こんにちは。福岡県在住ライターの大塚拓馬(@ZuleTakuma)です。
突然ですが、皆さんはSLに乗ったことはありますか?
九州唯一のSL「SL人吉」が、2020年シーズンもいよいよ3月14日(土)から運行スタート。
そこで、昨年の秋に3歳の息子のこーくんと乗車してきたレポートをお伝えします。
実はまだ、SLに乗ったことがなかった僕。
僕にはこーくんという3歳の息子がいますが、彼もまた機関車大好き。
「こーくんと一緒に機関車に乗りたい」という想いで、熊本の人吉まで行ってきました。
人吉には機関車だけでなく、電車好きが喜ぶさまざまな施設があったのです…!
目次
SL人吉の魅力と予約方法
まず「SL人吉」とはどんな列車なのかご紹介します。
予約方法についても確認していきましょう。
SL人吉とは?
SL人吉は熊本駅 – 人吉駅間を運行している蒸気機関車 (SL) 牽引の列車です。
もともと「SLあそBOY」として運行されていましたが、2005年に老朽化に伴い一度運行終了。
その後、2009年に「SL人吉」として復活し、人気を集めています。
SL人吉の魅力は蒸気機関車ならではの音と煙の臭い、独特の揺れという非日常な列車体験にあります。さらに球磨川の美しい車窓も魅力です。
詳しい運行スケジュールは公式サイトをご覧ください。
SL人吉はネット予約可能
SL人吉は、JR九州のネット予約サイトから座席の予約が可能です。
座席シートには布か皮があるので公式サイトで座席表を確認すれば、好みの材質の椅子が選べます。また、向かい合わせの4人席が2人席かも選択可能です。
川の景色を見たいという方もいると思いますが、途中で球磨川の鉄橋を渡るので、どちらの車窓からも川の景色は堪能できますよ。
きっぷの値段は熊本から人吉まで乗車して、大人一枚2,690円で、子どもは1,340円です。
3歳息子とのSL人吉乗車体験レポート
2019年10月。僕らは人吉の街でたっぷり遊びました。
この人吉駅からSL人吉に乗り、熊本経由で福岡へ帰ります!
SL人吉が人吉駅に到着
人吉駅のホームにはSL人吉の到着を今か今かと待ちわびる人たちでたくさん。SL人吉の人気がうかがえます。
待っていると、バックでやってきましたSL人吉!
先にある転車台で進行方向に向いた状態でホームに入ります。
SL人吉がホームに到着しました。
後部座席は大きな窓になっているので、車窓からの景色が楽しめそうです。
僕らは急いで先頭へ……!
おお!!かっこいいい!!!SL人吉です!!
「蒸気機関車って、ホントに蒸気が出るんだなあ」
……なんて、当たり前の事にも感動します。
そして、この油っぽいニオイと少し煙い感じ。これは絶対に他の列車では味わえないものでしょう。
息子のこーくんはSL人吉がホームに到着してからずっと大興奮。
このこーくんの姿を見ているだけでも「連れてきてよかったなあ」と思います。SLは偉大です。
いよいよSL人吉に乗車
こーくんは一目散にSL人吉の中へ。待って~!
座席はフカフカでいつも乗っている電車の座席とは、座り心地が全く違います。
テーブルがあるのも嬉しいですね。
展望ラウンジの居心地は抜群
こーくんは客室に目もくれず、1号車の展望ラウンジへ。
展望ラウンジはフリースペースになっており、どの席の人も自由に座れるようになっています。
3歳のこーくんが椅子でじっとしているのは難しいので、けっこう長い間ここにいましたね。
とくに嬉しいのが、子ども用の椅子があることです。
この子ども用の椅子は床に固定されていて動くことはありません。
SL人吉でもっとも景色がキレイに見える特等席は、子ども専用席なのです。
そんな列車の世界観が、観光客の気持ちをやさしくさせます。
「みぎよーし!ひだりよーし!しゅっぱあーつ、しんこー!!」
こーくんがそう叫ぶと「プォオオオオオオオオ!!!」と汽笛が鳴り、「がくんっ」と一度揺れ、SL人吉が動き出しました。
窓からは蒸気機関車の煙が見えます。
「本当にSLに乗っているんだ」と実感する瞬間です。
ちなみに展望デッキは前方にもあります。
前方の展望デッキはパノラマな景色は見えませんが、蒸気機関車の後姿を眺めることができます。
子どもは前方も後方もどちらも楽しそうでした。
客室を探検しビュッフェへ
せっかくSL人吉に乗り込んだので、客室内を探検してみたいと思います。
SL人吉の中はどうなっているのでしょうか。
2号車には飲み物やお土産などが販売されているビュッフェがありました。
ビュッフェにはSL人吉のグッズがたくさん。
SL型のかわいいキーホルダー(740円)などが販売されていました。
SLのグッズはかわいいからいいですね。
なにかSLに乗った記念が欲しかった僕は、タオル(1200円)を購入しました。
SL人吉のイラストと桜の花が描かれた、日本らしくてクールなデザインです。
ビュッフェの前にあった棚には「D&Sノート」と記された、手書きのノートがありました。
「D&S」とはデザイン&ストーリーという意味で、「乗ることそのものが忘れられないイベントになる」というデザインと物語のある列車という意味が込められています。
「D&Sノート」をめくってみると、手書きでさまざまなJR九州のD&S列車が紹介されていました。このノートをめくりながら、次の列車の旅を考えてみるのもよさそうですね。
他にも車内にはSL模型が並ぶ、ミニSL模型ミュージアムがあったり……。
子どもと一緒に絵本などが楽しめる「SL文庫」もあります。こちらもフリースペースです。
指定の座席以外にも、移動できる場所があるので、いつもの電車度よりもゆとりを感じますね。
球磨川の景色と途中下車を楽しむ
列車はちょくちょく途中停車をはさみながら進みます。
普通なら絶対に降りるチャンスのない駅の情緒も楽しめます。
ホームでは地元の特産品を販売していたりもします。
この日はこのしろのにぎりや焼きさば寿司がよく売れていました。
小さなホームにSLが映えます。
ここで改めてSL人吉を眺めることで「ホントにこれに乗ってきたんだなあ」と実感するのもまた、いいものです。
美しい球磨川の風景を楽しみながら、SL人吉は熊本へと進んでいきます。
列車内では撮影サービスも
ずっと車窓に夢中だったこーくんでしたが…。
窓から漏れるポカポカ日差しに包まれ、突然寝てしまいました。人吉でもけっこう遊んだもんね。
そんなところにやってきた乗務員さん。なんと記念写真を撮ってくれるとのこと。
こーくんを起こすのはかわいそうだし、同行している妻と0歳の弟と一緒に撮りました。
左にこーくんの下半身だけ入ってます。これも良い思い出です。
さらに寝ているこーくんにメッセージカードをくれました。0歳の弟にもくれて嬉しかったです。
かわいい機関車のスタンプと直筆のお手紙。
このようなホスピタリティがJR九州の観光列車が持つ魅力です。
熊本駅に到着
周囲の風景が山から街に変わってきました。
そろそろSLの旅が終わりに近づいているようです。
けっこうな時間を展望ラウンジで過ごしたような気がします。約2時間半ののんびりした列車の旅でした。
熊本駅に着いたら、こーくんも復活。しっかり寝てご機嫌でした。
SLといっしょに記念撮影。
機関車は中だけじゃなくて外観でも興奮できるから、子どもにとっては最高ですね。
今回は人吉から熊本の間でSL人吉に乗りましたが、逆の熊本から人吉でも乗車できます。
ぜひ熊本観光に組み込んで活用してみてくださいね。
……さて、こーくんがSL人吉で寝てしまった原因は、人吉で遊び疲れたからだったんですが、なぜこーくんが遊び疲れたのかもご紹介します。
人吉は鉄道好き親子に嬉しい施設がたくさんあるんです。
人吉鉄道ミュージアム(MOZOCAステーション)は鉄道好きキッズの楽園
人吉に到着して、まず第一の目的地は人吉鉄道ミュージアムです。
妻と息子のこーくんがウキウキ進んでいくのをベビーカーを押しながら追いかける僕。待って~。
人吉鉄道ミュージアムに入館
到着しました!人吉鉄道ミュージアム。
MOZOCA(もぞか)ステーション868という愛称で親しまれています。
「もぞか」というのは、「小さい」「かわいい」という方言とのこと。子どもが楽しめる鉄道ミュージアムです。
MOZOCAステーションのそばには、なんと機関車庫が。煙が見えますが、あれは…。
SL人吉です!機関車庫とセットになっていると更にかっこいいですね。
こちらの機関車庫はなんと1911年につくられたもので、日本唯一の現役石造り機関車庫なのだそうです。このような写真が撮られるのは全国でもここだけなのです。
産業遺産にも選ばれている、鉄道ファン必見の機関車庫です。
運が良ければ発車シーンも見ることができます!
ミュージアムの中は、木を基調としたあたたかい雰囲気。室内にはレールが通っていますが、もしかして……
そうです。ミニSLが走っています。
なんとこのミニSLは室内だけでなく、屋外へも出る仕様。
線路はミュージアムの外にも続いています。これは乗るしかない!
ミニSLを体験
ミニトレインの乗車は1回200円。屋外の人吉駅まで行き、往復だと400円になります。
こーくんと、いざ出発!
煙突からは本当に蒸気が出ていて、なかなか本格的。
こーくんは真剣に前方を見守っています。彼が真剣な顔をするときは楽しんでいる証拠。
前方から光が差し込んできました。
おおおお~!!マジで出た!!
屋外に飛び出ました。風が気持ちいい~。
このまま人吉駅の方に進んでいきます。
距離が長いので、これで片道200円はお得ですね。
帰りは逆にミュージアムの中に入っていきます。何だかシュール。
なかなかできない体験でした。
子どもが遊べる仕掛けがたくさん
ミュージアムの中は子どもが遊べる仕掛けがたくさんありました。写真のような木のボールプールにはじまり……。
「MOZOCAプラットホーム」と名付けられた、プラレールの遊び場所もあります。
プラレールの線路がないように見えますが、木にプラレール幅の溝があって線路の代わりになっていました。
200円のレンタル料を払えば、制服を着て記念撮影も可能。
屋上では機関車を眺めながら、レイルバイクを楽しむこともできるのです。
ミュージアムと言っても、展示物よりも子どもの遊びが中心。
こーくんは鉄道テーマパークに来たような気持ちで、思う存分楽しんでくれたと思います。
人吉鉄道ミュージアム(MOZOCAステーション868)
住所:熊本県人吉市中青井町343-14
開館時間:9:00~17:00
定休日:水曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始
入館料:無料(ミニトレイン 1回200円、レイルバイク 1回200円)
緑の中を走るエモトレイン「くま川鉄道」
人吉駅から見える「くま川鉄道」と書かれた車庫が気になっていました。くま川鉄道は人吉・球磨を走るローカル鉄道です。
僕が乗った車両はこちらのKT-503。1両です。
乗車してみてびっくり。めちゃめちゃオシャレでした。なんだこれは。
しかも列車の前方には、子ども用の小さな椅子がありました。これにはこーくんも大喜び。
こーくんが持てるような小さなレバーもあり、まるで運転士気分。
楽しそうに乗ってくれていました。
途中で球磨川を渡るときは絶景でした。
まさかくま川鉄道でこんなキレイな景色が見られるとは。幸せな時間でした。
ぜひ人吉に行ったときには、くま川鉄道に乗ってみてください。
寝台列車に泊まろう「ブルートレインたらぎ」
さて、くま川鉄道で「多良木」という駅までやってきました。
この駅の近くに、寝台列車を宿泊施設に改造したという、鉄道ファン必見のスポットがあるというのです。
その名も「ブルートレインたらぎ」。看板がいい味を出しています。
奥に行くとブルートレインが停車していますが、これに泊まれるということ……なのか?
よく見ると「フロント」の文字が。たしかにこれが宿泊施設になっているみたいです。さっそく入ってみましょう。
入ってみると意外に広い!なんだこれは!!
スタッフの方にお話を聞いてみると、寝台列車のベッドの部分を撤去して、そこに新たに作った食事スペースとのこと。
ご覧の通り、なかなか広い!!
「ブルートレインたらぎ」では食事は出ないのですが、持ち込みは可能です。
持ってきたお弁当などを食べられるようになっています。宿泊部屋は個室タイプと4ベッドタイプにわかれており、個人でも家族でも使用可能です。
まずは個室タイプ。
僕、寝台列車って乗ったことないんですよね。
でも実際にこの電車に乗って、いろいろな想いを持って上京した人がたくさんいたんだろうな、と想いを馳せます。
一方、目の前の非日常な光景に大興奮のこーくん。
横になってみて、いつもと違う視界に楽しんでいる様子。簡易宿泊施設ですが、子どもは楽しんでくれそうです。
こちらは4ベッドのお部屋。中央のはしごを登って上のベッドへ上がります。
登ってすぐ横になってみせるこーくん。
電車にベッドがあるというのが面白くて、楽しそうです。
ちなみにこちらのブルートレインたらぎですが、なんと布団も当時寝台列車で使われていたものなのだそうです。
毛布を見ると、たしかに「JR九州熊本支社」という印が。
寝台列車に乗ったことがある人は、この毛布の質感も懐かしく感じるかもしれませんね。
ブルートレインたらぎの利用者は鉄道ファンばかりなのかと思いきや、ツーリングをする人や、団体の宿泊客が多いのだとか。
宿泊料金が大人1人3,140円と安いので、簡易宿泊施設として便利に利用している人が意外と多いのでしょう。
人吉は鉄道ファンにとって楽しい街なので、ぜひ「ブルートレインたらぎ」に宿泊して鉄道の楽しさに浸ってみるとよいでしょう。
ブルートレインたらぎ
住所:熊本県球磨郡多良木町大字多良木1534-2
>>詳しくは公式サイトへ
SL人吉に乗って鉄道満喫の旅へ出かけよう
SL人吉は九州唯一のSLです。
それだけでも鉄道ファンは一度乗ってみる価値のある列車だと思います。
また、人吉市は人吉鉄道ミュージアムや趣深いくま川鉄道、さらに寝台列車に泊まれるブルートレインたらぎと鉄道ファンが楽しめるものがたくさんあります。
そんな鉄道の街、人吉に遊びに行ってみませんか。きっと忘れられない思い出になるはずです!