小学校のプールにサメが!?Twitterでバズった「むろと廃校水族館」に行ってきた
廃校になった小学校のプールでサメが泳いでいる、Twitterで話題の「むろと廃校水族館」に行ってきました!”ハンマーヘッドシャーク”と呼ばれているシュモクザメや赤ちゃんウミガメなど、館内に展示されている生物をご紹介します。また、どのような経緯で廃校になった小学校が水族館に生まれ変わったのかをスタッフさんに聞いてきました。
こんにちは!高知県のローカルメディア「ありんど高知」の編集長をしておりますシオ(@saltkai)と申します!
早速ですが、最近ツイッターで話題の「むろと廃校水族館」ってご存知でしょうか?
その名の通り、廃校になった小学校を水族館として改修した今年オープンしたばかりの高知県室戸市にある水族館です。
この水族館の何がそんなに話題かと言うと、小学校の25mプールがそのまま水槽になっているんです!
むろと廃校水族館の最大水槽は屋外にあります!
幅はなんと25メートル。
プールと呼ぶ人もいます。 pic.twitter.com/bO5w7EOh17
— むろと廃校水族館 (@murosui_kochi) 2018年4月17日
そしてプールの中には、ウミガメや魚、さらにサメまで泳いでいます!!
「小学校の頃、プールの一番深いところにはサメが泳いでいる」と妄想してプールが怖かったことってないですか?
筆者は上級生にそんな話をされてプールの時間が怖くてたまらなかった時期があります(笑)
そんな小学校の頃の妄想が実現した場所がこの「むろと廃校水族館」なんです!
今回は今年4月にオープンしたばかりの「むろと廃校水族館」を紹介していきます!
目次
むろと廃校水族館へのアクセス
「むろと廃校水族館」の場所は以下の通り。
ご覧の通り、「むろと廃校水族館」は高知県の端っこのとても僻地な場所にあります。
電車でアクセスする方法はありません。レンタカーか自家用車が必須になります(高知龍馬空港から車で約1時間半、高知駅から車で約2時間)。
そんなど田舎にできた水族館。一体どのような場所なんでしょうか?
ノスタルジーを感じる水族館
いよいよ「むろと廃校水族館」の中を紹介していきます!
12年前に廃校となった旧椎名小学校を改修した「むろと廃校水族館」
廃校と聞いて筆者は「ボロボロの建物なのかな?」と思っていましたが、そんなことは全然なかったです。
校舎はまるで新築のようにリノベーションされていて、とても綺麗でした。
入り口には、水族館の営業時間が書いてあるのですが、営業時間ではなく、「始業・下校時間」の表記。
こういうのっていいですよねー!まるで小学生の時に戻ったようです。
また、「むろと廃校水族館」の中には学校時代の遺物や、
近隣の廃校になった小学校から貰ったポスターなどがたくさん展示されていました。
姿勢を正そうと言うポスターには当時の先生が書いた吹き出しが。
こんなポスター学校にありましたよね。懐かしい!
受付で貰えるチケットはシールになっていて、ウミガメの卵と同じ大きさになっているそうです。
入り口だけでもさまざまな工夫がみてとれます!
果たして中はどうなっているんでしょうか!
25メートルプールが大水槽に
受付を終えるといよいよ学校の中に入っていきます。
展示は二階からなので階段を登って左手に行くと
噂の野外大水槽(25mプール)が見えてきます。
入場者はこのようにプールサイドに降りて、間近でプールを泳いでいる魚たちを見ることができます。
プールの底には実際の海の砂が引いてあり、海の環境を再現すると共に、太陽光の照り返しで水温が上がらない効果もあるそうです。
プールで泳いでいる魚たちを見ていきましょう!
群になって泳いでいるのは皆さんの食卓でもお馴染みのサバ。
他の魚よりもひときわ大きなこちらの魚はシイラ。立派ですねー。
そしてこちらがハンマーヘッドシャークとも呼ばれるシュモクザメ。
呼び名の通りトンカチのような頭ですね。
こちらはヨシキリザメ。(編集部注:展示は2018年7月7日に終了しました。)
背側の体色が鮮やかな藍青色なのが特徴で、「世界一美しいサメ」とも呼ばれているそうです。
世界一美しいと言うだけあって、綺麗な色ですよね。
そんなヨシキリザメを撮影していると何やら大きな影がやってきました。
この水槽1番の古株というウミガメです!
なんとウミガメはヨシキリザメに頭でコツンと体当たりすると
ヨシキリザメは遠くに逃げて行ってしまいました。
「これって大丈夫なんですか?」
と水族館スタッフに聞くと
「上級生が下級生にちょっと挨拶しただけなんで、大丈夫ですよ〜」
とおっしゃっていました(笑)
なるほど。こんなところにも学校のヒエラルキーがあるんですね(笑)
野外プールの小さい方(小学校低学年の時に入ったあの浅いプール)にはエイがたくさん入っていました。
「なんでエイとウミガメを別にしているのですか?」と聞くと
「ウミガメとエイを一緒にしておくとウミガメがエイの尻尾を咥えて、スクーターみたいにして乗って行っちゃうんですよ」
だそうです。エイの尻尾って毒があったと思うんですが・・・ウミガメって意外と強いんですね・・・。
「むろと廃校水族館」に来てウミガメの印象が変わりました(笑)
2階には水槽の展示
プールから2階に戻ってくると、今度は室内の水槽があります。
こちらは手洗い場かと思いきや「タッチプール」と書かれています。
なんとここは手洗い場を水槽にした展示でした!
ここでは貝類やナマコなどを実際に手で触って触れ合うことができます。
実際にナマコを持ってみました。
グニグニしてて、子供の時に海に行ったことを思い出しそうです。
タッチプールから奥に進むと廊下に水槽の展示があります。
水槽に入れられている生き物のほとんどが、地元の漁師さんが水族館に持って来てくれたものばかりだそうです。
実際に学校の外の太平洋を泳いでいる魚たちをこんな間近で見れるんですね。
教室のど真ん中には大きな丸い水槽があります。
エイのお腹のかわいい顔が見れました。
こちらはウミガメの赤ちゃんの水槽。
小さいウミガメがパタパタと泳ぐ姿は癒されそうです。
2階の水槽の展示の間には、昔の教室の机や椅子をそのまま使った休憩室があります。
海外の人には水槽よりもこの教室の方が人気らしいです。
アニメでしか見たことがない、日本の学校の椅子と机が見れるからなんだとか。
昨日、タイからの観光客受け入れを目指すための視察がありました。
タイからいらっしゃった方が一番喜んだのは水槽でもプールでもなく、
普通の教室と机とイスでした。
ドラえもんで見た日本の学校そのものとのこと。
日本のネコ頑張ってるなぁ。
どら焼き売ったら海外の人たち喜ぶかしら。 pic.twitter.com/xoALQaZwxZ
— むろと廃校水族館 (@murosui_kochi) 2018年5月31日
教室の隅には、身体測定の時に見たヤツが!
座高を測るヤツとか本当に学生時時代以来です。なつかしー!
大人になると身長を測る機会ってなかなかないので、ついでに測ってみるといいんじゃないでしょうか。
そして、またもや懐かしいアイテムを見つけてしまいました。
大きな定規!
小学生の頃、この大きな定規を剣と盾にして遊んで先生に怒られたりしませんでしたか?笑
そして、机には暇つぶし用なのか将棋がありました。これも廃校になった学校からいただいたものだとか。
中にはこの将棋に白熱しすぎて、水族館に来たのか将棋を差しにきたのかわからない人もいるそうです。
この将棋も小学校の備品でした。
あるご家族のうち二人が熱戦を展開。
「あんたら何しに来たんや」とキレるお母さまの姿が…。グループ等では嫌々来ている方もおられるかと。
他にも学校の備品を置いてあり、身長や座高の測定、視力検査が自由にできます。
生物に興味のない方はご活用ください。 pic.twitter.com/rW5F3QJkkS— むろと廃校水族館 (@murosui_kochi) 2018年5月18日
3階は理科室と調理室と図書室
2階の次は3階に向かいます。
3階への踊り場には、ウミガメなどの剥製がずらり。
これらも地元の漁師さんの家にあったものを寄贈していただいたものがほとんどだそうです。
校舎3階は想定以上にシロアリ被害ががひどく、リノベーションに予算を費やした結果、3階には水槽を設置することはできなかったそうです。
しかし、その分ユニークな展示を行うスペースとして活用ができているんだとか。
早速見ていきましょう。
廊下には、海の生き物のホルマリン漬けの標本が展示されています。
手のひらサイズのものから、指先サイズの小さなものまでどれも可愛らしいサイズです。
書かれている説明を読んでみると・・・
【タツノオトシゴ:魚。この辺りによくいる。】
説明が雑っwww
【モンガラカワハギ:カワハギと違って美味しくない】
ん?
【ウマヅラハギ:カワハギに近い仲間。美味しい】
お、おう・・・。
【イシダイ:とっても美味しい】
食いしん坊か!!!
生き物の生態そっちのけで味の説明が入っていますw
イシダイに至っては味が美味しいことしかわからない!!!ww
生き物を見ると美味いかどうかが気になる人も大満足の、素晴らしい説明文だと思いました(笑)
専門教室のユニークな展示
こちらは家庭科室。
この日は使用されていませんでしたが、地元漁師さんが魚のさばき方を子供達に教えたりするワークショップをする場所として使用するそうです。
こちらは理科室。
理科室らしく、色々な標本や骨などの展示があります。
こちらのタッパーの中身もホルマリン漬けの標本。
あれ?このタッパーなんか見覚えが・・・・
あっ、キッチンで普通に使うヤツですね!ウチにもあるw
こちらは本物のウミガメの甲羅の標本。
スタッフさんが自慢気に「これ背負えるんですよ!」と教えてくれました。
ウミガメの甲羅を背負う・・・。
ま、まさにドラゴンボールの亀仙人ですよね!!!まさかこんなところで亀仙人になれるとは!
こちらはウミガメの卵のレプリカ。
奥の白い玉はピンポン球でしたw
そして、3階最後の教室は図書室。
図書室なんですが、本棚の上にはどでかいミンククジラの骨の標本が展示されています。
こちらの骨はクジラを解体した鮮魚店を回って、骨を回収して組み立てられたものなんだとか。
本棚には、実際の小学校にあった本から海洋生物の専門書まで種類があり、本好きな人はしばらくここで時間をつぶせそうでした。
むろと廃校水族館の成り立ち
こんな他に類をみないくらいユニークなむろと廃校水族館。
はたして、どのようにして廃校を水族館としてリノベーションしようというアイデアが生まれたんでしょうか?
スタッフさんにインタビューしてみました。
「どのようにして廃校を水族館にしようなんてアイデアが出てきたんでしょうか?」
「元々私たちはNPO法人『日本ウミガメ協議会』の現地スタッフとして室戸で海洋生物の調査をしていました。その調査の過程で様々な生き物の標本を回収していたのですが、数年も調査をしていると標本の置き場所に困ってきたんです」
「そんな時、室戸市が廃校になった小学校を有効活用してくれる人が居ないか探していたので、私たちが標本の置き場所として廃校を活用できないか提案したんです」
「というと、当初は水族館ではなく、回収した標本の保管場所として廃校を使いたかったと言うことですか?」
「そうです。最初は標本の保管場所として学校を活用できないかとしか考えていませんでした。ところが室戸市長に話をしに行ったところ、『水族館にしてしまえばいいんじゃないか』とご提案をいただいて、今のような形になりました」
「へー!そんな経緯があったんですね!」
むろと廃校水族館の特徴って?
「展示を見せていただいて、非常にユニークな水族館だということはよく分かったのですが、展示されている生き物について他の水族館にはない特徴などがあれば教えてください」
「そうですね。ウチはシーズンの生き物しか飼えないんです」
「と言いますと?」
「実はそのプールの水も道路を挟んだ向こうの室戸の海から直接引き上げて入れているんです。なので、水温なども今の外の海水の温度と同じなんです」
「ということは、展示されているものはまさに今、太平洋を泳いでいる魚たちばかりなんですね」
「そういうことです。普通の水族館は水温などを管理して、様々な季節の生き物を見れますが、ウチはそれができません。でもだからこそ季節が変わればまた新しい生徒(魚たち)が転入してきて展示されるので、展示が変わって行く楽しみを味わってもらえると思います」
「なるほど!何度来ても新しい魚たちに会える。ここはそんな水族館なんですね!」
おわりに
今回は「むろと廃校水族館」を紹介させていただきました。
最初は廃校が水族館になるなんて、どんなところなんだろうと思っていました。
色々な制約がある中で、工夫を凝らした展示は非常に楽しかったです。
記事中でも説明させていただきましたが、このプールの水槽では太平洋の海水が直接入っています。
そのため、そのシーズンの海の生き物しか飼育することができません。
季節が変わると、この記事で紹介した魚たちの一部も転校してしまっているかもしれませんのでご注意ください。
しかし、季節ごとに新しい魚たちが転入してくるので、いつ行っても別の生徒たちを見ることができますね。
「めだかの学校」という歌がありますが、それになぞらえると「むろと廃校水族館」はまさに「室戸の海の学校」でした。
廃校という特徴を最大限に生かしたこの施設。ぜひ生徒(魚たち)の保護者になったような気持ちで訪れてみてください!
「むろと廃校水族館」
住所: 〒781-7101 高知県室戸市室戸岬町533ー2
電話番号:0887-22-0815
登校・下校時間:9:00〜18:00(4月〜9月)9:00〜17:00(10月〜3月)
入場料金:大人600円 子供300円
文:「ありんど高知」編集長:シオ
撮影モデル:高知県PRユーチューバー:ちゃがまらん
取材協力:むろと廃校水族館