加するにあたっての注意事項を説明されました。ツアー中はなるべく舗装路を歩き、苔やキノコは汚染されているから触れるなとのこと。

なんというか、それは一般に開放していいレベルにまだなってないんじゃないか?と色々不安になってきますが、そんな人用に有料でガイガーカウンターのレンタルもされていました。色々すごいなこの国は。

ちなみに、ツアー申し込みの際には「健康被害に関しては自己責任です」という書類に署名する必要があります。バンジージャンプとかで見慣れたヤツですが、「ガイガーカウンターレンタルサービス」という放射能汚染がある故に成り立っているサービスを知り、今になって「サインしちゃったけど普通にやばくない?」と不安な気持ちを抱えます。

プリピャチ入り口のモニュメント

まず向かったのは、チョルノービリ原発から数キロ離れたところにある街プリピャチ。原発事故の際に住民は避難し、それ以降は街全体が廃墟となっています。

原発事故で汚染し、住人を強制退去させた町を観光資源化するなんて、日本じゃなかなか考えられませんね。

隔離エリアの入り口では軍の人が立っており、ツアー参加者は全員パスポートを見せてから中に進みます。

しばらくすると、ゴーストタウンとなった街が現れました。こちらはかつて映画館だった建物。長い間放置されることで、徐々に自然と一体化していったのでしょう。

中はガラスの破片があったり、床が腐っていたりと誰が怪我してもおかしくない状態ですが、ツアーガイドは特に気にする様子もなく、ツアー客を自由気ままに廃墟の中を探索させています。

普通は世界遺産となった軍艦島のように、外から眺めるだけとか、決められたルートをガイドとともに歩いていくもんだと思うのですが、ウクライナはこの辺がかなりゆるゆるのようです。

こんなフリーダムすぎるツアー、日本じゃ絶対無理でしょう。

旧ソ連の国々には独特のデザインセンスがあります。やたらとモニュメントや巨大建築を造りたがる傾向があるのですが、ヨーロッパとは一風違った造形や意匠は異国感が満載。

さらに、それらが廃墟となって自然と渾然一体になることで、なんとも言えない退廃美を感じさせてくれます。

このプリピャチという街は、チョルノービリ原発で働く作業員やその家族のために原発とともに作られた計画都市でした。

何もない状態から一気に造られたユートピアは、原発事故によって今も当時の姿を保ったまま、街全体がゴーストタウンとなっています。

こちらは文化会館だった建物。街の中心部には広場があり、その広場の周辺にはこのような大きな建物がそのまま廃墟となり連なっています。

こちらはホテルだった建物。キリル文字が可愛い。

他にも病院や学校、保育園など建物がたくさん建っていますが、今やみんな廃墟になって草木に覆われています。

ただ、ツアーのバスが往き交い、ガイドに連れられてツアー客が練り歩いているので、ゴーストタウンという風情はあまりありませんでした。

次に向かったのは、プリチャピでは最も有名な場所である遊園地。

この遊園地は開園の直前に原発事故が発生したため、一度も営業しないまま現在のような姿になってしまいました。

コチラは空中ブランコ。座席部分の板は腐り落ち、パイプだけになっていました。

ガイガーカウンターをレンタルした人は、遊具や植物、水たまりなどいろいろな場所にカウンターをかざし線量を計測していました。どうやら場所によってだいぶ放射線量が異なるようです。

スマホ片手にポケモンGOをやるような感覚で、ポケストップではなくホットスポットを探す人々。こんな体験ができちゃう国は、世界中探してもウクライナくらいでしょう。

遊園地から少し行ったところには、サッカースタジアムが。

一見するとただの森のようですが、実はスタジアムのグラウンド部分です。30年以上の長い年月をかけ、自然へと戻ってしまっています。

再びバスに乗り、少し移動すると大きな鉄塔のような構造物が。とにかくめちゃくちゃでかい。

実はこれ、敵国のミサイルや飛行機を索敵するためのレーダーだそうです。西側諸国との対立が深かった時代には、このレーダーを稼働させ、警戒にあたっていました。

レーダーの高さはなんと150メートル!横の長さも半端じゃなく、全景をカメラに収められません。

次はいよいよチョルノービリ原発へと向かいます。こちらはチョルノービリ市の入り口にあるモニュメント。デザインがすごく可愛い……。

具体的に何を描いているのかはよくわからないけど、なんとなく「科学技術によるユートピア!」感が感じられます。

奥に見える白いドームのようなものが、事故後新たに作られた石棺です。事故のあった原発をまるまる覆い、放射能が漏れるのを防いでいます。

それでもこのあたりは他の場所よりも放射線量が高いようで、他のツアー客がレンタルしたガイガーカウンターからは警告ブザーが鳴っていました。

みんなモニュメントの前で普通に記念写真を撮ってるけど、大丈夫なの?

お昼ご飯は入り口に放射線量測定器がある食堂で頂きます。ちなみに、地面に座ったりして放射能を吸着してしまった場合、汚染されたズボンや靴をこの場で廃棄させられるそうです。

実際に過去にあったそうですが、廃棄させられた人はどうやって帰ったんでしょう。そもそも、そんな汚染が残る地域を観光地として開放してしまうウクライナのおおらかさに驚かされます。

今も原発を廃炉にする作業が続いており、本来この食堂は作業員のために作られた場所のようです。しかし、このときはツアー客が長い行列を作っていました。

原発施設の入り口にはお土産屋さんもありました。人類史上最悪の原発事故が起きた街をそのまま観光地化し、おみやげコーナーまで設けちゃうのはすごすぎる。

お土産のラインナップもすごいです。写真集やポストカードはまあわかります。

でも、放射能マーク入りチョルノービリTシャツとか、DANGERロゴ入り骸骨Tシャツあたりは、なんというかかなりぶっ飛んだラインナップじゃないでしょうか。

あと、この放射能マークがついたホットドックは何者なの?

放射能マーク、絶対食べ物に添えていいものじゃない。こんなにも食べたくないご当地グルメは初めてみました。

最近原発事故を経験した日本人からすると、「そんなことまでしちゃうの!?」と驚かされることが多かったツアーとなりました。ただ、ガイドの方は街を巡りながら事故に関する説明をしてくれるので、原発事故について深く学ぶことができていたのは確かです。

アウシュヴィッツ収容所や広島の原爆ドームのように、より多くの人がそれについて考えるきっかけになるのならば、学びの場として観光地化するのはアリなのかもしれません。

ホットスポット探しをアクティビティ化するのは流石にぶっ飛び過ぎだと思いましたが……。

ただ、この場所も今はどうなっているかすら分かりません。

 

3日目 装甲車体験搭乗ツアー

皆さんはマニュアル車、乗ったことありますか?

最近はオートマ車ばかりで、マニュアル車に乗る機会は殆どなくなってしまいましたね。私は一応マニュアル免許を取得したのですが、引っ越しする際にレンタルした軽トラを一度運転しただけで、それ以降はマニュアル車を運転する機会はありませんでした。

しかし、このウクライナに来て久々にマニュアル車の運転を経験することができました。

コレです。

装甲車です。

まさか、マニュアル車運転歴が教習車→軽トラ→装甲車になるなんて思いませんでした。ということで、3日目は装甲車体験搭乗ツアーに参加しました。お値段は、4種類の銃射撃体験とセットで3万1500円。

ツアーガイドにホテルから車で送迎してもらい、何故かガソリンスタンド脇に車を止めたと思ったら、普通に装甲車が給油してたのでビビりました。

てっきり、私有地の限られた敷地内を走るもんだと思っていたので、町中のごく普通のガソリンスタンドで対面することになるとは思わなかった。

ここで装甲車にツアーガイドと一緒に乗り込み、ガソリンスタンドの近くにあった、林の中にある練習コースっぽいところで停車します。

今回のツアーでは、装甲車に乗るだけでなく運転も体験可能です。助手席からインストラクターのおっさんにサポートしてもらいながら、このオフロードコースを運転していきます。

本当はキャタピラで走る戦車に乗りたかったのですが、戦車はツアー代が1人4万円くらいするのでこの装甲車で我慢しました。お金を払えば戦車を運転させてくれるとか、色々ぶっ飛んでますね。

この青い服を着たインストラクターのおじさんは2人いたのですが、いったいどういった立場の人なんでしょう?

肩に階級章みたいなものがついているので、おそらく軍に属している人だと思うのですが、とにかく2人共、びっくりするほどかったるそうにしていました。

いよいよ運転体験が始まりました。運転席上部のハッチから座席へと降ります。乗り降りするのも一苦労、そして椅子がめちゃくちゃ固い。

運転席にはたくさんスイッチがありますが、運転の際に操作させてもらえるのは、ハンドル・アクセル・クラッチのみです。
助手席に座っているインストラクターのおじさんから、ジェスチャーと英語で説明を受けます。どうやら右手でアクセル、左手でクラッチを表現しているようです。

英語はほとんどわからないため、頼りになるのは手のジェスチャー。初めて運転する装甲車のレクチャーがジェスチャー頼りなんて不安すぎる。

恐る恐るアクセルを踏み込みます。うう、かたい……。すこ~しずつアクセルを踏み込んでいると、エンジン音を唸らせながら、ゆっくりと車体が動きます。

よろよろ進み始めると、すぐにクラッチを踏み込むように指示が。指示通りクラッチを踏むと、助手席に座っていたおっさんがギアを2速に変えます。速度が徐々に上がってきて怖いので、様子を見ながらすこ~しずつアクセルを踏み込んでいると……

 

「ACCELERATION!!!!(遅えよ!!!)」

 

助手席に座っていたおじさんにめっちゃ怒鳴られました。

どうやらもっとアクセルを踏まなきゃいけないらしい。おそらく、ギアを2速に入れてからはある程度のスピードを出し続けないとエンストしてしまうのでしょう。

でも、こちとらマニュアル車なんて教習車と軽トラしか乗ったこと無い人間です。いや、どんな人間だって、いきなり装甲車にのったらまずは様子見でソロソロ行きたいじゃないですか。アクセルベタ踏みなんて怖すぎる。

運転席に乗るまでは意識してなかったのですが、よくよく考えると装甲車ってフロントガラスがないんですよね。左右も窓が一切なく、図体がでかいわりに、正面の小さな窓からしか外の様子がわからない。

そのため、めちゃくちゃ運転がしづらいです。それに加え、車高も高いし、曲がり方もかなり独特。カーブのためにハンドルを切ると、前の4つのタイヤが全て傾くため、普通の4輪車とは異なった挙動をします。

だから、ゆっくり走っていても、普通にコースアウトして木に突っ込みそうになる。それなのに……

 

「ACCELERATION!!!!」

 

めっちゃ怒鳴るじゃん。

でも、慣れてくると、凸凹の道を難なく進んでゆく飛び抜けた走破性が病みつきになってきます。このどんな道でも乗り越えてゆく頼もしさは、普通の乗用車では味わえませんね。

運転体験を終えると、今度は、装甲車の上に私を乗せて林を爆走してくれました。
結構なスピードだしてくるし、左右からは伸びた木の枝が容赦なく顔にアタックしてくるし、私やガイド含め上に5人も乗った状態で普通に公道走ってるし、色々フリーダムすぎる。

そのまま高速道路に入り、街を爆走してくれました。流石に高速道路に入るときには装甲車の中に入るように言われましたが、スピードがでてるのでハッチから頭を出すだけでもなかなかのスリルが味わえます。

仕事中だろうと暇さえあればタバコを吸っている軍?のおじさん

その後は元のガソリンスタンドに戻り、装甲車体験搭乗ツアーは終了。世界広しといえども、装甲車で街をドライブしたり、運転したりできちゃう国はそうないでしょう。まさか戦車や装甲車まで観光資源にしてしまうなんて。

このあとは、ツアーガイドに連れられレストランへ。その道中、高速道路から見える林にジャンボジェット機が横たわっていたのですが、ガイド曰く「誰がどうやってあそこに持ってきたのか誰にもわからない。いつの間にかあそこに捨ててあった」とのことでした。

飛行機がポイ捨て……そんな事ある?

4日目 フリーダムすぎる市場がすごい

4日目は、地下鉄に乗って市場へ行きます。向かう先はメトロ1号線の終点駅、Lisova駅。

首都キーウには、地下鉄に乗るための地下通路への入り口が色んな所にあるので、ちょっとした移動にも便利です。

ただ、日本の地下鉄みたいにパッと乗れません。というのも、地下鉄の駅を核シェルターとしても利用できるようにするため、首都キーウの地下鉄は世界一深い場所に造られているのです。これが本当に活躍してしまうような日が訪れるとは当時は思いもしませんでした。

そのため、駅に降りるまでが地味に大変。もちろん、エスカレーターはあるのですが……

長すぎて先が見えません。

そしてスピードが速い。乗るときちょっとビビるくらい速いのですが、とにかく全長がとんでもなく長いので、下までなかなか到着しません。

エスカレーターの間に等間隔に並んでいる照明には広告が貼られていました。色々なポスターが次々とやってくるので見ていて楽しい。

地下鉄に乗車し、首都キーウから30分ほどでLisova駅に到着します。

駅を降りると、大きなアーケードの中にいろいろな食品を扱っているおしゃれな市場があるのですが、そのアーケードを抜けた先にも市場があります。それは……

トラムの線路ギリギリに展開している、野良市場です。

先ほどのオフィシャルな市場と違い、フリーマーケットみたいに各々が勝手にお店を開いています。並んでいる商品は野菜・果物・お花・植物など。

机やパラソルでしっかり設営されているお店から、シートを引いて商品を並べただけの簡易なお店まで、多種多様なお店が線路にそってかなり奥の方まで連なっています。

それにしても、

トラム、ギリギリすぎじゃない?

 

ターミナルが近くにあるので、ひっきりなしにトラムが行き交います。それも結構なスピードで。しかしお客さんは慣れているのか、みんなギリギリまで避けないし、なんならトラムも減速しようとしない。

線路脇で勝手にお店広げちゃってるのもすごいし、それを許しちゃってるのもすごい。日本では考えられない光景です。

ここにはバスターミナルもあるのですが、バスターミナル沿いの道路にも野良市場が大量発生していました。

トラム線路脇の野良市場同様、かなり奥まで続いています。

道路の両サイドにパラソルや段ボール箱が所狭しと並んでおり、その間を大型のバスがターミナルに向かって行き交います。

買い物客も大勢いるので、人、バス、車、屋台が道路に溢れかなりのカオスっぷり。

商品は野菜や果物など食品が中心。この机なんかは、毎回撤収してるのか……?

中には机もパラソルも使わず、そのまま地面において販売している人も。個人個人が好き勝手に出店しているので、多種多様なお店があり見ていて楽しいですね~。

え? 常温ブルーシートじか置きお肉屋さん!?

フリーマーケットで不用品をブルーシート上に広げましたみたいなスタイルで肉塊を売っちゃってました。賞味期限とか生産地とか、そういった情報は一切なし。己の目で見て新鮮かどうか判断しろということなんでしょう。

なんならこのスタイルで肉塊を売っているお店が結構ありました。ここではスタンダードな売り方なのか……。

市場周辺では、旧ソ連国の国民車LADA(ラーダ)をたくさん見かけました。カクカクしていて無骨だけどかわいい。

「すぐに壊れるけどシンプルだからすぐに治せる」という理由で、今も旧ソ連国では愛用されています。

ウクライナでも、ものすんごくオンボロだったり、ナンバーが付いてなかったり、窓ガラスがビニール&ガムテだったり、色々不安になるLADAが街中を走っていました。車検とか無いのかこの国は。

そんなこんなで、4日間のウクライナ旅行が終わりました。日本に帰ってからは、「日本の車ってみんな普通にキレイだしちゃんと整備されててすごいな」と、逆カルチャーショック状態になりました。

同じヨーロッパでも、定番のフランスやイギリスあたりの国では味わえないタイプの異国情緒を感じられる、本当に自由で楽しいウクライナ旅行でした。

ウクライナはこんな国でした

本来のウクライナは、装甲車に乗って街を爆走したり、ガイガーカウンター片手にゴーストタウンとなった街を巡ったり、他の国ではできないような体験ができるフリーダムで、おおらかで、寛容な国です。

現在の報道では、ウクライナは凄惨な戦場地帯として報道されています。これは真実ですが、このままではウクライナ=凄惨な戦場地帯というイメージで固定化されてしまうのではないかと思い、私の旅行記を掲載させていただきました。

人も町並みも美しい魅力あふれる国ウクライナに再び平穏な日々が訪れ、また旅に行ける日が来ることを願っています。

 

ウクライナ支援を受け付けている窓口はこちら

■日本赤十字社
https://www.jrc.or.jp/contribute/help/ukraine/

■在日ウクライナ大使館
https://www.facebook.com/ukr.embassy.japan/

■ユニセフ
https://www.unicef.or.jp/kinkyu/ukraine/

■世界食糧計画
https://ja.wfp.org/