コロナ後の観光はどうあるべきか。おっさんが好き勝手にアドバイスしてきた

※本日の記事は、旅行業界に対してド素人のヨッピーさんが思いつきで好き放題言うだけの記事です。
※「あー、ド素人が何も知らずに好き勝手言ってらw」みたいな、生暖かい目で見て頂ければ幸いです。

こんにちは。普段はライターをしております。ヨッピーです(写真右)。
死ぬほど旅行が好きなので、現在はこのおでかけメディア「SPOT」の編集長もしております。

本日は「全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会」通称「全旅連」青年部の会合「全国旅館・ホテルサミット2021」がZoom上であり、「ついでにヨッピーさんみたいな専門外の人の意見も聞いてみたい」とおっしゃって頂いたので意気揚々と乗り込んできました。

この時代に宿としてどのように新しい価値を提供していくかの話合いが設けられており、「分散型旅行」についての取り組みや、コロナ後一斉に始まるインバウンド等、宿も変わらないといけないという強い意識の元、色々改革が進んでいるよう

ちなみに全旅連はホテルや旅館だけではなく、キャンプ場やペンション、民宿の事業者などなども加盟しており、宿泊業における国内最大規模の組織らしい。加入施設は15,000オーバー!

そこで本日は、コロナ禍の業界をけん引している青年部の部長、鈴木さん及び副部長の星さん相手に「日本のホテルや旅館、もっとこうしてくれ!」みたいな話を好き勝手にしてきたのでお届けしたいと思います!

鈴木部長(写真右)と星副部長(写真左)※肩書きは取材当時

鈴木 治彦
全旅連24代青年部長。   岡山県・名泉鍵湯「奥津荘」社長。
コロナ禍において全国の宿泊業界若手経営者をまとめ、宿泊業界復活に向けて尽力。

星 永重
全旅連青年部副部長(取材当時)。   福島県・会津湯野上温泉「藤龍館」社長。
4月からは鈴木部長の後を受け継ぎ、25代青年部長としてコロナ禍の業界をけん引している。

二人ともだいぶマッチョだし粗相があったらぶん殴られるかもしれない。

よろしくお願いします!「好き放題言ってください!」というのは嬉しいのですが、「僕みたいなド素人の人間の意見を聞きたいって、旅行業界、そんなにヤバいのか……」という感想を持ちました!

もちろん、コロナ禍で大打撃を受けているのは事実なんですが、その一方で今はお客さんが少ないので仕込みの時期とも言えるんですね。時代の変化に対応して、業界が強くなるためにも良いチャンスだと思って、是非とも業界外からの意見を聞かせて頂ければ!今日は「聞き役」に徹しますので、ガンガンお願いします!

わかりました!じゃあ好き放題言います!まずはこれ!

SNSをちゃんとやってください!!

宿泊業者はSNSちゃんとやるべき

えー!やってますよ!FacebookとかTwitterとかInstagramとか!今回のサミットでも、「今だとClubhouseの活用とか、同じ趣味嗜好を持つ仲間が集まるSNSで発信していこう」という意見も出ていました。

本当に~?僕、どっか泊まる時はだいたい、そのホテルの公式SNSがあるか確認するんですけど、ちゃんとやってる所めちゃくちゃ少ないですよ……?

いや、ほんとに!やってるメンバーの方が多いと思います。

嘘やん!ちなみに。ドーミーインさんとかって全旅連のメンバーですか?

ドーミーインは会員ですね。青年部は各県での加盟になるので、全県ではないかもしれないですが。

あ、良かった。なら好き放題言える!例えばドーミーインなんですけど、各地のドーミーインがバラバラとアカウントを持っているだけで、ちゃんとした全体の公式アカウントが無いし、各地のドーミーインも毎日更新してなくてほぼ止まってるんですよ。ちなみにアパホテルも同じような状況です。僕ドーミーイン大好きなので、統一したアカウントでもっと更新してくれると嬉しいんですけど。

あー。なるほど。「ちゃんとやってる」「ちゃんと更新してる」っていう意味だと、アカウントはあってもちゃんとやってる所は少ないかもしれない……。

でしょう。石垣島にある「THIRD 石垣島」っていうホテルなんかはちゃんと運用してるし、写真の出し方とかも上手くて、やっぱりSNSで人気があって集客も出来てるんですよ。今後、SNSの使い方が上手い所とそうじゃない所の格差がどんどん開いて行くんじゃないかなと思っていて。

THIRD 石垣島のTwitterアカウント。「おじさん構文」まで使いこなしている。

でね、その「アカウントは一応持ってるけど更新してない」って状況の所が多いんだとしたら、最初はきっと「これからはSNSで集客するんやー!」って息巻いて頑張るんだけど、頑張って更新してもフォロワーも増えないし「いいね」も「RT」もなかなかつかないし、当然SNSから集客なんて出来なくて「あんま意味ねえな。掃除してたほうがマシじゃん」ってやめちゃうのかな、って。ドーミーインとかアパホテルみたいな大手で知名度がある所でもそうなら、地場の旅館なんかだとフォロワー増やすのもっと大変。

まさにそうですね。

ただ、SNSのフォロワーって指数関数的に伸びるんですよ。


こんな感じで。だから最初、フォロワー1,000人くらいまでが一番しんどいし、最初の内は何やってもダメで、ずっと我慢の虚無の時間が続くんですよね。「これ、誰が見てるんだ?」って。そこに耐えられなくてみんな辞めちゃう。

でも、ずっとやってればだんだんリアクションも増えて楽しくなってくるし、どっかでハネるタイミングが来るかもしれない。もちろん広告会社使ったりインフルエンサー起用したりでお金使えばもう少し効率的にやれたりはしますけど。

ちなみに、ヨッピーさんが「ちゃんとやってるな」って思うのはどこですか?

星野リゾートなんかはやっぱり「ちゃんとやってるな」って思いますよ。コロナが来た時にわーっと発信が増えた。社長もばんばんテレビに出るし色んな所のインタビューにも答えてて露出が増えてましたよね。もちろん元々知名度あって注目されてるっていうのもあるんですけど。


星野リゾートの公式Twitter。

「マイクロツーリズム」っていう言葉は丁度コロナにハマりましたもんね。

そう。その辺もうまい。でね、SNSのフォロワーを増やそう、とかSNSで集客するぞ、とかももちろん大事なんですけど、何より大事だなって思うのが「SNSで今何が流行ってるかがわかる」っていう部分だと思うんです。「自粛警察の皆様お疲れ様です!プラン」って覚えてます?

完全に喧嘩売ってる… 石川の旅館が用意した「自粛警察お疲れ様プラン」が話題に
https://j-town.net/tokyo/column/gotochicolumn/305052.html

ありましたね!Yahoo!でかなり上の方に居たの覚えてます。

そう。「森の栖(すみか)」っていうホテルかな?宿泊代の半額を医療従事者向けに寄付するっていう。これが爆発的にウケて色んなメディアに取り上げられたり。こういう発想って、中の人がSNSやってて「自粛警察が問題視されてるなー」とかそういうのを見て拾ったんですよねたぶん。
他にも「卒論執筆パック」とかもあって。

これは「The Ryokan Tokyo YUGAWRA」ですね。今日ちょうど、皆さんの会議中にも「ワーケーション※やろう」っていう話が出てて、「でも他とどうやって差別化しようか」っていう話になってたんですけど、これはちょうど良い事例だなと。

※ワーケーション……「ワーク」と「バケーション」を合体させた造語。テレワークなどを活用して温泉地の旅館などで滞在しつつリゾート気分で働こうぜ、みたいなやつ。

この「卒論執筆パック」もTwitterで話題になって割とすぐ売り切れたらしいんですけど、中身を見ると「コーヒー紅茶が飲み放題」「Wi-Fi、卓上ライト完備」「エナジードリンク1本付き」っていう感じで、何が言いたいかと言うと皆さんのホテル・旅館でもきっと同じ事をやれたんですよ。思い付きさえすれば。

これもSNSやってて「卒論やべ~」みたいな事言う人たちの声を拾って企画にしてると思うんですよ。こういう温度感とかその時に何の需要があるのか、みたいなのって、SNSやってないと絶対わかんないと思うんです。

なんなんでしょうね?言われてみればまったくもってその通りなんですけど、それを実行するまでに何かしらのハードルがあるんでしょうね。見えないハードルが。

さっき皆さんの会議を拝見している時に、「有休消化の時期だから~」みたいな話も出てましたけど、それなら「有休消化プラン」ってばーんと出しちゃえば良いと思うんですよね。10連泊とかで。有休が溜まってる人が見たら「あ、行こうかな」って刺さる。

普通に「10連泊のプランです!」って出されても「10日も会社休めるか!」ってなるけど、「有休消化です!」って言われたら「あ、確かに俺有休溜まってるわ」って思い出す人も出るじゃないですかきっと。それで「昼間からビール飲み放題プラン」とか特典につけたり。

なるほど。ヨッピーさんがホテルの人間で、「自由にやって良いよ」って言われたらどういうプランを出しますか?

うーん、例えば、今ワクチンの接種がはじまってて、医療従事者の方々が真っ先にワクチン打つわけじゃないですか。そんな中で徐々に終息が見えてきたなー、くらいのタイミングで「医療関係者の方々、マジでありがとうございますプラン」とか出すかなぁ。

医師免許とか看護師免許とかなんでも良いんですけど、医療従事者である事がわかるものを持ってきてくれたら割引になるとか鯛が一匹つくよ、とかシャンパンあげるよ、とか。お酒出す時に「いつもお疲れ様です」って一言あるだけで嬉しいじゃないですか。

それに嫌らしい話、お医者さんが医師免許出す時ってちょっと誇らしく思えるはずなんですよ。だから猶更「利用してみようかな」ってなる。医師免許出して「どや!」ってやりたいから。たぶん。

思い切って破格の値段にしてバーンって出すと、医療従事者以外の人たちも応援してくれるだろうし、たぶんメディアにもわーっと取り上げられる。

宿泊施設にお医者さん達がたくさん居たら他のお客さん達も安心かもしれないですね。

そうですね。今って医療従事者の人たちが大変で、普通の人たちもそれ対して同情して「なんとかしてあげたい」っていう気持ちを持ってる人が大半だなっていうのを普段SNS見てるから思いつくわけで、それを形にすると広まるかな、っていう。とは言え、メディアに拾ってもらうための発信って、やり方にコツがあるのでそういう時には僕みたいな人間に相談してくれれば良いんですけど……。

文豪ゆかりの宿が、「文豪缶詰プラン」って言って昔の文豪が旅館に監禁されて書かされたような体験が出来るっていうのも話題になってました。「引きこもるんだったらホテルに引きこもろう」っていう。あれも上手でしたね。

文豪缶詰プラン。

SNSに関しては、現状それぞれがバラバラにやってて、今の所個人のインフルエンサーの方々とか、他の企業が持ってるようなノウハウが我々に無いんですよね。なので勉強会やったりもするんですが、どうしても単発で終わってしまったり。もうちょっと定期的にやったりとか、会員の相談に対して「メディア使うならここが強いよ」とか「その地域だったらこの人だよ」とか、そういう教科書みたいなものが出来ればまた違うのかもしれません。

そうですね。そもそもその「SNSやってる」の定義が難しくて。「SNSやろうよ!」って音頭を取っても、「アカウント作りました。でも更新してません」だと意味ないじゃないですか。ここをもうちょっと明確にした方が良いのかな、っていう。

うーん、「1日1回以上、顧客に対して発信しつつ、それが1年以上続いてる」とかかなぁ……。「今日は疲れたからビール飲むぜ」とかそういう個人的なつぶやきじゃなく、ちゃんとした発信を1日1回以上。

あーなるほど。その定義付けは良いですね。

1日1回を1年以上って、けっこう難しいんですよ。すぐに「何にも呟くことねーな」ってなるんで。でもネタ切れする事で「地域でなんかお祭りやってないかな」とか「近くの桜でも撮ってこよう」ってなってきて、「近隣の飲食店を順番に紹介するか~」とか。その過程で自分のホテルや地域の強み弱みが段々わかってくる。

っていうのも、その旅館、ホテル、地域の魅力、強みは何かって探すクセをつけて欲しいんですよ。僕あちこち行くし、お出かけの仕事もたくさんやってるので色んな相談を受けるんですけど、例えば、新潟の観光組合から相談受けるとするじゃないですか。「PRしたいんです」って。まあこれが新潟じゃなく徳島でもなんでも良いんですけど。

それで僕はいつも聞くんですよ。「その地域の魅力ってなんですか」って。そしたらだいたい、「温泉があって、海の幸が美味しくて、自然が豊かです」って。それを聞くと「いや、日本の田舎ってだいたい全部そうだから」って思うんですよね。「日本中、どこ探してもウチにしかないって言えるものはなんですか?」って聞くとたいていは「うーん」って困っちゃう。もちろんちゃんと言語化出来ている所もあるけど、そういう所はやっぱり既に支持されてて人気があるところ。えっ、大丈夫ですか。僕好き放題言いすぎてますか。

大丈夫です(笑)こういう議論は楽しいですよね。

その「ここにしかないもの」っていう定義で言うと、我々の会員の「KITAKOBUSHI SHIRETOKO Hotel & Resort」が「流氷テラス」っていうのを作ったんですよ。

ここは知床にあるので、冬には流氷が見れるんですね。そこでこのテラスに足湯を設けて、足湯に入って流氷を見ながら氷で作られたグラスでお酒が飲めるっていう。

あー!そうそう!まさにこういうの!!「ここにしかないよね」「ここでしか出来ないよね」っていうのが大事!

昔って、旅行行く時はなんとなく「箱根行くか~」とか思って「るるぶ」とか買ってきて、ペラペラめくって「じゃあ泊まるのはここにしよう」とかそういうやり方だったじゃないですか。宿泊先の選択肢30軒の内から1つ選ぶ、みたいな感じ。

それが、今ではSNSで情報が流れて来るので300軒の内から1つ選ぶ、みたいになってるんですよね。しかも「どこに行くか→どこに泊まるか」っていう順番じゃなく「どこに泊まるか」が先に来たりする。「そのホテルに泊まりたいから箱根に行く」みたいなね。今の流氷ラウンジもそうだし、佐賀の御船山楽園ホテルとかも完全にそうだと思うんですけど。そうなってくると「これがウチの強みです!」「これはここにしかないです!」っていうものがないと厳しい。

サミットでも、これからは観光地にある宿泊施設ということだけでなく「その宿に泊まりに行く」という宿泊施設自体が目的になっていくはずだという意見が多く出ましたね。これまで以上に宿の特色、個性が求められるというのは我々も強く感じています。

 

温泉にモノ申したい事

ヨッピーさんは温泉大好きなんですよね。

そうそう。超好きです。だから温泉施設に対してもあれこれ言いたい事があって……。ちょっといったん、法律とかモラルとか、そういうの無視して言いますね。コロナのあれもちょっといったん置いておいて。じゃあこれを……。

インバウンドがすごい活気あったじゃないですか。アニメの影響もすごい大きいんですよね。アニメ好きの外国人が日本に来る。で、「日本の温泉入りたい!」ってなるじゃないですか。アニメで温泉入る回があったりするんで。で、アニメの温泉回って、露天風呂にお盆浮かべて、日本酒をおちょこで飲んで「カァーーッ!」みたいなシーンがあったりするんですよ。でもあれ、実際には出来ないですよね。

そうですね。泥酔する方のフォローをしなくちゃいけなくなるので……。

でしょう。でも、やってみたいじゃないですか。僕もやってみたいもん。それに、これは知人の受け売りなんですけど、お風呂場ってカメラ持ち込めないじゃないですか。それもすごくもったいなくて。海外のラグジュアリーなホテルとかだとみんなプールで自撮りしてInstagramに載せるじゃないですか。そんでそれを見た人が「行きたい!」って思って新しい顧客になるループがあるのに、せっかくすごく眺めがよくて綺麗な露天風呂があっても写真が撮れない

これってすごい機会損失じゃないですか。Instagramで「#草津温泉」で検索しても足湯入ってる写真とか湯畑の写真ばっかりで露天風呂の写真が出てこないんですよ。草津には良い露天風呂がたくさんあるのに出てこない。なぜなら!カメラを持ち込めないから!

おっしゃる通りですね。我々としても課題と感じているところです。

例えば時間帯で区切ったりね。23時にお風呂場閉めるなら、23時~10分間は写真撮って良いですよー、って解放するとか。フロントに声かけてくれればタイミング見て係の人が同行して写真撮りますよ、とか。

有料化しても良いかもしれませんね!

そう。それでも良いと思いますよ。1,000円くらい取っても良いと思います。もしくは大浴場閉めてから1時間は貸切にして1時間5,000円で貸すよ、カップルで入ってもいいよ、とか。友達とせっかく温泉に来たんだったら、眺めの良い露天風呂で一緒に写真撮りたいですもん。かと言って貸切風呂、家族風呂はだいたい大浴場よりせまいし。

あー、わかる~~。

結局、日本って「和をもって尊しとなす」なので、「クレームにめちゃくちゃ弱い」っていう部分があるなって思ってるんです。例えば、温泉で友達とべらべらしゃべってる人がいるとするじゃないですか。コロナが関係無い世界の話としてね。コロナ中はそもそも会話ダメですし。

そうやってはしゃいでお風呂に入る人が居る一方で、「静かに入りたい」っていう人も当然居ますよね。そんでその「静かに入りたい」って人はクレームを言うわけですよ。「静かにさせろ」って。そうするとその「静かに入りたい」って人が勝っちゃうんですよね。

本来、「友達と話しながら温泉に入りたい人」と「静かに温泉に入りたい人」が持つ権利ってイーブンだと思うんですけど、残念ながらクレームつける人の権利が優先されるんですよ。話したい人は「周りが静かだ!」ってクレームつけることはありませんから。

さっきの「お風呂場でお酒が飲めない」っていうのも同じで、「不衛生だ!」「危ない!」って言う人が居ると、「じゃあ禁止にするか」って事なかれ主義で十把一絡げに禁止にしちゃう。でも本当は、「じゃあ徳利一本まで、水分補給必須にすれば良いかな」とか「お酒を提供する時間を決めて、その間は誰かを張り付けて安全確認しながらにするか」とか試行錯誤することも出来ると思うんですよ。

用途を分けるとか、発信をしっかりすることでクリアできそうですね。「ここは騒いでも良いお風呂です」とか。

そうそう。「ウチはパリピ専用ホテルだから思う存分騒いでください」とかね。「宴会場にDJブースとレーザー光線設置しました!」「露天風呂で泳いでもオッケー!」「お酒もオッケー!」って。そういうのがあっても良いと思うんですよ。治安は悪くなりそうだけど、でも治安悪いのが好きな人がそういう所で騒ぐぶんには全然問題ないでしょう。僕居酒屋だってしっとりした雰囲気のお店よりガヤガヤしてて泥酔してるおっさんが叫んでるような、治安は悪い所の方が好きですもん。

それはやっぱり、自分達がSNSを使って「自分の宿はこういう宿なので、こういうのが好きな人は来てください」っていうのが発信出来てないからっていう側面もあるでしょうね。「こういうのが好きなお客さんなら絶対満足させます。でもそうじゃないなら向いてないですよ」っていう雰囲気を作るためにも、まずは自分達の気持ちの整理からですね。

そうですね。楽天トラベルとかで集客しちゃうと差別化は出来ないですよね。やっぱり個性を出すにはSNSで集客するのが強い。そうやって個性的なものがうまれる。

その個性というものに我々青年部がチャレンジしていきたいんですね。サミットでも「これからは個人の趣味嗜好を反映した旅行が増えていくはず。自分には刺さるけど友達には刺さらない、というような、ちょっとマニアックな、もっと尖らせた楽しみ方を求めるお客様が多くなっていく」という意見がよく出ていました。

我々の会員で、イタリア車がすごく好きな若旦那がいるんですが、そこってイタリア車で行くと良いワインを出してくれるんですよ(笑)若旦那がイタリア車を見たいから(笑)そういうのもどんどん発信して、イタリア車のオーナーにとっての聖地みたいになると良いですね。

その通りです!!

どうやって差別化するか

 

やっぱり「他とどう差別化するか?」なんですよね。その競争が全体のベースアップになる。おふたりは「まちがえる料理店」って知ってます?

注文をまちがえる料理店
http://www.mistakenorders.com/

認知症の方をスタッフとして雇って働いて頂く。認知症だから注文を間違えるかもしれない。でもみんなそれを前提として来てるから当然怒ったりしないし、むしろ注文通り来るより間違えたものが届いた方が嬉しかったりするんじゃないかなって思うんですよ。これ、すごく良い取り組みだなって思うんです。

じゃあこれをホテルとか旅館に応用してね。外国人の労働者の方もいるでしょうし、新人の人も居るでしょうから、「日本語勉強中プラン」とか出して、外国の人に接客して貰う。そしたらタメ口きかれようが日本語がおぼつかなくても全然良いじゃないですか。むしろ、めちゃくちゃな説明してる方がこっちも面白いかもしれない。

あー、人気が出てめちゃくちゃ指名も入るんじゃないですか。

でしょう。方言とかもそうなんですよ。鹿児島とか沖縄とか、本来方言が強い地域でもホテルの人ってみんな標準語で話しますよね。あれもちょっと寂しいんですよ。「ゴリゴリ方言プラン」とかあったら僕はそっちの方が良いですもん。「あー、鹿児島に来てるなー」って実感出来るし。でも現状だと「聞き取れない」っていうクレームに負けて「じゃあ標準語でやるか」ってなっちゃう。これが悲しい。つまり……、

今、お話聞いててこれは海外の事例ですが、ブエノスアイレスの街の一画に、「ここはどこでも落書きしていいよ」っていう地域があるんですよ。そこに世界中から自称アーティストみたいな人たちが集まって今や立派な観光資源になってるっていう。

あー、良いですね。筋トレ民向けのマッチョホテルとかがあっても良いかもしれない。ジムとプールとサウナが使い放題、ご飯はササミ肉、宿泊プランに1時間のパーソナルトレーニングとストレッチ講座がついてるとか。

ウェルカムドリンクがプロテインとか、他のお客さんの荷物を運ばされたり(笑)

あー、いいですね。「良く来たな!じゃあ部屋を案内するから、このダンベルを持って8階まで階段で行くんだ!」とかね(笑)地方だと厳しい気がするけど、東京の都心なら割と成立するかもしれない。

コロナ禍で宴会場が使えなくなったから、ジムに改装した会員の施設もありますよ。これと温泉をセットにしてね。月額会員を募ってサブスクモデルにするとか。

あ、本当だ。観光地ってジムが無いですもんね。確かに、ジムに必須なシャワーとかお風呂は元々あるわけだし、ジムを併設するのは全然アリかも。都心の高級ホテルとかだとジムついてますし。

あとは、一泊二日で「美容家電全部お試しホテル」とかね。美容グッズって高いし、試さないとわかんないし、化粧水とか乳液もそうですけど、そのホテル行ったら全部使えるっていう。座学の時間があってお肌のメンテナンス教えてくれるよ、とかそういうの。常設は難しいかもしれないけどイベント的にやったら乗っかってくれるメーカーはあると思う。

あ、あとね、僕は東大阪の「布施」っていう所が割と地元で、まあ全国的な知名度はぜんぜん無いような大阪の下町なんですけど、そこに「SEKAI HOTEL」っていうホテルがあるんです。

面白いのがそこって客室が商店街のあちこちに点在してるんですよ。商店街の空き家をリノベして客室にしてるんで。受付したら商店街を通って自分の部屋に向かう。

SEKAI HOTEL Fuse

で、そのホテルのプランって、「朝ごはんは近所のレトロな喫茶店で」「大浴場は近隣の銭湯」「晩御飯は老舗のお好み焼き屋」みたいな感じで、ホテルを起点にして商店街のあちこちにお客さんを巡らせるんですよ。「ああ、これは面白いなぁ」って。

そこって、「バーの常連に一杯おごって貰えるプラン」とかがあるんですけど、そうやってお客さんを他のお店に送客して、その行った先でお店の常連と仲良くなったら「また来よう」ってなるじゃないですか。地元の役にも立てる。

「地域との連携」は我々としても課題として持ってますね。これと同じく、朝食は近隣の飲食店で、とか。長期滞在のお客様はコースも飽きるでしょうから、近くの飲食店にご提供いただいたりするような施策をすすめている所もありますね。

おー。そういう取り組みも徐々に出て来てるんですね。

 

結局は人

「どこかに行こう」と考えた時に、一番強い動機になるのって結局「人」だなって思うんですよ。「美味いもの食べに行きたい」とか「良い景色が見たい」とか旅の動機は色々ありますけど、結局「あの人に会いに行こう」っていうのが動機として一番強い。実家に帰る帰省だってそうじゃないですか。ライブイベントもそう。「誰かに会いに行く」っていうのが明らかに強い。

僕が好きな場所って別府市とか沖縄とか色々あるんですけど、その辺が好きになったのも別府市長が良くしてくれた、とか。沖縄の人が良くしてくれた、とか。

今は僕の知人が佐賀に住んでるので「佐賀に行かなきゃ」って思ってますし。外国ですけどジョージアにも知人が住んでるので「コロナ明けたらジョージア行かなきゃ」って思ってる。そういうのを考えるとさっきのSEKAI HOTEL FUSEみたいな取り組みはすごい面白いし、地元にとっても良い仕組みじゃないですか。

ホテルからすると「なるべくホテルの中でお金を使って欲しい」って思うだろうし、「ホテルから出ずにのんびりしたい」っていう需要ももちろんある。

沖縄北部のリゾートホテルとか田舎の鄙びた旅館とかならそうやって「ホテルでのんびりしよう」っていうのもわかるんですけど、じゃあ東京とか大阪とか京都とか金沢でも良いんですけど、そういう所に観光で来た人が「ホテルから出ずにのんびりしよ」とは思わないと思うんです。

じゃあ単なる宿泊施設じゃなくて、ホテルに観光案内所としての機能も持たせた方が良いんじゃいか、って。そうやって旅先での新しい出会いをホテルがアシストするとか。

僕、別府が好きなので友達が「別府に行く」って言ったら「別府で行くべき所をリスト化するからこれ全部行け」って渡すんですけど、でも別府は何回も行ってるのにホテルの人に「ここは行った方が良いですよ」とか教えてもらったことは一度もない。それってすごくもったいない。別府に行ったのに別府の良さを知らずに、ホテルの中だけで過ごして帰っちゃう人はかなり居ると思う。それだと新しい出会いもうまれない。

僕が横丁とか赤ちょうちんで飲むのが好きなのも、結局行った先でなんか変な人と新しく知り合ったりするのが面白いからなんですよね。

わかります、わかります。

私の宿の近くに年間100万人近く観光客の方が来る宿場町の大内宿という観光地があって、やはり週末や昼食の時間が混みあうのですが、お客様を夜や早朝にお連れしていますね。泊まっていただかないとお連れ出来ないですし、ゆっくり地域を見てまわれるじゃないですか。

やー、素晴らしいです。その地域に一番詳しいのって宿泊施設だと思うので、そういう情報をもっと欲しいんだよなぁ。僕「京都は早朝が最高!」っていう記事を書いて、実際マジで本当に早朝の京都って人が居なくて凛としてて最高なんですけど、それもホテルの人が教えてくれたりしなかったもんな……。あともうひとつ!あともうひとつだけ言わせて!僕ばっかりしゃべってますけど!

全然大丈夫です!僕たちこそ「今日は聞き役」と言いながら割と話しちゃっていますけど大丈夫ですか?口数少なくしているつもりなんですが、今めちゃくちゃ楽しいんです。やっぱりこういうことを、何か新しいことを考えるのは楽しいんですよ。(笑)

なんか、「お金の使い方が変わりつつあるな」って思ってるんです。お金持ちの人が、キャバクラに行ってシャンパンあけて、高級な時計つけて高級車に乗ってInstagramに写真載せる、みたいなやつって、もうちょっと「ダサいな」みたいな感じになってると思うんですよ。そういうのInstagramでやってるの詐欺師みたいな人ばっかりだし。

でね。じゃあお金持ちは今何して遊んでるかって言うと、土地買ってDIYで家作ったり畑耕したりしてるんです。つまりは「消費する遊び」から「生産する遊び」みたいなシフトチェンジが起こってるな、って。

なるほど。課題として我々が抱えてるのって、やっぱり後継者問題なんですね。後継者がいなくて廃業しちゃうホテルや温泉ってたくさんあるので。そういう所をお客さんと一緒に作り直すっていうのも良いかもしれませんね。

学生で「観光やりたい」とか「宿泊施設やってみたい」っていう人はけっこういるんですよ。我々青年部は、そういった学生との連携を進めています。

そう!宿泊業って、自分が理想とする世界観を実際に作って、それでお客さんを呼んで地元にも貢献出来るから、やりがいもあるし絶対楽しいと思うんですよ。だからね、どうせ後継者がいなくて潰すぐらいならなら、地元の学生に任せて、お客さんと一緒に新しく作るホテルなんかが出たら絶対面白いと思うんだよなぁ。三日間泊まって、風呂窯一個設置して帰る、みたいなプランがあったら僕行ってみたいですもん。

もし実現したら是非とも追っかけて書いてくださいね!

書きますよもちろん!ちょっともう、長々と話しちゃったんで強引にまとめるんですけど、やっぱり、「これからのホテル・旅館はもっとクセが強くて良いんじゃないか」っていうことかなぁ。SNSを駆使して、自分達の世界観を出して、「綺麗、丁寧、安心」っていうのはもちろんとしても、そこから更に何かしら自分達の尖った世界観とか強みとかを見せて行くような。そういうのがボコボコ出来てくると面白いと思うんですよね。特に東京大阪なんかの都市部はそういうニッチな世界観でもそれなりの人数が集まると思うので。

プランだったり、施設だったり、ヨッピーさんと何か一緒に作ったり面白いことできたらいいなあ…。青年部の若手は割と柔軟に、面白いことを考えて実践しているヤツも多いんですよ。ヨッピーさんに会わせてみたいです。

めちゃくちゃ変なこと企画しよっと。

 

宿のこれから

今日はありがとうございました!コロナを経験して、「どうしたら、宿をもっと楽しんでいただけるか」「もっとお客様に旅を楽しんで欲しい」という思いが日々強くなっていて、試行錯誤しながら色々なことに取組んでいます。今日ヨッピーさんとご一緒して、サミットでも出てきた我々の取組は、方向性として間違っていなかったんだと、自信に少しつながった気がします。

我々青年部だからこそ出来ることがもっともっとあるはずと、今回の「全国旅館・ホテルサミット2021」を開催しましたが、今日のヨッピーさんのお話も参考に、色々とチャレンジしていきたいですね。参考にするだけでなく!ヨッピー さんにも、今日お話していただいた温泉のアイディアやその他新サービスについて、今後是非ご一緒に取組んでいただけると嬉しいです!

好き勝手言っただけなのに、なんか、本当にすみません!ありがとうございました!みんなで盛り上げましょ!