【プロが教える夜景の撮り方】夜景の宝庫「横浜」での撮影実践テクニック
寒く空気が澄んで、きれいな夜景シーズンとなりました。こんなにきれいな夜景を写真に残したいと思うことも多々あるかもしれませんが、夜の写真撮影はとても難しいですよね。そこで、夜景写真のプロが横浜の万国橋や赤レンガ倉庫など人気夜景スポットを巡りながら撮影のコツを伝授します。
こんばんは。
夜景写真家の中村勇太です。
夜景シーズンとなりクリアな夜景が鑑賞できる機会が多くなってきた今日この頃。
見るだけでも癒やされますが、綺麗な夜景が目の前に広がっていたら写真を撮りたくなりますよね?
でも、昼間は綺麗に撮れるのに夜だとうまくいかないという声も多々耳にします。
今日はそんなみなさんのために横浜の人気夜景スポットを巡りながら一眼レフカメラ、ミラーレスカメラでの夜景撮影(スマホも少し)のコツをお教えします!
夜景撮影の基本
今日は車でみなとみらい地区までやってきました。
まず車を止めなくてはなりませんね。
夜景撮影は時間がかかるので最大料金設定がある駐車場がいいです。
今回は万国橋駐車場に車を止めます。
今日は何スポットか巡っていきますが、まず訪れたのは万国橋です。
一見、何気ない橋でそのまま通り過ぎてしまいそうに思えますが、実は立派な夜景スポットなのです。
では早速撮影機材をセッティングしていきます。
1.三脚にカメラをセット
三脚の脚を伸ばして立てます。
そしてカメラを取り付けますが、カメラが落ちないようにしっかりと取り付けてくださいね。
2.撮影モード
普段カメラの撮影モードは何になっていますか?
おそらく「P」マークの「プログラムオート」で撮影されている方が多いはずです。
このモードは「絞り」や「シャッタースピード」を自動的に決めてくれるので便利ですが、夜景撮影においては「絞り」を意図的に設定したいので、これを可能とする「A」マークの「絞り優先モード」で撮影します。
3.絞り値を数段上げる
絞り優先モードにセットしたので、絞り値を自身で調整できます。
絞り値を最小側にすると「開放」、絞り値を上げることを「絞る」と言います。
絞りを調整することにより、ピントが合って見える奥行きの範囲が変化します。
絞り値を下げる(開放)とピントが合う範囲が狭いですが、絞り値を上げる(絞る)とピントがある範囲が増します。
一般的な夜景に関しては、全体的にピントを合わせたいので絞り値を”F8~F11″にセットします。
4.感度調整
最近は高感度カメラが増えましたね。
夜景は暗い中での撮影なので、高感度で撮影すると思われている方が多いです。
それは間違いではないですが、高感度で撮影をすると画質を犠牲にするため、なるべく低感度で撮影する必要があります。
ISO感度を”100~200″にセットしてください。
5.手ぶれ防止機能
三脚を使っての夜景撮影においては、カメラもしくはレンズに搭載されている手ぶれ防止機能は”OFF”としてください。
“ON”のままだと誤作動を起こしてブレたような写真になる可能性があります。
6.シャッター押し
これで一通り設定ができたので、後はシャッターを押すだけですね。
その際に気をつけたいのがシャッターボタンを押す際に、押す力でカメラをブラしてしまうことです。
これを回避するために、セルフタイマーを利用しましょう。
セルフタイマーを2秒に設定して、シャッターボタンを押せばブレを防げます。
それでは撮影してみましょう!
「カシャッ!」
良い感じに撮れたのではないでしょうか。
さて、この写真でなにか気づくことはありませんか?
そう、空がまだ明るいのです。
「これって夜景なの?」と思われる方もいるかもしれませんが、太陽が隠れる日の入り以降は夜景と定義することができます。
ただ、日の入り直後では明るすぎるので、日の入り30分後がベストです。
30分後は、西向きの空が赤から青にかけてのグラデーションが空を染め、街明かりが十分点ききっている時間帯です。その日のベストショットは是非この時間を狙ってみてください。
ちなみにこちらは22時過ぎに同じ場所から撮影した写真です。
ビルの室内照明がだいぶ消えてしまっていますね。
撮影地情報
http://yakei-fan.com/yakei/kanagawa/bankokubashi.html
光跡の表現(車編)
万国橋からワールドポーターズ方面へ進んで行くと、大きな歩道橋「サークルウォーク」があります。
なかなか視野が広いので、ここでもカメラを構えてみます。
眼下には車が行き来しているので、これを撮影するとなかなか面白いものが撮れますよ。
とりあえずさっきの設定でシャッターボタンを押します。
「カシャッ!」
どうでしょう?
シャッターを開けている間にフレーム内に動く光が光跡として表現されました。
もし以下の写真の様に光跡が中途半端になってしまったら、絞りを数段絞るとシャッター速度が遅くなるので光跡が伸びるので試してみてください。
視点による変化
サークルウォークから赤レンガ倉庫が見えるので、そのまま歩いて向かいます。
三脚の脚を伸ばしたまま移動すると、他の通行人にぶつけてしまう可能性があるので、しっかり縮めてくださいね。
さて、赤レンガ倉庫についたので、さっそくカメラを構えて撮影します。
「カシャッ!」
うんっ!光と闇、風格ある赤レンガの夜の姿をイメージ通り撮影できました。
これはこれでいいのですが、ちょっと視点を変えてみましょう。
伸ばしきっている三脚を一番下まで下げてみます。
これでももう一度撮影します。
「カシャッ!」
どうでしょう。
今回は極端な変化ではないので分かりづらいですが、アオリ効果が働き赤レンガ倉庫をより高い建物のように魅せることができました。
ちょっと視点を変えるだけで違った印象の写真を撮れるから面白いですよね!
「ふぅ~」
機材が重いということもあり歩き疲れてしまいました。
ここでちょっと休憩に入ります。
赤レンガ倉庫は下からライトアップを鑑賞する夜景スポットというイメージがありますがそれだけではありません。
赤レンガ倉庫で休憩をするなら2号館の3階へ向かいましょう。
ここからは、横浜ランドマークタワー方面の夜景をベンチに腰をかけながら鑑賞することができます。
穴場スポットでオススメです!
撮影地情報
http://yakei-fan.com/yakei/kanagawa/akarenga.html
絞りの表現
休憩も済んだところで、赤レンガ倉庫から山下公園方面に歩いて行くとたどりつくのが象の鼻公園です。
地上からだと分かりづらいですが、防波堤が湾曲に伸びていることから象の鼻と呼ばれそこに整備された公園ということでこのような可愛らしい名前の公園となりました。
園内にはこんなお洒落なオブジェが建ち並んでいます。
時間によって様々な色に変化するんですよ。
今回は防波堤にあるレトロな街灯を撮影してみます。
いったん絞りを”F4″など低い数値に設定して撮影してみます。
「カシャッ!」
これはこれでいいですねぇ~。
次は、”F11″などしっかり絞って撮影してみます。
「カシャッ!」
どうです?わかりますか?
各光源から線が延びているように見えますよね?
この線を「光芒」と呼ぶのですが、絞ると光芒が強調されます。
より煌びやかな印象となり、これも絞ることのメリットなのです。
撮影地情報
http://yakei-fan.com/yakei/kanagawa/zounohana.html
構図の工夫
象の鼻パークの目の前に大さん橋国際客船ターミナルがあります。
ここはみなとみらい地区で特に人気のある夜景スポットで、デートでも定番ですよね。
右も左もカップルがイチャイチャしている中、私は黙々とカメラのセッティングに入ります。
ここは水面上の屋上デッキなので結構冷えるんですよね。
さて、早速・・・
「カシャッ!」
んー、これはこれでいいのですが、フツーですよね。
日が沈んでだいぶ経つので空も海も真っ暗。
ここで、ズームレンズがあれば夜景のメイン部に向けてズームしてみてください。
ではもう一度撮影していきます。
「カシャッ!」
どうでしょうか?フレーム内に明るい部分を多くフレームインすることでより明るい印象の夜景写真となりました。
これが夜景撮影におけるズームレンズの使い方の1つです。
また、撮影時はなるべく水平に撮影してくださいね。
せっかく綺麗に撮れても斜めになっていたらもったいないですからね。
正確に水平にするなら水準器の利用をオススメします。
カメラの上に取り付けるだけで簡単!
これで水平がビシッ!と決まりますよ。
スマホで撮影
ここまで、一眼レフカメラ、ミラーレスカメラをメインとした夜景撮影の方法をお教えしてきましたが、スマホで撮りたいという方もいますよね?
スマホの中でも特に利用されているiPhoneのカメラは、基本的にはフルオートとなるため上記で説明した絞りやISO感度を意図した設定にできないため表現には限界がありますが撮ってみましょう。
「カシャッ!」
んー、横浜の夜景と認識はできるものの全体的に暗いシーンのため、ISO感度も自動的に上がってしまいノイズも目立ちます。
先ほど、一眼レフではズームでフレーム内に明るい部分を敷き詰めましたが、スマホのカメラはデジタルズームというもので、ズームをするとデジタル的に切り取って撮影するため画質が著しく落ちます。
こういう場合は、場所を少し変えて構図で工夫してみましょう。
暗いと自動的にISO感度が上がり画質が低下するため、フレーム内になるべく明るい部分が含むように構図を決めて撮影します。
「カシャッ!」
先ほどは暗くのっぺりしていた写真でしたが、こちらはフレーム内の明るい箇所の比率が増えISO感度も先ほどよりは上がらずノイズが減りました。
後は、暗いとシャッター速度が遅くなるため昼間よりぶれやすいので脇を締めしっかり構えてくださいね。
このように、スマホは設定上でやれることがあまりないので構図で工夫していきましょう。
撮影地情報
http://yakei-fan.com/yakei/kanagawa/oosanbashi.html
光跡の表現(アミューズメント編)
大さん橋でも良い夜景が撮れたので、万国橋の駐車場方面へ戻ります。
「もうちょっと何か撮りたいなぁ」と思ったので、コスモワールドへ向かうことにしました。
コスモワールドといえばみなとみらい地区のシンボルと言っても過言ではないコスモロックが有名ですが、今回はグルグル高速で回転するアトラクションを撮影してみます。
今日も勢いよく回っています。
見ているこっちが酔ってしまいそう・・・
さて、どんなものが撮れるでしょうか。
「カシャッ!」
どうでしょう?
先ほどは、車のライトを光跡で表現しましたが、今度はアトラクションのライトを光跡で表現してみました。
アトラクション毎に光の動きが異なるためそれぞれ違った光跡が表現できて面白いです。
アトラクション以外でも、動いて光るものであれば光跡となるので、気になるものがあれば試してみてください。
ようやく満足したので、今日は撤収です。
最後に
今日は、夜景撮影の方法をお教えしましたがいかがでしたでしょうか?
夜景撮影は三脚が必要なこと、シャッターを長く開けての撮影なことなど手間はかかりますが、コツさえ抑えれば難しくはありません。
最後に、もう2つアドバイスです。
バッテリーは寒さに弱いこと、シャッターを長く開けることにより減りが著しく早くなります。夜景は寒い中撮影するためバッテリーの消耗が早いです。
撮影前にしっかり充電しておきましょう。
また、夜の撮影のため寒さ対策も万全で望んでください。
私はみなさんが良い夜景を撮れるよういつも応援しておりますので、なにかご質問があればいつでもお待ちしております!
中村勇太(@yakeifan_naka)