これが本当に列車の中?遊べる特急「あそぼーい!」で3歳息子はどれだけ楽しめるのか
あそぼーい!の乗車レポートです。この熊本・阿蘇~大分・別府を結ぶ特急電車を、3歳になるお子さんがどれだけ楽しめるのか、ライターが父子ふたりで実際に乗って確かめてきました。
▲列車の中です。
こんにちは。福岡在住の父親ライターの大塚拓馬(@ZuleTakuma)です。
我が家の長男・こーくん(3歳)は乗り物が大好き。列車ももちろん大好きです。
そんな息子を持った僕は、父親としてずっと気になっていることがありました。
「九州の観光列車、めっちゃ乗りたい」
こーくんのために九州の列車の本を買ったり、映像を見たりするうちに、僕もだんだん知識が増えていく…。
すると、まあそれはそれは九州の観光列車が魅力的なんです!その中でも目を引いたのが「あそぼーい!」。
これまで、自分の中では観光列車といえば「退職したお父さんがお母さんにプレゼント」みたいなイメージでした。
しかし「あそぼーい!」のターゲットは完全に子ども。列車の中には子どもを楽しませるような仕掛けがたくさんあるのです。
「この列車でこーくんを喜ばせてみたい……」
そこで今回、阿蘇から別府までの間を「あそぼーい!」に父子2人で乗車してみました。
目次
特急「あそぼーい!」の魅力と予約方法
まず「あそぼーい!」とはどんな列車なのかご紹介します。
予約方法についても見ていきましょう!
特急「あそぼーい」とは?
「あそぼーい!」は以前、熊本-宮地間で走っていた「SLあそBOY」「あそ1962」の後継列車として、2011年に運行を開始しました。
元々は熊本-宮地間の運行だったのですが、熊本地震の影響で、2019年現在は阿蘇-別府間で運行が行われています。
「あそぼーい!」の魅力は、子どもが楽しめる仕掛けがたっぷりの車内と車窓から見える阿蘇の景色です。
家族みんなで移動時間を楽しめる観光列車となっています。
ネット予約は普通の席だけなので注意
「あそぼーい!」を楽しもうとするなら、個人的には大きな窓で景色を楽しめる「パノラマ指定席」か、子どもと一緒にかわいい椅子に座れて、車両の中に遊ぶスペースがある3号車の「白いくろちゃんシート」がおすすめです。
通常の指定席料金に+210円となりますが、追加料金以上の価値があります。
ただし、これらの座席はインターネットから予約ができません。
列車予約に不慣れな私は、予約をしようとすると「パノラマ指定席」や「白いくろちゃんシート」が選択できない予約できない画面を見て「売り切れた!?」と勘違いしそうになってしまいました。
必ず、JRの「みどりの窓口」で予約をするようにしてください。運行日のカレンダーは、公式サイトを確認するようにしましょう。
阿蘇駅から「あそぼーい!」に乗車
今回は、息子のこーくんを連れて阿蘇に遊びに行った帰りに「あそぼーい!」を利用しました。
こーくんには今日「あそぼーい!」に乗ることを伝えていません。驚くかな。
阿蘇駅の「くろちゃんの駅長室」がお出迎え
阿蘇駅は黒いシックな色合いで、なかなかオシャレ。
2011年にリニューアルしたそうです。
阿蘇駅ではキャラクター犬「くろちゃん」の駅長室がお出迎え。
記念撮影するとかわいいのでおすすめです!
駅長室の中にも入れますよ。
「あそぼーい!」が到着
阿蘇駅に「あそぼーい!」が到着しました。
こーくんも「あそぼーい!」の写真や映像を見たことがあるので「おー!!」と大興奮。
「いこーよー!いこーよー!」
「うん、いこういこう」
取材のために写真を撮ろうとする僕の手をとり、強引に列車へと引っぱられます。
こーくんに引っ張られるがまま、「あそぼーい!」に乗車しました。
「あそぼーい!」で遊ぶ!遊具やパノラマシートに大興奮
息子のこーくんは大興奮で「あそぼーい!」へ乗車。
いつもと違う列車の雰囲気に「すごいね」と嬉しそうです。
3号車の「白いくろちゃんシート」
今回予約したのは3号車の「白いくろちゃんシート」の中の一席。
大人の椅子と一緒に子ども(幼児のみ)の椅子もくっついており、これで「1席」というカウントです。
そのため、この席さえとれば1席分で親子2人座れます。
日よけのシートにもキャラクターのくろちゃんが施されていてかわいい!
景色が見たいので、すこし名残惜しいですがシートを開けます。
シートを開けると阿蘇の風景が飛び込んできました。
「白いくろちゃんシート」は子どもの座席が窓側になっているので、子どもは外の景色を思う存分楽しむことができます。
3号車は内装デザインがとにかくかわいかったです。
子どもの身長に合わせた丸窓があり、景色に夢中になっているところに声をかけてパシャリ。くろちゃんのイラストもかわいいですね。
3号車の目玉は、子どもが遊べるキッズゾーンです。
人気なのは木のボールプール。たくさんの子どもたちが飛び込んでいました。
子どもたちの安全を守るために、乗務員が見守ってくれています。
木はどれもすべすべでやさしい手触り。
ボールプールの淵はボールが転がる溝になっており、こーくんはボールを転がして遊んでいました。
ボールプールのあるゾーンには「茶」と書かれた謎ののれんが…。
中はホントに茶室みたいな空間になっていました。
非日常な空間に子どもたちは楽しそうです。
茶室の向かいの部屋には「くろ文庫」という絵本や児童書を読める場所もありました。
列車と言えば、子どもたちは親と一緒に座席で「よいこ」にして、じっと座っていなければならないことが多かったと思います。
思い思いの過ごし方ができるのが「あそぼーい!」の利点です。
ちなみにこちらのキッズスペースはフリースペースなので、3号車の席の指定席券を持っていなくても利用可能です。
3号車のもう一つの目玉は「くろカフェ」です。車内販売を楽しむことができます。
「くろカフェ」ではドリンクやお菓子のほか、「あそぼーい!」のオリジナルグッズを購入することができます。お土産にいいですね。
くろカフェの前にあるソファ席はフリースペースとなっているため、どなたでも座ることができます。
ソファ席に置かれている、このめちゃくちゃかわいい「あそぼん」という手づくり冊子には、家族で楽しめる阿蘇の観光情報などが掲載されていました。
詳しい中身はぜひ実際に行って確かめてみてください。
「あそぼーい!」のパノラマシートは大迫力
3号車から飛び出した私たちは、パノラマシートの景色を見に行きました。
パノラマシートからの景色は迫力満点。
息子のこーくんもひじ掛けを活用しながら、いっちょまえにくつろいでおりました。
パノラマシートの感動は大人も子どもも変わらないようです。
その場にいらっしゃったパノラマシートのお客様のご厚意により、座席に座らせていただくことができました。
こちらはフリースペースではないので、パノラマシートを購入した方のみが座ることができる席です。
私は次に乗るときはパノラマシートがいいなあ、と思いましたよ。とても気持ちよい席でした。
窓の大きなフリースペースがたくさんある
パノラマシートは景色を独り占めできるのでおすすめですが、「あそぼーい!」には空いていれば交代しながら座ることのできるフリーの席がいくつかあります。
カウンター席のほかに、このような向かい合わせのゴージャスなフリースペースもあります。
こーくんも車窓の景色に夢中。
広い空間と窓に、親子で癒されました。
カウンターのような席もありました。
ずっと同じ席にいると飽きてしまうこーくんも、いろいろ移動しながら気分を変えて風景を楽しむことができて、とても楽しそうです。
3号車とパノラマシート以外はオーソドックスな席
3号車とパノラマシート以外は基本的にはオーソドックスなタイプの席ですが、2号車には一部家族で座れるボックスシートがあります。
ボックスシートは中央にテーブルがあり、広い窓を家族で共有できるのでおすすめです。
3歳の息子は「あそぼーい!」を満喫!すばらしいホスピタリティ
「あそぼーい!」に乗っている間、僕は息子のこーくんに手を引かれてあちこちの探検に付き合ったり、ボールプールで遊ぶのを見守ったりと大忙しでした。
列車に乗っているというより、気持ちとしては一緒に公園に遊びに行ったような感覚です。
「あそぼーい!」車中でこーくんと一緒にどう楽しんだのかをご紹介します。
「あそぼーい!」の合言葉で記念撮影
客室乗務員の方に促され、二人で記念撮影することができました。
「はい、チーズ!」ではなく「あそぼーい!」の掛け声で写真を撮ります。
かわいいパネルを二人でもって撮影できたので、よい記念になりました。
頻繁に記念撮影が行われていましたよ。
「あそぼーい!」記念スタンプを押す
客室乗務員の方に今度はスタンプをおすすめしてもらったこーくん。
「スタンプ押す?」と聞くと「こーくん、する!」とのことなので、チャレンジしてみることに。
子どもの高さに合わせられたスタンプ台は、「あそぼーい!」ならでは。
スタンプを押してみるこーくんの横には、おしぼりの入ったボックスがあり、ここでいつもどんなことが起こっているのか、大体想像がつきますね…。
覚悟はしてました。
とはいえ、ここまで黒くならなくても……。
客室乗務員の方が気にかけて、ゴシゴシ拭いてくれました。恐れ入ります…。
仕上がったスタンプはこんな感じ。これもまた、僕たちの想い出です。
子どもに優しい乗務員の皆さん
子どもに目を向けたサービスがいろいろありました。
車掌さんからはこーくんにとくべつきっぷがプレゼントされ、その場で切符を見るときのハンコをポチッと押してくれました。
これは列車好きの子どもには嬉しいサービスですね。もらえてラッキーでした。
JR九州の特製のキャンディーももらいました。
いろいろと子どもには良くしてもらったなあ、と思います。
遊び疲れた息子は途中からスヤスヤ
阿蘇でも遊びまくっていたこーくんは、「あそぼーい!」でも遊び続け、突然スイッチが切れたようにコテンと眠ってしまいました。
せっかくの「あそぼーい!」なのに眠って過ごすのはもったいないという、しょうもない考えが頭をよぎりましたが……。
もう「あそぼーい!」も巡り尽くしていましたし、あとはゆっくり休んでもらいましょう。
座席でゆっくりしていると、車窓からは別府湾が見えてきました。
そろそろ、この旅の終わりが近づいてきているようです。
「あそぼーい!」の乗務員のみなさんは車掌さん含め、みんなで息子をかわいがってくれました。
「お名前は?」
「こーくん!」
「お年はいくつ?」
「さんさい!」
お決まりのこのやりとりですが、こーくんは今までこのやりとりがイマイチ上手にできていませんでした。
でも、「あそぼーい!」の乗務員さんとのやりとりで、初めて名前と年齢をスムーズに伝えることができたのです。
「できなくて当たり前だと思ってたのに、気がついたら当たり前のようにできている。こうやって、気がついたら大人になっちゃうのかなあ」
こーくんの寝顔と別府湾の景色を見ながらそんなことを考えていました。
すると、客室乗務員の方からお声掛けが。
「これ、もしよかったら息子さんに渡してください」
「あっ、ありがとうございます」
こーくん宛てのメッセージカードでした。
名前が書かれてありますが、この名前は僕が乗務員の方にお伝えしたのではなく、こーくんが初めて自分の力で伝えたものです。
僕にとっても大切なメッセージカードになりました。
「あそぼーい!」は3歳児でも思う存分楽しめた
すやすや眠る3歳児と、寝顔を見ながら切なくなっている31歳を乗せ、「あそぼーい!」はついに別府に到着。
抱っこして列車を降りた後、目を覚ました息子・こーくんはご機嫌でした。
「あそぼーい!」と記念撮影をした後、先ほどのメッセージカードを渡しました。
「こーくんのだ」
じっとメッセージカードを見つめるこーくん。
内容を読み上げてあげると、真剣にカードを見つめていました。
カードの内容を読み終えたころ、「あそぼーい!」が別府駅を去る時間に。
メッセージカードを持ったまま、こーくんは見えなくなるまで回送列車になった「あそぼーい!」を見つめていました。
「いっちゃったね」
たった2時間の列車旅でしたが、思い出がたっぷりのいい時間を過ごすごとができました。
日に日に成長を続けるこーくん。
また今よりちょっぴり成長したころに、家族みんなで「あそぼーい!」に乗りたいと思います。
どうかせめてその時までは、今日のことを覚えていてくれますように。