ゲストハウスという旅。女性に優しい「神戸なでしこ屋」でお話を聞いた

こんにちは。フリーライターの一之木りさ(@rrisa_wp)です。

みなさん、ゲストハウスって泊まったことありますか?
私は……ありません。ゲストハウスが一体なんなのかもよくわかってない。

今回は、私のような初心者にも優しい『神戸なでしこ屋』さんでお話をうかがいました。

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世界中が大変な状況になってしまって、自由に外出ができなくて、会いたい人にも会えなくて。
私は今、「どこに行ってもいい自由」がどれだけ貴重なものだったかをかみしめています。

会いたい人に会えばよかった。
もっと気軽に旅をすればよかった。

今回ゲストハウスを愛するおふたりのお話を聞いて、「こんなふうに旅先の人と交流し、その土地のことをおしえてもらう旅をしなかったのはもったいなかったな」と思うようにもなりました。

「ゲストハウスに泊まったことがない」「よくわからない」という人に、ゲストハウスという旅を知っていただけたら。そして、こんなに愛溢れるゲストハウスが神戸にあることをぜひ、旅ができる世界に戻った時に思い出していただけたら、嬉しいです。

※取材は4月頭におこなっています。

神戸元町駅すぐ『ゲストハウス神戸なでしこ屋』

兵庫県神戸市の繁華街、JR元町駅から徒歩わずか5分。
南京町(なんきんまち)という中華街の中。

駅から近いうえにホームページの道案内も親切すぎるので、おそらく迷う余地がありません。

南京町メインストリートから一本ひょい、っと入ったこちらのレンガのビル。
『神戸なでしこ屋』さんに到着です。

「こんにちは~!」

爽やかに迎えてくださったのは、マネージャーの向山(むこうやま)さん[左]と、代表の池端(いけばた)さん[右]。
本日はおふたりにお話をお聞きします!

※取材は4月はじめ、新型コロナウイルス感染症対策として緊急事態宣言が発令される少し前に行いました。写真の撮影時のみマスクをはずしていただきましたが、コロナ終息までスタッフ全員マスク着用を義務付けておられます。

では、みんな、しっかりマスクを戻して……。

一之木
「今日はよろしくお願いします」

池端さん 向山さん
「よろしくお願いします」

一之木
「あの……、ぶっちゃけもう、コロナの影響は聞くまでもないですよね」

池端さん
「そうですね……。うちももちろん大変な状況で……でも周りもどこも同じです。もう仕方ないです!」

一之木
「今遊びに来て、と言えない状態になってしまってはもう仕方ない!落ち着く日を待つしかない!」

池端さん
「待つしかない!」

一之木
「今日はコロナの暗い話じゃなく、なでしこ屋さんのいつもの魅力を聞かせてください! 私、ゲストハウスがどういうところなのかよくわかってないので、ぜひ楽しみ方をおしえてほしいです」

池端さん
「はい! 通常時のなでしこ屋の良いところを知っていただけたら。そしてコロナ終息後に思い出してくださる方がいたら、本当に嬉しい」

一之木
「楽しい話をしよう!」

一同
「「そうしよう!そうしよう!」」

コロナに負けない!! という思いの元、謎の団結力が生まれました。

ゲストハウスのベッドってちょっと不安問題

一之木
「まず初歩的な質問ですが、そもそもゲストハウスってなんなんでしょう」

池端さん
「実は明確な定義はないんです。一般的には『ドミトリー』と呼ばれる、二段ベッドの相部屋をメインとした宿泊施設のことを指します。日本ではまだ認知度が低いですが、海外ではわりと一般的ですね」

一之木
「ゲストハウス未経験の私は二段ベッドにちょっと抵抗があるんですよね……。知らない人が上に来たりするんですよね」

池端さん
「カプセルホテルは泊まられたことありますか?」

一之木
「出張によく使います。カプセルホテルの狭さは特に気にならない」

池端さん
「じゃあ大丈夫じゃないかなと。こちらが、うちの8ベッドのドミトリールームです」

あれ! 思ってたのと全然違う! ベッドが広いし、作りがめちゃくちゃしっかりしてる。

池端さん
「うちのベッドは既製品ではなく作ってもらったものでしっかりしているんです。すべての部屋のベッドがこのサイズ感です」

へ~! これなら上に人が来てもグラグラ揺れそうにないし、カプセルホテルに泊まる人なら抵抗なさそう。しかもめっちゃ清潔感。

池端さん
「こちらは8ベッドのレディースドミトリールームです。友達グループで利用される方も多いですよ。男女混合のお部屋はご家族の利用も。ホテルだとふたりしか同じ部屋に泊まれなかったり子どもは添い寝だったりしますが、ゲストハウスならベッドの数だけ一緒の部屋で泊まれるので」

なるほど~~! そういう利用の仕方もあるんですね。

ベッドに腰かけて「明日は小籠包食べる?」なんて話してるところが目に浮かぶよう。ワイワイ泊まるの最高に楽しそう~!

ゲストハウスの交流が不安問題

一之木
「ゲストハウスって共有スペースで宿泊客同士が交流するとかあるんですよね……?」

池端さん
「はい。うちも通常時は毎日21時から、このフロントラウンジで交流会を開いています」

一之木
「ゲストハウスの共有スペースといえば夜な夜な外国人がどんちゃん騒ぎ、みたいなイメージがあるんですが……」

池端さん
「ないですないです(笑) 日本でも場所によってはあるかもしれないですが、神戸という街自体がそもそも、外国人観光客が少ないんです」

一之木
「え! 京都大阪と並ぶくらい人気なのかと思ってた」

向山さん
「神戸は、大きいホテルも週末はほぼ日本人観光客で埋まります。もちろん外国人観光客も来られますが、大阪京都と比べるとはるかに少ないですね。大阪から姫路城に移動する『ついで』に神戸牛を食べるところ、という扱いだったり(笑)」

え~! 関西に住んでるのに全然知らなかった。
もっと世界的に人気だと思ってたよ神戸……。

一之木
「じゃあ、ここで交流するのも日本人が多いんですか?」

池端さん
「どちらもいらっしゃいますね。うちは周りの宿泊施設と比べると外国人観光客の割合は少し多いですが、たぶん想像してらっしゃるより日本人のゲストが多いと思います」

へ~~楽しそう。
楽しそうだけど……。

一之木
「私……こういう場に入って行ける自信がないんですよね……」

池端さん
「え! お泊りの際はぜひ気軽に参加してほしいです! スタッフも、私か向山が必ずいるので大丈夫ですよ。もちろん静かに過ごしたい時に無理にお誘いすることはないので、あまり気構えずにフラっと来ていただけたら嬉しいです」

向山さん
「施設内での交流会だけじゃなく、夜の神戸の街を僕がアテンドするお散歩イベントや、一緒にお気に入りのお店に飲みに行くイベントなどもワイワイとやっています」

夜の神戸のお散歩イベント『ナイトウォーク』の様子

一之木
「地元の方に案内してもらえるなんていいなぁ。ちなみに飲みに行くイベントって、池端さんと向山さんも参加するんですか?」

向山さん
「どちらかは必ず行きます」

一之木
「なんというか、お仕事終わってからも接客させるみたいで申し訳なくて遠慮しちゃうかも……」

池端さん 向山さん
「えーーー!!! いやいやいやいや!!!」(心から驚いたというリアクション)

池端さん
「どちらかというと、私たちの飲み会にゲストが参加してくれて嬉しい!! って思ってます。どちらにせよ飲みに行くので。そうか…遠慮するゲストもいるのか…いやもうそんなこと全然、全然考えないでほしいなーーー私たちが楽しいので! そうか…」

よっぽどびっくりだったようです。

スタッフさん自身がこんなに楽しんでイベントを開催してくれているって知ったら、気をつかわず参加できそう。いいな。

ゲストハウス初回がとにかく不安問題

一之木
「とはいえ。私みたいなタイプはゲストハウスに一回目に泊まるのがすごい勇気がいるなぁ……」

向山さん
「わかりますわかります。僕もそうでした」

一之木
「そうなんですか?! 気持ちわかってくれると思わなかった」

向山さん
「最初が不安なのはみんな同じですから(笑)なので、徹底的にビギナーに優しい【ビギナーズプラン】というプランも用意してあります」

池端さん
「ビギナーズプランは事前に『これとこれは備え付けがありますよ、これはないから持って来てくださいね』というリストをお送りしたり、到着された時もスタッフが一緒にお部屋のご説明へ行ったり、はじめての方にすごく優しいプランです」

一之木
「え、そこまで手取り足取り教えてくれるなら安心感ある」

池端さん
「うちは『なでしこ屋』という名前にも全面的に打ち出しているように、とことん女性に優しいことが特徴なんです。私自身の旅の体験から、もっとこうだったらいいな~と思うことをたくさん反映していて。例えばコテを置いたり、女性専用ルームの料金を少し下げたり。あと、備え付けの基礎化粧品は私が「無印良品だったら嬉しいな~」って思ったので無印です」

一之木
「たしかに無印は嬉しい。わかってくれてる!って感じがする。ちなみに男性も使うんですか?」

池端さん
「女性フロアだけです(笑)」

一之木
「ワロタ」

向山さん
初心者と女性にとことん優しい宿なので、うちは圧倒的にゲストハウス初挑戦の女性が多いんです。ひとり旅の女性も多いですよ

一之木
へ~~女子旅やひとり旅で気軽に使えるっていいなぁ。女性が運営していて女性歓迎を全面的に打ち出してくれているって安心して飛び込める

池端さん
よかったらこれ……、女性がひとり旅で泊まるとこんな感じですよ、というのがわかるイメージ動画を作ってもらったんです

一之木さん
「なにそれ見たい!」

一之木
わ、いっきにイメージ湧く! 急にお休みになってふらっとひとりで中華街を食べ歩きしに来る未来が見える

池端さん
「よかったです(笑)」

なでしこ屋の人いろいろ愛深すぎ問題

一之木
「そもそもどういう経緯でゲストハウスをされているのか、お聞きしてもいいですか? なんかさっぱり想像ができなくて」

池端さん
「私は大学の頃から観光文化を学んで、就職したのが神戸の観光船で。ずっと観光産業に携わっているんです。もっと神戸の魅力を知ってほしい、外国人観光客にももっと来て欲しい、自分ができることってなんだろうって。じゃあ自分が外国人観光客の立場になってみよう!と思って、世界一周したんです」

一之木
「世界一周!! 行動力がすごいし、観光業と神戸への愛が深すぎる!」

池端さん
「自分が実際旅をして、あとから振り返ると、観光スポットよりも地元の人との交流のほうが心に残ってたんです。もう一度行きたいと思う土地はどこも、人の顔が思い浮かぶところで。なので今度は私が迎える立場としてゲストハウスをやりたいなって。私の思いに賛同して来てくれたのが、マネージャーの向山です」

一之木
「なるほどなぁ。言われてみたら私も旅行の思い出をパっと思い浮かべてみると……場所じゃなくて人だ。そうか。じゃあ人見知り発動してひとりでスマホ頼りに回るだけじゃもったいないことしたなぁ」

池端さん
「そういう旅はそういう旅で楽しさがありますけどね」

一之木
ゲストハウスってただの宿泊施設というより、旅の形という気がしてきました。私も次はそういう旅がしたい! 地元で人気のお店とか聞いたりしてみたい」

池端さん
「聞いていただけたら嬉しいんですよ。私たち自身が神戸を愛していて、大好きなお店がたくさんあるので。ゲストの好みを聞いて、美味しいお店をお伝えします」

池端さん
「せっかくなでしこ屋に来てくださったゲストには神戸を楽しんでもらいたいので、お手伝いができるのは幸せです。お話できるのも私たちスタッフ自身が、嬉しいんです」

一之木
「ゲストへの愛も深すぎる!」

向山さん
「神戸港に大きな客船が入港する時には、ゲストを誘って見に行ったりもしているんですよ」

池端さん
「元観光船業でしたから。船が大好きでここのコンセプトも船にしたぐらいで。大きな船、自分が見たいし、ゲストにもよかったら見てほしくて(笑)」

池端さん
「神戸の船、乗られたことありますか?」

一之木
「そういえば一度もないですね」

池端さん
「ぜひ船に乗ってみてほしいです! 大きなのじゃなくて小さな観光船が(通常なら)毎日出ているので。海から見た神戸の街って本当~~に綺麗なんです! 神戸って……」

一之木
(いろいろ愛が深すぎる……!)

神戸の魅力、船の魅力、中華街の魅力はぜひ、直接おふたりに聞いてみてください。楽しい神戸の旅になること間違いなし。

おわりに

今回池端さん、向山さんおふたりにお話をお聞きして、私は思いもよらず、ゲストハウスという旅の形を教えてもらった気がしました。
どこでも自由に行ける世界が戻って来たら、すぐにでも行ってみたい。でも、まずはじめのゲストハウスデビューは、なでしこ屋さんがいいな。

気軽な旅という贅沢が、早く戻ってきますように。

戻って来た日には、こんな素敵なゲストハウスがあることを思い出してもらえたら、そしてぜひ足を運んでいただけたら嬉しいです。

ゲストハウス神戸なでしこ屋
公式サイト: https://kobe.nadeshiko-ya.com/
〒650-0023
兵庫県神戸市中央区 栄町通1丁目2−21
TEL: 078-599-7305
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