【京都の焼き物】作って・見て・学べる!着物で体験する日帰り観光コースを紹介

歴史ある寺社仏閣などで知られる京都は、「京焼」という呼ばれる焼き物で有名な街でもあります。今回は地元ライターが、着物姿で陶芸体験ができる日帰り観光コースをご紹介。レンタル着物店「夢京都」、京焼について学べる「京都陶磁器会館」、清水寺に続く「茶わん坂」などを巡り、陶芸の世界をたっぷり満喫できるオススメ観光スポットを取り上げていきます。

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皆さんは、京都という街にどんなイメージをお持ちですか?
こんにちは、京都在住のユキガオ(@yukigao_22)です。

日本の古都・京都には歴史的な建造物が多く、桜や紅葉も美しくて有名ですよね。
お寺や神社、鴨川、嵐山…どこも観光名所です。

でも実は、「やきもの」の街でもあるって知ってました?
今回は、そんな京都のやきものを巡る一日観光コースをご紹介したいと思います!

 

 

着物を着て陶芸体験を楽しもう!

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京都市東山区にある八坂の塔。
そのすぐそばにあるのが、こちら京都 瑞光窯さんです。

ここが、着物を着て陶芸体験ができるというお店。
まずは店頭で、陶芸体験&レンタル着物のチケットを購入します。

 

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このプランは、陶芸体験1,900円(税別)+着物レンタル4,000円(税別)で合計5,900円(税別)のところ、4,900円(税別)で両方できるというもの。

「京都で陶芸体験をやってみたい!」
「せっかくだから着物も着たい!」

という贅沢な願いをお得に叶えてくれます。

チケットを受け取ったら、レンタル着物「夢京都」さんで着物を着付けてもらい、再び瑞光窯さんへ戻ります。

 

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京都の街に馴染んでますね。

店内に入ると、電動ろくろがずらり。

 

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今回はこの電動ろくろを使ってコップを作っていきます。

「でも陶芸なんてしたら、着物を汚してしまいそう…」

そう不安に思うかもしれません。だけど安心してください。
割烹着を用意してくれているので、これを着て汚れを防ぐことができるんです。

 

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(一人では着れないんだけどね…)

準備ができたら、電動ろくろの前に座って職人さんから説明を聞きます。

 

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いきなり「はい、作ってねー」ではなく、ある程度の土台までは作ってくれるとのこと。
初心者でも安心して体験できますね。

 

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土を自在に操る職人さん。さすがです。

土台ができたら、実際に土を触ってみます。

 

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「気持ちいい〜!!」

手の中で土の塊がスルスルと滑って、めちゃくちゃ気持ちいい。
こうして、作る前に土の感触を楽しませてくれます。

そしていよいよ形作りに突入。

 

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コツを教えてもらいながら、ゆっくりと土を伸ばしていき…

 

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自分の作りたい形へと少しずつ変えていきます。

「もっとここ膨らませましょうか」などとアドバイスもらいながら作っていくと…

 

DSC_0338はい、完成!

あっという間に出来上がりました。約15分。
形にこだわって作っていたら、もう少しかかったかもしれません。

体験ではここまでで終わりです。
この後、乾燥させて削って焼いて…という工程が必要なため、約1ヶ月かかります。

「何色にしたいか」「裏にどんなサインを入れるか」を決めたら、あとはお店にお任せ。
1ヶ月後が楽しみです!

ちなみにこの「京都 瑞光窯」さんは、八坂の塔の目の前という絶好のロケーション
こんな風に八坂の塔を背景にして写真を撮ることもできます。

 

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手を洗う洗面台も、ここで作られたもの。
可愛らしい絵が描かれていて、手を洗うだけでもウキウキしますね。

 

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店内には販売用の商品もあるので、気に入ったものがあれば買って帰ることもできます。

 

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どれも繊細で美しいやきものばかり。
陶芸体験をしなくても、行きたくなっちゃうようなお店です。

京都瑞光窯 清水寺店

 

レンタル着物はヘアセットも一緒に

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レンタル着物「夢京都」さんまでは、瑞光窯さんから徒歩5分程度。

2階に上がり、着付け&ヘアセットをしてもらいます。
なお、ヘアセットはオプションのため別途1,500円(税別)が必要です。

着物がずらりと並ぶ店内。テンションが上がります。

 

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選べる着物はプランによって決まっているため、その中から選んでいきます。

 

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帯はいくつか合いそうなものを見繕ってもらい、その中から1本を選択。

 

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実際に着物にあててみて、悩むこと数分…
自分の選んだ着物&帯で着付けてもらいます。

着付けが終わったらお次はヘアセット。
どちらも慣れた手つきで素早く仕上げてくれました。

着付け約15分、ヘアセット約15分という早さ。
観光スケジュールが詰まっていても安心です。

そうして完成した着物姿がこちら。

 

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滅多に着ることのない着物ですが、まるで着慣れているかのように仕上がっています。

私の短い髪の毛も、こんなに素敵にまとめてもらいました。
ヘアセット代はかかるけど、絶対にオススメ!

 

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夢京都 高台寺店

  • 住所:京都市東山区高台寺南門通下河原東入桝屋町362番地5 ますや2F
  • 電話番号:075-541-4630
  • ホームページ:http://kyoto-kimonorental.com/

 

 

陶磁器会館で京焼を知ろう!

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陶芸体験を存分に楽しんだところで、京都のやきものについて疑問が湧いてきます。

「京焼って、どんなものを指すの?」

全国各地に○○焼と名のついたやきものがあり、京都の場合は「京焼」と呼ばれます。
その京焼には、どんな特徴があるんでしょうか。

ということで、続いては京都陶磁器会館で京焼について学びたいと思います!

 

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近代的な建物の中に入ると、色も形も様々なやきものがずらり。
ここに並んでいるものは、見るだけでなく買うこともできます。

 

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無骨だけど味のある抹茶碗、繊細な模様が描かれた湯呑み…どれも素敵です。
京焼と一口に言っても、色んな種類があるようです。

あれこれ目移りしながら館内を回っていた私の前に現れたのが、こちらの林さん
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「こんにちは、林です!」

とっても気さくそうな館員の方。
早速「京焼」について聞いてみました。

ユキガオ:京焼とか清水焼って書いてあるのを見かけるんですけど、違いは何ですか?

林さん京焼とは京都府内全域で生産されたやきもののことで、さらに各地域ごとに「清水焼」「御室焼」などといった名前がついてるんです。

ユキガオ:じゃあこの陶磁器会館で扱っているのは全て京焼なんですか?

林さん:そうですね。

ユキガオ:それにしては色んなテイストの商品が並んでいて、「京焼ってこんなもの!」というのが分かりづらいですね…

林さん:京焼って「特徴のないのが特徴」と言われるくらい、色んな形・模様のものが作られているんです。

 

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確かに、どれも素敵なんだけど雰囲気が全然違っています。

ユキガオ:何でこんなに色んな作風が生まれたんですか?

林さん:かつて京都には全国各地から有能な陶工さんが集められていて、時代ごとに流行のやきものを作らせていたそうなんです。その結果、色んな作風のやきものが生まれたというわけです。

ユキガオ:なるほど!それだけ陶工さんも優秀だったということですね。

 

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この陶磁器会館では、京焼の様々な作風と現代作家の作品を見て学ぶことができます。

1階ではやきものに関する実演が行われていたり、2階で陶芸作家さんの展覧会が行われていたりと、何度足を運んでも楽しめる場所。

館内への入場は無料ですので、近くを通る際にはぜひ一度覗いてみてください!

※通常は館内撮影不可ですが、今回は特別に許可を頂いて撮影しています。

京都陶磁器会館

 

 

河井寛次郎記念館で「用の美」に触れよう!

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陶磁器会館で京焼の歴史に思いを馳せたら、次は五条坂を少し下ったところにある河井寛次郎記念館へ。
ここは、陶芸家・河井寛次郎がかつて実際に住んでいた家なんだそう。

河井寛次郎は、東京の学校で窯業を学んだあと、京都で陶芸の研究・作陶を続けていました。
京都の陶芸を知る上では、切っても切れない陶芸家の一人です。

そんな河井寛次郎記念館に一歩足を踏み入れると…

 

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当時の様子がそのまま保存された室内に、まるでタイムスリップしたかのような錯覚を起こします。
まるで別世界。

河井寛次郎作のやきものは、1階の展示エリアに並べられています。

 

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日常で使う工芸品の中に美しさを見出す「用の美」を基本とした作品たち。

派手さはなくても、その凛とした佇まいに目を奪われます。

 

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かつて寛次郎が使用していた窯も近づいて見ることができます。

 

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やきものを作る工房と、そこで作られたもの。それを作った河井寛次郎の造形意識を知ることのできる場所。
それがこの河井寛次郎記念館なのです。

展示作品は年に4回(3、6、9、12月)入れ替えられるため、一年中楽しむことができます。

広い庭には、四季折々の草花が来館者を楽しませてくれるんだとか。
花がない時期も、緑や雪景色を楽しむことができます。

 

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縁側に着物で座ると、本当に時代を逆戻りしたみたい。

家の中には河井寛次郎が作ったやきものや木彫作品などがそこかしこに飾られていて、どこを眺めても風情があります。

 

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こうして座って眺めていると、日常の喧騒を忘れられそう。

2階に上がることもでき、居間や寛次郎の書斎を見ることができます。

 

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雨の日も心が落ち着くという話なので、季節問わずオススメの場所です!

河井寛次郎記念館

  • 住所:京都市東山区五条坂鐘鋳町569
  • 電話番号:075-561-3585
  • ホームページ:http://www.kanjiro.jp/

 

 

美しいやきものを使ったカフェで一休み

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そろそろお腹も減ってきました。

今回ランチに立ち寄るのは「市川屋珈琲」さん。
店主のお兄さんが陶芸家ということで、その方の作品を使ってコーヒーを出してくれるお店なんです。

メニューはこのように、軒先に黒板で出されています。

 

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中に入ってみると、落ち着いていてとっても良い雰囲気。

 

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店頭では、やきものやガラスの器が販売されています。

 

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今回のお目当は、青磁ブレンド
それがこちらです。

 

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青磁という釉薬(うわぐすり)をかけた磁器の器です。
淡い青緑色がとっても美しく、釉薬のかかっていない部分が緋色(ひいろ)に染まってアクセントになっています。

コーヒーも、この器のように滑らかでマイルドな味わい。
苦いのが苦手な人でも飲みやすいと思います。

また馬町ブレンドというコーヒーは、青色の模様が描かれたカップで出てきます。

 

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こちらのカップも涼やかでオシャレ。染付(そめつけ)という技法が使われています。
コーヒーは少しコクのある苦めの味わいです。

ぜひ好みに合わせて注文してみてください!

コーヒー以外で頼むならオススメは、季節のフルーツサンド
中身のフルーツが毎月変わるので、一年中通いたくなります。

 

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この月(2017年6月)の中身はメロンです。
生クリームと一緒にたっぷり入っています。

他にもオススメなのが、こちらのデミオムライス

 

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がっつりお昼ご飯を食べたい方は、ぜひ注文してみてください!

ちなみに料理が乗っているお皿は、陶器まつりなどで買い集めたこだわりの品なんだそう。
食べ物だけでなく、器を愛でるのも楽しみの一つです。

市川屋珈琲

 

 

茶わん坂でやきもの屋さんを巡ろう!

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カフェで一休みしたら、茶わん坂でやきもの屋さんを巡りましょう!

茶わん坂というのは、清水寺に続く道の一つ。

 

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この清水寺道を少し登っていくと…

 

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分かれ道に「茶わん坂」という案内が現れます。
左側は清水寺へ行く人に溢れていますが、右側の茶わん坂は割と人が少なめ。

そしてその名の通り、やきもの屋さんが軒を連ねており、やきものを楽しむのに最適の場所なんです!

少し歩くと、店先に所狭しと並べられたやきものを見つけることができます。

 

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中に置いてある商品もじっくり眺めて見ると、掘り出し物が見つかるかも…?

 

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色々なお店が並んでいるので、あちらこちらで足を止めてしまいます。

 

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そんな時、気になる看板が…!

 

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「作家一点物の店」と書かれています。
階段を上ってみると…

 

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ありました!
入ってみましょう!

 

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中には先ほどまで見ていたやきものと少し雰囲気の違う作品が並んでいます。

 

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色々な陶芸作家さんの「一点物」ということで、テイストの異なる作品ばかり。

 

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ここで販売されているのは、この辺りの地区で修行した作家さんばかりなんだとか。

「人と違う器が欲しい」という人は、ぜひこちらのお店でお気に入りの一点を見つけてみては?

アーツ安木

  • 住所:京都市東山区五条橋東6丁目583-135
  • 電話番号:075-533-0250
  • Eメール:shuji1948.yasuki@gmail.com

 

続いて見えてきたのは、食器などの日用品とアート作品を取り扱う「東五六(とうごろう)」さんというお店。

 

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向かって右側の店舗には、食器類がたくさん並んでいます。

 

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向かって左側の店舗は、作家さんのアート作品や一点物の作品が並びます。

 

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広い店内で、大切な人へのお土産を探すのも楽しいんじゃないでしょうか?

東五六

 

そうこうしているうちに、清水寺が近づいてきました。

 

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清水寺へ行きたい場合は、このまま坂を登っていけばOK。

 

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帰りは別のルートを通ってもよし、再び茶わん坂を下ってもよし。
(人混みの苦手な私は、人通りの少ない茶わん坂で帰りました)

※ただし、レンタル着物の返却時間にはご注意ください。

 

 

京都やきもの巡りまとめ

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京都のやきものを存分に楽しめる一日ツアー、いかがでしたか?

最後は再び夢京都さんへ戻り、着物を返却して終了です。

 

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京都のやきもの・工芸品にちょっと興味が湧きましたか?

「京都はもう観光し尽くしたな〜」なんて方も、このようにやきものにこだわって巡ってみると、また違った京都が見つかるかもしれません。

やきものを巡る日帰り観光で、ぜひ京都の文化に触れてみてくださいね。

 

ライター:ユキガオ
運営メディア:スキ、はじめました。
Instagram:@yukigao_22