「君の名は」の聖地も!ガチで楽しかった東京の変わり種寺社仏閣5選
アニメ映画「君の名は。」の聖地・須賀神社やねずみ小僧の墓がある回向院、お寺なのにマンガ喫茶という変わり種・多聞院など、東京都内の一風変わったお寺、神社をご紹介。また、食事や飲みにオススメな付近のスポットも合わせて取り上げています。普通とは別視点から東京観光(と寺社仏閣)を楽しみたい方は必見ですよ~!
深川えんま堂からこんにちは、観光会社「別視点」代表の松澤です。
平素は、へんちくりんなスポットを紹介するWEBサイト「東京別視点ガイド」を2011年より運営しております。ここ最近は、なにか1つの分野のスペシャリストをガイドにまねき、町歩きをする「別視点ツアー」も運行。ネットでリアルで、王道ではない観光地を人さまに案内することをライフワークにしております。
「うそ封じ」「息災延命」「交通安全」とご利益ごとに口があり、お賽銭をいれるとエンマさまが説法してくれるのです。
見た目によらず落ち着いた渋い声をしていますね。
今回は「都内限定! ガチで楽しかった寺社仏閣」を5つご紹介していこうと思います。
特に仏像や歴史についての前知識がなくても、いきなり訪ねて楽しい寺社仏閣です。
深川えんま堂のような珍しい仕掛けがあったり、体験型アトラクションがあったり、そんなところをあつめてみました。
目次
大ヒット映画『君の名は。』の聖地になった「須賀神社」
「君の名は。」が好きです。
両サイドをカップルにはさまれ1人での鑑賞でしたが、耐えきれずボロ泣き。劇場からの帰りに小説を買って読み、サイドストーリー版の小説も読み、もう1度観にいってボロ泣きしました。
「『君の名は。』はべつに男女にかぎった話じゃないんです! 友人も親子も出会った以上は互いを探していたんです! そう、私とあなたも、覚えていないだけで三葉ちゃんと瀧くんなんですよ!」
といろんな人に熱弁しているのですが
「……あ、はい。ところで」
とたいてい話題のほうが入れ替わってしまいます。
「でも、タンツボ飲むところ気持ち悪くない?」と言われ「三葉ちゃんの口噛み酒をタンツボっていわないで!」と絶叫したこともありました。
四ツ谷にある須賀神社は「君の名は。」の聖地です。
いよいよ今週末1月13日(金)から一部劇場にてIMAX上映がスタート!(2週間限定)
IMAXならではの大迫力、かつ高品質の音と映像で『君の名は。』をさらにお楽しみ頂けます!上映劇場は公式サイトをご確認ください。https://t.co/Wsw5t5fMuR #君の名は。 pic.twitter.com/hMzyo1s6kz— 映画『君の名は。』 (@kiminona_movie) January 9, 2017
メインビジュアルの階段は、須賀神社の参道をモデルにしています。
階段周辺にはイラストを真似してる人がいたり、海外の方がいたりと、国内外の人気ぶりが感じられますが、上映から半年ちかく経っていることもあって混みあってはいません。
絵馬にも階段が描かれています。
「君の名は。」を彷彿とさせるリアルであざやかなイラスト。青い空と白い雲がさわやかですね。
「朝、目が覚めるとなぜか泣いている。そういうことがときどきある」
「ずっとなにかを誰かを探している」
「おまえが世界のどこにいても、かならずもう一度会いに行く」
※RADWIMPS「前前前世」を流しながらご覧ください
「「君の名は。」」
うろ覚えだったので再現動画がめちゃくちゃです。
2人になりきり写真を撮りましたが恥ずかしくてたまらなくて、逃げだすようにその場を去りました。
【飯ならココ】瀧くんがバイトしていた「カフェ・ラ・ボエム」
階段を上がり下がりしたら、お腹が空きます。そんなときにうってつけのイタリアンレストランがあります。新宿御苑の「カフェ・ラ・ボエム」。
そうです、瀧くんのバイト先のモデルです。
オシャレで活気のあるムード。
「こんな素敵なところでバイトするなんて、やっぱり瀧くんは私みたいな人間とはわけが違う……高校のころなんて、暗い工場でシール貼るのが精いっぱいだったのに……」
と現実に引き戻されそうになりましたが、サラダもパスタもおいしかったのでどうにか夢気分を保てました。
ランチパスタセットなら千円台で食べられます。
ネズミ小僧の墓を削れ!「回向院」
お次は両国「回向院」です。
江戸時代、ここの境内でおこなわれた勧進相撲(寺社の建築修繕の募金を目的とした相撲)がきっかけで、両国国技館が建てられました。
力士や親方をまつった碑なので、力塚むちゃくちゃ大きいですね。
回向院のお楽しみポイントは、ねずみ小僧のお墓。お墓の前に立てられた石塊を削って、かけらを持って帰ることができるんです。
生涯100度も大名屋敷に忍びこんだ彼の強運にあやかろうってわけです。特に受験生に人気で、墓のかけら効果で「望んだところにするりと入れる」と言われています。
ねずみ小僧、最終的に打ち首獄門にされてますけどね。
小さな石をこすり合わせ、削りとります。かなり固いので力をいれてゴリゴリやらなければいけません。
分かる人には分かると思いますが、麻雀マンガ「アカギ」にも墓を削るシーンがでてきますよね。
麻雀の神さまアカギの墓のかけらをもっていれば、ギャンブル運があがるってわけです。あれを現実世界でできるんです。
3分間ゴリゴリやって、小さなかけらをゲットしました。
ところで、ネズミ小僧はなぜ大名屋敷ばかり狙ったのでしょうか。普通だったら、侍の本拠地なんて怖くて避けてしまうでしょう。庶民の家のほうがチョロそうなのに。
- 大金がある
- 屋敷が広くて警備が手薄
- メンツがあるから盗まれたことを公にしない
それにはこのような理由があったそうです。とくに3つ目は、なるほどですね。
本当に受験に成功するかどうかはさておいて、逆転の発想とそれを実行する勇気にはあやかれそうです。
最終的に打ち首獄門にされますけど。
【一杯ひっかけるならココ】 日本酒の自販機で利き酒しよう「東京商店」
両国で一杯ひっかけるなら「東京商店」がおすすめです。都内の酒蔵でつくられている日本酒30銘柄を立ち飲みできます。
両国駅に隣接する「江戸NOREN」(和食屋12店がはいった施設)の中にあります。
珍しいのは日本酒の自動販売機。お金を入れると、おちょこに日本酒がちょろちょろ注がれます。
純米酒、吟醸、大吟醸によってでてくる量が変わります。
酒の肴3種セットは500円。ちょちょっと気楽に引っかけるのにぴったりですね。
世にも珍しいお寺の漫画図書館「多聞院」
「多聞院」は史上初のお寺の漫画図書館です。
所蔵マンガ点数およそ300点。開館日は水曜17:00~20:00、土曜10:00~17:00と限られていますが、入館無料でフリードリンク。
芝公園のすぐ近くと立地も良く、東京タワーがきれいに見えます。
外観は寺というより一軒家。
「マンガ図書館入り口です。ご自由にお入りください」と貼り紙されているものの、なかなかハードルが高い扉です。だってこれ、普通の家じゃん。
思いきって扉をあけ「おじゃましまーす」とあいさつします。
「どうぞいらっしゃいませ」と出迎えてくれたのが、常駐スタッフの尼僧・安憲永(アン ホンヨン)さん。
初めての来訪と伝えると、館内の使い方を教えてくれます。
こちらが読書室。仏さまに見守られながらマンガを読めます。
「自宅だと思って、存分にくつろいでください」とのお言葉にあまえて、1時間半ほどゴロゴロしながらくつろぎ倒しました。
キリストとブッダが登場する「聖☆おにいさん」、手塚治虫「ブッダ」、トンチでおなじみ「一休さん」などが本棚にそろっています。
仏教がテーマになっていればOKで、恋愛ものからギャグマンガまで幅広いラインナップです。
尼僧の安さんも「聖☆おにいさんはお釈迦さまの考えが笑いながら理解できるから好きです!」とお墨付き。
おすすめの仏教マンガは「ブッタとシッタカブッタ」とのこと。
1匹のブタが「悩み」を仏教的解釈で学んでいく4コママンガです。
高校生のころ、はやったので読んだことはあったのですが「へー。そういう考えもあるのね」ぐらいの感想でした。
しかし、いろいろ経てきた34歳が読むと「あ~、わかるよ。わかりすぎる」と刺さってくるものですね。
マンガを読んでるだけなのですが、この空間にいるとなにか徳の高いことをしているように思え、自尊心が高まってきます。
マンガを読むのに疲れたら、別室で正座して心を静めることも可能です。
木魚を叩いて読経してもいいですし、ひと声かければスタッフさんが教えてくれるそうです。
写経や写仏もできます。
キッチンが休憩室になっています。
お茶や紅茶がフリードリンクですし、お茶菓子まで用意されていて至れり尽くせり。
なにここ、極楽浄土ですか?
先代の住職が亡くなったあと無住になっていたお寺をつかってはじめたそうです。
多聞院の活動の幅を広げ、仏教に親しんでもらうのが狙い。
1日の来訪者は平均1~2人ぐらい。近くで働く会社員が休憩に立ち寄ったりするんだとか。
「寺町めぐりツアーでお越しになった団体さんもいますよ。また来ますねってみんな言ってましたけど、また来た方はいませんね!」と笑っていました。
スタッフの安さんが陽気な方で、語ってくれた「修行あるある」がおもしろかったですね。
「年に1回、1週間にわたって一言も話さず念仏を唱えつづける修行」をしているそうで
- 慣れない修行で3日目まではムズムズするけど、そこを過ぎると逆に楽しくなってくる
- 木魚の叩き手のスキルが大事。うまい人がやると場がのってくる
など、及びもつかぬ世界のあるあるを話してくれます。
【一杯ひっかけるならココ】独自サービスが修行の領域に達してる「かがや」
たっぷりマンガを読んでくつろいだら、一杯ひっかけて帰りたいですよね。そんなときイチオシなのが新橋「かがや」です。多聞院からも歩いて20分。
- コース名がセリフになっていて、心をこめて読まないとやり直しをくらう
- ドリンクを持ってくる方法を「アメリカ」「日本」「ブラジル」など国名からえらべる。(たとえば日本なら、日舞を5分ほど踊ってから持ってきてくれます)
- 「埼玉県人」というマズくて健康に悪い飲み物がある
などなど。20年以上にわたって独自サービスを行いつづける気合いがはいった居酒屋です。
こんなふうに暴れています。
約48kmの山道を1000日間歩く「千日回峰行」という修行があるのですが、かがやを20年間つづけるのは、一種の千日回峰行的な修行ではないかと思うわけです。
変わった記念碑がたちまくり「不忍池弁天堂」
上野・不忍池にある弁天堂もおもしろいですよ。
やたらと石碑が多いんです。小さいのもカウントすれば20個ぐらいありますかね。なかにはレアな石碑もあります。
不忍池はレアポケモンが出現するので「ポケモンGO」の聖地だったんですが、あまりの人だかりで禁止になりました。
「ポケモンGO」はできませんが、石碑GOなら今でもできます。
魚や鳥類を扱う食肉組合が建てた慰霊の碑。
不忍池はもともと「捕らえた生き物を逃がしてあげる放生池」だったため、食肉関係の石碑が多いようです。
ちなみにこのあたりのハトはエサにありつくチャンスが多いからか、ぶくぶくに大きくなっていました。
魚塚や鳥塚はほかの寺社仏閣でもたまに見かけますが、フグ塚はめずらしいですね。
ぷっくらかわいいフグの石像がついてます。
カレンダー協議会がたてた暦塚。題字は元首相・中曽根康弘氏によるもの。お亡くなりになったカレンダー業界の重鎮たちの名前が刻まれています。
ていうか、カレンダー業界っていうのがあったんですね。
こちらはメガネの業界組合がたてた「めがねの碑」。徳川家康が愛用した丸メガネをデザインしています。
毎年10月1日、役目を終えたメガネの供養も行っているそうです。
こちらは元電通社長・上田碩三氏とUPI通信社・元副社長ボーン氏の友好をたたえた碑。
1949年、上田氏とボーン氏は東京湾でカモ猟をしていたところ、船が転覆して遭難死しました。
数ある記念碑のなかでも、特に好きなのが「スッポン感謝の塔」です。
スッポンを食べて93歳まで長生きしたおじいさんが建てたもの。
わたしも93歳まで生きて「日高屋バクダン炒め定食感謝の碑」を建てたいですね。
「駅伝の碑」のまえを走って帰りました。
駅伝の起こりは大正6年。京都・三条大橋~東京・不忍池間508kmを3日間かけて走ったそうです。
【メシならココ】常軌を逸した山盛りっぷりの回転すし「三浦三崎港」
上野でメシを食うなら、断然おすすめなのが回転すしの「三浦三崎港」。ここ、ほんとうにヤバいんです。うまい、安い、間違いないとコールしたくなります。
目玉商品のマグロ中落軍艦なんてこのフォルムで、驚愕プライス1皿100円ですから。
えんがわ軍艦、海鮮軍艦、アナゴ軍艦、貝ひも明太子軍艦と山盛りメニューがたくさんあります。山盛りシリーズをひととおり食べるだけでお腹いっぱいですね。
見た目がすごいだけでも安いだけでもなく、うまいんですよ。一般的な回転すしのクオリティーをはるかに超えてますから。
ぜひ!!
ミニチュア富士山に登ろう「品川富士」
最後にご紹介するのは富士塚です。平たく言ってしまえばミニチュアの富士山。都内だけでも40基以上あるんですが、実際に登った経験ってないですよね。
富士山を神とみたてる富士信仰は江戸時代に流行したのですが、当時の富士登山は今ほど気軽なものではありませんでした。憧れるけど手が届かない。そこで気分だけも味わおうと作られたのが富士塚なんです。
なかでも品川神社の「品川富士」は最大級のものです。
鳥居をくぐって階段を半ばまで登ると登山道が現れます。
登山口には一合目、二合目と合目石が置かれています。
一合目から数段あがれば、二合目に到着です。
五合目からは急こう配。鎖をつかみながら登っていきます。
山肌をかためているゴツゴツした石は富士山の溶岩です。
1分もかからず登頂できます。
山頂からながめる素晴らしい街並み。
登山のようすを動画にまとめてみました。あっという間です。
富士塚の裏手には交通安全のオブジェもあります。ダジャレです。
ぶじかえりましょう。
【浅草にも富士塚】2016年できたてほやほやの「浅草富士浅間神社」
「観光ついでに立ち寄れるところない?」という方には浅草富士がおすすめです。浅草寺から歩いて5分で着きます。
標高1.5m、わずか7段で登頂できてしまうかわいいサイズの富士塚ですね。2016年に完成したばかりのできたてホヤホヤ。
以上、「都内限定!行ってみてガチで楽しかった寺社仏閣5選」でございました。
さらに東京をはみだせば
- 桃太郎が生まれた桃の化石がある神社
- 行ったら100%職質される神社
- 親子2代で地獄をてづくりしたお寺
などなどスケールがでかくておもしろい寺社仏閣はたくさんありますので、いずれ特集しようと思います。
◎取材、文章:松澤茂信(別視点代表) ◎写真:齋藤洋平(別視点カメラマン)