9ヵ月の息子を連れて旅行に行って、詰んだと思ったけどそうじゃなかった話
夏の海に一人佇む息子の写真が撮りたくて、沖縄まで来てしまいました。 どうですかこの後ろ姿、海の綺麗さ。 どこまでもどこまでも遠く海を、なんだか不思議そうに見つめる息子。 なんかあ~~~夏~~~海~~~~って感じで、我ながらいい写真が撮れたと思います。 語彙力はありません。
※この記事は「SPOT 旅に出たくなる記事コンテスト」の入選作品です。
ライター : アナコンダ(@aaaanakonda)
夏の海に一人佇む息子の写真が撮りたくて、沖縄まで来てしまいました。
どうですかこの後ろ姿、海の綺麗さ。
どこまでもどこまでも遠く海を、なんだか不思議そうに見つめる息子。
なんかあ~~~夏~~~海~~~~って感じで、我ながらいい写真が撮れたと思います。
語彙力はありません。
いやそもそも沖縄に来たのは写真のためではなく、結婚5周年記念の旅行でした。
最初から嘘ついてすみません。
毎年結婚記念日には旅行に行くのですか、今回5周年ということで奮発して沖縄です!
しかも!
9ヶ月の息子を連れて!!
さてここで9ヶ月息子のスペックです。
・めっちゃ早くハイハイできます。
匍匐前進が異様に速いです。
・つかまり立ちが出来ます。
ただ全く安定しないので次の瞬間後ろに倒れて泣くということが多々あります。
・授乳が日に5~8回。
オッパイ大好きマン過ぎてひたすらに吸ってます。同世代の子と比べるとやや多い方だと思われます。
・離乳食なんでも食べます。
基本食べ物の好き嫌いはなく、豆腐、麺を特に好んで食べます。ちなみに母親である私は豆腐が世界で一番嫌いな食べ物です。
・めっちゃ泣く
新生児のように、お腹減った~オツム~眠い~だけではなく、自分の気に入らないことがあると泣くぞ!!!という逞しさを持つようになった時期でした。
と、まぁこのスペックを見ただけで、ん?これ詰んでる?子供連れて沖縄旅行とか無理じゃない??と今でも思います。
これはそんな詰んでると思われた夏の旅行と、旅行に行って母親である私が思ったことの話です。
まず、私たちは関西に住んでいますので、飛行機で沖縄に向かいます。
飛行機、赤ちゃん連れ。並んではダメな字面ですが諦めて乗りました。
関西から沖縄まで二時間もかかるんですよこれが~!
泣き叫ぶ子供を膝に乗せて飛んだ飛行機を私は二度と忘れないでしょう。もう二度としたくない。
夏なので息子の髪の毛が熱と汗によって逆立ちになり、私も脇や顔に変な汗をかきながらもなんとか授乳して寝かしつけ、ふと気づけば沖縄が下に見えていました。
汗まみれの息子はぐったりと眠っております。
そんな息子を見ながら、私と夫は
「もしかしてこの旅行ってただの私たちのエゴなのでは…」と小声で話していました。
その後の沖縄旅行の様子は簡単なダイジェストでお送りしますが、ホテルのプールに入れて嫌すぎて怒り泣きし、美ら海水族館では暗闇が嫌で泣き叫び、おきなわワールドでは鍾乳洞の水滴が頭に落ちてきて泣き、首里城でも終始機嫌が悪くピクリとも笑っていない写真ばかり撮れました。
というか基本的に写真は無表情か人を殺す目つきをしたものが多くなりました。残念~!
夫婦二人だけで行くのとは全く違う、そんな旅行で三人ともヘトヘトになって二泊三日の旅行を終えました。
それで、行っていた時は本当に大変で疲れていて変な汗ばっかりかいてたんですが、少し時間の経った今、「あ~行ってよかった」と思うようになりました。
でもそれは多分、息子のためではなくて、完全に私たちのためだったのだと思います。
もう完全に旅行って、親のエゴ。
あっつい夏にあっつい地域連れ回して本当にごめん~!!
でも、父ちゃんと母ちゃんは、あなたと一緒に旅行行けて本当に楽しかったよ~!!
初めてのプールに入れて、全身で「俺は~~!プールが嫌だ~~~~!!」とばかりに泣き叫ぶ姿が本当にいとしかった。
急なスコールに目をぱちぱちさせる顔がかわいかった。
島豆腐をパクパクおいしそうに食べて、食べさせすぎて吐いた時はごめんって思った。
美ら海水族館で、魚を目で必死に追うのを見て抱きしめたくなった。
ジンベエザメちょっと怖かったね、でも水槽にいるから大丈夫だよ。
首里城暑かったね、シークワーサージュース飲ませたら変な顔してたね!すっぱかったかな?
おきなわワールドの鐘乳石、触ると冷たくて気持ちよくて、思わずにこってしてくれたね。
長い鍾乳洞の中でずっと抱っこしてくれてた父ちゃんもありがとう!
良い天気で、青空と海が広がる中、浜辺にぽつんと座るあなたのなんとかわいいことか!
きっと息子は覚えてないでしょう。
私たちだっていつかは忘れてしまうけれど、それでも三人で旅行ができて良かったな~と、写真やビデオを見てしみじみ思うのです。
泣き顔、怒り顔、笑い顔色んな顔の息子を、いつもと違う場所で見たかった。
覚えていないと知っているけど、このきらきらした目に、新しい景色を見せてあげたかった。
えーえ、親のエゴですとも。
だからなにもいりません。
ただ、息子がそこにいてくれれば私たちはなにもいらないと、そう思ったのです。
暑い夏の日、私はこの沖縄旅行は積んだwと思っていましたが、過ぎてみれば大成功だったのだと思います。
毎年夏が来たらふと思い出すんでしょう。
暑い中クーラーをガンガンに効かせた車で、海ばかり見える道を走ったこと。
汗まみれでいつもより重たく感じるあなたを抱っこして水族館を周ったこと。
定食屋で頼んだ謎の魚のからあげがとてもおいしかったこと。
抱っこしてアイスを食べていたら欲しがったので、あげてみたら渋い顔をしたこと。
帰りの飛行機で泣きながら眠ったあなたと、窓の外のきれいな夕焼け。
数え上げれば本当にきりがない。
そうしていつか、今度は息子が記憶に残るぐらい大きくなったら、また行けたらいいなとそう思うのです。