鹿児島中央駅から新函館北斗駅まで新幹線の全駅に下車してきたので全力で紹介する_PR【駅メモ!】

2日目

2日目 5:40 岡山駅

まだ夜も明けきらないうちから活動を再開した。昨日は終電まで動けばもう2駅くらいは先に行けたと思うが、22時ごろに切り上げて正解だった。おかげでしっかりと休息がとれたので朝から活動的に動くことができる。

さすが岡山だ。そこかしこに桃太郎がいる。郵便ポストの上にまで桃太郎がいたのだけど、なんかこの桃太郎、むちゃくちゃイラつくな。

さあて、今日も新幹線に乗りますかね、と意気揚々と新幹線改札に向かうと、改札の前に多くの人が立ち尽くしていた。どうやら早朝すぎてまだ新幹線改札が解放されていないらしく、それを待つ人でごった返していた。ちょっと遠巻きに待つこの感じがケーズデンキの開店を待つ人々みたいな趣だ。

その集団の中に、釣りみたいな恰好をした一人のおっさんの姿が目に留まった。蛍光色のチョッキを着て長靴、釣り竿も持っている。そんな人が新幹線を待っていた。

「早朝から釣りスタイルで新幹線、妙だな……」

と、別にそこまで妙ではないけど、コナンみたいに色々と推理してしまった。

No.026 相生駅(兵庫県相生市)

6:04 山陽新幹線 こだま830号 新大阪行き(特急料金990円)

岡山駅は全ての新幹線が停車する駅なので、「のぞみ」だろうが「ひかり」だろうが選びたい放題だ。けれども、次の相生駅がそうでもないので、ここでは意図的に「のぞみ」をスルーして「こだま」に乗り込まなければならない。これが全駅下車の旅の辛いところだ。

6:20 相生駅

相生駅に到着するころには白々と夜が明け始めていた。この相生駅から次の姫路駅まで、新幹線利用でも在来線でもそう時間は変わらないようなので在来線ワープを使うことにする。

相生駅
日本の全ての駅を五十音順に並べると最初にくる駅。山陽新幹線、山陽本線、赤穂線の3路線が乗り入れる。個人的な主観だが、青春18きっぷで在来線を乗り継いで西からやってきた場合、岡山-相生間の殺伐さに心折れ、ここから新幹線乗換えを決意する、そんな駅だ。1日あたりの乗車人員は4,540人(2018年度)

駅舎を撮影をしていると、岡山駅で見かけたあの釣りの恰好をした青年が階段を降りてきた。そして、駅前ロータリーに車を停めていた仲間と落ち合う。

「おー、久しぶりじゃん」

「よー、なになに、めちゃくちゃいい車もってるじゃん」

「無理して買っちゃった」

「いい釣り場なんだろうね?」

「まかせとけ、さあ乗って、いこういこう」

どうやら仲間と釣りに行くために新幹線で移動してきたようだ。調べてみると、この相生の辺りは非常に良い釣り場があるらしい。岡山と相生、けっこう遠い距離だけど新幹線を使えば朝一番から仲間と遊ぶことができる。なんだかいいよね、こういうの。

駅前には巨大なイカリのオブジェが展示されている。良い釣り場があるだけあって、海に関する見どころが多い街のようだ。


<ミッション写真 No.26>相生ペーロン祭りとみこと

駅の構内には「相生ペーロン祭り」という謎の表記と木製の船が展示されていた。「ペーロン」という不思議な響き、どんな祭りだろうと興味がわく。

駅前に「ペーロン祭」を紹介したパネルがあったので断片的に正体が見えてきた。

・音と光の祭典である
・5月の最終日曜日に開催される
・船を漕ぐペーロン競漕がある
・花火もある

どうやら「ペーロン」とは中国を発祥とするもので「白龍」を意味するらしい。それが長崎に伝わり、海神を慰めて風波を鎮めるために行われていたようだ。漕ぐボートが白龍というわけだ。さらに、それが長崎からやってきた造船所作業員により相生に伝わり、大きな祭りになったということらしい。残念ながら2020年は新型コロナの関係で中止になってしまったようだが、復活した際には是非とも観に行きたい。むしろ漕ぎたい。

相生駅の一角にオシャレなスペースがあり、コワーキングスペースみたいになっていた。電源もあるのでありがたい。Wi-Fiもある。目的の列車が来るまでのあいだ、パソコンを広げて原稿を書かせてもらった。

No.027 姫路駅(兵庫県姫路市)

6:42発 山陽本線 新快速 草津行き

ついに新快速が登場してきたのでいよいよ関西圏に入ったのだと実感する。新快速は関西方面の在来線で獅子奮迅の活躍をする列車だ。その本数もさることながら、広域さもかなりのもので、この列車など、ここ相生から滋賀の草津まで行くというのだからとにかく広域なのだ。それに乗り込んで姫路を目指す。

車内にはこれから大阪方面に遊びに行くと思われる私服の高校生やらがいて賑やかだった。ガコガコと新快速に揺られながら移動する。

途中、「網干」という駅で「後ろからくる列車との連結を行います。6分間お待ちください」とアナウンスされた。

車両を繋ぐんだ、そういうこともあるんだ、と待っていたがその6分間、ずっと遠くで犬が吠えていた。ただただ吠えていた。

7:08 姫路駅

姫路駅に到着した。記憶の中の姫路駅はもうちょっと古めかしいイメージだったが、完全に新しくてモダンな駅に様変わりしていた。ずいぶんと長いこと姫路駅に降り立っていなかったんだと実感する。

姫路駅は「ひかり」号だけでなく「のぞみ」号の停車も多い。選択肢は多いが、次の「西明石」がそうでもないので、必然的に「こだま」の選択となる。そうなると30分ほどの待ちになるようだ。

この場合は、新快速を使っても時間的にそう変わらないし、なにより新幹線特急代の節約になる。迷うことなくこの先も新快速で進んでいくことを決意する。それほど新快速とは優秀なのだ。

姫路駅
姫路市の中心に位置し、兵庫県内で最大の駅舎、駅ビルを持つターミナル駅。日本で初めての本格的な駅弁が発売された駅(諸説あり)。その駅弁を販売した業者は現在も地元の老舗食品会社として様々な駅弁を発売している。1日あたりの乗車人員は51,763人(2018年度)

福山市でも述べたが、新幹線の駅と城との親和性は高い。ここ姫路駅もそれは例外ではなく、駅から姫路城までは歩くとちょっとしんどいくらい距離があるが、なにより駅から城まで綺麗に真っすぐな道が伸びているので、駅出口から城の姿を望むことができる。

美しい。

駅からの眺めでこれなので、やはり新幹線駅と城の親和性は高い。それにしても、以前に車で通った時は塗りなおしたばかりの姫路城で、屋根まで完全に真っ白だった。そのうち黒くなってくるので真っ白は今だけしか見られませんよ、と言われたが、こうしてみるとずいぶんと黒くなったように思う。


<ミッション写真 No.27>姫路城とるる

とうことで、姫路城とでんこ撮影。こうしてみると、繁華街のビルたちが城までの道を開けているようにすら見える。その起点が姫路駅なのだ。

No.028 西明石駅(兵庫県明石市)

7:27発 JR神戸線新快速 草津行き

新快速の車両は基本的に山手線みたいなロングシートではなく、2人で座るクロスシート、4人で座るボックスシートでやってくる。ひとりで移動している場合、2人用や4人用の席を一人で占拠しちゃ申し訳ないなと思って立つことが多い。これがよその地方だったりすると、いくら座席が空いていてももう誰かが座っているシートに入り込んでくる人が少ないからだ。

けれども、関西の場合はグイグイと空いている場所に入ってくる人が多いので、結果、ひとりで座っていてもあまり席が無駄にならない。だから座る。もちろん、空いている場所におばちゃんがムリムリと座ってきた。

7:44 西明石駅

いつものごとく、悪魔からの便りみたいになっている乗車券の事情を説明し、「これもう、自動改札通らないんで」と駅員さんに説明して改札を出ようとすると、女性の駅員さんに話しかけられた。

「すごいキップですね、ちょっとよく見せてください」

駅員さんはマジマジと見つめている。

「へへ、もう自動改札とおらないんっすよ」

なぜか僕も誇らしく説明する。

「大変勉強になりました。お気をつけていてらっしゃいませ」

なにが勉強になったのかよく分からないけど、感謝されると良いことをした気分になってくる。

でもさすがに勉強にはならんだろ。券自体は新たに印字されず、稀に出場記録のハンコを押されるだけでそう変わらない。でも印字が滲んできてなんかもっとも訳の分からない何かに変貌しつつある。これもうちょっとしたら有人改札でも判別不能になって使えなくなるんじゃないか。

西明石駅
東海道本線の草津駅から延々と続く複々線路線の西側終端の駅である。また、京阪神エリアの電車特定区間の西の終端駅でもある。姫路駅からこの駅までは山陽新幹線で唯一、トンネルのない区間になっている。この駅の新幹線ホームは絶好の新幹線撮影スポットとしてファンの間で親しまれている。1日あたりの乗車人員は32,049人(2018年)

西明石駅の雰囲気は、完全に都市部のそれで、そこには生活がたくさんあった。日常の買い物に便利そうな店が並び、駅の前には休日だというのに制服姿の高校生が列をなしてバスを待っていた。行きかう人々もそこに生活しているであろう人ばかりだ。そんな雰囲気の駅なので、観光的要素があまりない。特に遠くから来た人に何かを見せるということもないような、日常に根差した駅の姿があった。

こうなると、西明石駅ならではのものを探すのが難しく、でんことの撮影もかなり難航を極めた。


<ミッション写真 No.28>まだ開いていない明石市役所西明石サービスコーナーとハル

結局、何をトチ狂ったのか、西明石サービスコーナーは西明石にしかないものだろう、と至極当たり前の主張を行い、撮影を敢行した。もうちょっとなんかあったろ。

面白いパネルがあった。先ほどからずっと絶賛している新快速だが、福井県の敦賀駅から兵庫県の播州赤穂駅まで走る新快速が275.5 kmで定期普通列車として最長距離の列車らしい。4時間6分もかかるとのことで、とんでもない長さだけど、いつか乗ってみたいものですね、って書くと、この記事が載っているSPOTというサイトはインターネットお出かけサイト界のヤクザみたいなものなので、そう記述すると「お前がやりたいっていったやんけ」とまた無茶苦茶な旅を提案してくるので、撤回します。乗りたくありません。

No.029 新神戸駅(兵庫県神戸市)

7:59発 山陽新幹線 こだま834号 新大阪行き(特急料金870円)

次の新神戸はJR在来線からは断絶されているので、在来線ワープが使えず、新幹線で行くしかない。なんだかこれまでは「こだま」号は古い車両があてがわれていたが、ここにきて新しい車両の「こだま」号がやってきた。

ちなみに、次の新神戸駅はホームの線路しかなく、新幹線が新幹線を追い抜くための線路(通過線)がないため長い停車時間は望めない。そのためにここ西明石駅で停車して退避することが多く、じっくりと新幹線を撮影できると一部で人気のスポットになっているようだ。

8:09 新神戸駅

いつものように改札で事情を話して途中下車する。

「うほ、なにこれ(笑)」

「うほ、鹿児島(笑)うほ、函館(笑)うほ、真っ赤(笑)」

新神戸の駅員さんはウホウホ言いながら僕の乗車券を眺めていた。土地柄なのか、関西に入ってからかなりの確率で駅員さんが絡んでくるようになった気がする。

新神戸駅
六甲トンネルと神戸トンネルのわずかな隙間の区間に建てられた駅。JR在来線の接続はない新幹線単独駅だが、神戸市営地下鉄が乗り入れている。山の斜面に建てられているため制約が多く待避線のない駅となっている。また断層上に作られているため断層変位対策が講じられた駅でもある。1日あたりの乗車人員は9,964人(2018年、JRのみ)

新神戸駅の駅舎もかなり年季が入っている。開業時よりも停車する新幹線が増えており(現在は全営業列車が停車)利用者も増えているので個人的にはもっとドーンとした駅舎にしてもいいのではと思う。ただ、地形的に制限が多いようなので、建て替えが難しいのかもしれない。

新神戸駅には絶景ポイントがある。運河を望みながら見下ろすように神戸の街を見渡せる。なんとも気持ちいいポイントだ。新神戸駅に降り立ったら是非とも探してみて欲しい。

さて、お気づきの人がいるかもしれないが、ここまでの駅メモチェックイン、僕の所有する“でんこ”を順番にローテンションさせ、そのチェックインに使用した“でんこ”でおでかけカメラの撮影も行っている。基本的にガチャによって“でんこ”を入手するが、僕はあまり数を持っていないのでそろそろストックが枯渇しそうだ。

だから、この駅にこの“でんこ”が来たのは本当に偶然なのだけど、偶然にもこういう撮影ができてしまった。

<ミッション写真 No.29>カンセンジャーとそら

新神戸駅にはカンセンジャーと呼ばれるキャラクターのパネルが置かれている。これは山陽新幹線イメージキャラクターらしい。おいおい、ずっと山陽新幹線を使ってきたけど、もう終盤の終盤、新神戸になって初めて出てきたぞ、と思うのだけど、本当に公式キャラクターらしい。そして、これはいいねと撮影してみたら、カンセンジャーと”でんこ”のカラーリングがめちゃくちゃ似ていた。

実は、ここまでほとんど述べてこなかったが、全ての“でんこ”は実在する駅にちなんだ名前が付けられている。おまけに、その駅で運行されている列車のデザインを継承している、といわれている。そう、でんこのデザインには意味があるのだ。

つまり、この“そら”はもしかして山陽新幹線のどれかの駅から名前を付けられていて、このカンセンジャーと同じモチーフなのかもしれないのだ。カンセンジャーは山陽新幹線を走る500系新幹線がモデルだけど、これは絶対に同じモデルだ。と思って調べたら、そら”は“青砥そら”で東京にある青砥駅から、そこを通る京成スカイライナーをモチーフにしているっぽい。全然違った。それにしても似すぎだろ。

みなさんも気に入った“でんこ”がいたら由来の駅を調べ、デザインの由来となる列車を調べてみると楽しいかもしれない。

No.030 新大阪駅(大阪府大阪市)

8:19 山陽新幹線 のぞみ94号 東京行き(特急料金870円)

新神戸を含むこの先の2駅、新大阪、京都は全ての新幹線が停車する大チャンスゾーンだ。つまりどんな新幹線を選んでもいいわけで、実質的に待ち時間が発生しない。例えば9時台などはもっとも本数が多い時間帯で、1時間に9本の新幹線が通る。何を選んでもいいわけだ。

そして、こういうときでないと「のぞみ」号に乗るチャンスはないので積極的に「のぞみ」号を選択していく。

8:32 新大阪駅

本当は順番的に「アサ」という“でんこ”にチェックインさせるはずだったが、間違えて「カノン」でチェックインしてしまった。かなり疲れがきている。

いつものごとく改札で乗車券を見せる。

「ほほー、函館ですかあ~、遠いですなあ」

駅員さんが絡んでくる。関西は絶対に絡んでくる。なんかそういう決まりでもあるのかな。

すると、後ろに並んでいたビール片手に朝から酔っぱらってるっぽいおっさんがずいずいと割り込んできた。

「アマゾン頼んだら商品が入ってなかった」

なに言ってんだこのおっさん。突然に割り込んできて頭おかしいのかって思ったけど即座に駅員さんがツッコミを入れる。

「それは箱だけ」

なになに、大阪では常にこのノリを求められるの? やだ怖い。なんなのこれ。

新大阪駅
大阪府内唯一の新幹線駅。東海道新幹線の終点であり、山陽新幹線の起点駅でもある。建設予定の北陸新幹線と中央新幹線も終点となる予定であり、計画段階の山陰新幹線の起点にもなる予定である。また、九州新幹線に乗り入れる新幹線も発着しており、まさに日本の新幹線の中心となる駅の一つである。1日あたりの乗車人員は148,472人(2018年、JRのみ)

新大阪駅は、当たり前だけどめちゃくちゃ活気のある駅で、お土産物屋とかも多数あった。そこにはやはり大阪らしい商品や展示が山ほどある。タコ焼き、通天閣、グリコの看板、これでもかと大阪をアピールしてくるので、もうなにが大阪でなにが大阪じゃないのか分からない状態になってしまった。


<ミッション写真 No.30>文楽人形とアサ

結果、もっとわかりやすい大阪があるだろうに、気が動転して文楽人形の撮影をしてしまった。

そろそろ朝ご飯を食べなきゃ空腹が限界だ。フラフラとさ迷っていたら551の看板が見えた。大阪名物551蓬莱の豚まんは最高に美味い。食べようと近づいたけど、まだ開店時間ではなかった。

No.031 京都駅(京都府京都市)

8:45 東海道新幹線 のぞみ2号 東京行き(特急料金870円)

まだまだ大チャンスゾーンは続く。次の京都駅も全ての新幹線が停車するので何を選んでもいい。新大阪からは多いとき(6時台)で1時間に12本の新幹線が東京に向かう。5分に1本だ。そんな頻度の中から選ぶので、基本的にいつ行っても待たずに乗れる。やはりせっかくの大チャンスゾーンなので「のぞみ」を選択した。

新神戸―新大阪間もそうだが新大阪―京都間もそこまで距離が長いわけではないが乗車時間は15分とまあまあ長い。九州新幹線において6分間隔で降りたいたことを考えればゆっくりとできる。これは市街地を通るために新幹線が本気を出して走らないためだ。

ゆっくりと走る新幹線に揺られ、京都駅に到着した。

9:00 京都駅

とにかく人、人、人、ホームの段階で溢れんばかりの人がいた。さすが観光王国京都、GoToの効果がかなりあるのかもしれない。ここまでで一番の人手じゃないかというくらいの人だった。

京都駅
観光都市京都の玄関となる駅。新幹線の全列車が停車するばかりでなく、各方面への特急列車も数多く発着している。在来線特急の発着種類が日本一多い駅である。日本一数の大きな乗り場「34番」がある(乗り場の数が日本一多いわけではない)。0番ホームは長さ558mで日本一長い。1日あたりの乗車人員は232,082人(2018年、JRのみ)

とりあえず朝食をとらなければどうしようもないので駅構内を徘徊するのだけど、京都駅はとにかく広い。おまけに迷宮のように入り組んでいるので自分がどこにいるのかすら分からなくなってしまう。

気が付くと駅の外に出ていたりして完全にパニックになった。この写真を撮る際に、けっこう交通量の多い道路を横断したのだけど、あとからきたサラリーマン軍団が思いっきり信号無視して横断し、めちゃくちゃクラクション鳴らされていた。

「あんなに鳴らさなくても」

「俺が車だったら鳴らさないね」

って渡り終えたサラリーマンが会話していたけど、完全にアウトなタイミングだったから、僕でも鳴らしたと思う。

さて、何か京都らしい朝食をと駅の中を徘徊していたら、右手に京都タワーが見えてきて、さらに京都らしい一角を発見した。


<ミッション写真 No.31>京都おもてなし小路とカノン

まさに京都という感じなのだけど、よくよく考えると京都ってこういうステレオタイプな京都らしさを求められるのってちょっとかわいそうだ。僕が京都だったら、もっとこう、近代的な感じも出していきたいのに、またこれですか? みたいになると思う。

ほら、京都駅ってめちゃくちゃ近代的でしょ。こういう一面だってあるんですよ。

それでも、人々はそういった京都を求めているわけで、この一角だけめちゃくちゃ人だかりができていた。朝食を食べられるお店もたくさんあったのだけど、かなりの行列でちょっと待っていられない感じだった。

いつもそうなのだけど、結果としてあまり京都らしくない朝食をとることになってしまう。でも、こういう京都をアピールしていくことだって、きっと京都は悪い気はしないはずだ。あたりまえのように同じような京都を求められても困ると思う。

No.032 米原駅(滋賀県米原市)

9:33発 ひかり644号 米原行き(特急料金990円)

ついに大チャンスゾーンが終わったので、ここからは停車駅を見極めて新幹線をチョイスする必要がある。幸いにもちょうど良いタイミングで次の米原に停車する「ひかり」がきたのでこれに乗車する。

この旅において初となる「ひかり」号への乗車だ。というか、一昔前に比べてずいぶんと「ひかり」の設定が減ったように思う。ほとんどが「のぞみ」か「こだま」でその中間にある「ひかり」はかなり少ない。

9:53 米原駅

すっかりと夜も明けてしまって、青い空が広がっていた。本当に気持ちのいいくらいの青い空だ。この米原駅で新幹線を降りる人々、なぜかスポーティーな格好をした人が多かった。

決して乗り降りする人が多い駅ではなさそうなのに、けっこうな数の人が降り、その多くの人がスポーティーなのだ。なにかあるのだろうか。

この駅での待ち時間は30分ほど。徘徊するにはちょうど良い時間設定だ。

米原駅
滋賀県内唯一の新幹線駅で北陸本線と近江鉄道本線の起点ともなる駅である。在来線においてはJR西日本とJR東海の境界駅となっている。かつては周辺に鉄道関連施設が多く設けられていたため、鉄道の街として周辺が栄えた経緯がある。1日あたりの乗車人員は12,754人(2018年)

この米原駅には何度か降り立ち、列車待ちで周辺をウロウロしたことあるけど何もない駅だったように記憶している。駅前にポツンと金券屋の自動販売機があった以外は、特に何もないような駅だったはずだ。そうなると、米原駅ゆかりのものを探すのはかなり難航しそうだ。

と思ったら、思いっきり駅前に米原市役所があった。勇ましく「米原市役所」と書いてある。市役所なんて宝の山だ。米原ゆかりのものがゴロゴロしているに違いない。急いで駆け寄った。

駆け寄ってみてわかったけど、まだ絶賛工事中で中には入れなかった。うお、宝の山と興奮気味に駆け寄って期待が外れるの、砂漠でオアシスの幻を見る人に似ている。

ただし、この駆け寄りも無駄ではなかった。急いで駅から出ようとして通った出口でちょっと変わった光景を見ることができたからだ。

駅の出口にずらりと並ぶ自転車たち。まあ、駅の周りに自転車が放置されてるのなんてそんな珍しい光景ではないでけど、これは出口とはいえ、駅舎の中、それもスポーティーな自転車ばかりが並べられている。

どうやらこれ、レンタルサイクルらしい。画像は、スポーティーな格好をした団体が出発したあとに撮影したものだけど、それまではこのスペースがスポーティー軍団で埋め尽くされていた。それくらい盛況だった。では、ここで自転車をレンタルして何をするか。

琵琶湖一周サイクリング。

ロングコースとショートコースがあって、経験や体力に応じてコースが選べるみたいだ。ここ米原駅がその琵琶湖一周サイクリングのスタート基地みたいになっており、新幹線でやってきて、自転車に乗って琵琶湖一周して新幹線で帰るスタイルのようだ。なかなかいいシステムだと思う。


<ミッション写真 No.32>レンタルサイクルとなつめ

まだまだ時間があるのでレンタル自転車とは反対側の駅出口にいってみる。

やはり金券屋の自動販売機は健在だったけど、この画像の景色。何か足りない気がする。記憶の中の景色とあまりに違いすぎるので困惑した。たぶん、画像中央の奥の方にあった大きめのショッピングセンターみたいな建物がなくなっている。間違いなくなくなっている。僕はそこで弁当を買ってここでムシャムシャ食べたことがあるので覚えている。ぜったいに、ここにショッピングセンターあった。

No.033 岐阜羽島駅(岐阜県羽島市)

10:33発 こだま716号 東京行き(特急料金870円)

つぎの岐阜羽島駅も「こだま」号メインの駅なので「こだま」を選択するしかない状態だ。ただ、山陽新幹線においては「こだま」号は比較的に古い形式の車両が割り当てられる傾向にあったけど、こちら東海道新幹線は新しい車両でやってきた。もしかしたらこの区間は「こだま」でもけっこう良い車両が割りあてられているのかもしれない。

途中、車窓から禍々しき巨大建造物みたいなものが見えた。かなりでかい。これはソーラーアークと呼ばれる施設で、全長315m、高さ37m、全体にソーラーパネルがあしらわれている。ちなみに、このソーラーパネルは太陽電池不正販売事件に絡んで回収されたものが使われているらしい。施設見学は学校関係の団体のみ。

10:47 岐阜羽島駅

岐阜羽島駅はホームに降り立った瞬間に異様な何かを感じ取った。不穏というかなんというか、とにかく他の駅にはない雰囲気がムンムンに漂っていた。なんだろうと色々と探してみたのだけど、たぶんこれが原因だ。

看板が大きい。おまけにその大きな看板がけっこうな数あって、なんとなくメッセージ性が強い。美容や健康の内容が多いみたいだ。ホテルの壁面に書かれた「ありがとう冷え取り健康美容法」にいたってはちょっと意味わからないし、ホテル名よりでかい。

おそらくではあるけど、これは駅や周辺にいる人に見せるための広告というよりは、通過する新幹線に向けた広告なんだろうと思う。岐阜羽島駅は「こだま」メインの駅なので、基本的に多くの新幹線が通過する。けっこうなスピードで通過する新幹線に向けて、見えやすいようにデカデカと広告をつけた、ということではないだろうか。

岐阜羽島駅
岐阜県内唯一の新幹線駅。米原から名古屋までのこの区間は一駅ごとに県が変わる。開業時は新幹線単独駅であったが、1982年に名鉄羽島線の新羽島駅が開業し、乗換が可能になった。駅前には新幹線駅設置に尽力したとされる地元大物政治家の銅像が建立されている。東海道新幹線駅で最も利用者数が少ない駅。1日あたりの乗車人員は2,955人(2018年度)

駅周辺はデカデカとした看板があり、ある意味では賑やかだが、駅の中はそうはいかなかった。

駅構内にある「めん処」は新型コロナの影響で休業状態。

駅構内にある雰囲気の良さげなティーサロンも、新型コロナの影響で休業状態。あらゆるものが休業していた。売店だけはやっていた。

何もなさ過ぎて、どうしよう、この駅で何を取り上げようと気が動転してしまった結果、駅構内の完全なる隅っこに追いやられていた、おっさん二人がくんずほぐれつになる謎の像を撮影していた。板に書かれた文字も消えていて、もはや何をモチーフにしたものかもわからない。

そんなことはない。何もないなんてことがあるか。新幹線の駅だぞ。

こういう時はですね、周囲を歩けば必ず何かが見つかるんですよ。まだまだ次の新幹線まで時間もあるし、徹底的に探します。絶対になにかある。

なんかあった。なんだあれ。

近づいてみると、かなり巨大なドームであることがわかる。入口が付いていて、換気の設備が並んでいてそれがゆっくりと動いている。ただ、中になにかがあるような気配がない。なんだろこれ。何か育ててるのかな。

眺めていたら中から従業員っぽい人が出てきたので、質問しようと思ったのだけど、どうやら電話中のようで、なかなかの勢いでマシンガントークしていました。電話が終わるのを待ってましたが、なかなか終わらず、結局、新幹線の時間になってしまったのでスゴスゴと駅に戻りました。なんだったんだろ、これ。


<ミッション写真 No.33>謎のドームとスピカ

No.034 名古屋駅(愛知県名古屋市)

11:15 ひかり646号 東京行き(特急料金870円)

さあ、次はいよいよ名古屋駅だ。思えば遠くに来たもので、鹿児島中央駅を出発したのが遠い昔のようだ。

11:26 名古屋駅

ここ名古屋に来て、ついにこの旅の本質に気が付いてしまった。なにがどうなっているのかさっぱり分からないが、とりあえずこの旅は鹿児島中央駅から新函館北斗まで新幹線の全駅で下車し、その駅を紹介していくというものだ。

それぞれの駅で駅メモチェックインを敢行して旅の記録をとりつつ、その駅ゆかりのものと“でんこ”との記念撮影を行う。ただし、これは建前で、実際には新幹線を待つことがメインとなっているのだ。駅の紹介なんてのは待ち時間に行っているに過ぎない。

つまり、待ち時間が少ない駅はそんなに紹介できないし、逆に待ち時間が長い駅は、たくさん紹介できる。それはいいのだけど、ここで大きな矛盾が生じる。

利用客も多く、店や施設も多く、周りもメチャクチャ栄えている、紹介するところたくさん! みたいな場所は基本的に新幹線の選択肢も多いので待ち時間が短くなる。逆に、田園にポツンみたいな、駅前にケーズデンキしかないみたいな駅の場合、新幹線の選択肢も少ないので長いこと待つことになる。

盛りだくさんの駅は短く、要素が少ない駅はたっぷり紹介してね、というちょっと意地悪な裏ルールが存在したのだ。ここ名古屋に来てやっと気が付いた。あいかわらずSPOT編集部はえげつねえな。あいつら取材ライターを困らすためなら人殺し以外なんだってするんじゃねえか。

とにかく、ここ名古屋も巨大な駅で、盛りだくさんなのだけど、例によって待ち時間はそう長くない。手短に紹介していかねばならない。

名古屋駅
中部地方最大のターミナル駅。JR東海本社が入る駅ビル「JRセントラルタワーズ」は世界一売り場面積の広い駅ビルとしてギネス申請され、登録されたが、駅ビルではないとして取り消されている。略称である「名駅(めいえき)」は、駅周辺の地名にもなっている。1日あたりの乗車人員は219,917人(2018年、JRのみ)

かなり遠くからでもしっかりと確認できるツインタワーが勇ましい駅だ。世界一売り場面積が広い駅ビルとギネス認定されたのに駅ビルではないとして取り消された話とか深掘りできるので完全に盛り沢山な駅なのだけど、そう時間はない。ここは取り上げるべきものはもう決まっている。


<ミッション写真 No.34>新幹線南口とメイ

なかなかいい感じに撮影できてしまった。名古屋駅に来たらこれだとずっと決めていた。なんの話か気になる人は「新幹線 牧瀬里穂」でググって出てきた動画を見てください。

駅舎を撮影してからここまでコンコースをめちゃくちゃ走った。

 

No.035 三河安城駅(愛知県安城市)

11:38 こだま718号 東京行き(特急料金870円)

名古屋を出るといよいよ東京が近づいてきた感じがするなあ、と考えていたら前に座るサラリーマン二人組の若手の方が「名古屋出ると東京近づいてきた感じするっすよね」とか全く同じこと言っていて、めちゃくちゃ親近感が湧いた。

すると「はあ、そんなわけないだろ、まだまだ東京は遠い。だいたいお前はさ、普段から的外れでさ」みたいに先輩と思わしき人に完全否定され、その上にクドクドと普段の仕事っぷりのダメ出しが始まってしまった。完全に火がついてしまった先輩は止まらず、なんだか僕まで怒られているような気がしてきて、三河安城までの10分間、いたたまれない気持ちで過ごした。

11:48 三河安城駅

僕が降りるときもまだ説教されていたので、あの調子だと東京に着くまで言われてそう。せめて「のぞみ」だったらパーッと着くのに、「こだま」なのでゆっくり、じっくりと説教が続く。

三河安城駅は周囲にマンションが立ち並ぶ、いわゆる住宅街みたいな雰囲気が漂う場所にあった。ホームを歩く人もまあまあ多いのでそこそこの利用客がいそうだ。

三河安城駅
設置にかかわる事業費を地元が負担した請願駅。新幹線と在来線の乗換駅としても機能しているがそれぞれのホームはかなり離れていて、乗り換える場合も一旦改札を出る必要がある。新幹線は「こだま」のみ停車する。デンマークの農家を模したと言われる駅舎が特徴。1日あたりの乗車人員は7,660人(2018年度)

とにかく駅舎がポップだ。その外観はデンマークの農家を模したものらしい。おまけにけっこう大きく表示されている駅名が、色合いといいフォントといい、明るくて良い。

<ミッション写真 No.35>世界の山ちゃんとなほ

改札を抜けるといきなり目の前に「世界の山ちゃん」が飛び込んできた。手羽先がめちゃくちゃ美味い居酒屋で、名古屋名物を多く出す店だ。関東をはじめあちこちに支店があるのでかなりメジャーだといえる。

「かぁー、山ちゃんの手羽先とビールいけたら最高だなあ」

体が山ちゃんの手羽先と生ビールを求めている。けれども、いまは取材中だ。新幹線全駅下車という何がしたいんだかよく分からない蛮行とはいえ、取材中だ。ここで生ビールなんか飲んだらあとの駅の記述が支離滅裂になってしまう。それどころか新幹線を寝過ごすかもしれない。目が覚めたら東京駅もありうる。ここはグッと我慢だ。

山ちゃんの隣には、店名は分からないけど明らかに酒に特化したお店があった。でかでかと角ハイとか書いてありやがる。

「くぅー、角ハイ飲んで鉄板料理」

しかし今は取材中、我慢我慢。

その隣には浜松餃子のお店が。まだ浜松じゃないのに。しかも、餃子とビールの組み合わせを推していて、勇ましく「餃子とビールは文化です!」とまで書いてある。ちょっとまて、酒の店ばっかじゃないか。

「なんだなんだ、この駅は。お酒に特化した店ばかりじゃないか」

この三河安城駅、そこまででかい駅というわけではない。入っている飲食店も、僕が見た限りでは4店舗。そのうち3店舗が酒に特化している。どうなってんだ三河安城。

それにしても、事前情報では三河安城駅は新幹線と在来線が乗り入れる駅と聞いていたのだけど、さっきから新幹線の改札と酒に特化した店しか見当たらない。在来線はどこにあるんだろう、と探しました。

そこそこアップダウンがあって、けっこう長い通路の先に在来線のJR三河安城駅がありました。

けっこう離れているし、建物も完全に別物だし、これもう完全に別の駅だろ。酒特化といい、長い通路といい、なかなか面白い駅だった。

No.036 豊橋駅(愛知県豊橋市)

12:24発 こだま720号 東京行き(特急料金870円)

やっべ、入線してくる新幹線車両の写真を撮り忘れた、と焦って車内で撮った一コマ。ちゃんとビールを我慢したので、その穴埋めにコーラゼロを購入した。

なぜか愛知に入ったあたりからコーラゼロのペットボトルが自動販売機に入っていないことが多くなった。コンビニにもないことが多い。愛知の人はコーラゼロを飲まないのだろうか。

仕方がないので泣く泣く缶のコーラゼロを買った。席について開けた瞬間に、もうすぐで次の駅に着くとアナウンスがあったので、楽しむことなく、一気飲みを余儀なくされてしまった。缶はこれがあるから辛い。

12:36 豊橋駅

駅周辺が賑やかな駅だ。乗り降りする人も多く、駅自体が活気に包まれている。

豊橋駅
新幹線のみならず当駅を起点とした在来線各線が伸び、名鉄や路面電車の拠点ともなる東三河地区の交通拠点として機能する駅。隣接する新豊橋駅からは三河田原駅までを結ぶ豊橋鉄道渥美線が出ている。駅周辺も豊橋市の中心市街地として発展している。1日あたりの乗降者数は17,737人(2018年度)


<ミッション写真 No.36>展示された車とノア

改札を抜けるといきなり目の前に車が飛び込んでくる。ここ豊橋は「東三河のゲートウェイ」と銘打って、ものづくり技術の拠点であることをアピールしているようだ。

「前に来た時と車が変わっている。前は赤い車だった」

隣を歩いていたおっさんが、そう呟いていたので、どれだけのスパンか不明だがこの車は定期的に変更されるのかもしれない。

駅出口を出ると完全に賑やかだった。巨大なビルが乱立しているとかではないが、駅を中心にたくさんの人が行き来している。これぞ活気のある駅なのだと思う。どうやら、近々、豊橋市長選挙を控えているようで、駅前では「選挙に行こう」をキャッチフレーズに歌っている人がいた。

「選挙より宇宙に行きたい!」

と揶揄するようなヤジを飛ばすおっさんがいて、一瞬、前澤社長かと思ったけど、お金は配ってなさそうな感じの普通のおっさんだった。なんで突然に宇宙が出てくるんだ。今は選挙の話をしてるだろ。それがありなら僕だってエジプト行きたいとかいうよ。ピラミッドみたいし。SPOTさん、エジプトお願いします。

たぶんパチンコ屋さんの看板だと思うのだけど、豊橋駅前には今にも飛び立たん勢いのスペースシャトルがある。ヤジを飛ばしたおじさん、あれに乗って宇宙に行けますよ。

そんなこんなで、ついに愛知県エリアが終了。次はいよいよ浜松となり、静岡県エリアのスタートだ。

 

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