都心から通いたくなる別荘サウナ「THE GEEK」が北海道に爆誕

北海道釧路に誕生した別荘サウナ「THE GEEK」のレポート。輸送用に使われていたコンテナをサウナ仕様に改造し、特注の変わったベンチ、釧路湿原を見渡せるロケーションと、最高の外気浴。筆者は昇天しかけてしまいました。

サウナで暮らしたことがあるタカヤマ(@takayamasauna)です。

今週、十勝サウナ旅の記事が公開されましたね!「北海道のサウナはガチ」「札幌以外のサウナもレベルが高い」と感じたかもしれません。

しかし記事で紹介したほかにも、道東地方のとんでもない場所に、サウナが誕生しておりました。

その、とんでもないところにあるサウナとはこちら。

え!!

まさかこんなジャングルの中に???

サウナができたというのか!!??

これはやばすぎる……!!

大自然の外気浴しか勝たん……!!!

「そろそろフィンランドに行きたいなぁ……」と思えてきたそこのアナタ!まずは本場のサウナ体験よりも、国内の圧倒的大自然を前にととのってみませんか?

先に結論を書いてしまいますが、国内の外気浴部門では現時点でトップクラス。海外にも匹敵する外気浴でした。

これぞキングオブ北海道。前代未聞のエクストリームサウナ。さらに東京から半日もかからず、アクセス良好とのことで、ネットで即ポチッた航空券を片手に、北の大地へと飛び立ちました!

北の大地に着いてからすぐにととのう

購入したのはLCCであるPeach(ピーチ)の航空券。筆者が購入したときは片道5,990円~と格安でした!

東京・成田空港ではLCC専用ターミナルではなく、国内線使用の第一ターミナル発着に変更されているため、到着後の導線がとてもスムーズで良かったです。Peachさん、いい仕事するなぁ…!

成田空港から1時間45分のフライトを経て、釧路空港に到着!釧路は北海道の中でも冷涼な地域とのことで、7月取材時の最高気温は26℃で、30℃を超える日は夏に数日だそう。

日中は半袖でも過ごせますが、夜は長袖がないと少し厳しいと感じる気候でした。秋はとても短く、冬の期間が長いとのこと!

釧路空港からバスに乗り、釧路駅を目指します。しかし道中、サウナで身体を清めたくなり、ふと市街地にある銭湯サウナへ立ち寄ることにしました。

銭湯サウナはその土地の特色を知ることが出来るので、筆者は好んで足を運ぶことがあります。ただこちらの「大喜湯」、凄まじくレベルが高かった…!

銭湯のサウナって狭くて、ストーブ周りが暗い印象ですが、大喜湯のサウナはその真逆。サウナ室の真ん中にストーブがどーんと置いてあり、広々と入れる!さらに、あのセルフロウリュまでできてしまうんです。

このサウナがある銭湯、いくらで入れると思います?たったの450円ですよ、みなさん!

ジュワァァァァ。セルフロウリュで、心地良い蒸気が全身を包み込みます。こちらのサウナはコンテナを改造した本格的なつくりで、ベンチも座面が高くて、天然の木の香りが最高。キンキンの水風呂と、北の大地を感じられる外気浴。この時点で、筆者は昇天しかけてしまいました。北海道おそるべし…。

入浴後はサウナ飯が食べたくなったので、地元で評判の回転寿司屋に行きました。大喜湯から徒歩数分の「なごやか亭 昭和店」。海に面した地域の、地元客が通う寿司屋が大抵美味しいというのはサウナ飯フリークの間では定説ですが、ただこちらの回転寿司屋、異次元級の美味しさでした。

これはイクラを盛りすぎて軍艦が見えなくなった寿司。完全に回転寿司屋のレベルを超えており、これでもかというほどのイクラの暴動がすごいスプーンがないと満足に口に運べず、しばらく格闘する。

甘エビも信じられない数が酢飯の上に乗っていて、甘エビによる渋滞がすごい。こちらもどのように食べたらよいかわからず、しばらく格闘する。だけどこの体験が、ものすごく贅沢で幸せな気がする。

他にも、北海道で美味そうなネタを注文してみる。ズワイガニもサーモンもつぶ貝も、全部美味い。まだ空港に到着してから2時間足らずでととのってしまった。飛行機の値段も安いしアクセス抜群。これ、関東近郊でワーケーションとか行くよりも、思い切って釧路に足を運んだ方がコスパ良いのでは?

釧路駅でシメの牧場ソフトクリームを食べます。バニラというより牛乳の味で濃厚かつ絶品。大喜湯→なごやか亭→牧場ソフトクリーム、この組み合わせだけで釧路に来る価値がありすぎる。いいか、この記事を見た人は全員、今すぐPeachで釧路行きのチケットをポチるんだ!絶対に損はしないから!

ここは同じ日本?釧路湿原のスケールに圧倒される

このまま街中でととのい散らかしていると、目的地へは永遠にたどり着かないため、気を取り直して次の目的地を目指します。釧路駅では1両編成のローカルな気車がホームに到着。こちらの気車に乗って、車窓から北海道の風…ではなく、外気浴を堪能したいと思います!

気車が出発してまもなく、北海道らしい、果てしなく広がる大自然の風景がみられるようになりました。気車の窓を半開し、初夏の風をふんだんに浴びる外気浴がめちゃめちゃ気持ちいい…。先に、サウナと水風呂に入っておいて大正解でしたね。サウナに入っていたからこそ、感じ方が全然違いました。

釧路駅から気車に揺られて20分で、釧路湿原駅に到着。こちらでは北海道屈指の大自然が見られるということで、下車後にそのまま徒歩で展望台を目指します。車で訪れるような場所かと思いきや、電車と徒歩でも全然行けます!グループだけでなく、一人旅でも十分に楽しめるスポットですね。

駅から徒歩10分でたどり着いたのが、こちらの「細岡展望台」。展望台にたどり着くまで林の中をかき分けては進むの連続だったのですが、展望台に着いた瞬間、「ヤバイ……」と、思わず独り言を口に出してしまいました。同じ日本とは思えない光景に衝撃を受けました。ここはちょっと、ものすごかった!

まるでアフリカのサバンナを彷彿とさせるような圧倒的スケール。成田空港を出発してからまだ半日も経っていないのですが、海外を感じられるような異国の世界に足を踏み入れることができました。しばらく海外へ旅行することが難しい中、わずか数時間で異国を感じられるのはヤバイの一言です。

何度も繰り返しますが、いますぐ釧路行きのチケットをポチったとしても損はしません。わずか数千円と数時間で、人生観が変わるような景色が見られるなら、何度も足を運びたい。そう思わせる魔力がここ、釧路湿原にはありましたね。これまで心理的距離がありましたが、思った以上に釧路は近かった。

そんな釧路湿原の中にサウナができたということで、釧路湿原駅からさらに数分先の塘路駅で下車をします。これってすなわち、サバンナの中にサウナを建てたようなものですよね?大自然の奥深くに、サウナを建てようと思った発想そのものが凄すぎる。訪れる前からリスペクトが止まりません。

日本随一の外気浴を堪能できるサウナ「THE GEEK」

釧路湿原のサウナを併設している「THE GEEK」は塘路駅から徒歩1分のところにあるゲストハウスです。駅の目の前にあるのでアクセス抜群!もともとあった建物を内外装ともにリノベーション。おしゃれでかわいらしい雰囲気で、まるで海外の田舎にある別荘を訪れたような趣きがありました。

そしてこちらがお待ちかねのサウナ!先に紹介した大喜湯のサウナと同じく、輸送用に使われていたコンテナをサウナ仕様に改造し、鉄道でTHE GEEKまで輸送してきたとのこと。コンテナと聞くと北海道らしいなと思いますが、コンテナであった面影は全くなく、至高のサウナに生まれ変わっていました。

気になるサウナ室の内装はこちら。外の景色を見渡せる大きな窓と、見たこともないような形をした檜のベンチ。ベンチに関しては特注で、大工さんが製作するのに丸三週間かかったそう…!

特徴的なのは、釧路湿原を見渡せるロケーションと大きな窓。さきほど展望台から、釧路湿原の大パノラマを見渡したあとだからこそ、今いるこの場所がどれほどものすごい大自然の中にあるのかを実感させられます。運が良ければリスや鹿など、野生動物もサウナを眺めに来ることがあるかも…?

とても立派な薪ストーブ。ごうごうと炎が燃えているところを眺めているだけで、自然の中でサウナを楽しんでいるという充実感が増大します。大量に敷き詰められたサウナストーンにロウリュをすると、とてもパワフルな蒸気がサウナ室内に充満し、たった5分で汗だくになります。めちゃくちゃ熱い!

全身から湯気を立ち込めながら、北海道を代表する湖である摩周湖の伏流水を使った天然水風呂に入ります。つま先から首の下までしっかり浸かることができる深さがあり、キンキンに冷えている。雄大な釧路湿原を景色を眺めながら、ふぅと一息つくと、昇天寸前の感覚に襲われます。水が軟らかい!

水風呂から上がったあとは、インフィニティチェアに全身まるごと委ねます。耳から聴こえてくるのは釧路湿原からの自然音のみ。空気が美味く、深呼吸をするだけで軽い瞑想状態に頭がスイッチします。これはもう、数年前に訪れたサウナの本場、フィンランドでの外気浴に匹敵する体験かもしれない。

2セット目ではちょうど夕方に差し掛かり、釧路湿原の雄大な大地に沈む夕陽を眺められるという、ラッキーな体験もしました。夕陽からの幻想的なオレンジを眺めていると、ととのうとかととのわないとかはどうでもよくなり、自分という存在そのものが大自然の一部なのだという気付きを得ました。

3セット目では、漆黒の闇の中を駆ける夜行列車が駅に到着するのを目撃しました。鉄道と駅という、人間の営みによる社会的存在に対し、人の気配すら感じない釧路湿原の秘境的な環境が対照的で、自分が今どんな場所にいるのかを認識できなくなるほどの強い錯覚を感じました。ものすごい体験だ…。

THE GEEKの中の人に話を聞いてみた

まるでサバンナの奥地にあるようなすごいところで、なぜゲストハウスとサウナを建てようと考えたのか?THE GEEKオーナーの達川さんにお話を伺いました。達川さんは東京のIT企業で働いていたものの、コロナをきっかけにして釧路へ移住し、昨年の夏にTHE GEEKを開業されたとのことです。

人生観が変わるほどのものすごい場所ですね!なぜこちらでTHE GEEKをはじめたんでしょうか?

就職前に海外を訪れたのですが、米国のポートランドに滞在していた時の体験がきっかけですね。デザイナーズホテルのバーに1人でいたところを、外人2人に声をかけられて、そこで鳥肌が立ちました。国籍や人種、年齢関係なく、フラットに話すことができる場がなにより楽しかったんです。日本にはそういう場がないから自分で作ろうと思って、そしたらたまたまこの釧路湿原の立地に出逢えたんですよ。

それは意外!立地ありきでなく、海外のような場を作りたいという気持ちの方が先だったんですね?

その通りです。もともと私がやりたかったことと、たまたま私の父が釧路湿原の土地を購入したことが重なり、THE GEEKは誕生しました。その前に東京の会社を退職し、そのまま釧路へ移住してきましたが、世の中はコロナが流行しはじめた頃でした。私の中ではコロナ自体がとてもいい準備期間になると考えましたし、釧路という土地を知ることや、地元の人とのつながりを作るきっかけにもなりました。

そうだったんですね!今回、サウナを建てるうえでこだわった点や特徴などあれば教えてください。

サウナ室内から釧路湿原を見渡せることですね。ですがその日の景色を楽しむだけではなく、この場所でしか見れない風景を活かすことを心掛けています。たとえば、冬になるとTHE GEEKの前にある線路をSLが走ります。夜になると1両編成の気車が星空いっぱいの山を駆け上がる模様が、まるで銀河鉄道の夜に出てくる光景に見えるんです。そうした四季の移り変わりに、サウナが機能すると良いと考えています。

冬になるとSLが走るんですか!釧路湿原は思ったより近かったので、冬もぜひ訪れてみたいですね。

そうなんですよ!釧路湿原は東京からすぐなので、皆さんが考えられるほどアクセスは悪くないですね。THE GEEKにはサウナーやアウトドア等のギークである方はもちろん、東京の生活を窮屈に感じている方や、これからの時代を生きていく上での人生観を見つめ直す場所でありたいですね。まずは多拠点生活の一つでも良いので、近場に別荘を持つような感覚で通っていただけたらと思います。

たしかに、この圧倒的大自然に触れると人生観変わりそうな気がします!またお邪魔させてください。

ぜひ!サウナ好きの方々の満足度を上げるためのアップデートもしていきますし、カヌーや乗馬などのオフラインならではの環境も充実していますので、アクティビティも楽しんでいってください。いずれはこのゲストハウスだけでなく、豊かなライフスタイルを提案できるような街づくりをしていきます!

おわりに

コロナによる海外渡航が難しい中、やっぱり本場フィンランドでサウナを体験したいという方も数多くいらっしゃるんじゃないかと思います。ですが日本には北海道という聖地があり、実は短時間の移動で、本場フィンランドに匹敵する体験をTHE GEEKで楽しむことが出来ますので、まずは北海道・釧路に足を運んでみてはいかがでしょうか?

※サウナ国である十勝・帯広エリアも特急で1時間半ほどなので、行きは釧路空港から入り、帰りは帯広空港で帰るという選択肢も大いにアリです。本州ではなかなか体験できない、海外並みのサウナ体験を北海道の道東エリアで楽しみましょう!

 

THE GEEK

住所:〒088-2264 北海道川上郡標茶町塘路原野北7線49番43
営業時間:チェックイン:15:00 チェックアウト:10:00
(サウナは宿泊者および日帰り利用可能。
原則、完全予約制。詳細はお問合せください。)
料金: 湿原ルーム1泊(1名価格)¥11,000/和室1泊(1名価格)¥7,700/ドミトリー1泊 ¥5,500
公式サイト:https://thegeek.jp/