老後の生活って楽しい?巣鴨地蔵通りで「おばあちゃんのオススメスポット」を聞く
おばあちゃんの原宿、巣鴨のトレンドを聞きました!とげぬき地蔵で有名な巣鴨は若者には謎多きスポットですが、もしかしたら歳を重ねたときに明るく生きるヒントが隠されているかもしれません。その巣鴨でライターがお店の人やおばあちゃんにお話を聞き、幸せのヒントをお伝えします!おいしそうな和スイーツもあり、ゆったりした雰囲気で若い人でも巣鴨の魅力にはまってしまうかも。
こんにちは! ライターの佐々木ののかです。
最近の趣味は、貯蓄と生命保険、株投資の勉強です。
そんなわたしが興味があるのは、老後の生活。つまり、おばあちゃんたちの生活です。
膝が痛いとか年金暮らしも楽じゃないとか孤独死とか、老後の生活に関して不安な言葉がたくさん聞かれるじゃないですか。明日の生活もわからないのに、老後なんてますます不安。老後の生活って本当にそんなに暗いものなの?
老後の生活にも夢見たい!
というわけで今回はイケてるおばあちゃんたちの聖地である巣鴨で、おばあちゃんたちの暮らしぶりやトレンドを調査してきました!
目次
巣鴨地蔵通り商店街
やってきたのは巣鴨地蔵通り商店街。江戸時代の中期から商業の中心地として栄えてきたこの街が「おばあちゃんの原宿」と呼ばれているのはあまりにも有名。
ここならナウいおばあちゃんたちがたくさんいるはずです。
しかし、無情にもこの雨。休日は老若男女問わず、人で賑わう地蔵通りですが、土曜日にも関わらず、この人通りの少なさです。
しかも私情ではありますが、取材に来たのは実は2回目。1回目はあまりに取れ高が悪く、諦めて帰ってしまったので、今回を手ぶらでは帰れません。
気持ちがどんどんしぼんでいくわたしでしたが、気になる看板を目にします。
遠赤外線畳ベッドで岩盤浴気分 無料休憩所ひだまりや
明らかに怪しい匂いがしますが、とりあえず寒い。温まりたい。コンマ3秒のすさまじい葛藤の末、わたしは「ひだまりや」に入ることにしました。
ののか:ごめんください~。
そう言って入っていくと、中にいたのはおばあちゃんが3人ほど。すっかり悦に入り、今にも眠りそうに気持ちよさそうな表情をしています。これはヤバい。
ののか:ここって無料の休憩所なんですよね?
店員さん:そうですよ。まぁどうぞかけてください。今、お茶を淹れますから。
無料なのにお茶!?
ますます怖くなりましたが、人通りの少ない雨の日の巣鴨でおばあちゃんと話せるまたとないチャンス。取材を早く終わらせて撤退しよう……!
ののか:すみません。今、取材をしているんですけど、巣鴨で行きつけの場所とかってありますか?
おばあちゃん1:ないねぇ~。「ひだまりや」くらいじゃないかねぇ。
おばあちゃん2:そうそう、「ひだまりや」は私たちの仕事場。
おばあちゃん3:「ひだまりや」は、おばあちゃんたちの天国だよねぇ、ふふふ。
完全に黒だ。
店員さん:お姉さん、何茶にしますか?
ののか:あっ、わたしはもうおいとまするので……。
店員さん:せっかく来たんですから、ゆっくりしてください。ほうじ茶と緑茶とジャスミンティーもありますよ。
ののか:えぇっ! ジャスミンティーもあるんですか? あったかいやつ!?
店員さん:はい。じゃあホットのジャスミンティーを淹れますね。どうぞ、そこにかけてあったまってください。
ののか:あっ、いや、やっぱり……はい、座りますね、ありがとうございます……。
完全に帰るタイミングを失い、ド派手な暖房器具に足を突っ込むことに。高額なローンを組まされたらどうしよう……。
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はい、ひだまりや最高~~~!
ののか:いやぁ、ひだまりや最高ですね~。
おばあちゃん1:そうでしょう? だから早く入りなさい、って言ったのに~。
おばあちゃん2:毎日でも来るといいわよぉ。
ののか:あはは、毎日来ます~! 最高!
なんでもここは、遠赤外線で身体を温める床暖や医療機器を展開しているメーカーのショールームなのだそう。整体も受けられますが、無料休憩所は通りすがりの人でもサッと利用できる手軽さ。天国かな。
ちなみにさっきの機械の名前は「日だまり」。店内に流れている「長生きいきいきひだまりや」というBGMも最高なので、ぜひ聴いてほしいと思います。♪ひっだまりや~(ひっだまりや~)。
ののか:ところで、さっきの質問ですけど、巣鴨で行きつけの場所って他にありませんか?
おばあちゃん1:「サン・まつみや」じゃない?
おばあちゃん2:そうね、あと「マルジ」!
ののか:サン・まつみやとマルジ? 何屋さんですか?
おばあちゃん1:どっちもあなた、マルジも知らないの? 近くにあるから行きなさい。わたし今日これ、買ったの!
おばあちゃん2:厚地の半そで下着。色はベージュじゃなくて白がトレンドなんだってよ。しかもね、厚地で半そでってなかなかないのよ。冬は重宝するわよねぇ?
おばあちゃん1:わたしは半そでなんて着たことないわぁ。
おばあちゃん2:やだ、ノースリ? わっかいわぁ~、油断してると節々に来るわよぉ。
ののか:(ノースリって省略の仕方、新しいな)
おばあちゃん1:しかもこれ、680円よ。あなたも若いからって油断したらダメよ。
ののか:えっ、わたし?
おばあちゃん1:そうよ、マルジで680円の白い厚手のTシャツを買うのよ!
ののか:わ、わかりました……。
というわけで、次の行先はマルジに決定。さようなら、ひだまりや。わたしはマルジに向かいます。
巣鴨が誇る老舗激安ブティック「マルジ」
早速、おばあちゃんの激推しのあったマルジにやってきたわたし。
しかし
どんだけあるんじゃ、マルジ!!
さすがは創業64年の老舗洋品店。地元を大事にし、愛された結果なのでしょうが、それにしてもマルジありすぎです。
しかし、あれだけ激推しされた手前、おばあちゃんイチオシの厚地の白Tシャツを見つけるまでは帰れない……。1つずつ潰していくよりほかありません。
というわけで、まずやってきたのは赤パンツ館。
見渡す限りの赤、
赤、
赤。絶対にあの厚地の白Tシャツがあるはずがありません。次。
そうして探し回ること数店舗。
それにしても、
マルジ、破格すぎです。
あちこち回ってみましたが、わたしの年齢でも着られそうな洋服が激安価格で売られており、わたしより少し上くらいのお姉さんもちらほらいらっしゃいました。
しかし、ツカえる服がこんなに格安で売られているなんて、年金生活になってもオシャレが楽しめそうで安心です。年金もらう前に来るけど。
そうこうしているうちに無事、ベージュの下着の中に、おばあちゃんの持っていた白Tシャツも発見! 必要に迫られていないので今回は買いませんでしたが、商品がある場所を確認できたので、安心してマルジを去ることができます。
さようならマルジよ、また近々お世話になりますね。
オシャレなおばあちゃん御用達「サン・まつみや」
次にやってきたのは、ひだまりやのおばあちゃんにオススメされたオシャレなブティック「サン・まつみや」。巣鴨の地蔵通りに3店舗展開するお店。
スタイリッシュな店員さんに早速インタビューしてみます。
ののか:このお店には、どういう人が買いにくるんですか?
店員さん:ほとんど60歳以上の方、ご本人が来ますね。90歳くらいの方までいらっしゃいますけど、皆さんシャンとしていて、オシャレを楽しんでおられます。
ののか:90歳になったら、おめかし頑張れる自信がないかも。おばあちゃんすごい。
店員さん:ちなみにこれ、何のときに着る服だと思いますか?
ののか:すごくゴージャスですね! 普段着、じゃないですよね?
店員さん:まさか! これはカラオケ大会の衣装ですよ。
ののか:カラオケのときの、衣装!?
店員さん:このあたりのおばあちゃんたちはカラオケ教室に通って練習しているんです。大
会も定期的に市民ホールで行われていて、そのときにオシャレしたいからって、ここで服を
買っていくんですよ。
ののか:すごい! 人生を謳歌している! いい老後~!!!
ののか:ちなみに女将さんがオススメの巣鴨のお店って、どこかありますか?
店員さん:有名どころはいっぱいあるけれど、穴場がいいなら、「台湾」と「きりん」じゃない?
ののか:「台湾」と「きりん」?
店員さん:うん。台湾は台湾育ちの元気で気さくな女将さんがとにかくあれこれ勧めてきてくれるお店。
きりんは甘味処で、ほとんど材料から手づくりしているから、やっぱり味が違うわよね。地蔵通りの手前にあるわよ。
ののか:どちらも気になりすぎます。ありがとうございます。
女将さんに勧められてまずは「台湾」にやってきましたが、残念ながら臨時休業。サン・まつみやの女将さんによると「牛肉そば」と「鉄たまご」が特に美味なのだとか。破竹の勢いで鉄たまごをオススメされたかった。無念。
気を取り直して「サン・まつみや」の女将さんに勧めてもらったもう1つのお店、甘味処の「きりん」に向かいます。
材料ほぼ全て手作り! 創業51年の老舗甘味処「きりん」
最後にやってきたのは、地蔵通りの駅側にある甘味処のきりん。
赤と黒を基調にした和風な店内ですが、1階はおばあちゃんたちのことを考えてか、全席イスになっています。
ののか:ごめんください~! サン・まつみやの女将さんにオススメしてもらったんですが、いきなり取材でも大丈夫ですか?
店員さん:あら! サン・まつみやの女将さん、いつも来てくれるのよ。どうぞ入って、入って。
気さくな女将さんに出迎えられ、取材させてもらえることに。巣鴨、あったかい。
まずはサン・まつみやの女将さんの大好物だという「くず餅」(550円)をオーダー。普通のお餅とは違う弾力があり、しっかりと小麦の味がします。
お腹がいっぱいですが、せっかくなのでヤングに人気だという「クリーム白玉あんみつ」(810円)も頼みます。
甘味好き悶絶のこの瞬間。沖縄産の黒糖を使った蜜は固さがあり、他の具に負けない存在感がありました。
ちなみに寒天は西伊豆産、みつまめは富良野産など、産地にこだわった材料で全て手作りしているのだそう。
ののか:材料から手づくりしているお店って少ないんじゃないですか?
女将さん:そうですね。でも先代から受け継いできているこだわりだから、そう簡単にやめたくなくて。こんな小さい店だけど、実は創業51年なんですよ。
ののか:創業51年の老舗! 愛されている証拠ですね。
女将さん:ありがたいですよね。長い間お店をやっていますけど、最近はおばあちゃんだけでなく、若い子もよく来てくれて、新鮮な感じがします。
ののか:若い子も来るなら来やすいなぁ。ここに来れば、おばあちゃんたちと同じ空間で甘味が楽しめるというわけですね。癒しだ……。
女将さん:街も新旧が入り混じっているからか、お年寄りも若い子も楽しめる街になってきたと思います。若い子に来てもらったほうが、街にも活気が出ますしね。
ののか:むしろわたしのほうが街の人たちに癒された感じです。ほっこりあたたかい気分をありがとうございました。
まとめ「巣鴨のおばあちゃんたちの老後は明るかった」
あたたかな気持ちで終えた巣鴨の取材。今回、巣鴨に来てみて感じたのは、知らない人とも会話が生まれる街だということ。取材となると身構えてしまう方も多いですが、基本的には皆さん気さくで、おしゃべり好きな方々ばかりでした。
老後への漠然とした不安がありましたが、少なくとも巣鴨に来ているおばあちゃんたちは余生を謳歌しているようす。
こんな風に年を重ねたいなと数十年後に思いを馳せながら、巣鴨の街を後にしたのでした。