SPOT読者のみなさま、はじめまして。普段はキャンプライターとして東海地方を中心に活動していますハマダアヤノと申します。
今回ご紹介する岐阜県恵那市には、自然豊かでゆったりできるおすすめの場所がたくさんあります。毎日を過ごす都会の喧騒に疲れた人やキャンプが好きな方にはぜひ一度足を運んで頂きたい、自然豊かな恵那の魅力を全てお伝え致します!
目次
岐阜県恵那市とはどんなところ?
岐阜県恵那市は名古屋から約1.5時間ほどの観光地です。
昔から変わらない豊かな自然に囲まれており、自然と調和しながら心安らぐ場所として楽しむことができるのが魅力。キャンプ場もたくさん存在し都心からのアクセスも良いため誰でも気軽に訪れる場所になっています。
棚田百選にも選ばれた美しい坂折棚田(さかおりたなだ)
最初にご紹介したいのは、農林水産省が選ぶ棚田百選にも選ばれたとても美しい景色が広がる坂折棚田(さかおりたなだ)です。
山に囲まれて扇状に広がっている坂折棚田はとても開放感があり圧巻。空や山々の自然と棚田とのコントラストがとても美しいので、一面の景色に魅了されてぼんやりと長時間過ごしている方を多くみます。
四季折々の景色
そんな美しい棚田の景色は、四季によって表情を変えるのも魅力です。
春の季節は、田植えが始まり、水を張った棚田が空の青を反射するので、その季節にしか見られない一面青色の美しい棚田を見ることができます。夏の季節になると、青々と育った稲が棚田を覆い、夏のさわやかな季節にふさわしい活き活きとした緑色の絨毯がひろがります。そして秋の季節になると鮮やかな緑は一変し、豊かに実った稲が、あたり一面を黄金色にします。
最後に冬の季節は、雪が降り積もる地域なので、棚田は見渡す限り真っ白な世界になります。そしてこの季節は田植えの作業ができない季節だからこその新しい取り組みが昨年よりはじまりました。
坂折棚田でキャンプをしよう!
今、どの地域も高齢化や過疎化問題に悩まされているというお話を耳にします。この坂折棚田の地域も例外ではなく、このままでは美しい風景を後世に残すことができなくなってしまうと「坂折棚田保存会」は新たな取り組みを始めました。
それが、冬の季節には使われない棚田でキャンプをできる「棚田キャンプ」です。私も何度も冬の棚田キャンプに参加させて頂いているのでご紹介させていただきます。
期間限定で開催される棚田キャンプとは?
棚田は春から秋まで農作物を育てる場となっていますが、収穫が終わる10月後半から翌年の4月の田植えの時期まで棚田はそのまま稲をかられた状態。
その場所で、テントを張ってこの棚田を活かしながらの美しい絶景を楽しもうというのが棚田キャンプです。自然や豊かな時間を愛する人たちに美しい坂折棚田の魅力を知ってもらいたいという思いから開催されています。
キャンパーの目線から見て冬の棚田は、
・稲を買った後の株(根本)が残った状態で土がとても柔らかく、テントを立てるためのペグが打ち込みやすい
・虫がほとんどいない
・通常のキャンプ場では直火(直接地面で火を起こすこと)ができるところは限られるが、棚田では直火OK
と、様々な理由でキャンプをするのにとても良い状態です。
ほかにも
・棚田を一望できる場所にテントを張るとその景色はとても美しく開放感があり圧巻
・観光に来る人のために常にトイレがきれいな状態で使用可能
など、通常のキャンプ場以上に良い状態でのキャンプが可能となっています。
実際に私が張ったテントからも、山の上の絶景ホテル並みのぜいたくな眺めを味わうことができました。この景色を見ながら食事をしたりぼんやりしたりできるのは最高ですし、夜は棚田に火をおこし、焚火を囲みながら一面の美しい星空を見上げることもできる、本当に素敵な空間です。
キャンプであれば、宿代をかけなくても絶景を目の前に過ごすことができます。普段のホテルに宿泊する旅行とは少し違う旅をしたいと思っているカップルさんや都会の喧騒から離れて自然の中でゆったり過ごしたい方、家族でワイワイとしたいファミリーさんにも棚田キャンプはとてもおすすめです!
直近では2020年2月29日(土)〜3月1日(日)に棚田キャンプが開催予定ですので、参加希望の方はお早めにご予約下さい!
棚田オーナー制度
坂折棚田では、後継者がいない棚田を保存するためにオーナー制度を設けています。
棚田のオーナーになることで、春の田植えや秋の収穫を体験し、そのお米を得て、実際に育てた作物を食べることができます。通常オーナー・グループオーナー・おひとり様オーナーと種類があり、参加料金や棚田の広さ、収穫後にもらえるお米の量などが異なります(2020年1月現在)。
指導者の指示を受けながら自分の棚田に田植え体験をした後は地元の方々がお世話をしてくださりますが、夏には雑草を取り除く草刈り作業の体験をするなど、食物を大切に見守って育てている楽しみを体験することができます。
秋になるとようやく苗は稲として実り、地元の方とも交流しながら手刈りで稲を刈り取って天日干しに。最後は棚田オーナーと地元の方と一緒にお米を収穫して、地元の特産品や郷土料理とともに育てたお米を受け取り、1年の棚田オーナーは終了となります。
「食べ物を育てる」という体験は日常生活の中ではなかなかできません。都会育ちの大人や子供でも、無理なく気軽に自然と触れ合うことができるのでとてもおすすめです。
キャンプを通して棚田を知り、この美しい自然を残すために、棚田のオーナーとなり、棚田でしかできない体験してみてはいかがでしょうか。
坂折棚田オーナー制度詳細:NPO法人 恵那市坂折棚田保存会
坂折棚田周辺スポット
美しい坂折棚田の周りにも様々な観光スポットが存在しているので、ご紹介させていただきます。
道の駅おばあちゃん市・山岡(やまおか)
道の駅おばあちゃん市・山岡は、名古屋方面からアクセスすると、坂折棚田に向かう途中に立ち寄ることができます。
こちらの道の駅には、地域で採れたおいしい農作物から、手作りの雑貨アイテムなどが販売されています。併設された喫茶店では食事や珈琲などを楽しむことができるとてもアットホームでこじんまりとした道の駅ですが、地元の特産品などゆったり楽しみながら過ごすことができます。
道の駅おばあちゃん市山岡
住所:岐阜県恵那市山岡町田代1565-169
電話:0573-59-0051
詳細:http://obachanichi.jp/
巨大木製水車
道の駅おばあちゃん市・山岡のすぐそばには巨大な木製の水車と小里川ダムがあります。
遠くから見るとまるで観覧車のようなとても大きくて美しい水車です。側まで近づくと圧倒的なその大きさにとても驚きます。
この木製水車は、直径が24Mもあり、日本の中でも一番の大きさを誇るそうです。
杉の木で作られた美しい水車がゆるやかに回転する様子は、ずっと眺めていたくなる心落ち着く風景です。
木製水車を後にしてさらに少し歩くと、小里川ダムというダムがあります。先程の木製水車は、このダムが建設される際に水没した地域に沢山あった水車のシンボルとして整備されたものでした。
天気が良い日には、青空の美しい青とダムの深い緑のコントラストがとても美しい、素晴らしい景色を見ることができます。
水車やダムを見ていると、この巨大な建造物を人が作ったということ自体にも感動しますし、様々なことが頭のなかでめぐります。誰かと一緒に見て、感想を交えてみるのも楽しいのではないでしょうか。
ダムも巨大水車もどちらもとても見ごたえがあるので、坂折棚田へ行く前にぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
小里川ダム
住所:岐阜県恵那市山岡町田代1565-21
電話:0573-59-0056
詳細:https://www.cbr.mlit.go.jp/shonai/origawa/
岩村城跡
道の駅おばあちゃん市・山岡から、少し北東に向かうと岩村城跡に着きます。
こちらの岩村城は、明治時代の廃城令により石垣のみとなってしまっていますが、その石垣がとても素晴らしい状態で残っています。
江戸時代には、日本で一番標高が高い場所に存在していたという岩村城。目の前に広がる景色も壮大で、日本三大山城としても有名です。
岩村城には井戸が多く存在し、そのひとつに大蛇の骨を入れるとたちまち霧がたちこめ城を覆ったという伝説も残っています。そのため別名「霧ヶ城」とも呼ばれていたそう。現存する井戸からも歴史の片鱗を感じることができます。
立派な石垣の上から見下ろす景色はとても美しいので、山城からの眺めをぜひ感じてみてください。
岩村城跡
住所:岐阜県恵那市 岩村町城山
詳細:城下町ホットいわむら
岩村城下町で旧家巡り
岩村城を下ると全長1.3キロにも及ぶ岩村城下町が広がります。かつては岩村城の城下町として栄えた地域で、昔ながらの雰囲気を残したお店が並ぶ観光スポットになっています。
今回はその中でも、岩村城下町の中で重要文化財として保存されている有名な旧家をじっくりと見学してきました。
まずは、染物業を営んでいた商家である「土佐屋(紺屋)」。立派な作りである建物の中では、その時代当時の染物の工程を見ることができます。
商家の建物の一番奥は染工場です。
見たこともない道具を見ながら、藍染の行程を間近で見て知って楽しめる展示になっています。
藍染工場の2階には藍染した糸の色の変化の工程なども展示してあります。
藍染めされた糸は紡がれ、機で織られます。
一連の流れを知ることで、今の時代では当たり前に流通しているものでも、ほんのひと昔前ではこのように全て手作業のみで行っていたことに改めて気づかされました。歴史に思いを馳せたいとき、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
土佐屋「工芸の館」
住所:岐阜県恵那市岩村町269−1
電話:0573-43-3451
詳細:岩村町観光協会
続いての旧家は木村亭。先ほどの土佐屋と同じく恵那市の指定文化財に指定されています。
外観からも歴史を感じる趣のある造り。先ほどの土佐屋とは異なり木村亭は問屋だったので、同じ家屋でも異なった雰囲気です。
中に入っていくと、時代劇でしか見たことないような江戸時代の台所や土間が。現代との違いや道具の進化を感じたることができるので、お子さんとも一緒に楽しめます。
囲炉裏のある部屋もあり、時代の雰囲気を感じながら見学することができます。
昔の日本家屋は奥に長く建てられており、進んでいくと中庭に出ました。
今ではあまり見ることができない井戸や、庭園の造園風景など歴史を感じる日本らしい空間。奥には大きな蔵があったりどこか懐かしい縁側があったりと、少し忘れかけていた大切なものを見つけることができる気がします。
木村邸
住所:岐阜県恵那市岩村町本町329-1
電話:0573-43-3231
詳細:岩村町観光協会
恵那は日本の歴史と豊かな自然を感じられる場所
岐阜県恵那市は、都心からのアクセスがとても便利な、思い立ったらすぐに行くことができる場所です。
坂折棚田をはじめ岩村城や城下町など、昔と変わらぬ美しい状態の場所がたくさん残っているので、自然や歴史を楽しみながら落ち着いた時間を過ごすことができます。
東海地方でゆったりした観光をしたいと感じられている方は、恵那を1日かけてまわってみてはいかがでしょうか。