毎週高尾山に行く夫がおすすめする「裏高尾」の通な楽しみ方!
裏高尾は、高尾山で登山したいけど混雑は苦手……という方におすすめ!城山山頂の茶屋や峰尾豆腐店など、グルメ情報も豊富。高尾山に週1で行くという方にゆっくりと紅葉や景色を楽しめるルートをお伺いして一緒に登ってきました。
こんにちは。ひきこもりライターの吉玉サキです。
普段はほとんど家にいる私ですが、本日は高尾山のふもとに来ています。
夫です。
実はうちの夫、毎週のように高尾山に行くんです。お百度参りでもしてんのか。
「毎週行って飽きないの?」と聞いたところ、「裏高尾のほうに行ったり、いろいろなルートで歩いてるから」とのこと。
裏高尾? 何それ?
というわけで、高尾山に毎週通いつめる夫に、高尾山~裏高尾の通な楽しみ方を教えてもらうことにしました。
夫いわく「裏高尾は人が少ないからのんびり歩けるよ!」とのこと。
高尾山に飽きてしまった人、人混みが苦手な人におすすめです!
目次
高尾山の一般的な楽しみ方
東京都内にあるにも関わらず豊かな自然が楽しめる高尾山。
ケーブルカーやリフトで中腹まで行くことができ、子どもや登山初心者でも手軽に登れます。お店や名所もたくさんあり、登山というより観光気分で楽しめる人気スポットです。
まずは一般的な楽しみ方から紹介します。
ケーブルカーに乗って
展望台に行って(夏季はビアガーデンもやっています)
さる園を見て
薬王院をお参りして
登頂!
下山後は名物のとろろ蕎麦を食べて温泉に入れば大満足の一日になるでしょう。
しかし、ひとつだけ難点が……。
それは、とにかく混んでいるということ。
高尾山はミシュランで三ツ星を獲得してから多くの観光客が訪れるようになり、今では年間260万人が訪れるとか。登山者数はなんと世界一と言われています。
特に、夏と紅葉シーズンの土日祝日は晴れると多くの人が訪れます。登山道が渋滞したり、せっかく山頂に行っても座る場所がないなんてことも……。
そこで! 我が夫がおすすめするのが裏高尾。
裏高尾まで足を伸ばせば、週末でものんびりと登山を楽しむことができるんです。
裏高尾とは?
裏高尾とは、JR高尾駅の西側に位置する「裏高尾町」のこと。高尾山(高尾山口駅から山頂にかけて)より少し北のエリアです。
旧甲州街道沿いに集落がありますが、それ以外はほとんど山間部。高尾山のとなりにある城山や、そのまたとなりにある景信山も含まれます。
夫いわく
「裏高尾の集落に下りるコースは登山者が少なくて穴場」
というわけで、2つのコースに行ってみました!
おすすめコース①「蛇滝コース」
ひとつめは「蛇滝コース」。高尾山の中腹から裏高尾に下りるコースです。
この図はイラストレーターの夫が描きました。
まずは、ケーブルカーの終点である、高尾山駅へ。
高尾山口駅からは、歩くと50分~1時間くらい。ケーブルカーだと片道6分(480円)で到着します。
この近くに、こんな分岐があります。
ここを「自然研究路2号路・蛇滝・蛇滝口バス停」の方向に歩くと、40~50分ほどで蛇滝口バス停に出ます。これが蛇滝コースです。
Ja waterfall! ナイス直訳です。
このコースは高尾山のメインルートと違って登山者が少なくとても静か。森の中をゆっくり歩けます。
しばらく歩くと蛇滝に到着。
AEDのシールが。滝行中に心臓発作を起こしても大丈夫、ということでしょうか。
本当に信仰心のある人のみ、ここで滝行ができるそうです。私は無いのでしませんでした。
ここから10分ほど歩けば集落に出て、さらに数分歩けば蛇滝口バス停。
通好みと言っても別に難易度が高いわけではなく、サクッと歩けてしまいますので、混雑を避けて静かな森を歩きたい人におすすめのコースです。
おすすめコース②「城山から日影沢林道」
蛇滝コースでは物足りない方には、城山への縦走(じゅうそう)がおすすめです。
縦走とは……実は、高尾山は登って下りるだけではありません。
高尾山の山頂からおとなりの城山までは登山道がつながっています。
そのまま歩いていけば、高尾山~城山~景信山と、いくつもの山を歩くことができるんです。
こんなふうに山から山へと歩くことを「縦走」といいます。
今回は、高尾山から城山に縦走してみました!
高尾山から城山へ
まずは高尾山の山頂へ。徒歩だと1時間50分くらい、ケーブルカーかリフトを使うと1時間くらいで山頂に到着します。
取材日は日曜だったので、午前9時の時点で山頂には多くの人がいました。お昼くらいになるともっと大変な凄まじい混雑に……。
さて、山頂はそこそこに城山を目指します。「一丁平・小仏城山」の方向へ。
道は木の階段になっているところが多くて歩きやすいです。初心者でも歩けるコースですが、多少アップダウンがあるのでスニーカーより登山靴がおすすめ。
10月の中頃に行きましたが、木々も色づいていました。
一丁平。高尾山の山頂と違い、ゆっくりと景色を眺めることができます。
歩きはじめて1時間ほどで城山の山頂に到着!
(ちなみに左が私。取材に同行してくれた義弟が撮影しています)。
夫には一応やり切った人みたいなガッツポーズをしてもらいましたが、別にそこまで達成感のある道のりではありません。小さなお子さんもふつうに歩いているコースです。
簡単だけど距離はそこそこあるので、がっつり体を動かしたい人におすすめです。
絶品! 城山のお茶屋グルメ
城山は背中合わせに2軒の茶屋が並んでいます。
なぜかどちらもなめこ汁が名物だそう。
え、大丈夫? なめこ汁が名物でかぶることある? どっちかが一人勝ちしちゃわない……?
というわけで、両方を食べ比べてみました。
城山茶屋
こちらは城山茶屋。お店の皆さんが明るく、活気のある印象です。
なめこ汁は250円。澄んだおつゆのお醤油仕立てで、味がしっかりしていて美味しい! 疲れた体に塩分が染みます。
せっかくなので、もち入りおしるこ(300円)も食べてみました。甘さ控えめでサラサラのおしるこ。もちが薄くて食べやすいのもポイントです。
城山茶屋
住所 東京都八王子市裏高尾町1885
営業時間 9:00~16:00(季節によって変動あり)
営業日 土日祝日・行楽シーズンの平日(悪天候時は休業)
参考サイト:ぐるなび
春美茶屋
こちらは春美茶屋。お店のおじいさんがおっとりした方で、話していて癒されました。
なめこ汁は250円。こちらは味噌仕立てで、とにかくなめこがデカイ! お店の方が自家栽培しているそうです。お豆腐も大きくて食べごたえがあります。
数量限定メニューの水団(すいとん)は300円。なめこ汁と同じく、こちらも味噌仕立て。モチモチのすいとんと野菜がたくさん入っていて、なめこ汁以上にボリューム満点です。
ぜんざいも食べてみました。もち入り 350円/もちなし 250円です。
ぜんざいなので水分の少ないコッテリ系かと思いきやサラサラ系。もちが大きく、小豆がしっかり絡みます。
春美茶屋
住所 東京都八王子市裏高尾町1885
営業時間 9:00~15:00(季節によって変動あり)
営業日 土日祝日・行楽シーズンの平日(悪天候時は休業)
なめこ汁を食べ比べての結論。
城山茶屋と春美茶屋、どっちも美味しい!
甲乙つけられないので、味噌と醤油、好みで選んでください。
城山茶屋・春美茶屋ともに、 お客様がよく来る時期(夏休み、紅葉シーズン、お正月~1月7日頃まで)は平日も営業しているとのこと。それ以外の時期は土日祝日のみの営業だそうです。また、あまりにも天気が悪い日は営業しないそうなのでご注意を!
のんびり歩ける日影沢林道
さて、城山で茶屋グルメを堪能したあとは林道を通って下山します。
歩くのは、城山と日影バス停を結ぶ日影沢林道。
ほとんど舗装路なので歩きやすいです。
時間は11時台。高尾山のメインルートは大混雑の時間帯だというのに、数人の登山者しか見かけません。あまりにも静かなので、お腹いっぱいになった夫は歩きながら眠くなっていました。
途中、湧き水が湧いています。
夫いわく「この水を飲むと元気が出る」とのこと。たぶんプラシーボ効果だと思います。
私も飲んでみましたが、水道水よりまろやかで美味しいような気がします。これもプラシーボ効果かもしれません……。
夫はいつもここの水を飲んでいるそうですが、いかんせん湧き水なので、お腹をこわさないとも限りません。飲むときは自己責任でお願いします!
城山から歩くこと1時間20分。日影バス停に到着です。
下山後におすすめの裏高尾グルメ
日影バス停から数分歩くと裏高尾の集落に出ます。
こんな感じの自然豊かな集落。先に紹介した蛇滝口からも近いです。
こんなのどかなところにお店なんてあるの……? 絶対無くない……?
と思いましたが、ちゃんとありました。
おすすめできるお店を見つけたので紹介します!
体に優しい手作りごはん「高尾食堂あめとつち」
日曜と月曜しか開いてないというお店「高尾食堂あめとつち」
一見、ふつうの民家。
一日限定15食!?
時刻は12時半。まだ間に合うかな……。
入ってみると、「ランチは残り2食です」とのこと。しかし、我々は3人組。よくよく聞いたところ、「本日のメインのコロッケが残り2個しかない」とのことだったので、2人は通常の定食、1人はコロッケなしで出してもらうことに(そのぶん安くしてくれました)。
満席だったので30分ほど待ち、店内へ。
なんだかはじめて来たとは思えないほど落ち着きます。築46年の民家だそう。
あめとつち定食(1200円)
オシャレ……! インスタ映え必至の素敵な盛り付けです。ちなみに、真ん中の丸いのがこの日のメインのコロッケです。
料理はどれもものすごく美味しい! 素材の味を活かしつつしっかりした味付けで、オーガニック料理にありがちな「優しいお味すぎて物足りない」といったことがありません。しかもけっこうボリュームがあるので、コロッケをシェアした私と夫もお腹いっぱいになりました。
野菜はすべて無農薬。高尾を中心に、なるべく近郊で穫れた野菜を使っているそうです。また、使用している材料は植物性のものだけ。小麦粉の代わりに米粉、砂糖の代わりにみりん(デザートはメープルシロップや甘酒)を使っているとか。
このお店、今年の4月にオープンしたばかり。店主の女性がひとりでやっているのですが、とても感じのいい方でした。
日曜と月曜しか営業していないので、訪れる際は曜日をチェックしてください!
高尾食堂 あめとつち
住所:東京都八王子市裏高尾町1062
電話:090-9255-6220
営業時間:11:00~15:00(ラストオーダー14:00)
営業日:日曜・月曜
参考サイト:食べログ
お土産が買える「峰尾豆腐店」
昭和33年創業の老舗・峰尾豆腐店。
先ほどご紹介した城山茶屋・春美茶屋はここのお豆腐を使っているそうです。お水も、ここの地下水をポリタンクに入れて車で城山まで運んでいるそう。地元の人たちにとって、峰尾豆腐店のお水が美味しいのは有名だそうです。
実は、夫は高尾山に行くたびに(つまり毎週)何かしらここの商品を買ってきます。
甘さ控えめでふわふわのおからドーナツ(5個入り350円)。お昼くらいには売切れてしまうことも。この日も私たちが購入した直後(12時半くらい)に売り切れていました。
寄せ豆腐は240円。濃厚です。冷奴のたれ(1袋20円)をかけて食べたのですが、このたれがすごく上品な味。あまりしょっぱくなくて、生姜のような香りがします。
峰尾豆腐店の駐車場には石造りのテーブルがいくつかあります。「摺差(するさし)」バス停が目の前にあるので、バスを待つ間に寄せ豆腐を食べました。
ちなみに、バスは高尾駅行きと高尾山口駅行きが運行しています。平日は高尾山口駅行きのバスがないので注意してください。
峰尾豆腐店
住所 東京都八王子市裏高尾町1083
電話 042-666-0440
営業時間 8:00~18:00
定休日 木曜
参考サイト:食べログ
自家焙煎のコーヒーが美味しい「ふじだな」
カフェもあります。
入るなり気さくなマスターが「コーヒー、あったかいのでいいですか?」と聞いてくれました。ドリンクメニューが「本日の珈琲」だけなんです(夏季はアイス珈琲も)。
本日の珈琲(350円) お菓子は無料でつけてくれました。
コーヒーは舌残りがなくて飲みやすい! マスターいわく「1日何杯でも飲めるような雑みのない味を目指してるから、酸味と苦味のバランスにこだわっている」とのこと。
このお店は自家焙煎のコーヒー豆も購入できます。一番人気の「ふじだなブレンド」は100gで530円。買って自分で淹れて飲んだら、いつものスーパーの安いコーヒー豆よりずっと美味しかったです。
たまたまお店にいた地元のおじいさんがスケッチを見せてくださいました。すごい緻密……!
この日は地元の方らしい常連さんがマスターとお喋りしていて、とても和やかな雰囲気でした。
「お客さんは常連さんが多いんですか?」と聞くと、「一見の方もけっこう多いですよ」とのこと。
一見の私たちのことも気さくに受け入れてくれるマスターと常連さん。人見知りの私もゆったりくつろぐことができました。
ふじだな
住所 東京都八王子市裏高尾町1254
電話 042-661-0798
営業時間 (4月~9月)10:00~18:00 (10月~3月)10:00~17:00
定休日 火曜・水曜・木曜(祭日は営業)
参考サイト:ぐるなび
高尾山口駅周辺の通好みなお店
バスで高尾山口駅に戻ってきました。
駅からケーブル乗り場まではお店がたくさんありますが、どこも観光客でいっぱい。
混雑が嫌いな夫に穴場を聞きました!
とろろ芋の天ぷらそばがおすすめ「日光屋」
駅から徒歩3分ほどのレトロなお店。おみやげ物屋とそば屋がくっついてます。
とろろ芋天ぷらそば 850円
とろろそばはよくあるけど、これはすりおろしたとろろではなく、とろろ芋の天ぷらが乗っています。この天ぷら、とろろ芋に海苔を巻いて揚げてあって、サクサクで香ばしく美味しい!
おつゆも黒くて「いい意味でちゃんとしょっぱい」ので、北海道出身の私も大満足(寒い地域の人って濃い味好きですよね)。うしろのテーブルにいたニッカポッカのおじさんたちも「こういう濃い汁いいよな」と話していました。
とろろめし(ミニそば付) 920円
とろろ・ご飯・温かいミニそば・味噌汁・お新香のセットです。
だしと青のりの入ったとろろが美味しい!
日光屋
住所 東京都八王子市高尾町2264
電話 042-663-9008
営業時間 9:30~16:30(ラストオーダー16:00)
定休日 木曜
参考サイト:ぐるなび
季節の自家野菜が買える「峯尾商店」
夫が毎週顔を出すのがこのお店。
食料品を少しだけ置いている小さな商店なんですが、季節の自家野菜が買えるので夫は高尾山に行くたび寄っています。
野菜はお店の方のご家族が作っているそうで、この日ははやとうりを買いました。謎の野菜に見えるかもしれませんが、お店の方に調理法を尋ねると優しく教えてくれます。
また、峰尾豆腐店のお豆腐やがんもなどが売っているので、夫は裏高尾に行かないときはこのお店で買っています。ちなみに先ほどの峰尾豆腐店とは親戚だそうです。
峯尾商店
住所 東京都八王子市高尾町2293
電話 042-661-9045
営業時間 8:30~19:00
定休日 火曜
ここでしか買えない地酒がある「木村屋酒店」
駅から少し離れるんですが、「高尾山」という地酒の特約店があります。
お店のおばちゃんがとても明るくて面白いです。店の前に飾ってあるオブジェはおばちゃんの手作りだそう。
なんだこれ?
おばちゃんに「これはなんですか?」と聞いたところ、
「NARUTOの四尾の狐。画像検索してみて。ぜんぜん違うから」
と言われました。検索したら本当にぜんぜん違った。
お店に遊びに来る小学生のリクエストで作成したとのこと。酒屋兼クリーニング屋なのに、毎日のように近所の小学生が遊びに来るんだそうです。
さて、ここでしか買えない地酒があるんです。
あきる野市の中村酒造が作っている「高尾山」。
右端の特別純米は高尾山のケーブル終着にある売店にも売っていますが、それ以外はこの木村屋酒店でしか買えないそうです!
せっかくなので、左から2番目の「高尾山」を買ってみました(味はこのあとレポします!)
お店を出ようとしたら、おばちゃんがハロウィンのお菓子をくれました。近所の子どもたちにあげた残りらしい。わーい!
木村屋酒店
住所 東京都八王子市西浅川町18
電話 042-663-9008
高尾山のおみやげで晩酌
あれこれ買ってきたので、高尾山みやげだけで晩酌してみました。
木村屋酒店で買った地酒「高尾山」、峰尾豆腐店の寄せ豆腐とがんも、峯尾商店のはやとうり(ぬか漬けにしました)。
く~! うまい!!
まず、日本酒はまろやかな口当たり。ほどよい重さもあり、「フルーティーでグイグイ飲めちゃう系」のお酒ではないですね。私は「酒飲んでる感」のある日本酒が好きなので好みです。
がんもはグリルで軽く焼くと表面がパリッとして美味しい!
謎の野菜、はやとうりはキュウリとカブの中間のような感じ。パリパリですごく美味しいです。豚肉と炒めても美味しいそうなので、今度やってみます。
人が少ないからのんびり歩けて、美味しいものがたくさんある裏高尾。今回紹介したコースは「高尾山に行きたいけど混んでるから嫌だな~」という方におすすめです。
だけど、くれぐれも安全登山でお願いします。装備はしっかりと! 日没までに下山できるよう、行動は計画的に。
それさえ守れば、裏高尾の自然と人に癒されます。ぜひ行ってみてください!
ライター/吉玉サキ(@saki_yoshidama)
図/絵と図 デザイン吉田(@etozudeyoshida )
写真/吉田浩一