日本の”あかり”を楽しむ展示。23万人が感動したアメージングジャパン『和のあかり×百段階段2018』で涼をとろう

目黒にあるホテル雅叙園東京で開催されている「和のあかり×百段階段2018」をいち早くレポートしてきました。冬の欧風なイルミネーションももちろんいいですが、今回のイベントは夏の日本のあかりを楽しむことができる展示となっております。東京都指定有形文化財でもある「百段階段」と一緒にお楽しみください。

冬のクリスマス時期に街を煌々と照らす「イルミネーション」。
何万個のLEDを使っていると聞くと、普段見られない光の豪華さに圧倒されつつも、心は自然と浮き立ちますよね。

では夏の「あかり」はどうでしょう?

ぽかっと暗闇の中に灯る、ほのかなあかり。
和紙やガラスを隔てて感じるやわらかな光の存在に、ほっと息をつくようなあかり。

この夏、そんな和のあかりの世界を東京・目黒の雅叙園で覗けるというのです。
まずはこちらの写真をご覧ください。

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こんな素敵な世界ってある?

東京・目黒にあるホテル雅叙園東京で7月7日から9月2日まで開催されているアートイルミネーション『和のあかり×百段階段2018 ~日本の色彩、日本のかたち~』。

今季で開催4回目となる、都内最大級のあかりアート展ですが、なんとこれまでで累計23万人も動員した人気のイベントです。

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昭和10年に建てられた、ホテルの前身・目黒雅叙園は建設当時「昭和の竜宮城」とも称されました。会場となる『百段階段』はその3号館にあたり、現存する唯一の木造建築です。

長い一本道の階段から枝分かれして、食事や晴れやかな宴が行われた7部屋たどり着きます。

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各部屋の天井や欄間(らんま)には、当時屈指の著名な画家たちによって創られた美の世界が広がります。2009年3月に東京都の有形文化財に指定されました。

そして本展では日本各地から集結した63団体による1,000点を超える作品が、東京の宝ともいえる空間に飾られます。この参加団体数は過去最多なのだとか。

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どこを向いても古今東西のアートに当たる、贅沢すぎる空間をひとつひとつ解説するのは至極困難。その美観と芸術性を堪能するのに、言葉はむしろ不要なんじゃないか?と思うくらいです。

とはいえ、私もライターのはしくれ。「和のあかり」がどういったものなのか、言葉を紡いでいきたいと思います。

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どうも、小林です。こちらは女性左官師・金澤萌さんによる「土のかまくら」。ほの暗い中で小さなあかりを楽しむことができます

 

暗闇の中でほのかに灯る日本のあかり

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和のあかりで展示されるのは、暗闇の中にぼんやりと光る色彩や形の面白さ。照明具のようにそれ自体が発光するものだけでなく、光に照らされることで判明する美しさを教えてくれます。

例えば、「自然が創り上げたものがいちばん美しい」と語る造形作家・川村忠晴さんがつくるのは、野山にある草木や海岸の貝殻に光を通した作品。

作家さんが拾い上げた自然が灯すのは、唯一無二のあかり

作家さんが拾い上げた自然が灯すのは、唯一無二のあかり

または、錆びさせた和紙の造形に光を通すと、紙のような鉱物のような不思議なあかりを鑑賞できます。紙って錆びるんですね、初めて知りました。

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ワビサビだけじゃない、足されていく日本の美観

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日本の美意識のひとつである侘び、寂び。時が経つことで物体に訪れる劣化や風化を美しいと捉える「寂び(さび)」、そしてそれを受け入れる内面の豊かさを表した「侘び(わび)」は、桃山時代の茶文化から生まれました。

しかし桃山時代の建築はワビサビなんて知らぬ!といわんばかりに、戦国武将たちの趣味をめいっぱい取り込んだ華やかな装飾が施されています。そしてこの百段階段で見られる7部屋も、実は桃山風

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写真の「十畝(じっぽ)の間」は、荒木十畝が描いた黒漆の螺鈿細工が見られる重厚なつくりの部屋で、天井には四季の花鳥画が。

そんな黒い空間に現代アートが加えられたことで、新たな美的空間が生まれました。

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鮮やかな青で描かれた日本画が表現するのは「水」。光と同じく、色も、形も自在に変えてしまう水は、私たち人間に恩恵を与えると共に、命を奪いかねません。

しかし生きる上で水は欠かせないもの。作家の間島秀徳さんは「水と共に生きることこそが、未来に繋がる思想となる」と話します。

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「土のかまくらプロジェクト」に参加する大学生がつくった、ミニかまくら。

中では、老人に籠城されたのでしょうか。石巻市「林家呉服店」の若旦那・林貴俊さんによる「石巻こけし」の表情は豊かで、つい勝手にストーリーをつけてしまいます。

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中央のガラスケースに入っているのは、三谷基さんによる5000個の「折花」。

なんと目の前で折り花をつくってもらいました!一枚の紙がこんな美しいものに変わるなんて……!

折花は元々、姿の美しさと香りを楽しむことができる花型のディフューザー。「ものを折る、ものを包む」という日本人にとって何気ない行為には、人をもてなす思いや感謝の気持ちが込められていると三谷さんは話します。

 

人と声を合わせる祭りのあかり

夏のあかりといったら、祭りのあかり!ゆらりゆらり揺れる提灯に照らされながら、人々はお囃子や踊りに合わせて声をかけ合い、心を通わせます。本展ではそんな祭りに関するあかりが展示されています。

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階段口に下がる大きな提灯は、三大東北祭りのひとつ、秋田県秋田市の竿燈祭りのもの。秋田市内38町会それぞれがもつ紋が描かれた提灯は、祭りでは12mのさお竹に舟の帆のように垂れ下げられます。

その数、最多で46個、総重量50kgということですが、間近で提灯の大きさを肌で感じると「不可能」という文字しか浮かびません。

小部屋に潜む、長崎のランタンフェスティバルの麒麟(きりん)はギミックで影が動きます

小部屋に潜む、長崎のランタンフェスティバルの麒麟(きりん)はギミックで影が動きます

そして本展の目玉でもある、こちら。

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「漁樵の間」いっぱいに飾られているのは、青森ねぶた祭りのねぶた

平安貴族を描いた日本画(彫刻)にちなみ、平安初期に生まれた竹取物語の主人公・かぐや姫(北村春一作)、左に武者(立田龍宝作)、右に帝(手塚茂樹作)が本展のために創られました。

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青森のねぶた祭は毎年、コンテスト形式で大賞を選ぶため、今回参加した作家も普段はライバル同士。そんな三つの流派がコンセプトから共作したという大変珍しい作品なのです。

 

くすっと気持ちを和らげる日本の感性

他の美術展と違って、会場は有形文化財、さらに作品は、手をのばせば触れられる距離にあるため、少し緊張してしまいそう。しかし、くすっとした笑いで心を和ましてくれる展示品もありました。

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インスタグラムで26万人のフォロワーがいる山田全自動さんの「あるある俳画」。江戸の町人たちが、日常に潜むあるあるネタをつっこんでいくシュールな笑いに、緊張も和らぎます。

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ほかにも非常口から逃げだした人や、

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居酒屋に貼られているような昭和風ポスターも!

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ナルトに出てくるグルグルのあれが、脳裏をよぎる木工細工。

栃木県鹿沼市発の「すごい木工プロジェクト」では、般若やなまはげ、日本の八百万の神様を小さなお面にしていました。ちなみに写真は鳴門海峡の神様とのこと。

 

新旧、異なるものが調和する空間

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格天井、欄間には四季草花絵によって、森羅万象が描かれている「草丘」の間の正面左側には虹が見られます。

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そこを現代的でいとをかしな空間に変えたのは、インスタントレーションアート集団「MIRRORBOWLER」。花と蝶が表す生、蜘蛛と蛇による死の暗示など、対照的なものが創り上げる世界は不思議と調和が存在しています。

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ミラーボールが生み出す人工的な七色の光が天井を照らし、建設当時には想像しえなかった表情に。

そして最後、未完の間とされる「頂上の間」の奥、一葉式いけ花 次期家元の粕谷尚弘さんによる作品が、ターコイズブルーの特注タイルに写り込みます。

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青の幕を背景に、しなる竹は海の波打つ様子を表現しており、素足で触れるタイルのひんやり感も相まって、視覚、触覚両方から涼をとることができます。

 

 

なにか視界に入るたび、深くため息をついてしまう、和のあかりの世界。
今回、あえて展示順などを無視して作品を紹介してきたのは、鑑賞を通じて「和」という文字に、「日本」だけでなく多くの意味が含まれているように感じたからです。

例えば、「穏やかにまとまる」様子。
数を足していく和算。
声を合わせる和声。
ゆったりと角を立てずに和らげること。
異なったもの調和などなど。

そんな多くの「和」を支えているのは、日本に古くから伝わる職人技術、人々が守ってきた風習や感性だけではありません。

最先端のテクノロジー、歴史の中で先人たちが取り入れてきた新たな価値観も含まれています。

日本の伝統から革新まで、すべてを含んだ『和のあかり×百段階段2018』の優しく、厳かなあかりにぜひ包まれてみてください。

 

『和のあかり×百段階段2018 ~日本の色彩、日本のかたち~』
■会場
ホテル雅叙園東京 東京都指定有形文化財 「百段階段」
■開催期間
2018年7月7日(土) – 9月2日(日)
■開催時間
月~木曜日/10:00 – 17:00(最終入館16:30)
金・土・日・祝および8月13日~17日/10:00 – 20:00(最終入館19:30)

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