鹿児島中央駅から新函館北斗駅まで新幹線の全駅に下車してきたので全力で紹介する_PR【駅メモ!】

No.037 浜松駅(静岡県浜松市)

13:09発 こだま 722号 東京行き(特急料金870円)

次の浜松駅での待ち時間は37分ほど。その37分でどうしても成し遂げたいことがある。それが「浜松餃子を食べる」ことだ。

時間もちょうどお昼を超えたあたり、昼食としてしっかりと食べておきたい。ただ、37分で行けるだろうか、駅から出て浜松餃子の店を探して、注文して焼けるのを待って、食べて舞い戻る。ギリギリな気がする。それでも挑戦するしかないのだ。浜松餃子が食べたい!

13:21 浜松駅

うおおおお、いそげえ、と走るのだけど乗った位置が悪かったのか改札へと続く階段までがなかなか長かった。

改札へと続く通路の途中に、突如として高貴な一角が登場して、そこにめちゃくちゃ高級そうなピアノが置かれていた。ここ浜松市に本社を構える河合楽器の提供みたいだ。

浜松駅
浜松市の中心に位置する駅。国鉄時代には東京-浜松駅間の列車が何本か運行されており、東海道本線で東京から発着する昼行普通列車の最西端駅だった。浜松駅よりやや西側にJR東海浜松工場があり、そこに至る西伊場第1踏切では、東海道新幹線が通る唯一の踏切がある。1日あたりの乗車人員は37,594人(2018年度)

とにかく浜松餃子のお店を探す。浜松駅は大きな駅なので巨大な駅ビルを有している。こういった地域の名産グルメは駅ビルを探せば話が早い。駅ビルがあるのは反対側の出口だったようでで急いで移動し、駅ビルに駆け込んだ。

五味八珍 浜松駅ビル メイワン店

あった。

狙い通りしっかりと駅ビルにあったのはいいのだけど、駅ビルのグルメゾーンはだいたい最上階にあるので、けっこう時間を食ってしまった。最上階に至るまでにエレベーターに乗ったら律儀に全ての階で停まるものだからかなりギリギリの時間になってしまった。

浜松餃子定食 690円

ついに浜松餃子にありつけた。

端的に言うとめちゃくちゃ美味い。焼き目はカリカリしているのに中はとろけるように柔らかく、肉汁がジュワッと溢れてくる。真ん中に盛られたもやしが口直し的なアクセントで良い。タレもめちゃくちゃご飯が進む味付けで、最後に飲んだスープが体の隅々にまで行き渡ってるんじゃないかと思うほどの旨味で、時間に間に合うか心配だったけどペロリと平らげてしまった。

隣のテーブルには、品の良さそうな制服を着た女子高生が二人で餃子を食べていました。女子高生も食べにくるほど美味いのか、それとも女子高生が食べに来るほど浜松では一般的なのか。女子高生はずっとサッカー部の先輩の話していました。そこにバスケ部の先輩が登場してきたところで、残念ながら新幹線の時間なのでタイムアップ。続きが聞きたかったけど新幹線に向かうことにした。


<ミッション写真 No.37>浜松餃子とマリン

No.038 掛川駅(静岡県掛川市)

13:58発 こだま724号 東京行き(特急料金870円)

やはり、どう考えてもおかしい。新幹線に乗ったり降りたりしているだけなのに、どうしてここまで体力が消耗し精神力が削られていくのだろうか。使っている体力なんて、階段の上り下りと、駅構内の徘徊、駅周辺の徘徊くらいなのにとんでもなく疲れる。本日はこの段階でもはや立てぬ、このまま東京まで乗っていく、みたいな状態になってしまった。言うなれば散歩途中で歩くのを拒否する犬みたいな状態だ。

思うに、体力面より精神面なのだろう。目まぐるしく居場所が変わる状況は、そこに順応しようとして気を張る。そこでかなり消耗する。新幹線によってかなり激しく状況が変わることで途方もない摩耗が起こっているのではないか。その精神面での疲れが体力面での疲れも引き起こしている。

とにかく、このまま東京に乗っていくわけにはいかないので、なんとか気力を振り絞って掛川駅で下車した。

14:08 掛川

この掛川駅も新幹線ホームからお城が見える駅だ。掛川城だ。やはり新幹線駅と城の親和性は高い。ただし、福山駅と違って、その見え方はけっこう小さく、なかなか離れた場所にありそうだ。とりあえず、駅の外に出て城が良く見えるポイントを探してみよう。

掛川駅
東海道新幹線および東海道線が乗り入れる駅。また、浜名湖鉄道天竜浜名湖線も乗り入れる。当時の市長の木の文化を大切にするという方針から新幹線開業時も1940年に建築された木造の駅舎を使用していたが、元の資材を活用する形で2012年に耐震化工事が行われている。浜名湖鉄道天竜浜名湖線は別改札となる。1日あたりの乗車人員は11,477人(2018年度、JRのみ)と「こだま」のみ停車する駅の中では多い。

駅を出ると、目の前にはロータリーと駐車場があった。そこから見える掛川城がこんな感じだ。近づいてみればもっと大迫力なんじゃないだろうか。気が付いた時には、駅の前の大きな通りを横断し、城に向かって歩き出していた。

クソっ、思ったより遠いな。これはなかなか大変だぞ。

前を歩くおっさんも同じように駅から掛川城まで歩いているようなのだけど、同じように「クソっ、思ったより遠いな」って考えているに違いない。

ひいひい言いながら歩ききり、ついに掛川城のふもとみたいな場所に到着した。


<ミッション写真 No.38>掛川城とらら

なんかこういっちゃ身も蓋もないけど、駅から見た掛川城とあまりかわらんな。敷地内に入ってもっと間近で見れば違うのかもしれないけど、そこまでする気力がない。それに時間もない。駅に舞い戻らなければならないからだ。こういうのは僕に「教養」がないから、そこまでして城を見ようという気力がでてこないのだろうか。

「日本で初めて「教養」という言葉が使われたのは掛川でした」

そう。

No.039 静岡駅(静岡県静岡市)

14:38発 東海道新幹線 こだま726号 東京行き(特急料金870円)

ただでさえ体力を消耗しているのに城まで歩いたのはかなり痛手だった。もう座席に着いた瞬間にそのまま眠ってしまいそうだった。悪いことにこの掛川―静岡間は乗車時間が14分間とまあまあ長いのでそのまま寝落ちしてしまいそうだった。なんとか気力で踏ん張るしかなかった。

14:52 静岡駅

新幹線ホームからみる静岡駅周辺は完全に賑やかだった。大きな建物が建ち並び、駅には商業施設も併設され、人の往来が盛んだ。街の中心としての機能を果たしている。

新幹線ホームから改札へと向かう。

名古屋駅からここ静岡駅まで、このような中途半端な段差の階段とエスカレーターを備えた駅があまりに多かった。1フロアを上り下りするのではなく、半フロアぐらいの高さを上下する。この中途半端エスカレーターを経て改札に至る構造が多い。

これは九州新幹線や山陽新幹線でも見られた現象で、同時期に作られたと思われる駅の構造は、ちょっと似てくる。その時の流行みたいなものもあるのかもしれない。とりあえず、名古屋駅からここまでの数駅のこの中途半端エスカレーターは、同じ時期に作られたからじゃないだろうか。

静岡駅
静岡県中部地方の中心駅。利用客も多く、JR東海の駅の中では5番目、静岡県内では最も多い。パルシェやASTYなどの商業施設も併設している。「こだま」「ひかり」が停車するが、速達タイプである「のぞみ」は停車しない。そもそも「のぞみ」は静岡県内の駅には客扱いで停車しない。1日あたりの乗車人員は60,332人(2018年度)

これだけ大きな駅になると何を紹介するのか非常に悩ましい。とりあえず駅周辺をブラブラしてみますか、と歩き出すとなかなか良さそうなものを見つけた。

シェアサイクルだ。

これを利用できればかなり行動範囲が広がり、例えば駿府城とかみにいけるのではないか。そうすれば新幹線駅と城の親和性は高い、とバチーンと主張できる。

さっそくシェアしようと色々やってみたが、シェアできなかった。どうやらスマホにアプリをインストールするところから始める必要があるようだが、そのアプリのダウンロードが全く進まなかった。僕の格安スマホの通信速度が遅くなるブラックホールみたいな状況にあったため、まったくダウンロードできなかった。残念だけど新幹線の時間もあるので断念する。

なにか飲み物を買おうとガード下のコンビニに入店する。すると、手前のほうの棚が略奪にあったみたいにすっかからかんになって荒れ果てていた。

「すいません、一番くじありますか?」

おばさんがレジにいた店員さんにそう訊ねていた。どうやら本日から大人気漫画「鬼滅の刃」の一番くじが実施されるとあって、おばさんはそれを探しているようだった。

「ないですね、朝には全部売れちゃいました」

そう答える店員さん。販売開始即売り切れみたいな状況だったようだ。大人気だな。それを受けておばさんが店を出たところで誰かに電話していた。

「うん、そう、朝には売り切れちゃったんだって、キツメの刃

って言っていた。確かに大人気過ぎて購入はキツメだけどさあ。


<ミッション写真 No.39>東照宮三百年祭記念塔とひまり

静岡駅の南口、やや浜松よりの場所に変わった形の塔がある。塔の上部には徳川家の家紋があるので徳川ゆかりのものだろう。説明を見ると、大正時代に、徳川家康を祀る久能山東照宮の三百年祭を記念して建てられたものらしい。100年くらい前に建てられた300年記念というスケールの大きさ。訳の分からない時間の流れを感じさせてくれる塔だ。

No.040 新富士駅(静岡県富士市)

15:25発 東海道新幹線 こだま728号 東京行き(特急料金870円)

この名古屋からの区間は、ほぼ「こだま」しか停まらない、みたいな駅が多い。けれども、その「こだま」が図ったように30分に1本は設定されているので待ち時間もきっちり30分であることが多い。トントン拍子に進んでいる感覚だ。

15:36 新富士駅

名前からも分かる通り、富士山の真正面にある新幹線駅だ。その富士山圧はなかなかすごいものがある。

これが駅に掲げられていた周辺の地図なのだけど、富士山だけめちゃくちゃ艶めかしく立体的に描かれている。普通はこういう描写はしない。地図の技法も無視している。それだけ富士山に対するこだわりが強いのだろう。

新富士駅
富士山の南正面に位置しており、駅から富士山全景を眺めることができる駅。駅前後は富士山が綺麗に見えることから、眺めを邪魔しないようにホームの壁もガラス張りになっている。地元の請願によって設置された請願駅で、こだまのみが停車する。東海道新幹線の駅では唯一、他の鉄道と接続していない単独駅である。開業以来、「こだま」号しか停車しない駅だが、1993年に「のぞみ」号の車内で殺人事件があったさいに、犯人を確保するために「のぞみ」号が緊急停車したことがある。1日あたりの乗車人員は4,874人(2018年度)


<ミッション写真 No.40>富士山とマコ

駅を出ると真正面にしっかりと富士山が見える。なかなかの迫力だ。ただ、なんでだろう、あまり富士山っぽくないというか、本当にあれ富士山? みたいに一瞬だけ疑ってしまった。たぶん山の色なんだと思う。秋の色どりとなった富士山は、普段見ている富士山とあまりに印象が違う。

僕のあとに来たカップルも、こんな会話をしていた。

「みてみて、富士山、すごい本当に見えるんだね」

「ほんとにあれ富士山?」

「でしょ?」

やや懐疑的だ。みんな考えることは同じ。

富士山側じゃない方の駅の出口は昔ながらの住宅地が広がっていた。そんな住宅地を徘徊していると完全に道に迷ってしまった。なぜ徘徊していたかというと、ATMを探していたからだ。

何度も書かせてもらうが、この旅は新幹線全駅下車の旅である。乗車券は途中下車が可能なのですでに新函館北斗までの分が購入してあり、地獄からの手紙みたいな状態になっている。ただし、新幹線特急券は途中下車すると無効になるため、すべての駅で購入している。それがなかなか高価で、みるみる所持金が減っていく。

金が足りないと九州の新水俣駅で口座から引き出したが、それも底をつきかけていた。だからここでコンビニを見つけてATMで補充しなくてはならない。ただ、なかなかコンビニが見つからず、悪戦苦闘して歩き回ることになった。

あった。

コンビニはそこそこ駅の近くにあったのだけど、道に迷ってかなり大回りをしてしまった。それでもなんとか旅費を補充でき、この先も旅を続けられることとなった。さあ、次の駅に行きますか、と駅に戻って衝撃の光景を目にする。

嘘だろ。

駅にあったのかよ。あれだけ歩いたのはなんだったんだよ、と失望するのだけど、まてまてATMといっても静岡県内の信用金庫のATMとかかもしれない。それだったらどのみち僕の口座の金は下せない。大丈夫、信用金庫のATMだ。とおそるおそる確認しにいった。

セブン銀行のけっこうどこの口座でもいけるやつだったな。ここで下せば事なきを得ていたな。歩き回った意味なかったな。

No.041 三島駅(静岡県三島市)

16:13発 東海道新幹線 こだま 730号 東京行き(特急料金870円)

またもや、入線する新幹線を撮り忘れたので、車窓からみた富士山を。やはりしっかり富士山だ。美しい。

こういった旅をしていると、後半にかけて疲労が蓄積し、それに比例して撮り忘れ、スクショし忘れが増えてくる。それは甘えの現れである。大変な旅だから、などという言い訳は通用しない。しっかりと気合を入れていかなければならない。

16:22 三島駅

工場が多く建ち並ぶ一角が見えてくると、いよいよ三島駅が近い。夕刻が近くなり、少し傾きかけた太陽の光は黄色みを帯びて工場群のパイプ類を照らしていた。パイプの継ぎ目に座っていた茶色の錆は、居心地悪そうにその光を浴びていた。まるで今にもどこかにいってしまいそうな儚さがあった。急に描写がエモーショナルになったのは本当に疲れているからです。

さて、この三島駅、けっこうのんびりとした雰囲気の駅なのだけど、とんでもない罠が仕掛けられていることを皆様にもしっかりと報告しておきたい。

三島駅
新幹線とJR在来線のほかに伊豆箱根鉄道駿豆線も乗り入れる駅。JR東海と伊豆箱根鉄道は別の駅舎だが駅内部では通路によって繋がっている。北西に2キロほど行った場所にある御殿場線の下土狩駅がこの駅ができるまで三島駅を名乗っていた。1日あたりの乗車人員は31,112人(2018年、JRのみ)

北口を出る。おお、色々と賑やかな駅だな。東レの看板も見える。行きかう人も多い。

新幹線駅は、新幹線が走る方向と垂直方向に2つ出口があることが多い。この三島駅も東西にはしる新幹線と垂直に、北口と南口がある。だいたい、複数の出口がある場合は、そのどちらの出口も記録することにしている。なので、北口を出たあとに南口を見ようとしたが、移動する手段がないのだ。

普通は、南北自由通路みたいなものがあってどちらも行き来できるようになっているが、それがない。どうやら、入場券を買って改札内に入らないと向こう側の出口にはいけないようだった。僕の持つ乗車券でそれはできると思うのだけど、じゃあ、改札に入らずに南口に行こうとしたらどうなるのか、やってみることにした。

新幹線の高架を潜り抜けて向こう側に行くポイントが全くないので、延々と線路沿いを歩くことになってしまう。とっくに駅前の喧騒は消え失せ、静かになってしまった道を延々と歩く。

本当に歩く、延々と歩く。先が見えないのが恐ろしい。まるで新富士駅まで続いてるんじゃないかと思うその行程に身震いすら覚える。三島を訪れる人は南口と北口を間違えただけでこの洗礼を受けるのだ。


<ミッション写真 No.41>南側に抜けられる通路とつむぎ

やっとこさ南側に抜けられる通路に到達したので怒りの“でんこ”撮影。ここまで15分は歩いたと思う。狂ってる。歩いているうちにすっかり日が暮れてしまったが、同じ距離を歩いて南口に戻らなくてはならない。

歩く歩く。南口までとにかく歩く。

どうなってんだこれってレベルで歩く。延々と歩く。

やっと南口に到着した。おそろしいことに、北口から南口に移動するだけで新幹線の待ち時間が終わってしまった。昨今の世界情勢に目を向けると、さまざまな分断が叫ばれている。どれも深刻な問題だけど、三島駅の南北出口の分断、これも早急に解決しなくてはならない。

新幹線ホームへと向かうエスカレーター、トリッキーな形をしていて、動く歩道とエスカレーターが融合したみたいな構造をしている。「ゆうロード・三島」と名前をつけられていて日本で初めて設置された動く歩道と一体化したエスカレーターらしい。これをぜひ、南北を繋ぐ自由通路に。

No.042 熱海駅(静岡県熱海市)

16:54発 東海道新幹線 こだま732号 東京行き(特急料金870円)

熱海へと向かう新幹線は「こだま」号だけどなかなか良い車両がやってきた。全ての座席に電源がついているものだ。やはり東海道新幹線に入ってから「こだま」の車両レベルが上がっている。早速、短い時間ではありますがスマホを充電しますかねと充電器を差し込む。駅メモチェックインとおでかけカメラ撮影のため、スマホが生命線となるからだ。

向こう側の窓際に座るギャルが、そのコンセントにヘアアイロンをぶっさして髪を巻き巻きしていた。いやいや、それはダメだろ。ちゃんとパソコンか携帯の充電以外に使わないでくださいって書いてある。それでもギャルは巻き巻き。熱海に到着し、僕が降りる頃も新たな部分を巻き始めたので、たぶん東京までずっと巻いてるんだと思う。

17:01 熱海駅

到着するころにはすっかりと日が暮れていた。新幹線は東に進む。東になるほど日の入りが早くなるので、この夕刻あたりの時間帯は乗ってるだけでワープしたかと思うほどに劇的に日が暮れる。

熱海駅はとにかく観光客で賑わっていた。駅を行き交う人も多く、働く人もどこか忙しそうだった。

熱海駅
静岡県の駅だが、JR東海とJR東日本の境目にあり、在来線においては2社の会社境界駅となっている。温泉街である熱海市市街地の北側に立地し、駅前にも土産物屋や旅館、ホテルなどの観光施設が並ぶ。1日あたりの乗車人員は15,378人(2018年)

温泉地ということもあって駅前には足湯広場みたいなものがあった。ただし、いまはコロナの影響なのか、お湯を出してないようで、足湯ならぬ足、みたいな状態になっていた。それでもただのベンチとして座っている人は多かった。

<ミッション写真 No.42>足湯広場とまりか

少し駅前を散策してみる。

駅前にはめちゃくちゃレトロなビルがあった。中にたくさんのテナントが入っているらしい。

このレトロな雰囲気がたまらない。ただ、けっこう閑散としていて、多くの店が営業を終了しているか、それとももう営業していないのか、閉まっていた。

駅のすぐわきには観光地らしい商店街がある。行きかう人も多く、熱気がすごい。

いまどきここまで熱気と活気がある商店街も珍しい。

けっこう長蛇の列になっていた阿部商店で「いいらまんじゅう」という温泉まんじゅうを購入することにした。三代続く老舗のようだ。一個一個バラ売りもしてくれるらしい。

できたてなのでめちゃくちゃ熱い。本当にこの世のものかと思うほどに熱い。熱海だけに、と呟いてしまうほどに熱い。それでも柔らかくて甘さは控えめで、そのマイルドな甘さと温かさがスッと体に染み渡っていくようで美味い。熱海にきたら是非とも食べて欲しい。ただしできたては熱い。熱海だけに。

No.043 小田原駅(神奈川県小田原市)

17:32発 東海道新幹線 こだま734号 東京行き(特急料金870円)

長かった静岡県も終わり、ついに神奈川県入りとなる。長かった。静岡、本当に長かった。浜松入りしたのが13時半なので、じつに半日を費やして静岡県内を移動したことになる。静岡、めちゃくちゃ長い。

17:39 小田原駅

小田原駅の周辺は繁華街が広がっているようだ。ホームから見える景色も煌びやかで眩いばかりの夜景だ。あと、駅自体も入り乱れる多くの路線をカバーするためか、めちゃくちゃでかい。

この駅にも謎の段差とエスカレーターがある。本当になんなんだこれ。

改札を出て駅の中を徘徊してみるのだけど、かなり広い駅みたいで新幹線改札から小田急線やJRの改札に移動するにかなり歩く必要があった。

小田原駅
古くからの城下町、宿場町として栄えた小田原の中心的駅である。新幹線、JR在来線のほかに小田急電鉄、伊豆箱根鉄道が乗り入れる。駅を中心に繁華街が広がっている。1日あたりの乗車人員は45,505人(2018年、 JRのみ)


<ミッション写真 No.43>小田原駅巨大提灯ともみじ

東西自由通路の巨大提灯。なんでも昨年の台風で破損してしまったらしくしばらくは姿を消していたらしい。屋内のこんな場所でも破損するんだ。

けれども今年8月に修復を経て復活。巻き上げ機能までつけて台風対策もばっちりにして凱旋したらしい。そんな巨大提灯と撮影を行った。

駅の外に飛び出すとそこには飲み屋などが軒を連ねる繁華街が広がっていて、ちょっと強面の人が路上で「香水」を熱唱していた。「香水のせいだよと」と熱唱していた。僕の経験上、強面でいかつい、ややアウトロー気味の人は「香水」を熱唱する確率が一般人より僅かばかり高い。

そんなことはどうでもよくて、どうやらこの繁華街の先に小田原城があるらしいので、そこを目指す。新幹線の駅と城の親和性は高い、と強引に自説に説得力を持たせるためだ。

曲がる場所を間違えてしまったり、そもそも方向が違っていたり、道が暗すぎて治安が悪そうだったり、アウトローが香水を熱唱していたりで、かなり遠回りして小田原城に至った。

新幹線駅と城の親和性は高い。

よほど疲れていたのか、写真がボケボケで酷すぎることになっている。城にもこじつけたし駅に戻ることにする。

小田原駅のすぐ横では、伝統的な様式の建物が並んでいた。どうやら建設中のようでなにやら雰囲気のありそうな感じだ。これは「ミナカ小田原」という複合商業施設の入口で、新しい小田原の名所となるべく開発を進めたらしい。12月4日オープン、ということで、おそらくこの記事が公開される頃には小田原の新たな新名所として機能しているはずだ。

No.044 新横浜駅(神奈川県横浜市)

18:14発 東海道新幹線 こだま736号 東京行き(特急料金990円)

新横浜へと向かう「こだま」号は、めちゃくちゃ新しい車両だった。東京駅が近づくにつれ「こだま」の車両ランクがどんどん上がっていく。

車内の液晶表示もかなり綺麗。まじで新しい車両だ。

18:29 新横浜駅

かなりの数の乗客が降りた。横浜方面の玄関口だけでなく、東京の多摩地域などもこの駅からの方がアクセスが良かったりする。駅内を行き交う人もかなり多く、完全に大都会だ。

新横浜駅
横浜市の新幹線における玄関口となる駅。東海道新幹線と在来線(横浜線)の交点に駅が設けられたが、当時は一面の田園地帯で、こだまが停車するのみだった。しかし周辺の急速な発展により駅としての重要度が増し、「ひかり」が停車し、「のぞみ」の停車本数も増えていった。現在では営業する全新幹線が停車する。新幹線、JR在来線のほかに横浜市営地下鉄も乗り入れる。1日あたりの乗車人員は67,631人(2018年、JRのみ)

駅の都会度が増して巨大になればなるほどその全景を写真に収めづらくなる。とにかく、この駅から次の品川駅、東京駅と、全ての新幹線が停車する大チャンスゾーンなので、どの新幹線に乗車しても良い状況だ。あまり待ち時間を気にする必要はない。

さてさて、新横浜駅らしいもの、何かあったかなあと考えるが、そこで「日産スタジアム」はこちらという看板を見つけてしまった。

「ああ、新横浜駅の近くに日産スタジアムあるんだった」

幸いにも新幹線の待ち時間を気にする必要はない状況なので、歩いて日産スタジアムに行くことにする。

雰囲気的に、駅前から続くこのデッキ状の通路を辿っていけばスタジアムに行けそうだ。もしかしたらめちゃくちゃ近いのかもしれない。

しかし、その目論見は脆くも崩れ去る。まず、すぐに階段が現れて、スタジアムまで続くかと思われたデッキはあっという間になくなってしまった。

居酒屋が密集するエリアを抜け、妙に生活感のあるエリアを抜け、徐々に暗闇へと誘われても、スタジアムのカケラすら見えない。めちゃくちゃ歩いた。

途中、小さな野球場みたいな公園が現れたので、ここを日産スタジアムということにして引き返そうと思ったほどだ。

ヒーヒー言いながら暗闇の中を歩く。


<ミッション写真 No.44>日産スタジアムとあけひ

やっと日産スタジアムに到達した。遠すぎる。殺されるかと思った。

遠いのは当たり前で、日産スタジアムの最寄り駅は新横浜駅とばかり思っていたけど、本当の最寄り駅はJR横浜線、小机駅らしい。なんとか到達したけど、同じ距離を歩いて駅に戻ることを考えると絶望する。

No.045 品川駅(東京都港区)

19:00発 東海道新幹線 こだま738号 東京行き(特急料金870円)

この移動でついに東京入りとなる。個人的な感覚では「最初から鹿児島中央駅から東京駅まで全駅下車と前提から変えてしまえば東京がゴールになる」という邪(よこしま)な考えがこの11分の乗車時間の間に4回くらい浮かんできた。

19:11 品川駅

ついに東京入りとなったここ品川駅で事件が起こった。

いつものように改札に向かい、「自動改札通らないんで」と駅員さんに事情を説明して改札を通ろうとした。若い感じの駅員さんは切符を受け取ると、射貫くような鋭い眼光で切符を睨みつけた。

「これ、自動改札、通してみました?」

今度はその鋭い眼光でこちらを射貫く。

「いえ、なんかもう通らないらしくて、券面は印字でいっぱいだし、切符もヘロヘロだし。だからずっと有人改札通ってます」

「通るよ」

「へ?」

「通るよ。通してみるといい」

めちゃくちゃ自信満々に言い切る駅員さん。その口調はRPGの村人みたいだった。何かを知っている村人だ。イベントのキーとなる村人だ。

そんなまさか。通るわけがない。ずっと筑後船小屋駅から事情を説明して有人改札を通ってきた僕が言いうんだ。通るわけない。きっとリンゴーンとけたたましい音が鳴ってゲートが閉まる。絶対に通るわけない。

震えながら乗車券を自動改札に通す。

ガチャンコ。

とおったあああああああああああああああ!

マジで、とおったあああああああああああああああ!

走馬灯のようにこれまでのことが思い起こされる。

博多駅にて

「すいません、たぶんもう自動改札通らないんで、これで途中下車します」

新岩国駅にて

「これね、もう自動改札通らないんですよ」

岡山駅にて

「もう自動改札通らないんで」

西明石駅にて

「へへ、これもう自動改札通らないんスよ(得意げ)」

三島駅にて

「これ通らないんスわ」

「通らないんです」

「ええ、通らないって言われて」

「通らないんですよ!」

ガチャンコ。

とおったあああああああああああああああ!

今までの苦労は何だったんだ。とうことで、かなり脱力するのだけど、ここからは自動改札を通れるようになったので、改札での事情説明の機会がいらなくなる。かなり楽になった。

品川駅
品川駅ではあるが、品川区ではなく港区に存在する。新幹線、JR在来線のほかに京急線も乗り入れる巨大ターミナル駅で、将来的にはリニア中央新幹線の首都圏側の始発駅になる予定。従来は新幹線駅はなかったが、2003年に新たに開業。東海道新幹線の中ではもっとも新しい駅となる。1日あたりの乗車人員は438,566人(2017年、JRのみ)

悪魔の切符が自動改札を通るという衝撃の事実に動揺が隠せないが、とにもかくにも品川駅である。品川駅は言わずと知れた巨大ターミナル駅で、多くの人が忙しなく歩いていた。品川駅と言えば駅から望む巨大ビル群だろうと撮影を敢行した。


<ミッション写真 No.45>品川の高層ビル群とひびき

いまいち高層ビル群が表現できなかった。たぶん動揺していたんだと思う。

No.046 東京駅(東京都千代田区)

19:25発 山手線 内回り(東京・上野方面)

駅員さんにきいてみたところ、この乗車券なら在来線で東京駅行ってもいいとのことなので山手線で行くことにした。なにより新幹線特急券代金を節約しなくてはならないからだ。この区間でも新幹線に乗れば870円かかる。破産する。

19:38 東京駅

ついに東京駅に到達した。つくづくここをゴールとしなかったことを後悔する。だって、「鹿児島中央―東京、新幹線全駅下車」でよかったじゃないか。なんだよ「新函館北斗」って。東京でもまだ中間地点くらいじゃないの、これ。狂ってる。この世界、狂ってる。

東京駅
JR東日本の在来線と新幹線各路線、JR東海の東海道新幹線、地下鉄丸ノ内線が発着する巨大ターミナル駅。全国の新幹線路網における最大拠点。プラットホームの数は日本一多く、1日当たりの列車発着本数は約3000本、乗り換えなしで33道府県に行くことができる。JRにおける「上り、下り」の起点駅となっているため、東京駅を目指す全ての列車が「上り」となる。一日当たりの乗車人員は537,593人(2019年、JRのみ)

東京駅はとにかく巨大な駅で、構内も周辺も信じられないくらい賑やかなのだけど、このレンガ造りの駅舎が見える丸の内側の出口周辺は夜になると静かだ。おそらく、丸の内側がオフィス街だからだと思う。夜になると一気に人が減る。


<ミッション写真 No.46>東京駅(オリンピックまであと265日)とみなも

長かった山陽新幹線・東海道新幹線もついにここ東京駅で終わり。ここから東北新幹線シリーズが始まる。まだまだ先は長い。どうして東京駅ゴールにしなかったんだろう。

No.047 上野駅(東京都台東区)

19:48発 京浜東北線 普通 南浦和行

また裏ルールみたいなものがあると嫌なので、駅員さんに確認した上で在来線の京浜東北線に乗り込んで上野駅を目指す。都会の在来線の喧騒は、妙に車内が静かな新幹線と違っていて新鮮に感じる。

途中の駅でカップルが乗り込んできた。

間の悪いことに、そのカップルの彼氏の方が来ているアウターと僕のアウターが同じだった。彼氏は気付いていなかったが、それに気付いた彼女の方が心の底から嫌そうな顔をしていたのが印象的だった。三角コーナーみるような視線で睨んでた。排水溝にたまった髪の毛を見るような目で睨んでた。

19:56 上野駅

上野駅の難易度は異常だと思っている。この駅はホームの位置や向き、通路の方向や階段の行き先など、ちょっと難易度が異常だと思いませんか。少なくとも僕にとってはかなり難易度が高いので、まず駅舎を撮影して、上野だから上野公園の西郷さんだな、と目論んでいたらめちゃくちゃ迷ってしまった。

上野駅は、かつては東京の北の玄関として知られており、北からの鉄道の終着点としての役割があった。その名残か、いまでも構内には線路の終わりみたいなホームがいくつかある。僕はこの線路の終端がとても好きで、いつも大興奮してしまう。

上野駅
東京から北の地域におけるターミナル駅だが、東京駅同様、駅の規模に比べて乗降客数はそう多くない。これは乗り換え需要が高いために改札を通る乗客が少ないためである。改札内を移動する人数としてはかなり多い。かつては北からの鉄道の終着(始発)であったが、東北新幹線の東京駅延伸、上野東京ラインの開通によって通過されることが多くなった。一日当たりの乗車人員は182,704人(2018年、JRのみ)

迷いに迷っていたらめちゃくちゃ静かな出口に到達してしまった。やけに新しい建物だなと思ったら、2020年3月に移設された改札らしい。上野公園直結の出口のようなのでそのまま西郷さんを探す。


<ミッション写真 No.47>西郷さんとナギサ

新しい公園口からはけっこう公園内を歩くことになってしまった。西郷さんだけなら従来の賑やかな出口の方が近いみたいだ。

No.048 大宮駅(埼玉県さいたま市)

20:26発 東北新幹線 やまびこ69号 盛岡行き(特急料金860円)

これまでどんなに近い駅でも新幹線特急料金は870円だったが、ここにきて860円が登場してきた。この870円はおそらく新幹線の基本料金みたいなもので、絶対に必要な料金だと解釈している。おそらく東北新幹線ではこの基本料金が少し安くて860円に設定されているのだろう。

ここからは東北新幹線に乗って北上していくのだけど、正直に言うと北に行く新幹線は、僕にとっては難易度が高い。

西日本の生まれだし、これまでも東海道新幹線・山陽新幹線・九州新幹線は使う機会が多かった。でも東京から北に行く新幹線はあまり縁がなく、完全に未知の領域だ。色々な名前の新幹線が来るし、なんか連結されてくるし、途中で枝分かれするしで、早い話、訳が分からない。本当に難易度が高い。ここからはかなり厳しい戦いになることを覚悟しなければならない。

20:45 大宮駅

もう21時になろうかという時間で、かなり気が重い。大宮駅みたいな巨大な駅はあまりに巨大すぎて「駅ならではのもの」を探すのがかなりきつい。それに巨大すぎるので駅の外観撮影もなかなかに大変だ。まず構内の移動が長いし、外に出ても道路の構造が複雑で撮影が難しい場合が多い。

終電を考えればまだまだ先に進めそうだが、そろそろどこで今日の移動を店じまいにするのか意識していかねばならない。

大宮駅
13路線が乗り入れる埼玉県最大のターミナル駅。これは東京駅に次いで第2位の路線数となっている。新幹線、在来線ともにすべての営業列車が停車しておりこの駅を通過する列車はない。駅周辺は国鉄時代から数多くの鉄道施設が立地し、鉄道の街として有名である。また、県下最大の繁華街が広がっている。一日当たりの乗車人員は257,334人(2019年、JRのみ)

構内を歩いていると、赤色のエナメルっぽいムチムチの衣装を身に纏った若い女性とすれ違った。もうほとんど半裸みたいな状態だ。半裸より20%くらい全裸寄り、みたいな状態だ。大宮ってそういうマッドなテイストの街なのかなって思ったけれどもそうではなかった。

「ああ、ハロウィンか」

本日は、ハロウィンでの仮装が一番盛り上がる日だったことを思い出した。これが普通の繁華街を通る鉄道だと、電車内にも仮装した人がいたりしてアッパッパーな感じになっており、ああ、ハロウィンか、と気が付くのだけど、新幹線を乗り降りしているとほとんど無縁なのだ。さすがに仮装して新幹線に乗ってくる人はいない。つまり、新幹線とハロウィンの親和性は低い。

それにしても、昨年の渋谷のハロウィンみたいな乱痴気騒ぎが思い出される。今年はコロナ禍の影響でそうでもないと聞くが、それでもここ大宮駅がハロウィンで半裸みたいな仮装で埋め尽くされていたらどうしよう、と覚悟していた。

駅の外に出てみると、仮装してる女の子が4人くらいいて、それに声をかけるタイミングを計ってる若者が数人いるだけだった。あとアウトローっぽい人が「香水」を熱唱していた。アウトローは「香水」を熱唱する確率が僅かに高い。

なにか大宮駅っぽいものないかなあと歩ていると、うってつけのものを見つけた。


<ミッション写真 No.48>大宮駅135周年記念写真展とコヨイ

まさに大宮駅というしかない。これまででいちばん確度が高いんじゃないか。

北に行く新幹線は枝分かれが多くて難易度が高い、と言ったが、分かりやすい路線図があった。確かに分岐が多いがこれで一目瞭然だ。基本的には緑のラインに沿って移動していくことになる。っていうか、もっと駅の数が少ないと思っていたんだけど、むちゃくちゃ多い。まだこれだけあるのか。これを全部下車していくの、どう考えても正気の沙汰じゃない。狂ってる。

No.049 小山駅(栃木県小山市)

21:22発 東北新幹線 やまびこ221号 仙台行き(特急料金980円)

車内ではおじさんが「昼時のめちゃくちゃ混んでるコンビニでおでんを頼める奴は胆力が強い。持って生まれたものが違う」という話をしていた。確かにめちゃくちゃ並んでるレジでおでんは頼みにくい。僕は胆力が弱いのでスナック類どころか公共料金の払い込みすら躊躇する。

21:38 小山駅

小山駅の周辺はホームから見るかぎり賑やかだった。高いビルが密集し、商業施設もたくさんありそうだった。おそらく、この周辺の田舎部分に住んでいる高校生なんかは、「小山に遊びに行く」が最もイカした遊びなんだろうと思う。それくらいの賑やかさがあった。

反面、駅構内はひっそりとしていた。これも予想の範疇を出ないが、おそらくここ小山も車社会なのだろう。ターミナル駅は町の中心ではあるけど生活の中心ではない、そんな感じなのかもしれない。あと、もしかしたらめっちゃくちゃ夜が早いのかもしれない。それくらいひっそりとしていた。

小山駅
東北新幹線、在来線の東北本線に加えて、両毛線と水戸線が乗り入れる。小山駅を中心に東西南北の四方向に路線が伸びる形になっている。西口周辺は古くからの日光街道の宿場町であり、史跡のほかに公共機関も多く立地する。一日当たりの乗車人員は27,373人(2018年)

そのひっそりとした駅構内に一組の男女がいた。その男女が「終電が」みたいな会話をしていた。どうやら、女性は終電に乗って帰ろうとしているが、男性側がそれを阻止したいようだった。というか、21時台後半で終電的な意識になることから、女性はなかなか遠い場所から来ているのかしれない。

「もう一軒行こうよ」

「もう帰らないと」

「いい店があるんだって」

男性の方が様々な提案をするが、女性は頑として受け入れない。それでもなんとか引き延ばして、気づいたら終電が行っちゃったみたいな展開に持ち込みたい男性。そこに、ノーマスクなんのそのといった感じの外国人集団が現れ、酔ってらっしゃるのかずいぶんご機嫌な様子で高らかに歌い始めた。大合唱だ。

その歌声は完全に騒音で、めちゃくちゃ迷惑な連中なのだけど、終電逃しを狙っている男性はもうなんでもありなのでめちゃくちゃなことを言い始めた。

「綺麗な歌声だよ、聞いていこうよ」

完全に迷惑で野太い歌声なのに男性の勝手な都合で綺麗な歌声に仕立て上げられた外国人男性たちはさらにビートを増して声をあげた。

「小山駅、めちゃくちゃカオスだな」

最終的には、男性の方が「喉が痛い、コンビニで水を買おう」と、必死だなって感じの時間稼ぎをしようとしたところで、女性が「私のあげる」とカバンからペットボトルを出し、そのまま帰っていきました。その後ろではずっと野太い歌声が響いていました。小山駅、カオスだろ。


<ミッション写真 No.49>小山駅の特産品たちとゆう

こうやって棚に特産品をまとめておいてくれると撮影しやすくて助かる。

No.050 宇都宮駅(栃木県宇都宮市)

21:57発 JR宇都宮線 宇都宮行き(この区間、新幹線利用の場合:特急料金860円)

そろそろ22時となり、精神的にも肉体的にも限界を迎えつつあった。そりゃ終電までいくつかは進めそうだが、そうなってくると、どの駅で切り上げるのかという問題が出てくる。全駅下車はこれが怖い。だいたいの最終電車は大きめの駅まで行くのでそこまでいけば良いが、このルールは意図せず、何もない駅でその日の移動終了、というパターンがありうるのだ。

それは非常に危険なので22時を超えたあたりで大きめの駅に行ったらそこで店じまいとする必要がある。その点では、次の宇都宮駅は完全にベストな駅だ。本日の移動を宇都宮駅までと決める。

そうなると、新幹線で行っても在来線で行ってもそう変わらないので、新幹線特急代節約という観点から在来線で移動する。(快速 506円)

宇都宮へと向かう車内は本当に静かで、僕が乗っていた車両は最終的に乗客は僕だけみたいな状態になってしまった。

22:25 宇都宮駅

ついに所持する“でんこ”のストックが切れた。よってここからは最初の“みろく”に戻って2週目である。

宇都宮駅はとても大きな駅だ。栃木県の中心である同駅は何とも言えない迫力みたいなものがある。ただ、やはりそこまで鉄道中心の社会ではないのか、夜が早いのか、22時を超えたこの時間は、ほとんど人の姿は見えなくなっていた。

宇都宮駅
栃木県の中心駅であり、利用者数としては北関東三県で最も多い。駅弁の発祥については諸説あるが、明治18年にここ宇都宮駅で地元業者『白木屋』がホームで発売したおにぎりが最初の駅弁であるという記録から、この日が駅弁の日として定められ、当駅が「駅弁発祥の地」とされている(諸説あり)。一日当たりの乗車人員は50,957人(2018年)

宇都宮といえば浜松と並んで餃子の町として有名だ。僕の記憶が正確ならば、駅前にはたくさんの餃子屋さんが軒を連ねていたはずだ。そこで餃子を食べて2日目の締めとすることで、同じ日に浜松と宇都宮の餃子を堪能したことになる。それも、新幹線全駅を下車しながらだ。

しかしながら、駅前はひっそりとしていて、それらの餃子屋さんは全て営業していなかった。


<ミッション写真 No.50>唯一あかりが灯っていて開いてる!と駆け寄ったらやっぱり閉まっていた餃子屋さんとみろく

残念だが、明日も早朝の出発となるため宇都宮の餃子を堪能することはできなさそうだ。

といったところで二日目が終了。まとめはこちら。

 

下車した新幹線駅 25駅
乗車した新幹線 20本
制覇した路線 山陽新幹線・東海道新幹線
駅メモチェックインした駅 235駅
総移動距離 885 km
キップ代金 特急券 17,850円

3日目に続く!

 

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