コロナ禍により冷え込みを見せている観光の復興を目的として、JR九州から全線乗り放題の「みんなの九州きっぷ」が、JR四国から全線乗り放題の「四国満喫きっぷスペシャル」が発売されています。
これまでにも全線乗り放題きっぷはありましたが、これらのきっぷの特筆すべき点は、なんと言ってもその安さにあります。
「みんなの九州きっぷ」は新幹線も含む2日間乗り放題で10000円、「四国満喫きっぷスペシャル」は3日間乗り放題で8000円、と驚異の安さになっています。
そもそも博多から鹿児島中央まで新幹線(自由席)に乗ったときの料金が10110円ですからね。これ一発で元がとれる。イカれた安さです。
それぞれのきっぷについて軽く説明させていただきます。
みんなの九州きっぷ(https://www.jrkyushu.co.jp/train/minnnanokyushu/)
・利用期間は2020年7月11日から2020年9月27日まで。
・土日祝で連続する2日間のみ利用可能。
・JR九州の九州新幹線、特急列車、快速・普通列車が利用可能。
・普通車指定席を6回まで利用可能。
・利用エリアを限定した「北部九州版」(5000円)も存在する。
・特定の施設できっぷを提示すると特典がうけられる。
四国満喫きっぷスペシャル(http://www.jr-eki.com/ticket/brand/1-4SV)
・利用期間は2020年7月1日から2020年9月29日まで。
・土日祝を1日以上含む連続する3日間で利用可能。
・JR四国線全線及び土佐くろしお鉄道線全線の、特急列車、普通列車が利用可能。
・阿佐海岸鉄道線全線、JR四国バスのうち路線バス(大栃線、久万高原線)が利用可能。
・みどりの窓口販売(8000円)とWEB販売(8500円)が存在する。
・レンタカーを24時間借りられる「レンタカーセットプラン」(10500円)も存在する。
僕は7月に「みんなの九州きっぷ」の北部九州版を利用したのですが、そのあまりのお得さ、使い勝手の良さに感動させられたものです。
それ以降、これらのきっぷをフルに活用すれば、僕が行きたいと思っていた場所全部回ってこられるんじゃないか、しかも通常時では考えられないほどお得なんじゃないかと、気になって夜も眠れなくなったので実際に行って確かめてきました。
とはいえ、今の時期に旅をするというのはなかなかリスクを伴うもの。
万が一、ウィルスを各地に巻き散らかしてしまったときには目も当てられないので、出来る限り最大の対応を行ってから旅に出ることにします。
当然、集団で移動するなんてのはもってのほかですので、一人旅になります。
決して一緒に行ってくれる人がいなかったとかそういうんじゃないです。あくまでリスク軽減のための一人旅。
はじめに
旅のルールを定めるにあたり、参考にしたのは観光庁から出されている「新しい旅のエチケット」(https://www.mlit.go.jp/kankocho/news08_000332.html)です。「別紙1」に感染リスクを避けつつ旅行を楽しむための要項がまとめられています。
この内容を参考に、旅のルールを以下のように定めました。
・食事、入浴、睡眠時以外はマスク着用を徹底する。(ただし、熱中症リスクを考慮し、屋外で周囲に人がいない場合は外す)
・マスク着用、不着用に関わらず、不要な会話を行わない。
・毎朝健康チェックを行う。体温が37.5℃を超えているか、体調が悪いと感じられたときは旅を中止する。
・電車内やホテルでの消毒を徹底する。
・定期的(電車の乗降時、就寝前など)には持ち物を、除菌シートやアルコールスプレーで消毒する。
・電車内では隣に人が座っている状況を作らない。
・観光地でも密になる状況は避け、ソーシャルディスタンスを守る。
実際に旅をした今になって思うのは、マスクと健康チェック、消毒に気をつければ、それ以外はだいたい僕が普段している旅と変わらなかったということです。一人旅なので変に喋ることもない、というか一人でブツブツ喋っていたらおかしな人でしかないですし、もともと混雑が嫌いなので観光の際は空いている時間ばかり狙っています。
一人旅というのは「新しい旅のエチケット」と相性が良いみたいですね。
マスクと体温計、消毒グッズをかばんに詰め込み、旅が始まります。
イソジンは売り切れていたので持っていません。
1日目
こういう旅の常として、朝は始発で始まります。
というわけで、まだ夜も明けていませんが、小倉駅から出発です。人が全くいません。感染リスクも軽減できて良いですね。
ちなみに、みんなの九州きっぷは山陽本線の一部(下関-門司間)も対象となっているため、前日まで山口を観光し、翌朝から九州に渡って旅を開始する、なんて事もできてしまいます。僕はただ九州をぶらっと回りたかっただけなので小倉スタートとしましたが。
この日の体温は「36.8℃」でした。咳や倦怠感もなし。
04:51 小倉 発
小倉駅からひとまず博多駅に向かいます。
小倉-博多間は新幹線が通っていますが、残念なことにこの区間は九州にありながらも山陽新幹線扱いになっているため、「みんなの九州きっぷ」では乗ることが出来ません。この区間で使えると更に便利なのですが…。
仕方ないのでのんびりと博多を目指します。
06:14 博多 着 乗換(06:33発:19分)
博多駅で乗り換え、最初の目的地である長崎へと向かいます。
博多駅では朝食となる駅弁を買おうと思っていたのですが、この時間は全く店が開いていません。
どうしたものかと悩んでいると新幹線用改札を発見。そちら側ではもう店が開き始めていたので、そちらで駅弁を入手することに成功しました。
駅弁を買うためだけに新幹線用改札を出入り出来る。そう、みんなの九州きっぷならね。
ここからは特急に乗って移動することになります。
さすが特急は早い。さっきまでとは比べ物にならない速さで進んでいきます。流れるような景色を眺めながら食べる駅弁はまた格別なものです。
博多の地鶏に辛子明太子、朝からこんな豪勢なものが食べられるなんて、旅って良いもんですなあ。とか思っていると徐々に天候が悪化、雨が強く降り出し、雷まで鳴り始めました。
電車も明らかに速度を落としています。
これはまずい。
というのも、僕は長崎に着いた後、即座に軍艦島上陸周遊クルーズに参加する手はずを整えていたからです。このままではクルーズの時間に間に合わないかも知れない。そもそもクルーズ自体も中止になるかも…。なんか長崎に警報とか出てるし…。
とか悩んでいると、肥前山口駅で完全に停車。動き出す時間も未定とのこと。
この時点でクルーズにはキャンセルの連絡を入れました。幸先悪すぎる旅のスタートです。
僕の普段の生活が悪かったのでしょうか。
いやでも最近は目の前でコケた小学生を助けたりしたな。なんなら店の中に落ちていた携帯を店員さんに届けたりもした。それだけじゃ足りなかったのかな…。
そんな阿呆なことを考えているうちに電車は動き出してくれましたが、すぐ先の肥前鹿島駅でもまた停車。
この時点で「戻る」という選択肢が頭に浮かびましたが、そもそも反対側の電車も止まっているので戻る手段がありません。結局2時間ばかり足止めを食らった後に再度電車は動き出してくれました。
肥前山口駅から乗り込むなり即座に寝ていた学生さんがいたのですが、1時間ほど経って目を覚ました彼は、まだ自分が肥前鹿島駅にいるという現実をうまく認識できず、相当に戸惑っていました。まあいつもなら10分で移動できる距離だもんな。ずっと起きてた僕でも戸惑ったし。
電車は動き出したものの、速度規制があるとかで特急とは思えない速度でしか進みません。
本当にこのまま長崎へ向かって良いのか?クルーズも無くなったし行ってどうするんだ?頭の中には「コンコルド」というワードが飛び交っていましたが、全てに目を瞑った僕はそのまま進むことを決意したのでした。
11:52 長崎 着(3時間17分遅れ) 5810円(合計:5810円)
いやーまいった。まさか結果的に3時間以上も遅れるとは。なんか特急料金の払い戻しとかしてるし。始めてみたわ、そんな光景。
当初の予定では軍艦島クルーズを楽しんだ後、12時過ぎの電車で佐賀へ向かう予定だったのですが、さすがにここまで来て何もせずとんぼ返りはしたくないという心情的な理由と、そもそも帰りの電車も時間通りに動くか怪しすぎるという現実的な理由から、後の予定を大幅に変更し、長崎観光を実施することに決定。
駅前でタクシーを拾い、グラバー園へと向かいます。
今思えば肥前鹿島駅で足止めを食らっているときに、電車降りてバスで嬉野温泉にでも行けばよかった。そうすれば3時間も無駄にすること無く観光を楽しめたのにな。この反省は今後に活かします。
グラバー園近くからは福山雅治の聖地・稲佐山がよく見えるのですが、さっきまでの大雨が嘘のようにキレイな青空が広がっていました。なにかわからないけどめちゃくちゃ悔しい。青空を見て悔しくなるのは初めての経験だよ。
スコットランドの商人、トーマス・グラバーの邸宅をはじめ、9棟の伝統的建造物を見ることが出来るグラバー園。一言で言えば、趣のある建物が楽しめる場所ですね。
残念ながら今の時期は、世界遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産である「旧グラバー住宅」が修理中のため、外部から見ることしか出来ませんでしたが、それでも重要文化財に指定されている「旧オルト住宅」、「旧リンガー住宅」を含む他の建造物は見学することが出来ます。
建物内は当時の面影を残しており、もうおぼろげな教科書レベルの知識しかない僕でも、なんとなく明治時代の長崎を感じることが出来ました。
なんとここでも「みんなの九州きっぷ」が活躍します。
入園時に提示するだけで入園料が100円引きされます。施設によってはこのような特典を受けられるので、使えるところでは積極的に駆使していきましょう。
長崎らしく坂の上にあるので少しのぼっていく必要がありますが、そのぶん上からの見晴らしは最高です。園内には各所にベンチが設置されており、休みながらその景色を楽しむことも出来ます。特に木陰のベンチは涼しくて最高です。
明治時代の邸宅を楽しんだ後は、ベンチに座って海を眺める。なかなかに贅沢な時間です。
ベンチで一休みしていると、横からガイドのおじさんが話しかけてくれました。
「グラバー園の成り立ちとかを話してくれるのかな?」と期待していたのですが、なぜか出てくる話は港と船の話ばかりで、一向にグラバーさんの話は出てきません。
写真左に写っている造船所は三菱重工のもので、右に写っている白い船が昨日進水したばかりものらしいです。潮の流れの関係で向こう側は水深が深く取れるので造船所に、こちら側は水深が浅いので埋め立て地として活用しているのだとか。
グラバー園に来て、なぜか長崎の海事情に詳しくなってしまう僕。これだから旅はやめられません。
グラバー園を出たその足でおとなりにある大浦天主堂へ向かいます。
大浦天主堂は国宝であり、世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産でもあります。
天主堂内部は厳かな雰囲気に包まれており、ステンドグラスの美しさに目を引かれました。併設されている「キリシタン博物館」では、授業でも聞いたことのある潜伏キリシタンにまつわる事件や、その潜伏が終わるきっかけとなった「信徒発見」、「日本二十六聖人」について知ることが出来ます。
天主堂内は静かな美しさがあり、ぜひとも写真に収めたいところでしたが、残念ながら撮影禁止となっていました。
まだ時間があったので、ここから少し離れた出島へと移動します。
タクシーがあれば使っても良かったのですが、あいにく見つからず。路面電車も微妙に使い勝手が悪い位置にあるので走って移動します。言い忘れていましたが、この旅の主な移動手段は鉄道+ダッシュです。(時間が惜しいので)
10分も走ると出島が見えてきました。勢いそのままに飛び込みます。
説明不要かとも思いますが、鎖国時代の日本において唯一海外に開かれていた出島。
平成8年から本格的な復元整備事業が実施され、今では新しいながらも当時の雰囲気を感じられる、そんな施設として復元されています。現在も工事は続けられており、今後どのような姿となっていくか非常に楽しみです。
建物内をぶらぶら見てまわっていると、ここでもガイドのおじさんが話しかけてくれました。
「出島の成り立ちとかを話してくれるのかな?」と期待していたのですが、なぜか出てくる話は甲子園の話ばかりで…、と思いきや、こちらのおじさんは一味違った。甲子園の話の合間にしっかりと出島の話を入れてきます。
「ワシは今年、甲子園を見に行こうと思っていたが中止になって残念だ」という話を聞いていたはずが、いつの間にか「この部屋の壁紙はきれいでしょ?これは唐紙と言って…」と解説に切り替わっていますし、「大阪桐蔭は強すぎる。あんなのはどうしようもない」みたいな話が、「出島の周囲は明治以降埋め立てられていて、今では陸続きとなり、教科書でみたような扇形じゃ無くなっている」と街の成り立ちをしっかりと説明してくれています。というかグラバー園のおじさんが言っていた埋め立てってこのあたりのことだったのか。話がつながってスッキリしたわ。
グラバー園、大浦天主堂、出島はそれぞれで観光しながら歴史が学べる良い施設でしたが、こうやって複数まわってみると、そのつながりや前後関係も分かってきてより楽しめます。
ちなみに、出島のガイドのおじさんが言うには、長崎歴史文化博物館が一番のオススメらしいです。聞いてないのに教えてくれた。でも気になるので次回行ってみよう。
おじさんの解説を聞いているうちに時間が迫ってきたので駅へと戻ります。ちょうど出島の前から路面電車が出ていたのでそれに乗って駅前まで移動しました。
2時間半で3箇所まわったので時間がもうカツカツなのですが、一つやり残したことがあるので、駅ビルであるアミュプラザ長崎へと向かいます。ダッシュで1分。
やり残したことというのがこのクーポン券です。
これも「みんなの九州きっぷ」の特典のひとつなのですが、各地にあるアミュプラザのインフォメーションできっぷを提示すると、そのアミュプラザで使える500円クーポンがゲットできます。食事に使うも良し、お土産に使うも良し、の万能クーポンですので、アミュプラザがある駅に寄った際には必ずゲットしておきましょう。
時間があれば、ここで食事をとっていこうと思っていたのですが、観光に夢中になってしまっていたため、ゆっくり食べている時間はありません。
昼食代わりに長崎名物のカステラを購入しました。定価1080円がクーポン利用で580円。ほぼ半額です。
こいつを食しながら次の目的地へ向かいます。
14:19 長崎 発
さすがにこの頃にはダイヤの乱れもなくなり、時刻通りの運行に戻っていました。
ひとまず乗換駅である新鳥栖を目指します。
行きは天候が悪すぎてよく見えませんでしたが、諫早湾がよく見えます。
いい景色を見ながら良いものを食べようとカステラを取り出したところまでは良かったのですが、調子に乗ってパクパクと全部食べるとものすごい胸焼けに襲われました。あと口の中がめちゃくちゃパサパサになった。
まあ一人で食う量じゃなかったもんな。僕は馬鹿なんだろうか。
そんな自分の愚かしさと向き合っているうちに電車は佐賀を通過しました。
本来の予定であれば、佐賀駅で下車し、1時間のランチタイムとなっていたはずですが、予定調整の結果、泣く泣くここはスキップとしました。
いずれリベンジに来なければなりません。呼子のイカや嬉野温泉なんかもまとめて観光してやる。
15:48 新鳥栖 着 乗換(15:57発:9分)
ここから最速の移動手段である新幹線が登場します。
乗る前になって改めて思いますが、新幹線にも乗り放題って本当にとんでもない。
さすが新幹線。
特急でも早いとは思っていましたが、比べ物にならない速度です。
新鳥栖を出発し、あっという間に熊本を通過しました。
そう、残念ながら熊本も通過です。約3時間半の遅れは如何ともし難く、佐賀に続き熊本もスキップする羽目となってしまいました。
本来であれば熊本駅で下車し、駅前から出ているバスに乗って地震被害から復旧しつつある熊本城を見学、城彩苑や肥後よかモン市場で買い物。というプランを練っていたのですがすべて御破算に。
せめて、以降の旅を全力で楽しむことにします。
ちなみに、上熊本駅を通過してちょっと過ぎた頃、進行方向左手に復旧中の熊本城の姿がちらっと見えます。
17:10 鹿児島中央 着 12790円(合計:18600円)
ここで新幹線の旅は終わりです。あっという間に鹿児島まで到着することが出来ました。
本来の運賃合計額も10000円を超え、ここからは乗れば乗った分だけ得をしていることになります。
鹿児島では最初にアミュプラザに向かいます。
さっそくクーポン券を確保。
そしてこいつを使って今回食べるものは、
鹿児島名物のしろくまです。レギュラーサイズがでかすぎて食べ切れそうにないのでベビーサイズにしたのですが、それでも明らかにでかい。
身体が涼を求めていたので一気にかき込んだのですが、案の定あたまが狂ったように痛くなり、壊れるかと思いました。あとお腹も痛くなった。僕は馬鹿なんだろうか。
会計は530円でしたが、僕はクーポンがあるので30円でした。30円て。なんか会計のときに10円玉3枚だけ出すのが妙に気恥ずかしかった。
身体がいい感じに冷えたところで鹿児島観光を始めます。
とはいえそんなあっちこっちに行くつもりはありません。目指すはこのアミュプラザの6Fです。
鹿児島のアミュプラザには観覧車があるのです。
こいつを使えば鹿児島の街どころか桜島までだって一望できます。
一人で観覧車なんて…、と思われる方もいるかも知れませんが、僕はもうそのへんは全く効かない鋼のメンタルになっているので構わずチケットを購入しました。
隣ではチケットも買わずにカップルがイチャついていましたが、気分が壊れるので見なかったことにします。こういう都合の悪いところは目を瞑る精神が一人旅では何よりも重要となります。
決して嫉妬しているとかそういうんじゃないです。
絶景。
桜島の放つ圧倒的な存在感に言葉を失います。ただただ素晴らしい。世の中の些末なことなど全く気にならなくなります。
僕は一人なので当然、この景色も独り占めです。なんて贅沢なことでしょう。
ここは間違ってもお互い見つめあって愛の言葉をささやくような場所じゃありません。一人で厳かに桜島という存在を感じ、時間の許す限り眺める場所なのです。
というかお互い見つめあってたら肝心の景色が見れないですしね。相手の顔なんて降りてから飽きるほど見られるんだから、ここでは景色を楽しみなさいよ。
なんだか心が乱れ始めたので先を急ぎます。大丈夫、僕は一人でも強い。
再度飲食店街に戻り、黒豚でも食べようかと思っていたのですが、しろくまを一気食いした影響か、どうも食べられそうにありません。
自分の愚かしさを呪いながら次の目的地、指宿へと向かうことにします。黒豚…。
18:08 鹿児島中央 発
予定ではもうちょっと後の電車に乗るつもりでしたが、指宿でゆっくりすごすのも良いでしょう。
ちょうど電車が来ていたので慌てて乗り込みました。
さっきまで新幹線にのっていたことを思うと、その車体の落差にちょっと笑ってしまいました。
しかし車内は結構混み合っており、座席の空きも殆どありません。地元の方の重要な足となっているようです。旅のルールを守るため、座らずに立っていたのですが、ここで問題が発生。
この電車、揺れる揺れる。隣の車両なんかは脱線するんじゃねえの?って不安になるくらい揺れています。
移動中にゲームでもしようかと思ったのですが、車体が揺れすぎてまともに操作できません。どうやら、この指宿枕崎線は揺れが大きいことで有名なようです。
僕は旅の記録をノートに付けていたのですが、ここだけ幼稚園児に書いてもらったの?と疑いたくなるようなぐちゃぐちゃの文字らしき何かが刻まれていました。自分で書いたはずなのに全く読み返せなかった。
19:23 指宿 着 1020円(合計:19620円)
途中からは揺れも収まり、無事に指宿に到着。
ここからタクシーに乗って砂風呂を体験しにいこうと思っていたのですが、
この有様。
指宿くらいの場所なら電車の時間に合わせてタクシーの一台くらい来ているかと思ったのですが、考えが甘かったようです。仕方ないので走り出したのですが、走り出してすぐ、駅の斜向かいにタクシー会社がありました。ラッキー。ここでタクシーを確保し、砂風呂に向かいます。
ものの5分で砂風呂に到着。
一応入浴施設なので館内の写真とかはないのですが、砂浜で温められた砂をかけられて…っていうあれです。
正直なところ、「言うて砂で蒸されるだけでしょ?そりゃ温まるだろうけど温泉のほうが良くない?」とか考えていたんですが、この認識は大いに改められました。
砂風呂めっちゃ気持ちいい…!
程よい圧迫感と身体の芯から熱せられるこの温かさ、最初はなんともなくとも10分もすればダラダラと汗が吹き出してきます。これは気持ちいい…!
小学生のときに、倒れた人に何人もがどんどんとのしかかって動きを封じるという、今の世ならPTAのお偉方が一瞬で禁止認定するであろう野蛮極まりない遊びをしたことのある方もおられると思いますが、なんだかその時の感覚を思い出しました。
「やめろよー!」とか言いつつも、あの圧迫感ある遊びは妙に楽しく、一種の快感が味わえるものなんですよね。
砂風呂中にも頭をよぎったことですが、こうやって改めて書き出してみると、なんだかやべーマゾヒストみたいなこと言ってますね。僕はマゾヒストなんですか?
そうやって砂風呂を堪能していると、気がつけば40分が過ぎていました。(目安とされる時間は10分)
今日一日動き回った疲れも完全に吹き飛びました。いける、これなら明日以降の旅も万全の状態で楽しめる!
いや、ほんとにびっくりするくらい気持ちいいし、疲れが吹き飛んだ。うちの近所にも欲しい。
この後は鹿児島へ戻るのですが、指宿発の電車はしばらく来ないので、海岸線を散歩しながらゆっくり駅を目指します。散歩のお供はこいつです。
ブラックモンブラン。
九州に来たからにはやはり竹下のアイスを食べなければならないでしょう。「おゴリまっせ」か「しっとるケ」があればそちらも食べたかったのですが、残念ながら僕が購入した場所では扱っていませんでした。
アイスを片手に、ふと空を見上げてみると、星がよく見えました。
僕が星に詳しければ「ほらご覧、あれがはくちょう座だよ」とか言いながら、はくちょう座にまつわる神話を語りだし、「まあ素敵!(キュン!)」とかなっていたのかなあと思っていたのですが、そういえば僕は一人でここに来ているので、星座を紹介する相手も、神話を聞かせる相手もいなかったのでした。
いやー危ない危ない。あやうく一人でブツブツ言ってる変な人になるところでした。
でもいずれは僕の天文知識(全部漫画で仕入れたやつ)をムーディに語れる夜が来て欲しいな…。
そんな悲しい願いを星に祈っていると、突如として目の前に5歳位の女の子が。
これにはマジでビビった。なんならちょっとくらいおしっこ漏らしてたかも知れない。(ジョロロ…)
なんてったってこんな闇の中から急に女の子が現れたんですからね。
これでビビらない人っているんですか。
「キャハハハ」って笑いながら女の子が飛び出してくるんですよ。
ほんと物の怪の類かと思った。
実際には後からお父さんらしき人が追いかけてきたので地元の人なんでしょうが、心臓に悪いから止めてほしい。
21:45 指宿 発
この時間になると町の明かりはだいぶ減り、駅と電車だけが煌々と輝いている、みたいな事態に陥りがちです。
そうなると起こるのがこれ、電車の中にガンガン虫が入ってきます。
払ってもキリがないので基本的には放置していたのですが、終点の鹿児島中央駅につく頃には結構大きめの蛾が一匹と小さい蛾が三匹くらい僕のかばんに鎮座していて、なんだか博物館で売ってそうな、そういうブローチでも付けているみたいになってた。
あと帰りの電車もやっぱり揺れまくってた。ノートの文字が読めない。
22:56 鹿児島中央 着 乗換(22:59発:3分)
この時間はもうアミュプラザも閉まっているので、寄り道せず宿をとっている鹿児島駅へ向かいます。
23:04 鹿児島 着 1130円(合計:20750円)
雨の影響で電車が遅れまくったときはどうなることかと思いましたが、なんとか今日一日で九州の西側を巡ることができ、無事にここまで来ることが出来ました。
明日の下見をかるく済ませてからホテルへと向かいます。
・1日目の出費
朝食(駅弁) 1000
タクシー 1080
グラバー園 520(みんなの九州きっぷで100円引き)
大浦天主堂 1000
出島 520
路面電車 130
カステラ 580(みんなの九州きっぷで500円引き)
しろくま 30(みんなの九州きっぷで500円引き)
観覧車 500
タクシー 690
砂風呂 1500
ホテル 2633(GoToトラベル利用で1417円引き)
その他(飲食物など) 708
合計 10891
・1日目振り返り
初っ端から躓いてしまう形となったが、うまくリカバリーできたと思う。佐賀・熊本をスキップすることになったのは残念だが、九州の中では比較的アクセスしやすい県ではあるので、いずれリベンジしたい。
乗り放題きっぷの大きな武器である「好きな場所で途中下車しまくれる」をあまり活かせない形になってしまった。
長崎の軍艦島も再挑戦しなければ。北部九州を巡る旅を企画するのも良いかも知れない。
指宿は遠いので外そうかとも思ったが、外さなくて正解だった。こういう、ちょっと気になっているけど中々行く機会がない場所に足を伸ばそうと思わせてくれるのが乗り放題きっぷの魅力だと思う。
2日目
おはようございます。
現在時刻は04:15。まだ始発も動き出していない時間です。しかし、ここ鹿児島では24時間不休で稼働している交通機関が存在しています。電車の始発が動き出す前に、これを使ってある場所まで移動します。
この日の体温は「36.2℃」でした。咳や倦怠感もなし。
ちなみに、ホテルには23:30頃にチェックインしたのですが、04:00過ぎにはチェックアウトしました。
24時間不休の交通機関、それがこれ、桜島フェリーです。
今からこれに乗って昨日観覧車から眺めた桜島へと向かいます。
暗闇に浮かぶ船はなんだか漁船のように見えてきます。
実際、この時間に乗り込んでいる客は釣り客がメインなのか、釣り竿やクーラーボックスを持っている方が目立ちました。多分こんな時間から観光とか言っているのは僕だけです。
しかし、この時間に眺める桜島の美しさと言ったら。
闇夜に浮かぶ荘厳な桜島のシルエット、背景にはオリオン座が彩りを添えています。
オリオンは本来冬の星座ですが、夏のこの時期でも、明朝空が白み始めた時間帯には観察することができます。夏の盛りに冬の星座が見られるなんてなんだか素敵です。
オリオンはサソリに刺されて死んでしまった神話が有名ですが、それとは別に月と狩りの女神アルテミスとの悲恋の物語もあります。
オリオンはアルテミスとたいそう仲が良かったのですが、それを快く思っていなかったアルテミスの兄アポロンの策略によって、アルテミス自身の手で海から出ていたオリオンの頭を射てしまいます。それを憐れに思ったゼウスはオリオンを天にあげ星座にしました。それ以来アルテミスは愛するオリオンに会うため、冬の空を月に乗って通っていくのです。(キュン!)
たいした距離でもないので15分くらいで桜島に到着しました。
まだ漆黒に包まれているような気もしますが観光を開始します。
フェリー乗り場から降りてすぐのところに月讀神社という場所がありました。とりあえずここから見て回るかな…とか考えていたのですが、鳥居の先からが真っ暗で、さらに道の両脇が背丈よりも高い草木に囲まれていたので、怖すぎて止めました。ガチの物の怪が出てくるところだ。
ここは後にします。
海岸に沿ってのんびり歩いていると桜島溶岩なぎさ公園にたどり着きました。
ここには足湯や遊歩道があるのですが、暗くて写真がうまく撮れていなかったので写真はありせん。朝5時だというのに足湯に人が集まっていてなんか怖かったです。足湯は9時からなので湯は張られていなかったはずなのですが…。
遊歩道を歩いているうちに帰りの船の時間が迫って来たのでフェリー乗り場へと戻ります。夜明けが近い。
明るくなっていたのでもう怖くありません。月讀神社に入っていきます。
なぜか夏越の大祓を未だにやっているようなのですがそういうものなのでしょうか。僕が浅学なだけかも知れませんが普通は6月末に行われるものなのでは…?
まあせっかく来たので旅の安全を祈願しておきました。
あと天気ね。今日はもう雨降ってほしくない。
帰りのフェリーに乗り込むとちょうど朝日が昇り始めていました。
行きは夜空と桜島を、帰りは昇る朝日と桜島を、それぞれ楽しめるのは桜島フェリーだけ!
正直、桜島内は暗すぎてよくわからなかったのですが、フェリーからのこの光景を見られただけでも来た価値は十分すぎるほどにあったと思います。
行きのフェリーはまだ釣り客とかが乗っていましたが、帰りのフェリーは僕ともう一人しか乗っていませんでした。これで採算とれているんだろうか。24時間動いているのは有り難いですが、なんだか心配してしまいます。
フェリー到着後は即座に鹿児島駅へと向かいます。
06:04 鹿児島 発
早起きしたので席についた途端、睡魔が襲いかかってきます。
世の中には一睡もせず全駅にチェックインしている修行僧のような方もおられるようですが、僕のような凡人は特急で爆睡しながら目的地に向かわせてもらいます。
08:23 宮崎 着 3780円(合計:24530円)
当初の予定では、ここから高千穂行きのバスへ乗る予定だったのですが、事前調査により宮崎-高千穂間のバスが運休中であることが判明。他の手段となるとここから更に北上し、延岡からバスに乗るという方法があるのですが、こちらはこちらで接続が悪く、1時間半以上の待ち時間が発生します。
これではもう高千穂に行くのは厳しすぎるので、ここは高千穂を諦め、日南の方を観光してまわることにします。
宮崎駅前は南国を意識した作りになっており、今まで回ってきた県とはまた異なった雰囲気を漂わせています。駅前はまだ開発が進められている最中のようで、アミュプラザ宮崎も建設中となっていました。
そのため、宮崎ではクーポン券を確保することは出来ませんでした。アミュプラザ宮崎は2020年11月20日グランドオープンです。
09:08 宮崎 発
ここから日南線に乗り換え、青島へと向かいます。
09:37 青島 着 380円(合計:24910円)
青島についた途端すげー雨が降ってきたので「月讀神社とかってマジ意味ないな…、やっぱ未だに夏越の大祓とかやってるとこはあかんわ…」と思っていたのですが、10分もしないうちにあっさりと止んでくれました。ありがとう!月讀神社!
青島は駅から近くていいですね。ダッシュで3分くらいでした。
周囲1.5kmと小さな島ですが、見どころはたっぷりです。亜熱帯性植物が多く茂ったこの島は、宮崎の中でも特に南国の雰囲気を感じられます。
この植物に囲まれた中央には縁結びにご利益があるという青島神社があります。
島を取り囲むのは「鬼の洗濯岩」と呼ばれる奇岩群で、これが自然にできたものとは到底思えないほどです。潮の満ち引きのタイミングによってはうまく見えないこともあるようですが、幸いにも普通に見えるくらいの時間帯に訪れることが出来ました。
この洗濯岩と植物群を眺めながら青島神社を目指します。
島の入り口は海水浴場になっており、かなりの賑わいを見せています。あまりの暑さに僕も海に飛び込んでしまいたくなります。今飛び込んだら絶対に気持ちいい。
この島は植物のせいか、どこからみても南国感に溢れています。
神社入り口では少し前にネットで話題にもなった「蘇」が売られていました。買ってみようかとも思いましたが、明らかに一人で食う量じゃなかったので止めておきました。
さっそく初日の反省点を活かす僕。こうやって人は成長していくのです。まあ自分の食う量くらい把握しとけって話ではありますが…。
高千穂をはじめとし、宮崎は神話のふるさとと呼ばれるほど神々の物語にあふれる土地です。
この青島神社もその舞台の一部になっています。ここでのお参りはきっと旅を更に安全なものにしてくれることでしょう。
お参りを済ませ、そのまま島内を見て回ります。
この島は「繁茂」という言葉がふさわしいくらい亜熱帯の植物に溢れています。その代表植物であるビロウの成木は約5000本あり、最高樹齢は350年とのこと。
ここなんて今にもランボー(怒りの脱出)が飛び出してきそうなほどです。
一通り満喫した後に陸地に戻ると、売店で宮崎のマンゴーかき氷が売られていました。即座に購入を決意します。
めちゃくちゃ美味い。マンゴーが美味すぎる。
ただ一つ難点を上げさせてもらうと、店の軒先でかかっている音楽が「肉巻きおにぎりが美味しすぎるのでどげんかせんといかん」という意味不明なものだったことです。美味いならどうもしなくていいのでは?
妙なリズムで「どげんかせんといか~ん」と繰り返される方に意識が持っていかれ、味にイマイチ集中できませんでした。
あと食い方が下手くそ過ぎてせっかくのマンゴーを3つもこぼしてしまった。どげんかせんといかんのは僕の食べ方のようです。
ここからは、宮崎駅に戻り昼食、それから大分県へ突入という流れを取るのが無難なのですが、僕は日南エリアで食べてみたいものがあったため、電車を1本見送り、青島周辺にしばらく留まることにしました。
こうやって気ままに旅程を組み替えることが出来るのは一人旅の良いところですね。
ここからの移動は電車がないのでタクシーを利用します。
10分ほど走ったところで目当ての店に到着しました。
宮崎といえばチキン南蛮ですが、僕はそのチキン南蛮が大好物なのです。以前、宮崎に移り住んだ友人から宮崎でチキン南蛮を食べるならここが良いと聞いていたので、今回訪れることにしました。
あくまでうどん屋さんらしく、看板にもデカデカと「うどん処」と書かれていますが、チキン南蛮が美味しいそうです。こういう店は期待が持てる。
チキン南蛮定食。
食べる前からわかっていたことですが、美味い。あと、やはりうどん屋らしくうどんもうまかった。
絶望的に食レポが下手くそなので美味いしか言えませんが、美味いもんは美味いです。
店を出ると、海沿いにハイビスカスが咲いていました。
宮崎の海岸沿いはこういう景色が多く見られました。さすが南国ムード漂う土地です。
日差しはキツかったですが、海からの風が気持ちよかったので、腹ごなしがてら軽い気持ちで駅まで歩くことに決めました。
結果的に言うと、ここはタクシーを呼ぶべきでした。
一時間以上かかったし、道中はクソ長いトンネル、日陰のない道路に溢れていて、めちゃくちゃハードな腹ごなしになってしまった。
まあ景色はおおむね良かったので良しとしておきます。
青島周辺までたどり着いた頃に青島サイダーを入手。
歩き疲れた身体に塩分が染み渡ります。青島を臨みながらというのも、また格別なものです。
完全に回復しました。駅まであとひと踏ん張りです。
13:48 青島 発
電光掲示板とかは一切ないので線路の様子を。
左側の線路は使われていないのか、草木がボーボーに生えまくっています。
と思ったら、普通に左側に電車がやってきました。ああ…、使われているのね…。
ここからひとまず南宮崎駅へ向かいます。
14:13 南宮崎 着 乗換(14:27発:14分)
ここから九州の旅の最長区間である大分駅まで向かいます。乗車時間は3時間28分です。
計画時には長いなあと思っていたはずでしたが、初日の雨による足止めを思うと屁でもありません。
ぼーっと景色を見ているうちに到着します。
道中、異様な光景が目に飛び込んできました。
謎の高架の上に延々とソーラーパネルが設置されています。新手の太陽光発電所か?それにしても高架の上に載せる意味とは…?
調べてみると、これは昔宮崎で実験走行していたリニアの痕跡を有効活用しているもののようです。
宮崎にリニアが走ってくれていれば観光ももっと容易になったのですが、残念ながら計画は途中で山形に移され、こちらでの試験は1996年をもって終了していました。
残された高架を有効活用するためにソーラーパネルが設置され、今ではメガソーラー太陽光発電所として利用されているのだとか。
17:41 大分 着 5920円(合計:30830円)
3時間半の乗車を経て、大分駅に到着しました。
大分駅にもアミュプラザがありますので、真っ先に向かいます。
500円って結構でかいですからね。「みんなの九州きっぷ」が10000円ですから、このクーポンを使うだけで5%オフになるようなもんですよ。活用しない手はありません。
ということで、大分ではこいつを活用して晩御飯をとることにします。
大分は地鶏が名物であり、特に「とり天」と呼ばれる鶏肉の天ぷらが有名らしいです。
昼にチキン南蛮を食べたばかりではありますが、揚げ物は大好きですので今晩はこれにすることにします。
なんかすげーでかいのが来た。
僕が調べていた「とり天」はこんな感じではなかったはずなのですが、気がつけばもも肉が丸々一本揚げられたすごい定食がやってきてしまいました。
これはもう完全に僕が悪いのですが、注文時に「とり天」の名前が出てこず、「あのー、あれ、鶏の定食のやつください」という曖昧すぎる注文をしてしまったがために、写真のような定食があらわれたのでした。
思っていた「とり天」とは違いましたが、食べてみるとこれはこれで美味しかったので良しとします。
こういう嬉しいハプニングも旅の素晴らしい点の一つですね!
18:21 大分 発
食べ終わった頃にちょうど電車が来ていたので、そのまま別府へと移動します。
18:33 別府 着 280円(合計:31110円)
日本有数の温泉地、別府にやってきました。
駅名表示の看板に温泉マークが書かれているあたり、相当なものです。
案内表示も温泉を意識したものとなっていました。
別府は温泉が多すぎるくらいで、どこに入れば良いのか迷うほどなのですが、今回はアクセスの良さから、駅近くにある市営温泉「不老泉」にいくことにしました。観光地然としているような場所も魅力的ではありますが、普段から市民の方が使っている地元に根ざした場所を利用するというのも、土地柄を感じられて良いものです。
「不老泉」は源泉かけ流しで、市営温泉の中ではもっとも広い浴槽があるのだとか。市営温泉で源泉かけ流しとはさすが別府です。
駅からものの5分で着いてしまいました。
平成26年にリニューアルされたとかで建物もきれいです。
入浴料は110円。市営とはいえ安すぎます。
脱衣所で服を脱いでいると新たなお客さんが。どうやら相当に温泉の玄人らしく、脱衣所に入ってくるなり、真っ先に温泉の成分表を確認していました。
別府に来てまで市営温泉ってどうなんだろうという気持ちも少しはあったのですが、こんな玄人も訪れる場所なら大丈夫だと、妙な安心感を持って入浴を楽しむことが出来ました。
今日のお風呂上がりはこちらです。
大分に来たからにはこの「つぶらな」ジュースを飲まなければならないでしょう。味はもちろん、つぶつぶの食感も楽しいです。美味しすぎて2本一気に飲んでしまった。
さて、九州を一周するのであれば19:50発の博多行き特急に乗って、80分後には小倉。ということが出来るのですが、僕の旅はまだ終わりません。
このまま四国へ渡り、次は「四国満喫きっぷスペシャル」のポテンシャルを確かめに行きます。
というわけで、別府駅からバスに乗り、港まで移動します。
ちなみに、19:50発の特急に乗っていた場合、小倉から新幹線に乗り換えることで今日中に大阪まで辿り着くことが出来ます。
このように、いざというときの帰り道を意識しておくことも一人旅では重要です。
バスに乗り込み、別府港を目指します。道中、別府タワーを眺めることが出来ます。
20:50発の宇和島フェリーで四国は愛媛、八幡浜に向かいます。
23:50発の便もあったのですが、これに乗ってしまうと02:35に何のアテもない状態で八幡浜の街に放り出されてしまうことが確定していたため、20:50の便を選択しました。
俺は知らない街で真夜中に放り出されても平気だぜ!って方はぜひチャレンジしてみてください。旅の過酷さを2段階くらい引き上げることが出来ます。多分24時間営業の店とかもないので、始発が出るまで彷徨い続けるしかないと思います。
20:50別府出港。
別府の街がどんどん離れていきます。船から遠ざかる街並みを眺めていると、旅に出たんだなと実感します。
すぐに電波が途絶えるかと思っていましたが、か細い線がどこかで繋がっているようで、LINEくらいならしばらく普通にやり取りできました。
僕は船のデッキが好きなので、出港時からデッキのベンチに座っていたのですが、風がとんでもなくすごい。ちょっと寒くなるくらい風が打ち付けてきます。こりゃかなわん、と別府で買っておいた温泉卵を食べてから船内に戻りました。めちゃくちゃ美味かった。
それにしても夜の海は怖い。思わず写真を貼る意味を考えてしまうほど真っ暗で、何も見えません。
船の上から眺めていると、そのスピードも相まって恐怖感が倍増です。
「城之内くんはよくこんな海に飛び込んでいけたな…。でもそんな城之内だからこそ、闇マリクをあそこまで追い詰めることが出来たんだな。それにしてもインセクター羽蛾はひでえ野郎だ」と遊戯王に思いを馳せているうちに船は四国へと到着しました。
23:35八幡浜着港。
明日から始まる四国旅に向け、休息をとります。
・2日目の出費
桜島フェリー 200*2
チキン南蛮 1100
タクシー(金額忘れたので仮) 1500
鶏の定食 391(みんなの九州きっぷで500円引き)
別府温泉(タオル代など含む) 460
バス 170
フェリー 3150
ホテル 4147(GoToトラベル利用で2233円引き)
その他(飲食物など) 1821
合計 13139
・2日目振り返り
移動が多い一日となった。やはり新幹線がないと移動に時間がかかる。
青島が思っていた以上に綺麗で楽しめた。次回来るときには更に南下してサンメッセ日南や鵜戸神宮にも足を伸ばしてみたい。しかし、宮崎観光を公共交通機関で、というのは中々難しい…。
別府はあちこちに温泉が溢れていた。大分はこれに加えて、由布院や他にも温泉があるのだいうから驚かされる。他の温泉も巡ってみたい。旅に出た先で、また新しく行きたいところが増えていく。
九州編 総括
・雨の影響もあったが、二日間で九州全土を回るというのはかなりのハイペースとなってしまう。3つか4つの県を観光するのがバランス良さそう。
・特に目的もなく九州まわってみたいなと思うなら「北部九州版」のきっぷで十分楽しめるはず。
・新幹線が使えるメリットは大きいので、鹿児島にいくなら「全九州版」を。宮崎は電車で観光するには厳しいところが多い。レンタカーを組み合わせるなど、効率よく動けるルートを考えておいたほうが良い。
・不測の事態(今回で言う大雨など)が発生した際のリカバリープランを考えておく。せっかく乗り放題のきっぷなのに、足止めを食らうのはもったいない。
・体調不良などで旅を中止せざるを得なくなった場合の帰宅経路も意識しておく。乗り放題だからこそ、何も考えずに進むのではなく、帰りのことも意識する必要がある。
・観光地は空いているところが多かった。ガイドのおじさんも「全然人が来ない」とぼやくほどだった。
3日目
流石に3日目ともなると身体が旅行仕様になってきたのか、早起きも苦にならなくなってきました。
駅から微妙に遠いホテルを取ってしまっていたので5時起床です。今日も始発で電車に乗ります。
05:42 八幡浜 発
電車に乗ったはいいんですが、なんかの間違いなんじゃないかってくらい車内が寒い。
明らかに冷房が効きすぎています。というか、電車に乗っているのは僕しかいないのにこんなに冷房を効かせる意味がわからない。いつお腹を壊してしまうか怯えながら「愛ある伊予灘線」とかいう、冗談で提案してみたら、思った以上に感触が良くてトントン拍子に決定となってしまった、としか思えない路線を進みます。
ホテルで体温を測り忘れていたので車内で測ります。この日の体温は「35.9℃」でした。咳や倦怠感もなし。きもち低いのは冷房のせいでしょうか。
06:45 下灘 着 870円(合計:870円)
ここは有名な駅なので知っている人もいるかも知れませんね。
ホーム上から、いっぱいに広がる瀬戸内海を見渡すことができ、そのあまりの美しさから数々のドラマや映画のワンシーンにも使われてきた下灘駅です。
流石に有名な駅ということもあってか、まだ朝早いと言うのに車で見物に来た人々がホームに集まっていました。彼らは電車に乗るわけではなく、単に写真を撮りに来たようです。
そして、そんな彼らを横目に僕はトイレに一目散に駆け込みます。実は結構前から限界きてた。危うく漏らすとこだった。
漏らしていたらその様子をバシャバシャ撮られてインスタとかツイッターに上げられていたんだろうか。妙におしゃれな写真が並ぶなか、突如として僕の脱糞写真が加わることになったんだろうか。怖い怖い。
怯えながらトイレを済ませた僕を、素晴らしい景色が出迎えてくれます。
トイレ中、あまりにながく籠もっている僕を心配してくれたのか、外からおじさんが「大丈夫ですか?」と声をかけてくれました。これが「愛ある伊予灘線」か。確かに愛はあった。
07:35 下灘 発
出発まで時間があったので駅舎を覗いてみたのですが、そこにあった交流ノートには驚かされました。
「ウッフッフ」って。何に笑っているのか分からないし、何冊も集まっているとよけいに怖い。
どうやら下灘駅は相当に人気らしく、一ヶ月に一冊以上のペースでこの「ウッフッフ」を消化しているようでした。どおりでこんなにあるわけか。笑いすぎだろ。
07:57 伊予市 着 乗換(08:01発:4分)
伊予市駅で乗り換えて松山に向かいます。
愛媛は伊予~という駅がめちゃくちゃ多いです。
08:25 松山 着 560円(合計:1430円)
特に何事もなく松山駅に到着。
ここから路面電車に乗り換えて道後温泉に向かいます。
この路面電車、観覧車付きの1日乗車券もあります。JRの駅ナカでも購入できるようなので、松山をガッツリと観光する人は買ってみても良いかも知れませんね。
ちなみに、路面電車とは別に、松山からはJR四国バスの久万高原線が出ており、これも「四国満喫きっぷスペシャル」で乗ることが出来るようになっています。
路面電車に乗り換えるための地下通路でみかけたポスター。
こんなのに安全を任されても困る、断ったらこの人形と同じ顔にされそう。
ちょうど電車が来ていたので乗り込みます。道後温泉までは乗換なしの25分です。
あっという間に到着。
明治時代に建築された駅舎をそのままの外観で復元された駅が、温泉への気分を高めてくれます。
近くにはSL・坊っちゃん列車や坊っちゃんカラクリ時計もあり、レトロな雰囲気を楽しめます。
ここから道後商店街を抜けていった先に道後温泉本館はあります。
折悪しく、現在保存修理工事中とのことで、一部区画(神の湯)のみしか入れませんでしたが、それでも朝からこんな歴史ある温泉に浸かれるのは良いものです。
入湯時に買ったタオルには愛媛らしくみかん石鹸も付いており、旅情溢れています。ふと石鹸の裏を見ると「製造元:大阪」と見えた気がしましたが気分が壊れるので見なかったことにします。それにしてもいいお湯だった。
「神の湯」には、洗い場の一部に源泉跡が残されており、その歴史を感じながら入浴することが出来ました。
今日のお風呂上がりはこれ!
やはり愛媛まできてみかんを放置して帰るのはナシでしょう。みかんジュースを片手に商店街をブラブラします。濃厚でめちゃくちゃ美味しい。
駅の方まで戻ってみると、ちょうど「坊っちゃん列車」が来ていました。
明治時代に活躍した蒸気機関車をモデルに、現在の環境に合わせてリメイクされた坊ちゃん列車。残念ながら僕はタイミングが合わなかったので乗る機会はありませんでしたが、眺めているだけでも楽しいものです。
坊ちゃん列車を見送り、散歩を続けます。
歩いているうちに道後公園の方まで来ていました。
ここには伊予国の守護であった河野氏が居城としていた湯築城があったようです。無料で入れる資料館などもあり、当時の様子を知ることが出来ます。園内は自然も豊かなので、湯上がりに散歩するのにも良いですね。今の時期はちょっと暑すぎますが。
お腹が空いてきたので路面電車に乗り松山の中心地「大街道」へと向かいます。
松山の中心街である大街道には飲食店や土産物屋が揃っています。ここから走って45秒くらいのところに今日のお昼ごはんが待っています。
鯛めしです。
愛媛・宇和島発祥の鯛めしは、伊予水軍や漁師たちが船上でお椀に飯を盛って、そのまま生の鯛をのせて食べたのが始まりと言われています。
宇和島鯛めしは、鯛の刺身をご飯に載せ、その上から卵と出汁を絡めていただきます。これで美味くないわけがない。
調子に乗ってご飯を3回もおかわりしてしまいました。美味い。
大街道には、かの有名な「蛇口からみかんジュース」があったのですが、残念ながらコロナウィルスの影響で中止となっていました。いずれ改めて飲みに来たいものです。
松山駅に戻るにはまだ早かったので大街道商店街をみてまわります。
観光客向けと言うよりは、地元の方向けのお店のほうが多い印象でしたが、
ところどころで、こういう案内があるので街歩き好きな人には向いているかも知れません。ただ、お土産なんかを買ったりするにはやはり道後商店街の方が、店が揃っていると思います。
しかし、観光地然とした場所よりも、地元の人の普段の生活や、知らない街を気ままに見て回る人には大街道の方が向いていると思いました。
街歩きをしていると良い時間になったので、また路面電車に乗って松山駅に戻ります。
???
僕はJR松山駅に向かっていたはずでは???なぜ伊予鉄の松山市駅が目の前に???
自明という他ないのですが、路面電車乗り間違えていました。時間的にもかなりピンチです。
戻りの電車を待とうかとも思いましたが、調べてみると結構ギリギリになってしまいます。というか、この距離なら走ったほうが早い…?
急いで駆け出しました。ちなみに、この松山市駅には路面電車の一日乗車券で乗れる観覧車があります。
どうなることかと思いましたが、わりと余裕を持って10分くらいで松山駅に到着。
自分で思っていた以上に健脚なのかも知れない。このあたりでまた天気が悪くなりだしました。
次の予定に影響がないことを祈りながら電車に乗り込みます。
12:21 松山 発
特急で今治駅へ向かいます。
それにしても松山では予定していた以上の場所をめぐることが出来ました。やはり3日目で身体と頭が旅に慣れてきたのだと実感します。
12:58 今治 着 1500円(合計:2930円)
タオルで有名な街、今治です。特急だと松山から一駅でした。
懸念していた天気も回復し始め、まだ少し怪しいところはあるものの、なんとか持ちこたえてくれそうです。
駅ではバリィさんがお出迎え。
一時のゆるキャラブームってどこにいったんでしょうね。ゆるキャラグランプリとかってまだやってるのかな。(やってた)
話を今治に戻しますが、駅を出てすぐのところにレンタサイクルがあります。
旅を開始してもう3日目、今の所やったことといえば、キレイな景色を見に行くだとか、温泉に入るだとか、受動的なものばかりです。温泉で身体が癒やされ、美味いものを食って気力が充実している今こそ、アクティビティに手を出すのも良いでしょう。
ということで、ここから自転車を借りてしまなみ海道サイクリングと洒落込みます。
対応が丁寧で借りるのに時間がかかってしまいましたがサイクリングスタートです。
聞けば、海までいくのにも結構時間がかかるようなのでピッチを上げてぐんぐん進みます。必死に漕いで、橋の入口まで来たところでタイムオーバーなんて目も当てられないですからね。道中は写真のような青い線がずっと引かれているので迷うことはありません。ただひたすら漕ぐのみです。
道中なんかやけに息苦しいし、疲れるなあと思っていたら、マスクをしたままでした。
真夏の真っ昼間にマスクしたまま自転車で爆走なんて、どう考えても拷問でしかありませんから、周りに人がいないことを確認して外します。何人かすれ違った人は誰もマスクしていませんでした。そりゃそうだ。
なんとか橋の入口まで到着。
淡々と写真を貼っていますが、この時点でもう汗だくですからね。最後の1kmくらいずっと上り坂が続くのがきつすぎた。汗腺がぶっ壊れたんじゃないかってくらい汗が吹き出してきます。
ここまで来るのに30、40分かかると聞いていたのですが、なんとか20分かからず来ることが出来ました。時間に余裕ができたので、海峡を渡ることもできそうです。
更に上って、なんとか橋の上に。ここまで来ると風が心地よいです。
また天気が悪くなりだしたのが気になりましたが、この状態では、その涼しさも気持ちよく、ありがたかった。
最高の景色を眺めながらのサイクリング。
さっきまでの疲れとかもう全部どっか飛んでいったわ。
この景色を眺めながら、海からの風を全身に浴びて橋を渡っていきます。あまりに気分が良く、調子に乗ってどんどんと更に5kmくらい先の大島というところまで進んでいました。
このときの僕はすっかり忘れていたのです。帰りも同じ距離を漕がねばならないということを…。
それにしても海が綺麗です。
ここなんて、橋の上からでも透明度の高さがわかります。
将来は天文学的な金持ちになってこういうプライベートビーチが欲しいですね。
一通り景色も自転車も満喫したので今治駅へと戻りました。
文章で書くとたった一文のことでしかないですが、実際には行きと同じ距離を漕いでいるわけですからね。
僕の汗腺がぶっ壊れて、汗が止まらなくなったのは言うまでもありません。
自転車の返却時に、大島まで行ったと伝えると驚かれたので、やはり結構早めのペースで進めていたんだなと思います。汗腺が壊れたままなので、自転車を返して落ち着いた後も汗が止まりません。足もパンパンです。
電車が来るまでには余裕があったので、手持ちのタオルを駆使して、なんとか汗をすべて拭き取ります。
15:01 今治 発
次に向かう駅は詫間駅という場所で、本来であれば観音寺駅で各駅停車に乗り換える必要があるのですが、自転車の漕ぎすぎでバテバテになっていた僕は、休憩も兼ねて、観音寺も詫間も飛び越えて、一度丸亀駅まで向かってしまうことにしました。そこから折り返す形で詫間駅に向かいます。
これは次の予定までに少し余裕があったことに加え、下手な駅だとまともな冷房もない状態で待たなくてはならないことを懸念したものです。暑い中ベンチに座って待つよりは、快適な特急に乗って休んでいたほうが良いというものでしょう。
普通のきっぷであれば、こういった折り返し乗車は違反になってしまいますが、「四国満喫きっぷスペシャル」の前では関係ありません。
乗る特急にはアンパンマンのラッピングが施されていました。
JR四国のアンパンマン推しはものすごく、すべての県で必ずアンパンマンに出会います。すこし大きめの駅では駅内にアンパンマンにまつわる展示物がなにかしら存在し、駅の案内板にもアンパンマンが出張ってきます。四国はアンパンマンに支配されていると言っても過言ではありません。
そのアンパンマンの支配力の高まりは、旅の終着地・高知で最高潮を迎えます。
16:28 丸亀 着 3990円(合計:6920円)
アンパンマンに囲まれているうちに、電車は丸亀に到着しました。
駅付近を軽く散策し、詫間行きの電車を待ちます。
16:38 丸亀 発
丸亀駅のホームからは丸亀城が見えます。流石にお城まで行く時間はないので、ここから眺めてお城観光気分だけ味わっておきます。
17:05 詫間 着 260円(合計:7180円)
ここからは事前に予約していたシャトルバスに乗って「父母ヶ浜」に向かいます。
なかなかバスこねえなあと思っていたら、どうやらずっと目の前に止まっていたワゴン車がそのバスだったようで、乗り込むときに妙に気まずかった。目の前にバス来てるのに頑なに乗らない変な人みたいになってしまった。
父母ヶ浜到着。
この旅ですでに散々海を見てきた僕が、なぜ改めてこんな時間の海に来たのか。
その答えがこれです。
僕の写真の腕が悪すぎて伝わらないかも知れませんが、ここ父母ヶ浜は、潮だまりが鏡のように反射し美しい光景が現れる、かの有名なウユニ塩湖のようなスポットなのです。インスタ映えってやつですね。
普段は暗い暗い日常を送っている僕でも、旅の時くらいは輝いたって良いでしょう。というか、僕は輝ける瞬間を探すために旅をしているところがあります。僕もインスタ映えしてみたい!
と思っていたのですが、よく考えなくても僕は一人なので自分を被写体にした写真が撮れません。
今気がついたんですが、普通はこういうところって友達と来るもんなんですね。まいったなあ、よく見たら周りは友人同士、カップルで楽しそうに写真を撮っている人たちばかりです。そいやバスに一人で乗ってたのも僕だけだったな。
仕方ないので一人で景色ばっか撮ってました。何しに来たんだっけ?
気がつけば雨がパラつき始めていました。
その光景を哀れんだのか、ひとりのおじさんが近づいてきて僕に何かを手渡してきました。
たぶん地元のガイドさんとかなんでしょうけどなぜ僕にだけ?しかもなんでこんなにボロボロのやつを渡してくるの?
謎は深まるばかりです。
いつの間にか雨は上がり、空には虹がかかっていました。
このあたりで、一人でも楽しけりゃ良いんだ!と吹っ切れて秩父ヶ浜を全力で満喫し始める僕。
一人で写真撮るのも結構楽しいじゃん!そこのカップルどけい!ここはいかに美しい光景が見られるかを競う戦場なんだよ!
……、というかマジでどいてください…。あなた達が飛び跳ねまくるせいで水面が全く安定せず、きれいな反射が起こらないんですよ…。ああ、ちょっと!そっちの人も跳ぶの止めて!
こういうところに来る人達ってなんでこう飛び跳ねるのが好きなんでしょうね。それも皆で。
なんか各々が美しい写真を撮ることを求めて飛び跳ねた結果、常に水面が揺れてしまい、だれもきれいな写真を撮れなかったという寓話になりそうな出来事が起きてました。
帰りのバスに向かって歩いていると、隣をちんちん丸出しの男の子が駆けて行きました。お母さんらしき人が慌てて追いかけています。断片的に聞こえた会話から察するに、男の子はちんちんを反射させようとしていたみたいです。
僕もこれくらい真っ直ぐに生きよう、そんな思いを胸に詫間駅に戻ったのでした。
なんかこのままだと悪口だけみたいになってしまったで補足を。
この日は人が少ないタイミングでも、小雨と風の影響で水面はあまり安定していませんでした。残念。
しかしながら、有名になるだけあって景色はとてもきれいで、別に水面にきれいに反射してなくても沈みゆく夕日や、砂浜に打ち寄せる波を見ているだけでも楽しいものでした。
次は晴れた風のない日に行きたいものです。もちろん写真を撮ってくれる友人と一緒に。
19:48 詫間 発
暗くなってきた中で電車を待っているとアホみたいに蚊に刺された。少なくとも5箇所。
20:09 丸亀 着 260円(合計:7440円)
丸亀再訪です。先程は乗換のために寄りましたが、今回はここで晩ごはんです。
駅からすぐ近くになる骨付鳥のお店「一鶴」へと向かいます。晩ごはん前くらいはゆっくり歩いて移動したかったのですが、また雨がぱらつき始めていたのでダッシュです。2分。
ここ丸亀に本店を構える「一鶴」は香川県丸亀市の名物、骨付鳥のお店です。僕は香川県に来ると必ずここに食べに来ています。
今日はとりめしとひなどりをオーダー。説明するまでもないことですが美味い。
あっという間に食べ終わり、今日の宿がある琴平に向かいます。
21:10 丸亀 発
まだ時間があったので駅周辺を散策していたのですが、酔っぱらいが職務質問を受けていました。こういうのはどこの街も変わらないんだな。
21:32 琴平 着 360円(合計:7800円)
こんぴらさんで有名な琴平に到着。
流石にこの時間から向かっても何も見えないので、明日の朝イチで向かうことにします。
駅は駅舎が綺麗で周辺もライトアップされており、幻想的な空間になっていました。
この日は早く寝られるなあ!とか思っていましたが、緊急の連絡が入ったため、結局寝るのは日付が変わる頃になってしまいました。
受難の日々が続く。
・3日目の出費
路面電車 160*2
道後温泉(タオル代など含む) 870
鯛めし 2200
レンタサイクル 1600
父母ヶ浜シャトルバス 1500
骨付き鳥 1427
ホテル 2828(GoToトラベル利用で1522円引き)
その他(飲食物など) 812
合計 11557
・3日目振り返り
旅は後半戦の舞台、四国へ。
朝イチでお腹を下したときにはどうなるかと思ったが、何事もなく回復してよかった。連日温泉に入っているからか、旅に慣れてきたのか、身体の調子がすこぶる良い。まわろうと思った場所を、ほぼ理想通りにまわれている。
しまなみ海道のサイクリングでは大島まで行けるとは思わなかった。良い景色を見て、良い食事をとっているからか、疲労はほとんどない。父母ヶ浜は一人でも楽しめる場所だった。まあ寂しさは痛感するが…。やはりきっぷが3日分あると余裕が生まれる。
詰め込めるところは詰め込み、ゆったりできるところはゆったりする。四国編はメリハリのある旅にしたい。
4日目
「チェックアウトは何時になさいますか?」
「5時でお願いします。こんぴらさんって6時から入れるんですよね?」
「ただいま感染防止対策実施中のため参拝時間は9時からとなっております」
「え?そうなんですか?じゃあチェックアウトは6時でいいです」
とまあ、こんな感じのやりとりがあり、今日のチェックアウトは6時10分です。ちょっと寝坊した。
しかし、参拝時間が9時からだったとは…。朝に参拝を済ませて一日にはずみをつけるはずが、微妙に予定が狂ってしまいました。7時の電車に乗る予定なので参拝はどうやっても無理です。
仕方がないので、せめて周囲をぶらつくことにします。ぶらつくだけならそんなに時間も取らないはずなので、睡眠時間を長めに確保。ケガの功名というやつですね。
この日の体温は「36.3℃」でした。咳や倦怠感もなし。
こんぴらさんのように有名な神社がある街の朝は早いのかと思っていましたが、ホテルからこんぴらさんへの走って8分くらいの道中において、あまり人を見かけませんでした。
参拝時間が遅くなっているからか、観光客の姿は全くなく、地元の方が数人おられるだけでした。
もう走るのが癖になっているので、あっという間にこんぴらさんの階段下に到着。
どこのお店もまだ開いていませんでしたが、ここまでくると結構人の出入りがあります。
というか、何かがおかしい。なぜみんな階段をのぼっていってるんだ…?参拝時間はまだのはずでは…?
嫌な予感を抱きつつ、ひとまず僕も階段をのぼり始めました。
こんな感じの階段をひたすらのぼっていきます。朝から汗が出てきた。
本来であれば、階段脇に軒を並べるお店が開いていて、買い物したり冷やかしたりしながらのぼっていくのでしょうが、この時間は全く開いていないので、ただひたすらにのぼるばかりです。修行と変わらない。
ある程度のぼったところで大きな門が見えてきました。これはそのまんま「大門」と呼ばれている場所で、ここから先が金刀比羅宮の境内となり、神域として扱われます。よく言われる「こんぴらさん」というのは、この金刀比羅宮の愛称です。
というか、あれ?よく見たらこの門、開いてる…!
参拝時間が9時からと聞き、僕はてっきりこの大門が9時までは閉まっていて入れないのかと勘違いしていたのですが、どうやらそういうことではないようです。
おそらくですが、9時からというのは社務所やそれに類する施設の話で、金刀比羅宮自体は普通に早朝から入れるようになっているのです。
その証拠に、まさに今、上から降りてきましたといった様子のおじさんが僕の横を抜けていきます。
完全にやらかしてしまいました。
当初の予定通り5時にチェックアウトしてそのままこっち来たら良かった。
現在時刻は06:33。ここから降りて駅まで向かうことを考えるとあまり余裕のない時間です。しかしまだ間に合わない程ではありません。残された時間をフルに使い、06:40をリミットとし、いけるところまで行ってみます。
というわけで朝から狂ったようにダッシュ。
優雅に参拝をすませる予定でしたが、優雅さのカケラもありません。まさか朝からこんぴらさんを駆け回るハメになるとは思わなかったな。バチとか当たんないかな…。
神馬がいるというのでテンションをあげて見に行ったのですが、タイミング悪く神馬舎が工事中でした。
肝心の神馬も、近隣の乗馬クラブに預けられているとかで見られませんでした。つくづくツイてない…。
その後も頑張りましたが、なんとか旭社までたどり着いたところで無情にもタイムアップ。駅に向かいます。
これは後に調べてわかったのですが、最初に写真を撮った階段下から、大門までが石段365段、旭社までが石段628段あるそうです。そして目標であった御本宮までは石段785段。あと少しだった…。
御本宮で参拝するのは次回の楽しみにとっておくことにします。
駅までも当然ダッシュです。下っていくだけなので行きよりは楽とはいえ、距離が距離なので悠長に構えている暇はありません。汗がにじみます。
07:00 琴平 発
汗腺がぶっ壊れた。
拭っても拭っても、身体の芯から湧き出るかのように汗が吹き出てきます。
電車に乗ってしばらく経つとようやく収まってくれましたが、こんなことはもう繰り返したくないものです。極力余裕をもった行動を心がけます。
07:54 高松 着 870円(合計:8670円)
ここには乗り換えのために寄ったのですが、時間に余裕があるため、香川では外せない「アレ」を食べに行きます。
香川のソウルフード、自らを「うどん県」と称するほどに愛された名物、うどんです。
高松駅周辺にはうどん屋が揃っており、乗り換え待ちの短い時間でもサッとうどんが楽しめるようになっています。
朝から最高のうどんを食べる。朝から走り回った身体にうどんが染み渡ります。
注文して10秒経たずに出てくるというのも嬉しいポイントですね。
身も蓋もない言い方になってしまいますが、香川で食べるうどんは大抵どこでも美味いので、特に下調べせずとも、気になった店にふらっと入ればうどんが楽しめます。ハシゴするのもありですね。
器を返却しに行ったら調理場の床に婆さんが倒れていて、器を落としそうになるくらい驚いた。
「救急車呼ぶ?店の人は?」と、一瞬で脳がフル回転したのですが、どうやら婆さんは寝ているだけのようでした。そこで寝るな。本当に死体かと思ったわ。
次の電車までまだ余裕があったので駅を散策していたのですが、高松駅はすごい。
駅内にアンパンマンの遊び場がある。改めて、四国はアンパンマンに支配されているのだと実感します。
余談ではありますが、13分で駅出てうどん食って駅に戻ってくる、という一連の流れができるのであれば、琴平を出る電車を07:00ではなく、07:33にすることも可能です。こんな旅を真似するような人はいないと思いますが、一応補足でした。
08:24 高松 発
旅路は東へと進んでいきます。
次に向かう県は徳島ですが、その前に一箇所行っておきたいところがありました。
09:23 池谷 着 乗換(09:40発:17分)
乗り換えをベンチに座って待っておこうと思ったら、座面が鳥のフンだらけで絶望した。
仕方ないので駅周辺を眺めながら待ちます。
池谷駅はけっこうな田舎なので駅の周りにはなにもないのですが、その分きれいな景色が広がっており、大変のどかな空気が漂っていました。
夏。
09:58 鳴門 着 2670円(合計:11340円)
鳴門に到着。
有名な鳴門の渦潮を見に行きます。今回は、渦潮の迫力を間近で楽しむために観光船を予約してきました。
鳴門駅はわりと内陸の方にあり、海まで、特に鳴門海峡までは結構な距離があるのでバスで向かう必要があります。
微妙に遅れてきたバスに乗り込み、観光船の乗り場を目指します。
往路ではバスが目的のバス停にとまらず、復路でのみ目的のバス停にとまるという、初見ではわからない罠に引っかかりつつも、なんとか船着き場まで辿り着くことが出来ました。
降りようと思っていたバス停が普通にスルーされていったときにはびっくりしました。もともとバスが遅れていたので、もう船の時間に間に合わないかと思った。間に合ってよかった。
予約していたチケットを受け取り、船に向かいます。
どうやら僕はそうとうギリギリだったらしく、チケットを受け取ってすぐに乗船が開始されました。
これにのって鳴門海峡まで行きます。
ここまで来て思い出したのですが、僕はめちゃくちゃ船酔いをしやすいのでした。なぜ船から眺めるという選択肢を取ってしまったのでしょう。今更悔やんでも仕方ありませんが、考えずにはいられませんでした。
そんなことを考えているうちに出港。かなりのスピードで船が進みます。
そして船はとうとう大鳴門橋の下にまでやってきたのでした。
目の前では海が荒れ狂い、激しい潮流が発生していました。これが鳴門の渦潮か!
僕の写真の腕が絶望的なのであんまり躍動感がないように見えますが、実際にはあちこちで大きな潮の流れが発生していました。
なんとなく僕は、船の上から優雅に荒れ狂う海を眺めるんだ、くらいの認識でいたのですが、こんな至近距離では当然そんな事はできず、船も渦潮の影響を受けてぐわんぐわん揺れています。というか、酔った。
せっかくこんな所まで来て酔ったとは認めたくなかったのですが、酔ったものはどうしようもありません。多分、船が揺れているのに加え、眺めているものも揺れているように見える渦潮だったことが大きな原因だと思います。
仕方がないので、近くの渦潮の流れを楽しんだ後、遠くに見える淡路島を眺めて気分を落ち着かせる。という目のトレーニングみたいなことをしていました。何しに来たんだいったい。
まあですが、酔ってしまったのもそれだけ潮の流れが凄まじいからなのでしょう。さすがは世界三大潮流のひとつ。「来たはいいけど思ったほど渦潮っぽくなかったな…」となってしまう未来をうっすら想像していた僕にとっては嬉しい誤算でした。まあ酔ったけど。
帰り道、遠ざかっていく大鳴門橋を眺めていると、いつの間にか酔いはなくなっていました。やはり渦潮が凄まじかったのが原因のようです。
陸に戻って少しするとバスがきました。鳴門駅まで戻ります。
帰りのバスもそれが当然であるかのように遅れてきました。これだからバスはいまいち信頼しきれない。やっぱり電車が一番だな。
とか思っていましたが、電車も普通に遅れていましたね。それも旅の初日から3時間以上も。
まあ公共交通機関ってそんなもんなんで割り切るしかないですね。せめてこの旅の残りでは、致命的な遅れは出ないでほしいものですが。
12:03 鳴門 発
ここから先程通ってきた池谷駅まで戻り、そこからルートを徳島に切り替えます。
12:20 池谷 着 乗換(12:23発:3分)
鳴門に行くために乗り換えたときは異なり、車内には高校生らしき姿が目立ちました。
春先に休校になっていた影響で、今の時期でも学校に通う必要があるのかも知れませんね。気になりましたが、ここで声をかけても悪質なナンパ、ヘタをすれば事案にしかならなさそうなので止めときました。それにしても今年の学生は大変だ。
12:44 徳島 着 360円(合計:11700円)
次の汽車までは30分ほど時間があるので、丁度いい時間ですし、ここで昼食をとることにします。
颯爽と改札を飛び出し、目を付けていた店に飛び込みます。30秒で店に到着。
短い時間でも全力で観光するため、移動中の車内では次の駅には何があるのか事前に調べておくことが大切です。
同じラーメンでも、食べるところが異なれば味も変わってきます。
全国各地にあるご当地ラーメンは、それを食べるだけでその地域を気軽に体験できるものだと思っています。
特に意識していたわけでもないのですが、この旅では未だにご当地ラーメンを食べていなかったので、ここ徳島で食べることにしました。
チャーシューの代わりに豚バラ肉が入っており、味は見た目通りの濃い目で、白ごはんを一緒に頼めばよかったと思うほどでした。これはご飯に合いそう。美味い。
あっという間に平らげてしまいました。駅へ戻ります。
まだ時間があったので駅内を散策していたのですが、そこで衝撃的なものが。
アンパンマン列車、どこでも見かけるなあと思っていましたが、ここまでの範囲を網羅しているとは。
四国の路線の8割ほどでアンパンマン列車が通っています。窪川駅から宇和島駅までを通るアンパンマン列車が通れば、アンパンマン列車だけで四国一周が出来てしまうほどです。
というか、よく見ると瀬戸大橋を通って岡山の方まで行ってるんですね。
日本全国でアンパンマン列車が見られるようになる日は近い。
13:17 徳島 発
ここからは各駅停車に長時間乗っての移動となります。本当は特急なんかをガンガン使っていきたいところでしたが、通っていないものは仕方ありません。
車内には殺人的な日差しが差し込み、汽車の中にいるのに日焼けしそうなほどです。冷房が壊れているのか、弱すぎるのか、日差しによりどんどん気温が上昇する汽車での長時間移動に果たして僕は耐えられるのか。
死出の旅の予感に怯えながらも、汽車はどんどん山の方へと入っていきます。
14:52 江口 着 1300円(合計:13000円)
次の目的地は山の中にあるので、一番最寄り駅の江口駅で降ります。
山の中とはいっても、ここから走って10分くらいなので軽いもんです。
景色を眺めながら、しばしのランニング開始です。
この溢れ出る夏休み感。今すぐ虫あみを持って駆け出したくなります。
童心に帰りながら写真右に映る土手を歩いていると、草むらからガサガサという音が。
なにかいるのかな?と思い、覗いてみると、飛び出してきたのは蛇でした。腰が抜けるかと思った。野生の蛇とか見たの何年ぶりだろ。
カモが数匹むれて泳いでいたので写真におさめてやろうと思ったのですが、近づく素振りを少し見せた瞬間に、全羽飛んでいってしまいました。カモの危機察知能力すごすぎ。
飛んでいったものはどうしようもないので、せめて川の写真だけでも撮っておきます。
それにしてもこう穏やかに流れる川を見ていると、あくせく動き回っていることが愚かなことに思えてきますね。自然には自然の流れがあり、それはこの川のように無理なく、一定の速度で過ぎていくものなのでしょう。
今日中にこれを終わらせなきゃだとか、明日はこれを始めなきゃだとか、そんな急いでどこに行くんですか。
もっとのんびりと、無理のない範囲で日々を過ごすことを、一度考えてみても良いんじゃないでしょうか。
そんなことを考えながらぼーっと川を眺めていると、結構良い時間になっていました。ダッシュで目的地に向かいます。
一人で「もう一息!」「あと少し!」と、部活みたいなノリで走っていたせいか、汗腺が完全にぶっ壊れた。
汗だらけになってしまいましたが、なんとか目的地「林下寺」に到着です。とはいえ、「林下寺」と言われてもピンとくる人はそうそういないでしょう。
ここは別名「お花大権現」の名で親しまれています。ここがどういう場所かと言うと、
こういう場所です。やはり旅といえば秘宝館的要素は外せません。
ここ「お花大権現」は西日本随一の性にまつわるスポットとして、性に関するあれこれにご利益があるとされています。そこから、多くの人が男性や女性のシンボルを模したものを奉納するようになり、この光景が生まれました。
どんな光景が見られるのかと、ワクワクしながら林下寺に足を踏み入れると、そこには大きな庭が広がっているだけでした。お堂はありましたが入れそうにないですし、そもそも人が全くいません。いるのは庭の奥で寝そべっている犬くらいなもんです。
「こういうところの犬って繋がれてなかったりするんだよな…。いきなり牙を向いて襲ってこられたらどうしよう…」と勝手に怯えていると、お堂から住職さんらしき人が出てきました。めちゃくちゃラフな格好なので地元のおっさんとかかな?とも思いましたが、慣れた様子で境内を案内し始めてくれたので多分住職さんだったのでしょう。
ちなみに犬はちゃんと繋がれていました。暑いので木陰で休んでいるようでした。
住職に案内されるままに、ついていくと早速すさまじい光景が。右の壁にもち〇ぽ、左の壁にもち〇ぽ、もちろん中央にもち〇ぽ、いったいここだけで何本のち〇ぽがあるのでしょうか。これが全て奉納されたものだと言うから驚きです。
ここでは、おまいりの手順を教えていただきました。
- 世界平和を祈る
- 「南無、お花大権現」と唱える
- 自分のお願いをする
自分のお願いフェーズでは、ここには到底かけない、溢れんばかりの欲望をごっそりとお願いしておきました。これからの人生が楽しみです。
これまで散々、一人旅であることをアピールしてきましたが、明日にはしれっと二人でイチャつきながら旅をする記録に変わってたりするかもしれません。星の話とかもしてるかもしれない。
普段は賽銭を5円くらいしか投げない僕でしたが、ここでは奮発して100円投げておきました。
いっぱいお願いしたからと言うのもありますが、横で住職さんが見ていたから見栄を張ってしまったというのもあります。僕は小さい男です。
おまいりが終わると、住職さんがなぜかせんべいをくれました。後で食べると良いとのことでした。
次は宝物殿を案内してくれるそうです。
そして着いたのがこの場所。もう部屋いっぱいに多種多様なち〇ぽが広がっています。
こっちにち〇ぽ。
あっちにもち〇ぽ。
小学生とか大喜びするでしょ。
秘宝館でもここまで極端にち〇ぽに囲まれた空間というのはないんじゃないでしょうか。圧巻の一言です。当然、これらも全て奉納されたものです。どうやらここに収められているのは日本からのものだけでなく、世界中から収められているとのことでした。
お寺の中でガンガン写真を撮っていますが、もちろん住職さんには許可を頂いています。というかむしろバンバン撮ってくれ、インターネットにもガンガン載せてくれ。とのことでした。
有名になっていっぱい人が来てくれると嬉しいそうです。みなさんぜひ行ってみてください。
そんな調子で住職さんがガイドのようにあれこれ謂れなんかを説明してくれていたのですが、話しているうちにどんどん話が脱線していき、そのうち孫が何人いるとかの話に。
久しぶりだな…、この感覚。
人はガイドを始めると、関係ない話をしてしまうものなのだろうか…。と、思いを馳せていると、いつの間にやら話のテーマは「安楽死の是非」に変わっていました。さっきまでち〇ぽの話してなかったっけ?
ですが、こういった地元の人の話を聞くのも旅の楽しみの一つです。
最初にお堂だと思っていた建物は、実は校舎跡を再利用したものだったとか、徳島には電車は走っておらず、全て汽車であるだとか。特に後者には驚かされました。
徳島は日本で唯一、鉄道が全く電化されておらず、走っているものは全て汽車なのです。徳島県民に「電車に乗ってきた」って言うと、「汽車ね」って突っ込まれるそう。インターネットに書いていました。
でもまあこれはガチです。なぜなら全く同じやりとりを住職さんとしたからです。
「どうやって来たのー?」
「電車に乗って江口駅まで。そこから歩いてきました」
「ああ、汽車ね」
嘘がはびこるネットにも真実はあります。
住職さんの話を聞いているうちに良い時間になったので駅へ。
喉が乾いたので自販機で飲み物を買おうと思ったのですが、小銭がなくて買えませんでした。
見栄はって100円投げなければ買えたのにな…。
仕方ないのでおまいりの際に住職さんから貰ったせんべいを食べて汽車を待ちます。
16:20 江口 発
このあたりでまた天候が悪くなってきました。
ツイているんだか、いないんだか、この旅では徒歩での移動中に雨に振られることはほぼありませんでしたが、電車での移動時に悪天候に見舞われ、何かしらに影響することが多いです。
今日はちょっと良い宿を予約しているので、駅からの送迎があります。しかし、その送迎を受けるためには18時までに「大歩危」駅に行かねばなりません。このまま何事もなく進んでくれると良いのですが…。
16:49 阿波池田 着(6分遅れ) 乗換(16:54発(10分遅れ))
もう当然のように遅れて到着。
しかし、乗り換え先の汽車もそれに合わせてか、遅れているようです。なんとか乗り込み、出発を待ちます。
17:28 小歩危 着(24分遅れ) 670円(合計:13670円)
降りるお客さんばかりで新たに乗ってくる人が全くいません。いつの間にか車内は僕ともう一人だけになっていました。
雨の影響で汽車は遅れに遅れ、「大歩危」駅の一つ前の駅、「小歩危」駅についた時点で24分も遅延していました。しかしまだ17時半。なんとか間に合いそうです。
しかし小歩危駅での停車時間がやけに長い。乗り降りする客もいないっていうのも全く進み出す気配がありません。嫌な予感が胸をよぎります。
「えー、ただいま小歩危-大歩危間で発生しました信号機故障により、小歩危駅でしばらく停車します。運転再開時刻は不明です」
え、なにそれ…?あと一駅ってとこでそんなことある?
目の前に、車掌さんがいたので話を聞いてみたのですが、どうやら雷による信号機の故障とのことでした。そんなピンポイントで雷が…?
しかも今から、僕たちが30分前に出た阿波池田駅からここまで技師を派遣し、それから調査・対応にあたるとのこと。1時間やそこらで終わるとは到底思えません。
こうなったらいっそ歩くか…?山の中の駅とはいえ、隣に舗装された道路は走っているし、一駅くらいなら歩けるんじゃないか…?
そう思って調べてみたのですが、絶対無理。6.4kmもある。18時までに行けるはずがない。
素直にホテルに連絡して、なんとか小歩危駅まで送迎お願いできないか頼んでみることにしました。
ホテルの人は、そういう事情なら…。とあっさり了承してくれました。本当にありがたい。
初日の豪雨による電車の遅れは甘んじて受けてしまいましたが、そうなんども無策でひたすら待つようなことはしません。うまく初日の経験を活かすことが出来ました。これぞ成長です。
それにしても小歩危駅の駅舎にはなにもない。改札はもちろん、券売機もない。空調も自販機もない。トドメとばかりにトイレもない。こんな駅で足止め食らうのって大変すぎるな、と僕は車内にもう一人残っていたお客さんが心配になりました。
彼はここで汽車が復旧するまで何時間も足止めを食らってしまうのでしょうか。僕はなんとかなりますが、彼は大歩危までの6.4kmをどうするのでしょうか。タクシー呼ぶにしてもこんな山奥、来るのにどれだけかかるんだろう。
ホテルの人に頼んで、「大歩危まで一緒に乗っていきますか」とか聞いてあげた方が良いのだろうか。
そんなある種の優越感と罪悪感を感じていると、駅舎に近づいてくる影が見えました。ホテルの人がやってきたのでしょう。
「あー、おまたせしました」
「いえいえ、すみません、こんなとこまで送迎来ていただいて…」
「?JRの方はどちらですか?」
「?車掌さんなら汽車に乗ってますけど…」
イマイチ話が見えてきません。
しかし、彼と車掌さんとのやり取りを見ているうちにだんだんと事態が飲み込めてきました。
どうやら新しく来た彼は、車掌さんが用意してくれたタクシーの運転手のようです。その証拠に、車掌さんとのやりとりを終えた彼は、車内に一人残っていたお客さんと一緒に車へと戻っていきました。大歩危駅まで行くそうです。
僕も乗っていくか聞かれましたが、僕はもうホテルの人に送迎をお願いしてしまったので動けません…。
初日の経験を活かすことが出来たと、優越感に浸っていた僕はとんだピエロでした。
まさか僕のほうが一緒に乗っていくか聞かれる立場だったなんて。
ヘタに動かず待機していた方が正しかったってなにそれ…。
なにもない駅舎でしばらく待っていると、ホテルの人が来てくれました。
すみません…、本当はここまで来ていただかなくても何とかなってました…。僕の不徳の致すところです…。
流石にここまで迎えに来てくれた方には申し訳なさすぎて言えないので、心のなかで侘びておきました。
これまではビジネスホテルに素泊まりで泊まっていましたが、今日だけは一味違います。夕食・朝食・温泉付きの、普段の一人旅ならちょっと躊躇してしまうようなお値段のホテルです。
なぜ今日に限って良いホテルにしたのか。それには主に2つの理由があります。
まずひとつは、祖谷渓の観光に都合が良かったからです。
日本三大秘境のひとつである祖谷渓は、汽車が通っておらず、大歩危駅からバスに乗り換えて移動する必要があります。しかしこのバスの本数が極端に少なく、移動に制限がかなり掛かってしまいます。
その点、送迎付きのホテルに泊まれば時間の融通がある程度効き、さらにホテル主催のツアーに参加すれば観光も楽しむことが出来ます。そう、今日の宿泊プランはツアー付きなのです。
このように、使える手段を多角的に検討すると、旅の行動範囲が広がります。
もうひとつは、「Go To トラベル」の存在です。
賛否両論、やや否の方が多い気がするGoToトラベルですが、うまく使えばこんなにお得なキャンペーンそうそうありません。例えばこれは、この宿泊の料金内訳です。
本来であれば、23650円のところ、GoToトラベル利用で35%の8277円引きとなっています。さらに祖谷渓のある三好市では、自治体が独自に宿泊者に向けたクーポンを発行しており、それにより3500円も引かれています。
それにより、支払い合計金額は約半額の11873円となりました。
この値段で豪華な夕食・朝食、祖谷温泉に加えて、観光ツアーまで付いて来るというのですから破格という他ありません。あ、ホテルまでの送迎も付いていましたね。
さらに、実際に宿泊すると三好市の対象店舗で使えるお買い物券が1000円分もらえます。いたれりつくせりです。
開始時期が悪かった。ということを除けば、「Go To トラベル」キャンペーンは、間違いなく旅行者にとって最良のキャンペーンです。各自治体における宿泊クーポンの発行などの情報にも目を凝らしておきましょう。さらに得することが出来ます。
ツアー参加時間の関係で、ホテル到着後すぐに夕食となりました。
めちゃくちゃ豪華。
なんか食前酒として山桃のワインとか出てくるし。
写真に写っているものだけでなく、次から次へと料理が運ばれてきます。当然、全部美味しい。
ここで僕は、この旅ではじめてお酒を解禁しました。
くぅぁー。美味い。
朝から晩までガッツリ移動&観光の旅を続けるためには、何よりも体調が重要となります。そのため、どんなにお酒が合いそうな料理を食べるときでも、これまでは固く飲まないようにしていたのですが、今日はもうゆっくりするだけなので、ここで禁を解くことに。
まああと僕は飲むと前後不覚に陥りがちなので、調子に乗ってバーサーカーにならないためにも、飲まないようにしていたというのもあります。
過去にスペインへ行った際に、地元のお祭りに参加して目覚めると何故か病院で点滴を打たれていた、という衝撃的すぎる経験をしてから一人旅でのお酒を控えています。
名物、祖谷そばも出てきました。
今日一日でうどん、ラーメン、そばの名物をコンプリートです。
麺類ばっか食ってるなあ…。とも思いましたが、全部美味しいので気にしないことにしました。
食後は一旦部屋に戻り、それから楽しみにしていたツアーへ出発です。
ホテルから出るバスに乗り込み、夜の祖谷を進んでいきます。
シラクチカズラで作られた祖谷のかずら橋。
ライトアップされている美しいかずら橋を楽しみながら、下を流れる祖谷川の音を聞いていると、なんとも幻想的な時間を過ごすことが出来ます。
残念ながら夜間は渡ることが出来ないようになっていますが、橋のたもとまでは行くことが出来るので、その雰囲気は楽しむことが出来ます。これ渡ろうとすると結構揺れるだろうし、そこそこ高さもあるから怖いだろうなあ。
写真に撮ってみると、ホラー映画の始まりみたいな、また別の怖さになってしまいました。
かずら橋から少し下ったところには琵琶の滝があり、こちらもライトアップされていました。
夜に見る滝は不思議な感じで、ぼーっと眺めているだけでも不思議と飽きが来ません。
最後に祖谷の星空を楽しんで、このツアーは終わりです。
また星座と神話の話でもしてやろうかと思いましたが、そういえば僕は一人なので聞かせる相手がいないのでした。さすがのお花大権現も、こんなにすぐには効果があらわれないようです。
周囲はカップルや家族連ればかりです。
なんだか妙に寂しいような気もしましたが、夜空を眺めているうちにだんだんそれもどうでも良くなってきました。
そうだ、僕は一人だ。でもそれが何だって言うんだ。宇宙の大きさの前ではどうでもいい、ちっぽけなことじゃないか。そもそも死ぬときは誰だって一人なんだ。
とヒネた中学生のようことを考えていると、いつの間にか天体観測の時間が終わっていました。何しに来たんだっけ?
ホテルに戻り、楽しみにしていた温泉に直行します。
タイミングが良かったのか、そもそも人があまりいなかったのか、露天風呂が貸切状態でした。温泉に浸かりながら眺める満天の星空は、贅沢そのもので、僕はこの忙しない旅の中を振り返りながら、ゆったりとした時間を過ごすことが出来たのでした。
・4日目の出費
うどん 210
バス 320*2
鳴門海峡観光 2400
徳島ラーメン 550
お花大権現 200
ホテル 11873(GoToトラベル・三好市トラベルキャンペーン利用で11777円引き)
その他(飲食物など) 2064
合計 17937
・4日目振り返り
こんぴらさんで御本宮まで行けなかったのは残念だった。事前の調査は大事だが、あまり徹底しすぎると実際に行ったときの感動が薄れるので、そのさじ加減が難しい。ただ、特に今は時間を短縮して営業している所も多いので、それくらいはしっかり調べるべきだった。
鳴門の渦潮は圧巻の迫力だった。あまりに迫力がありすぎて酔ってしまったので、今度はもっと落ち着いた場所から眺めるようにしたい。
お花大権現では、たくさんのち〇ぽに囲まれながら、住職からいろいろな話を聞くという、奇妙な体験が出来た。地元の方から話を聞くのは面白い。
祖谷に向かう際には、初日の悪夢が頭をよぎったが、結果的にあまりロスすることなくたどり着けてよかった。ハプニングに慣れたつもりでいると、また別の方向からハプニングに見舞われることもある。それを楽しめるかどうかが、旅の良し悪しを決めるのだと思う。
5日目
旅の最終日の朝は、山霧に囲まれた景色を眺めながら始まります。
朝食の前に朝風呂で身を清めにいくと、またしてもタイミングが良かったのか、昨夜に引き続いて露天風呂独り占めでした。最終日は幸先良いスタートです。
しっかりと朝食をとり、チェックアウト。
9時以降であれば駅までの送迎を受けられたのですが、9時前の電車に乗りたかったため、送迎は受けず、バスで駅まで向かいます。
この日の体温は「36.0℃」でした。咳や倦怠感もなし。
バスはホテルの前まで来てくれました。楽でいいですね。
朝から動く人は少ないのか、バス内には地元の方らしき爺さん婆さんが4、5人乗っているだけでした。
バスは秘境と呼ばれるにふさわしい山道を進んでいきます。昨夜送ってもらった時はもう暗くなっていて気が付かなかったのですが、なかなかな絶景です。
バス内に目を戻すと、まさかのキャッシュレス対応の案内が。
田舎だからって舐めてた。ここまで多種の支払いに対応しているバスって都市部でも少ないんじゃなかろうか。
せっかくなので、スピーディにキャッシュレスで支払って、爺さん婆さんに時代の流れってやつを教えてやろうと思っていたのですが、いざ支払いの段階になると通信がうまくいかないとかで全然決済ができません。
そんな僕を横目に颯爽と現金で支払って降りていく爺さん婆さん。結局通信環境が回復することもなく、僕も現金で支払ってました。全然スピーディじゃなかった。
そんなアクシデントがあったものの、とりあえず大歩危駅に到着。
汽車が来るまではまだ時間があったので、周囲を散策します。駅周囲を含めても何もなかった小歩危駅に比べ、大歩危駅は周囲に店が多く、駅内には券売機だってありました。
近くに架かっている橋からは吉野川が一望できます。
泳いだら気持ちいいだろうなと思いながら川を眺めていると、汽車の時間が近づいてきました。
駅へと戻ります。
駅のホームにはかずら橋を模したオブジェが。
なかなか良くできています。
08:49 大歩危 発
昨日の雷雨の影響はもう残っておらず、時間通りの出発です。
ここから高知まで向かうことになりますが、基本的に線路は川に沿って敷かれているため、川の流れを楽しみながら進むことが出来ます。ここなんかは橋が架かっていた跡でしょうか。
飛び込めそうなスポットや川の流れが早くなっているところなんかを見ていると、いつの間にか高知に到着していました。
09:39 高知 着 2500円(合計:16170円)
高知駅はもう、すごかった。
何がすごいかって、アンパンマンですよ。アンパンマン。
四国の大きい駅はどこもアンパンマンを推していましたが、やなせたかし先生の出身県である高知は特にすごい。もはやアンパンマンの資料館に駅の機能をくっつけたんじゃないの?ってレベルでアンパンマンにまみれていました。
まずは階段がこれ。アンパンマン。
階段をのぼるとこれ。アンパンマン。
すぐ横にはこれ。アンパンマン。
トドメとばかりにこれ。でっかいアンパンマンがこちらを見守っています。
ちっちゃい子なんかは電車に乗るの嫌がるんじゃないかな。だってこんな楽しそうな駅、絶対居着こうとすると思う。僕がちっちゃい子ならそうする。
残念ながら僕はもう大きくなってしまったので、次の予定に向けてここを離れてしまいますが、この場に漂う楽しそうな雰囲気は、なんとなくここを離れることを名残惜しくさせるものでした。
とはいえ、他の場所も観光したいので、駅から出て路面電車で街中へ出掛けます。
数駅先の「はりまや橋」で降り、街中を散策しながら高知城を目指します。
駅を降りると、すぐに彼と出会いました。
脈絡なく突然このサイズのアンパンマン像があらわれますからね。すごい街ですよ、高知って。
そのまましばらく歩いていると、ちょっとした広場が。普段はここで何か催し物があったり、住民憩いの場所になっているのかも知れません。
ここにも彼の気配が漂います。
なんか縮尺おかしくない…?文字通り、頭一つ抜けてる。
やっぱりアンパンマンでした。高知はどれだけアンパンマンが好きなんだ。
僕はてっきり、高知の大きい公園や有名な場所にある像は、坂本龍馬とかそういう、歴史上の偉人たちだろうと思っていたのですが、どうやらそうではないようです。アンパンマン像多すぎ。
隣にはちゃっかりバイキンマンもいました。
街歩きも兼ねて、ここから更に10分ほどあるくと高知城が見えてきました。
追手門から入っていきます。
敷地内をみまわりつつ、上へ上へと高知城までのぼっていきます。
もしかしたら高知城にもアンパンマンがいたりするんだろうか…。天守閣のシャチホコの代わりにアンパンマンが刺さっていたらどうしよう…。と半ば怯えながら探してみましたが、さすがに高知城にはアンパンマンはいないようでした。
人間とは勝手なもので、いなかったらいなかったで寂しいもんですね。
順調にのぼり切り、高知城に到着。
最後の方はダッシュで移動していたため、汗がすごいことになっています。
そんなときにはやはりこれでしょう。
高知名物のアイスクリン。熱くなった身体を冷やしてくれる一撃です。
さっそく注文し、おばちゃんによそってもらいました。
こいつを食べながら高知城を眺めていると、高知に来たんだと実感しますね。
ゆっくり食べるつもりでしたが、気がつけば一瞬で食い終わっていました。まあいい時間になっていたので、次の目的地に向かいます。今回は街中をぶらぶらしたかったので、お城の中に入ることはしませんでしたが、高知駅到着後、真っ先にこちらに向かっていれば中に入る時間もあると思います。
高知城天守閣から10分程のところにある「ひろめ市場」は屋内型の市場で、なかには飲食店や土産物店が複数軒を連ねています。
少し早いですが、ここで昼食をとることにします。
高知に来たからには食べないといけないでしょう。カツオのたたきです。
正直、そこまで期待もなく、「まあせっかく高知まで来たし、食べておこうかな?」くらいの気持ちで食べたのですが、度肝を抜かれました。高知に来たら絶対にカツオのたたきを食べるべき。
なんというか今までに食べた「カツオのたたき」って、「カツオのたたきみたいな何か」だったんだなと思ってしまうくらいに本場のたたきは違った。美味すぎる。
この美味さを伝える術を持たないことが悔しい。文字では伝わらない美味さ。伝えるって本当に難しいです。
ちなみに、僕は「明神丸」というお店で、このたたきをいただいたのですが、結構な人気店らしく、11時のオープン前にすでに20組くらいの行列が出来ていました。いくつもりなら早めに行ったほうが良いですよ。
僕は次の予定に差し支えるといけないので、先頭で開店待ちしていました。5分前くらいから、お店の周囲にチラホラ人が集まりだすので、そういう雰囲気を感じたらまっさきに並んでおきましょう。貴重な旅の時間を待ち時間で減らすのはもったいないです。
ここでの、11時「明神丸」オープン、たたきを食す、駅まで戻る、11時39分の電車に乗る。の流れは、この5日間の旅の中でも最もタイトなところです。
特に、駅まで戻るのが一番きついところで、バスや路面電車を使っている暇はありません。駅まで直接ダッシュで向かうか、事前にタクシーを手配しておくのが現実的なところかと思います。
僕はまあなんとかなるだろうと思っていたので、ダッシュで駅まで戻りました。8分。
ひとつ、こういう市街をダッシュで移動するときのコツを伝授しておきますと、「赤信号を見たら走れ」というのがあります。これは、信号が赤のうちに出来る限り近づいておき、次に青になったときに確実に渡れるようにするためです。信号待ちの時間ほど無意味なものはないですからね。
青信号を見かけたらどうするかって?そんなもん、赤になる前に渡るために全力ダッシュに決まっているでしょ。
走って駅まで戻った僕を、武市半平太、坂本龍馬、中岡慎太郎の3人が迎えてくれます。
高知ではじめてアンパンマン以外の像を見た気がする。
アイスクリンのおかげで抑えられていた汗は、この8分間で完全に暴走し、またしても汗腺がぶっ壊れてしまいました。しかも、無理やり抑え込んでいた分も溢れ出したのか、過去最高レベルで汗が吹き出てきます。
拭っても拭っても未だ吹き出る汗を、それでもなんとか拭いながら、僕は駅へと入っていきました。
ちょうどアンパンマン列車が来ていました。
高知での記憶は最初から最後までアンパンマンだらけです。
11:39 高知 発
中村行きの特急に乗り込み、途中の窪川で降ります。
高知は海も川もきれいなのですが、残念ながら今回の旅では海に行く時間を確保できませんでした。
ですが、須崎駅のあたりで、車窓からそのきれいな海を楽しむことが出来ます。
12:47 窪川 着 2670円(合計:18840円)
ここ、窪川駅の近くには、四国八十八ヶ所の三七番「岩本寺」があります。次の電車が来るまでは30分ほどあるので、サクッと参拝していくことに。
この旅で行ったお寺というと、お花大権現くらいだったので、八十八ヶ所に選ばれるようなお寺に来ると、なんだか緊張します。
ちょうどお遍路さんらしき方もいらしていたので、邪魔にならないよう、ひっそりとお参りを済ませました。
駅に戻ります。
窪川駅から電車に乗る前に、土佐大正駅から江川崎駅までの指定席券を購入しました。
特急にも乗り放題な「四国満喫きっぷスペシャル」ではありますが、指定席だけは別途料金を支払う必要があります。しかし、この区間だけは別料金を払っても指定席に座る価値があるのです。
13:21 窪川 発
電車は時刻通りに出発し、四万十川と並行して進んでいきます。
途中、どこからか車内に迷い込んだバッタが肩に飛んでくるというハプニングもありましたが、電車は土佐大正に到着しました。
ここから指定車両が開放されます。
その指定車両が「しまんトロッコ」と呼ばれるこちらのものです。
これまで乗っていた普通車両の後ろにトロッコが一両連結されており、土佐大正-江川崎間では、このトロッコから四万十川の流れを楽しむことが出来るようになっています。
しまんトロッコは運転日が限られており、その限られた運転日も一日一往復しか走っていないため、乗るつもりがあるなら、ある程度スケジュールを調整する必要があります。事前予約の受付もしているので、確実に乗りたい場合は予約をするようにしておきましょう。僕も予約しておきました。
しまんトロッコの乗車区間は線路のすぐ横を四万十川が流れており、常にその美しさを感じることが出来ます。
トロッコは何度か橋を渡りながら、川が右にあらわれたり、左にあらわれたりするので、どちらからでも四万十川を堪能できるようになっています。
窓が一枚ないだけで随分と眺めが違ってくるものです。ここまで景色に対する解像度が違って見えるものなのか。
トロッコ内には空調設備がなく、日差しも降り注いできますが、吹き込む風のおかげでそれほど暑くはありません。トンネル内を通るときなんかはすこし肌寒いくらいです。
四国に来てから見た川や海はどこも綺麗ではありましたが、その中でも四万十川は群を抜いて綺麗です。
「日本最後の清流」と呼ばれるだけのことはあります。橋の上から川を眺めると川底が見えるって、綺麗すぎでしょ。このままトロッコから飛び込みたい。
ぼーっと川を眺めていると、時々、地元の子供たちが遊んでいる姿に出くわすことがあります。こんなきれいな川で遊べるって贅沢すぎ。僕も混ぜてほしい。
当然、子供たちだけでなく、大人も四万十川に集ってきています。
これは鮎釣りでしょうか。こんな場所で、自分で釣った鮎を食べたりするのは最高だろうな。
四万十川には欄干のない低い橋が架かっていることがあります。写真右手に写っている橋がそうです。
分かりにくかったので、普通車両に戻ってから撮った写真を使って説明しますが、こういう橋のことです。
これは沈下橋と呼ばれるもので、増水時には水に沈み、水が引けば再び橋として利用できるようになっています。沈んだ際に水の抵抗を小さくするため、欄干が設けられていません。
自分の生活圏にないものを見ると、その土地の文化や歴史が自然と感じられて楽しいですね。
場所によって微妙な変化を見せる四万十川の表情を楽しんでいると、いつの間にかトロッコ区間の終着駅である江川崎駅に到着していました。あっという間の50分です。
江川崎からはカヌー遊覧船が出ており、四万十川の清流をより間近で感じることが出来るのですが、残念ながらお一人様は受け付けていないとのことで乗ることが出来ませんでした。
一人旅には自由がありますが、こういったところで制限を受けることがあるのは辛いとこです。
今までならばここで呪詛の言葉の一つでもひり出していたところでしょうが、5日間の旅で鍛え上げられ、四万十の清流で心が洗われた僕は、もう一人であることをなんとも思っていませんでした。
いいじゃないか、一人旅。
ぼくにはぼくの、あなたにはあなたの旅の楽しみ方がある。
僕はこの5日間、とても楽しかった。それで良いじゃないか。
怪しい自己啓発セミナーみたいになってしまいましたが、このまま終点、宇和島まで向かいます。
江川崎駅を出ても、しばらくは四万十川を眺められるようになっているので、まだまだ景色を楽しむことが出来ました。
15:57 宇和島 着 乗換(16:02発:5分)
気付けば高知県を出て、愛媛県まで戻ってきていました。
この勢いのまま、旅の終着点へと向かいます。
一昨日見た駅名を見かけると、「ああ…、一周してきたんだなあ」と実感します。
旅の終着点へと向かう電車は、これまでにも散々見て、乗ってきたアンパンマン列車でした。
なんだか感慨深いものがあります。
そして列車が宇和島駅を出て31分後、
16:33 八幡浜 到着です。
これで愛媛、香川、徳島、高知と、四国全県を制覇した形となります。
とはいえ、もう八幡浜駅には用はないので、このまま松山駅まで向かうことにします。
17:26 松山 着 4640円(合計:23480円)
もうここからは帰るためのルート選びをどうするかという話しかないのですが、せっかく「四国満喫きっぷスペシャル」を持っているのですから、こいつを骨の髄までしゃぶり尽くしてやろうと思います。
ということで、ここから岡山行きの電車に乗り込みます。
松山を離れる前に、サクッとお土産を購入しておきました。
僕はゼリーが好きなので、売店で一目惚れして買ったのですが、これがまためちゃくちゃ美味い。
お土産として買ったはずが、気がつけば帰りの車内で2本が空になっていました。お土産とはいったい…?
17:37 松山 発
完全に帰る気持ちに切り替わってしまっていたので、ここからはもう写真がないのですが、最後に「四国満喫きっぷスペシャル」の有効範囲についてお伝えしておきます。
このきっぷ、「四国満喫」と付いてはいますが、実は四国だけでなく、瀬戸大橋を渡って、岡山県の児島駅まで行くことが可能です。さらにそこから乗り越し運賃を支払うことで、児島から先にも行けるようになっています。
「みんなの九州きっぷ」も九州を出て、山口県の下関駅まで行けるようになっていたように、そのエリアから少し出たところまで行けるようになっているというのは、なんだか得した気分になれます。
19:52 児島 着 5870円(合計:29350円)
児島駅に到着しましたが、ここでは降りません。
乗り越し運賃を支払い、岡山駅まで進みます。
この通りに進むと、20時過ぎに岡山駅に到着するようになっています。
この時間であれば、大阪まではもちろんのこと、東京までであっても新幹線でその日のうちに帰れます。
時間に余裕があれば、岡山を少し観光していくのも良いでしょう。
僕もここから新幹線に乗り、5日間に渡る怒涛の旅を終えたのでした。
・5日目の出費
バス 450
路面電車 200
カツオのたたき 1570
しまんトロッコ 540
お土産 1814
その他(飲食物など) 360
合計 4934
・5日目振り返り
最終日だしゆったりまわろうと決めていたはずなのに、気がつけば走ってばかりだった。
大歩危で見た吉野川、しまんトロッコで見た四万十川、どちらも澄んでいてとても綺麗だった。特に高知は川も海もきれいで良い。次回は海を中心に楽しみたい。
カツオのたたきは信じられないほど美味しかった。
それにしても四国、特に高知はアンパンマンに溢れていた。だれか四国全土に存在するアンパンマンの数を数えてみてほしい。一生の仕事になると思う。
四国編 総括
・九州に比べると、やはり4県で3日間というのは大きい。一つの県あたりで回れる箇所が多く、より密接にその県のことを知ることが出来た。
・新幹線がないことがどの程度影響するか不安だったが、ほとんど気にならないレベルだった。3日間あれば十分に回れる。
・九州編での反省点を活かし、不測の事態が発生した際には迅速に対応することが出来た。が、まさかのそれが裏目に。これだから旅は難しい。
・四国はアンパンマンに支配されている。そのうち四国の全駅にアンパンマン像が置かれる日が来るであろう。
おわりに
5日間の出費の合計は
1日目:10891円
2日目:13139円
3日目:11557円
4日目:17937円
5日目:4934円
ということで、合計58458円でした。
これに「みんなの九州きっぷ」「四国満喫きっぷスペシャル」の代金を足して、76458円となります。
一方で、得した金額は、
みんなの九州きっぷ:21110円
みんなの九州きっぷクーポン:1600円
四国満喫きっぷスペシャル:21350円
Go To トラベル:16949円
で、合計61009円の得でした。とんでもない額です。
自粛ムードが漂う昨今ではありますが、今だからこそ出来る、今しか出来ない旅があります。
それは少し気になっていた、行きたいと思っていた場所に、片っ端からアクセスでき、金銭的にもお得であるという、大変に魅力的な旅です。
もちろん、だからといって何も考えずに行けばよいというものではありません。感染症対策は万全にする必要があります。観光庁から出ている「新しい旅のエチケット」も守るべきでしょう。
マスク着用で、定期的に自分の持ち物は除菌シートやアルコールスプレーによって消毒する。体温を測り、体調に異常があれば即座に旅を中止する。
そんなにあれこれ気にしなけりゃならない旅が楽しいのか?という意見もあるかもしれませんが、僕のように一人で黙々と観光地を巡り、黙って飯を食うだけでも楽しいタイプの人はいます。そういう人にとっては、多少の手間が増えるにしても、この各種乗り放題きっぷとGo To トラベルを駆使した旅は理想的なものに映ることでしょう。
しかし、まだまだ大勢の人にとって旅行は自粛すべきものと考えられているようです。
大手旅行会社の旅行取扱状況が前年比99%減、というニュースも少し前に話題になりました。
そんな今だからこそ、僕のように一人旅をするような人が、観光地にお金を落としていきたいとも考えます。
僕はわりとオタク気質なので、すぐに「自分が支えてやらなきゃ」という絶望的なまでに思い上がった勘違いをしてしまうのですが、今の状況ではこれが正解なんじゃないかなーと思っています。
旅の途中、コロナの影響で時短営業に切り替えているところや、一時営業を中止しているところを何箇所も見かけました。ガイドのおじさんは人が来ないと嘆いていました。
コロナの影響がなくなってから観光を、が理想ではあると理解はしていますが、それでは耐えきれないところもあるのです。コロナの影響がなくなるころには、すっかり寂れてしまった観光地もあるかもしれません。今度見に行こうと思っていた場所が、いつまでもそこにあるとは限らないのです。
そして、そういった「見に行こうと思っていた場所」を見て回るのに、「みんなの九州きっぷ」や「四国満喫きっぷスペシャル」のような乗り放題きっぷは、ものすごい威力を発揮します。
このきっぷやGo To トラベルの利用による得は、上にも書いたようにかなりの金額になります。その分のお金を観光地にガンガン還元していけばよいのです。
僕が出せる額なんかはたかが知れていますが、そうやって僅かでも観光地がうるおい、このコロナ禍が終わって、また大勢の人が押し寄せるようになるまで耐えて貰う一助となれば、そう思うのです。
今回の旅では、もともと得した以上の金額を使ってこようと、心のなかで決めていました。それを果たすことが出来てよかったと思います。
まだしばらくはコロナ禍が続きそうですが、また大勢で楽しい旅行が出来る日が来てほしいものです。
まあその状況でも、僕は一人なんですけどね。