今こそ佐賀観光!豪雨の影響でキャンセルの嵐に苦しむ嬉野温泉と武雄温泉に行ってきた

こんにちは。福岡県在住ライターの大塚拓馬(@ZuleTakuma)です。

今年(2019年)8月27日、佐賀・福岡・長崎を中心とする集中豪雨が発生しました。
佐賀駅が冠水している様子や、大町町で鉄工所の油が流出して付近一帯に被害が出たという様子が全国放送のテレビで頻繁に放映されました。

被害に遭われた皆様には心よりお見舞い申し上げたいと思いますし、被災地の安全と、一日も早い復旧を願ってやみません。

被害が大きかった佐賀県内では、ボランティア活動や義援金など支援の輪が広がり始めています。

その一方で、佐賀県を代表する観光地である嬉野温泉や武雄温泉では、宿泊のキャンセルが起きたり、宿泊の問い合わせが極端に減るという別の問題が起きているのをご存知でしょうか。

旅館やホテルは通常に営業していますし、温泉街や各観光地は通常通り楽しめるにも関わらず、です。

とは言え、他県の方からするとせっかくの温泉旅行……。
「災害の影響を受けずに、心おきなく温泉旅行を楽しみたい」という心情は理解できますし、責められません。

そこで今回、実際に嬉野温泉と武雄温泉に行き、現地の状況を見てきました。
本当に現在の佐賀県で癒しの温泉旅は実現可能なのでしょうか?

福岡から佐賀へ出発!普通に行けます

おはようございます。本日は2019年9月4日です。

佐賀駅に到着しました。

温泉地に行く前に、冠水したと話題になっていた佐賀駅の様子が心配だったので、見に来たのです。

ご覧の通り、現在は既に水が引いています。

佐賀県内でも一部まだ酷い場所は残っていますが、冠水の被害は落ち着いてきており、周辺の交通状況はかなりよくなってきているのです。

佐賀駅周辺を車で少しぐるぐる走ってみましたが、駅周辺で冠水で通れないという場所はもう残っていません。

被害の痕跡と言えば、佐賀駅構内の空きテナントの床がカーペットだったので触ってみると「ジュワッ」とまだ濡れていたことくらいでしょうか。

佐賀駅にはある程度、日常が取り戻されているように思います。

ただ、佐賀県内を見渡してみると、実際に通行止めの規制がされているところもあり、避難所生活から脱する目途がたたない方が多いのもまた事実です。

それでは実際に、佐賀を代表する温泉地である嬉野温泉と武雄温泉に行ってみましょう。

嬉野温泉の現在の様子は?観光協会にインタビュー

佐賀駅から嬉野温泉の温泉街に到着しました。

嬉野温泉は佐賀県嬉野市にある温泉で「日本三大美肌の湯」に選ばれるほどの泉質が魅力です。

現地は当然のように冠水の被害はなく、水たまりひとつありませんでした。

この状況でキャンセルが相次いでいるなんて、本当なのでしょうか…?

そこで、嬉野温泉観光協会で尋ねてみることに。事務局長の松本さんにお話をうかがってみました。

――今回の豪雨被害で冠水など、ホテルや旅館に直接的な被害はありましたか。

松本さん:全くないですね……。嬉野温泉に被害はないのですが、被害が出た8月28日当日だけは嬉野温泉に豪雨でたどり着けないとか、嬉野温泉から出られなくなったという方は多くいらっしゃいました。

――嬉野温泉自体の問題ではなく、交通機関のマヒなど、ほかの要因による被害ですね。

松本さん:そうです。でも、29日以降は水も引いて、車も通れるようになりましたので、嬉野温泉への交通は問題がなくなりました。高速道路はまだ一部通行止めにはなっているんですけどね。(現在は解除)


▲武雄北方IC~嬉野ICの通行止めは2019年9月10日に解除

――今回の豪雨によって、キャンセルは多くありましたか。

松本さん:キャンセルはかなり出ています。9月以降のキャンセルもどんどん入っています。もちろん100%が豪雨の影響とは思いませんが、例年と比べても差は大きく、大きな影響が出ているのは間違いないと思います。

――嬉野温泉では豪雨前と同じように観光を楽しむことができるわけですよね。

松本さん:豪雨前と何にも変わりません。何にも被害がないのに、お客様に来ていただけなくなりました。私たちも「影響ないですよ」とサイト上などで発信はしているのですが、なかなかそれだけでは…。やはり冠水の被害が全国的に大きく報道されたので……。

――かなり厳しい状態というわけですね…。

松本さん:そうですね。もともと嬉野温泉には80数軒の旅館がありました。今では32軒になりました。

――えっ!そんなに減っているんですか。九州は他にも温泉地がたくさんありますからね…。今回の災害がなくても、かなり厳しかったわけですね。

松本さん:そうですね…。今残っている旅館も人手不足や、後継者不足の問題を抱えています。そんな厳しい状況でも、旅館の皆さんが力を合わせて頑張ってやっているところなんです。このタイミングで、こんな状況になるというのはちょっと痛いですね……。

――でも、嬉野温泉にはたくさんの魅力がありますよね。

松本さん:もちろんです。各旅館のおもてなしの質もそうですし、日本三大美肌の湯に選ばれるような泉質の良さは誇りです。それ以外にも嬉野茶肥前吉田焼もあります。地元の嬉野産大豆と温泉水を使った「温泉湯豆腐」はとろっとろで絶品です。


▲嬉野温泉名物のとろっとろの温泉湯豆腐

――温泉だけじゃないところが、嬉野温泉のいいところですよね。

松本さん:そうなんです。何としてでも、全国の皆様にお越しいただきたいです。

「なんとか力になってください」とお願いされ、嬉野温泉観光協会を後にしました。
使命感に燃える僕ですが、目の前に広がるのは何の被害もない普段通りののどかな嬉野温泉。

シンプルに楽しもうと思います。

嬉野温泉街を散策!日帰り温泉やシシリアンライスを堪能

旅館へ行く前に、嬉野温泉街を散策してみることにしました。

温泉街で見つけた立ち寄りスポットをいくつかご紹介します。

嬉野温泉街にある2つの「足湯」

嬉野温泉街の中には、2つの足湯スポットがあります。まずは「湯宿広場」です。

屋根の下には足湯足蒸し湯が設置されています。

こちらが足蒸し湯です。無料でいいのかな?っていうくらいしっかりつくられた設備です。

蓋を開けると、モクモク湯気が出てきました。おお、確かに蒸し風呂だ…。

足蒸し湯を設置しているのは嬉野温泉が日本初なのだそうです。

足を入れて、備え付けの木のカバーを膝にかけ、その上から蒸気が漏れないようにタオルをかけます。それでもカメラがくもってしまいましたが……。

なにこれ…超イイ……。

膝から下はみるみるうちに蒸気と汗でビショビショ。
だんだん足の中まで温まり、体全体がポカポカしてきます。

10分ほどつかったあと、備え付けの水道で足を洗い、今度は足湯へ。

足湯はけっこう広くて、こちらも気持ちよさそう。

ああ~。やっぱりこっちも最高だー。

足湯って、本当に気持ちいいですよね。もう離れたくない。

しばらく浸かっていると、作業着を着た方が2人僕の前へ。

「足湯行こうよ」「行きましょ、行きましょ」

「あー…最高。」
「最高っすね。いいっすね。」
「疲れとれるねぇ」
「最高の休憩時間っすよ」

作業ついでに立ち寄ったのでしょうか。
観光で立ち寄るのももちろんだけど、ふと嬉野に立ち寄ってこの足湯に入ると、また格別だろうなと思います。

「俺、足蒸し湯行ってくるわ」
「お~、いいっすねぇ」

足湯に誘ったら、ウキウキ付き合ってくれて気持ちよさそうに「最高の休憩時間」なんてキラーフレーズをサラッと言ってくれるこの後輩、かわいいな。ちょっと二人の関係性が羨ましくなりました。

(フリーランスの独り言です。)

湯宿広場
住所:佐賀県嬉野市嬉野町大字下宿乙2187-4
営業時間:足湯 7:00~23:00 足蒸し湯 9:00~20:00

嬉野温泉にあるもうひとつの足湯は「湯遊広場」にある「シーボルトの足湯」です。

こちらは岩風呂のスタイルになっています。

岩からこんこんとお湯があふれ出て、それが浴槽に入っていく仕組み。

ここで出会った初対面同志がカップルになったというエピソードもあるそうです。
妻子のある僕には関係ない話ですが、なんかワクワクしますね。

と思ったら、僕にも出会いがありました。

ほら、先客が。いいじゃん、一緒に入ろう。

こちらは先ほどの湯宿広場の足湯より、少し熱めでした。気持ちいい~。

すると先客が僕のそばに寄ってきて、荷物をいじり始めました。

「おっ、もっとかわいい写真撮れるかも」

そう思った僕は湯船から出て、別アングルから猫を撮ろうとしました。すると…

ヌルッ 「うわぁっ」

滑って一人で大騒ぎ。足元には注意書きが。

おっしゃる通りです。

完全に気を取られてました。さすが「美肌の湯」。想像以上にヌルヌルでした。

ちなみにさっきの猫は僕の情けない「うわぁっ」にびっくりして、すごいスピードでどこかに行ってしまったみたいです。

足湯に入るときはタオルを準備して、足を拭いてからあがるようにしましょう。

シーボルトの足湯
住所:佐賀県嬉野市嬉野町大字下宿乙822-1
営業時間:24時間

大正ロマン溢れる公衆浴場「シーボルトの湯」

このレトロ感あふれる建物は「シーボルトの湯」という公衆浴場です。大人420円、子ども210円で入浴できます。

もともと江戸時代から運営されている公衆浴場で「古湯温泉」として親しまれていました。

その頃にシーボルトも利用したことが由来で「シーボルトの湯」と名付けられています。


▲運営当時の「古湯温泉」(旅館大村屋内の写真パネルより)

大正時代には火災で全焼も経験。それでも、なんとか修復を重ねながら運営を続けてきていましたが、建物の老朽化と利用者の減少により1996年に閉鎖しました。建物も解体されたのです。

しかし、それから14年後の2010年。復活を願う嬉野の方々の声が後押しとなり「シーボルトの湯」として復活しました。

そんなアツい歴史を持っている公衆浴場です。

建物の外観は100%近く当時の姿を再現されており、レトロ感を味わえます。
外観のレトロ感とは裏腹にまだ新しい建物なので、室内はとってもきれい。

温泉も清潔でとても気持ちよかったです。

大きな浴槽が2つあるだけでシンプルですが、嬉野温泉のトロットロの泉質はしっかり味わえます。これが420円ですから、お得です。

浴室にはおむつ替えスペースがありますし、多目的トイレやユニバーサルデザインの貸切湯も完備。高齢者にも優しい設計です。

ちなみに湯上りは2階の休憩室でゆっくりと過ごしたり、地元の飲食店から出前をとったりすることができます。

シーボルトの湯
住所:佐賀県嬉野市嬉野町大字下宿乙818-2
営業時間:6:00~22:00(受付は21:30まで)
定休日:第3水曜日
入浴料:大人420円(中学生以上)子ども210円(小学生)
※小学生未満無料(保護者同伴)、家族湯利用料金/2,100円(50分間)
>>公式サイトはこちら

湯上りに寄りたい「嬉野温泉公園」と「新湯広場」

「シーボルトの湯」を上がると、シーボルトの湯のスタッフさんから声をかけられました。

「もしよかったら嬉野温泉公園を通って橋を渡って、川の向こうの新湯広場に行ってみて。景色がキレイだから。」
「へー!ありがとうございます!」

教えてもらったたとおりに、まずは嬉野温泉公園に行ってみましょう。

嬉野温泉公園の中は芝生が敷かれています。ベンチもあるし、湯上りの一休みにぴったり。

しかも、Wi-Fiも飛んでいます。
便利だな~、と思いながら公園を歩いていると、なんだか妙なものを見つけました。

川沿いにテーブルがあるんですよ。しかもカフェみたいな高さのあるイスと一緒に。

飲み物を持って、景色を見ながら一休みできるわけですか。

と思ったら、コンセントもついてました。カフェ以上の設備じゃないですか。

ノマド、ここに極まれり。

まさかこんなところに究極のノマドスポットがあろうとは。

ちょっと下をのぞけば、この景色ですよ。最高じゃないですか。

一応電源を確認してみたところ、ちゃんと供給されてました。まさに「ノマドワーカーの聖地」と呼んでもいい場所だと思います!

嬉野温泉公園
住所:佐賀県嬉野市嬉野町大字下野甲12-1

さて、嬉野温泉公園を抜け、新湯広場を目指して温泉橋で塩田川を渡ります。

新湯広場は温泉橋を渡って左へ曲がり、小道の奥にあります。

看板が設置されているので、場所は分かりやすかったです。

広場にはベンチや記念写真撮影用のスタンドが置かれていました。
塩田川のせせらぎと嬉野温泉の景色を眺めながら、思い思いに過ごせます。

ちなみにこのスタンドを使って写真を撮ると、こんな感じの写真が撮れます。
塩田川とシーボルトの湯の建物が入っていいですね。

川沿いのベンチからは塩田川と向こう岸の嬉野温泉公園の緑が見えます。

塩田川のザーッという音と、穏やかな風が気持ちいい…。

温泉地で重要なのはお風呂上がりの過ごし方だと思います。
「シーボルトの湯」に入った後は中の休憩室で休むのもいいと思うですが、天気のいい日は新湯広場まで散歩してみてはいかがでしょうか。

新湯広場
住所:佐賀県嬉野市嬉野町大字下宿乙730-17

なまず様がご神体!美肌を祈る「豊玉姫神社」

嬉野温泉観光協会の方に「豊玉姫神社には美肌の神様がいる」と聞き、湯上りにやってきました。

美肌の湯の温泉地に美肌の神様がいるとは。ご利益がありそうです。
御本殿の参拝はもちろんですが、隣のお社を見落としてはいけません。

こちらは「なまずお社」。ご神体であるつやっつやの「なまず様」が鎮座しています。

そばに湧いている「願い水」をなまず様にかけながら、美肌への願いを込めます。

「せめて実年齢より老けて見えない肌、実年齢より老けて見えない肌」

願い水をかけた後、「なまず様」に一礼。
これで僕の美肌は保証されたも同然でしょう。

豊玉姫神社
住所:佐賀県嬉野市嬉野町大字下宿乙2231-2

おしゃれな店内で嬉野茶と絶品ランチ「kihaco」

先ほど紹介した塩田川の川沿い(嬉野温泉公園側)を歩いていくと、オシャレなカフェが見えてきます。それが「kihaco」です。

比較的古い建物が多い嬉野温泉の温泉街の中で、この外観はなかなかインパクトがあります。

内装もオシャレ。訪問した時はお客様の9割以上が女性でした。
僕は「ここでぜひ食べてみたい」と思っているランチメニューがあります。

それは佐賀名物の「シシリアンライス(1300円)」です。

「シシリアンライス」とは佐賀のご当地グルメです。
甘辛い味付けで炒めた肉(主に牛肉)とレタスやきゅうりなどの生野菜を盛り合わせ、仕上げに上からマヨネーズがかけられています。

kihacoのシシリアンライスは、半熟卵が乗っており、牛肉と一緒にくずして混ぜながら、ごはんにからめていただきます。

甘い牛肉に半熟卵とマヨネーズがよく合い、絶品でした。
佐賀牛を使用しているので肉の旨味がかなり強く、それがさわやかなサラダとめちゃめちゃ合います。おいしい。

佐賀のほかのお店のシシリアンライスも食べたくなってしまいました。

合わせて注文したのは「嬉野茶・ラテ(550円)」です。

シロップも何も入れていないのに、とても甘くて驚きました。

嬉野茶はうまみ成分が強く、甘みを感じやすいそうです。
角がない味わいで、飲むと嬉野茶の香ばしい香りがスーッと鼻を抜け、後味にはさわやかな甘みが残りました。

「嬉野茶って、こんなにおいしいんだなあ……」

僕は今回のお土産に嬉野茶を購入することを決めました。

RestaurantCafe&Shop kihaco
住所:佐賀県嬉野市嬉野町大字岩屋川内甲379
営業時間:ランチ11:00~14:00、デザートタイム14:00~20:00(L.O. 19:30)
>>公式サイトはこちら

おしゃべりを楽しみながらおいしい嬉野茶を購入「三根製茶」

嬉野温泉街にはいくつもの製茶工場の直売所があり、その中で目に留まった三根製茶工場の直売所に入りました。

お茶を入れてもらいましたが、やっぱり甘みがあっておいしい!
どれを買おうかな~と悩んでいましたが、こんなものを発見。

この手作り感満載のティーパックセットおいしそう。仕事しながら気軽に嬉野茶を飲もう。

直売店のおばちゃんといろいろおしゃべりを楽しみました。

「僕、ネットで嬉野の魅力を伝える記事を書くために来たんですよ」
「あー、私はネットはわからんけん!もうさっぱり。この年やけん」

ポケットからガラケーを取り出し、詐欺系迷惑メールが届いた話をしてくれました。

「じゃあ、書いた記事を印刷して郵便で送るので読んでくださいよ」

去り際に名刺を渡しながらそう伝えると「あっ、そうね!」と笑ってくれました。

長い記事ですが読んでくれていますか!おいしいですよ、ティーパックの嬉野茶。
いつまでもお体にはお気をつけて。

三根製茶工場直売店
住所:佐賀県嬉野市嬉野町大字下宿乙2302-1

ちなみに嬉野温泉や周辺の観光スポットについては、SPOTのこちらの記事でも詳しく紹介されているので、ぜひ参考にしてみてください!

音楽・読書好きは満足度100%「旅館 大村屋」宿泊体験レポート

さて、嬉野温泉街の散策を思う存分楽しんだ僕は旅館へと向かいました。
本日お世話になる「旅館 大村屋」です。

大村屋の創業は天保元年とのこと。嬉野温泉で一番の老舗旅館です。
今回の宿泊先に大村屋を選んだのには、理由があります。

歴史ある旅館のおもてなしに期待したのはもちろんですが、一番の要因はこちらの公式ツイートでした。

「安全な面も報道して」「キャンセルが半端ない」という生々しい悲痛な告白ツイートでした。

嬉野温泉にはまったく被害がなく、どの旅館も元気に営業しているのにお客さんだけが来ない…。
そのような現象が実際に起こっているのです。

キャンセルの状況は?大村屋社長にインタビュー

到着してすぐに旅館大村屋の北川社長にお話をうかがいました。

――嬉野温泉街を散策してきましたが、豪雨の被害はまったくないみたいですね。

北川社長:まったくないですね。去年の九州北部豪雨のときのほうが酷かったです。「今回は大丈夫そうだね」って、安心してたくらいだったんですけど。まさかこんなことになるとは。

――キャンセルの状況は、どれほどなのでしょうか。

北川社長:例年の倍くらいのキャンセルが出ています。現状、エリアとしての9月の売り上げが昨年の半分と聞いています。大村屋も昨日は宿泊が2件しかありませんでしたし……。130室ある他の旅館さんで13室しか埋まらないこともあったそうです。従業員が40人いるのに、13室ですよ。

――そんなに影響が出ているんですか…。

北川社長:物流も滞っていないのに、何も問題がないのに。むなしさがあります。

――佐賀駅や武雄市の冠水、大町町で鉄工所の油が大量に流れている映像が頻繁に放送されましたもんね。

北川社長:報道のしかたも考えないといけないんじゃないかと思います。そう思って「被害だけでなく安全も伝えてほしい」とツイートをしたんですよね。

――今日実際に嬉野温泉を散策しましたが、「安全」とわざわざ言うのもバカらしく感じるほど、何も変わらぬ嬉野温泉でした。少しの間、豪雨被害のことを忘れて楽しめましたよ。

北川社長:言い方が難しいと思うんですよね。「安全」とか「復興」とか言いすぎると、危険なイメージが完全についてしまいます。そもそもこのエリアは被災してないんですよ。


▲豪雨前と何一つ変わらない嬉野の街並み

――私自身、福岡から車で来ましたが、道中で何も困ることはありませんでした。

北川社長:そうですよね。武雄北方ICと嬉野IC間が通行止めになっていますが(現在は解除)そこは下道を使えば大丈夫ですからね。通行止めになっているインターチェンジの名前に「嬉野」「武雄」という文字が入っているのも、イメージが悪いなと思います。

――かと言って「そんなに被害はひどくないよ」と強く発信するのも、また違いますからね。

北川社長:実際に被害が大きいところは大きいので、ケアが必要ですし、支援が必要なのも事実です。どう伝えればいいものか…。伝え方のニュアンスがとても大切になってきますね。

――ただ、温泉地にいらっしゃる方はせっかくの温泉旅行なので何も気にせずに楽しみたいという人が多いと思います。そこで「わざわざ佐賀に行かなくても」という意識がはたらくというのは理解できます。

北川社長:人がくつろぎにくる場所だから、ちょっとした不安要素があるだけで、こんなに避けられるものなのかと感じています。もともと佐賀は災害の少ない場所なので、初めて体感しましたね…。

昼間の楽しい嬉野温泉散策とのあまりのギャップに愕然としてしまいました。

北川社長の言葉からは「このままでは嬉野温泉が危ない」という強い危機感を感じ、この取材の意義を改めて確認することができました。

旅館 大村屋での夜がスタート

社長インタビューを終え、僕は本日泊まるお部屋「温泉内風呂付き和洋室 菊」に案内してもらいました。

お部屋には自由に入れる温泉内風呂がついています。これはありがたいですね。

案内してもらった後、すぐにお茶を出してもらえました。
いつもビジネスホテルに泊まる僕にとっては、こんなこともうれしいサービスです。

宿泊者には50分の貸切湯サービスがあるとのことで、さっそく入浴。

…くー!気持ちいいー……!!

ビールも料理も最高。おいしい。全部おいしい。

国産和牛、旨味ジュワジュワでおいしかったなあ。印象に残ったのは、デザートのプリン。

プリンの上に抹茶ソース(カラメルソースも選べる)をかけるんですけど、この抹茶ソースがもうおいしくて。

終盤はかなり「追い抹茶」をしちゃいました。やっぱり嬉野茶はおいしい!

この大村屋の特製プリンは相当な人気で、年間3万個以上の売上げを誇るのだそうです。なるほど、納得のおいしさです。

もうこの時点でかなり幸せ。

しかし、大村屋はこれだけではありません。

本とひとに出会える「嬉野温泉 湯上り文庫」

こちらは地下一階、大浴場前の休憩スペース。ゆったりした空間が広がっています。

奥にはこんな優雅な空間が広がっているのですが、注目すべきなのは奥の本棚。
これはただの本棚ではありません。

題して「嬉野温泉 湯上り文庫」
嬉野温泉のまちの人50人が厳選した本が並んでいるのです。

本棚をよく見ると、誰が選んだ本なのかがわかるようにされていました。

選ばれた数冊の本と、その方がどんなお仕事の人なのかというヒントだけで「どんな人なのかなあ」と想像するのもまた面白い。

もしかしたら「えっ!この人が選んでいる本、全部読んだことがある」なんていう、運命の出会いが待っている可能性もあります。

本を選んだまちの人50人のプロフィールとお店の場所はこちらのリーフレットに記されています。
実際にここの本を選んだ人にすぐ会えるかもしれないのです。

なんとエキサイティングな読書体験!

小説もあれば、プロならではの専門書があったり、マンガや絵本もあって、置かれている本に統一感がありません。

それは「湯上り文庫」が、嬉野のまちにいる「ひと」をギュッと濃縮したものだからです。
ここには本の出会いだけでなく、ひととの出会いが待っています。

「湯上り文庫」のスペースの壁には、「嬉野温泉ミュージアム」と題した写真や歴史年表のパネル展示があります。

古い写真を見ることで、いかに嬉野温泉が昔から大切にされてきたものなのかがよくわかりました。

音楽好き大喜びの「湯けむりラウンジ」と「音の小部屋」

さて、次は地下から1階に上がり「湯けむりラウンジ」へ。

こちらの魅力は何と言っても、3000枚を超えるレコードコレクション。

レコードラックを見ているだけで楽しい。
実は僕、子どもの頃からビートルズが大好きなんですよ。

北川社長はビートルズのラジオ番組をやっているほどのビートルマニアで、こちらのレコードコレクションにもビートルズはもちろん、メンバーのソロ作品までしっかり置かれています。

レコードラックの上には、ビートルズ関連書籍がズラリ。僕にとっては夢のような空間です。

僕の自宅には近所迷惑的にも金銭的にも絶対に置けないような立派なオーディオがあり、リクエストがあればスタッフにお願いできます。

この最高な環境下で何を聞こう。

「やっぱりビートルズか?いやいやせっかくたくさんレコードがあるんだから、新たな出会いを探すべきでは?でもこんなに立派な設備で音楽を聞ける機会もないし、好きなものを聞くべきでは?執筆しなきゃだし、そんなに時間もない。じゃあ、ソロ作品?ジョン?ポール?ジョージ?おお、リンゴもある。どれがいい?ああ、でもあんまり悩んでても記事の執筆も控えているのに」

時計の針が簡単に進んでいきます。

30分以上悩んで、結局選んだのが「アビイ・ロード」。7周くらいしました。

「A面にしますか?」「あっ、B面でお願いします」

B面なので1曲目は「Here Comes The Sun」。ジョージの声が聴こえてきました。

レコードならではのノイズの奥から力強く響いてくるポールのベースとリンゴのドラム。

「あっ、これB面全部聞いちゃおう」とすぐ思いました。その後で記事書けばいいや。

最高のBGMを聞きながら、僕は本棚をジロジロ、レコードをジロジロ。

この写真見たことある!ジョンが嬉しそうでかわいいんだよな、この写真

うわ、去年出たポールの最新作までLPである。北川社長、さすがだな…

さ・い・こ・う。

こんな時間を過ごしちゃっていいんでしょうか。

アビイ・ロードのB面は名物のメドレーに突入。演奏がどんどん盛り上がり、聞き入っているとあっというまに「The End」。

「あー、最高だわ、最高。ライブだわこれは」

「新しい音をレコードで聴くってどんな感じなのか知りたかったんだよなあ」

次に手を伸ばしたのは、ポールの2013年のアルバム「NEW」。

「このときはポールが福岡ドームに来てくれて嬉しかったなあ…」

「NEW」を聴いたあと、「湯けむりラウンジ」を出て、僕が向かったのは「音の小部屋」。

こちらはレコードではなく、CDがたくさん並んでいます。

そして選んだCDは真空管アンプに繋がれたCDプレイヤーで再生できます。

ヘッドホンが2口あるのがとってもいい。誰かと一緒に楽しめます。

こちらはスタッフにいう必要なく、自分でどんどんCDを入れ替えて聴くことができるので、もうむさぼるようにCDをあさる僕。

そろそろ執筆しないとだけど、音作りがシンプルな曲は迫力が段違いだ

執筆しないとヤバいけど、吉田拓郎の弾き語り集とかいいかも

「リンゴ」聴いてから、執筆しよう

心の声ははっきりと聴こえるのに、音を聴けば自動的に身体が動く。イッツオートマティック。

気がついたら日付が変わっていました。食事を終えたの21時くらいだったはずなんですけど……。3時間早すぎ。

その後、部屋のオーディオにBluetoothをつなげて、音楽を聴きながら執筆作業。抜かりなく最高かよ。

ちなみに大村屋は自前のCDやレコードも持ち込み可能なので、「最高の環境でこれが聴きたい」というお気に入りのCDやレコードを持ち込んでみるのをオススメします。

朝風呂&朝食ですがすがしい朝

朝、僕は起きてすぐにいそいそと大浴場へ。

朝風呂で目覚めバッチリの僕は、そのまま朝食。

朝食には嬉野温泉名物の温泉湯豆腐がついていて、トロットロでとってもおいしかったです。

名残惜しい気持ちを残しつつ、チェックアウトをしにフロントへ。
すると、北川社長が声をかけてくれました。

「よかったら、嬉野の茶畑と肥前吉田焼を案内しますがいかがですか?」
「え!!ぜひお願いしますっ!」

嬉野茶と肥前吉田焼!嬉野観光おすすめ体験2選

北川社長に案内していただいた嬉野とっておきの観光体験を2つご紹介します。

息をのむ絶景!茶畑にある茶室「茶塔」「天茶台」

まずはこちら。嬉野茶の茶畑にある「茶塔」です。
陣野という場所に、2019年4月に誕生したばかりの新スポット。

うわ!すげえええ~!!

靴を脱いで茶室に上がってみると、あたり一面茶畑の絶景。奥には大村湾が見えます。

すると北川社長、なんとこの最高のロケーションの中、冷茶をいれてくださいました。

「ここでとれたお茶です」

このロケーションで、なんというパワーワード。射抜かれました。

甘い。格段に甘い。やっぱり嬉野茶おいしい…。
こんな最高な環境下で嬉野茶を飲める日が唐突に訪れるとは。

これまで幾度となく、僕は日本人として緑茶を飲んできました。
会社の応接室、お盆に行った奥さんの親戚の家、自宅のデスク。

その全てのシチュエーションでお茶は「サブ」な存在で、意識をすることもありませんでした。

今は、突如メインに躍り出た緑茶に圧倒されています。

無意識に培われた緑茶への価値観が、この体験で音を立てて崩れ去るのを感じました。

副島園の茶畑にある「天茶台」も素晴らしい場所でした。
こちらは茶畑の奥に嬉野の街並みが見えます。絶景です。

どちらも新しく生まれた場所であり、茶畑の絶景を最大限に活かした素晴らしい空間です。

「嬉野温泉にある価値を再編集したい」と北川社長は語ります。

既にある嬉野茶の価値、茶畑の景色の価値。確かに存在するその価値も、観光客に伝わらなければ存在しないのも同じです。

「どうすれば嬉野の価値が光り輝き、お客様に伝わるのか?」

嬉野温泉の方々は、その課題に街のみんなで力を合わせて取り組んでいる真っ最中なのです。

この茶空間体験は、お茶を育てる土づくりから抽出まで全てを知り尽くした茶農家さんのガイド付きで楽しむことができます。まさにお茶体験の最高峰です。

詳しくはTea Tourismの公式サイトをご覧ください。
>>Tea Tourism公式サイト「茶空間体験」

肥前吉田焼の窯元見学と「えくぼとほくろ」ショップ

さて、茶畑から離れて肥前吉田焼の副千製陶所にお邪魔しました。

所狭しと並ぶ陶器の中にある、職人さんの作業場。
肥前吉田焼はこんな場所でつくられているのですね。

はじめて目にする光景にドキドキしました。

お茶碗など、日常使いできそうな肥前吉田焼が販売されているスペースがありました。直営ショップ「えくぼとほくろ」です。

「えくぼとほくろ」ではピンホールや黒点などがついているがために、市場に出すことができなくなってしまった「規格外品」を格安で販売しています。

ちなみに「えくぼ」とはピンホールを、「ほくろ」とは生地や釉薬に含まれる鉄分により発生する黒点をさす業界用語です。なんだかかわいらしい表現ですね。

「えくぼ」や「ほくろ」のある場所は、マジック(もちろん洗えばすぐ落ちます)で印がつけられていることがあります。

プツッと「ほくろ」がついているのがわかるでしょうか。
たったこれだけで「規格外品」になってしまうのです。日常使いには何も問題がありません。

たとえばこの湯飲みは500円で購入できるとのこと。
モノによって異なりますが、半額くらいの値段で購入できるものが大半なのだそうです。

窯元の雰囲気を体感して購入するというのは、お土産店で並んでいる陶器をただ購入するのとでは、感じる価値が全く違います。

器を使うたびに窯元のことを思い出すこともあるでしょうし「生まれ故郷を知っている」というような、愛着が生まれます。
そのような食器って、自宅になかなかないですよね。

ちなみに「えくぼとほくろ」という直売ショップは副千製陶所だけではなく、肥前吉田焼窯元組合に所属する6窯元で行われているプロジェクトです。

観光客は窯元の雰囲気を感じながら、「えくぼとほくろ」でお気に入りの器を見つけて、お得な価格で購入することができます。

それぞれの窯元で雰囲気は全然違うので、その違いを感じながら窯元めぐりをすると面白いはずです。

当日そのまま行っても対応してもらえますが、事前に予約をすると、より詳しい工場見学を見せてもらえます。

詳しくは肥前吉田焼窯元協同組合の公式サイトをご覧ください。

副千製陶所
住所:佐賀県嬉野市嬉野町大字吉田丁4116-14
えくぼとほくろの受付時間:9:00~16:00
定休日:日曜
>>公式サイトはこちら

嬉野は3つの伝統文化が息づく街

1300年に湧き出た「嬉野温泉」、500年前より栽培されている「嬉野茶」、400年の歴史がある「肥前吉田焼」。

そんな気が遠くなるような歴史をもった極上の名物が、こんな狭い範囲に揃った場所は他にないと思います。

しかし、その魅力がなかなか伝わらないので、それぞれの魅力をかけ合わせて様々な企画を頑張っていらっしゃる姿には、僕自身胸を打たれました。

豪雨の被害も一切ありませんし、心おきなく素晴らしい時間が過ごせる場所です。
ぜひ佐賀・嬉野温泉を秋冬旅行の選択肢に入れてみてください。

僕のおすすめは「大村屋」さんですが、他にもたくさんのよい旅館があります。
ぜひいろいろ探してみてくださいね。

旅館 大村屋
住所:佐賀県嬉野市嬉野町大字下宿乙848
>>公式サイトはこちら

嬉野温泉への行き方や、さらに詳しくは嬉野温泉観光協会の公式サイトをご覧ください。

「観光に行くのは気の毒で」と問合せ…武雄温泉も悲痛の声

嬉野温泉の温泉街を後にした僕は、嬉野温泉から車で30分程度到着する武雄温泉の温泉街にも立ち寄ることにしました。


▲武雄温泉のシンボル「楼門」(国重要文化財)

武雄温泉に到着する前に、武雄市街を車で走りましたが、通行で困ることはありませんでした。

ただ、やはり中には泥だらけの道があったり、冠水被害の後片付けをされているお宅があったり、営業できない飲食店があったりと、冠水被害の深刻さを感じます。

しかし、武雄の温泉街は標高の高い場所にあるため、市街地のような冠水被害はありません。

道路には水たまり一つなく、いつもと変わらぬ武雄の温泉街の風景が広がっています。

武雄の温泉街の現状は?武雄温泉の管理会社にインタビュー

武雄の温泉街の現状をうかがうため、武雄温泉を管理している武雄温泉株式会社の総務課長の岸川さんにお話をうかがいました。

――今回の豪雨で直接的な被害はありましたか?

岸川さん:浸水などはありませんが、「元湯」の排水溝から水が逆流して溢れ出てしまい、浴槽ごと雨水に浸かってしまいました。8月28日のことですね。


▲武雄温泉の「元湯」

――今はもう大丈夫なんでしょうか?

岸川さん:はい、その日のうちに拭きあげて、翌日(8月29日)から通常営業しております。ロビーや廊下に水が上がってくることはなかったので、それだけですね。

――武雄の温泉街で直接被害があったところはあるのでしょうか?

岸川さん:ないと思います。玄関先まで水がくることはあったと思いますけどね。街中は水に浸かってしまったところがありますけど、温泉街は大丈夫です。

――今回の豪雨で閉業を余儀なくされている旅館はないですよね。

岸川さん:ないと思いますよ。温泉街は幸いにも、ほとんど被害がありません。何ら問題なく営業していますし、皆様をおもてなしできています。

――武雄温泉のにぎわいなど、例年との差を実感することはありますか。

岸川さん:客足が明らかに少ないです。週末も普段の6割くらいしかお客さんが来なかったですね。温泉街も全体的に明らかに減ってますよ。

――キャンセルも多く出ているとの報道がありますね。

岸川さん:各旅館でキャンセルは出ているようですね。いわゆる風評被害です。「災害があったから行くのをやめようか」ということで、キャンセルが続いていると思います。「観光に行くのは気の毒に感じるのですが」という他県からの問合せもあったと聞いています。

――なるほど、そのような認識をされてしまっているわけですね。

岸川さん:「皆さん被災されているのに遊びに行っていいのだろうか」と思われたようで。そういったことは全然ないので、どうぞお越しくださいとお伝えしたら、「安心して行きます」とおっしゃったそうなんですけどね。

――なかなか他県の方はどういう空気感なのかはつかみにくいですからね。

岸川さん:ぜひ武雄に来ていただいて、温泉を楽しんでいただきたいです。私どもも昨日今日と、ボランティアに来てくださった方に武雄温泉の入湯券を2回合計で2000枚お配りしました。疲れを癒してほしいのはもちろんですが、ボランティアに行ったけど武雄温泉は大丈夫だったと伝えてほしいと思っています。

武雄温泉もやはりキャンセル被害が出ており、客足が遠のいているようです。

「武雄市には支援が必要だけど、温泉は今でも元気に営業していて、最高だったよ!」という体験談がどんどん広がっていけばいいなと思います。

歴史ロマンある名湯!武雄温泉体験レポート

岸川さんはインタビューを終えた後、特別に国重要文化財の楼門の2階へ案内してくださいました。

武雄温泉楼門の2階は、2020年の3月31日まで9:00~9:30の30分間に受付をした人にのみ公開されています。(火曜日は定休日)

見学する人は元湯の入浴券(大人400円、子ども200円 ※10月1日より大人450円、子ども220円)を購入する必要があり、その後はもちろん元湯の入浴も可能です。

今回は武雄温泉の魅力を伝える取材ということで、特別に時間外にお見せいただいています。

こちらが武雄温泉楼門の2階です。
見どころは天井にある子(ねずみ)卯(うさぎ)午(うま)酉(とり)の彫絵です。


▲うさぎの彫絵

楼門は東京駅や日本銀行本店の設計で有名な辰野金吾氏の設計で、1915年に建てられました。

楼門の彫絵にはストーリーがあります。
先日、同じ辰野金吾氏が設計した東京駅の南北ドームが復原され、天井に巳(へび)や辰(たつ)などの八つの干支のレリーフがあったのです。

「なぜ八つなのか」という謎があったのですが、楼門の4つの干支と東京駅の干支を合わせると十二支が揃うことがわかり「辰野金吾の遊び心か?」と100年以上の時を経て、話題になっています。

楼門から眺める武雄の温泉街です。
ちなみに窓ガラスがウネウネとゆがんでいるのは、手作業でつくられた建築当時のガラスのままだからです。

今では技術が発達し、日本ではまっすぐなガラスしか作られなくなってしまいました。
もちろんまっすぐなガラスに交換されている個所もありますが、楼門にはまだこの独特のゆらぎがあるガラスが残っています。

反対側を見ると、新館の建物がきれいに見えます。新館と言っても、こちらも1915年にできた建物です。

ちなみに正面に見える、新館の独特な形の窓は「新館から楼門を見るための額縁」としてつくられているそうです。

この窓の真正面に楼門がくるように設計されているということで、それはぜひ見てみたい。新館に行ってみましょう。

武雄温泉の新館は資料館になっており、当時の資料が見られたり、大衆浴場の様子を見学できます。陶芸体験もできるようになっていました。

2003年に復原工事が行われ、当時の雰囲気を守っています。
2階に登って、新館から見える楼門を確認してみましょう。

新館の2階には木目の廊下と畳の和室があります。畳の和室に入ってみると、先ほどの窓を見つけました。

畳から窓を眺めると、見ての通りドンピシャの場所に楼門が見えます。これは美しい。
明確な意図が感じられると、その人と対話しているような気持ちになりますね。

しばらく畳に座って、辰野金吾氏のデザインの中に入り込んでみました。
これを体験するだけでも、十分に武雄温泉に行く価値がある気がしました。

最後に武雄温泉メインの元湯に入りました。

「あつ湯」と「ぬる湯」に分かれていますが、「ぬる湯」でも温度は42度から43度と少し熱め。

44度~45.5度に設定された「あつ湯」には僕は肩までつかることができませんでした。ぜひ試してみてください。

武雄温泉 大衆浴場
住所:佐賀県武雄市武雄町武雄7425番地
営業時間:6:30~24:00(受け付けは23:30まで)

風評被害を払拭するために「#武雄元気です」プロジェクトというものが発足し、動画のアップが始まりました。こちらでも、武雄には観光客の受け入れ態勢が整っていることが分かるかと思います。

武雄の温泉街などについて詳しくは、武雄市観光協会の公式サイトをご覧ください。

今こそ魅力たっぷりの嬉野・武雄に行こう


▲秋は御船山楽園の紅葉も魅力

嬉野温泉・武雄温泉は幸いに豪雨被害の難を逃れ、今日も元気に営業を続けております。
お客様を迎え入れるために万全の準備をし、大勢の従業員が旅館や観光地に出勤しているのです。

佐賀県内で大きな被害が多数出ていることは事実ですが、被害が出ていないところの方が圧倒的に多いのもまた事実です。

そして、温泉街の方々は「みなさんに何としてでも来ていただきたい」と一生懸命訴えています。

これからの嬉野温泉や武雄温泉は御船山楽園の紅葉がきれいになりますし、冷え込んでくると温泉の温かさはよりいっそう気持よく感じられるものです。

次の旅行、せっかくなら佐賀に行ってみませんか。
そして、ぜひ「嬉野楽しかった」「武雄楽しかった」「佐賀楽しかった」という声をどんどん広げていってほしいなと思います。

観光客が訪れることが佐賀への支援になり、観光客の笑顔は観光地で働く人たちの元気の源になります。どうか、佐賀にあなたの笑顔を分けてください。よろしくお願いいたします。

ちなみに「ゆこゆこネット」では「【福岡・佐賀・長崎】九州3県応援クーポン」が発行されており、宿泊費が2000円割引になるのでおすすめです。ぜひ使ってみてくださいね。