群馬県民のソウルフード「焼きまんじゅう」を7店舗食べ比べてみた
群馬県民のソウルフード「焼きまんじゅう」。『孤独のグルメ』に登場するお店のモデルになった創業70年の老舗「オリタ」や、焼きまんじゅうを次世代の食べ物へと進化させた「濃厚屋」など、前橋や高崎に点在する店舗7件を実食レポート。食べ比べを通じて焼きまんじゅうの魅力や素晴らしさを多角的にお伝えします。群馬県へお越しの際は、ぜひ3時のおやつやお土産として購入してみてください!
SPOTをご覧のみなさん!
群馬県民のソウルフード 焼きまんじゅうをご存知でしょうか!?
「なにそれ、初耳?揚げまんじゅうみたいなの??」
って、ぜーんぜん違います!
これですよ、これ。
串に刺さったデカくて無骨な丸い奴、これぞ焼きまんじゅうなのです!
まんじゅうと言っても基本的にあんこは入ってない。生地だけ。
その代わりに甘じょっぱい味噌ダレを塗る。
蒸したまんじゅう生地はふっかふかで、あんまんや中華マンの皮に近い食感。
県外ではあまり知名度が高くないが群馬県内ではメジャー中のメジャー!
焼きまんじゅうだけの専門店も数十軒はあるほどだ。
大きな蒸しまんじゅうが3~4個もついて1串150~200円が相場とやたら安いのもポイント。
こいつのことがすっごい好きで、群馬行くたびに出来る限り食べている。
でも、焼きまんじゅうでググってみると予測検索に「焼きまんじゅう まずい」と出てくる始末。
いやいや!美味いだろ!!
甘くてしょっぱいからおやつにも主食にもなるし、なんだったら、ふかふかの蒸しパンのうえで寝たいよ!
人をダメにするソファーに匹敵するふかふか具合だよ!
どうも、県外にはあまり知られてないうえに、食べたことがあってもお口に合わない人が多く存在しているようだ。
そこで、ゴリゴリの老舗店から進化系焼きまんじゅうを開発する店まで7店舗を巡って、焼きまんじゅうの魅力、素晴らしさを多角的にお伝えすることにした。
焼きまんじゅう、だ~~~い好き!
目次
秋田からのリピーターもいるぞ!「小板橋」
どうですか、この渋い佇まい。
これが「焼きまんじゅう専門店」ですよ。
個人経営、家族経営の店がほとんどなので、たいていこういう雰囲気の味わい深さがあるのです。
視覚に飛びこんでくる「焼きまんじゅう」「焼きまんじゅう」「焼きまんじゅう」「小板橋」「小板橋」「小板橋」の猛ラッシュ。
この路地を通りかかったら、サブリミナル的に焼きまんじゅうが食べたくなること請け合いだ。
味噌ダレの甘くていい匂いがほんのり香る店内。
イートインスペースもあって、7~8人なら店内で食べられる。注文してから焼くのでホカホカを味わえる。
持ちかえりなら、電話予約であらかじめ作っておいてもらうことも可能だ。
遠方からの熱心なリピーターもいて、わざわざ秋田から2ヶ月で4回来店したお客さんもいるそうだ。
もともと文房具と婦人服のお店だったので、店内には売り物の服や文具がまだ置かれていた。
看板にも当時の名残りが「婦人服激安店」の赤い文字で、うっすら残っている。
思い立ったら服屋さんからばしっと転身できちゃう気軽さが、焼きまんじゅうの良いところ。
1串180円なり。
ふっかふかの生地に焼き目がついて、しっかり味噌ダレが塗られてる。味噌ダレは甘しょっぱく、五平餅のそれに近い。
店によって甘み強め、しょっぱさ重視とバランスの差があるが、ここ小板橋はそんなに甘味が強くない。
1串食べればドカンと腹に溜まる。これよ、これ!この満足感が焼きまんじゅうよ!
この店もそうだったんだけど、以後紹介するほとんど全てのお店で
「焼きまんじゅう持ち帰りで10串ちょうだい!」
みたいな大量持ち帰りのお客さんが滞在中にやって来た。
どうやら家んなかでみんなで食べるのが定番のようだ。
小板橋
住所:群馬県高崎市石原町504-3
営業時間:10:00~17:30
定休日:無休
参考サイト:食べログ
あんこ入りもそれはそれで美味い「ねぎし」
おなじく高崎の根岸焼きまんじゅう。
プレハブっぽい外観だが、冬の寒い時期は150個売れる日もあるんだとか。
店員さんいわく「暑ければ暑いで、食欲の出ないおじいさんとかが買ってきますよ」とのこと。
食欲失せる猛暑でも、群馬県民は焼きまんじゅうなら食べられるというわけだ。
壁、短冊、冷蔵庫……、全てがまるで味噌ダレが塗られたかのような渋い色合いをしている。
まんじゅうとタレを焼き続けてきた長い歴史を感じるじゃないですか!
タレもまんじゅうも沼田市の焼きまんじゅう屋さんから買ってるそうだ。
ひとくちに焼きまんじゅう専門店と言っても、
・タレもまんじゅうもどっち自家製
・まんじゅうは買って、タレは自家製
・タレもまんじゅうも買ってて、焼いて仕上げるだけの店
とグラデーションがある。
まんじゅうを作って卸してる大手が7~8軒あるので、仕入れ先でだいたいの味が決まる。
だから、どこで食べても安定した味になるのだろう。焼きまんじゅうにハズレなしだ!
焼きまんじゅうは基本的にはあんこが入ってないのだが、こちらのお店にはあんこ入りもあった。
4つのが普通の焼きまんじゅうで、3つのがあんこ入り。
邪道と揶揄されがちなあんこ入り焼きまんじゅう。
はじめて食べたんだけど、これはこれで美味いじゃないか!
甘いタレにあんこを重ねたら、甘すぎるんじゃないかと不安だったが、あんこが濃すぎずしつこくない。
パリッとした焼き目が美味しくて、ペロッと1串食べちゃうね。
ねぎし
住所:群馬県高崎市南大類町444
参考サイト:ぐるなび
『孤独のグルメ』でモデルになった「オリタ」
高崎の「オリタ」は創業70年の老舗店だ。
あの『孤独のグルメ』にも、焼きまんじゅうと焼きそばの店として登場した。
そのさい主人公の井之頭五郎(いのがしらごろう)は
「む。これは思ったとおり……複雑な甘さだ」
「いや……スゴイ甘さと言っていい」
とコメントしている。
焼き手のおばちゃんがすさまじいパワーを発していて、ここの焼きまんじゅうがいかに飛びぬけて美味いかを熱弁してくれる。
他のお店と比べるとタレが独特でシャリシャリしてる。粘り気もかなり強く、甘みも強い。
井之頭五郎が「いや……スゴイ甘さと言っていい」とコメントするのもうなづけるタレだ。ガツンと濃厚なのでハードにキメるならこの店がいいだろう!
ちなみに写真左の2個のはあんこ入り。タレに主張があるので、個人的には普通の焼きまんじゅうのが好みかな。
オリタ
住所:群馬県高崎市田町108
営業時間:10:30~18:00
参考サイト:ぐるなび
何十回もタレを塗ってひっくり返す!「原嶋屋総本店」
群馬の焼きまんじゅう屋のなかでも老舗中の老舗がここ「原嶋屋総本家」だ。
なんてったって創業安政4年。なんだ、安政って、江戸時代過ぎる。創業から160年以上経っているそうだ。
ここの特徴はタレの塗り方。とにかく執拗かつ丁寧なのだ!
タレを塗ってはひっくり返し、タレを塗ってはひっくり返しを何十回も繰り返していた。
1串200円。
焼き上がりまでにかかる手間と時間はここが一番だ。
じゃあ、味はどうかといえば、他と変わらぬ美味さ。焼きまんじゅう自体のポテンシャルが高すぎて、どう塗っても美味いもんは美味い。
あの執拗なほどのタレ塗り、繊細な舌の持ち主ならなにか差を感じるのかもしれない。
原嶋屋総本店
住所:群馬県前橋市平和町2-5-20
営業時間:10:30~17:00
定休日:火曜
参考サイト:ホットペッパーグルメ
蒸しパンみたいにもっちもち「田中屋製菓」
一転、前橋の「田中屋製菓」は注文から焼き終わりまですごくスピーディーだった。
焼き手はおばあちゃん1人なのだが、テキパキと仕上げて、あっという間に完成した。
寸胴鍋にぎっしり詰まった味噌ダレが頼もしい。まんじゅう、タレともに自家製だそうだ。
ここの生地は蒸しパンみたいでもっちもち。すごく食事感がある。
タレは甘さ控えめでしょっぱみが強く、もちもちの生地がよくタレを吸う。
美味いな~。焼きまんじゅう、どこで食ってもうめ~~。
田中屋製菓
住所:群馬県前橋市若宮町1-7-4
営業時間:10:00~18:30
定休日:水曜日(祝日の場合は翌日)・元日
参考サイト:ホットペッパーグルメ
焼きまんじゅう2.0「濃厚屋」
絵的に代り映えのしない写真が続いたが、前橋の「濃厚屋」はちょっと違いますよ。
焼きまんじゅうにアレンジを加え、次世代の食い物へと進化させている。
建物からして近代的じゃないですか。内装はアイリッシュパブかバーといった雰囲気でワールドカップ観戦イベントなんかも実施していた。
焼きまんじゅう界を震撼させるバベルの塔!爆誕!!
濃厚屋は縦に積む!
そして皿の両端にクリームチーズとホイップクリームを完備。シナモンパウダーが振りかけられている。
まるでフレンチがごとく優美な佇まいじゃないですか!
メインの焼きまんじゅうにわらび餅、ドリンクがついて680円。
美味い。これはもう、焼きまんじゅうの領域をはみ出した新たなスイーツだ。
もちもち、むぎゅむぎゅした生地とホイップクリーム、シナモンがよく合うぜ。
こんなのもある。サラダ焼きまんじゅうだ。
葉もの野菜に隠れて焼きまんじゅうが控えている。ソースはほんのり味噌風味だ。
「いくらなんでもこれはどうなの」とお思いでしょうが、これまた意外とマッチしてるんですよ、お嬢さん!
こんがり焼かれた焼きまんじゅうがクルトンの役割を果たして、ちょうどいいアクセントになっている。
濃厚屋
住所:群馬県前橋市千代田町4-12-8
営業時間:10:00〜16:00
定休日:月曜
参考サイト:食べログ
個人的に一番うまかった「HALF MOON」
最後に紹介するのは、個人的に一番「美味い!」と感じたお店。HALF MOONだ。
ファッションセンターの駐車場にちょこんと建ってる店でメインはお好み焼き。
こういうとこで食っても美味いんだから、焼きまんじゅうには恐れ入る。
生地もタレも「忠治茶屋本舗」のものを使っているとか。
ここの焼きまんじゅうね、生地がふかふかですんごい柔かいの。
エアリーでさ、噛むたびにファサファサって爽やかな風が吹くよね。
タレはさらさらでわりと甘め。いやー、好みだわ!
HALFMOON
住所:群馬県高崎市中居町1-15-4
参考サイト:ぐるなび
まとめ
エアリーとかタレの甘みが強いとかあれこれ書いたけど、自分が群馬県民なら家から一番近い店をヘビーユーズする。
つまり、どこで食っても同じくらい美味い!!
群馬に立ち寄ったさいは、ぜひ焼きまんじゅうを1串食べていただきたい。ハマるよ。