こんにちは! 歴史・旅ライターの齊藤颯人(@tojin_0115)です。
新型コロナウイルスの影響で観光業は大打撃を受けていますが、2019年に二度の災害に見舞われた「箱根」への影響はどうなっているのか……。
日本有数の温泉地帯・駅伝の聖地として知られている箱根。ここでは、2019年5月に大涌谷の噴火警戒レベルが引き上げられ、周辺に避難勧告が出されました。さらに台風11号が直撃し、その影響で箱根登山鉄道の一部区間(箱根湯本駅~強羅駅)が運休に追い込まれました。
大涌谷は一部を除いて入れるようになりましたが、現在も鉄道の運休は続いており、そのダメージは回復しきっていません。
この状況に加えて新型コロナによる観光客減に見舞われたら、箱根は一体どうなってしまうのか……
どうしても気になった私は、箱根地域を取材してみることに!
すると、訪れる前は予想もしていなかった現状を目にしたのです。
目次
箱根に行くまでは意外とにぎわっていた
箱根に向かうため、最寄駅から小田急線に乗り込んだ私。
しかし、普段から使っている路線の明らかな変化に気づきました。そう、車内がビックリするくらいガラガラなのです!
休校の影響からか通学する学生さんは皆無。ぶっちゃけ快適といえば快適だったかもしれません。アッサリ座れたし……
終点・小田原駅に到着した後は、道中の様子から、「お客さん少ないんだろうなぁ……」と考えながら箱根登山鉄道に乗り換え、箱根の玄関口・箱根湯本駅を目指しました。
ところが、いざ乗ってみると意外とにぎわっていました。
私は昨年の10月にも箱根を訪れているのですが、その時と混雑状況は変わりません。
箱根の玄関口「箱根湯本駅」
そんなこんなで、箱根の玄関口「箱根湯本駅」に到着!
駅の周りにも人が多く、パッと見にぎわっているように見えます。
しかし普段の姿は分からないので、駅前でひもの屋のおばちゃんに話を聞いてみました!
齊藤
「新型コロナの影響が気になってましたが、けっこうお客さんでにぎわってますね!」
おばちゃん
「いや、お客さんはかなり減ってますよ。とくに年配の方と外国人観光客が全然いなくなっちゃって……」
齊藤
「たしかに。言われてみればその辺の方は全然見かけませんね」
おばちゃん
「今の箱根は若い人しかいないんですよ~」
お客さんが減っているというのはある程度予想をしておりましたが、「観光客が若者ばかり」というのはかなり意外。ただ、言われてみれば駅前で見かけるのは若い人ばかりでした。
そこで、若い人がよく行きそうなまんじゅう屋のお姉さんにも話を聞いてみることに。
齊藤
「他のお店では年配の方とか外国人の方が減ったと聞きましたが、そう感じることはありますか?」
お姉さん
「それはホントにそうなんです! ウチの店は朝方に年配の方がよく買いに来てくれていたのに、めっきり来なくなっちゃいました……」
齊藤
「なるほど~。やっぱり、若い人が多いですか?」
お姉さん
「やっぱり春休みですからね、多いと思いますよ。あと、去年の台風もあって売り上げは落ち気味で……ダブルパンチを食らった感じですよ」
取材したのが春休み真っただ中の平日ということもあってか、若い人が多いというのは確かなようです。
また、予想通り昨年の災害と新型コロナの両方に苦しめられているということもハッキリしました。
若者に人気な「芦ノ湖」
続いて、駅前からバスに乗り込んで数多くの観光地がある人気スポット「芦ノ湖」へと向かいました。
バスの車内も、やはり若い人が多め。それとアジア以外の外国人観光客を少し見かける感じです。
芦ノ湖の湖畔に到着してみると、気持ちよく晴れて澄んだ空気を全身で感じることができました!
目の前には、ハッキリと富士山も見えています。
まさに絶好の観光日和でしたが、箱根町港から元箱根港まで歩く道中では観光客の少なさを実感。
関所の周りには多少人通りもありましたが、昨年と比較すると微々たるものです。
ただ、箱根神社などがある元箱根港に着くと、けっこうな人数が観光を楽しんでいました。
しかし、どこを見ても若者・若者・若者。
私は「あれ、今って箱根にいるんだよね? 高田馬場とか渋谷ではなく」と感じてしまいました。
いったいなぜ、こんなにも若者が箱根に集まっているのでしょうか。
箱根にいる若者たちに話を聞いてみた
謎を解くべく、元箱根港の近くに来ている若者たちのグループに話を聞いてみました。
齊藤
「こんにちは! 皆さん学生さんですか?」
学生グループ
「そっす! 学校が休みなんで箱根旅行に来ました!」
齊藤
「なるほどなるほど。箱根に行こう!と思ったのはいつ頃のことですか?」
学生グループ
「昨日っすね! 弾丸っす!」
齊藤
「き、昨日ですか?」
学生グループ
「いや、ホントは今日ディズニーに行こうと思ってたんですけど、行けなくなっちゃって……」
齊藤
「それで、せっかくだからどこか行こうってなったんですね~」
話を聞いてみて、学生たちは「ディズニーの代わりに箱根に来た」ということが分かりました。せっかく予定を合わせて空けていたから、どこかには行っておきたかったのでしょう。
他にも数組の若者グループに話を聞いてみましたが、平日かつ春休みということもあって全組が学生でした。
ただ、他の学生たちは「1カ月以上前から箱根に行くつもりで計画を立ててた」「コロナを理由に箱根旅行を決めたわけではない」と言っていたので、土壇場で箱根旅行を決めた学生はむしろ少数派。
一方、どの学生も「コロナの影響は感じる」と口々に語っており、「USJに行けなかった」「東京ガールズコレクションが中止に」「バイトに入れなくなった」という話を耳にしました。
駅伝やユネッサンでお馴染みの「小涌谷」
最後は、箱根駅伝の中継や温泉でお馴染みのユネッサンがある「小涌谷」を訪れてみました。
しかし、いざバスを降りて周囲を見渡してみても、観光客らしき人の影も形もありません。
誰もいない……。
本当はここでも話を聞いてみようと思っていたので、人を探してうろうろしていたのですが、近くで観光案内の方とタクシー運転手さんが話している声が耳に入ります。
タクシー運転手さん
「まったく人通りがねえな(笑)」
観光案内の方
「いやいや、ホントに案内する人もいないんですよ~」
タクシー運転手さん
「もう何しに来てんだかわかんねえよ!」
観光案内の方
「お互い仕事になりませんよね~あはは」
……なるほど。もはや話を聞いてみる必要はなさそうです。
また、登山鉄道が運休中のため駅も閉鎖されていましたが、そこでは復旧に向けて作業員の方が懸命に作業しておりました。
最後に見たこの光景は、強く印象に残っています。
結局、なぜ箱根は若者だらけになったのか?
平日かつ春休みの事実を差し引いても、これだけ若者だらけの箱根は今後もお目にかかれないでしょう。
しかし、「コロナで他の場所に行けなくなった若者が大挙して箱根に訪れ、結果として若者が増えた」かというと、そうではないと感じました。
彼らの大半は「もともと立てていた旅行の予定をキャンセルしなかった」だけ。つまり、コロナが流行しようとしなかろうと箱根にいたはずの人たちなのです。
若者たちに話を聞くと「行けない博物館があった」という意見もあったものの、十分に楽しめたということでした。
町中に「コロナウイルス流行について」という掲示はあるものの、大半の施設・交通機関は営業していますし、何より箱根は目前の大自然を眺めるだけでも充分楽しめます。
もちろん感染拡大のリスクは0とは言えませんが、自重しすぎることもまた問題。
濃厚接触を避け、手洗いうがい等の予防も必ずおこない、混雑も少なく良い旅ができればいいと思います。