母校じゃないのに懐かしい! 泊まれる学校『さる小』には大勢で行くべき
廃校になった小学校を活用した宿泊施設、群馬県みなかみ町の『泊まれる学校 さる小』をご紹介。野球やサッカーなどが楽しめるグラウンドや、吹奏楽やバンドの練習が行える校舎、マンガだらけの図書室など、遊べる要素が盛りだくさん。泊まれば卒業生ではなくても懐かしい気持ちになること間違いなし!サークル合宿や企業研修などの宿泊先をお探しの方は、ぜひこちらの記事を参考にしてください。
せーのっ
よっ!
ほっ!
はっ!
こんにちは!SPOTライターの田中嘉人(@yositotanaka)です!
今日僕が来ているのは、スポ○チャでも、ラウン○ワンでもありません。
どこか懐かしい雰囲気の廊下……
休み時間に水をがぶ飲みしたくなる水道……
そう!学校なんです!
僕がやってきたのは群馬県利根郡みなかみ町にある”さる小”こと猿ヶ京小学校。実はココ、泊まれる学校なんです!!
なぜ学校に泊まれるのか。もともとは普通の小学校だったのですが、2008年3月、少子化に伴う統廃合により廃校に。しかし、「みなかみ町廃校活用プロジェクト」により、2012年4月より泊まれる学校として生まれ変わることになったのです。それにしても……
学校に泊まれるなんてワクワクしない!?
というわけで、今回は僕が泊まれる学校”さる小”の魅力を全力で紹介したいと思います!
ただ、ひとつだけお伝えしておきたいのが、さる小は1日1団体貸切型の予約システム(最小10名〜最大120名)であること。本来なら団体で宿泊するところに単身乗り込んでしまうとどうなるのでしょうか?
目次
体を動かすなら、運動場と多目的ホールで!
”さる小”の魅力といえば、なんといっても広大な運動場!
敷地面積は縦約76m、横約86mと、とにかく広大……!
ボールにバット、フリスビーまで、なんでも借りられます。団体で来てたらチーム対抗戦ができますね!
屋内の多目的ホールも覗いてみましょう。
ボルダリングも……
卓球も……
平均台や跳び箱もできる!
でも、これ……ひとりじゃ楽しくなくない??
お腹が空いたら、家庭科室へ!
体を動かしたら腹が減る!ということでやってきたのは、家庭科室。
こちらではなんと一度に100人分の食事を調理することができるそう!
本格的な厨房設備が整っています。
食器とかも用意されているから手ぶらでも安心!
しかし、「自分たちで料理をつくるのがめんどくさい」という方もいると思います。
そんな方たちにおすすめなのは給食!なんとさる小では、事前に予約すれば給食を用意してもらうことができます!この日宿泊することになっていた団体さんも給食を予約していたので、特別に見せていただきました。
この日のメニューがこちら!砂糖ときな粉をたっぷりまとった揚げパン……!ウマそうだなぁ……!
でも、当然僕の分はありません。仕方ないので近くのコンビニでおにぎりを食べました。
静かに過ごすなら、図書室&視聴覚室(シアタールーム)へ
寂しさと空腹にヤられてた僕が逃げ込んだのは、図書室!図書室といっても……
なつかしのコミックたちがズラリ!
つまり、マンガ図書館!!
いやー、長居できますね……。
もうひとつ僕が入り浸ってしまったのが視聴覚室(シアタールーム)。
大好きだった番組のDVDを発見!
ひとりで見ても、おもしろいものはおもしろい!
でも、番組が終わった途端に急に寂しくなりました…。
学校でお風呂に!さる小自慢の釜風呂
気を取り直して、引き続き施設を紹介していきます!
続いては、なんとお風呂!これまではシャワールームや近所にある公共浴場を利用するしかなかったのですが、新たにお風呂棟をつくったそうです!学校でお風呂に入れるなんて、すごくない?
シャンプー、コンディショナー、ボディーソープの類は完備されてる!ありがたい!
そしてこちらがさる小名物の釜風呂!では、入っちゃいましょう!
これよ、これ……!あったまる……!温泉ではないのですが、雰囲気が格別!「一人で来るところではなかったな」と後悔はしたものの、すっかりいい気分になりました。
校長先生のお話
ものすごく魅力的なさる小。いったい、誰がどういう目的で運営しているのでしょうか?
そこで”校長先生”こと責任者の飯島健治さんにお話をきいてみたいと思います。
「早速なのですが、なぜ廃校を宿泊施設にしようと?」
「実は、さる小の母体は猿ヶ京に温泉宿などの宿泊施設をいくつも運営している会社なんです。地域の過疎化に歯止めがかからない状況を見た代表が『どうにかしたい』と一念発起。もともとは地域の団体が町から補助金を受けながら管理していたのですが、代表が『補助金はいらないから』と譲り受けることになったんです」
「では、なぜ飯島さんが校長先生に?」
「もともとはサラリーマンだったのですが、このまま組織の歯車になっていくことに漠然とした危機感を抱いていました。そんなときに友人伝いに代表と知り合いました。タイミングとしては、会社がさる小を借りられることになったとき。『今ならゼロから経営者として働ける』と言われて、チャレンジすることを決めました」
「ずいぶん思い切った決断ですね。もともとホテル業や接客業の経験はあったんですか?」
「それがなかったんです(笑)。だから、嫁の両親には大反対されました。でも、僕にとってはサラリーマンを続けるよりも、さる小の校長になってゼロからつくっていくほうが楽しいことは明らかだった。迷いはありませんでしたね」
「とはいえ、当初は相当苦労したんじゃないですか?」
「最初は試行錯誤でしたね。『旅館風にしたほうがいいのかな』とか『青少年の家っぽい雰囲気がウケるかな』とか。方向性が定まらなくて、最初の1年間は通帳の残高が減っていく日々でしたね……」
「生々しい……」
「転機になったのはWebサイトのリニューアルです。それまでは、知ってもらいたい気持ちが先行してあれもこれもと情報を詰め込んだWebサイトだったんですが、やっぱり見づらかった。そこで外部のデザイナーに手直ししてもらって……そうしたら少しずつネットで『廃校に泊まれるらしい』という口コミが広まっていったんです」
「おお!すごい!大逆転だ」
「いろんなお客さんに足を運んでもらえるようになりましたね。同時に、お客さんに共通点というか、さる小の強みみたいなところにも気づきました」
「共通点?強み??」
「みなさん、自分たちで文化祭とか運動会とかの企画を持ち込んでくれるんですよね。だから、僕たちはプランを出さなくていい。僕らに求められているのは、なまじサービス業として接客するのではなく、とにかく学校らしさを演出することだったんです。たとえば、普通30歳をすぎて鬼ごっこなんてやらないじゃないですか。でも、さる小ならやれちゃう。しかも、大人が本気を出すからおもしろい。そういう企画をついやりたくなってしまうようなステージを用意することが、僕らの役割だったんです」
「確かに、さる小には『卒業生じゃないのに懐かしい』みたいな雰囲気がありますね……不思議……」
「そのことに気付いてからは順調ですね。ありがたいことに。宿泊の予約は年2回抽選で決めているんですが、毎週末と夏休み期間はほぼ埋まってしまっています」
「どういったお客さんが多いんですか?」
「本当に多彩ですよ。たとえばコスプレイヤーのイベントとか、アーティストの展覧会とか、LGBTの方たちの集まりとか……あ、結婚式をやった人たちもいましたね」
「確かに、非日常感もあるし、貸し切れるからいろんな可能性があるんですね」
「さる小の使い方を、逆に僕らが学ばせてもらっているといっても過言ではないですね(笑)」
「確かに(笑)。最後に今後の目標は?」
「強いて挙げるなら、平日の稼働率を高めることですね。企業の研修などでもぜひ使っていただきたい。別に『若手だけさる小に宿泊して、管理職は温泉宿に泊まる』みたいなプランでもいいと思うんです。僕らが目指すのは、猿ヶ京全体の活性化。食事やお酒など、さる小だけで完結できない仕組みにしているのもそのためです。さる小をきっかけに、猿ヶ京全体に経済効果が波及していけばいいなと思います」
「めちゃめちゃ素敵じゃないですか……! いや〜本当に素敵なところでした。今日はありがとうございました」
「そういえば、今日泊まってる団体さんが音楽室でライブやってるみたいなので、よかったら覗いてみてください。彼らの許可はもらってるんで」
「音楽室でライブ……?」
そろりそろり……
あ、すごい盛り上がってる……!
……若いっていいよね……仲間がいるっていいよね……!
さる小の気になるアレコレQ&A
それでは最後に、さる小の気になるアレコレにQ&A形式でお答えしていきます!
Q.寝るときはどうするの?
ご安心ください!布団やキャンピングベッドを用意しています!
教室に布団を敷いたり、
キャンピングベッドで休むことができます!
Q.洗濯物って洗えるの?
お任せください!
保健室に、洗濯機と乾燥機を完備!衣服が濡れてしまったり、汚れてしまっても安心です!
Q.プールは使える?
もちろんです!
深さ0.9〜1.1mの25mプールがあります!夏季は毎日利用可能。また深さ0.6mの幼児用プールもあります。カヌー遊びもできますよ!
Q.ネット環境は?
フリーWi-Fiをご用意しています!
さる小のことをどんどんSNSで発信してください!
Q.タバコは吸える?
校舎内は禁煙です!
所定の喫煙所があるので、そちらでお願いします。
というわけで、さる小を案内してみましたが、いかがでしたか?
土日や夏休みの予約はかなり埋まっているようですが、平日なら空きがある様子。企業の人事部門の方は、研修などで活用してみるとおもしろいかもしれませんね。
それにしても、ハッキリといえるのは「ひとりでノコノコ来るところではない」ということです。
大勢で来たら、絶対楽しいと思います!ぜひ足を運んでみてください!
現在、秋以降の予約を受付中!さる小の料金システム&予約フォームはこちらから!
https://www.sarusho.com/yoyaku.html