真冬の北海道全駅制覇。クリスマスから始まった6日間の記録_PR

北海道の全駅制覇にライター・patoが挑戦。廃線・廃駅・運休路線を含めた道内の「駅メモ!」対象駅・559箇所すべてにアクセスします。極寒の大地で過ごした六日間。悪夢のような旅路の果てに見たものとは?(読了目安時間:50分)

2日目 7:00 札幌市 すすきの周辺

 早朝のすすきのからおはようございます。

朝になると一段と寒く、北海道の本気が伝わってきます。夜のうちに降った雪が朝冷えで固まり、氷塊となっていて大変歩きにくいです。

今日のプランとしては、札幌駅から岩見沢まで行き、そこから南下して苫小牧まで戻ります。これによって、なにやら北海道の中心のほうはごちゃごちゃしててわからん、という路線を片付けられます。昨日とは違った路線で戻っていく感じです。

 おまけに最大のネックになりそうな丸で囲った部分、日高本線を取りに行きます。たぶん、ここが全北海道の中で一番きつい戦いになる。だから早めに終わらせておきます。

昨晩取り逃した、地下鉄のもう1路線と路面電車は放置しておきましょう。どうせもう一度札幌には来ることになるので、その時に片付けることにしましょう。

さて、本日のでんこはレーノです。これでいきます。けっこう好みのタイプ。こういうの、僕好きですよ。

 

八雲レーノ。北国出身、マスターを独占することを狙っている危険なでんこ…?日光がとても嫌いで夜になってからが本領発揮のタイミングらしい。

とのこと。なんかこういうキャラ設定いいな。僕のことを独占しようと企んでいるのもいいし、夜になると本領を発揮するところもいい。本当にスキル的に夜になると強くなるっぽいです。そして名前の「八雲」は北海道の八雲町からきてる気がする。今日はこのでんこに活躍してもらうことにします。昨日のノアと今日のレーノ、この二人を基本にして北海道を回っていくことにします。

 

すすきのから札幌駅までけっこう近いだろ、と思って歩いていたら結構な距離があってビビりました。ただ、それらの長い距離がほとんど地下街で繋がっているというのも雪国ならではでしょうか。地下なら雪の心配ないですからね。

7:59 普通 札幌発 岩見沢行

 通勤ラッシュでしょうか、それとも帰省ラッシュでしょうか、車内はかなり混みあっていてこの旅で初めて座れないという事態に陥りました。みなさんかなり荷物が大きいのでやはり帰省ラッシュだと思います。

列車が出発しました。岩見沢に向けて。

札幌の雪はそこまででもなかったのですが、岩見沢に向かうにつれてどんどん雪深くなっていきます。景色はまさに雪国のそれへと変化していきました。

この辺が実に面白いところで、僕らは「北海道」とひとくくりにして考えがちですが、その北海道は場所によって気候も文化も何もかもが違います。そう、ちょっと移動するだけでそこは別世界なのです。

8:43 岩見沢 (運賃 790円)

チェックインした駅 厚別、大麻、高砂[北海道]、江別、幌向、上幌向、森林公園[北海道]、野幌、豊幌、岩見沢(179/559駅)

ほとんど積雪のなかった札幌から1時間ほど、岩見沢でこの積雪です。

 

ここから苫小牧行きの列車に乗るわけですが、札幌から岩見沢を経由して苫小牧まで行くルートは、言うなれば大回りの乗車になります。つまり、普通に行くより多くの運賃を払わなければならないはずです。でも、券売機ではその辺の運賃が良く分からなかったので岩見沢までの切符しか買っていません。なので、いったん改札を出てからもう一度切符を買って乗り込みます。

 

9:03 室蘭本線 普通 岩見沢発 苫小牧行

これはとても嬉しいことですが、北海道の列車はどんなしょぼい編成でもだいたいトイレが付いています。おそらく、雪で長時間閉じ込められることもあるだろうし、そもそもトイレに行きたい! と列車を降りたら次は3時間後、なんてザラですから、そういった部分に配慮しているのかもしれません。この辺は都会の電車も見習って欲しいです。

 

車内には北海道のJR全路線図が貼ってありました。ゲロ吐きそう。本当にこれ全部取るのかよ。なんか雪の結晶を顕微鏡で見たときみたいな感じになってるやん。

 

列車が走り出すと、車窓からの風景はさらに雪深いものへと変わっていった。車内はけっこう閑散としていて、地元の学生と思わしき集団と親子連れがいるだけだ。

ただ、途中の駅から乗ってくるおばあちゃんが異様に多かった。今日は何かおばあちゃんのイベントが苫小牧であるのだろうかと思うほど、各駅で乗ってきた。

ちなみに、この路線は「栗山」「栗沢」「栗丘」と栗3連発の駅名が登場してくる。なぜそこまで栗なのか。住んでいる人は混乱したりしないのだろうか。

もう少しで苫小牧まで着くぞ、という段階になって急に列車が徐行し始めた。雪原の中をかなり遅い速度で走っていく。あまりに徐行が過ぎるな、などと考えているとそれを察したかのように車内放送が入った。

「現在、地震の影響により地盤が脆くなっている場所を通過しているため徐行運転しております。そのため苫小牧への到着は遅れます」

平成30年9月6日北海道胆振東部地震が発生した。M6.7、最大震度は7と大きな地震で、多数の被害をもたらしたことは記憶に新しい。今通過している辺りはまさしく震源に近いあたりだ。まだ地盤が緩んでいる箇所があるため、こうして徐行するらしい。こういった影響が被災地では今なお続いているのである。

 

10:42 苫小牧 (運賃1,450円)

チェックインした駅 志文、栗沢、栗丘、栗山、由仁、古山、三川[北海道]、追分[北海道]、安平、早来、遠浅(190/559駅)

確かに徐行の影響で10分ほど到着が遅れた。それでも別に先を急ぐ旅ではないので気にはならない。ここ北海道ではタイトな乗り換えなど発生しないのだ。雄大な大地の如く悠然と構えておればいい。

さて、ここからは最大の難所である日高本線に乗り換えることになる。

 

日高本線は、苫小牧駅から様似駅を結ぶ全長150 kmの路線で、29の駅で形成されている。なぜこの区間の難易度が高いかというと、この長い長い区間のほとんどが災害によって運休状態で、列車が走っていないからだ。

 

2015年の高波により土砂が流出し、鵡川―様似間が運休となった。その後も台風の襲来などで被害が拡大していき、運休状態が続いたまま、JR北海道は復旧を断念。鵡川-様似間は2020年に廃線と決定された。もう二度とここを列車が走ることはない。

つまり、この区間の駅を列車に乗って取ることは不可能なわけだ。

 

ただし、鵡川駅からは様似まで代行バスが運行しているらしい。そう掲示してあった。このバスに乗って取りに行くしかない。

 

駅では代行バスの時刻表を配布している。

 

地震の影響による徐行運転の案内もある。高波に台風に地震、このあたりは災害によってかなりのダメージを受けている。

とりあえず、鵡川駅に行く列車に乗らないといけないのだけど、2時間くらい待ち時間がありそうな感じだったので、駅直結のドンキホーテの中にあるミスタードーナツで食事をしつつ、作戦を練ることにした。

ドーナツを食べながら先ほど貰った代行バスの時刻表を見る。

まず、このバスは運休しているJRの代わりのバスなので、普通にJR運賃で乗ることができる。その運賃は苫小牧-様似で3,240円。けっこう高いな。往復で6,500円もかかんのか。

苫小牧 12:23  →  鵡川 12:53

列車が運行している鵡川までの区間は30分ほど。ここから代行バスに乗る。

鵡川 13:03  →  静内 14:50

 代行バスは一気に様似まで行くのではなく、2時間ほどかけて途中の静内まで行く。

静内 14:58   →  様似 16:50

静内で代行バスを乗り換えてさらに2時間でやっと様似だ。めちゃくちゃ遠い。苫小牧から実に4時間半。しかも様似は完全に行き止まりの駅なので、そこまで行って帰ってこなくてはならない。つまり往復で9時間。もうむちゃくちゃだな。これだけで今日一日が終わってしまう。さすが最高難度の区間だ。

でも、他に取る方法はないし行くしかないんだろうなあ、などと考えていると、けっこうな怒号が店内に響き渡った。

「そうそう、そこそこ、ほら駅の近くの!」

見ると、めちゃくちゃ頑固そうなおっさんが、比較的ファニーなドーナツを食べながらガラケーで会話していた。

「そうそう、駅のところにあるだろ。そうそう、そこ。違うドンキホーテじゃない、そこの1階で飯食ってる。違う違う」

どうやら待ち合わせをしているっぽいのだけど、電話の相手がご年配なのかさっぱり要領を得ない。たぶん、飯食ってるとドーナツが繋がらないんだと思う。

次第に頑固おっさんのイライラが高まり、ボルテージも上がっていく。

「違うバカ! それはロッテリア! そっちじゃなくてドーナツ屋のほう! いいから早くコイや!」

頑固おっさんは大声を張り上げて電話を叩ききった。突如ヒートアップしたおっさんの登場に店内に緊張が走った。誰もが直視しないまでもおっさんに注目する。そして、おっさんが携帯電話をポケットにしまいながら衝撃の一言を放った。

「まったく、ドーナツってんだ!」

店内の誰もが、おそらく店員までもが、「今言った? ドーナツって言った?」みたいな状態になり、ちょっと騒然となった。とんでもないことですよ、これは。

 

12:23 日高本線 苫小牧発 鵡川行

この生きている鵡川までの列車も本数はかなり少ないので、集中するのか乗客はけっこう多かった。1両編成ではさばききれないくらいの人が乗っていた。ただ、大半が大きな荷物を抱えた帰省の人だったので、普段はもっと少ないのかしれない。

 

列車が走り出すとすぐに何もない平原を横切り始めた。雪が全くない。岩見沢あたりの大雪を考えると、やはり北海道は地区によって全く気候が異なるのだ。

 

12:53 鵡川駅 (運賃 3,240円(様似まで))

チェックインした駅 鵡川、勇払 浜厚真、浜田浦 (194/559駅)

ここから駅の前に待機している代行バスに乗ることになる。

 

ほとんどの人が乗り換えたと思う。

 

さあ、出発だ!

基本的に、代行バスは国道なのか大きな幹線道路を通っていくのだけど、代行バスという位置づけなので必ずもう使われなくなった駅に立ち寄っていく。

 

これは汐見駅。こうして駅のホームは残っているが、ここには3年以上列車が来ていない。そして、これからも来ない。

 

日高本線が通る日高地方は牧場で有名な場所だ。代行バスが通る場所も、左右に雄大な牧場が広がる場所だったりして、馬が見えたりする。けっこう良い景色。あと、途中で門別競馬場の前を通る。

 

しばらく走ると海が見えてきた。ちょっと分かりづらいけれども、海の手前にはもう使われることのない線路がある。これだけ近かったら高波の影響をモロに受けるだろうなあという感じ。

この代行バスは、もちろん苫小牧から来た人がメインの乗客なのだけど、きちんと住民の足としても使われている。途中の停留所から乗ってきて、途中の停留所で降りる人もちゃんといる。基本的には車を運転できなくなったご老人などが多い。

冬休み中の中学生の集団が乗って来たかと思うと、一気に車内が騒がしくなった。そして、しばらくするとめちゃくちゃ美人な女の人が乗ってきたりして、その中学生たちも色めき立っていた。

ただ、その美人がめちゃくちゃ野太い咳をするものだから、そのたびに中学生たちが動揺していてちょっと面白かった。

 

14:50 静内駅 

チェックインした駅 汐見、富川、日高門別、豊郷[北海道]、清畠、厚賀、大狩部、節婦、新冠、静内(204/559駅)

途中で「大狩部」っていう駅を通過したんだけど、駅名を眺めながら、なんか会社内でイキった連中が集まったらモンハン好きってことが判明して、じゃあ一緒にモンハンやるサークルを作ろうぜとか誰かが言い出して、紆余曲折あっていろいろなサークル名を経て、つけたサークル名は「大狩部」、とか考えていた。ようは暇だった。

この静内駅は、日高本線の中心駅で、かなり立派な駅舎を兼ね備えている。しかも有人駅らしく、駅舎内には窓口があってキップを買うことができる。もう列車が来ることはないが、駅員さんがいて働いているようだ。ここから札幌などに行く高速バスなども発着しているらしく、交通の要になっている。

 

さて、ここで代行バスを乗り継いで様似を目指すことになる。なぜか先ほどの代行バスより乗客が増えていた。おそらくだけども、高速バスなどで静内駅に到着した人がここから乗り込んできたのだろう。バスも長距離用の観光バスみたいなものから路線バスみたいなのに変わった。

代行バスが出発した。まだ3時だというのにすっかり夕暮れの気配が漂っていて、バスが走っているうちにいつの間にかどっぷりと暮れていた。

バスは次々と聞いたことのない駅を走っていく。そのうちちらほらと雪が舞い始め、バスのヘッドライトに照らされていた。

さすがに4時間もバスに乗っていると精神的に色々なものが限界にくるらしく、ボケーっと苫小牧駅でもらった代行バスの時刻表を眺めていた。何時に苫小牧に帰れるかなーという感覚で眺めていた。すると、途方もない事実に気が付いた。

 

この時刻表によると、いま乗っている便はこのようなタイムスケジュールで動いている。

 これで様似まで到着した場合、折り返す便はこれになる。

 

ただ、これが時刻表によると

こうなっている。鵡川で終わってしまうのだ。そして鵡川より先の接続については記述がない。つまりここで終わりだ。苫小牧まで帰れないわけだ。そう、このままでは鵡川で放り出される格好になってしまう。これは大変なことだ。

「思い出せ、思い出せ」

記憶の糸を手繰り寄せ、先ほど通ってきた鵡川駅の状態を思い出す。果たして鵡川駅に宿泊施設とかありそうな感じだったか。そのレベルの街だったか。そこだけが問題だ。苫小牧駅まで戻れた場合、さすがに大きな都市なので宿泊に困ることはないだろう。けれども鵡川駅はどうだったか。

「そうだ! 記憶を辿らなくても撮った写真を見ればいいんだ」

すぐにカメラを取りだし、鵡川駅で撮った写真を確認した。

 

なんか、宿泊施設、なさそう。

これはいかん。様似駅まで行ってはいかん。ということで作戦を練ります。

今の状態がこれ。様似まで行くと、帰りの便が17:26発のものになるので、苫小牧まで帰れない。

では、一本前のバスに乗れれば、なんとか苫小牧まで帰ることができるのではないか。帰れそうだ。けれども、もちろん様似には16:50に到着するので、15:50様似発のバスに乗ることはできない。

では、途中で乗り換えてはどうだろうか。そう、途中の駅で降りて、すぐに反対方向の停留所に行き、そして乗る。

それができるのは絵笛駅だ!

 

ふいに生まれた絵笛作戦、その概要はこうです。

まず、絵笛駅でバスを降り、すぐに反対方向のバスに乗る。乗り換え猶予は9分。それでも絵笛駅以降、様似駅までの駅も取得する必要があるので、これはレーダーで取る。これだけのことです。全ての駅を取り、苫小牧まで戻るにはもうこの作戦しかない。ただ、この作戦には心配な点が3つある。

1. レーダーが届くのか問題

 

 駅メモには自分がいる駅から離れた駅にアクセスできるレーダーという便利アイテムがある。これを効果的に使うと、ちょっとした支線の駅や、寝過ごして取り逃した駅などをとることができる。大変ありがたいアイテムだ。何かのイベントで貰えたり、課金して購入したりする。

ただ、その範囲は無制限というわけでなく、きちんと決められている。他の駅メモユーザーと友達関係を結び、「電友」という関係になり、その電友たちが駅メモにログインしていると射程が伸びる。ログインしている友達が多ければ多いほど射程が広がる。最大で12駅の射程を手に入れることができるのだ。

今現在、僕の電友は各県の猛者みたいな人が協力してくれているので比較的オンライン状態が良く、スキルを使った時の射程が11駅ないしは12駅あることがほとんどだ。

ターニングポイントである絵笛駅から見た場合、そこから先6駅様似駅までをレーダーで取る必要がある。射程が11駅もしくは12駅なので楽勝かと思うかもしれないが、そうではない。あくまでもレーダーの射程は前後左右で消費される。

つまり、現状では射程が11駅だった場合、近い順に射程が消費される。後ろに6駅、前に5駅、こういう配置だった場合は1駅だけ様似駅に届かないことになる。

さらには、急に電友たちがオフラインになり絵笛駅に着くころには射程が貧弱になっている可能性もある。今日は年の瀬だ。いくらなんでもすべての電友が駅メモに張り付いて夢中になっているとは考えにくい。そんなやつおらんやろ。恋人と過ごしたり、友達とクラブに行ったり、そうしてオフラインになる可能性も視野に入れなければならない。

そうなった場合、絵笛駅で降りて引き返すことに何の意味もない。また4時間半かけて様似駅を取りに来なくてはならないからだ。そうなったら絶望しかない。

 

2. バスが遅れないか問題

 レーダーで様似駅まで取れたとしよう。そこで絵笛駅で反対方向のバスに乗るわけだが、その猶予は9分である。これは鉄道においては十分な乗り換え時間だが、バスの場合はちょっと心配な猶予だ。

なにせ、バスは鉄道と違い、遅れることが多い。それこそ信号待ちの妙で数分ずれる、渋滞で数分ずれる、なんて当たり前である。今乗っているバスが10分遅れ、反対側のバスがオンタイムで来た場合、見事に絵笛駅で取り残されることになる。ここまでの駅の様子を見るに絵笛駅もきっと何もない暗闇の駅だ。そんなところに放り出されたら死んでしまう。

おまけに、先ほどから雪が降ってきた。この雪のせいでバスが遅れる、これは十分にあり得る事態だ。

 

3.雪すごすぎ問題

 先ほどから降り始めた雪が絵笛駅に到着するころには大雪になっているかもしれない。そうなると、バスをまつ9分間であっても大雪に晒されることになる。できればそれは避けたい。あまり雪には慣れていないのである。一気に風邪ひく可能性もあるし、吹雪によってバス停を見失う可能性もある。滑って転ぶかもしれない。

さらには、あまりに大雪が過ぎるとバスすらも運休となる可能性もある。そうなると、全ての作戦が水の泡だ。

 

ざっと考えただけでこれだけの問題がある絵笛作戦だ。けれどもこれ以外に解決策はない。これらを解決する手段を考えなければならない。

導き出された結論はこうだ。

「まず、レーダーの射程と時刻を見守りながら、絵笛駅手前で様似駅にアクセスする。その際にレーダー射程が伸びるスキルを持つ「なつめ」というでんこを使う。様似駅奪取に成功した場合は、時刻を見て9分以上バスが遅れていないようならすぐに「降ります」ボタンを押し、絵笛駅で降りる。様似駅を取れなかった場合と、バスが9分以上遅れた場合は、絵笛駅で降りる意味がないのでそのまま乗車し、様似駅まで行く。その場合は苫小牧まで帰るのを諦めて様似か鵡川でなんとかして宿泊場所を探すしかない」

もうこれしかないのだ。

 

バスは雪の影響で少しだけ遅れ気味だった。

いよいよ絵笛駅が近づいてきた。頼む、電友たち、オラに力を貸してくれ! オラにレーダー射程をくれ! リア充みたいにデートとかパーティ行かずに駅メモで遠征しててくれ! 頼む!

うおおおお、取れた。取ったぞ!

一番遠い様似が取れたので、それ以前の全部の駅もレーダーで取ってしまう。

最大の難所である日高本線をコンプリート。

シャオラ! あとは引き返すだけ。バスの時間は!?

7分遅れくらい! 行ける! ギリギリいける!

「降ります」ボタンを押し絵笛停留所でバスを飛び降りた。

様似駅まで取れた。バスのギリギリ大丈夫な遅れ。あとは雪が大したことない感じであれば完璧だ。頼む、雪、小降りであってくれ。料金を支払い、祈るようにしてバスを降りた。頼む! 小降り!

ぎゃーーーーーーーー!

めちゃくちゃ大雪じゃねえか。吹雪じゃねえか。

なんだこれ。いつの間にかこんなに降ってるんだ。

とにかく、急がないと反対側のバスが来てしまうので、急いで道路を渡ってバスを待つ。バス停みたいなオブジェが完全に雪に埋まっていて不安だけど、たぶんここで合ってるんだろう。とにかく待つ。

時刻表に書かれた時刻になったけどバスは来ない。な、なあに、お、遅れているだけさ。さっきのバスだって遅れてたし、この雪だし。

 

5分が過ぎた。バスが来る気配はない。僕の頭と肩には雪が積もりはじめた。

 

10分が経過した。いくらなんでも遅すぎる。もしかして、間に合ったと思っていたのは僕だけで、タッチの差でもうバスは行ってしまったのか?

そうなると、ここに取り残されることになる。はるか向こうに見えるガソリンスタンドくらいしかないこの場所に。そうなのか。そうなるのか。どうなんだ。死ぬ、のか……? ここで凍死するのか……?

「ドーナツてるんだ!」

そう呟いた瞬間、希望の光が見えた。

バスオブゴッドである。助かった。本当に助かった。ありがとう。ありがとう。

絵笛チャレンジを奇跡的に成功させ、様似まで取れて苫小牧まで帰ることができるバスに乗れた。まあ、ここからまた4時間かけて戻るんですけどね。けっこうきつい。

20:32 苫小牧駅(運賃3,240円)

チェックインした駅 萩伏、絵笛、様似、西様似、鵜苫、日高穂別、東町、浦河、本桐、蓬栄、日高三石、春立、日高東別、東静内 (218/559駅)

今日は本当に進まなかったけど、最大の難所をクリアできたことは大きい。といったところで、ここ苫小牧駅で2日目は終了。まとめはこちら。

取得駅数 48駅(総数218駅)
移動距離 351 km(総距離 883km)
運賃 8,720円(総金額20,690円)
制覇路線 室蘭本線、日高本線

 

>残り341駅! 3日目に続く

 

「駅メモ!」と一緒に旅にでかけよう!
>>アプリをダウンロード