【保養にぴったり】大分県竹田市の炭酸泉&炭酸水素塩泉を特集!

大分県竹田市は長湯温泉をはじめとした温泉が充実。炭酸泉や家族風呂も多く、保養に最適なエリアとなっています。ラムネ温泉・御前湯・ガニ湯などを巡った筆者が、実際の体験からおすすめをご紹介いたします。

こんにちは! ライターのちえ(@kirishimaonsen)です。

今回は、保養にぴったりな大分県竹田市の温泉をご紹介したいと思います。

源泉の数、湧出量ともに全国ナンバーワンの大分県。特に別府や湯布院が温泉地として有名ですが、竹田市にも、九州で初めての“源泉かけ流し”宣言を行った「長湯温泉」をはじめとする素晴らしい温泉がたくさんあります。

 

IMG_3105

源泉かけ流し…! 温泉好きならワクワクすること間違いなしの言葉ですよね。その名のとおり、源泉が浴槽にじゃんじゃんかけ流され、あふれているような状態のことです。鮮度抜群! もちろん、流れたお湯は循環などで再利用することはありません。湯量豊富だからこそできることです。

 

くじゅう連山

くじゅう連山

また、竹田市の北部には九州最高峰・九重(くじゅう)連山が連なり、豊かな自然にも恵まれた土地です。その土地の美しさに惹かれて、川端康成や与謝野晶子ら文人も訪れたことが知られています。(九重で登山と湯旅を楽しみたい方はこちらの記事を参考にしてください。)

 

IMG_2404

さらに、長湯温泉から南へ車で約20分のところには、歴史ある城下町の街並みが残っています。ゆっくりお湯に浸かった後は、散歩がてら街を散策するのも楽しいものです(竹田の城下町特集はこちらからご覧ください!)。

豊かな自然と城下町巡りに、源泉かけ流しの新鮮な温泉!
もう癒やされること間違いなしですね。

竹田市の温泉はバリエーション豊かなので、たくさん湯巡りしてほしいです。
ちょっと紹介しますと、

 

IMG_2867

昔ながらの湯治場エリアにリニューアルオープンしたモダンな温泉施設や

 

IMG_3203

阿蘇溶岩のダイナミックな景観のお風呂。

 

IMG_3275

秘湯の名にふさわしい人里離れた湯宿。

 

画像提供:湯屋天音

画像提供:湯屋天音

満天の星を望む貸切湯。

どうでしょう? 竹田市の温泉が気になってきたのではないでしょうか? これから詳しく紹介していきましょう。

 

【大分県竹田市長湯温泉エリアへのアクセス】

■レンタカー
竹田の温泉巡りは、レンタカーの利用がおすすめです。レンタカーがないと行きづらい温泉施設もいくつかあるためです。運転ができる方は、空港付近でレンタカーを借りましょう。

ちなみに、長湯温泉のある竹田までの近隣空港からの距離は下記のとおりです。
・大分空港から 約75km
・熊本空港   約80km
大分空港、熊本空港、どちらでも同じくらいの距離で、1時間40分程度かかります。

大分空港 レンタカー情報たびらいレンタカー比較 大分空港周辺タイムズ カーレンタル 大分空港店
熊本空港 レンタカー情報たびらいレンタカー 熊本空港検索タイムズ カーレンタル 熊本空港店

■公共交通機関を利用
公共交通機関を利用する場合は熊本空港からのアクセスがおすすめです。所要時間は大分空港からバスを利用するよりも1時間短く、バスの本数も多いです。

1.熊本空港→JR豊後竹田駅付近(「竹田温泉花水月」で下車)
熊本空港から特急バス「やまびこ号」に乗り、JR豊後竹田駅から徒歩3分の「竹田温泉花水月」で降ります。所要時間は1時間25分、料金1,750円。一日に7便でています。
時刻表は「産交バスポータルサイト」で確認できます。

2.JR豊後竹田駅付近(「竹田温泉花水月」)→長湯温泉
「JR豊後竹田駅」から「長湯温泉」行のバスが出ています。時刻表はこちらを参考にしてください。

 

【炭酸泉(二酸化炭素泉)】の魅力と効能

竹田市には、日本では珍しい炭酸泉がいくつかあります。

炭酸泉とは、温泉1リットル中に1000mg以上の炭酸ガス(遊離二酸化炭)が溶け込んでいる温泉です。(平成26年に改訂された温泉法の泉質10分類では二酸化炭素泉と呼ばれていますが、この記事では炭酸泉という言葉を使います。東京の銭湯などで「炭酸泉」として馴染みがあることと、炭酸のシュワシュワ感がイメージしやすい言葉だからです。)

「温泉1リットル中に1000mg以上の炭酸ガス」と聞いてもイメージしづらいですよね…。わかりやすく説明する時には、「しゅわしゅわの炭酸系入浴剤を約10~25個お風呂に入れたような感じ」と表現されます! 想像できましたか?

最近は首都圏の銭湯などで人気の炭酸泉ですが、今回ご紹介する竹田市の炭酸泉は天然温泉です!

この炭酸ガスは、皮膚から体内に吸収されて毛細血管を拡張。血行を促進してくれます。また、心臓の拍動を増加させなくても血液の循環がよくなるため血圧を下げる効果があることから炭酸泉は「心臓の湯」とも呼ばれています。

ちなみに、炭酸ガスが効果を発揮するのは気泡の炭酸ガスではなく、お湯に溶け込んだ細かな炭酸ガスで、これらが皮膚から身体に吸収されます。竹田市の温泉は、泡付のいい炭酸泉とさほど体中に泡がつかない炭酸泉がありますが、泡付の有無に関わらず効果が期待できます!

炭酸泉は、その性質上温度が上がるとガスが抜けてしまうので、40℃以下の泉温のものがほとんどです。入浴中はひんやりしますが、血行促進効果で湯上りは徐々にぽかぽかとしてきます。

それでは、私が行ってみた炭酸泉を2湯ご紹介しましょう。

 

1.最高の泡付き!七里田温泉・下湯(したんゆ)・木乃葉の湯

竹田市の温泉で、一番泡付きを実感できるのが「七里田温泉 下湯(したんゆ)」です。エリア的には「久住高原温泉郷」に位置しており、地元の温泉組合が施設を運営しています。

 

IMG_2708

「下湯(したんゆ)」の浴室入口は施錠されているため、すぐ近くの「七里田温泉 木乃葉の湯」で入浴料金大人500円を支払い施設の鍵を借りましょう。

 

IMG_2775

木乃葉の湯から歩いて2~3分のところに施設があります。川のすぐ横にある素朴な建物です。

 

IMG_2778

脱衣所は簡素な作りですが、きちんと掃除されており清潔です。

 

IMG_2786

浴室は小さな湯船があるだけの簡素な作りです。

高濃度炭酸泉なので、浴室内に二酸化炭素が蔓延して中毒にならないよう、常に窓はフルオープンの状態です。特に二酸化炭素濃度が高いのは源泉や湯口のあたりです。換気のいい温泉ならさほど心配する必要はありませんが、源泉や湯口のあたりには顔を近づけないようにした方がいいでしょう。

 

IMG_2791

お湯の温度は36~37℃くらい。ぬるめの温度なので、夏場(5月~10月くらい)の入浴が特に気持ちいいですが、夏場は人気で混み合います。浴槽の大きさも限られているので、夏場に訪れるなら朝イチで訪れるなど、時間を工夫することをおすすめします。

秋冬は比較的空いています。このお湯の温度だと冬場の入浴は寒く感じられますが、ゆったり過ごせるのがいいところではあります。

 

IMG_2842

お湯が流れ込む管のまわりにはぶくぶくと泡立ちが。炭酸泉は毎分52.2L程度自噴。常にかけ流されている状態なので新鮮です。

 

IMG_2846

手をお湯に浸して10秒じっとしているとこの泡付きです!すごい。爽快。この温泉に溶け込んでいる炭酸ガス(遊離二酸化炭素)の量は、1500mgとも言われています。

 

IMG_2852

入浴時間の目安は一人60分までです。低温の炭酸泉ですが、しっかり入浴すると炭酸泉の効果で湯上りは身体がポカポカしてきます。

ですが、冬場などに訪れて「あたたまりたい!」と思ったら、帰りに鍵を返しに行くついでに「木乃葉の湯」へ立ち寄るのをおすすめします。また、「下湯」は簡素な共同湯なので、ゆっくり身体を洗ったりシャンプーをするのには「木乃葉の湯」を利用しましょう。

 

IMG_2738

木乃葉の湯は、内風呂と露天風呂があり、広々とした浴室です。

 

IMG_2732

泉質はマグネシウム・ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉。源泉の温度53.7℃で、ほどよい温度に調整されています。

 

IMG_2713

浴後に休憩する場所もあります。湯上りにのんびりくつろいではいかがでしょうか。

七里田温泉 木乃葉の湯・下湯(したんゆ)
住所:大分県竹田市久住町有氏4050-1
TEL:0974-77-2686
営業時間:9:00~21:00(最終受付20:30)
定休日:第2火曜日
木乃葉の湯料金:大人300円 、子供200円(中学生以下)、3歳未満 無料
下湯料金:大人500円 、子供200円(中学生以下)、3歳未満 無料
注意:七里田温泉木の葉の湯で施設の鍵をもらって入ります。
URL:https://konoha.sichirida-onsen.com/

 

2.交互浴に最適!モダンで洗練された「長湯温泉・ラムネ温泉館」

 

IMG_2867

元々は、地元民の間で評判の小さな温泉施設でしたが、2005年に現在の姿にリニューアルして「ラムネ温泉館」はスタートしました。建築家の藤森照信さんが手がけたこの建物は、モダンで洗練された雰囲気の中にもどこか懐かしさが感じられます。

温泉好きの間では知られた存在の竹田・長湯温泉でしたが、「ラムネ温泉館」ができてからは、近隣から若い人たちもこの地に訪れるようになりました。

ラムネ温泉館は施設が広く、泉温32℃の炭酸泉、泉温41℃のミネラル豊富な炭酸水素塩泉、サウナがあるため、交互浴を楽しむのにぴったりです。炭酸泉と炭酸水素塩泉での交互浴!贅沢ですよね…!

唯一のデメリットはとても人気なので日にちや時間帯によっては混雑してしまうこと。できれば平日の朝一くらいに行ってみて欲しいです。

 

IMG_2870

さてさて、まずは炭酸泉のある露天風呂からご紹介。外の景色を見ながらゆったりと浸かれます。

ちなみに、シャンプー、ボディソープは備えつけてありません。洗浄効果のある泉質なので、ボディソープを使うと、肌が乾燥することもあります。しっかりお湯で身体を流して入浴するのがおすすめです。

 

IMG_2890

泉温は32℃、炭酸ガスの量は1380mgの高濃度炭酸泉。湯船に浸かると細かい泡が身体中を包んでくれます。

 

IMG_2910

私は朝一番に撮影させてもらったのですが、湯船の上にぶくぶくの泡が浮かんでいる様子が見られました。

 

IMG_2881

そしてこちらが炭酸水素塩泉の内風呂です。泉温は41℃なので、しっかり身体があたたまります。

 

IMG_2886

サウナも!

 

IMG_2955

家族風呂もあります。1時間一室 2,000円。こちらにも、41℃の炭酸水素塩泉と32℃の炭酸泉2つの湯船があります。

ライトに照らされて泡の様子が見えます。

炭酸泉の泡付きは大浴場より少なめですが、冒頭でお伝えしたようにお湯の中に溶け込んだ炭酸ガスが皮膚から吸収されて血行を促進してくれるので、泡が付かなくても炭酸泉の効果は期待できます。

シャンプー・ボディーソープ、その他の備品等も備え付けてあるので、ゆっくり過ごしたい方におススメです。

 

IMG_3000

そして湯上りに寄って欲しいのが併設された美術館。入浴客には無料で開放されています。

長湯温泉に滞在し、久住連山を描いた高田力蔵画伯や、高田画伯に招かれて竹田~久住を周遊した文豪・川端康成の手紙などの常設展示を行っています。

 

IMG_2993

3匹のねこたちが案内してくれますよ。

 

IMG_3008

温泉水も販売されています。

ラムネ温泉館
住所:大分県竹田市直入町大字長湯7676-2
TEL:0974-75-2620
営業時間:10:00~22:00
定休日:毎月第1水曜日(※1月と5月は第2水曜日定休)
料金:大人500円、小人(3歳~小学生)200円、3歳未満無料
家族風呂1時間 2,000円 (電話予約不可、現地先着順)
※営業時間前にお越しの方は、入口に整理券を設置しておりますのでご利用ください。
URL:http://www.lamune-onsen.co.jp/

 

【炭酸水素塩泉】の魅力と効能

ふたつの炭酸泉をご紹介しましたが、竹田の温泉は「炭酸水素塩泉」も要チェックです! ナトリウム(重曹)が皮膚表面を柔らかくし、さっぱりと汚れを落としてくれるので浴後は爽快です。このことから「美肌の湯」とも呼ばれています。

さらに、竹田の炭酸水素塩泉はカルシウム、マグネシウム、ナトリウム(重曹)などのミネラル成分が特に豊富です。

 

IMG_3079

濃厚な成分が油膜を張ったようになることも。

ちなみに温泉を説明する時によく使われる「美肌の湯」という表現ですが、汚れ落としのクレンジング効果がある泉質のことを指します。炭酸水素塩泉などの洗浄効果の高い温泉に入った後は、お風呂上りに保湿クリームなどを塗ってしっかり保湿するのがおすすめです。

また、竹田の炭酸水素塩泉は、炭酸ガスを多く含んでいるところもたくさんあります。先ほどの炭酸泉の説明で、温泉1リットル中に1000mg以上の炭酸ガス(遊離二酸化炭)が溶け込んでいる温泉が炭酸泉と説明しましたよね。つまりは1000mg以下ですと分類上は炭酸水素塩泉になってしまうのです。しかし、たとえ炭酸ガスが500mg程度であっても血行促進効果は期待できます。

竹田の炭酸水素塩泉は、施設が多くさまざまなタイプの温泉を楽しめる上に、施設ごとに泉質が少しずつ異なるので、ぜひいろいろ入浴して自分なりのお気に入りを見つけてもらえたらいいなと思います。

私が入浴したところをいくつかご紹介しますね。

 

1.絶景貸切湯でビールを飲みながら入浴「湯屋天音」

 

IMG_3153

長湯温泉の中心エリアから車でおよそ10分。のどかな田園風景を通り抜けた芹川沿いに「湯屋天音」はあります。

 

IMG_3197

とってもかわいい番頭さんが出迎えてくれました。名前はチビちゃん。

「湯屋天音」でぜひ利用してほしいのが貸切湯。「湯屋天音」には大浴場と、全8室の貸切湯があります。貸切湯は45分1,500円、60分1,800円、90分2,500円と、利用時間によって料金が変わります。

 

IMG_3199

貸切湯利用の際は、シャンプー、リンス、ボディソープを貸し出してくれます。

 

IMG_3169

どの貸切湯も芹川沿いにあり、川のせせらぎ音を聞きながら入浴できます。

ぬるめの泉温の露天風呂とあたたかい内風呂。泉質は炭酸水素塩泉です。メタケイ酸が214mgと豊富で、浴後は肌がしっとりと落ちつきます。

 

提供:湯屋天音

提供:湯屋天音

そして、なんとビールを飲みながら入浴できるんです! 500円で麒麟一番搾りを頼めます。注文は入店時でも、貸切湯からの内線でもOK。

 

提供:湯屋天音

提供:湯屋天音

夜は、まるで降ってくるような満天の星。あたりはのどかな田園地帯なので、星空がとりわけきれいです。

川のせせらぎ音、美しい星空、最高の温泉、ビール、これ以上の贅沢があるでしょうか?日常の喧騒を静かに洗い流してくれるようです。

 

提供:湯屋天音

提供:湯屋天音

夕焼け空もきれいです。

貸切湯は当日のみ、電話予約を受け付けてくれます。予約をお願いする場合は、時間に余裕を持って訪問しましょう。キャンセルなどは早めに連絡してください。

最近は電話予約を受け付けてくれる貸切湯はとても貴重です。なぜなら、連絡なしのキャンセルなどで不利益をこうむってしまうことが多いため、電話予約不可の貸切湯がほとんどだからです。

「湯屋天音」では、当日電話受付で予約に応じてくれています。それも、ゆったりと最高のロケーションで温泉を楽しんでもらいたいという店主の心遣いがあってのこと。

 

IMG_3121

訪問時間が読めない方は、貸切湯でなく大浴場の利用もよいかと思います。大人500円。広々とした浴室で、露天風呂もあります。

湯屋天音
住所:大分県竹田市久住町大字栢木(かやぎ) 6532-1
TEL:0974-77-2620
営業時間:10:00〜23:00(最終受付:22:00)
定休日:第2、第4火曜日 ※臨時休業あり
料金:大浴場 大人500円、小学生以下300円
家族風呂 45分1,500円、60分1,800円、90分2,500円
※家族風呂の予約は、当日に限り電話で受け付けています。
URL: http://yuya-amane.com/

 

2.柱状節理と析出物が作りだす自然のアート「山の湯 かずよ」

 

IMG_3232

「湯屋天音」から2~3分ほど、同じくのどかな田園風景の中にある「山の湯 かずよ」。私が訪れたのは9月下旬で、稲穂が黄金色に実っていました。

 

IMG_3203

「山の湯 かずよ」の魅力は、まずそのダイナミックな浴室の景観です。男湯と女湯の仕切りには、長さ約2メートルの柱状節理が置かれています。

柱状節理とはマグマが冷えて固まる時に、収縮して柱状に形成された岩です。この迫力ある柱状節理は、9万年前の阿蘇山大噴火の時のもの。地球の歴史と火山の力強いエネルギーを感じさせてくれます。

昔はもっと黒くツヤツヤと輝いていたそうですが、徐々に温泉成分が付着して色が変わってしまったそう。

 

IMG_3230

そしてさらに、ダイナミックな景観を演出するのは温泉の析出物。「山の湯 かずよ」の温泉はマグネシウムやナトリウムを豊富に含んだ炭酸水素塩泉なのですが、これらの濃厚な成分が固まって独特の景観を作り上げています。

 

IMG_3216

湯口から出る源泉が、析出物の上を取って浴槽に注がれます。この析出物の景観は、丁寧に削り出してこのような形状になっています。女風呂は丸い感じの析出物ですが、

 

IMG_3225

男風呂はこのように平な感じに削られています。

そのままだと析出物でガサガサになってしまう浴槽の底なども、丁寧に削って手入れされており、入浴していても肌さわりが優しいのがありがたいです。

「山の湯 かずよ」の立ち寄り湯は火・金の週2回はお休みになってしまうのですが、それは析出物の手入れに時間をかけているからです。見過ごされてしまいそうにささやかですが、ここの浴槽の底や浴室の床は本当に肌さわりが滑らかです。それは日々、この温泉を守るために額に汗してお手入れしてくれているからこそ。

温泉は自然の恵みではありますが、それは人の手が入っていないと守られない部分もあることに気づかされました。

 

IMG_3214-3

翡翠色のお湯も美しいですね。メタケイ酸も266.5gと豊富で湯上りは肌がしっとりします。

 

IMG_3217

ぬるめの露天風呂もあるので、ゆったりと入浴を楽しめます。

山の湯 かずよ
住所:大分県竹田市直入町大字長湯字横枕2405
TEL:0974-75-3075
立ち寄り入浴:11:00~14:00
定休日:火・金
料金:500円
URL:http://yamanoyu-kazuyo.com/
参考サイト:Yahoo!トラベルじゃらん楽天トラベル

 

3.温泉の原風景を愛する湯守が営む「郷の湯旅館」 長湯温泉

 

IMG_3289

長湯温泉の最上流にある「郷の湯旅館」。訪れた人をまず出迎えてくれるのは、析出物で覆われた迫力ある川沿いの風景。かけ流しの温泉が流れ込み、川沿いの風景を染め上げています。

 

IMG_3282

澄んだ山里の空気が気持ちいいです。夏は蛍が夜空を彩り、秋はトンボが枯野を赤く染める、四季折々の風情を感じられる場所です。

 

IMG_3281

「沸かさず」「薄めず」「循環せず」。何よりもお湯を大切に扱う湯守の営む「郷の湯旅館」。正直なところ、充実した設備などの快適性を強く求める人には不向きです。泉質にこだわる秘湯好きこそ、訪れてほしい温泉です。

 

IMG_3248

浴室はいくつかあるのですが、析出物の手入れなどの関係上、どの浴室になるのかはその時によります。私がこの日入浴させてもらったお風呂を紹介しましょう。

まるで析出物をくりぬいて作ったような浴槽。木造の浴室と相まって自然の風合いが心地よく感じられます。窓の外には木々の緑が見え、木々を揺らす風の音が静かに聞こえてきます。

 

IMG_3266

泉質は炭酸水素塩泉。マグネシウムやナトリウムなどの成分が豊富で、訪れるタイミングによってはこれらの温泉成分が膜を張っています。触ってみると、ザクザクとした感触がして面白いです。

 

IMG_3275

タイミング次第なので、膜が見られなくてもがっかりしないでください。これらの温泉成分はしっかり温泉に含まれているので、のんびりゆったり浸かっているうちに感じられるものはあるはずです。

 

IMG_3260

こんな大きめの浴室もありました。翡翠色のお湯と黄土色の析出物のコントラストが美しいですね。

 

IMG_2455

こちらで作っているポストカードをいただきました。写真は、昭和初期の田植え風景を写したものです。このように農業を営む人たちが日々の疲れを癒すのに温泉に入っていたそうです。田んぼを切り開き、働く人たちの日々の生活を、温泉が確かに支えていたのでしょう。

この川上の秘湯を訪れたら、そんな人々の暮らしや営みにも思いを馳せてみると感慨深いです。

 

IMG_3292

私が訪れた9月末、周辺ではすでに稲刈りをすませた田んぼが見られました。

郷の湯温泉
住所:大分県竹田市直入町長湯3538-2
TEL:0974-75-2912
立ち寄り入浴:10:00~17:00(最終受付16:00)
定休日:不定休。事前にお問い合わせください。
料金:500円  貸切湯は2,000円~
URL:https://satonoyuryokan.jp/

 

 

4.食後にはビュッフェも楽しめる!「万象の湯」

 

IMG_3106

万象の湯は、駐車場も広く、施設も広く、家族連れや大人数での訪問にもおすすめです。薬膳バイキングも楽しめるので、入浴後にゆっくり食事もできます。

 

IMG_3017

芹川沿いにあり、足湯からは川と田園風景を一望できます。

お風呂は、源泉かけ流しの炭酸水素塩泉と露天風呂、ぶくぶく水風呂の3種類があります。大浴場の撮影はできなかったので、貸切湯をご紹介しましょう。

 

IMG_3024

貸切湯は50分2,000円~。脱衣所にはドライヤーが備えつけられており、快適です。

 

IMG_3030

こちらは、ぶくぶく水風呂と源泉かけ流しのマグネシウム・ナトリウム- 炭酸水素塩泉。

 

IMG_3064

万象の湯のイチオシはぶくぶく水風呂。その正体は炭酸を含んだ地下水です。温度は年間を通して25℃前後なので、季節によっては入浴にかなり思い切りがいりますが、夏場は特に気持ちいいのだとか。

 

IMG_3031

露天風呂では、芹川のせせらぎが心地よく聞こえてきます。

そう。こんな風に。癒やされますね。

 

IMG_3048-2

湯上りにはビュッフェを楽しんではいかがでしょうか? 地元野菜のサラダや揚げ物、煮物、デザートなど全36種類のメニューとドリンクバーが付いて大人1,500円です。(子ども10~12歳1,200円、4~9歳700円、3歳以下無料。65歳以上のシニアは1,000円)

席数も多いく、家族連れにもぴったり。湯上りにのんびりランチやディナーを楽しめます。

万象の湯
住所:大分県竹田市直入町大字長湯3264-1
TEL:0974-75-3331
立ち寄り入浴:9:00~21:30(最終受付21:00)
定休日:無休
料金:大人500円、小学生以下150円 貸切湯は50分2,000円~
URL:http://www.bansyounoyu.com/
参考サイト:じゃらん楽天トラベル

 

5.開放感あふれる露天風呂。長湯名物の「ガ二湯」

IMG_3135

温泉宿が立ち並ぶエリアの芹川に、長湯温泉名物の露天風呂「ガニ湯」があります。村の美しい娘に恋をしたカニの悲しい伝説が残る場所です。

 

画像提供:ツーリズムおおいた

画像提供:ツーリズムおおいた

無料で誰でも24時間入浴可能です。混浴で、女性は水着着用での入浴が可能。入るのにかなり勇気はいりますが、自然の開放感あふれる温泉です。夏には蛍が見られることもあるそう。風流ですね。

源泉の温度は37℃。冬場はかなり寒くなるので、夏場の入浴がおすすめです。泉質は炭酸水素塩泉ですが、炭酸ガスが多めに含まれています。

 

IMG_3132

ガ二湯のある周辺は、温泉宿が立ち並ぶエリアです。ゆったり散歩などして過ごすのがおススメです。

ガ二湯
住所:大分県竹田市直入町長湯
URL:https://www.visit-oita.jp/spots/detail/4453

 

6.3階建ての豪華な施設「温泉療養文化館・御前湯」

 

画像提供:ツーリズムおおいた

画像提供:ツーリズムおおいた

1998年に長湯温泉のシンボル的施設としてオープンした「温泉療養文化館・御前湯」。その起源は、江戸時代に岡藩の殿さまによって整備され、湯治に利用されたことにあります。

3階建ての施設は広く、大浴場、冷泉、サウナ、露天風呂と充実した設備です。

 

画像提供:御前湯

画像提供:御前湯

こちらは一階の大浴場。露天風呂と冷泉、サウナもあります。泉質は炭酸水素塩泉で遊離炭酸ガスは854.7mgと多めです。

 

画像提供:ツーリズムおおいた

画像提供:ツーリズムおおいた

この光あふれるお風呂は3階の大浴場。窓から見える緑があざやかです。1階と同じく露天風呂と冷泉、サウナもあります。泉質は炭酸水素塩泉で離炭酸ガスは918.4mgと多め。

1階も3階も冷泉、サウナがあるので、交互浴好きにも嬉しいですね。1階と3階は、男女入れ替え制です。1階大浴場は、奇数日は女性専用、偶数日は男性専用。3階大浴場は、奇数日は男性専用、偶数日は女性専用です。目当てのお風呂があるなら、日にちを合わせて訪問しましょう。

「温泉療養文化館・御前湯」
住所:大分県竹田市直入町長湯7962-1
TEL:0974-64-1400
立ち寄り入浴:6:00~21:00
定休日:第3水曜日
料金:大人500円、子ども(小学生)200円、6歳未満は無料
貸切湯は50分2,000円
URL:http://www.gozenyu.com/kannai.html

 

7.200円を入れると開く自動ドア。地元民が利用する「長生湯」

 

IMG_2031

最後に、面白い温泉を見つけたので紹介します! こちらの長生湯、なんと200円入れると自動ドアが開いて入れる仕組みになっているのです。さすが温泉王国・大分。

 

IMG_2035

レバーを押して自動ドアの前に入り、200円を入れます。そしたら自動ドアが開くので、すかさず中に入りましょう。ここでもたもたしているとドアが閉まっちゃいます!

100円玉しか受け付けないので、小銭がないと入れません。この温泉に入りたい方は、あらかじめ100円硬貨2枚を用意しておきましょう。

 

IMG_2036

脱衣所は素朴ながらの清潔で広く、快適です。

 

画像提供:大分県観光情報公式サイト

画像提供:大分県観光情報公式サイト

泉質は炭酸水素塩泉。遊離炭酸ガスは757.9mgです。200円で入れる共同湯なのに、お風呂は広く、特に壁の木材が新しくて心地よかったです。地元の方が何人も入れ替わり立ち代わり入ってきました。

長生湯
住所:大分県竹田市直入町長湯7993-3
TEL:0974-75-3111(長湯温泉観光案内所)
立ち寄り入浴: 6:00~22:00
定休日:第4水曜日
料金:200円
URL: https://www.taketan.jp/spots/detail/171

 

さいごに&温泉マップ

 

IMG_3139

というわけで、大分県竹田市の温泉をいろいろ紹介してまいりました。炭酸泉に炭酸水素塩泉、それぞれすばらしい温泉施設がたくさんあります。

最近では、竹田市が「日本一の炭酸泉」宣言を行ったことにより、炭酸泉を目当てに訪れるお客さんが増えているようですが、炭酸水素塩泉もすばらしいということはしっかりお伝えしておきたいと思います。(竹田市の温泉はほとんどが炭酸水素塩泉です)もちろん炭酸泉も最高なのでぜひ入浴を!

また、竹田市の温泉に入浴して「泡が付かないとがっかりしてしまう」なんて声も聞きましたが、泡が身体に付かなくても、温泉に溶け込んでいる炭酸ガスが効能を発揮します。身体中を泡が包む感覚は面白いのでぜひ体験してもらいたいのですが、その時の条件や施設によってはさほど泡が付かない場合もあるので、そんなときにがっかりしないでほしいです。

北に九重連山を望み、南には歴史ある城下町の街並み、そして芹川の流れる穏やかな田園地帯の竹田市。素朴で美しい風景は、日常の喧騒を忘れて過ごすのにふさわしい場所です。ぜひゆっくり温泉を楽しんでくださいね。

今回紹介した温泉の位置関係は、こちらのマップを参考にしてください。

それでは、よい旅を!

撮影・執筆:ちえ(@kirishimaonsen