築105年、日本最古の学生自治寮「吉田寮」を大掃除してみた_PR
吉田寮は、京都大学の施設内にあり女子も住む日本最古の学生自治寮。築105年の老朽化対策に伴う建て替えの件などで寮の自治会と大学が対立していることでも有名。ライターのヨッピーが吉田寮に住む学生さんと大掃除し、そこで見つけたモノや文化について紹介。
【最古の学生自治寮】
※本日の企画は株式会社メルカリの提供でお送りします
こんにちは。ヨッピーです。
突然ですがこちらの画像群をご覧ください。
はい。
「なにこれ?どこの廃墟?」っ思う人がいらっしゃるかもしれませんが、ここは廃墟ではありません。バリバリ現役の学生寮、京都大学の吉田寮です。
京都大学の吉田寮は築105年の歴史を持つ、日本最古の学生自治寮。
自治寮とはつまり学生の自治によって運営されている寮で、大学当局と寮自治会の間で話し合いをしながら、学生の手によって管理・運営がなされております。入寮選考なんかも全て学生によって行われているらしい。
中庭なんてほぼジャングル!
「これ、いつの時代だよ」っていう張り紙も残る。
そんな吉田寮ですが、現在でも100名ほどの学生が暮らしており、留学生も含めて日本各地、世界各国から集まった学生たちが共同生活を送っております。
寮費は水道光熱費込みで月あたり2,500円と激安。この安い寮費のおかげで、学生ながらアルバイトに明け暮れて勉学がおろそかになる、というような事態を防げ、物価の安い国から来ている留学生達もずいぶん助かっているらしい。
今回、僕を案内してくれた寮生の瀧下さんと、瀧下さんが暮らす部屋。
瀧下さん曰く、
・問題が発生した時は当事者間で解決する
・公平な議論を期すため上下関係の発生を良しとせず、敬語を推奨しない
・寮の運営については寮自治会の総会で話し合い、全会一致で決める
という、吉田寮独特の文化のもとに運営されているそうだ。
そして僕はここに来た時にふと思いました。
「大掃除したい!」
だってこの状態だし。
寮内から明治時代の本が当たり前みたいに出てくる。明治45年!
いやほんと、歴史のある建物だし、今大人気の「池の水全部抜くシリーズ」みたいなノリで大掃除したら古い遺物とか出て来て面白いんじゃないかって思ったのです。
それに、実はこの吉田寮、2018年9月いっぱいでの退去を大学側から求められており、105年の歴史を振り返るためにも、やっぱり大掃除は必要なんじゃないでしょうか。
とは言え……、
打ち捨てられている粗大ゴミがこの量である。なんでも、退寮時の引継ぎが上手くいかなかったり、人知れずして置き去りにされた家電製品などが大量に残っているんだそうだ。寮生達も一生懸命片づけをしているそうなのですが、処分しては溜まっての繰り返しで困っているとのこと。
掃除したいのはやまやまなんですが、家電製品って処分するにもかなりのお金がかかりそうだからどうしようかと思ってて……。
大丈夫、そう思って今回は強力な助っ人を連れてきたよ。
じゃん!メルカリです!
「え?なんでメルカリが出て来るの?まさかこのゴミの山を売るつもり?詐欺じゃん!」みたいな人、まあ落ち着いてください。いきさつはこうです。
京都大学の吉田寮、築105年の歴史がある建物なのにゴミの処分に学生たちも困ってるみたいで、面白そうだし大掃除したいんですよ。でもお金がめっちゃかかりそうなんですよね……。
なるほど。じゃあPR記事にしましょう
えっ、でもメルカリで売れそうなものが出るかどうかはわかんないですけど……
もちろん、出品するのは使えそうなものだけで大丈夫です。無理にメルカリを使っていただかなくても構いません。社会的意義はあると思うので。
神かよ。
みたいなノリです。
そんなわけで遠慮なく大規模にやりましょう!
おー、それはありがたいですね
ごめん、なんかリアクションが薄いからもう一回やり直してもらっていい?
「うーーーん、困ったな……」
※「大掃除の予算で悩んでいる学生の演技」をする吉田寮の皆さん。
みんなーー!
なんと、メルカリが協力してくれるって~~~~!
ウォォオオオオオオ!さっすがメルカリ~~~~~~!
一生ついていきま~~~~す!!
※「喜ぶ学生の演技」をする吉田寮の皆さん
なんなんだよ。
【大掃除をしよう】
さあ、そんなわけで早速大掃除に取り掛かりたいと思います!
最初に目をつけたのがこちらの麻雀部屋。汚ねぇ!
タバコの吸い殻、ペットボトルにお弁当のガラなど、端的に言って「やべえな」っていうレベルで散らかっております。普段、自分の部屋を散らかしまくってる僕からしてもこの部屋の汚損度はやばい。
とりあえず椅子やテーブルなどを部屋から運び出してから片づけることにしたのですが、皆さん、良く見てください。この部屋にはグレーのカーペットが敷かれているじゃないですか。ね。もう一度出しますよ。
ね。地面が灰色でしょ。これで麻雀卓をどかすじゃないですか。
そしたら元々は白色だったカーペットが、汚れまくって色が変わっただけだったって事が判明するんですよね。
マジでこれ、何十年ぶんっていう汚れの蓄積では……?
それを見て「うわー……」って明らかに引いてる人。
あのね、言っておくけど僕の方が引いてるからね。
更に目をつけたのがこちらの共同トイレ。
枯れたツタなんかがそこかしこにあるし、タイルも汚いしで夜中にここに閉じ込められたら泣き叫ぶ自信ある。
一瞬「バイオハザードかな?」って思った。
掃除するぞーーー!ってなテンションで、メルカリで落札した脚立を駆使してツタの除去作業から!
学生たちは渡り廊下を掃除!
クモの巣とかもえぐいのでちょっと作業するとこんな感じで泥だらけになる。
「大掃除したい!」とか言わなきゃよかった。
秘密兵器、高圧洗浄機を投入!
記事中で使っている高圧洗浄機も含めて、メルカリでは何故か新品の家電製品が売ってたりするのだ!もちろん中古品ならもっとお得に買えるぞ!
掃除機、洗剤、ホウキ、脚立、雑巾その他、掃除に役立つものならメルカリでひととおり揃える事が出来るので、そういうのをお得にゲットしながら活用していこう!
雨どいを詰まらせていた雑草もゴリゴリ撤去!
汗まみれ、泥まみれ、クモの巣まみれになりながら、
みっちり3時間掃除してこうなりました。
なんか、あんま綺麗になって、ない……?
とは言え、ツタが無くなっただけ廃墟感はずいぶんマシになった気がする。
これ以上綺麗にするとなると専門の業者さんを呼ぶ必要が出てくるのでとりあえず今日のところはここまで。
このテンションで延べ2週間にわたり、吉田寮のあらゆる場所を掃除していきます!
例えばこちらは漫画部屋。
漫画が雑然と並べられていて何が何やら!
こちらもゴリゴリ大掃除をしていきます。
お遍路さんの羽織?が出てきた。なんなんだよ。
発掘された謎の旗。これ、いつから大掃除してないんだ……!
これまたみっちり掃除してこんなに綺麗に!
ちなみに、今回の大掃除で出土したものについては、最後にバーッと載せます!
そしてこの大掃除、さっきも言ったように延べ2週間に渡ってやっていたので、ちょくちょく学生にまじってまかないを食べたりもしたよ!
いかんせん腹ペコなので染み渡る……!
ちなみに僕の髪の毛がボサボサで若干濡れているのはシャワーを浴びたからではなくただの汗です。真夏の死ぬほど暑い時期だったので毎日汗まみれになってた。
あとはみんなで銭湯に行ったりもしました。
お風呂上りの僕と、僕に「ゴチャゴチャ言ってないで水風呂入れや」って言われまくって渋々水風呂に入ったあとの学生。この機会にぜひ水風呂の良さを知って欲しい。
このひきつった笑顔である。
ちなみに、夜になるとこんな風にみんなでダラダラテレビを見てたりする。
「うわー、この生き物、怖いねぇ」
「これと海で遭遇したら嫌だな~」
なんだこのゆるい空間。
この大掃除期間中に学生さん達と過ごしていて思ったのですが、吉田寮の暮らしはとにかく楽しそうだ。「いかにも青春!」って感じがすごくある。
例えば、こちらの食堂にあるのは学生が自作したDJブースだそうなのですが、この食堂で音楽を流したり、ビリヤードや卓球をしたりして遊ぶことも多い。外部の人も参加できるライブなど音楽イベントも定期的に開催されるので、興味がある人は遊びに来てみてもいいかもしれない。
この日は、長きにわたって吉田寮の事務員を務めた方を交えた同窓会的なものが行われていて、元寮生の方々が40名ほど集まった。吉田寮に集まって来る人は国籍年齢性別を問わず多種多様に渡り、卒業生もしょっちゅう遊びに来るらしい。
元寮生の方が持参した1987年、30年前の雑誌を見せて頂きました。
そこに掲載されていた当時の吉田寮の写真。今でもぜんぜん変わってなーい!
最近では「こどもよしだりょう」と銘打って、こども食堂を開いたり、子供向けの学習支援を行ったりしているそうだ。この「こどもよしだりょう」の日は地域の子供がたくさん吉田寮にやって来る。まあ、京大生が無料で勉強を教えてくれるってめっちゃありがたいよね。
こどもよしだりょうの開催日で、子供達とお絵かき?の最中。吉田寮が地元住人にも愛されてることがわかる。
【吉田寮の暮らしはどうか】
そんな吉田寮の暮らしについて、現役寮生の松本さんにお話を伺いました。
埼玉県出身の23歳。
ちなみにインタビューの謝礼は中華そば一杯。貧乏学生相手だと助かるなぁ。
寮の暮らしはどうですか?「なんか楽しそうだなぁ。羨ましいなぁ」と思って見てますけど。
楽しいですよ。文句なしに楽しいです。みんなで盆踊りしたりライブやったり野菜育てたり。野菜が出来たらそれ使ってみんなでごはん作って食べて。
集団生活の窮屈さ、みたいなのは無いんですかね?
なんていうか、中学、高校くらいになると友達関係ですら少し気を遣うようになるじゃないですか。社会人だともっとそうだと思うんですけど。
そりゃそうですよ。「こいつと仲良くしとくと後から仕事くれそうだな」とかそういう打算の飲み会なんかもありますからね。
そういうのが吉田寮にはないんですよ。良い意味でみんな自立してて、個々の考えを大事にするっていう風潮があるから、遊びたい時は一緒に遊んで、興味ない時は興味ないっていうのが成立してるんですよ。「ちゃんと話せば通じるだろ」っていう根底の信頼感みたいなのもありますね。
へーー。なんでそれが成立するようになったんですかね
吉田寮には国籍性別年齢問わず、いろんな人がいるんですよ。色んなバックグラウンドの人が居て、文化の違いもあるから、話し合いをして相互理解を深めるんですね。その「ちゃんとひとりひとりの意見を聞く」っていうのが大事なんですよ
あー、僕も今回の大掃除企画を吉田寮に持ち込んだ時、いろいろやりとりするたびに「寮の総会にかけるから待ってくれ」って何度も言われたんですよね。その時は「時間かけすぎやろ!」ってちょっと思いましたけど……。
代表を選出して、その人の意見に従うっていうやり方が確かに主流ですけど、そういう仕組みはもう世の中にたくさんあるじゃないですか。会社もそうだし、政治もそう。でも、その仕組みだと少数派の意見って死んじゃうんですよ。だから、吉田寮はそういう人たちの意見もちゃんと聞く場でありたいなって思って。
その吉田寮、「9月いっぱいで退去しろ」って言われてる事についてどう思います?
いやもう、ただただ「悲しい」って。
悲しい……?むかつくとかじゃなくて?
最初はやっぱり怒ってたんですよ。「なんでだよ!」って。でももう最近は全然話も通じないし、大学側が僕らに対して聞く耳も持たないから「哀れな人たちだな」って。今って、多様性のある人材を育てようって良く言うじゃないですか。そういうのって吉田寮みたいな所で育つんですよ。色んな人がいて、色んな価値観がある場所からしか多様性ってなかなか生まれないじゃないですか。
確かに。吉田寮には「野生の学生」って感じの人がたくさんいますもんね。
そう!その野生の学生!ひとりひとりの意見を大事にすることで多様性が出るわけじゃないですか。いわば最先端の取り組みをしてるのに、そこを理解しないでとにかく出て行けって言うのは時代の流れに逆行する行為だと思ってます。だから、ただただ悲しいです。どうしたらいいんですかね……。
いや、僕に言われても困るけど……。
【気を取り直して掃除再開】
さあそんなわけで掃除をすすめていこう。
こちらは元々、図書室として使っていた部屋。
ホコリの量がこれ。洞窟から発見された古文書かよ。
メルカリで落札した業務用の掃除機でがしがし吸います!
50年前の情報誌。
107年前の寄宿誌。
永井荷風の全集。
これらのホコリを払い、並べ替えて綺麗に整頓します!
ちなみにマスクをつけずにやってたらクシャミが止まらなくなりました。
あとセキも止まらなくなりました。でも銭湯に行ったら治りました。銭湯は万能だなぁ。
昭和初期の情報誌。「神速果敢なる皇軍は~疾風迅雷の勢いである」など、どのような雰囲気で太平洋戦争に突入していったかがわかる。
こちらは昭和7年の官報。
満州事変に対処するための公債発行に関する法律の公布。
総理大臣が犬養毅で大蔵大臣が高橋是清!教科書で見たような名前が当たり前に書いてある。
やべえ、超面白い……。でもこれ、部屋の片づけをしている時に、昔のジャンプをついつい読みふけってしまうパターンと同じだわ。完全にヤバい傾向である。
大正8年の夏目漱石全集。
古い下宿者募集のチラシ。家賃3万円、礼金20万円など、当時は礼金が異常に高かったことがわかる。今でも関西は礼金が高いっていうのは聞いたことあるけど、さすがにここまでではないもんね。
メルカリでは、本や漫画、ゲームなどはバーコードを読み取るだけで商品名や商品名が自動的に入ってめたくそ便利な「バーコード出品」という機能があるぞ!
今回の大掃除では流石に古すぎるものばっかりなので使えないけど、普段の大掃除で処分する漫画の本なんかはこの機能を使うとめちゃくちゃ便利や!
読み始めるとマジでキリがないので、心を鬼にして掃除を再開!
蛍光灯のホコリを忘れずに!
そしたらだいぶ綺麗になったぞ~~~!
「すげえ!こんなに広かったんだ!」
「受け身が取れる!」
取らんでええわ。
そんな吉田寮ですが、全部の部屋が散らかっているわけではなく、部屋の主によってはちゃんと片づけられてる部屋もあるらしい。こちらの部屋は「カフェ」という名目で、寮生や来客者に向けてお茶やコーヒーを出す部屋として機能している。
中庭の緑が見える。なごむわ~。
この吉田寮カフェではサイフォンで淹れた本格的なコーヒーが飲めるぞ!
こちらは特製のフレンチトースト。
みなさんも吉田寮の友達が居たらお願いして連れてきてもらおう。
利益を出すと色々と大人の事情が発生するので、あくまでカンパ制って感じで運営してます!
なるほどね
日も暮れたし、今日の作業は終了。
よーし、今日は頑張ったし、メシでも食いに行こうぜ!
うーん、でも今日は自分の部屋の片づけもしたくて……
おごるよ
そしたらゾロゾロついてきました。京大生は安いメシで簡単に釣れる。
【京大生は調子に乗っているのか】
吉田寮のほど近く、みんなの行きつけのお店に来ました。
今回、皆さんと長時間一緒に居て思ったんだけど、割とみんな大人しいというか、良い意味でも悪い意味でも普通の学生って感じよね。もっと意識が高かったり、とっつきにくい感じなのかと思ってた
だって、僕らなんてお先真っ暗集団ですから!
ちょっと!全員そうなわけではないでしょ!
っていうか、京大生に「お先真っ暗」とか言われたらどうなるのよ!普通に考えれば将来安泰じゃん!
吉田寮に居る人たちって、僕の主観では「そんな素振りをみせないくせに、実はちゃんと考えてコツコツやってる人」「何かがあるわけでもないけど、ポジティブで芯があって行動する人」「ヘラヘラしてるけどネガティブでブレまくってる人」とかいろいろ居るんですけど、僕は3番目のブレまくってるタイプなんですよ。これからどうやって生きていけばいいかわからない……
なんで……?「ワシ、京大やで……?」みたいな顔して偉そうにしてればいいのでは……?実際賢いんだから!
無理ですよそんなの!年に100万円稼ぐ事がどれだけ大変か……!
なんでそんなにネガティブなんだ……!家庭教師とか塾の先生とか、時給もいいしそれくらいは稼げるでしょうよ。
いや、それが京都って学生の数の割に、子どもの数が少ないので需要がそこまで高くないんですよ。
おー、なるほど。でもさ、京大生なら合コンにばんばん誘われて自信を持つとか……。
えっ、合コンって都市伝説じゃないんですか!?
ちがうわ!普通にやってる人だって居るっつーの!
僕も、「合コン、やったことある」って言ってる人知ってるよ
なんでそんなに「噂には聞くけど」みたいなスタンスなんだよ
もちろん、京大にもそういうはたくさん居るかもしれないですけど、少なくとも僕の周りにはいないし、行きたいともあんまり思わないな……。
ちなみに、学生行きつけの店に行ったのですがボリュームが半端なかったです。おなかがパンクするかと思った。
あとは寮に戻って将棋を指したらボコボコにされました。やめてよ。
【大掃除で何が出てきたのか】
そんなわけで麻雀部屋の大掃除も終わったぞ~~~~!
めちゃくちゃ大変だった……!
泥だらけになったTシャツを何枚捨てた事やら……!
掃除の内容は以下の通り!
・大量の粗大ゴミを運び出して捨てる
・廊下や電灯のホコリ取り
・ガラス磨き
・トイレの掃除
・麻雀部屋の掃除
・図書室の掃除
・漫画部屋の掃除
・中庭に落ちてるゴミなどの掃除
・雑草むしり
などなど。足掛け2か月で延べ2週間!いやー疲れた~~~~!
掃除用品をメルカリで落札したり、粗大ゴミの処分費、運搬費その他なんかも含めると3桁万円くらいのお金が飛んでいきました。
ちなみに、みんなも気になる「今回の大掃除で何が出てきたのか」ですが、一部抜粋してお見せしたいと思います!
まずはこれ。「屋井乾電池」です!
この乾電池を包んでいた包み紙が大正11年の新聞紙だったのでおそらくはその当時のもの。
この「屋井乾電池」は、明治20年、世界で初めての乾式電池を発明した屋井先蔵が創業した会社の商品で、発明当初はまったく売れなかったらしい。ところが、日清戦争における極寒の満州では湿式の乾電池が凍結してしまい全く使えず、この屋井乾電池だけが問題なく使用出来たためその評判が広がり、普及しはじめたそうだ。その後屋井先蔵は「乾電池王」と呼ばれるまでになるも、後継者がいなかったらしくて現在では会社も残っていない。
まさに歴史的な遺物……!こんなの博物館とかにしか残ってないんじゃないの。
続いてが「謎の銅板」 恐らくは京都百万遍周辺の地図を印刷する際に使用されていたものと思われる。劣化していて真中で割れてしまっている。年代は不明!ただし左から右に横書きで書いてあるところを見るとそこまで古いものではないのかもしれない。
映画、「銀河鉄道の夜」のパンフレット。昭和60年のもの。
今は無き現代評論社の「現代の眼」。昭和36年発行分。
などなど、もちろん図書室にあった蔵書なんかにはもっと古いものが大量にあったのですが、さすがに売るわけにはいかないので、今回ご紹介しているのは軒下なんかに打ち捨てられていたもの、かつ寮生にもアナウンスをした上で「所有権が放棄されている」と判断したものになります。もちろん元々あった備品のたぐいも大学の所有物になるのでダメ!
他にもたくさんメルカリで出品しているので、気になる方はメルカリのアプリ内で「#吉田寮」で検索してみてください!
ちなみに、漫画の本やCD、ゲーム機や使わなくなった家電など、リサイクルショップに売るよりメルカリで売った方が高く売れる、というデータがあるらしい!まあ確かに、本なんかは1冊100円買取りとかザラにあるしね……!メルカリを上手に使って、賢く節約しよう!
【最後に】
そんなわけで長々と書いてきましたが、吉田寮は「学生寮」という枠組みを超えて、地域のコミュニティの核になっている事はひしひしと感じるわけであります。
イベント中の吉田寮。寮の外からもたくさん人が来る。実際、今回の大掃除も寮生以外の人たちがたくさん手伝ってくれた。
吉田寮って、本当に色んな人が居るので、ある人にとっては遊び場、ある人にとってはライフライン、ある人にとってはイベント会場、ある人にとっては居場所だったりするんです。子供にとっては勉強を教えてくれる場所かもしれないですしね。学生寮と一口に言っても、吉田寮が担ってる役割はたくさんあるんです。
吉田寮の価値って、この古い建物だけじゃなくて、吉田寮を中心にしたコミュニティにあるんですよ。その価値を理解しようとせず、大学側はただただ「出て行け」って。「我々が出て行ったあと、寮をどうするんですか」「それは君たちには関係ない」って。ちょっとひどいんじゃないかと思います。
都市部への人口流入によって、今までは地域が担っていた「コミュニティ」としての機能が失われつつあることへの反動か、昨今ではシェアハウスや地域のコミュニティスペースなど、コミュニティに基づく「ゆるい繋がり」を増やそうとするような試みは全国各地で行われているわけで、それを時代に先駆けて実践していたのが吉田寮だと言う事も出来る。最初はその「古さ」に興味を持って取材に来たのだけど、取材を続けていくうちに「建物は古いけど、試みとしては新しいな」と思ったわけでして、何より大事なのはその古い建物に付随する新しい文化なのだ。建物の老朽化という問題はあるにしろ、なんとかそれを乗り越えて、この文化を次世代に繋いでいければいいな、と思う。
瀧下さんの見解によると、大学側と寮自治会の話し合いでは2012年、及び15年2月の時点では「吉田寮の運営について大学側は一方的な決定を行わない」「吉田寮の補修の実現に向けて協議を続けていく」という部分を含め合意を結んでいたそうだ。ところが2015年11月に副学長が変わってからは団体交渉を拒否されるようになり、合意が一方的に破棄され、補修工事の具体的な話も進まず、2017年末には2018年9月いっぱいでの退寮を通告されたと言う。
建物が古いから危ない、それはわかるんです。だから我々はずっと大学側と話し合いながら補修工事の案を出したりしてたんですね。補修工事をすれば安全に利用出来ることもわかっているので。それで合意も取れていたはずなのに、副学長が変わって、具体的な話になるとずっと返答が無いままで、いきなり「出ていけ」ですからね。代替寮にしたって、留年するとダメ、聴講生はダメ、みたいにその枠から漏れる人がたくさん居ます。大学の留学生寮には、留学生は1年未満しか入れないっていう規定があるんですね。それで1年経って部屋を借りようと思っても、京都は外国人お断りの物件が多いんですよ。そういう人たちの受け皿になっていたのが吉田寮なんです。吉田寮がなくなったら、そういった人たちはどうやって暮らせばいいんですか?
こういった学生達の手による自治寮については、NHKが自治寮を舞台にしたドラマ「ワンダーウォール」を放送したり、退去問題に絡めてテレビ雑誌新聞など多くのメディアから吉田寮に取材の依頼が来るなど全国から注目が集まっている。そんな吉田寮の行く末について、今後とも暖かい目で見守っていきたい。
【提供】
株式会社メルカリ
https://www.mercari.com/jp/
【企画・撮影・執筆】
ヨッピー
https://twitter.com/yoppymodel
【取材協力】
吉田寮自治会
https://yoshidaryozaiki.wixsite.com/yoshidaryozaiki2017
https://sites.google.com/site/yoshidadormitory/
【撮影協力】
社領エミ
https://twitter.com/emicha4649
ピカ太郎
https://twitter.com/PikataroWorldT