夏の旅行に超おすすめ!世界遺産「白川郷・五箇山の合掌造り集落」に実際に行ってきた
世界遺産「白川郷・五箇山の合掌造り集落」は、季節問わず、多くの観光客で賑わう人気の観光スポットです!合掌造りの世界遺産は「白川郷」のことだけだと思っていた方や、死ぬまでに一度は「合掌造り集落」に行ってみたいという方へ向けて、実際に訪れてみてどんな場所なのかを確かめてみることにしました。是非旅行の際に参考にしてください。
こんにちは、ライターの長橋です。
本日は「生きている世界遺産」を一目見ようと、とある山奥に来ております。
東京から新幹線で約3時間。そこから車でさらに約1時間。
だいたいそのくらいの時間でこの生きた世界遺産「合掌造り集落」がある場所に到着します。
頭の良い方だったらお分かりかと思いますが、この「合掌造り集落」とは岐阜県と富山県にある「白川郷・五箇山の合掌造り集落」のことを指しています。(僕はこの取材をするまで知りませんでした)
1995年、世界遺産に認定された「合掌造り集落」。
「白川郷」や「五箇山」以外の場所にも、ちらほら「合掌造り」の住居は現存しているそうなのですが、良好に残っている白川郷の荻町集落、五箇山の相倉・菅沼集落の3集落のみを世界遺産の対象としているとのこと。
つまり……
白川郷の世界遺産 → 岐阜県・白川郷の荻町集落
五箇山の世界遺産 → 富山県・南砺市五箇山の相倉集落・菅沼集落
総じて……
「世界遺産 白川郷・五箇山の合掌造り集落」
ということになるらしいのです。
ということで今回は……
僕のように合掌造りの世界遺産は「白川郷」のことだけだと思っていた方や、死ぬまでに一度は「合掌造り集落」に行ってみたいという方へ向けて、「合掌造りってなんなの? なぜこの地域で作られていたの?」、「合掌造りが見たい! でもどこに行けばいいの?」という疑問に応えるため、実際に訪れてみてどんな場所なのかを確かめてみることにしました。
目次
まずは富山県・五箇山の合掌造り集落に行ってみた
北陸新幹線の「新高岡」駅(富山駅の次の駅)で降りて、そこから車で約1時間ほどで到着する五箇山(ごかやま)。
この地域は世界的にみても有数の豪雪地帯だそうで、それにより傾斜の急な大きな屋根を持つ合掌造りの家屋が生まれたんだそう。
なお五箇山には「相倉集落」と「菅沼集落」の2つの集落があり、どちらの集落も世界遺産に登録されています。
後述しますが、「白川郷」と比べて観光地化されていないのが魅力のひとつ。
細かい説明は後ほど。それでは行ってきます!
五箇山の「相倉合掌集落」へ。
まず、2つある合掌造り集落のうちの1つ「相倉集落」に訪れました。
ここに建っている合掌造りの家屋は現在23棟。実際に住んで生活をしている人もいるんだとか。(まじか)
と、集落の歴史や背景についてご説明をする前に、一旦お伝えしておきたいのですが……
この場所の雰囲気、本当に最高なのです。
この、圧倒的な……
夏感!!!!!!!!!!!
日常を忘れるううううううう!!!!!!!!
東京帰りたくないいいいいいいいい!!!!!!!!!!
※住民の生活の場なので、実際に訪れた際は静かに行動しましょう。
まあ、とにかく凄まじいほど「夏」を感じることができる「相倉集落」なのですが、そもそも合掌造り集落とは何なのでしょうか。集落の中に資料館があるので、ここでその歴史や背景を知ることができました。(優しいスタッフの方がたくさん教えてくれました)
「合掌造りに対して全く知識がないのですが……。そもそも、この辺りってどんな場所なのでしょうか?」
「はい。かつてこの近辺には多くの合掌造りの集落があり、人々は生活を営んでいました。ただ第二次世界大戦後、産業の衰退、人口の流出などもあって、多くの家屋が廃屋となっていったのです。高度経済成長期の際には、1945年時点で300棟あった家屋がほぼ半減するまでとなりました。しかし、伝統的な家屋形式をこれ以上失ってはいけないと、近隣住民を中心に“文化遺産として残そう”という動きが高まっていき、その後“世界遺産”として登録が決定しました。
「なるほど、そういう背景があったんですね。でもなんで、“合掌造り”って名前なんでしょうか?」
「合掌造りの“合掌”とは、手と手を合わせたときの腕が合掌造りの“屋根”の形に似ていることから、こう呼ばれるようになったと言われているんですよ」
「手と手を合わせてみると……しあわせ、南無~……ではなくて、たしかに屋根の形っぽくなりますね」
「はい。ただですね、この茅葺(かやぶき)屋根、五箇山と白川郷とでは少し構造が違うんですよ」
「え、何が違うんですか?」
「傾斜角度が違うんです。五箇山の合掌造りの方が角度が急で、ほぼ60度になっています。元々、雪質の軽い白川郷では傾斜を緩く作っており、反対に水分を多く含んだ重い雪が降る五箇山では屋根の傾斜が急になっているんです。雪がたくさん降る地域(前述の通り世界的にみても有数の豪雪地帯)ならではの工夫ですね。ちなみにその屋根組みには釘を1本も使わず、丈夫な縄で固定しています。これは雪の重さに対する柔軟性を生み、家の耐久性を強くしているんです」
「昔の人の知恵ってすごいな……。でもまあ、雪に押しつぶされたら元も子もないですもんね」
「そうですね。ちなみに屋根だけでなく、五箇山と白川郷では集落の“雰囲気”が異なります。白川郷にはもう行かれましたか?」
「いえ、今から行くつもりです!」
「そうでしたか。五箇山は集落の規模も小さいので、すこし素朴な印象を受けたと思います。白川郷はここよりももっと広くて建物もたくさんあるので、もっと賑やかなんですよ」
「それは楽しみにしてます。話は戻りますが、そんな豪雪地帯で昔の人々はどのように暮らしていたんでしょうか。というか、合掌造りって何年前からあるんですか?」
「合掌造りの起源は、正確にはわかっていません。ただ、江戸時代の半ばには原型ができたと言われています。江戸時代、この五箇山地方は、流刑地にもなっていた陸の孤島でした。厳しい気候のため農業には不向きなのですが、代わりに“養蚕”と“塩硝作り”という2つの産業が発達したんです。屋根裏で養蚕を行うため、光を取り入れやすい“合掌造り”の形ができたんですよ」
「炎症作り?」
「炎症ではありません。塩硝です。塩硝とは火縄銃の火薬の原料となる硝石のこと。五箇山に住む人々は「蚕の糞」と「雑草」を使用した塩硝の独自の生成法を知っていました。(一般的な塩硝は人や家畜のアンモニアを使うのですが、五箇山では蚕のアンモニアを使ったんだそう)江戸時代にこの地を治めていた加賀藩は外様大名だったということもあって、幕府に隠れて火薬を作るにはここは最適の場所だったのでしょうね」
「あの“加賀百万石”の背景にはそんなことが……。ちなみに白川郷も加賀藩だったんですか?」
「いえ、白川郷は途中で天領(江戸幕府の直轄地)となりました。なので、建物の形は似ているようでも、文化は異なるんですよ」
「そうだったんですね……もっと歴史の授業聞いておけばよかった……」
「日本の他の世界遺産と違い五箇山・白川郷では、現在も人々が住んで生活をしています。生きている世界遺産の魅力を味わってみてくださいね」
「ありがとうございます! 存分に味わってきます!」
ということで、ここ相倉集落には「和紙漉き」の体験ができる施設や……
さらっと軽食(ぜんざいとかあんみつとか)が食べられるところもあったりと……
こじんまりとしていながらも、生きている世界遺産の魅力を大変満喫できちゃいます。
集落1つ目にして、東京に住んで消耗をしている人はまじで行ったが良いと思いました。(心が癒される)
<相倉合掌集落>
■住所 富山県南砺市相倉
■電話番号 0763-66-2468 (五箇山総合案内所)
■アクセス
JR城端線城端駅からバスで25分、相倉口下車徒歩3分
JR高岡駅前から世界遺産バスで1時間、五箇山相倉口下車
東海北陸自動車道五箇山ICから車で20分(国道156号線経由)
■駐車場 普通・軽自動車 500円 小・中型バス(11人以上) 2,000円 大型バス(30人以上) 3.000円 二輪車 100円
■公式ホームページ http://www.city.nanto.toyama.jp/cms-sypher/www/section/detail.jsp?id=283
ゆったりした時間が流れる「菅沼合掌集落」
それでは2つ目の世界遺産、「菅沼合掌集落」をご紹介。
「菅沼集落」は先ほどご紹介した「相倉集落」から車で約30分ほどの場所にあります。
ここには現在12棟の家屋があり、そのうち9棟が合掌造り家屋なんだとか。
相倉集落と比べると菅沼集落は規模は小さめ。
とはいえ周囲には大きな公園があったり、庄川という綺麗な川があったりと、ここぞとばかりに“富山の自然”を満喫することができます。
というか……
言葉を失うほどの……
自然と水が織りなす風景で……
観光客もほとんどいなくて……
ここはジブリの世界かな?
っていうくらい、圧巻な景色が広がっています。歩いているだけで気持ち良い。
ちなみに駐車場から集落に行く際は、エレベーターを使い……
トンネルをくぐっていきます。
集落内には「相倉集落」と同じように「資料館」や「民俗館」があるので、歴史や背景についても学ぶことができます。
距離的には近いので、個人的には両方の集落に行くのがオススメですが、時間がない方はどちらか一方を選んでも楽しめると思います!
(「これぞ集落!」って感じなら「相倉集落」、「自然と触れたい!」ってことなら「菅沼集落」)
<菅沼合掌集落>
■住所 富山県南砺市菅沼
■電話番号 0763-66-2468 (五箇山総合案内所)
■アクセス
JR城端線城端駅から五箇山行バス40分、菅沼下車
JR高岡駅前から世界遺産バスで1時間15分、菅沼下車
東海北陸自動車道五箇山ICから車で2分
■駐車場 普通・軽自動車 500円 小・中型バス(11人以上) 2,000円 大型バス(30人以上) 3.000円 二輪車 100円
■公式ホームページ http://www.city.nanto.toyama.jp/cms-sypher/www/section/detail.jsp?id=284
古き良き日本がここに詰まっている!「白川郷」
さて、かの有名な「白川郷」にやってきました。
ひとまず皆さんにお伝えしたいのですが……
規模がでかい!!!!!!!!!!!!
さすが白川郷。
地理や歴史の科目が苦手だった僕でさえ、その名を知っているくらいの程があります。
冒頭でも紹介した通り、俗に言う白川郷とはこの「白川郷・荻町集落」のこと。
広大な敷地に、60棟の合掌造り集落が現存しています!(先ほど紹介した集落と同じく、ここでも生活をしている人がたくさんいるそう)
規模が大きいことに比例して、観光客の割合も増えてはいるのですが、なぜか日本人観光客は少なめ。
欧米の方が多いので、ちょっと不思議な雰囲気を味わえます。
ところどころにおみやげ屋さんがあったり……
飛騨牛コロッケなど、この地域の名物を食べることができたり……
記念撮影も出来ちゃいます!!!!
またいくつかの家屋には実際に入ることができ、どのような生活をしていたのかを知ることが可能。
今回僕が訪れたのは「長瀬家」という長瀬さんのお宅。
250年前に造られた五層建ての名家なんだそうです。(とても広い)
上の階には実際に使用されていた民芸品が飾られていたり……
長瀬さんの家で使われていた家財道具なんかを見ることができます。(正直めっちゃ楽しい)
また、集落内には実際に合掌造り家屋に宿泊できるところもあるので、時間に余裕がある方は泊まってみてもいいかも!(予約は取りづらいみたいですが、大人ひとり1万円前後くらいなのでコスパは良さそう)
ちなみに上で紹介した山の上からの景色を見るためには、シャトルバスに乗って(片道200円)行くことがオススメです。(歩いても行けますが、約2kmの山道を登ることになります)
白川郷に来た際には、とりあえず登ってこの景色を目に収めておきましょう!
ちなみに……たとえ一人で訪れた際でも、撮影スポットにいる係員さんにカメラやスマホを渡せば、無料で撮影をしてくれます。(僕は一人で行ったので、大変助かりました)
写真を見てお分かりの通り、とにかく白川郷は設備が整っているので「合掌造り集落を楽しみたい!」ってことであれば「白川郷」だけでとても楽しめると思います!
ただ、ほとんど観光客がいない“静かなお散歩”も個人的にはオススメ!
時間に余裕がある方は、富山・岐阜の両方の世界遺産に行ってみてはどうでしょうか。
<白川郷・荻町集落>
■住所 岐阜県大野郡白川村荻町2495-3(総合案内所であいの館)
■電話番号 0763-66-2468 (五箇山総合案内所)
■アクセス
バス・JR「高山駅」から濃飛バスで50分
・JR『金沢駅』から濃飛バスで1時間15分
・JR『高岡駅』から加越能バスで2時間30分
・JR『名古屋駅』から岐阜バスで3時間10分 (岐阜バスは12月~3月は、土日祝日及び12/23~1/4のみ運行)
公共交通機関を利用して行く場合は、まず鉄道等で上記の駅へ行き、そこからバスに乗り換えるのが一般的。(白川郷付近には鉄道が通っていないため。車で行く場合は、『白川郷IC』または『荘川IC』で下車)
■駐車場 [バス・マイクロバス]3,000円[普通車]1,000円[二輪車]200円
■公式ホームページ http://shirakawa-go.org/kankou/
「生きた世界遺産」に行ってみたくなりましたか?
さて、いかがでしたでしょうか?
今回訪れたのは初夏ということもあって、「圧倒的夏感」を皆さんにお届けできたかと思います。
ただ、そもそも合掌造り集落が造られた背景には「大雪」の影響があります。
ということで、冬に訪れると全く違う景色が見れるんだそう!!!
写真ACより
春夏秋冬(春は桜、秋は紅葉)、それぞれ違った景色を見ることができる「白川郷・五箇山の合掌造り集落」。
ぜひ次回の旅行先の候補に挙げてみてはいかがでしょうか?
特に疲労がたまっている社会人にオススメです!!!!!!(ほんとまじで)
ちなみに……
集落には多くの人が生活を営んでいます。訪れた際には住民のプライバシーを考えマナーを守って散策しましょう。
ルールその1
世界遺産の見学は、8時~17時
ルールその2
ゴミは捨てない、持ち込まない
ルールその3
火気は厳禁
ルールその4
私有地に入らない
ルールその5
トイレは決まった場所で
以上のルールを守って、ゆったりと癒しのひとときを味わいましょう。
それでは!
ライター 長橋諒(@nagahashiryo)